JP6790679B2 - 包装材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
上記アンカーコート剤層が、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであり、
上記層間剥離層が、ポリプロピレンであり、
上記シール層がポリエチレンであることを特徴とする。
また、本発明の包装材は、上記シール層が、押出ラミネート層であり、かつ上記層間剥離層との溶融共押出層であることが好ましい。
また、本発明の包装材は、上記ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体が、さらにポリウレタン樹脂および架橋剤から選択される少なくとも一種の成分を含むことが好ましい。
また、本発明の包装材は、上記層間剥離層の厚さが20μm未満であることが好ましい。
本発明の包装材の製造方法によれば、上記の包装材の製造時に押出ラミネートで多層フィルムの一部を積層することができる。
多層フィルムよりなる包装材に関して、ポリプロピレン層とポリエチレン層とを積層させると、そのポリプロピレン層とポリエチレン層間の接着強度が、同様の層間の接着強度よりも低くなる。この層間接着強度の低さを利用すれば、包装材の易開封性が得られると考えられる。しかしながら、ポリプロピレン層は、一般に包装材に用いられる基材層との密着性が悪く、従来公知のウレタン系アンカーコート剤を基材層の表面に形成していても、押出ラミネートされたポリプロピレン層と基材層とは、包装材に必要な層間接着強度が得らなかった。
[基材層]
基材層2として、通常の包装材を構成する樹脂フィルムを適宜使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン、ポリブテン、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、低結晶性の飽和ポリエステルまたは非晶性のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、MXD6等からなるフィルムを使用することができる。
上掲した樹脂フィルムのなかでも、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも言う。)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル樹脂;ポリカプロンアミド(ナイロン6)、ポリへキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等は好ましい。特に、PETフィルムは、透明性が高く、寸法安定性、耐熱性に優れていること等から、基材層2に、より好ましい。上掲ポリエステル樹脂,ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂は,それらの混合物であってもよい。
基材層2は、樹脂フィルムを2層以上積層した多層フィルムであってもよい。多層フィルムである場合、各層は、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
食品の視認性を確保するために、バリア層は透明であることが好ましく、無機酸化物の蒸着膜、または、プラスチックフィルム上に該蒸着膜を設けてなる無機酸化物蒸着フィルムが特に好適に使用される。蒸着膜を形成する無機酸化物としては、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する無機酸化物であればよく、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物であるが、特に、ガスバリア性、生産効率等の点から、酸化アルミニウム及び酸化珪素が好適に用いられる。
アンカーコート剤層3は、アンカーコート剤としてのポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層である。アンカーコート剤層3のアンカーコート剤は、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンである。
ポリオレフィン成分のポリプロピレンは、ホモポリマーよりなるホモポリプロピレン、ランダムコポリマーからなるランダムポリプロピレン、ブロックコポリマーからなるブロックポリプロピレンに大別でき、基材層2と後述する層間剥離層4としての押出ラミネートポリプロピレンとの接着性の観点から、ホモポリプロピレンやランダムポリプロピレンが好ましい。
いるものであれば特に限定されない。例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド等のオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマー等が挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いのし易さからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
[層間剥離層]
層間剥離層4の材料は、ポリプロピレンである。層間剥離層4をポリプロピレンとすることで、上述した特定のアンカーコート剤の下で、基材層2と強固に密着することができる。また、シール層5をポリエチレンとすることができ、優れたヒートシール性を維持しながら、層間剥離可能となる。
シール層5は、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂層である。一般に、ヒートシールに用いられる樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンを除く)をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他等の不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)、その他等の1種ないしそれ以上からなる樹脂を使用することができる。本発明においては、包装材1の易開封性のために、シール層5と層間剥離層4との層間剥離を利用していることから、層間剥離層4のポリプロピレンとの密着性が、本発明の包装材の積層構造における他の層間の密着性よりも低いことが必要であり、また、ヒートシールのためには層間剥離層4のポリプロピレンよりも融点が低い材料であることが必要である。また、シール層5は、べたつきがないことも求められる。そのため、本発明の包装材1のシール層5は、上掲したヒートシールに用いられる樹脂のうち、ポリエチレンが好ましく、具体的には低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。より好ましくは低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンである。
シール層5は、押出ラミネートに際し層間剥離層4との溶融共押出により積層させた層、すなわち、溶融共押出層であることが好ましい。溶融共押出により、基材層2のアンカーコート剤層3上に、層間剥離層4とシール層5とを一度に貼り合わせることができ、包装材1を生産性よく製造することかできる。
次に、本発明の包装材の製造方法について説明する。本発明の包装体の製造方法は、基材の一表面上に、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、プロピレンであるアンカーコート剤を塗布し、乾燥させてアンカーコート剤層を形成した後、該アンカーコート剤層の表面上に、溶融共押出により層間剥離層と、シール層とをその順で一度に積層させて形成する。
アンカーコート剤の塗布量は、塗布面に対するアンカーコート剤の乾燥質量で0.001〜5g/m2であることが好ましい。アンカーコート剤の量が0.001〜5g/m2の範囲で十分な接着性が経済的に得られる。
本発明の包装材は、ヒートシールで封止され、易開封性が求められる用途に用いることができ、内容物は、特に問わない。例えば、スライスチーズや海苔等の、厚さが薄い食品の包装に用いて好適である。図4に、内容物としてスライスチーズを本発明の包装材で包装した包装体10の一例の平面図を示す。図に示す包装体10は、包装材1が四角形平面のスライスチーズ11の裏面を覆い、スライスチーズ11の対向する二辺で折り返されてスライスチーズ11の表面で重なり合うように巻かれ、包装材1の端部1aおよび端部1bとの間の重なり代Lの間で、シール材によりセンターシールされている。図4に、センターシール部10aを図示している。また、スライスチーズ11の別の対向する二辺の端部において、重ね合わされた二枚の包装材1のシール層5同士が、ヒートシールされている。図4に、サイドシール部10bを図示している。本発明の包装材1は、シール層5がポリエチレンであるため、サイドシール部11bのシールを高速かつ安定して行うことができる。
基材層として片面をコロナ処理した厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡株式会社製T−4102)を用意した。この基材層のコロナ処理面に、本発明のアンカーコート剤層に用いるアンカーコート剤、すわなち、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであるもの(以下、「ポリオレフィン系アンカーコート剤」という。)(ユニチカ株式会社製DA−1200)をコーティングし、100℃で2秒間加熱処理して、アンカーコート剤層を形成した。
無延伸ポリプロピレン層の厚さを10μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さを10μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてPET層/ポリオレフィン系アンカーコート剤層/無延伸ポリプロピレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層の積層体を得た。積層体において、PET層の厚さは12μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは10μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは10μmだった。
実施例1のポリオレフィン系アンカーコート剤に含まれるポリプロピレンと不飽和カルボン酸成分との共重合体100質量部に対して、ポリウレタン樹脂(株式会社ADEKA製アデカボンタイターHUX35)を10質量部添加した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。積層体において、PET層の厚さは12μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは8μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは4μmだった。
実施例1のポリオレフィン系アンカーコート剤に含まれるポリプロピレンと不飽和カルボン酸成分との共重合体100質量部に対して、オキサゾリン系架橋剤(株式会社日本触媒製エポクロスWS700)を5質量部添加した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。積層体において、PET層の厚さは12μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは8μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは4μmだった。
比較例1は、アンカーコート剤として従来のウレタン系アンカーコート剤を用いた例である。各層の積層順は実施例1、2と同様である。
基材層として、片面をコロナ処理した厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡株式会社製T−4102)を用意した。この基材層のコロナ処理面に、2液型ウレタン系アンカーコート剤(三井化学株式会社製タケラックA3210/タケネートA3075)をコーティングし、100℃で2秒間加熱処理して、アンカーコート剤層を形成した。
次に、上記で形成した積層フィルムを押出ラミネート機にセットし、そのアンカーコート剤層の面に、Tダイから、層間剥離層として厚さ10μmの無延伸ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製F329RA)と、シール層として厚さ10μmの直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製KC570S)と、を設定温度290℃でそれぞれ溶融共押出して、PET層/ウレタン系アンカーコート剤層/無延伸ポリプロピレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層の順に積層された積層体を得た。積層体において、PET層の厚さは12μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは10μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは10μmだった。
比較例2は、アンカーコート剤として実施例1、2と同じポリオレフィン系アンカーコート剤を用い、無延伸ポリプロピレン層と直鎖状低密度ポリエチレン層との積層順を実施例1、2とは逆にした例である。
基材層として片面をコロナ処理した厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡株式会社製T−4102)を用意した。この基材層のコロナ処理面に、ポリオレフィン系アンカーコート剤(ユニチカ株式会社製DA−1200をコーティングし、100℃で2秒間加熱処理して、アンカーコート剤層を形成した。
比較例3は、アンカーコート剤として従来のウレタン系アンカーコート剤を用い、無延伸ポリプロピレン層と直鎖状低密度ポリエチレン層との積層順を実施例1、2とは逆にした例である。
次に、上記で形成した積層フィルムを押出ラミネート機にセットし、そのアンカーコート剤層の面に、Tダイから、厚さ10μmの直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製KC570S)と、厚さ10μmの無延伸ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製F329RA)と、を設定温度290℃でそれぞれ溶融共押出して、PET層/ウレタン系アンカーコート剤層/直鎖状低密度ポリエチレン層/無延伸ポリプロピレン層の順に積層された積層体を得た。PET層の厚さは12μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは10μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは10μmだった。
まず、基材層と、アンカーコート剤層を介して貼り合わせた樹脂層(実施例1〜4および比較例1においては無延伸ポリプロピレン、比較例2、3においては直鎖状低密度ポリエチレン)との接着強度を調べた。実施例1〜4および比較例1〜3に対応する基材層、アンカーコート剤層および樹脂層の積層体を、幅15mmの短冊状に切り出し、JIS K 6854に従って、25℃雰囲気下、引張速度を50mm/分として、層間接着強度を測定した。試験結果を表1に示す。表1中、接着強度が5.0N/15mm以上であって実用上剥離不可であった場合を〇印、接着強度が1.0N/15mm未満であって、実質的に接着しなかった場合を×印で示した。
実施例1〜4および比較例3の積層体について、最表層であるシール層同士を重ね合わせ、加熱温度180℃、圧力1kgf/cm2かつ、シール時間0.1秒および1秒間の2条件でヒートシールした。なお、比較例1および比較例2は、上述のとおり十分な層間接着強度を有する積層体が得られなかったので、ヒートシール強度試験を行わなかった。
実施例1〜4および比較例3の積層体同士のヒートシール部を、幅15mmの短冊状に切り出し、JIS K 6854に従って、25℃雰囲気下、引張速度を50mm/分として、層間接着強度を測定した。また、試験後の剥離した積層体の剥離形態を確認した。その結果を表2に示す。
実際の包装体の製造を模して、包装充填機(natec社製FP2000)を用いて、実施例1〜4および比較例3の積層体の包装袋に水を充填した包装体を作製した。包装体の作製の際は、装置のシールバーの回転数を400rpm、800rpmおよび1000rpmの3条件で行った。回転数が高いほど包装体の生産速度が高いが、包装体の1個当たりのシートシール時間は短いことを意味する。
包装充填後の各包装体のヒートシール部を幅15mmの短冊状に切り出し、JIS K6854に従って、25℃雰囲気下、引張速度を50mm/分として、層間接着強度を測定した。また、試験後の剥離した積層体の剥離形態を確認した。その結果を表3に示す。
2 基材層
3 アンカーコート剤層
4 層間剥離層
5 シール層
Claims (6)
- 基材層と、アンカーコート剤層と、層間剥離層と、シール層と、を、この順に積層して備え、
前記アンカーコート剤層が、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであり、
前記層間剥離層が、ポリプロピレンであり、
前記シール層がポリエチレンであることを特徴とする包装材。 - 前記層間剥離層が、押出ラミネート層である請求項1記載の包装材。
- 前記シール層が、押出ラミネート層であり、かつ前記層間剥離層との溶融共押出層である請求項2記載の包装材。
- 前記ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体が、さらにポリウレタン樹脂および架橋剤から選択される少なくとも一種の成分を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装材。
- 前記層間剥離層の厚さが20μm未満である請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装材。
- 基材の一表面上に、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであるアンカーコート剤を塗布し、乾燥させてアンカーコート剤層を形成した後、該アンカーコート剤層の表面上に、溶融共押出によりポリプロピレンの層間剥離層と、ポリエチレンのシール層とをその順で一度に積層させて形成することを特徴とする包装材の製造方法。
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