JP6790679B2 - 包装材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、包装材およびその製造方法に関する。より詳しくは、食品や医薬品等を包装した包装体を容易に開封することのできる包装材およびその製造方法に関する。
チーズ、ハム、ソーセージ、かまぼこ、羊羹、ゼリー等の食品を充填包装するために、また、粉末等の医薬品を包装するために、プラスチックフィルムの包装材が用いられている。例えば、プロセスチーズを厚さ数mm程度、10cm四方程度の大きさに成形してシート状にしたスライスチーズは、プラスチックフィルムにより直接的かつ個別に包装されていて、その個別包装体の複数枚が重ねられてピロー形状等の包装袋に収容された形態で販売されている。
かかる食品の個別包装体の製造方法の一例を、スライスチーズの場合で説明する。プラスチックフィルムの短手方向の両端部を重ね合わせてセンターシールで円筒形にする。この円筒形の内部空間に、溶融したプロセスチーズを注入してから所定のチーズ厚さになるように押圧して扁平な形状とする。当該フィルムの長手方向の両端の開口部をシールし(サイドシール)、その後、冷却固化して個別包装体を得る。一般的には、プラスチックフィルムは長尺なフィルムを用いて、所定のラインスピードで連続的にフィルムを移動させながらセンターシール、内容物の注入、ロール圧下による扁平化、サイドシール、冷却固化および個々の包装体への切り分けを順次に行う。包装体のセンターシールは、例えばプラスチックフィルム表面の所定の位置に選択的に形成されたシール材による。サイドシールは、例えば重ね合わされた同種のプラスチックフィルム同士のヒートシールによる。
個別包装体は、充填された食品が漏れ出ないように、また乾燥や劣化をしないように、しっかりとシールされている必要があり、その一方で食品を個別包装体から取り出すときは容易に開封できること(以下、「易開封性」とも言う。)が好ましい。また、医薬品の粉末等の包装体では、易開封性の包装にすることで、開封後に手で触れることなく医薬品を飲むことができるなどのメリットがある。
一般に、包装体の開封を容易にするために、例えば外装袋に用いられるピロー包装袋等においては、当該袋の端部にノッチが形成されている。ノッチを始点に袋を切り裂くことで容易に開封できる。しかし、スライスチーズのような薄い食品が充填された個別包装体は、個別包装体の端部のノッチを始点に切り裂いたのでは食品自体も裂けてしまうし、粉末等の医薬品の個別包装体では裂け目から医薬品が零れ落ちてしまう。また、包装袋の表面に、ミシン目等の切れ目を設けた個別包装体では、内容物の乾燥や劣化が生じ得る。したがって、スライスチーズのような薄い食品が充填された個別包装体や粉末等の医薬品の個別包装体には、シールされた部分が剥離することで易開封性を有する包装材が好ましい。
シールされた部分が剥離する易開封性の包装材の剥離形態としては、層間剥離や凝集剥離等がある。易開封性の包装材に関し、剥離樹脂層を備える多層フィルムがある(特許文献1)。
特開2016−43964号公報
しかしながら、特許文献1に記載の包装体は、剥離樹脂層と粘着樹脂層とが接して積層されている多層フィルムの包装体であり、開封と再封とを繰り返すような用途に適しているが、開封と再封とを繰り返さない、薄い食品や粉末の医薬品の包装体の用途には必ずしも適切ではなかった。また、特許文献1の包装体の層間剥離層はアミド系樹脂を主成分として構成されているため、高価であり、スライスチーズや粉末の医薬品等の個別包装体のような用途の製造時に求められる加工性が必ずしも十分でなく、また製造時に押出ラミネートするのが容易でなかった。
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、実用上十分なシール性と、易開封性とを兼ね備え、包装時の生産性に優れ、さらに製造時に押出ラミネートで多層フィルムの一部を積層し得る包装材およびその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、スライスチーズのような薄い食品や粉末等の医薬品等を個別に包装するのに適した包装材について鋭意研究を重ねた結果、ポリプロピレン層をシール層との層間剥離層として備え、この層間剥離層と基材層との間に、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであるアンカーコート剤層を形成することにより、層間剥離層と基材とを押出ラミネートで強固に形成することができることを見出した。
上記の知見に基づく本発明の包装材は、基材層と、アンカーコート剤層と、層間剥離層と、シール層と、を、この順に積層して備え、
上記アンカーコート剤層が、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであり、
上記層間剥離層が、ポリプロピレンであり、
上記シール層がポリエチレンであることを特徴とする。
本発明の包装材は、上記層間剥離層が、押出ラミネート層であることが好ましい。
また、本発明の包装材は、上記シール層が、押出ラミネート層であり、かつ上記層間剥離層との溶融共押出層であることが好ましい。
また、本発明の包装材は、上記ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体が、さらにポリウレタン樹脂および架橋剤から選択される少なくとも一種の成分を含むことが好ましい。
また、本発明の包装材は、上記層間剥離層の厚さが20μm未満であることが好ましい。
本発明の包装材の製造方法は、基材の一表面上に、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであるアンカーコート剤を塗布し、乾燥させてアンカーコート剤層を形成した後、該アンカーコート剤層の表面上に、溶融共押出によりポリプロピレンの層間剥離層と、ポリエチレンのシール層とをその順で一度に積層させて形成することを特徴とする。
本発明の包装材によれば、実用上十分なシール性と、易開封性とを兼ね備え、包装時の生産性に優れた包装材が得られる。
本発明の包装材の製造方法によれば、上記の包装材の製造時に押出ラミネートで多層フィルムの一部を積層することができる。
本発明の包装材の一実施形態の模式的な断面図である。 本発明の包装材を用いた包装体のシール部の模式的な断面図である。 本発明の包装材を用いた包装体のシール部が分離した状態を示す模式的な断面図である。 本発明の包装材を用いた包装体の一例の平面図である。
以下、本発明の包装材およびその製造方法の実施形態を、図面を用いつつ具体的に説明する。
図1に、本発明の包装材の一実施形態の模式的な断面図を示す。図1において、包装材1は、多層フィルムよりなり、基材層2と、アンカーコート剤層3と、層間剥離層4と、シール層5とを、この順に積層して備えている。
アンカーコート剤層3は、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンである。また、層間剥離層4はポリプロピレンである。
本実施形態の包装材1は、特定のアンカーコート剤を用いたアンカーコート剤層3を備えている。アンカーコート剤層3は、層間剥離層4としてのポリプロピレンを、押出ラミネートにより強固に密着することができるアンカーコート剤よりなる。
アンカーコート剤層3を備える本発明の包装材1の効果について説明する。
多層フィルムよりなる包装材に関して、ポリプロピレン層とポリエチレン層とを積層させると、そのポリプロピレン層とポリエチレン層間の接着強度が、同様の層間の接着強度よりも低くなる。この層間接着強度の低さを利用すれば、包装材の易開封性が得られると考えられる。しかしながら、ポリプロピレン層は、一般に包装材に用いられる基材層との密着性が悪く、従来公知のウレタン系アンカーコート剤を基材層の表面に形成していても、押出ラミネートされたポリプロピレン層と基材層とは、包装材に必要な層間接着強度が得らなかった。
ポリプロピレン層と基材層とを、接着剤で接合すること、いわゆるドライラミネーションは可能であるが、コスト高になるし、接着剤で接着するためには、ある程度のポリプロピレン層の厚さが必要であり、具体的には厚さ20μm以上が必要である。このような厚さのポリプロピレン層は、多層フィルムからなる包装材の曲げ等の包装加工に難点があった。
そのため、基材層に対してポリプロピレン層ではなく、ポリエチレン層を直接にまたはアンカーコート剤層を介して押出ラミネートし、ポリプロピレン層は、ポリエチレン層から見て基材層とは反対側の面に重ねて積層させ、最表層とした層構成を備える多層フィルムの包装材が考えられる。ポリエチレン層は、基材層との密着性が高いので、ポリエチレン層と基材層との間は、包装材に必要な層間接着強度が得られる。しかしながら、かかる層構成では、積層フィルムの最表層のヒートシール層がポリプロピレン層になり、その内層側にポリエチレン層が配置される。ポリプロピレン層をヒートシール層にした包装体は、ポリプロピレンの融点がポリエチレンよりも高いため、ヒートシール時の加熱条件によっては、内層側のポリエチレン層が先に溶融して層間剥離が難しい場合や、ポリプロピレン層同士で十分な接合強度が得難い場合が生じる。よって、包装体の製造時には、ヒートシール時の加熱温度、加熱時間の好適条件範囲が狭く、また、包装機械のラインスピードを上げることが難しかった。
これに対して、本発明の包装材は、ポリプロピレンと不飽和カルボン酸成分との共重合体を含む特定のアンカーコート剤を用いたアンカーコート剤層を備え、このアンカーコート剤層のポリプロピレン成分と、押出ラミネートされた層間剥離層のポリプロピレンとが相溶して、強固に密着させることができる。したがって、押出ラミネートされたポリプロピレン層と基材層とは、包装材に必要な層間接着強度が得られる。また、ドライラミネートでは困難であった層厚20μm未満のポリプロピレン層を、アンカーコート剤層を介して基材層に接着することにより、包装材の曲げ等の包装加工性を向上させることができる。最表層のシール層は、ポリエチレン層を用いることができるので、包装体の製造時には、ヒートシール時の加熱温度、加熱時間の好適条件範囲が広い。さらに、ポリプロピレン層と、最表層の例えばポリエチレン層との間で層間剥離させることができるので、加熱温度や加熱時間に依存することなく、安定した開封強度を得ることができ、易開封性に優れている。
図2に、本発明の包装材を用いた包装体のシール部の模式的な断面図を示し、図3に、開封時に当該シール部が分離した状態の模式的な断面図を示す。シール部は、二枚の包装材1の各シール層5を対向させた状態で重ね合わせ、熱を加えることより、同種のシール層5同士が熱融着することによりシールされる。また、シール層5としての例えばポリエチレンは、層間剥離層4のポリプロピレン層との密着性が、比較的低いことから、包装体の実用上十分なシール性を確保しつつ、図3に示すように層間剥離層4とシール層5との間で層間剥離させることができ、ひいては、包装材1を用いた包装体を容易に開封することができる。
以下、各層について具体的に説明する。
[基材層]
基材層2として、通常の包装材を構成する樹脂フィルムを適宜使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン、ポリブテン、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、低結晶性の飽和ポリエステルまたは非晶性のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、MXD6等からなるフィルムを使用することができる。
上掲した樹脂フィルムのなかでも、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも言う。)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル樹脂;ポリカプロンアミド(ナイロン6)、ポリへキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等は好ましい。特に、PETフィルムは、透明性が高く、寸法安定性、耐熱性に優れていること等から、基材層2に、より好ましい。上掲ポリエステル樹脂,ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂は,それらの混合物であってもよい。
基材層2は、樹脂フィルムを2層以上積層した多層フィルムであってもよい。多層フィルムである場合、各層は、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
これらの樹脂フィルムは無延伸フィルムでもよいが、透明性等の観点から好ましくは一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムが用いられる。フィルムの厚さは特に限定されないが、5〜500μm程度、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜100μmである。
基材層2は、さらに上記の樹脂フィルム層に、バリア層を積層させた積層構造でもよい。バリア層を積層させることで、内容物の重量減少や内容物の劣化を、効果的に抑制できる。
バリア層は、例えば、アルミニウム箔等からなる金属箔、無機物または無機酸化物の蒸着膜、樹脂フィルム上に該蒸着膜を有する蒸着フィルム、または、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、MXD6等のガスバリア性樹脂からなる層、あるいはこれらの組み合わせであってよい。
食品の視認性を確保するために、バリア層は透明であることが好ましく、無機酸化物の蒸着膜、または、プラスチックフィルム上に該蒸着膜を設けてなる無機酸化物蒸着フィルムが特に好適に使用される。蒸着膜を形成する無機酸化物としては、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する無機酸化物であればよく、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物であるが、特に、ガスバリア性、生産効率等の点から、酸化アルミニウム及び酸化珪素が好適に用いられる。
基材層2の表面は、接着性の向上のために、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の濡れ性を向上させる表面処理を施してもよい。かかる表面処理は、基材層2の表面のうち、後述するアンカーコート剤層3が形成される面に施される。基材層2がバリア層を有する場合には、バリア層が形成された面とは反対側の表面が表面処理される。
[アンカーコート剤層]
アンカーコート剤層3は、アンカーコート剤としてのポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層である。アンカーコート剤層3のアンカーコート剤は、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンである。
ポリオレフィン成分のポリプロピレンは、ホモポリマーよりなるホモポリプロピレン、ランダムコポリマーからなるランダムポリプロピレン、ブロックコポリマーからなるブロックポリプロピレンに大別でき、基材層2と後述する層間剥離層4としての押出ラミネートポリプロピレンとの接着性の観点から、ホモポリプロピレンやランダムポリプロピレンが好ましい。
不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸または無水マレイン酸等が挙げられる。
アンカーコート剤層3のアンカーコート剤は、特開2015−163688号公報に記載された酸変性ポリプロピレン樹脂と水性媒体とを含有する水性分散体であって、酸変性ポリプロピレン樹脂のポリプロピレン成分が、アイソタクチック構造からなるホモポリプロピレンであるアンカーコート剤を用いることができる。また、アンカーコート剤層3のアンカーコート剤は、市販品としては、ユニチカ株式会社製のDA−1200を用いることができる。
アンカーコート剤としての上記水性分散体の水性媒体は、水であり、水以外にも水を主成分とする液体であってもよく、例えばアンモニア等の塩基性化合物や有機溶媒が含有されていてもよい。
上記アンカーコート剤には、目的に応じて性能をさらに向上させるために、他の樹脂や架橋剤等の添加剤を添加することができる。
アンカーコート剤に添加し得る、他の樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂が挙げられる。ポリウレタン樹脂を添加することによって、包装材を用いて内容物を保存した際に、折り目部分に生じ得るデラミネーションを抑制することができる。
ポリウレタン樹脂は、主鎖中にウレタン結合を含有する高分子を使用することができ、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られる高分子を使用することができる。
ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、特に限定されず、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の低分子量グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール類、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類等の高分子量ジオール類、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族または脂環族に属する公知のジイソシアネート類の1種または2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート、およびこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。また、ジイソシアネート類には、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の3官能以上のポリイソシアネート類を用いてもよい。
上述したポリウレタン樹脂等の他の樹脂の添加量は、水性分散体中のポリプロピレンと不飽和カルボン酸成分との共重合体100質量部に対し、1〜100質量部であることが好ましく、5〜60質量部であることがより好ましい。
アンカーコート剤に添加することができる架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、不飽和カルボン酸成分と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属等を用いることができる。
具体的には、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基含有化合物、メラミン化合物、尿素化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤、有機過酸化物等が挙げられ、必要に応じて複数のものを混合使用してもよい。中でも、取り扱い易さの観点から、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基含有化合物を添加することが好ましい。
オキサゾリン基含有化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のオキサゾリン基を有して
いるものであれば特に限定されない。例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド等のオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマー等が挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いのし易さからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーは、一般に2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させることにより得られる。オキサゾリン基含有ポリマーには、必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。オキサゾリン基含有ポリマーの重合方法としては、特に限定されず、公知の重合方法を採用することができる。
カルボジイミド基含有化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等のカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱い易さから、ポリカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。イソシアネート化合物も限定されるものではなく、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネートのいずれであっても構わない。イソシアネート化合物は、必要に応じて多官能液状ゴムやポリアルキレンジオール等が共重合されていてもよい。
オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤等の架橋剤の添加量は、水性分散体中のポリプロピレンと不飽和カルボン酸成分との共重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
[層間剥離層]
層間剥離層4の材料は、ポリプロピレンである。層間剥離層4をポリプロピレンとすることで、上述した特定のアンカーコート剤の下で、基材層2と強固に密着することができる。また、シール層5をポリエチレンとすることができ、優れたヒートシール性を維持しながら、層間剥離可能となる。
具体的にポリプロピレンは、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンのいずれでもよいが、押出ラミネート適正の観点からランダムポリプロピレンが好ましい。層間剥離層4に用いられるポリプロピレンのメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)は、1〜100g/10minであることが好ましく、より好ましくは3〜50g/minであることが好ましい。
層間剥離層4の層厚は、1〜100μm程度とすることができる。層間剥離層4が1〜100μmの範囲であることにより、後述するシール層5との間で確実に層間剥離させることができる。層間剥離層4は、5μmもあれば十分な厚さであるが、本発明の包装材の用途に応じて適宜100μm程度までの厚さとすることができる。
層間剥離層4は、アンカーコート剤層3上に、押出ラミネートにより積層させた層、すなわち、押出ラミネート層であることが好ましい。押出ラミネートは、ベースとなるフィルムに、樹脂を溶融させフィルム状にして貼り合わせる方法である。押出ラミネートは、接着剤を用いて貼り合わせる方法に比べて、接着剤が不要であり、貼り合わせる層間剥離層の厚さを薄くすることができるので好ましい。例えば接着剤を用いて貼り合わせる、いわゆるドライラミネートでは貼り合わせることができない厚さ20μm未満の層間剥離層を形成させることができる。
なお、後述するように、層間剥離層4の押出ラミネートは、シール層5との溶融共押出により、基材層2のアンカーコート剤層3上に、層間剥離層4とシール層5とを一度の貼り合わせることができ、包装材1の生産性向上のために好ましい。
[シール層]
シール層5は、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂層である。一般に、ヒートシールに用いられる樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンを除く)をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他等の不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)、その他等の1種ないしそれ以上からなる樹脂を使用することができる。本発明においては、包装材1の易開封性のために、シール層5と層間剥離層4との層間剥離を利用していることから、層間剥離層4のポリプロピレンとの密着性が、本発明の包装材の積層構造における他の層間の密着性よりも低いことが必要であり、また、ヒートシールのためには層間剥離層4のポリプロピレンよりも融点が低い材料であることが必要である。また、シール層5は、べたつきがないことも求められる。そのため、本発明の包装材1のシール層5は、上掲したヒートシールに用いられる樹脂のうち、ポリエチレンが好ましく、具体的には低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。より好ましくは低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンである。
シール層5の厚さは、特に限定はないが1〜100μm程度とすることが好ましい。好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下である。
シール層5は、アンカーコート剤層3上に、押出ラミネートにより積層させた層、すなわち、押出ラミネート層であることが好ましい。押出ラミネートは、接着剤を用いて貼り合わせる方法に比べて、接着剤が不要であり、貼り合わせるシール層の厚さを薄くすることができる。例えば接着剤を用いて貼り合わせる、いわゆるドライラミネートでは貼り合わせることができない厚さ20μm未満のシール層を形成させることができる。
シール層5は、押出ラミネートに際し層間剥離層4との溶融共押出により積層させた層、すなわち、溶融共押出層であることが好ましい。溶融共押出により、基材層2のアンカーコート剤層3上に、層間剥離層4とシール層5とを一度に貼り合わせることができ、包装材1を生産性よく製造することかできる。
[包装材の製造方法]
次に、本発明の包装材の製造方法について説明する。本発明の包装体の製造方法は、基材の一表面上に、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、プロピレンであるアンカーコート剤を塗布し、乾燥させてアンカーコート剤層を形成した後、該アンカーコート剤層の表面上に、溶融共押出により層間剥離層と、シール層とをその順で一度に積層させて形成する。
アンカーコート剤層として、既に説明したアンカーコート剤を塗布する方法は、公知の塗布方法を行うことができる。塗布後、乾燥処理により水性媒体を蒸発させてアンカーコート剤層を得る。乾燥条件は特に限定されないが、加熱温度40〜200℃、加熱時間1〜600秒の範囲として、適宜選択すればよい。
アンカーコート剤の塗布量は、塗布面に対するアンカーコート剤の乾燥質量で0.001〜5g/mであることが好ましい。アンカーコート剤の量が0.001〜5g/mの範囲で十分な接着性が経済的に得られる。
層間剥離層は、押出ラミネートによりアンカーコート剤層上に形成することができる。また、シール層は、押出ラミネートにより層間剥離層上に形成することができる。特に、層間剥離層とシール層とを、溶融共押出により、アンカーコート剤層上に同時に形成することが好ましい。これにより、本発明の包装材を生産性高く製造することができ、また、層間剥離層とシール層を、ドライラミネートで密着させる方法よりも層厚を薄くすることができる。層間剥離層とシール層の層厚が薄いことは、包装材に内容物を封入して包装体を製造する時の曲げ加工性を向上させることができる。
[包装体]
本発明の包装材は、ヒートシールで封止され、易開封性が求められる用途に用いることができ、内容物は、特に問わない。例えば、スライスチーズや海苔等の、厚さが薄い食品の包装に用いて好適である。図4に、内容物としてスライスチーズを本発明の包装材で包装した包装体10の一例の平面図を示す。図に示す包装体10は、包装材1が四角形平面のスライスチーズ11の裏面を覆い、スライスチーズ11の対向する二辺で折り返されてスライスチーズ11の表面で重なり合うように巻かれ、包装材1の端部1aおよび端部1bとの間の重なり代Lの間で、シール材によりセンターシールされている。図4に、センターシール部10aを図示している。また、スライスチーズ11の別の対向する二辺の端部において、重ね合わされた二枚の包装材1のシール層5同士が、ヒートシールされている。図4に、サイドシール部10bを図示している。本発明の包装材1は、シール層5がポリエチレンであるため、サイドシール部11bのシールを高速かつ安定して行うことができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
基材層として片面をコロナ処理した厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡株式会社製T−4102)を用意した。この基材層のコロナ処理面に、本発明のアンカーコート剤層に用いるアンカーコート剤、すわなち、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであるもの(以下、「ポリオレフィン系アンカーコート剤」という。)(ユニチカ株式会社製DA−1200)をコーティングし、100℃で2秒間加熱処理して、アンカーコート剤層を形成した。
次に、上記で得られた積層フィルムを押出ラミネート機にセットし、そのアンカーコート剤層の面に、Tダイから、層間剥離層として厚さ8μmの無延伸ポリプロピレン(CPP;株式会社プライムポリマー製F329RA)と、シール層として厚さ4μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE;日本ポリエチレン株式会社製KC570S)と、を設定温度290℃でそれぞれ溶融共押出して、PET層/ポリオレフィン系アンカーコート剤層/無延伸ポリプロピレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層の順に積層された積層体を得た。積層体において、PET層の厚さは12μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは8μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは4μmだった。
[実施例2]
無延伸ポリプロピレン層の厚さを10μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さを10μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてPET層/ポリオレフィン系アンカーコート剤層/無延伸ポリプロピレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層の積層体を得た。積層体において、PET層の厚さは12μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは10μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは10μmだった。
[実施例3]
実施例1のポリオレフィン系アンカーコート剤に含まれるポリプロピレンと不飽和カルボン酸成分との共重合体100質量部に対して、ポリウレタン樹脂(株式会社ADEKA製アデカボンタイターHUX35)を10質量部添加した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。積層体において、PET層の厚さは12μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは8μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは4μmだった。
[実施例4]
実施例1のポリオレフィン系アンカーコート剤に含まれるポリプロピレンと不飽和カルボン酸成分との共重合体100質量部に対して、オキサゾリン系架橋剤(株式会社日本触媒製エポクロスWS700)を5質量部添加した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。積層体において、PET層の厚さは12μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは8μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは4μmだった。
[比較例1]
比較例1は、アンカーコート剤として従来のウレタン系アンカーコート剤を用いた例である。各層の積層順は実施例1、2と同様である。
基材層として、片面をコロナ処理した厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡株式会社製T−4102)を用意した。この基材層のコロナ処理面に、2液型ウレタン系アンカーコート剤(三井化学株式会社製タケラックA3210/タケネートA3075)をコーティングし、100℃で2秒間加熱処理して、アンカーコート剤層を形成した。
次に、上記で形成した積層フィルムを押出ラミネート機にセットし、そのアンカーコート剤層の面に、Tダイから、層間剥離層として厚さ10μmの無延伸ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製F329RA)と、シール層として厚さ10μmの直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製KC570S)と、を設定温度290℃でそれぞれ溶融共押出して、PET層/ウレタン系アンカーコート剤層/無延伸ポリプロピレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層の順に積層された積層体を得た。積層体において、PET層の厚さは12μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは10μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは10μmだった。
[比較例2]
比較例2は、アンカーコート剤として実施例1、2と同じポリオレフィン系アンカーコート剤を用い、無延伸ポリプロピレン層と直鎖状低密度ポリエチレン層との積層順を実施例1、2とは逆にした例である。
基材層として片面をコロナ処理した厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡株式会社製T−4102)を用意した。この基材層のコロナ処理面に、ポリオレフィン系アンカーコート剤(ユニチカ株式会社製DA−1200をコーティングし、100℃で2秒間加熱処理して、アンカーコート剤層を形成した。
次に、上記で形成した積層フィルムを押出ラミネート機にセットし、そのアンカーコート剤層の面に、Tダイから、厚さ10μmの直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製KC570S)と、厚さ10μmの無延伸ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製F329RA)と、を設定温度290℃でそれぞれ溶融共押出して、PET層/ポリオレフィン系アンカーコート剤層/直鎖状低密度ポリエチレン層/無延伸ポリプロピレン層の順に積層された積層体を得た。PET層の厚さは12μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは10μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは10μmだった。
[比較例3]
比較例3は、アンカーコート剤として従来のウレタン系アンカーコート剤を用い、無延伸ポリプロピレン層と直鎖状低密度ポリエチレン層との積層順を実施例1、2とは逆にした例である。
基材層として片面をコロナ処理した厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡株式会社製T−4102)を用意した。この基材層のコロナ処理面に、2液型ウレタン系アンカーコート剤(三井化学株式会社製タケラックA3210/タケネートA3075)をコーティングし、90℃で2秒間加熱処理して、アンカーコート剤層を形成した。
次に、上記で形成した積層フィルムを押出ラミネート機にセットし、そのアンカーコート剤層の面に、Tダイから、厚さ10μmの直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製KC570S)と、厚さ10μmの無延伸ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製F329RA)と、を設定温度290℃でそれぞれ溶融共押出して、PET層/ウレタン系アンカーコート剤層/直鎖状低密度ポリエチレン層/無延伸ポリプロピレン層の順に積層された積層体を得た。PET層の厚さは12μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚さは10μm、無延伸ポリプロピレン層の厚さは10μmだった。
<層間接着強度試験>
まず、基材層と、アンカーコート剤層を介して貼り合わせた樹脂層(実施例1〜4および比較例1においては無延伸ポリプロピレン、比較例2、3においては直鎖状低密度ポリエチレン)との接着強度を調べた。実施例1〜4および比較例1〜3に対応する基材層、アンカーコート剤層および樹脂層の積層体を、幅15mmの短冊状に切り出し、JIS K 6854に従って、25℃雰囲気下、引張速度を50mm/分として、層間接着強度を測定した。試験結果を表1に示す。表1中、接着強度が5.0N/15mm以上であって実用上剥離不可であった場合を〇印、接着強度が1.0N/15mm未満であって、実質的に接着しなかった場合を×印で示した。
Figure 0006790679
表1から、アンカーコート剤層にポリオレフィン系アンカーコート剤を用いた実施例1〜4は、基材層が、本発明で層間剥離層に用いられるポリプロピレン層と十分に接着していた。これに対して、比較例1は、アンカーコート剤として従来のウレタン系アンカーコート剤を用いたため、基材層が、ポリプロピレン層と接着しなかった。比較例2は、アンカーコート剤層にポリオレフィン系アンカーコート剤を用いたが、基材層は直鎖状低密度ポリエチレン層とは接着しなかった。比較例3は、アンカーコート剤層にウレタン系アンカーコート剤を用い、基材層に直鎖状低密度ポリエチレン層を用いた場合、両者は十分に接着していた。
<ヒートシール強度試験>
実施例1〜4および比較例3の積層体について、最表層であるシール層同士を重ね合わせ、加熱温度180℃、圧力1kgf/cmかつ、シール時間0.1秒および1秒間の2条件でヒートシールした。なお、比較例1および比較例2は、上述のとおり十分な層間接着強度を有する積層体が得られなかったので、ヒートシール強度試験を行わなかった。
実施例1〜4および比較例3の積層体同士のヒートシール部を、幅15mmの短冊状に切り出し、JIS K 6854に従って、25℃雰囲気下、引張速度を50mm/分として、層間接着強度を測定した。また、試験後の剥離した積層体の剥離形態を確認した。その結果を表2に示す。
Figure 0006790679
表2により、実施例1〜4は、無延伸ポリプロピレン層と直鎖状低密度ポリエチレン層との間で層間剥離した。この層間の接着強度は、表1に示したPET層と、アンカーコート剤層を介した無延伸ポリプロピレン層との接着強度よりも十分に低く、易開封性が得られていた。また、シール時間0.1秒の場合でも1秒の場合でも層間の接着強度が低く、シール時間の変動、ひいてはシール条件の変動にかかわらず、安定して易開封性が得られていた。また、実施例3は、ポリオレフィン系アンカーコート剤にポリウレタン樹脂を添加することにより、PETフィルムに対するポリプロピレン層の密着性が向上し、実施例1より高い接着強度を示した。さらに、実施例4は、ポリオレフィン系アンカーコート剤にオキサゾリン系架橋剤を添加することにより、PETフィルムに対するポリプロピレン層の密着性が向上し、実施例1より高い接着強度を示した。これに対して、比較例3は、シール時間が0.1秒の場合は、直鎖状低密度ポリエチレン層と無延伸ポリプロピレン層との間で層間剥離して易開封性が得られたが、シール時間が1秒の場合は凝集剥離し、また接着強度が高く、易開封性が十分ではなかった。これは、シール時間が1秒の場合は、シール時間が長かったため、直鎖状低密度ポリエチレン層ばかりでなく無延伸ポリプロピレン層も溶融したためと考えられる。したがって、比較例3は、シール条件の変動により、易開封性が十分でなくなることから、シール条件の好適範囲が実施例1〜4よりも狭かった。
<充填試験>
実際の包装体の製造を模して、包装充填機(natec社製FP2000)を用いて、実施例1〜4および比較例3の積層体の包装袋に水を充填した包装体を作製した。包装体の作製の際は、装置のシールバーの回転数を400rpm、800rpmおよび1000rpmの3条件で行った。回転数が高いほど包装体の生産速度が高いが、包装体の1個当たりのシートシール時間は短いことを意味する。
包装充填後の各包装体のヒートシール部を幅15mmの短冊状に切り出し、JIS K6854に従って、25℃雰囲気下、引張速度を50mm/分として、層間接着強度を測定した。また、試験後の剥離した積層体の剥離形態を確認した。その結果を表3に示す。
Figure 0006790679
表3より、実施例1〜4は無延伸ポリプロピレン層と直鎖状低密度ポリエチレン層との間で層間剥離した。この層間の接着強度は、PET層と、アンカーコート剤層を介した無延伸ポリプロピレン層との接着強度よりも低く、易開封性が得られていた。また、回転数が400rpmの場合でも800rpmの場合でも1000rpmの場合でも層間の接着強度が低く、シール時間の変動、ひいてはシール条件の変動にかかわらず、安定して易開封性が得られていた。これに対して、比較例3は、回転数が800rpmの場合は、直鎖状低密度ポリエチレン層と無延伸ポリプロピレン層との間で層間剥離して易開封性が得られたが、回転数が400rpmの場合は凝集剥離し、また接着強度が高く、易開封性が十分ではなかった。これは、ヒートシール時間が長かったため、直鎖状低密度ポリエチレン層ばかりでなく無延伸ポリプロピレン層も溶融したためと考えられる。また、回転数が1000rpmの場合は、ヒートシール部の強度が、包装体に求められる接着強度よりも低かった。したがって、比較例3は、シール条件の変動により、ヒートシール部の強度の変動が大きく、シール条件の好適範囲が実施例1〜4よりも狭かった。
以上、実施の形態および実施例を用いて本発明の包装材およびその製造方法を具体的に説明したが、本発明の包装材およびその製造方法は、これらの実施形態および実施例の記載に限定されることなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で幾多の変形が可能である。
1 包装材
2 基材層
3 アンカーコート剤層
4 層間剥離層
5 シール層

Claims (6)

  1. 基材層と、アンカーコート剤層と、層間剥離層と、シール層と、を、この順に積層して備え、
    前記アンカーコート剤層が、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであり、
    前記層間剥離層が、ポリプロピレンであり、
    前記シール層がポリエチレンであることを特徴とする包装材。
  2. 前記層間剥離層が、押出ラミネート層である請求項1記載の包装材。
  3. 前記シール層が、押出ラミネート層であり、かつ前記層間剥離層との溶融共押出層である請求項2記載の包装材。
  4. 前記ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体が、さらにポリウレタン樹脂および架橋剤から選択される少なくとも一種の成分を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装材。
  5. 前記層間剥離層の厚さが20μm未満である請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装材。
  6. 基材の一表面上に、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであるアンカーコート剤を塗布し、乾燥させてアンカーコート剤層を形成した後、該アンカーコート剤層の表面上に、溶融共押出によりポリプロピレンの層間剥離層と、ポリエチレンのシール層とをその順で一度に積層させて形成することを特徴とする包装材の製造方法。
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