JP6988328B2 - 包装材 - Google Patents

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Description

本発明は、包装材に関する。より詳しくは、食品や医薬品等を包装した包装体を容易に開封することのできる包装材に関する。
チーズ、ハム、ソーセージ、かまぼこ、羊羹、ゼリー等の食品を充填包装するために、また、粉末等の医薬品を包装するために、プラスチックフィルムの包装材が用いられている。例えば、プロセスチーズを厚さ数mm程度、10cm四方程度の大きさに成形してシート状にしたスライスチーズは、プラスチックフィルムにより直接的かつ個別に包装されていて、その個別包装体の複数枚が重ねられてピロー形状等の包装袋に収容された形態で販売されている。
かかる食品の個別包装体をスライスチーズ包装材の例で説明する。従来のスライスチーズ包装材の一例は、基材の一方の側にシール層を備えた積層構造のプラスチックフィルムである。
スライスチーズ包装材を用いて、充填機でスライスチーズを連続的に包装する工程の一例を説明する。充填機の供給部に長尺なスライスチーズ包装材をセットし、長手方向に引き出して、所定のラインスピードで連続的に移動させながら当該スライスチーズ包装材の短手方向の両端部を引き寄せて重ね合わせ、重ね合わせた部分をセンターシールして円筒形にする。この円筒形の内部空間に、溶融したプロセスチーズを注入してから所定のチーズ厚さになるようにロールで押圧して扁平な形状とする。当該フィルムの長手方向の両端の開口部を挟圧し、その内面に位置するシール層同士を密着させて熱融着する(サイドシール)ことにより、プロセスチーズを包装内に封止する。封止後に水中を通過させて内容物のプロセスチーズを冷却固化させる。冷却固化後、エアとブラシとを用いて包装表面の水分を除去する。その後、所定のサイズにカットして個別包装体とし、複数個の個別包装体を積み重ねて外装袋に袋詰めされる。
包装表面の水分の除去工程は、その後に行われる複数個の個別包装体を積み重ねる工程で水分による不具合を回避し、また、外装袋への高速充填するためであるところ、包装工程の高効率化のために、包装表面の水分を、より短時間で確実に除去することが望まれている。
そのため、表面の撥水性に着目したチーズ用包装材に関し、フィルム基材の外面側にプロピレン系樹脂撥水剤が全面的に塗布され、フィルム基材の内面側にプロピレン−エチレン共重合体等からなるヒートシール層が設けられたものがある(特許文献1)。
特開平10−101174号公報
しかしながら、特許文献1に記載のチーズ包装体は、食品を個別包装体から取り出すときは容易に開封できること(以下、「易開封性」とも言う。)を確保するためにシール性を低くしていた包装材であって、チーズを当該チーズ包装体から取り出すときに、ヒートシール部が容易に剥離する程度の強度でシールされているので、チーズの密封性が低かった。また、チーズを巻き付けたフィルムの重ね合わせ部分は、シールされておらず、単に重ね合わせただけであったため、この点でもチーズの密封性が低かった。したがって、特許文献1に記載のチーズ包装体は、ガスバリア性を有する外装袋から取り出して開封した後は、チーズの乾燥や劣化の時間が早く、保存期間が長くはなかった。
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、保存性の高いシール性と、易開封性とを兼ね備えるとともに、更に、表面の撥水性を有して包装時の生産性に優れる包装材を提供することを目的とする。
本発明者らは、スライスチーズのような薄い食品や粉末等の医薬品等を個別に包装するのに適した包装材について鋭意研究を重ねた結果、基材層の一方の側に撥水コート層及びヒートシール層を、一つの面上で並列的に備え、基材層の他方の側にアンカーコート剤層と層間剥離層とシール層とを備え、この層間剥離層と基材層との間に、アンカーコート剤層を形成することにより、保存性の高いシール性と、易開封性とを兼ね備えるとともに、更に、表面の撥水性を有する包装材が得られることを見出し、そこから更に、撥水コート層がポリアミド樹脂とニトロセルロース樹脂とを含み、当該ポリアミド樹脂とニトロセルロース樹脂との配合比を所定範囲にすることにより、撥水性及び耐熱性に優れた撥水コート層が得られることを見出した。
上記の知見に基づく本発明の包装材は、基材層の一方の表面側に、アンカーコート剤層と、層間剥離層と、シール層と、を、この順に積層して備えるとともに、該基材層の他方の表面側に、撥水コート層及びヒートシール層を備え、前記撥水コート層及び前記ヒートシール層は、前記基材層の同一面上に、それぞれ部分的に形成されていて、上記撥水コート層がポリアミド樹脂とニトロセルロース樹脂とを含み、上記ポリアミド樹脂と上記ニトロセルロース樹脂との配合比が、質量%で60:20〜80:40であることを特徴とする。
本発明の包装材は、ヒートシール層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含むことが好ましく、上記アンカーコート剤層が、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンであることが好ましく、上記層間剥離層が、ポリプロピレンであることが好ましく、上記シール層が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのいずれか一種又は二種以上のポリエチレンであることが好ましい。
更に、本発明の包装材は、チーズ用の包装材として好適である。
本発明の包装材によれば、保存性の高いシール性と、易開封性とを兼ね備え、特に撥水性に優れた包装材が得られる。
本発明の包装材の一実施形態の模式的な断面図である。 図1の包装材を用いた包装体のシール部の模式的な断面図である。 図1の包装材を用いた包装体のシール部が分離した状態を示す模式的な断面図である。 本発明の包装材を用いた包装体の一例の平面図である。
以下、本発明の包装材の実施形態を、チーズを包装する例で図面を用いつつ具体的に説明する。
図1に、本発明の包装材の一実施形態の模式的な断面図を示す。図1において、包装材1は、多層フィルムよりなり、基材層2と、アンカーコート剤層3と、層間剥離層4と、シール層5とを、基材層2の一方の表面側に、この順に積層して備えている。図示した例では基材層2の表面2aに接してアンカーコート剤層3が形成されている。層間剥離層4を備えることにより、本実施形態の包装材1は、優れた易開封性を有している。また、シール層5を備え、サイドシールをするときの高いシール性に寄与する。
また、基材層の他方の表面側、言い換えると基材層2における、アンカーコート剤層3が接している面とは反対側の基材層2の表面側に、撥水コート層6及びヒートシール層7を備えている。図示した例では、基材層2の表面2bに接して、同一面上に撥水コート層6及びヒートシール層7がそれぞれ形成されている。より具体的には、基材層2の表面2bの所定の領域に、ヒートシール層7が部分的に形成されていて、基材層2の表面2bにおけるヒートシール層7が形成されている領域以外の領域に、撥水コート層6が形成されている。撥水コート層6を備えていることにより、本実施形態の包装材1は、優れた撥水性を有している。また、ヒートシール層7を備えていることにより、本実施形態の包装材1は、チーズを巻き付けたフィルムの重ね合わせ部分の高いシール性に寄与する。
なお、基材層2の表面2bにおいて、撥水コート層6及びヒートシール層7を形成するときの塗布精度等を考慮して、撥水コート層6とヒートシール層7との間に空隙がある構造を排除するものではない。また、撥水コート層6は、基材層2の表面2bにおいて包装体の外表面として撥水に寄与する領域以外の領域は、形成されなくてもよい。
図1に示した包装材1を用いた包装体のシール部、具体的にはサイドシール部の模式的な断面図を図2に示し、図3に、図2の包装体の開封時に当該シール部が分離した状態の模式的な断面図を示す。図2に示すシール部は、一枚の包装材1を折り返して一部分1aと他部分1bとを、シール層5同士を対向させた状態で重ね合わせ、熱を加えることより、同種のシール層5同士が熱融着することによりシールされる。同種のシール層5同士の熱融着によるシール強度は高く、これにより、スライスチーズの個別包装体に用いたときにサイドシール部は高いシール性を有する。また、シール層5として好適な例えばポリエチレンは、層間剥離層4としての例えばポリプロピレン層との密着性が、比較的低いことから、包装体の実用上十分なシール性を確保しつつ、図3に示すように層間剥離層4とシール層5との間で層間剥離させることができ、ひいては、包装材1を用いた包装体を容易に開封することができる。なお、図3では、包装材1の他部分1bの層間剥離層4とシール層5との間で層間剥離している例を示しているが、一部分1aの層間剥離層4とシール層5との間で層間剥離することもあり得る。
また、図2に示すように一枚の包装材1を折り返した一部分1a及び他部分1bの各シール層5を対向して重ね合わせた包装体の外表面は、部分的なヒートシール層7の領域を除いて撥水コート層6が形成されているので、優れた撥水性を有する。したがって、例えばスライスチーズの個別包装体の製造時の一工程で水中冷却した後の水分を、迅速かつ確実に除去することができる。また、ヒートシール層7は、チーズに包装材1を巻き付けて重ね合わせたときに、その重ね合わせ部分でシール層5と対向するので、ヒートシール層7とシール層5とを接触させて加熱することにより、両者を熱融着させてシールすることにより、センターシール部は高いシール性を有する。
以下、各層について具体的に説明する。
[基材層]
基材層2として、通常の包装材を構成する樹脂フィルムを適宜使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン、ポリブテン、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、低結晶性の飽和ポリエステルまたは非晶性のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、MXD6等からなるフィルムを使用することができる。
上掲した樹脂フィルムのなかでも、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも言う。)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル樹脂;ポリカプロンアミド(ナイロン6)、ポリへキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等は好ましい。特に、PETフィルムは、透明性が高く、寸法安定性、耐熱性に優れていること等から、基材層2に、より好ましい。上掲ポリエステル樹脂,ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂は,それらの混合物であってもよい。
基材層2は、樹脂フィルムを2層以上積層した多層フィルムであってもよい。多層フィルムである場合、各層は、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
これらの樹脂フィルムは無延伸フィルムでもよいが、透明性等の観点から好ましくは一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムが用いられる。フィルムの厚さは特に限定されないが、5〜500μm程度、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜100μmである。
基材層2は、さらに上記の樹脂フィルム層に、バリア層を積層させた積層構造でもよい。バリア層を積層させることで、内容物の重量減少や内容物の劣化を、効果的に抑制できる。バリア層を積層させたときは、基材層2のうちのバリア層側に撥水コート層6及びヒートシール層を設け、樹脂フィルム層側にアンカーコート剤層3、層間剥離層4及びシール層5を設けるような積層構造が好ましい。もっとも本発明の包装材は、基材層2のうちのバリア層側にアンカーコート剤層3、層間剥離層4及びシール層5を設け、樹脂フィルム層側に撥水コート層6及びヒートシール層を設ける積層構造としてもよい。
バリア層は、例えば、アルミニウム箔等からなる金属箔、無機物または無機酸化物の蒸着膜、樹脂フィルム上に該蒸着膜を有する蒸着フィルム、または、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、MXD6等のガスバリア性樹脂からなる層、あるいはこれらの組み合わせであってよい。
食品の視認性を確保するために、バリア層は透明であることが好ましく、無機酸化物の蒸着膜、または、プラスチックフィルム上に該蒸着膜を設けてなる無機酸化物蒸着フィルムが特に好適に使用される。蒸着膜を形成する無機酸化物としては、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する無機酸化物であればよく、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物であるが、特に、ガスバリア性、生産効率等の点から、酸化アルミニウム及び酸化珪素が好適に用いられる。
基材層2の表面は、接着性の向上のために、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の濡れ性を向上させる表面処理を施してもよい。かかる表面処理は、基材層2の表面のうち、アンカーコート剤層3が形成される面、及び撥水コート層6が形成される面のいずれにも施すことができ、両方の面に施すことが好ましい。また、前述したバリア層を基材層2が有する場合には、このバリア層の表面に表面処理をすることができる。
[アンカーコート剤層]
アンカーコート剤層3は、基材層2への接着性と、層間剥離層4の具体例としての押出ラミネートしたポリプロピレンに接着できる性質と、を備えた層である。アンカーコート剤層3は、好ましくはアンカーコート剤としてのポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層である。アンカーコート剤層3のアンカーコート剤は、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンである。
アンカーコート剤層3を備える本発明の包装材1の効果について説明する。
多層フィルムよりなる包装材に関して、ポリプロピレン層とポリエチレン層とを積層させると、そのポリプロピレン層とポリエチレン層間の接着強度が、同様の層間の接着強度よりも低くなる。この層間接着強度の低さを利用すれば、包装材の易開封性が得られると考えられる。しかしながら、ポリプロピレン層は、一般に包装材に用いられる基材層との密着性が悪く、従来公知のウレタン系アンカーコート剤を基材層の表面に形成していても、押出ラミネートされたポリプロピレン層と基材層とは、包装材に必要な層間接着強度が得られなかった。
ポリプロピレン層と基材層とを、接着剤で接合すること、いわゆるドライラミネーションは可能であるが、コスト高になるし、接着剤で接着するためには、ある程度のポリプロピレン層の厚さが必要であり、具体的には厚さ20μm以上が必要である。このような厚さのポリプロピレン層は、多層フィルムからなる包装材の曲げ等の包装加工に難点があった。
そのため、基材層に対してポリプロピレン層ではなく、ポリエチレン層を直接にまたはアンカーコート剤層を介して押出ラミネートし、ポリプロピレン層は、ポリエチレン層から見て基材層とは反対側の面に重ねて積層させ、最表層とした層構成を備える多層フィルムの包装材が考えられる。ポリエチレン層は、基材層との密着性が高いので、ポリエチレン層と基材層との間は、包装材に必要な層間接着強度が得られる。しかしながら、かかる層構成では、積層フィルムの最表層のヒートシール層がポリプロピレン層になり、その内層側にポリエチレン層が配置される。ポリプロピレン層をヒートシール層にした包装体は、ポリプロピレンの融点がポリエチレンよりも高いため、ヒートシール時の加熱条件によっては、内層側のポリエチレン層が先に溶融して層間剥離が難しい場合や、ポリプロピレン層同士で十分な接合強度が得難い場合が生じる。よって、包装体の製造時には、ヒートシール時の加熱温度、加熱時間の好適条件範囲が狭く、また、包装機械のラインスピードを上げることが難しかった。
これに対して、本発明の包装材は、ポリプロピレンと不飽和カルボン酸成分との共重合体を含む特定のアンカーコート剤を用いたアンカーコート剤層を備え、このアンカーコート剤層のポリプロピレン成分と、押出ラミネートされた層間剥離層のポリプロピレンとが相溶して、強固に密着させることができる。したがって、押出ラミネートされたポリプロピレン層と基材層とは、包装材に必要な層間接着強度が得られる。また、ドライラミネートでは困難であった層厚20μm未満のポリプロピレン層を、アンカーコート剤層を介して基材層に接着することにより、包装材の曲げ等の包装加工性を向上させることができる。最表層のシール層は、ポリエチレン層を用いることができるので、包装体の製造時には、ヒートシール時の加熱温度、加熱時間の好適条件範囲が広い。さらに、ポリプロピレン層と、最表層の例えばポリエチレン層との間で層間剥離させることができるので、加熱温度や加熱時間に依存することなく、安定した開封強度を得ることができ、易開封性に優れている。
ポリオレフィン成分のポリプロピレンは、ホモポリマーよりなるホモポリプロピレン、ランダムコポリマーからなるランダムポリプロピレン、ブロックコポリマーからなるブロックポリプロピレンに大別でき、基材層2と後述する層間剥離層4としての押出ラミネートポリプロピレンとの接着性の観点から、ホモポリプロピレンやランダムポリプロピレンが好ましい。
不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸または無水マレイン酸等が挙げられる。
アンカーコート剤層3のアンカーコート剤は、特開2015−163688号公報に記載された酸変性ポリプロピレン樹脂と水性媒体とを含有する水性分散体であって、酸変性ポリプロピレン樹脂のポリプロピレン成分が、アイソタクチック構造からなるホモポリプロピレンであるアンカーコート剤を用いることができる。また、アンカーコート剤層3のアンカーコート剤は、市販品としては、ユニチカ株式会社製のDA−1200を用いることができる。
アンカーコート剤としての上記水性分散体の水性媒体は、水であり、水以外にも水を主成分とする液体であってもよく、例えばアンモニア等の塩基性化合物や有機溶媒が含有されていてもよい。
上記アンカーコート剤には、目的に応じて性能をさらに向上させるために、他の樹脂や架橋剤等の添加剤を添加することができる。
アンカーコート剤に添加し得る、他の樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂が挙げられる。ポリウレタン樹脂を添加することによって、包装材を用いて内容物を保存した際に、折り目部分に生じ得るデラミネーションを抑制することができる。
ポリウレタン樹脂は、主鎖中にウレタン結合を含有する高分子を使用することができ、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られる高分子を使用することができる。
ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、特に限定されず、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の低分子量グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール類、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類等の高分子量ジオール類、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族または脂環族に属する公知のジイソシアネート類の1種または2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート、およびこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。また、ジイソシアネート類には、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の3官能以上のポリイソシアネート類を用いてもよい。
上述したポリウレタン樹脂等の他の樹脂の添加量は、水性分散体中のポリプロピレンと不飽和カルボン酸成分との共重合体100質量部に対し、1〜100質量部であることが好ましく、5〜60質量部であることがより好ましい。
アンカーコート剤に添加することができる架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、不飽和カルボン酸成分と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属等を用いることができる。
具体的には、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基含有化合物、メラミン化合物、尿素化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤、有機過酸化物等が挙げられ、必要に応じて複数のものを混合使用してもよい。中でも、取り扱い易さの観点から、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基含有化合物を添加することが好ましい。
オキサゾリン基含有化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のオキサゾリン基を有しているものであれば特に限定されない。例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド等のオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマー等が挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いのし易さからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーは、一般に2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させることにより得られる。オキサゾリン基含有ポリマーには、必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。オキサゾリン基含有ポリマーの重合方法としては、特に限定されず、公知の重合方法を採用することができる。
カルボジイミド基含有化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等のカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱い易さから、ポリカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。イソシアネート化合物も限定されるものではなく、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネートのいずれであっても構わない。イソシアネート化合物は、必要に応じて多官能液状ゴムやポリアルキレンジオール等が共重合されていてもよい。
オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤等の架橋剤の添加量は、水性分散体中のポリプロピレンと不飽和カルボン酸成分との共重合体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
[層間剥離層]
層間剥離層4の材料は、好ましくはポリプロピレンである。層間剥離層4をポリプロピレンとすることで、上述した特定のアンカーコート剤の下で、基材層2と強固に密着することができる。また、シール層5をポリエチレンとすることができ、優れたヒートシール性を維持しながら、層間剥離可能となる。
具体的にポリプロピレンは、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、酸変性ポリプロピレンのいずれでもよい。ポリプロピレンは、なかでも、押出ラミネート適性の観点からランダムポリプロピレンが好ましい。上記酸変性ポリプロピレンは、不飽和カルボン酸に変性されているものが好ましい。不飽和カルボン酸としては、たとえばマレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸が挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、たとえば無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル等が挙げられる。中でも得られる酸変性ポリプロピレンの基材への接着性が向上することから無水マレイン酸が好ましい。
層間剥離層4に用いられるポリプロピレンのメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)は、1〜100g/10minであることが好ましく、より好ましくは3〜50g/minであることが好ましい。
層間剥離層4の層厚は、1〜100μm程度とすることができる。層間剥離層4が1〜100μmの範囲であることにより、後述するシール層5との間で確実に層間剥離させることができる。層間剥離層4は、5μmもあれば十分な厚さであるが、本発明の包装材の用途に応じて適宜100μm程度までの厚さとすることができる。
層間剥離層4は、アンカーコート剤層3上に、押出ラミネートにより積層させた層、すなわち、押出ラミネート層であることが好ましい。押出ラミネートは、ベースとなるフィルムに、樹脂を溶融させフィルム状にして貼り合わせる方法である。押出ラミネートは、接着剤を用いて貼り合わせる方法に比べて、接着剤が不要であり、貼り合わせる層間剥離層の厚さを薄くすることができるので好ましい。例えば接着剤を用いて貼り合わせる、いわゆるドライラミネートでは貼り合わせることができない厚さ20μm未満の層間剥離層を形成させることができる。
なお、後述するように、層間剥離層4の押出ラミネートは、シール層5との溶融共押出により、基材層2のアンカーコート剤層3上に、層間剥離層4とシール層5とを一度の貼り合わせることができ、包装材1の生産性向上のために好ましい。
[シール層]
シール層5は、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂層である。一般に、ヒートシールに用いられる樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンを除く)をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他等の不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)、その他等の1種ないしそれ以上からなる樹脂を使用することができる。本発明においては、包装材1の易開封性のために、シール層5と層間剥離層4との層間剥離を利用していることから、層間剥離層4のポリプロピレンとの密着性が、本発明の包装材の積層構造における他の層間の密着性よりも低いことが必要であり、また、ヒートシールのためには層間剥離層4のポリプロピレンよりも融点が低い材料であることが必要である。また、シール層5は、べたつきがないことも求められる。そのため、本発明の包装材1のシール層5は、上掲したヒートシールに用いられる樹脂のうち、ポリエチレンが好ましく、具体的には低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの一種又は二種以上のポリエチレンが挙げられる。より好ましくは低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンである。
シール層5の厚さは、特に限定はないが1〜100μm程度とすることが好ましい。好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下である。
シール層5は、アンカーコート剤層3上に、押出ラミネートにより積層させた層、すなわち、押出ラミネート層であることが好ましい。押出ラミネートは、接着剤を用いて貼り合わせる方法に比べて、接着剤が不要であり、貼り合わせるシール層の厚さを薄くすることができる。例えば接着剤を用いて貼り合わせる、いわゆるドライラミネートでは貼り合わせることができない厚さ20μm未満のシール層を形成させることができる。
シール層5は、押出ラミネートに際し層間剥離層4との溶融共押出により積層させた層、すなわち、溶融共押出層であることが好ましい。溶融共押出により、基材層2のアンカーコート剤層3上に、層間剥離層4とシール層5とを一度に貼り合わせることができ、包装材1を生産性よく製造することができる。
[撥水コート層]
撥水コート層6は、ポリアミド樹脂と、ニトロセルロース樹脂とを含み、上記ポリアミド樹脂と上記ニトロセルロース樹脂との配合比が質量割合で、60:20〜80:40であることが好ましい。
本発明の包装材1を用いた包装体に、溶融チーズを充填するときの温度は、約80℃である。したがって、撥水コート層6は、撥水性を有することの他に、溶融チーズの充填時の耐熱性を有することが好ましい。ここに、ポリアミド樹脂は、撥水コート層6の撥水性を向上させる。また、ニトロセルロース樹脂は、撥水コート層6の耐熱性を向上させるとともに、撥水コート層6の密着性を向上させる。したがって、撥水コート層6は、ポリアミド樹脂と、ニトロセルロース樹脂とを含むことにより、良好な密着性の下で優れた撥水性と、優れた耐熱性とを兼ね備えている。
撥水コート層6が、ポリアミド樹脂と、ニトロセルロース樹脂とからなる場合、ポリアミド樹脂が60〜80質量%であり、セルロース系樹脂が20〜40質量%である配合割合が好適である。ポリアミド樹脂が80%以下であると撥水性が向上するが、80%を超えると耐熱性が低下し、後加工が困難となる。ポリアミド樹脂が60%以上で耐熱性が向上するが、60質量%を超えると撥水性が不足となる。つまり、セルロース系樹脂は添加しすぎると撥水性が低下するが、耐熱性は向上する。添加が少ないと撥水性は向上するが、耐熱性が劣る。
撥水コート層6は、ポリアミド樹脂と、ニトロセルロース樹脂とを主成分とし、この主成分に加えて、副成分としてアクリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、主成分に含まれるポリアミド樹脂とはとは異なる種類のポリアミド樹脂、主成分に含まれるニトロセルロース樹脂とは異なる種類のセルロース系樹脂、から選ばれる樹脂の1種又は2種以上をブレンドしてなる層とすることができる。この場合の主成分のポリアミド樹脂とニトロセルロース樹脂との配合比(質量%)が、60:20〜80:40であることが好ましい。また、主成分の合計は撥水コート層6の50質量%以上を含むことが好ましい。
また、撥水コート層6は、上記したポリアミド樹脂及びニトロセルロース樹脂を含み、必要に応じてアクリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、主成分とは異なる種類のポリアミド樹脂、主成分とは異なる種類のセルロース系樹脂から選ばれる樹脂の1種を単独で、又は2種以上をブレンドしてものに、更に、ポリエチレンテトラフルオロエチレン粒子を添加してなるものとすることができる。
ポリエチレンテトラフルオロエチレン粒子は、体積平均粒径が2〜5μmであることが好ましい。体積平均粒径が2μmに満たないと、撥水性向上効果が十分に得られず、5μmを超えると、撥水コート層6の塗布性が低下する。ポリエチレンテトラフルオロエチレン粒子の添加量は、樹脂100質量部に対して、2〜30質量部が好ましい。2質量部より少ないと、撥水性の向上効果が十分に得られず、30質量部より多いと撥水コート層6の塗布性が低下する。
[ヒートシール層]
ヒートシール層7は、コーティングする基材層2への密着性に優れ、かつ印刷後巻き上げた際にブロッキングものが好ましい。具体的に、ヒートシール層7のヒートシール剤として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含有量は、20〜40質量%であることが好ましい。20質量%未満では低温安定性が劣り、40質量%を超えるとヒートシール強度が低下する。
ヒートシール層7に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、不飽和カルボン酸、及び/又はその誘導体で変性されていても良い。不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸が挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル等が挙げられる。なかでも,得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の耐熱性が向上することから、無水マレイン酸が好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体中の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の量は、耐熱性が向上することから0.01〜2.0質量%が好ましい。
また、ヒートシール層7のヒートシール剤はブロッキングを防止するため、ポリアミド樹脂を含んでいることが好ましい。ポリアミド樹脂は、アミンと酸とを重縮合して得ることができる熱可塑性ポリアミドであり、アミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン等を用いることができ、酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、無水トリメリット酸、ダイマー酸等をもちいることができ、更に、アミンと酸とを両方有するものとして、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等があり、これらを組み合わせたポリアミド樹脂を用いることができる。
[包装材の製造方法]
次に、本発明の包装材の製造方法について説明する。本発明の包装体の製造方法の一例は、基材の一表面上に、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、プロピレンであるアンカーコート剤を塗布し、乾燥させてアンカーコート剤層を形成した後、該アンカーコート剤層の表面上に、溶融共押出により層間剥離層と、シール層とをその順で一度に積層させて形成する。また、基材の他の表面上に、撥水コート剤と、ヒートシール剤とを塗り分けて塗布し、それぞれ撥水コート層、ヒートシール層を形成する。
アンカーコート剤層として、既に説明したアンカーコート剤を塗布する方法は、公知の塗布方法を行うことができる。塗布後、乾燥処理により水性媒体を蒸発させてアンカーコート剤層を得る。乾燥条件は特に限定されないが、加熱温度40〜200℃、加熱時間1〜600秒の範囲として、適宜選択すればよい。
アンカーコート剤の塗布量は、塗布面に対するアンカーコート剤の乾燥質量で0.001〜5g/mであることが好ましい。アンカーコート剤の量が0.001〜5g/mの範囲で十分な接着性が経済的に得られる。
層間剥離層は、押出ラミネートによりアンカーコート剤層上に形成することができる。また、シール層は、押出ラミネートにより層間剥離層上に形成することができる。特に、層間剥離層とシール層とを、溶融共押出により、アンカーコート剤層上に同時に形成することが好ましい。これにより、本発明の包装材を生産性高く製造することができ、また、層間剥離層とシール層を、ドライラミネートで密着させる方法よりも層厚を薄くすることができる。層間剥離層とシール層の層厚が薄いことは、包装材に内容物を封入して包装体を製造する時の曲げ加工性を向上させることができる。
撥水コート層は、上記樹脂を含むニス又はそのニスにポリエチレンテトラフルオロエチレン粒子を添加したものを、グラビア印刷やシルクスクリーン印刷等の適切な塗布法により基材層表面に塗布することにより形成することができる。塗布前に基材層表面を、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の表面処理を施すことが好ましい。
ヒートシール層は、上記ヒートシール剤を含むニスを、グラビア印刷やシルクスクリーン印刷等の適切な塗布法により基材層表面に塗布することにより形成することができる。塗布前に基材層表面を、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の表面処理を施すことが好ましい。
ヒートシール層は、基材層の表面上に、包装体においてヒートシールされる領域に部分的に形成される。このような部分的な形成は、上述したグラビア印刷やシルクスクリーン印刷等の適切な塗布法により行うことができる。基材層の表面上でヒートシール層以外の領域は上述した撥水コート層が形成される。このような基材層の表面上におけるヒートシール層と撥水コート層との塗り分けも、上述したグラビア印刷やシルクスクリーン印刷等の適切な塗布法により行うことができる。
[包装体]
本発明の包装材は、ヒートシールで封止され、易開封性が求められ、包装工程で水中に浸漬される用途に用いることができ、内容物は、特に問わない。例えば、スライスチーズや海苔等の、厚さが薄い食品の包装に用いて好適である。図4に、内容物としてスライスチーズを本発明の包装材で包装した包装体10の一例の平面図を示す。図に示す包装体10は、包装材1が四角形平面のスライスチーズ11の裏面を覆い、スライスチーズ11の対向する二辺で折り返されてスライスチーズ11の表面で重なり合うように巻かれ、包装材1の一方の端部10aおよびそれに対向する他方の端部10bとの間の重なり代Lの間で、ヒートシール層7とシール層5とを接触させ熱融着することによりセンターシールされている。図4に、センターシールされたセンターシール部10cを図示している。また、スライスチーズ11の別の対向する二辺の端部において、重ね合わされた二枚の包装材1のシール層5同士が、ヒートシールされている。図4に、サイドシール部10dを図示している。本発明の包装材1は、シール層5がポリエチレンであるため、サイドシール部11bのシールを高速かつ安定して行うことができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
基材層として両面がコロナ処理された厚さ12μmのPETフィルム(E−5200 東洋紡株式会社製)の片面に、ポリアミド樹脂60質量%とニトロセルロース樹脂40質量%からなる撥水剤をコートして撥水コート層(MFGチーズワニス3 東洋インキ株式会社)を部分的に形成し、同一面上の撥水コート層が形成されていない領域にエチレン−酢酸ビニル共重合体系のヒートシール剤(セイカダインSC−D(NT)、大日精化工業株式会社)を厚さ1μmでコートしてヒートシール層を形成した。次いで、基材層表面のうち撥水コート層及びヒートシール層が形成された面とは反対の面にポリオレフィン系アンカーコート剤(DA−1010J2、ユニチカ株式会社製)をコートし、100℃で乾燥してアンカーコート剤層を形成した。このアンカーコート剤層の表面上に層間剥離層としてのポリプロピレン(F329RA、プライムポリマー株式会社製)厚さ8μmと、シール層としての直鎖状低密度ポリエチレン(KC570S、日本ポリエチレン株式会社)厚さ4μmとを、290℃で溶融共押出して実施例1の積層体を得た。
[実施例2]
実施例2は、実施例1とは撥水コート層の組成が異なる例である。
基材層として両面がコロナ処理された厚さ12μmのPETフィルム(E−5200 東洋紡株式会社製)の片面に、ポリアミド樹脂80質量%とニトロセルロース樹脂20質量%からなる撥水剤をコートして撥水コート層を部分的に形成し、同一面上の撥水コート層が形成されていない領域にエチレン−酢酸ビニル共重合体系のヒートシール剤(セイカダインSC−D(NT)、大日精化工業株式会社)を厚さ1μmでコートしてヒートシール層を形成した。次いで、基材層表面のうち撥水コート層及びヒートシール層が形成された面とは反対の面にポリオレフィン系アンカーコート剤(DA−1010J2、ユニチカ株式会社製)をコートし、100℃で乾燥してアンカーコート剤層を形成した。このアンカーコート剤層の表面上に層間剥離層としてのポリプロピレン(F329RA、プライムポリマー株式会社製)厚さ8μmと、シール層としての直鎖状低密度ポリエチレン(KC570S、日本ポリエチレン株式会社)厚さ4μmとを、290℃で溶融共押出して実施例2の積層体を得た。
[比較例1]
比較例1は、実施例1とは撥水コート層の組成が異なる例である。 基材層として両面がコロナ処理された厚さ12μmのPETフィルム(E−5200 東洋紡株式会社製)の片面に、ポリアミド樹脂50質量%とニトロセルロース樹脂50質量%からなる撥水剤をコートして撥水コート層(MFGチーズワニス2 東洋インキ株式会社)を部分的に形成し、同一面上の撥水コート層が形成されていない領域にエチレン−酢酸ビニル共重合体系のヒートシール剤(セイカダインSC−D(NT)、大日精化工業株式会社)を厚さ1μmでコートしてヒートシール層を形成した。次いで、基材層表面のうち撥水コート層及びヒートシール層が形成された面とは反対の面にポリオレフィン系アンカーコート剤(DA−1010J2、ユニチカ株式会社製)をコートし、100℃で乾燥してアンカーコート剤層を形成した。このアンカーコート剤層の表面上に層間剥離層としてのポリプロピレン(F329RA、プライムポリマー株式会社製)厚さ8μmと、シール層としての直鎖状低密度ポリエチレン(KC570S、日本ポリエチレン株式会社)厚さ4μmとを、290℃で溶融共押出して比較例1の積層体を得た。
[比較例2]
比較例2は、実施例1とは撥水コート層の組成が異なる例である。
基材層として両面がコロナ処理された厚さ12μmのPETフィルム(E−5200 東洋紡株式会社製)の片面に、ポリアミド樹脂90質量%とニトロセルロース樹脂10質量%からなる撥水剤をコートして撥水コート層を部分的に形成し、同一面上の撥水コート層が形成されていない領域にエチレン−酢酸ビニル共重合体系のヒートシール剤(セイカダインSC−D(NT)、大日精化工業株式会社)を厚さ1μmでコートしてヒートシール層を形成した。次いで、基材層表面のうち撥水コート層及びヒートシール層が形成された面とは反対の面にポリオレフィン系アンカーコート剤(DA−1010J2、ユニチカ株式会社製)をコートし、100℃で乾燥してアンカーコート剤層を形成した。このアンカーコート剤層の表面上に層間剥離層としてのポリプロピレン(F329RA、プライムポリマー株式会社製)厚さ8μmと、シール層としての直鎖状低密度ポリエチレン(KC570S、日本ポリエチレン株式会社)厚さ4μmとを、290℃で溶融共押出して比較例2の積層体を得た。
[比較例3]
比較例3は、撥水コート層を有しない例である。
基材層として両面がコロナ処理された厚さ12μmのPETフィルム(E−5200 東洋紡株式会社製)の片面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体系のヒートシール剤(セイカダインSC−D(NT)、大日精化工業株式会社)を厚さ1μmでコートしてヒートシール層を形成した。次いで、基材層表面のうち撥水コート層及びヒートシール層が形成された面とは反対の面にポリオレフィン系アンカーコート剤(DA−1010J2、ユニチカ株式会社製)をコートし、100℃で乾燥してアンカーコート剤層を形成した。このアンカーコート剤層の表面上に層間剥離層としてのポリプロピレン(F329RA、プライムポリマー株式会社製)厚さ8μmと、シール層としての直鎖状低密度ポリエチレン(KC570S、日本ポリエチレン株式会社)厚さ4μmとを、290℃で溶融共押出して比較例3の積層体を得た。
<撥水性評価>
包装充填後の各包装体の撥水性について、二種の試験法により評価した。まず、JIS R 3257号に準拠して接触角法で測定した。次に、JIS P8147の摩擦角測定機に0.1mlの水滴を垂らし、傾斜をかけた際に水滴が滑り落ちる角度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006988328
表1から実施例1、比較例1及び比較例2では、接触角では違いが見られなかったが、傾斜法では撥水性の違いが見られ、配合が5:5である比較例1は撥水性が劣ることがわかった。比較例2は、実施例1、2と同等の撥水性が得られたが、比較例3では撥水コート層を有していないため、傾斜法では測定困難だった。
<充填試験>
包装充填機(natec社製FP2000)を用いて、実施例1〜2、および比較例1〜3の積層体の包装材に、80℃で溶かしたチーズ充填した包装体を作製し、各包装体を積み重ねた。包装体の作製の際は、装置のシールバーの回転数を400rpmおよび1000rpmの2条件でサイドシールを行った。回転数が高いほど包装体の生産速度が高いことを意味する。サイドシールのシール温度は150℃で実施した。
充填試験後の撥水性を、積み重ね時のスタック性で評価した。より具体的に、溶融チーズを充填した包装体を水中に浸漬して冷却固化した後、水中から引き上げて包装体表面の水分をエアブローおよびブラシで除去した後に包装体表面に水分が残存せず、スタック性が良好なものを撥水性が良好と判定した。スタック性が不良だったものを撥水性が不良と判定した。その結果を表2に示す。
Figure 0006988328
表2から、実施例1、2はスタック不良が生じず、良好な撥水性を示した。これに対して、比較例1は、低速で操業したときはスタック不良が生じなかったが、高速で操業したときには撥水不良によりスタック不良が生じた。この結果は、表1に示した撥水性の評価で、接触角による評価は適切でなく、傾斜法による評価が適切であったことが裏付けられた。比較例2は、撥水コート層の耐熱性が劣っていたため、シールバーでの加熱時に撥水コート層が包装体から分離してシールバーに付着したため、撥水不良となった。比較例3は、撥水コート層を有していないため、スタックできなかった。
<易開封性試験>
チーズを充填、固化させた包装体からチーズを取り出した時のサイドシール部の開封したところ、実施例1〜2、比較例1〜3のいずれも容易に開封することができた。また、各封後のサイドシール部を観察したところ、いずれも層間剥離していたことが確認できた。
以上、実施の形態および実施例を用いて本発明の包装材を具体的に説明したが、本発明の包装材は、これらの実施形態および実施例の記載に限定されることなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で幾多の変形が可能である。例えば、本発明の包装材はチーズ用に限られず、チーズ以外の食品、更には食品以外の、医薬品の粉末等の包装体に用いることもできる。
1 包装材
2 基材層
3 アンカーコート剤層
4 層間剥離層
5 シール層
6 撥水コート層
7 ヒートシール層

Claims (6)

  1. 基材層の一方の表面側に、アンカーコート剤層と、層間剥離層と、シール層と、を、この順に積層して備えるとともに、該基材層の他方の表面側に、撥水コート層及びヒートシール層を備え、
    前記撥水コート層及び前記ヒートシール層は、前記基材層の同一面上に、それぞれ部分的に形成されていて、
    前記撥水コート層がポリアミド樹脂とニトロセルロース樹脂とを含み、前記ポリアミド樹脂と前記ニトロセルロース樹脂との配合比が、質量%で60:20〜80:40であることを特徴とする包装材。
  2. 前記ヒートシール層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む請求項1記載の包装材。
  3. 前記アンカーコート剤層が、ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体の塗布層であって、該ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分との共重合体であり、かつ、該ポリオレフィン成分が、ポリプロピレンである請求項1又は2記載の包装材。
  4. 前記層間剥離層が、ポリプロピレンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装材。
  5. 前記シール層が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの一種又は二種以上のポリエチレンである請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装材
  6. チーズ用の包装材である請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装材。
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