JP2016221811A - 電熱線層を含む有機ガラス積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐摩耗性及び耐候性を備えつつ、電熱線層の発熱による接着層の白化が抑制され、十分な視界を確保できる有機ガラス積層体の提供。
【解決手段】有機ガラス基体1、第1接着層2、部分的に設けられた電熱線層3、及びハードコート層4が順に積層された有機ガラス積層体において、ハードコート層4を、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物で形成し、且つ接着層2のガラス転移点を80〜250℃に設定することによって、優れた耐摩耗性及び耐候性を備えつつ、電熱線層の発熱による接着層の白化を効果的に抑制でき、十分な視界の確保が可能になる有機ガラス積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、電熱線層を含む有機ガラス積層体に関する。より具体的には、本発明は、電熱線層を含む有機ガラス積層体であって、優れた耐摩耗性及び耐候性を備えつつ、電熱線層の発熱による接着層の白化が抑制され、十分な視界を確保できる有機ガラス積層体に関する。更に、本発明は、当該有機ガラス積層体を製造するために使用される有機ガラス積層用シート、及び当該有機ガラス積層用シートを使用した有機ガラス積層体の製造方法に関する。
従来、有機ガラスの樹脂材料として、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、ABS等が知られている。中でも、ポリカーボネートは、優れた透明性、機械強度、加工性、軽量性、耐熱性の特性を備えており、樹脂ガラスとして、車両や建築物の窓等への使用が試みられている。一方、有機ガラスは、熱伝導性が低く、有機ガラスで形成された窓に結露や曇りが生じた場合には、車両や建築物が自然に発する熱では除去することが困難であり、視野が妨げられるという欠点がある。
そこで、従来、有機ガラスに電熱線層を配し、当該電熱線層に電流を流して発熱させることにより結露や曇りを除去できる有機ガラスが開発されている。例えば、特許文献1には、電熱線として機能する透明導電層を透明樹脂基板上に形成し、その上にプライマー層とハードコート層を順に設けた車両用樹脂ガラスが開示されている。
また、特許文献1では、前記車両用樹脂ガラスにおいて、透明導電層を透明樹脂基板上に直接形成させる態様と、接着層を介して透明導電層を透明樹脂基板上に形成する態様が開示されている。しかしながら、透明導電層を透明樹脂基板上に直接形成させる態様では、剛性が高く取扱いが比較的困難な透明樹脂基板に対して、透明導電層、プライマー層、及びハードコート層を順次積層させることが必要となり、製造簡便性という点では欠点がある。一方、接着層を介して透明導電層を透明樹脂基板上に形成する態様では、剛性が低く取り扱いが容易なフィルムを用いて、透明導電層、プライマー層、及びハードコート層を形成した後に、これらの層を一括して、接着層を介して透明樹脂基板と接着させるため、製造が簡便に行い得るという利点がある。しかしながら、このように透明導電層と透明樹脂基板との間に接着層を介在させる場合には、透明導電層の発熱によって接着層が悪影響を受けないように設計することが求められるが、引用文献1では、かかる視点に基づく接着層の設計指針については一切示されていない。
更に、特許文献1では、電熱線として機能する透明導電層を、金属微粒子及びバインダー樹脂を含む金属ペーストを使用して形成しているが、金属ペーストを使用した場合には、抵抗が高くなるという欠点がある。そのため、特許文献1の技術において、十分な発熱効率を達成するには、透明導電層の線幅や層厚の増大、開口率の低下が必要となる。しかしながら、透明導電層の線幅の増大や開口率の低下は視界の低下をきたし、更に透明導電層の膜厚の増大は他の層との積層を困難にするという欠点がある。そのため、特許文献1の技術では、優れた視界の確保と発熱効率の両立を図ることができないという欠点もある。
特開2014−218103号公報
本発明者は、有機ガラス積層体の性能の検証をすべく種々検討したところ、有機ガラス基体、接着層、電熱線層、及びハードコート層が順に積層された従来の有機ガラス積層体では、通電によって電熱線層を発熱させると、接着層が白化し易く、外観性状が損なわれ易いという欠点を見出した。このような接着層の白化は、視界の低下をきたすため、車両用の窓等として使用すると、十分な安全性を確保できなくなる。
そこで、本発明の目的は、有機ガラス基体、接着層、電熱線層、及びハードコート層が順に積層された積層構造を有する有機ガラス積層体であって、優れた耐摩耗性及び耐候性を備えつつ、電熱線層の発熱による接着層の白化が抑制され、十分な視界を確保できる有機ガラス積層体を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、有機ガラス基体、第1接着層、部分的に設けられた電熱線層、及びハードコート層が順に積層された有機ガラス積層体において、当該ハードコート層を、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物で形成し、且つ当該接着層のガラス転移点を80〜250℃に設定することによって、優れた耐摩耗性及び耐候性を備えつつ、電熱線層の発熱による接着層の白化を効果的に抑制でき、十分な視界の確保が可能になることを見出した。更に、前記電熱線層として金属箔を使用することによって、通電時の抵抗を大幅に低減できるので、電熱線層の線幅を10μm以下、且つ開口率を80%以上に設定しても、十分な発熱効率が得られることをも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 有機ガラス基体、第1接着層、部分的に設けられた電熱線層、及びハードコート層がこの順に積層されてなり、
前記ハードコート層が、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物で形成されており、且つ
前記第1接着層のガラス転移点が80〜250℃である、
ことを特徴とする、有機ガラス積層体。
項2. 前記電熱線層が、金属箔で形成されている、項1に記載の有機ガラス積層体。
項3. 前記電熱線層の線幅が3〜100μmである、項1又は2に記載の有機ガラス積層体。
項4. 前記電熱線層の開口率が70%以上である、項1〜3のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
項5. 前記ハードコート層の形成に使用される硬化性樹脂が、電離放射線硬化性樹脂である、項1〜4のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
項6. 前記電熱線層と前記ハードコート層の間にプライマー層を有する、項1〜5のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
項7. 前記電熱線層及び前記ハードコート層の間に、樹脂フィルム層を有する、項1〜6のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
項8. 前記電熱線層及び前記ハードコート層の間に、第2接着層を有する、項1〜7のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
項9. 前記有機ガラス基体からハードコート層の間に、部分的に形成された着色層を有する、項1〜8のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
項10. 項1〜9のいずれかに記載の有機ガラス積層体を製造するために使用される有機ガラス積層用シートであって、
基材フィルム上に少なくとも第1接着層、部分的に設けられた電熱線層、及びハードコート層が積層されており、
前記ハードコート層が、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物で形成されており、且つ
前記第1接着層のガラス転移点が80〜250℃である、
有機ガラス積層用シート。
項11. 前記基材フィルムが樹脂フィルム層であり、
前記基材フィルムの一方の面に、基材フィルム側から少なくとも前記電熱線層及び前記第1接着層がこの順で積層され、且つ他方の面に少なくとも前記ハードコート層が積層されており、
有機ガラス基体上に有機ガラス積層用シート自体を積層させて使用される、項10に記載の有機ガラス積層用シート。
項12. 前記基材フィルムが樹脂フィルム層であり、
少なくとも前記基材フィルム、前記第1接着層、前記電熱線層、及び前記ハードコート層がこの順に積層されており、
有機ガラス基体上に有機ガラス積層用シート自体を積層させて使用される、項10に記載の有機ガラス積層用シート。
項13. 前記基材フィルムが前記ハードコート層と離型可能な離型用フィルム層であり、
前記離型用フィルム層上に、少なくとも前記ハードコート層、前記電熱線層、及び前記第1接着層がこの順に積層されており、
有機ガラス基体上に、前記第1接着層、前記電熱線層、前及び前記ハードコート層を転写するために使用される、項10に記載の有機ガラス積層用シート。
項14. 項10〜13のいずれかに記載の有機ガラス積層用シートを用いて、有機ガラス基体上に、少なくとも第1接着層、電熱線層、及びハードコート層を積層させる積層工程を含む、有機ガラス積層体の製造方法。
項15. 前記積層工程において、項10〜13のいずれかに記載の有機ガラス積層用シートに対して、有機ガラス樹脂を射出させる、項14に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項16. 前記積層工程において、予め成形された有機ガラス基体に、項10〜13のいずれかに記載の有機ガラス積層用シートを圧着させる、項14に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
本発明の有機ガラス積層体は、有機ガラス基体と電熱線層との間に介在させる第1接着層が所定のガラス転移点を満たすことによって、電熱線層の発熱による第1接着層の白化を効果的に抑制でき、十分な視界を確保することが可能になる。
また、本発明の有機ガラス積層体において、電熱線層として金属箔を使用すると、線幅10μm以下且つ開口率80%以上の電熱線層であっても、高い発熱効率が認められるので、優れた視界と高い発熱効率を両立させることも可能になる。
更に、本発明の有機ガラス積層体は、紫外線吸収剤を含むハードコート層で表面が覆われているので、優れた耐候性や耐摩耗性を備えることもできる。
本発明の有機ガラス積層体の断面構造を示す図である。 本発明の有機ガラス積層体において、電熱線層3と第1接着層2の配置関係を示す概略図である。 本発明の有機ガラス積層体の断面構造を示す図である。 本発明の有機ガラス積層体の断面構造を示す図である。 本発明の有機ガラス積層体の断面構造を示す図である。 本発明の有機ガラス積層体の断面構造を示す図である。 本発明の有機ガラス積層体の断面構造を示す図である。 転写法に使用される有機ガラス積層用シートの断面構造の一例を示す図である。 転写法に使用される有機ガラス積層用シートの断面構造の一例を示す図である。 ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シートの断面構造の一例を示す図である。
1.有機ガラス積層体
本発明の有機ガラス積層体は、有機ガラス基体、第1接着層、部分的に設けられた電熱線層、及びハードコート層がこの順に積層されてなり、当該ハードコート層が、硬化性樹脂及び紫外線吸収剤を含む樹脂組成物の硬化物で形成されており、且つ当該第1接着層のガラス転移点が80〜250℃であることを特徴とする。以下、本発明の有機ガラス積層体について詳述する。
積層構造
本発明の有機ガラス積層体は、図1に示すように、少なくとも、有機ガラス基体1、第1接着層2、部分的に設けられた電熱線層3、及びハードコート層4をこの順に有する積層構造を有する。
本発明の有機ガラス積層体において、前記電熱線層3は、図2に示すように、ハードコート層4側の表面以外(即ち、側面と第1接着層2側の表面)が、第1接着層2に埋設した状態で設けられる。
また、本発明の有機ガラス積層体には、前記電熱線層3と、ハードコート層4との間には、必要に応じて、プライマー層5が設けられていてもよい。プライマー層5は、ハードコート層4の接着性を向上させる役割を果たす。本発明の有機ガラス積層体において、プライマー層5が設けられている態様の断面の模式図を図3に示す。
また、本発明の有機ガラス積層体には、前記電熱線層3と前記ハードコート層4との間には、必要に応じて、樹脂フィルム層6が設けられていてもよい。樹脂フィルム層6は、電熱線層3を支持する基材としての役割を果たす。前記プライマー層5を設ける場合には、樹脂フィルム層6は、前記電熱線層3と前記プライマー層5との間に設ければよい。本発明の有機ガラス積層体において、プライマー層5と樹脂フィルム層6が設けられている態様の断面の模式図を図4に示す。
更に、本発明の有機ガラス積層体には、電熱線層3とハードコート層4との接着性を高めるために、これらの層の間には、必要に応じて、第2接着層7が設けられていてもよい。前記プライマー層5を設ける場合には、第2接着層7は、前記電熱線層3と前記プライマー層5との間に設ければよい。本発明の有機ガラス積層体において、プライマー層5と第2接着層7が設けられている態様の断面の模式図を図5に示す。
また、本発明の有機ガラス積層体において、有機ガラス基体1からハードコート層4の間の任意の箇所に、本発明の有機ガラス積層体を固定する際の接着剤塗布部の隠蔽、情報表示、意匠性の付与等を目的として、部分的に形成された着色層8が設けられていてもよい。着色層8は、例えば、有機ガラス基体1と第1接着層2との間、第1接着層2と電熱線層3との間、及び/又は電熱線層3とハードコート層4との間に設けられる。また、本発明の有機ガラス積層体においてプライマー層5を設ける場合には、着色層8は、例えば、有機ガラス基体1と第1接着層2との間、第1接着層2と電熱線層3との間、電熱線層3とプライマー層5との間、及び/又はプライマー層5とハードコート層4との間に設けられる。また、本発明の有機ガラス積層体においてプライマー層5と樹脂フィルム層6を設ける場合には、着色層8は、例えば、有機ガラス基体1と第1接着層2との間、第1接着層2と電熱線層3との間、電熱線層3と樹脂フィルム層6との間、樹脂フィルム層6とプライマー層5との間、及び/又はプライマー層5とハードコート層4との間に設けられる。また、本発明の有機ガラス積層体においてプライマー層5と第2接着層7を設ける場合には、着色層8は、例えば、有機ガラス基体1と第1接着層2との間、第1接着層2と電熱線層3との間、電熱線層3と第2接着層7との間、樹脂フィルム層6とプライマー層5との間、及び/又はプライマー層5とハードコート層4との間に設けられる。本発明の有機ガラス積層体において、プライマー層5と樹脂フィルム層6と着色層8が設けられている態様の断面の模式図を図6に示し、プライマー層5と第2接着層7と着色層8が設けられている態様の断面の模式図を図7に示す。
有機ガラス積層体を構成する各層の組成等
以下に、本発明の有機ガラス積層体を構成する各層の組成、物性、厚さ等について説明する。
[有機ガラス基体1]
本発明の有機ガラス積層体において、有機ガラス基体1に使用される有機ガラスの種類については、透明で強度があり、現状のガラス代替として使用可能なものである限り、特に制限されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、ABS等が挙げられる。これらの有機ガラスの中でも、ポリカーボネートは耐衝撃性や透明性、耐熱性に優れており、好適に使用される。
有機ガラス基体1としてポリカーボネートを使用する場合、そのメルトボリュームレート(MVR)については、特に制限されないが、6〜25cm3/10分程度、好ましくは6〜12cm3/10分程度が挙げられる。メルトボリュームレートが低い程、優れた耐衝撃性を発揮するため、本発明の有機ガラス積層体の用途に応じて、適切なメルトボリュームレートを備えるポリカーボネート樹脂を選定すればよい。なお、当該メルトボリュームレートは、JIS K 7210−1999に準拠し、温度300℃、荷重1.2kgfの条件にて測定される値である。
また、本発明の有機ガラス積層体において、有機ガラス基体1は、同一又は異なる種類の有機ガラスが複数積層されていてもよい。有機ガラスが複数積層されている有機ガラス基体1の一態様として、ポリカーボネート基体と他の有機ガラスからなる基体が積層されている構造が挙げられる。例えば、ハードコート層4側から、ポリカーボネート基体及びポリメチルメタクリレート基体を順に積層させた有機ガラス基体1、或いはハードコート層4側から、ポリメチルメタクリレート基体、ポリカーボネート基体及びポリメチルメタクリレート基体を順に積層させた有機ガラス基体1を使用することによって、ポリカーボネート基体による耐衝撃性と、ポリメチルメタクリレート基体による高硬度を併せ持つことが可能になる。
また、有機ガラス基体1が複数の積層構造をとる場合、物性、化学組成、添加剤量等の組成の異なる2以上のポリカーボネート基体が積層されていてもよい。例えば、ハードコート層4側から、分子量が高く硬いポリカーボネート基体及び分子量が低く柔らかいポリカーボネート基体を順に積層させた有機ガラス基体1を使用することによって、ポリカーボネート基体による耐衝撃性に加えて、耐候性をより高く併せ持つことが可能になる。或いは、ハードコート層4側から、第1のポリカーボネート基体、第2のポリカーボネート基体、第3のポリカーボネート基体からなる3層構造の有機ガラス基体1の場合であれば、第1のポリカーボネート基体と第2のポリカーボネート基体に含まれる紫外線吸収剤量を、第2のポリカーボネート基体に含まれる紫外線吸収剤量よりも高く設定することによって、第2の基体の芯材としての機能が高まり、第2の基体によって優れた耐衝撃性を確保すると共に、耐候性をより高く併せ持たせることが可能になる。
このように、同一又は異なる種類の有機ガラスが複数積層されている有機ガラス基体1は、例えば、共押出しによって調製することができる。
有機ガラス基体1の形状については、特に制限されず、製造される有機ガラス積層体の用途に応じて適宜設定すればよいが、厚みとして、通常0.5〜50mm、好ましくは0.8〜20mm、更に好ましくは1.0〜5mmが挙げられる。
[第1接着層2]
第1接着層2は、有機ガラス基体1に対して、電熱線層3を接着させるために設けられる層である。また、本発明の有機ガラス積層体では、ガラス転移点が80〜250℃の第1接着層2を採用し、当該第1接着層2で電熱線層3を埋設することによって、電熱線層3の発熱による第1接着層2の白化を抑制することが可能になる。
第1接着層2は、感熱接着剤や加圧接着剤等の接着性樹脂で構成された接着層であればよいが、好ましくは加熱によって溶着作用を発現するヒートシール層が挙げられる。第1接着層2を構成する接着性樹脂としては、具体的には、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。接着性樹脂の中でも、電熱線層3の発熱による第1接着層2の白化をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくはアクリル樹脂が挙げられる。これらの接着性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1接着層2のガラス転移点については、80〜250℃の範囲を充足していればよい。第1接着層2のガラス転移点が80℃未満になると、電熱線層3の発熱によって白化が生じ、視野が損なわれる傾向が現れ、第1接着層2のガラス転移点が250℃を超えると、有機ガラス基体1との接着が不十分になる。電熱線層3の発熱による白化をより一層効果的に抑制するという観点から、第1接着層2のガラス転移点として、好ましくは80〜160℃、更に好ましくは100〜120℃が挙げられる。
本明細書において、第1接着層2のガラス転移点は、動的粘弾性測定法(DMA;Dynamic Mechanical Analysis)によって測定される値である。具体的には、接着層2について、動的粘弾性測定装置にて、観測長を15mm、昇温速度を5℃/分、測定周波数を1Hzとして、0〜200℃の範囲で、貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定し、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った値であるtanδのピークトップを求め、当該ピークトップの温度がガラス転移点として特定される。
第1接着層2に対して前記ガラス転移点を充足させるには、第1接着層2の形成に使用される接着性樹脂の種類や組み合わせ等を適宜設定すればよい。
第1接着層2の厚さとしては、通常0.1〜25μm、好ましくは1〜20μm、更に好ましくは2〜15μmが挙げられる。
第1接着層2の形成は、接着性樹脂を、ダイコート、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で、積層させるべき所定の層の上に塗工することによって行われる。また、第1接着層2の形成は、接着性樹脂によって形成されたフィルムを所定の層上に熱融着させる方法によって行うこともできる。
[電熱線層3]
電熱線層3は、第1接着層2とハードコート層4との間に、部分的に設けられる層であり、通電によって発熱し、有機ガラス積層体における結露及び曇りの発生防止や除去の役割を果たす。
電熱線層3は、本発明の有機ガラス積層体において、電熱線層3に電流を供給するための電極に接続されていればよい。当該電源は、通常は、本発明の有機ガラス積層体の端部に配され、その構成素材については導電性を示すことを限度として特に制限されないが、例えば、電熱線層3と同じ構成素材で形成することができる。
また、電熱線層3は、有機ガラス積層体の視野の妨げにならない程度に部分的に設けられ、ハードコート層4側の表面以外の部分が第1接着層2に埋設した状態で設けられる。このように、電熱線層3が第1接着層2に埋設した状態で設けられていると、従来の有機ガラス積層体では、電熱線層3の発熱に起因して白化が生じ易くなるが、本発明では、前述するように第1接着層2が所定のガラス転移点を備えていることによって、当該白化を抑制することができる。
電熱線層3は、導電性があり、通電によって発熱可能であることを限度として、その構成素材については特に制限されず、金属箔で形成されていてもよく、また、金属微粒子及びバインダー樹脂を含む金属ペーストを用いて形成されていてもよい。電熱線層3の構成素材として、低抵抗で発熱効率を高めるという観点からは、好ましくは金属箔が挙げられる。金属箔からなる電熱線層3を使用することにより、電熱線層3の線幅を小さくし、その開口率を高めることができるので、優れた視界と高い発熱効率を両立させることが可能になる。
電熱線層3を金属箔で形成する場合、当該金属箔の構成金属については、導電性があり、且つ通電によって発熱可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、銅、金、銀、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、これらの合金(例えば、ステンレス鋼等)等が挙げられる。これらの中でも、発熱効率をより一層高めるという観点から、好ましくは銅が挙げられる。
電熱線層3を金属箔で形成する場合、当該金属箔には、光の反射を防止するために、必要に応じて黒化処理が施されていてもよい。黒化処理は、金属箔の表面を粗化及び/又は黒色化すればよく、黒ニッケルメッキ、すず−ニッケル合金メッキ、黒クロムメッキ等のメッキ法や、薬品で黒化する化成処理法等によって行うことができる。
金属箔からなる電熱線層3は、例えば、フォトリソグラフィー法によって形成することができる。フォトリソグラフィー法によって金属箔を所定形状に加工する技術は、例えば、国際公開第05/060326号等に記載されており、公知の方法に従って金属箔による電熱線層3を形成することができる。
フォトリソグラフィー法によって金属箔からなる電熱線層3を形成する方法としては、具体的には、金属箔を所定の層上に積層させた後に、金属箔の表面に、レジスト層を所定の形状となるように設けてマスキングし、レジスト層で覆われていない部分の金属箔をエッチングによって除去した後に、レジスト層を除去することにより、所定形状の金属箔からなる電熱線層3を形成することができる。
レジスト層によるマスキングは、例えば、感光性レジストを金属箔上に塗布し、感光性レジストが乾燥した後に、所定の形状の原版にて感光性レジストを密着露光し、水現像し、硬膜処理等を施し、ベーキングすればよい。感光性レジストとしては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ゼラチン等のレジストに、重クロム酸塩を加えたものを使用することができる。また、感光性レジストの金属箔上へ塗布は、金属箔面に対して、カーテンコート、掛け流し等の方法で行うことができる。また、感光性レジストを塗布することなぐドライフィルムレジストを用いてもよく、この場合は作業性が向上する。ベーキングの温度条件については、使用するレジストの種類に応じて適宜設定すればよいが、カゼインレジストの場合、通常100〜300℃で行えばよい。
金属箔のエッチングは、金属箔をエッチングできるエッチング液を使用して行うことができる。エッチング液としては、例えば、塩化第二鉄、塩化第二銅等を含む水溶液が挙げられる。また、エッチング後は、必要に応じて水洗を行ってもよい。
エッチング後のレジスト層の除去は、アルカリ液を使用することによって行うことができる。
また、電熱線層3を金属微粒子及びバインダー樹脂を含む金属ペーストを用いて形成する場合、使用する金属微粒子の素材としては、導電性があり、且つ通電によって発熱可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、クロム、アルミニウム、タングステン、鉄、これらの合金(ステンレス鋼)等の金属;酸化錫、酸化亜鉛等の金属化合物が挙げられる。これらの金属微粒子は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、前記金属ペーストに使用されるバインダー樹脂の種類については、特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル/ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記金属ペーストにおいて、金属微粒子とバインダー樹脂の比率については、備えさせるべき発熱効率等を勘案して適宜設定すればよいが、例えば、金属微粒子100質量部当たり、バインダー樹脂が0.1〜80質量部、好ましくは5〜25質量部が挙げられる。
金属微粒子及びバインダー樹脂を含む導電性組成物で電熱線層3を形成する場合、当該導電性組成物をスクリーン印刷等の手法によって所定の層上に形成すればよい。
電熱線層3の形状については、発熱によって有機ガラス積層体を加熱可能であり、且つ視界を確保できることを限度として特に制限されず、例えば、線分群形状、メッシュ形状等が挙げられる。メッシュ形状の場合、その単位格子の形状については、特に制限されないが、例えば、正三角形、不等辺三角形等の三角形;正方形、長方形台形、菱形等の四角形;六角形、八角形等の多角形;円、楕円等が挙げられる。また、メッシュ形状の場合、その単位格子の形状がランダムな多角形や円形パターンであってもよい。
電熱線層3の開口率については、電熱線層3の発熱効率、確保すべき視野等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、70%以上、好ましくは75〜99%、更に好ましくは80〜95%が挙げられる。ここで、電熱線層3の開口率とは、有機ガラス積層体の全面積に対して、電熱線層3が設けられていない領域の面積が占める割合である。
また、電熱線層3の線幅については、構成素材、備えさせるべき発熱効率等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、3〜100μmが挙げられる。より具体的には、金属箔からなる電熱線層3の場合であれば、電熱線層3の線幅として、好ましくは3〜50μm、更に好ましくは5〜15μmが挙げられる。金属箔からなる電熱線層3の場合、このような細い線幅であっても、高い発熱効率が可能になり、より一層優れた視界の確保が可能になる。また、電熱線層3を金属ペーストにて形成する場合であれば、電熱線層3の線幅として、好ましくは30〜100μm、更に好ましくは30〜50μmが挙げられる。
[ハードコート層4]
ハードコート層4は、電熱線層3の上に設けられる表面層であり、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物によって形成される。ハードコート層4によって、有機ガラス積層体に優れた耐候性及び耐摩耗性を備えさせることが可能になる。
(硬化性樹脂)
ハードコート層4の形成に使用される硬化性樹脂については、架橋により硬化する樹脂であることを限度として特に制限されないが、例えば、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、1液反応硬化性樹脂、2液反応硬化性樹脂等が挙げられる。これらの硬化性樹脂の中でも、より一層効果的に優れた耐候性及び耐摩耗性を備えさせるという観点から、好ましくは電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、分子中に官能基(重合性不飽和結合及び/又はエポキシ基)を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものが挙げられる。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線が用いられるが、ハードコート層4に含まれる紫外線吸収剤の作用によってハードコート層4の硬化が不十分になるのを避けるために、電子線であることが好ましい。
ハードコート層4に使用される電離放射線硬化性樹脂の種類については、特に制限されないが、当該電離放射線硬化性樹脂の好適な例として、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、他の類似する表記も同様の意である。
多官能性(メタ)アクリレートの官能基数については、前述するガラス転移点を充足させうることを限度として、特に制限されないが、例えば、2〜50、好ましくは2〜8、更に好ましくは2〜6が挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレートとしては、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレート、脂環又は脂肪族複素環を有する(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。カプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、カプロラクトン変性ポリオールとポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応により得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオール水酸基の一部又は全てを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレートは、例えば、ペンタエリスリトール又はその重合物の水酸基の一部又は全てを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンを(メタ)アクリル酸で変性させることにより得ることができる。アミノプラスト樹脂(メタ)アクリレートは、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を(メタ)アクリル酸で変性させることにより得ることができる。
これらの多官能性(メタ)アクリレートは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの多官能性(メタ)アクリレートの中でも、より一層効果的に有機ガラス積層体に優れた耐候性及び耐摩耗性を備えさせる上で、好ましくは3官能以上の(メタ)アクリレートと2官能の(メタ)アクリレートとの組み合わせが挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートと2官能の(メタ)アクリレートを組み合わせて使用する場合、これらの比率については、組み合わせる各(メタ)アクリレートの種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、3官能以上の(メタ)アクリレート100質量部に対して、2官能の(メタ)アクリレートが1〜150質量部、好ましくは5〜120質量部、更に好ましくは10〜100質量部が挙げられる。
以下、(i)3官能以上の(メタ)アクリレートと2官能の(メタ)アクリレートとの組み合わせについて説明する。
<(i)3官能以上の(メタ)アクリレート>
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの3官能以上の(メタ)アクリレートは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
3官能以上の(メタ)アクリレートの官能基数については、3以上である限り、特に制限されないが、前述するガラス転移点を充足させ、より一層効果的に優れた耐候性、耐摩耗性、及び曲げ加工追従性を備えさせるという観点から、例えば3〜50、好ましくは3〜8、更に好ましくは4〜6が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートの平均分子量については、その種類に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば200〜100000、好ましくは500〜50000、更に好ましくは1000〜30000が挙げられる。ここで、3官能以上の(メタ)アクリレートの平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量を示す。
これらの3官能以上の(メタ)アクリレートの中でも、前述するガラス転移点を充足させ、より一層効果的に有機ガラス積層体に優れた耐候性及び耐摩耗性を備えさせるという観点から、好ましくはウレタン(メタ)アクリレート、更に好ましくはポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート等の骨格を有したウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの3官能以上の(メタ)アクリレートは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<(ii)2官能の(メタ)アクリレート>
2官能の(メタ)アクリレートの種類については、前述する(メタ)アクリレートの中で2官能のものを適宜選択すればよい。
2官能の(メタ)アクリレートの好適な例として、より一層優れた耐候性及び耐摩耗性を備えさせるという観点から、カプロラクトン変性ウレタンアクリレートが挙げられる。
2官能のカプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレート(以下、「(ii-1)の2官能の(メタ)アクリレート」と表記することもある)は、カプロラクトン変性ジオールとポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応により得ることができる。
カプロラクトン変性ジオールとしては、好ましくは2個の水酸基を有し、重量平均分子量が、好ましくは500〜3000、更に好ましくは750〜2000のものが挙げられる。また、カプロラクトン変性ジオール以外のジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオールを1種又は複数種を任意の割合で構成原料として混合して使用することもできる。
ポリイソシアネートとしては、2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートが好ましく、黄変を抑制する観点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましく挙げられる。また、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。
2官能のカプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレートは、これらのポリカプロラクトン系ジオールとポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応で合成することができる。合成法としては、ポリカプロラクトン変性ジオールとポリイソシアネートとを反応させて、両末端に−NCO基(イソシアナート基)を含有するポリウレタンプレポリマーを生成させた後に、ヒドロキシ(メタ)アクリレートと反応させる方法が好ましい。反応の条件等は常法に従えばよい。
2官能のカプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレートの平均分子量としては、例えば1000〜12000、好ましくは1000〜10000が挙げられる。ここで、2官能の(メタ)アクリレートの平均分子量は、GPC分析によって測定され、且つ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量を示す。
3官能以上の(メタ)アクリレートと2官能の(メタ)アクリレートの比率については、組み合わせる各(メタ)アクリレートの種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、3官能以上の(メタ)アクリレート100質量部に対して、2官能の(メタ)アクリレートが1〜150質量部、好ましくは5〜120質量部、更に好ましくは10〜100質量部が挙げられる。
(他の添加剤)
ハードコート層4には、耐候性をより一層向上させるために、前記硬化性樹脂以外に、紫外線吸収剤が含まれていることが望ましい。
ハードコート層4に使用される紫外線吸収剤の種類については、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、サリチル酸フェニルエステル系化合物、アクリルニトリル系化合物等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、更に好ましくはヒドロキシフェニルトリアジン系化合物が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ハードコート層4に紫外線吸収剤を含有させる場合、硬化性樹脂と紫外線吸収剤の比率については、特に制限されないが、例えば、ハードコート層4の硬化性樹脂を効果的に保護するという観点から、硬化性樹脂の総量100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜10質量部であればよいが、更に好ましくは0.5〜5質量部、特に好ましくは0.7〜2質量部が挙げられる。
更に、ハードコート層4には、耐候性を更に向上させるために、必要に応じて光安定剤を含んでいてもよい。光安定剤としては、好ましくは、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が挙げられる。また、光安定剤の好適な例として、硬化性樹脂と反応性を有する、即ち分子内に反応性基を有する反応性ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。このような反応性ヒンダードアミン系光安定剤を用いることで、架橋阻害が生じることなくハードコート性(耐傷性等)を向上させることができると共に、ブリードアウトを低減できるので、ブリードアウトによる性能低下、ハードコート層4の表面のべたつき、必要に応じて設けられるプライマー層5との密着不良を効果的に抑制することができる。反応性基としては、具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基が挙げられる。このような光安定剤としては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(BASF社製、商品名「サノール LS−3410」)又は(日立化成工業株式会社製、商品名「FA−711MM」)、や2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名「FA−712HM」)などが好ましく挙げられる。これらの光安定剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ハードコート層4における光安定剤の含有量については、特に制限されないが、例えば、電離放射線硬化性樹脂の総量100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは1〜8質量部、更に好ましくは2〜6質量部が挙げられる。
また、ハードコート層4には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の各種添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、易滑剤、防汚剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、着色剤、フィラー等が挙げられる。例えば、樹脂成分よりも、硬度や耐熱性の高いフィラー粒子(シリカ粒子)を添加することにより、ハードコート層4の硬度や耐熱性を向上させることができる。
(ハードコート層4の厚さ)
ハードコート層4の厚さについては、特に制限されないが、より一層優れた耐候性、耐摩耗性、及び曲げ加工追従性を備えさせるという観点から、通常1〜10μm、好ましくは1.5〜6μmが挙げられる。
(ハードコート層4の形成方法)
ハードコート層4の形成は、使用する硬化性樹脂の種類に応じた方法を採用すればよい。例えば、熱硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、1液反応硬化性樹脂、又は2液反応硬化性樹脂を使用する場合であれば、これらの樹脂と、紫外線吸収剤と、必要に応じて各種添加剤を混合したハードコート層4用の樹脂組成物を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で所定の配置部位に塗工し、必要に応じて加熱を行うことにより、当該樹脂組成物を硬化させればよい。
前記ハードコート層4用の樹脂組成物は、硬化性樹脂、及び必要に応じて添加される添加剤が溶剤に溶解又は分散させたものであればよい。前記ハードコート層4用の樹脂組成物で使用される溶剤としては、硬化性樹脂、及び必要に応じて添加される添加剤に対して溶解性又は相溶性を示すものであればよく、ハードコート層4用の樹脂組成物の塗布方法やハードコート層4の形成時の乾燥方法等に応じて適宜選定すればよいが、硬化性樹脂に対する溶解性又は相溶性、乾燥性等の観点から、有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂を使用する場合であれば、電離放射線硬化性樹脂と、紫外線吸収剤と、必要に応じて各種添加剤とを混合したハードコート層用の樹脂組成物を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で所定の配置部位に塗工し、当該樹脂組成物に電子線、紫外線等の電離放射線を照射して硬化させればよい。
電離放射線硬化性樹脂の硬化に電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる電離放射線硬化性樹脂の種類やハードコート層4の厚み等に応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜100kGy(1〜10Mrad)の範囲で選定される。更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
かくして形成されたハードコート層4には、各種の添加剤を添加することにより、ハードコート機能、防曇コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等の機能を付与する処理を行ってもよい。
[プライマー層5]
プライマー層5は、電熱線層3とハードコート層4との間に、必要に応じて設けられる層であり、ハードコート層4の接着性を向上させる役割を果たす。後述する樹脂フィルム層6を設ける場合、プライマー層5は、樹脂フィルム層6とハードコート層4の間に設けることが好ましい。また、後述する第2接着層7を設ける場合、プライマー層5は、第2接着層7とハードコート層4の間に設けることが好ましい。
プライマー層5はバインダー樹脂を用いて形成される。バインダー樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル/ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのバインダー樹脂の中でも、好ましくはウレタン樹脂、更に好ましくはアクリル成分を含むポリウレタンが挙げられる。
上記ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であればよく、具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イソシアネートとしては、具体的には、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート;4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが挙げられる。
上記ウレタン樹脂の中でも、ハードコート層4との密着性の向上、ハードコート層4を積層後の相互作用の低減、成形性の向上等の観点から、好ましくは、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせ;更に好ましくは、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせが挙げられる。
プライマー層5の厚さについては、特に制限されないが、例えば0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmが挙げられる。
プライマー層5は、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により、バインダー樹脂を含むプライマー層形成用の樹脂組成物を所定の層上に塗工することにより形成される。ここで、転写コーティング法とは、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層の塗膜を形成し、その後に所定の層の表面に被覆する方法である。
[樹脂フィルム層6]
樹脂フィルム層6は、電熱線層3の支持等のために、電熱線層3とハードコート層4との間に、必要に応じて設けられる層である。
本発明の有機ガラス積層体において、樹脂フィルム層6は、一般的な透明基材フィルムに使用されている透明樹脂を使用することができる。樹脂フィルム層6を構成する樹脂としては、例えば、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンなどのシクロオレフィンから得られるシクロオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリメタクリル酸メチルやポリメタクリル酸ブチルなどのアクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂などの樹脂が好ましく挙げられる。これらの中でも、より優れた透明性を備えさせるという観点から、好ましくは、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、更に好ましくはポリエステル樹脂が挙げられる。
また、樹脂フィルム層6には、前述する透明樹脂に加えて、必要に応じて、各種添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、可塑剤、安定剤、マット剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
更に、樹脂フィルム層6は、必要に応じて、コロナ放電、グロー放電、UV照射等の表面処理に供されたものであってもよい。
樹脂フィルム層6の厚さとしては、通常50〜300μm、好ましくは75〜200μm、更に好ましくは75〜150μmが挙げられる。
[第2接着層7]
第2接着層7は、電熱線層3とハードコート層4との接着性を高めるために、これらの層の間に、必要に応じて設けられる層である。
第2接着層7は、感熱接着剤や加圧接着剤等の接着性樹脂で構成された接着層であればよいが、好ましくは加熱によって溶着作用を発現するヒートシール層が挙げられる。第2接着層7を構成する接着性樹脂の種類については、前記第1接着層2で例示したものと同様である。
また、第2接着層7のガラス転移点については、特に制限されないが、前記第1接着層2で示したガラス転移点を備えていることが望ましい。
第2接着層7の厚さとしては、通常1〜20μm、好ましくは1.5〜10μm、更に好ましくは2〜5μmが挙げられる。
第2接着層7の形成は、接着性樹脂を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で、積層させるべき所定の層の上に塗工することによって行われる。また、第2接着層7は、接着性樹脂で形成されたフィルムを、積層させるべき所定の層の上に熱融着させることによって形成することもできる。
[着色層8]
着色層8は、本発明の有機ガラス積層体を固定する際の接着剤塗布部の隠蔽、情報表示、意匠性の付与等の目的で、有機ガラス基体1からハードコート層4までの間に、必要に応じて設けられる層である。
例えば、本発明の有機ガラス積層体を自動車の窓枠部材として使用する場合、当該有機ガラス積層体の固定方法には、接着剤での固定、はめ込み、ビス止め等を選択しうるが、作業の簡易さから、接着剤での固定が好まれる。その際に、有機ガラス積層体の全面が透明であると、接着剤塗布部が視認され易くなり、外観が損なわれるおそれがある。このような外部から視認されるのが望ましくない領域に対応する部位に、隠蔽目的で着色層8を設けることによって、当該領域を隠すことができる。また、製造者、規制等の情報表示や、柄等の意匠の付与したい場合には、着色層8によって情報表示や意匠を付することもできる。
本発明の有機ガラス積層体において、着色層8として、色調が異なる2以上の層が、同一又は異なる配置箇所に設けられていてもよい。例えば、有機ガラス基体1側から、黒色を呈する着色層8と白色を呈する着色層8がこの順で設けられていてもよく、また、有機ガラス基体1側から、白色を呈する着色層8と黒色を呈する着色層8がこの順で設けられていてもよい。
また、着色層8の形状については、本発明の有機ガラス積層体の面方向に対して垂直方向から見た際に部分的に設けられていることを限度として、特に制限されず、その目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、本発明の有機ガラス積層体を固定する際の接着剤塗布部の隠蔽目的で着色層8を設ける場合であれば、当該本発明の有機ガラス積層体の外縁部を隠蔽する枠状であることが好ましい。このように本発明の有機ガラス積層体の外縁部を隠蔽する枠状である場合には、着色層8の幅は、例えば10〜200mm程度に設定すればよい。更に、本発明の有機ガラス積層体の外縁部を隠蔽する枠状の着色層8を設ける場合には、当該枠状の着色層8と、当該枠状の着色層8が設けられていない領域の境界付近には、グラデーションパターンの着色層8が更に設けられていてもよい。このようなグラデーションパターンは、例えば、円(ドット)、長方形(線)、正方形及び三角形等の模様をパターンとして、枠状の着色層8から離れるに連れて、当該模様が小さくなったり、当該模様の色が薄くなったりするように設定すればよい。
また、情報表示や意匠の付与の目的で着色層8を設ける場合であれば、着色層8の形状は、企業のロゴ、商標及び規制指示を含む、文字、記号、数字、柄等であればよい。
着色層8が呈する色調については、特に制限されず、その目的に応じて、着色透明、着色半透明、着色不透明等のいずれを採用してもよい。例えば、着色層8を下部の部分的な隠蔽目的で使用する場合には、着色不透明であることが好ましい。
より具体的には、着色層8を隠蔽目的で設ける場合であれば、優れた隠蔽性を付与するという観点から、当該着色層5のOD(Optical Density;光学濃度)値は、高い程好ましく、具体的には3以上、好ましくは4以上、更に好ましくは5以上が挙げられる。ここで、着色層8のOD値は、以下の方法で求められる値である。
(着色層8のOD値の測定方法)
本発明の有機ガラス積層体において、着色層8が設けられていない部位のOD値(ODlow値)と、着色層8が設けられている部位のOD値(ODhigh値)を測定する。算出式(ODhigh値−ODlow値)に従って求められる値が着色層8のOD値となる。ここで、ODlow値とODhigh値は、透過濃度計を用い、中心波長555nmにて測定される値である。
また、前述する着色層8のOD値は、着色層8の形成に使用する顔料や染料の種類や含有量を適宜設定することによって充足させることができる。
着色層8は、着色料と、バインダー樹脂とによって形成される。
前記着色料としては、顔料又は染料のいずれか一方を使用しても、またこれらの双方を使用してもよいが、耐久性や耐候性の観点から、好ましくは顔料が挙げられる。また、前記着色料が呈する色については、着色層8の目的に応じて適宜設定すればよいが、隠蔽目的で設ける場合には、黒色顔料が好適である。黒色顔料の種類については、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、ペリレンブラック、アゾメチンアゾ系ブラック等が挙げられる。
また、前記バインダー樹脂としては、特に制限されないが、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等、ウレタン樹脂、及びこれらの樹脂の共重合樹脂(例えば、ウレタンーアクリル共重合樹脂等)等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1液硬化型又は2液硬化型のいずれであってもよい。また、これらのバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、着色層8には、必要に応じて、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、着色剤、フィラー等の添加剤が含まれてもよい。
着色層8の厚さについては、その目的、設定すべきOD値、使用する着色料の種類や含有量等に応じて適宜設定すればよいが、通常0.1〜20μm、好ましくは1〜15μm、更に好ましくは3〜10μmが挙げられる。
着色層8の形成は、着色料、バインダー樹脂、及び必要に応じて添加される添加剤を含む着色層8用のインキ組成物を、グラビアコート、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、コンマコート、インクジェット、ディスペンサ―等の方法で、所定の層上に塗工することによって行われる。
前記着色層8形成用のインキ組成物は、着色料、バインダー樹脂、及び必要に応じて添加される添加剤が溶剤に溶解又は分散させたものであればよい。前記着色層8用のインキ組成物で使用される溶剤としては、着色料、バインダー樹脂、及び必要に応じて添加される添加剤に対して溶解性又は相溶性を示すものであればよく、着色層8用のインキ組成物の塗工方法や着色層8形成時の乾燥方法等に応じて適宜選定すればよいが、着色料及びバインダー樹脂に対する溶解性又は相溶性、乾燥性等の観点から、有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機ガラス積層体の用途
本発明の有機ガラス積層体は、電熱線層3の発熱により、視界を十分に確保した上で、結露や曇りの発生防止や除去ができ、しかも優れた耐候性及び耐摩耗性を備えているので、外装部材として好適に使用される。
本発明の有機ガラス積層体の用途として、具体的には、自動車、鉄道等の(各種ウインドウ、サンルーフ、ルーフパネル、ウインドーリフレクター、ウインカーランプレンズ、サイドミラー、ヘッドランプカバー等);バルコニーの仕切り板、テラスやカーポート等の屋根部材、玄関ドア、建造物の窓等の建築部材;防音壁や風防壁等の壁材;信号機に使用されるレンズ類等が挙げられる。これらの中でも、車両用の外装部材、とりわけ車両用のウインドウは、視界の確保、結露や曇りの発生防止及び除去、耐候性、並びに耐摩耗性が高度に要求されるため、本発明の有機ガラス積層体として特に好適である。
本発明の有機ガラス積層体は、電熱線層3が接続されている電極に電力を供給する電源を接続した状態で、その用途に応じて所定の部位に取り付ければよい。
有機ガラス積層体の製造方法
本発明の有機ガラス積層体の製造方法については、前述する層構造を形成できることを限度として、特に制限されないが、例えば、有機ガラス基体1以外の各層を予め積層させた有機ガラス積層用シートを作製しておき、当該有機ガラス積層用シートを用いて、少なくとも第1接着層2、電熱線層3、及びハードコート層4を有機ガラス基体1に積層させる方法(以下、「第1法」と表記することもある);ガラス基体1の上に各層を順次積層させる方法(以下、「第2法」と表記することもある)等が挙げられる。前記第1法及は、有機ガラス積層体を効率的に製造できるので、本発明の有機ガラス積層体の製造方法として好適である。以下、前記第1法及び第2法について説明する。
[第1法]
第1法では、基材フィルム上に、少なくとも第1接着層2、電熱線層3、及びハードコート層4を積層させた有機ガラス積層用シートを用いて、有機ガラス基体1上に、少なくとも第1接着層2、電熱線層3、及びハードコート層4をこの順に積層させる工程を行う。
有機ガラス積層用シートを用いて、有機ガラス基体1上に各層を積層させる方法としては、有機ガラス積層用シートに設けた各層を有機ガラス基体1に転写することにより、有機ガラス基体1上に各層を積層させる方法(以下、「転写法」と表記することもある);及び有機ガラス積層用シート自体を有機ガラスにラミネート(積層)して、有機ガラス基体1上に各層を積層させる方法(以下、「ラミネート法」と表記することもある)が挙げられる。
有機ガラス積層用シートは、基材フィルム上に、少なくとも接着層2、電熱線層3、及びハードコート層4が積層されていればよく、その層構造については、転写法又はラミネート法の別に応じて適宜設定される。
具体的には、転写法で使用される有機ガラス積層用シート(以下、「転写用シート」と表記することもある)については、基材フィルムとして離型用フィルム層9を使用し、離型用フィルム層9上に、少なくともハードコート層4、電熱線層3、及び第1接着層2がこの順で積層されていればよい。また、製造する有機ガラス積層体に、プライマー層5、樹脂フィルム層6、第2接着層7、及び/又は着色層8を設ける場合には、転写用シートには、これらの層が所定の配置で積層されていてればよい。転写用シートの好適な層構造の一例として、離型用フィルム層9と、ハードコート層4と、プライマー層5と、電熱線層3と、第1接着層2がこの順で積層されている層構造が挙げられる。当該転写用シートの積層構造を図8に示す。また、更に、転写用シートの好適な層構造の他の一例として、離型用フィルム層9と、ハードコート層4と、プライマー層5と、第2接着層7と、電熱線層3と、第1接着層2がこの順で積層されている層構造が挙げられる。当該転写用シートの積層構造を図9に示す。
転写用シートにおいて、離型用フィルム層9を構成する樹脂としては、ハードコート層4に対する剥離性を備えている限り、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート、ポリウレタン系等のエラストマー系樹脂等によるものが利用される。これらの樹脂の中でも、成形性及び剥離特性が良好である点から、好ましくはポリエステル系樹脂、更に好ましくはポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
離型用フィルム層9は、単一の樹脂を用いて形成された単層であってもよく、また同種又は異種の樹脂を用いて形成された複層であってもよい。また、離型用フィルム層9には剥離強度を調整するために任意のコーティングや処理が施されてもよい。
更に、離型用フィルム層9には、ハードコート層4に対する剥離強度を調整するために、必要に応じて、ハードコート層4と接する側の面に離型層が設けられていてもよい。離型層を設けた転写用シートの好適な層構造の一例として、離型用フィルム層9と、離型層と、ハードコート層4と、プライマー層5と、電熱線層3と、第1接着層2がこの順で積層されている層構造が挙げられる。
離型層は、ハードコート層4に対する剥離強度を調整できる熱可塑性樹脂によって形成される。離型層を形成する熱可塑性樹脂として、具体的には、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、アクリル−メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。離型層の厚さとしては、通常0.1〜10μm、好ましくは0.2〜8μm、更に好ましくは0.3〜5μmが挙げられる。
離型層の形成は、熱可塑性樹脂を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で、前記離型用フィルム層9の上に塗工することによって行われる。
離型用フィルム層9の厚さとしては、特に制限されないが、通常20〜200μm、好ましくは30〜100μm、更に好ましくは40〜80μm挙げられる。
また、ラミネート法で使用される有機ガラス積層用シート(以下、「第1ラミネート用シート」と表記することもある)については、基材フィルムとして樹脂フィルム層6を使用し、樹脂フィルム層6に、少なくとも第1接着層2、電熱線層3、及びハードコート層4が積層されていればよい。具体的には、樹脂フィルム層6の一方の面に、樹脂フィルム層6側から少なくとも電熱線層3及び第1接着層2がこの順で積層され、且つ樹脂フィルム層6の他方の面に、少なくともハードコート層4がこの順で積層されていればよい。また、製造する有機ガラス積層体にプライマー層5、第2接着層7及び/又は着色層8を設ける場合には、ラミネート用シートに、これらの層が所定の配置で積層されていてればよい。ラミネート用シートの好適な層構造の一例として、第1接着層2と、電熱線層3と、樹脂フィルム層6と、プライマー層5と、ハードコート層4とがこの順で積層されている層構造が挙げられる。当該ラミネート用シートの積層構造を図10に示す。
また、ラミネート用シートの他の態様として、基材フィルムとして樹脂フィルム層6を使用し、少なくとも樹脂フィルム層6と、第1接着層2と、電熱線層3と、ハードコート層4とがこの順で積層されている積層構造が挙げられる。また、製造する有機ガラス積層体にプライマー層5、第2接着層7及び/又は着色層8を設ける場合には、ラミネート用シートに、これらの層が所定の配置で積層されていてればよい
有機ガラス積層用シートを有機ガラス基体1に積層させる方法としては、具体的には、予め成形された有機ガラス基体1に第1有機ガラス積層用シートを圧着する方法(以下、「圧着法」と表記することもある);有機ガラス樹脂を射出成形する際に有機ガラス積層用シートと一体化させて積層する方法(以下、「射出成形一体化法」と表記することもある)が挙げられる。以下、圧着法と射出成形一体化法に分けて、本発明の有機ガラス積層体の製造方法について説明する。
圧着法としては、具体的には、押出し成形等により有機ガラス基体1を成形し、その直後又は冷却後に、ロール等を用いて有機ガラス積層用シートを、当該有機ガラス基体1に圧着して積層する方法が挙げられる。有機ガラス基体1に第1有機ガラス積層用シートを圧着する際に、有機ガラス積層用シートを加熱してもよい。有機ガラス積層用シートの加熱は、圧着前の有機ガラス積層用シートの予備加熱、熱圧ロールによる圧着と同時の加熱等によって行うことができる。また、第1有機ガラス積層用シートを圧着する前に有機ガラス基体1を予備加熱してもよい。
また、転写用シートを使用する場合には、有機ガラス基体1に転写用シートを圧着させた後に、離型用フィルム層9を剥離して除去すればよい。
また、有機ガラス基体1に転写用シートを圧着させた後に、必要に応じて、曲げ加工を行ってもよい。また、有機ガラス積層用シートが転写用シートである場合には、曲げ加工は、離型用の基材フィルム1の剥離前又は後のいずれで行ってもよい。曲げ加工の手法については、特に制限されず、例えば、冷間曲げ加工、熱曲げ加工等が挙げられるが、加工性の観点から熱曲げ加工が好ましい。
射出成形一体化法としては、具体的には、有機ガラス積層用シートの第1接着層2に対して有機ガラス樹脂を射出して成形する方法が挙げられる。
より具体的には、射出成形一体化法によって有機ガラス積層用シートと有機ガラス基体1とを一体化する方法の一態様として、下記第I〜II工程をする方法が挙げられる。
第I工程:第1有機ガラス積層用シートを、第1接着層2の面が有機ガラス樹脂側に配置されるように射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の有機ガラス樹脂を射出成形型内に射出して有機ガラス基体1と有機ガラス積層用シートを一体化する。
第II工程:転写用シートを使用した場合は、離型用フィルム層9を剥離して除去する。
前記第I工程において有機ガラス積層用シートが射出された樹脂と一体化し易くするために、有機ガラス積層用シートを射出成形型に挿入する前に、必要に応じて、有機ガラス積層用シートを予備加熱してもよい。また、有機ガラス積層用シートの予備加熱を行わなくても、射出された有機ガラスの余熱によって、射出された有機ガラス樹脂と有機ガラス積層用シートを一体化することもできる。また、前記第I工程において、射出成形型に挿入した有機ガラス積層用シートは、有機ガラス樹脂を射出する前に真空吸引等によって射出成形型に添わせてもよい。
また、前記第II工程において、離型用フィルム層9の剥離は、射出成形型の離間と同時に行ってもよく、射出成形型の離間後に行ってもよい。また、有機ガラス積層体の使用時まで離型用フィルム層9の剥離を行わず、離型用フィルム層9が付した状態を維持してもよい。
また、射出成形一体化法によって有機ガラス積層用シートと有機ガラス基体1とを一体化する方法の他の態様として、下記第1工程〜第5工程を実施する方法が挙げられる。
第1工程:型開き状態の雌雄一対の金型の間に、有機ガラス積層用シートの第1樹脂層2側の面がキャビティ側に向くように供給して、固定する。更に、有機ガラス積層用シートの有機ガラス樹脂が射出される側の面を加熱、軟化させると共に、それとは反対側の面と対面している金型側から真空吸引して、有機ガラス積層用シートを当該可動金型の形状に沿って密着させることにより、第1有機ガラス積層用シートを予備成形する。
第2工程:両金型を型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の有機ガラス樹脂を射出、充填して固化させることにより、有機ガラス基体1と有機ガラス積層用シートを積層一体化させる。
第3工程:可動金型を固定金型から離間させて、有機ガラス基体1と有機ガラス積層用シートが一体化された有機ガラス積層体を取り出す。
第4工程:有機ガラス積層体の余分な部分をトリミングして所望の形状に調整する。
第5工程:転写用シートを使用した場合は、離型用フィルム層9を剥離して除去する。なお、本第5工程は、前記第3工程における金型の離間と同時に行ってもよく、また前記第3工程と前記第4工程の間に行ってもよい。
また、射出成形一体化法によって有機ガラス基体1上に所定の各層を積層させた後に、必要に応じて、曲げ加工を行ってもよい。
[第2法]
第2法では、有機ガラス基体1の上に、少なくとも第1接着層2、電熱線層3、及びハードコート層4をこの順で順次積層させる。また、第2法において電熱線層3の積層には、樹脂フィルム層6上に予め電熱線層3を形成させておき、これを第1接着層2上に積層させればよい。また、有機ガラス積層体に、プライマー層5、樹脂フィルム層6、第2接着層7及び/又は着色層8を設ける場合には、これらの層が所定の配置となるように積層さればよい。各層の形成方法については、前記の通りである。
また、第2法では、各層の形成の途中、又は全ての層の形成後に、必要に応じて、曲げ加工を行ってもよい。
2.有機ガラス積層体用シート
本発明は、前記第1法によって有機ガラス積層体を製造するための有機ガラス積層用シートを提供する。当該有機ガラス積層用シートの層構造については、使用態様(転写法又はラミネート法の別)に応じて、適宜設定される。使用態様毎の有機ガラス積層用シートの層構造については、前記の通りである。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
1.有機ガラス積層体の製造
実施例1
有機ガラス積層用シート(ラミネートシート)の製造
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム層(厚さ100μm)に、ドライラミネート接着剤(2液硬化型ウレタン系接着剤;ポリエステルウレタンポリオールから成る主剤タケラックA-310(武田薬品工業社製)とキシレンジイソシアネートから成る硬化剤タケネートA-10(武田薬品工業社製))を用いて銅箔(厚さ10μm)をドライラミネートにより貼り合わせた。次いで、以下に示す条件で、フォトリソグラフィー法によりメッシュ形状(開口率91%)の銅箔からなる電熱線層を形成した。
先ず、銅箔上にカゼイン系の感光性レジストをディッピング法で塗布した。次いで、開口部が正方形で線幅が22μm、線間隔(ピッチ)が300μm、バイアス角度が49度のメッシュ部及び当該メッシュ部を囲む幅が15mmの額縁部を有するネガパターン版を用いて、水銀燈を用いて紫外線を照射して密着露光した。次いで、水現像、及び硬膜処理を行った後に、更に加熱してベーキングした。その後、エッチング液として塩化第二鉄水溶液を用いて、スプレイ法で吹きかけてマスキングされていない銅箔の領域をエッチングし、開口部を形成した。その後、水洗し、レジストを剥離、洗浄、及び温風による乾燥を行うことにより、樹脂フィルム層上にメッシュ形状(開口率94%)の銅箔からなる電熱線層を形成した。
次いで、電熱線層を積層させた樹脂フィルム層の電熱線層とは反対側の面に対して、コロナ放電処理をした後に、下記に示すプライマー層形成用の樹脂組成物をグラビアリバース法によって塗工して厚さ3μmのプライマー層を形成し、更に当該プライマー層上に下記に示すハードコート層形成用の樹脂組成物を硬化後の厚さが3μmとなるように塗工し、電子線照射10Mradにて硬化させることにより、プライマー層上にハードコート層を積層させた。
<プライマー層形成用の樹脂組成物>
・ ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体*1:100質量部
・ ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤*2:17質量部
・ ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤*3:13質量部
・ ヒンダードアミン系光安定剤*4:8質量部
・ ブロッキング防止剤*5:9質量部
・ 硬化剤(ヘキサンメチレンジイソシアネート):25質量部
*1:ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体は、ウレタン成分の含有量は30質量%、質量平均分子量50000を使用した。
*2:チヌビン400(商品名)、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、BASFジャパン株式会社製
*3:チヌビン479(商品名)、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、BASFジャパン株式会社製
*4:チヌビン123(商品名)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)、BASFジャパン株式会社製
*5:シリカ粒子、平均粒径:3μm。
<ハードコート層層形成用の樹脂組成物>
・6官能のウレタンアクリレート(分子量約1,000):60質量部
・2官能のカプロラクトン変性ウレタンアクリレート(分子量数千程度):40質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤:0.7質量部(BASFジャパン株式会社製「Tinuvin479」)
・反応性官能基を有する光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製「サノールLS−3410」):4.2質量部・非反応性シリコーン化合物(ポリエーテル変性シリコーンオイル):0.3質量部
・耐傷フィラー(シリカ粒子、平均粒子径:2μm):2質量部
次いで、電熱線層側の面に、熱融着性アクリル樹脂(ガラス転移点105℃、分子量10万)をダイコート法により厚さが10μmとなるように塗工し、第1接着層を形成した。斯して、第1接着層、電熱線層、樹脂フィルム層、プライマー層、及びハードコート層が順に積層した有機ガラス積層用シート(ラミネート用シート)を得た。
有機ガラス積層体の製造
前記で得られた有機ガラス積層用シート(ラミネート用シート)を使用して、射出成形一体化法を行い、ポリカーボネート基体を一体化させた。具体的には、型開き状態の雌雄一対の金型(可動金型と固定金型)の間に、有機ガラス積層用シートを、第1接着層が樹脂と接するように樹脂フィルムをキャビティ内に供給し、固定した。その後、有機ガラス積層用シートの樹脂フィルム層を100℃に加熱して軟化させると共に、ハードコート層側と対面している金型側から真空吸引して、軟化した有機ガラス積層用シートを当該可動金型の形状に沿って密着させることにより、有機ガラス積層用シートを予備成形した。次いで、両金型を型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の前記ポリカーボネート樹脂を射出、充填して固化させることにより、形成されたポリカーボネート基体と有機ガラス積層用シートを積層一体化させた。その後、可動金型を固定金型から離間させて、ポリカーボネート基体、第1接着層、電熱線層、樹脂フィルム層、プライマー層、及びハードコート層が順に積層された有機ガラス積層体を得た。
実施例2
有機ガラス積層用シート(転写シート)の製造
実施例1で使用したハードコート層形成用の樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートからなる離型用フィルム層(厚さ75μm)に、硬化後の厚さが3μmとなるように塗工し、電子線照射10Mradにて硬化させることにより、離型用フィルム層上にハードコート層を積層させた。次いで、当該ハードコート層にコロナ放電処理をした後に、実施例1で使用したプライマー層形成用の樹脂組成物をグラビアリバース法によって塗工して厚さ3μmのプライマー層を形成した。更に、当該プライマー層上に、熱融着性アクリル樹脂(ガラス転移点105℃、分子量10万)をグラビアリバース法によって塗工して厚さ4μmの第2接着層を形成した。更に、当該第2接着層上に厚さ10μmの銅箔をラミネート法により接着し、実施例1と同条件でフォトリソグラフィー法によりメッシュ形状の銅箔からなる電熱線層を形成した。
次いで、電熱線層側の面に、熱融着性アクリル樹脂(ガラス転移点105℃、分子量10万)をダイコート法により厚さが10μmとなるように塗工し、第1接着層を形成した。斯して、第1接着層、電熱線層、第2接着層、プライマー層、ハードコート層、及び離型用フィルム層が順に積層した有機ガラス積層用シート(転写用シート)を得た。
有機ガラス積層体の製造
前記で得られた有機ガラス積層用シート(転写用シート)を使用して、実施例1と同条件で射出成型を行った後に、離型用フィルム層を剥離し、ポリカーボネート基体、第1接着層、電熱線層、第2接着層、プライマー層、及びハードコート層が順に積層された有機ガラス積層体を得た。
実施例3
有機ガラス積層用シート(転写シート)の製造
実施例1で使用したハードコート層形成用の樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートからなる離型用フィルム層(厚さ75μm)に、硬化後の厚さが3μmとなるように塗工し、電子線照射10Mradにて硬化させることにより、離型用フィルム層上にハードコート層を積層させた。次いで、当該ハードコート層にコロナ放電処理をした後に、実施例1で使用したプライマー層形成用の樹脂組成物をグラビアリバース法によって塗工して厚さ3μmのプライマー層を形成した。更に、当該プライマー層上に、スクリーン印刷で銅ペースト(商品名「CP4121」、旭硝子製、Cu100質量部及びバインダー樹脂22質量部含有)をメッシュパターンを印刷し、120℃で30分間焼成することによって、メッシュ形状の電熱線層(線幅50μm、スペース450μm、厚み10μm、開口率81%)を形成した。
次いで、電熱線層側の面に、熱融着性アクリル樹脂(ガラス転移点105℃、分子量10万)をダイコート法により厚さが10μmとなるように塗工し、第1接着層を形成した。斯して、第1接着層、電熱線層、プライマー層、ハードコート層、及び離型用フィルム層が順に積層した有機ガラス積層用シート(転写用シート)を得た。
有機ガラス積層体の製造
前記で得られた有機ガラス積層用シート(転写用シート)を使用して、実施例1と同条件で射出成型を行った後に、離型用フィルム層を剥離し、ポリカーボネート基体、第1接着層、電熱線層、プライマー層、及びハードコート層が順に積層された有機ガラス積層体を得た。
実施例4
有機ガラス積層用シート(転写シート)の製造
実施例1で使用したハードコート層形成用の樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートからなる離型用フィルム層(厚さ75μm)に、硬化後の厚さが3μmとなるように塗工し、電子線照射10Mradにて硬化させることにより、離型用フィルム層上にハードコート層を積層させた。次いで、当該ハードコート層にコロナ放電処理をした後に、実施例1で使用したプライマー層形成用の樹脂組成物をグラビアリバース法によって塗工して厚さ3μmのプライマー層を形成した。更に、当該プライマー層上に、着色層用のインキ組成物(黒色顔料:カーボンブラック(平均粒径24nm)210質量部、バインダー樹脂:塩酢ビ樹脂100質量部、アクリル樹脂100質量部の混合物を含有)をグラビアダイレクト法にて、3度重ね塗り塗工することにより、縦170mm、横100mm、幅20mmの枠状(開口部を有する形状)の着色層(厚さ5μm)を形成した。当該着色層上に、熱融着樹脂(アクリル樹脂)をグラビアリバース法によって塗工して厚さ4μmの第2接着層を形成し、更に銅箔(厚さ10μm)をドライラミネートにより貼り合わせた。次いで、実施例1と同条件でフォトリソグラフィー法によりメッシュ形状の銅箔からなる電熱線層を形成した。更に、電熱線層側の面に、熱融着性アクリル樹脂(ガラス転移点105℃、分子量10万)をダイコート法により厚さが10μmとなるように塗工し、第1接着層を形成した。斯して、第1接着層、電熱線層、第2接着層、着色層、プライマー層、ハードコート層、及び離型用フィルム層が順に積層した有機ガラス積層用シート(転写用シート)を得た。
有機ガラス積層体の製造
前記で得られた有機ガラス積層用シート(転写用シート)を使用して、実施例1と同条件で射出成型を行った後に、離型用フィルム層を剥離し、ポリカーボネート基体、第1接着層、電熱線層、着色層、プライマー層、及びハードコート層が順に積層された有機ガラス積層体を得た。
実施例5
有機ガラス積層用シート(ラミネートシート)の製造
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム層(厚さ100μm)に、ドライラミネート接着剤(2液硬化型ウレタン系接着剤;ポリエステルウレタンポリオールから成る主剤タケラックA-310(武田薬品工業社製)とキシレンジイソシアネートから成る硬化剤タケネートA-10(武田薬品工業社製))を用いて銅箔(厚さ10μm)をドライラミネートにより貼り合わせた。次いで実施例1と同条件でフォトリソグラフィー法によりメッシュ形状の銅箔からなる電熱線層を形成した。次いで、電熱線層を積層させた樹脂フィルム層の電熱線層とは反対側の面に対して、コロナ放電処理をした後に、着色層用のインキ組成物(黒色顔料:カーボンブラック(平均粒径24nm)210質量部、バインダー樹脂:塩酢ビ樹脂100質量部、アクリル樹脂100質量部の混合物を含有)をグラビアダイレクト法にて、3度重ね塗り塗工することにより、縦170mm、横100mm、幅20mmの枠状(開口部を有する形状)の着色層(厚さ5μm)を形成した。
更に、当該着色層側の面に、実施例1で使用したプライマー層形成用の樹脂組成物をグラビアリバース法によって塗工して厚さ3μmのプライマー層を形成した。次いで、当該プライマー層上に、実施例1で使用したハードコート層形成用の樹脂組成物を、硬化後の厚さが3μmとなるように塗工し、電子線照射10Mradにて硬化させることによりハードコート層を形成した。更に、電熱線層側の面に、熱融着性アクリル樹脂(ガラス転移点105℃、分子量10万)をダイコート法により厚さが10μmとなるように塗工し、第1接着層を形成した。斯して、第1接着層、電熱線層、樹脂フィルム層、着色層、プライマー層、及びハードコート層が順に積層した有機ガラス積層用シート(ラミネート用シート)を得た。
有機ガラス積層体の製造
前記で得られた有機ガラス積層用シート(ラミネート用シート)を使用して、実施例1と同条件で射出成型を行い、ポリカーボネート基体、第1接着層、電熱線層、樹脂フィルム層、着色層、プライマー層、及びハードコート層が順に積層された有機ガラス積層体を得た。
比較例1
有機ガラス積層用シート(ラミネートシート)の製造
熱融着性アクリル樹脂の代わりに、セパレーター付き粘着フィルムを使用して、ガラス転移温度が15℃で厚み30μmの熱融着性アクリル樹脂からなる第1接着層を形成したこと以外は、実施例1と同条件で、第1接着層、電熱線層、樹脂フィルム層、プライマー層、及びハードコート層が順に積層した有機ガラス積層用シート(ラミネート用シート)を得た。
有機ガラス積層体の製造
厚さ3mmのポリカーボネート板の片面に、前記で得られた有機ガラス積層用シート(ラミネート用シート)を第1接着層がポリカーボネート板側になるように配置した上で、50℃、0.5Mpa、5分間の条件で加熱処理して張り合わせることにより、有機ガラス積層用シートとポリカーボネート板を一体化させた。斯して、ポリカーボネート基体、第1接着層、電熱線層、樹脂フィルム層、プライマー層、及びハードコート層が順に積層された有機ガラス積層体を得た。
2.有機ガラス積層体の性能評価方法
得られた有機ガラス積層体について、通電時の抵抗、発熱効率、耐摩耗性、耐候性、及び通電後の外観について、以下の方法で評価した。
(通電時の抵抗及び発熱効率)
得られた有機ガラス積層体における電熱線層の端部に導電銅箔テープ(日新EM社製)を貼り合わせ、簡易の取出部とした。当該取出部に電源装置をつなぎ、2Vの直流電圧を印加し、抵抗及び発熱効率を算出した。抵抗は、2Vの直流電圧の印加時の電流値から算出した。また、発熱効率は、下記式に従って、2Vの直流電圧の印加による発熱量から算出した。
発熱効率(W/m2)=電圧(2V)×電流値(A)÷有機ガラス積層体の面積(m2
(耐摩耗性)
ASTM D1044-08E1に基づき、摩耗輪にCS−10Fを用い、50rpm、500g荷重の条件に設定してテーバー磨耗試験を行った。テーバー磨耗試験前後の各有機ガラス積層体の4カ所について、ヘーズメータ(日本電色工業製 NDH−2000)を用いてJIS K7136に記載の方法に従ってヘイズを測定し、その平均値を求めた。前記テーバー磨耗試験後のヘイズからテーバー磨耗試験前のヘイズを差し引くことにより、テーバー磨耗試験前後のヘイズ差(ΔH)を求めた。当該ヘイズ差(ΔH)に基づいて、以下の判定基準に従って、耐摩耗性を評価した。
○:ヘイズ差(ΔH)10%未満
×:ヘイズ差(ΔH)10%以上
(耐候性)
得られた有機ガラス積層体を恒温恒湿槽(85℃、相対湿度85%RH)で1000時間保存した後に、JIS K5400に準拠してテープ剥離試験を行い、以下の以下の判定基準に従って、耐候性を評価した。
○:テープ剥離試験によって剥離した表面積が10%未満である。
△:テープ剥離試験によって剥離した表面積が10%以上、50%未満である。
×:テープ剥離試験によって剥離した表面積が50%以上である。
(通電後の外観)
得られた有機ガラス積層体における電熱線層の端部に導電銅箔テープ(日新EM社製)を貼り合わせ、簡易の取出部とした。当該取出部に電源装置をつなぎ、2Vの直流電圧を15分間印加した後に、各有機ガラス積層体のヘイズを測定した。なお、ヘイズは、各有機ガラス積層体の4カ所について、ヘーズメータ(日本電色工業製 NDH−2000)を用いてJIS K7136に記載の方法に従って測定し、その平均値を算出した。
通電後のヘイズから通電前のヘイズを差し引くことにより、通電前後のヘイズ差(ΔH)を求めた。当該ヘイズ差(ΔH)に基づいて、以下の判定基準に従って、通電後の外観を評価した。
○:ΔH<0.5%
△:0.5%≦ΔH<2%
×:2%≦ΔH
3.有機ガラス積層体の性能評価結果
各有機ガラス積層体の性能の評価結果を表1に示す。この結果から、第1接着層のガラス転移点が180〜250℃を満たす有機ガラス積層体(実施例1〜5)は、通電後の白化が認められず、外観が安定で、通電後でも視界を十分に確保できる状態であった。また、実施例1〜5の有機ガラス積層体は、優れた耐摩耗性も備えていた。更に、実施例1〜5の有機ガラス積層体は、車両の窓等の外装用途において十分に許容できる耐候性を備えており、特に実施例2〜5の有機ガラス積層では、格段に優れた耐候性を備えていた。
また、有機ガラス積層体において、金属箔からなる電熱線層を有している場合には、金属微粒子及びバインダー樹脂を含む導電性組成物で形成された場合に比して、通電時の抵抗が低く開口率90%に設定して十分な視野を確保した状態でも、十分な発熱効率を達成することができていた。
1 有機ガラス基体
2 第1接着層
3 電熱線層
4 ハードコート層
5 プライマー層
6 樹脂フィルム層
7 第2接着層
8 着色層
9 離型用フィルム層

Claims (16)

  1. 有機ガラス基体、第1接着層、部分的に設けられた電熱線層、及びハードコート層がこの順に積層されてなり、
    前記ハードコート層が、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物で形成されており、且つ
    前記第1接着層のガラス転移点が80〜250℃である、
    ことを特徴とする、有機ガラス積層体。
  2. 前記電熱線層が、金属箔で形成されている、請求項1に記載の有機ガラス積層体。
  3. 前記電熱線層の線幅が3〜100μmである、請求項1又は2に記載の有機ガラス積層体。
  4. 前記電熱線層の開口率が70%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
  5. 前記ハードコート層の形成に使用される硬化性樹脂が、電離放射線硬化性樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
  6. 前記電熱線層と前記ハードコート層の間にプライマー層を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
  7. 前記電熱線層及び前記ハードコート層の間に、樹脂フィルム層を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
  8. 前記電熱線層及び前記ハードコート層の間に、第2接着層を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
  9. 前記有機ガラス基体からハードコート層の間に、部分的に形成された着色層を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の有機ガラス積層体。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の有機ガラス積層体を製造するために使用される有機ガラス積層用シートであって、
    基材フィルム上に少なくとも第1接着層、部分的に設けられた電熱線層、及びハードコート層が積層されており、
    前記ハードコート層が、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物で形成されており、且つ
    前記第1接着層のガラス転移点が80〜250℃である、
    有機ガラス積層用シート。
  11. 前記基材フィルムが樹脂フィルム層であり、
    前記基材フィルムの一方の面に、基材フィルム側から少なくとも前記電熱線層及び前記第1接着層がこの順で積層され、且つ他方の面に少なくとも前記ハードコート層が積層されており、
    有機ガラス基体上に有機ガラス積層用シート自体を積層させて使用される、請求項10に記載の有機ガラス積層用シート。
  12. 前記基材フィルムが樹脂フィルム層であり、
    少なくとも前記基材フィルム、前記第1接着層、前記電熱線層、及び前記ハードコート層がこの順に積層されており、
    有機ガラス基体上に有機ガラス積層用シート自体を積層させて使用される、請求項10に記載の有機ガラス積層用シート。
  13. 前記基材フィルムが前記ハードコート層と離型可能な離型用フィルム層であり、
    前記離型用フィルム層上に、少なくとも前記ハードコート層、前記電熱線層、及び前記第1接着層がこの順に積層されており、
    有機ガラス基体上に、前記第1接着層、前記電熱線層、前及び前記ハードコート層を転写するために使用される、請求項10に記載の有機ガラス積層用シート。
  14. 請求項10〜13のいずれかに記載の有機ガラス積層用シートを用いて、有機ガラス基体上に、少なくとも第1接着層、電熱線層、及びハードコート層を積層させる積層工程を含む、有機ガラス積層体の製造方法。
  15. 前記積層工程において、請求項10〜13のいずれかに記載の有機ガラス積層用シートに対して、有機ガラス樹脂を射出させる、請求項14に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  16. 前記積層工程において、予め成形された有機ガラス基体に、請求項10〜13のいずれかに記載の有機ガラス積層用シートを圧着させる、請求項14に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
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