JP2016220561A - 半生加工された紅ズワイガニのカニ身およびカニ身の加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】歩留まりの低下を抑えて味も良い紅ズワイガニのカニ身を提供する。【解決手段】カニ身の加工方法であって、殻付きのカニを、沸騰温度よりも低い温度のボイル水で半ボイルする工程(S100)と、半ボイルした殻付きカニを身出しする工程(S200)と、身出ししたカニ身をスチームで加熱する工程(S300)とを含む、加工方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、半生加工された紅ズワイガニのカニ身およびカニ身の加工方法に関する。特に、紅ズワイガニからの取り出し効率を向上させ、味を良くした紅ズワイガニのカニ身に関する。
紅ズワイガニは、日本海西部と韓国東海岸でほとんど漁獲加工されている水産物(カニ)である。紅ズワイガニは、底魚の一種であるということと、生息海域が水深1000メートルくらいの広い範囲であることから、1年のうち10ヶ月間安定して漁獲される。それゆえに、価格も安定しており、資源量の枯渇も少なく、有益な水産資源と言える。つまり、ズワイガニ(松葉ガニ、越前ガニなど)と比較して、価格は安く、資源量の枯渇の危険性が少ない水産物(カニ)である。
紅ズワイガニは、深海魚ゆえの身入りの悪さ、水分量の多さから、ズワイガニと比較して取引者及び消費者から低い扱いを受けており、特に、冷凍解凍後は、美味しくないと2級品・3級品の認知度しか持たれていない。一方、ズワイガニは、身がぎっしり詰まっており、1級品の扱いを受けている。
生の紅ズワイガニは、身の味には甘みがあり、その身の水分の多さも魅力であるが、生の紅ズワイガニをボイルすると、紅ズワイガニ中のエキスは外に流れでてしまい(殻と身の間に隙間も多いこともあわせって)、そして、それを冷凍し解凍した場合、ズワイガニと比較すれば、味は確かに見劣りする。したがって、紅ズワイガニの本来の美味しさを知っている人は、ほんの一部の人であり、大半の人がその本来の美味しさを知らないがゆえに、紅ズワイガニの評価は低いままである。
紅ズワイガニの加工方法としては、特許文献1を挙げることができる。特許文献1では、次のように説明されている。紅ズワイガニの加工品の細菌数を減少させるために最終工程で加熱殺菌を施すと、蛋白質が熱変性し、ドリップ(肉汁)が流出するため、歩留りが低下し、旨味も消失し、紅ズワイガニが持つ独特の風味も損なわれることを述べている。そして、特許文献1では、次のように紅ズワイガニの加工方法を説明している。(1)まず、生の紅ズワイガニを脱甲し、肩の部分から半分に折り水洗いする。その後、約30kgずつカゴに入れ、100℃で約10分間ボイル(煮沸)し、品質劣化を抑えるために冷却する。(2)冷却後の紅ズワイガニの足を切断し、ローラーにて中の身を出す(棒肉)。(3)残りの肩の部分の身をドラム等で押しだし、ペースト状の身を取る(落し身)。
この後、特許文献1の技術では、カニ身に対し、蛋白質の熱変性による歩留り低下を抑制する歩留り保持剤を添加する。具体的には、(4)身出しした紅ズワイガニ落し身1kgに対して、キタンサンガムなどを含む天然ガムを2g添加し混合する。これを適当な容器に入れ、80℃で10分加熱殺菌する。この手法によれば、歩留り保持剤の添加により、加熱殺菌(又はその後の凍結)によって生じる歩留り低下・風味損失・変色等を防止することができ、細菌数の少ない品質の良いカニ加工品を得ることができる。
また、特許文献2には、海老、蟹などの甲殻類の熱処理方法が開示されている。特許文献2では、海老などの甲殻類の熱処理はすべて水煮または蒸煮で行われており、その水煮または蒸煮では、海老や蟹などの旨味や栄養分が流出し、いわゆるドリップが多くて味が落ち、そして、嵩が減少して目減りが多いことが述べられている。このことは、特に熱処理後の冷凍を解凍した場合に多く起こることも述べられている。
そして、特許文献2では、遠赤外線加熱で、味落ち・目減りを解消することはできたものの、甲殻類独特の赤身を得ることができなかったことを踏まえて、甲殻類を加熱室内において水蒸気の存在下で遠赤外線加熱をしている。この手法により、遠赤外線の放射作用にて均一に加熱することができ、鮮やかな赤色の発色を得ることができることが述べられている。
特開平8−205763号公報 特開昭63−129973号公報
本願発明者は、紅ズワイガニのカニ身を、ズワイガニのものと同様の1級品のものにすべく種々の検討を行った。特に、紅ズワイガニの本来の美味しさを消費者に知ってもらうという目的とともに、資源の枯渇が心配されているズワイガニなどの高級カニの保護をも意図して、資源量の多い紅ズワイガニの普及のための加工手法を探索した。
まず、最初の手法は次の通りである。紅ズワイガニを脱甲(甲羅及びその下のエラを除去)した後、殻がある状態でボイルし(中心の身の温度が90℃以上になるまでの温度と時間のボイル)し、次いで、冷却し、紅ズワイガニの身出しを行う。身出ししたカニ身は、選別(検品含む)・パックされた後、チルド状態または冷凍状態にされる。
この場合、生の紅ズワイガニは、沸騰した湯(中心の身の温度を90℃以上にする湯)でボイルされることで、ボイル身となるが、湯でのボイルにより、生のカニ身が保持している美味しいドリップは、ボイル水(湯)に溶け出してしまう。したがって、ボイルした紅ズワイガニのカニ身の味は落ちてしまう。
ボイルした後の紅ズワイガニは、冷却の後に、カニ身の身出し工程にまわされるが、加熱後の加工工程が長時間になると、汚染や細菌繁殖の問題が発生しやすくなる。したがって、細心かつ迅速な取り扱いが求められ、加工の要求レベルが非常に高くなり、その結果、衛生管理レベル、製造設備・作業者の熟練レベルなどが高くなり、製造コストを下げることが難しくなる。
特許文献1に開示された技術を用いる場合、100℃で約10分間ボイル(煮沸)する点において、上述したボイル工程と同じく、ボイルにより、生の紅ズワイガニが保持している美味しいドリップはボイル水(湯)に溶け出してしまう。つまりは、特許文献1の技術でボイルした紅ズワイガニのカニ身の味は落ちてしまう。
さらに、特許文献1の技術では、ボイル・冷却した後の身出しした紅ズワイガニに対して天然ガム(歩留り保持剤)を添加し混合して、次いで、80℃で10分加熱殺菌する。これにより、歩留まりの悪さは防止され、風味損失・変色等を防止することができる。しかしながら、天然ガム(歩留り保持剤)を添加したとしても、100℃で約10分間ボイル(煮沸)していることで落ちた味が回復するわけではない。さらに、身出ししたボイル紅ズワイガニに、天然ガム(歩留り保持剤)を添加することで、本来とは違う味になってしまうという問題もある。
さらに、本願発明者は、殻付きの紅ズワイガニをスチーム加熱してから、ミートに加工する方法も検証した。すなわち、殻付きの紅ズワイガニを約100℃の水蒸気で加熱し、それから、その加熱後の殻付きの紅ズワイガニの身出しを行う方法である。この場合、スチームの加熱温度が100℃近くと高いために、紅ズワイガニのサイズによって過剰加熱や過少加熱が生じる。つまり、紅ズワイガニの大小によって加熱のバラツキが生じるため、加熱のコントロールが非常に難しい。加えて、過小加熱を防ぐために加熱をしすぎる傾向にあるため、紅ズワイガニからの離水が多く、それゆえの歩留まり低下という問題が発生する。なお、大きなサイズの紅ズワイガニにおいて加熱不足が生じたときは、黒変減少が生じる可能性もある。
特許文献2の技術では、甲殻類を加熱室内において水蒸気の存在下で遠赤外線加熱するのであるが、依然として、紅ズワイガニのサイズによる加熱のバラツキが生じるという問題が生じる。さらに説明すると、特許文献2の技術を用いて、紅ズワイガニを完全に加熱して、殻を鮮やかな赤色の発色させた状態で、殻をむいて食べる場合は、過剰加熱気味にして処理すればよい。しかし、水蒸気の存在下で紅ズワイガニを遠赤外線加熱した後に、殻付きの紅ズワイガニの身出しを行う場合は、このときも、紅ズワイガニからの離水が多くて、歩留まり低下という問題が発生する。
本願発明者は、このような状況下で、紅ズワイガニのカニ身を、ズワイガニのものと同様の1級品のものにすべく鋭意検討した結果、歩留まりの低下を抑えて味も良くできた紅ズワイガニのカニ身(殻から身出ししたカニ身)を作ることに成功した。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、歩留まりの低下を抑えて味も良い紅ズワイガニのカニ身を提供することにある。本発明の他の目的の一つは、取り出し効率を向上させるとともに味を良くすることができるカニ身の加工方法を提供することにある。
本発明に係る紅ズワイガニのカニ身は、沸騰温度よりも低いボイル水で殻付きの生の紅ズワイガニを半ボイルした後に、当該半ボイルした紅ズワイガニの殻から身出したカニ身をスチームで加熱した半生カニ身から構成され、前記半生カニ身は、トリプトファンを含んでいる。
ある好適な実施形態において、前記半生カニ身は、沸騰したボイル水でボイルした紅ズワイガニのボイルカニ身と比較して、グリシン、アラニンおよびアルギニンの何れもアミノ酸量が多い。
ある好適な実施形態において、前記半生カニ身の歩留まりの低下割合は、1%以上10%以下である。
本発明に係る食品は、上記の紅ズワイガニのカニ身を備えた食品であり、前記食品は、おにぎり、寿司、サラダ、サンドイッチ、チャーハンおよびピザからなる群から選択される一つである。
本発明に係るカニ身の加工方法は、殻付きのカニを、沸騰温度よりも低い温度のボイル水で半ボイルする工程と、前記半ボイルした殻付きカニを身出しする工程と、前記身出ししたカニ身をスチームで加熱する工程とを含む。
ある好適な実施形態において、前記殻付きのカニは、生の紅ズワイガニであり、前記半ボイルする工程における前記ボイル水の温度は、30℃から90℃までであり、前記身出しする工程において、前記半ボイルした殻付きカニは、ローラーを通すことによって身出しされることによって、殻なしのカニ身が得られる。
ある好適な実施形態において、前記身出しする工程を実行した後の前記カニ身の質量から、前記スチームで加熱する工程を実行した後の前記カニ身の質量の低下割合は、1%以上10%以下である。
前記スチームで加熱する工程において、前記殻なしのカニ身は、飽和水蒸気からなる前記スチームで満たした空間での加熱が行われる。
ある好適な実施形態では、前記スチームで加熱する工程において、前記身出ししたカニ身から離水したドリップ液を回収する工程を実行する。
本発明によれば、殻付きのカニ(特に、生の紅ズワイガニ)を、沸騰温度よりも低い温度のボイル水で半ボイルし、半ボイルした殻付きカニを身出しした後に、身出ししたカニ身をスチームで加熱する。これにより、完全ボイルした紅ズワイガニのカニ身と比較して、歩留まりの低下を抑えて味も良い紅ズワイガニのカニ身(半生カニ身)が得られる。
具体的には、半生カニ身の場合、完全ボイルのカニ身と比較して、カニ身自身の保水状態が良く(カニ身の中に美味しいドリップが残存している)、そして、カニ身の歩留まりも良い。また、カニの味に重要なアミノ酸であるアミノ酸量(グリシン、アラニンおよびアルギニンのアミノ酸量)は、半生カニ身の方が、完全ボイルのカニ身よりも多い。また、完全ボイルのカニ身では検出されないトリプトファンが、半生カニ身には含まれている。
また、本発明では、半ボイルを行うことによって、殻と身と表面付着が剥がれて、その結果、身出しの取り出し効率が向上する。さらに、完全ボイルのカニ身の場合、ボイル後から加工工程がいくつもあるがゆえに加工時間が長くなるが、その加工工程において汚染されやすい。一方、本発明の場合、身出ししたカニ身にスチーム加熱がなされていることから、後工程が早く、人手、機械作業なども少なく汚染や増菌が少ないという効果がある。
本発明の実施形態に係るカニ身の加工方法を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態に係るカニ身の加工方法の一例を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態に係る紅ズワイガニのカニ身(半生スチームカニ身)のアミノ酸及びタウリンの成分表である。 本発明の実施形態に係る実施例と比較例との評価表である。 本発明の実施形態に係るカニ身(半生スチームカニ身)を生産するための蒸気加熱装置100である。 本発明の実施形態に係る蒸気加熱装置100のコンベア部分を示す斜視図である。 蒸気発生装置80の構成を模式的に示す断面図である。 蒸気発生装置80の構成を模式的に示す断面図である。
本願発明者は、紅ズワイガニのカニ身を、ズワイガニのものと同様の1級品のものにすべく種々の検討していたが、カニを食材として提供する場合、いくつかの制約がある。まず、「黒変」(黒く変色すること)の問題を解決しなければならい。紅ズワイガニやズワイガニのカニは、とても黒変を起こしやすく、わずか3時間程度で変色することがある。この黒変減少は、カニ肉に含まれているアミノ酸のチロシンが酸化酵素チロシナーゼの作用により酸化されて、メラニン色素が生成されたために起こる現象である。そして、この黒変は、カニを90℃以上に加熱すると不活性化することができて、防ぐことができる。
つまりは、紅ズワイガニやズワイガニのカニはボイルが不十分であると、黒変が生じてしまい、商品価値が著しく低下するため、少し味は犠牲にしても、十分にボイルする必要がある。ここで、紅ズワイガニは、ズワイガニと比べて水分量が多く、黒変防止のためにボイルを行うと、ズワイガニよりもエキスが外に出てしまう。従って、同じボイル処理を行っても、ズワイガニよりも、紅ズワイガニの方が味が落ちてしまう。一方で、紅ズワイガニのことを考えて、ボイルの時間を短くしたりすれば、黒変の問題が発生してしまう。
また、カニ加工においては、加工処理中のカニ身が長時間常温状態にあると、どんなに衛生管理を徹底しても、細菌が増殖してしまうおそれが高まる。したがって、できるだけ細菌の数を減らしておくためにも、紅ズワイガニのボイル処理は十分にしておきたいところなのが専門家の常識である。そのような常識の中、本願発明者は鋭意検討し、それを改善することを成功し、本発明に想到するに至った。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。以下の図面において
は、説明の簡潔化のために、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する
説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ
等)は、必ずしも実際の寸法関係を正確に反映していない場合がある。
また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要
な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本
発明は、本明細書及び図面によって開示されている内容と当該分野における技術常識とに
基づいて実施することができる。加えて、本発明は、以下の実施形態に限定されるもので
はない。
図1は、本発明の実施形態に係るカニ身の加工方法(取り出し方法)を説明するフローチャートである。本実施形態のカニ身は、紅ズワイガニのカニ身である。紅ズワイガニ(C. japonicus)は、ズワイガニ(Chionoecetes opilio)の近縁種であり、日本海、北朝鮮、ロシアなどで水揚げされている。紅ズワイガニは、ズワイガニと比較して殻が幾分柔らかく薄い。紅ズワイガニは、加熱すると身が縮みやすいが、生の身は甘みが強く、しっかり身の入った紅ズワイの刺身は、ズワイガニよりも美味しいといわれることがある。
本実施形態の加工方法では、殻付きの紅ズワイガニを半ボイルし(工程S100)、次いで、半ボイルした殻付きカニを身出し(工程S200)、その後、身出ししたカニ身をスチームで加熱する(工程S300)。
本実施形態における殻付きの紅ズワイガニは、船から水揚げされた紅ズワイガニ、または、冷蔵(又は冷凍)された紅ズワイガニである。カニの生死は問わないが、ここでは、ボイルされる前のカニである。ボイルされる前のカニのことを、「生のカニ」(または、生カニ)と称することがある。
まず、本実施形態の半ボイル工程(S100)における「半ボイル」とは、沸騰温度よりも低いボイル水でカニを煮沸することをいう。具体的には、生の紅ズワイガニを、例えば30℃から90℃までの温度(典型的には50℃前後、一例では45℃から65℃)のボイル水でボイルする。沸騰しているボイル水(約100℃)でボイル(完全ボイル)するのと異なり、半ボイルでは、カニの中心の身の温度(芯温)が30℃〜90℃におさまるようにボイルする。ボイル時間は、例えば50℃くらいの中温度で所定時間の範囲内で設定する場合と、90℃くらいの高温度で短時間ボイルする場合で変わってくるが、カニの大きさ、カニの量、ボイル水の量などを考慮しながら、適宜好適な時間を選択したらよい。
次に、身出し工程(S200)において、半ボイルした紅ズワイガニ(殻付きの紅ズワイガニ)から、カニ身を取り出す。紅ズワイガニの場合、足棒のカニ身は、ローラーで挟んで身を搾り出すことによって取り出される。また、肩部のカニ身は、メッシュローラーとベルトで肩部を挟むことで取り出される。紅ズワイガニの殻は柔らかく、また殻と身の間隔も、ズワイガニと比較したら多いので、ローラーによってカニ身を取り出すことができる。なお、ローラーを用いずに、人手によって紅ズワイガニの身を取り出すことも可能である。
その後、スチーム工程(S300)において、身出ししたカニ身をスチームで加熱する。本実施形態では、身出ししたカニ身は、スチームで加熱されることにより、半生カニ身(または、半生ボイルスチームカニ身)となる。半生カニ身は、半ボイル後にスチームで加熱されることにより、完全ボイルのカニ身でないにもかかわらず、黒変が防止され、さらに、カニ身の表面に対してスチームで直接加熱処理がなされるために細菌増殖防止の効果が高い。また、殻付きの生カニをスチーム加熱する場合は、カニのサイズのバラツキがそのまま加熱ムラにつながるが、本実施形態の場合は、殻付きのカニ全体ではなく、身出ししたカニ身をスチーム加熱するので、均一の加熱を行うことが容易である。
従来の手法では、殻の付いた状態で高温(約100℃)で完全ボイルした後に身出しをして、殻と身を分離していた。一方、本実施形態の半生カニ身では、完全ボイルは行わずに、半ボイルの加熱で半生状態にしてから、身出しをして、その取り出した身だけをスチーム加熱する。本実施形態の手法で、半生加熱(半ボイル加熱+スチーム加熱)すると、カニ身自身の保水状態がよく、すなわち、完全ボイル品と比較して、身の中に含まれる美味しいドリップが残存している。
さらに、半ボイル工程(S100)を行うと、半ボイルした後の殻付きのカニは、殻と身との間の表面付着が剥がれて、身出しが良くなるということがわかった。これにより、身出し工程(S200)の効率が高まるので、カニ加工全体のスループットも向上する。また、半ボイルによって殻が柔らかくなり、また殻が割れにくくなるので、それによって、身出し工程(S200)の効率が高まる。さらに、割れにくくなることで、殻がカニ身の中に混入することが少なくなり、その結果、取引者や消費者からの苦情も減少する。
また、本実施形態の加工方法で得られたカニ身(半生カニ身)は、完全ボイルしたカニ身と比較して、味もよいことがわかった。具体的には、半生カニ身のアミノ酸成分を分析すると、カニの美味しさの指標となるグリシン、アラニンおよびアルギニンの3つのアミノ酸量の全てにおいて、完全ボイルのカニ身よりも、数値が高い。さらに、本実施形態の半生カニ身の場合、完全ボイルしたカニ身では検出されなかったトリプトファンが検出された。したがって、身出しされたカニ身にトリプトファンが含まれている場合は、本実施形態の加工方法を使用して得られたものと推測される可能性が高いものである。
また、本実施形態のカニ身(半生カニ身)の歩留まりの低下割合は、1%以上10%以下であり、したがって、歩留まりが良く、商品価値が高い。すなわち、カニ加工品においては、質量で取引されるため、生カニから加工することによって、質量が減れば減るほど、商品価値は下がってしまうため、歩留まりが良い加工方法の技術的意義は大きい。ここでの歩留まりの低下割合は、半ボイル工程(S100)の後のカニ身の質量を基準にしている。つまり、半ボイル工程(S100)の後のカニ身の質量から、スチーム工程(S200)のカニ身の質量の変化が、歩留まりの低下割合である。歩留まりが良い理由としては、殻付きボイルの場合、殻にも加熱エネルギーが必要であるため時間がかかるが、それに対して、身出ししたカニ身だけの場合は、殻付きの場合の1/2〜1/3の質量であるので、カニ身が吸収する熱エネルギー量が増えて、加熱の時間を短くできるからである。本実施形態の手法を用いると、歩留まりの向上が2〜10%見られる。
本実施形態の加工方法によれば、殻付きのカニ(生の紅ズワイガニ)を半ボイルし(S100)、半ボイルした殻付きカニを身出しした後に(S200)、身出ししたカニ身をスチームで加熱する(S300)。これにより、完全ボイルした紅ズワイガニのカニ身と比較して、歩留まりの低下を抑えて味も良い紅ズワイガニのカニ身(半生カニ身)を得ることができる。
さらに、完全ボイルのカニ身の場合、ボイル後から加工工程がいくつもあるがゆえに加工時間が長くなるが、その加工工程において汚染されやすい。一方、本実施形態の手法の場合、すでに身出しした後のカニ身にスチーム加熱がなされていることから、後工程が早く、人手、機械作業なども少なく汚染や増菌が少ないという効果がある。
次に、図2を参照しながら、本実施形態のカニ身の加工方法の一例をさらに説明する。図2は、本実施形態の加工方法の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、生の紅ズワイガニを用意し、そして脱甲する(S80)。具体的には、紅ズワイガニの甲羅、その下のエラ、蟹ミソを除去する。なお、甲羅および蟹ミソは回収して利用する。甲羅は、例えば、カニグラタン等の容器に利用できる。蟹ミソは、例えば、蟹ミソ商品の原料となる。
次に、脱甲した紅ズワイガニをセクション状態にする(S90)。この例では、甲羅下に位置する肩部およびカニ足棒5本とを一つの部分(セクション)にする。セクション状態になった生カニは、次の半ボイル(S100)のために整列した状態にされる。例えば、コンテナに一定数量(数kg)詰められた形態にされたり、あるいは、ベルトコンベヤに配列されたりする。肩部およびカニ足棒5本を1つの塊(セクション)にする場合もあるし、肩部を一つの塊(セクション)、カニ足棒5本を一つの塊(セクション)にする場合もある。
次に、セクション状態の生カニを半ボイルする(S100)。半ボイルでは、カニ身の芯温が30℃〜90℃の間でボイルするようにし、完全ボイルと同じような状態になる前にボイルは止める。コンテナに生カニを入れて半ボイルする場合は、バッチ式で、コンテナ内の生カニ(セレクション状態)をボイルする。ベルトコンベア(又はネットコンベア)で半ボイルする場合、連続式で、生カニ(セレクション状態)をボイルする。半ボイル(S100)は、完全ボイルと比べると、ボイル時間(または、ボイルエネルギー)が短くなるのでエネルギー効率が良く、ひいては加工コストを下げることができる。
次に、半ボイルしたカニを冷却する(S110)。この冷却工程(S110)によって、半ボイル加熱した熱を下げる。半ボイル工程(S100)において、コンテナで半ボイルした場合は、コンテナをボイル釜から上げて、コンテナを室温で自然冷却させる。ベルトコンベアでボイルした場合は、半ボイルしたカニ身を所定位置に配置(配列)させて室温で自然冷却させる。
次に、熱を下げて取り扱いが容易になった殻付きカニから、カニ身を身出しする(S200)。紅ズワイガニの身出しは、ローラー(またはそれに相当する機器)を用いて行うことができる。半ボイルによって殻は柔らかくなって身出しの効率又はスピードは向上し、さらに、殻の割れがなくなることでも、身出しの作業の効率性が向上する。身出しされたカニ身は、次のスチーム加熱の準備のために、容器(耐熱容器)に入れておく。その容器は、例えば、耐熱プラスチック製の容器(コンテナ、バット)、または、ステンレス製の容器である。耐熱性の容器の上部は、開放式であっても、蓋がある形態であってもいずれでもよい。なお、スチーム加熱の前に、身出ししたカニ身に、調味料、PH調整剤、黒変防止剤(二酸化硫黄、ビタミンC)などを混ぜておくことも可能である。
次に、身出ししたカニ身をスチーム加熱する(S300)。具体的には、カニ身を定量(例えば、1kg)耐熱容器に入れて、その容器をスチーム(蒸気)で蒸し上げる。本実施形態では、90℃以上のスチーム加熱雰囲気の中にカニ身(耐熱容器の中のカニ身)を入れて、カニ身の温度が90℃以上になるまで加熱する。なお、カニ身に対して黒変防止剤を許容限度以上に配合する場合は、80℃程度または80℃以上の加熱温度でもよい場合がある。
本実施形態のスチーム加熱(S300)では、スチームはボイラー蒸気ではなく、飽和水蒸気からなるスチーム(湯気)で加熱することが好ましい。本実施形態では、飽和水蒸気からなるスチーム(湯気)で満たした空間に、身出ししたカニ身を配置することによって加熱を行う。
ボイラー蒸気(ボイラーにて高圧で加熱した高温の蒸気)をカニ身に吹き付ける場合には、流速の速いボイラー蒸気がカニ身によくあたる部分とそうでない部分との差が激しく、美味しい加熱食品とはなりにくい。また、その流速の速いボイラー蒸気の場合、加熱制御が非常に困難を極め、カニ身(食品)の加熱という非常に繊細な温度管理(加熱温度制御)に向いていない。さらには、ボイラー蒸気は不純物(例えば、強アルカリ成分)を含むので、ボイラー蒸気がカニ身(食品)にあたると、味に影響を与えてしまう。また、ボイラー蒸気には空気が含まれているので、その空気が断熱材として機能し、加熱ムラも生じる。
本実施形態のスチーム加熱(S300)で用いる蒸気は、ほぼ大気圧(微圧蒸気)の湯気(飽和水蒸気)であり、高温高圧のスチーム蒸気とは異なって、空気の含有率も少ない。本実施形態の蒸気は、例えば0.12MPaA(104℃)またはその周辺の湯気(クリーンスチーム)であり、強アルカリなどの不純物を含まない蒸気(湯気)である。また、流速が遅いので温度の制御コントロールがしやすい。その結果、緻密に温度制御できるので、カニ身を構成するタンパク質の変性を抑えた美味しい食品を製造することができる。加えて、本実施形態の構成では、湯気を用いた実質的に大気圧の動作であるので、安全面での利点が大きい。すなわち、高温高圧のボイラー蒸気を用いた場合、開放型の加熱装置を構築することは難しく、そして、高温高圧のボイラー蒸気を用いた加熱装置の場合は、常圧の加熱装置と比べて、装置構成や動作に工夫が必要である。一方、本実施形態の構成の場合には、常圧の湯気を用いるので、安全に動作させることができる。
本実施形態のスチーム加熱(S300)の一つの手法は、バッチ式である。密閉装置(密閉可能な加熱釜)の中にカニ身(耐熱容器の中に配置されたカニ身)を入れて、その密閉装置内を、90℃以上のスチーム加熱雰囲気にして、カニ身の温度が90℃以上になるまで加熱する。もう一つの手法は、ベルトコンベアの上にカニ身(耐熱容器の中に配置されたカニ身)を配列して、そのベルトコンベアを動かして、90℃以上のスチーム加熱雰囲気にカニ身を通過させて、カニ身の温度が90℃以上になるまで加熱する。このスチーム加熱によって、カニ特有の赤みを強くすることができ、見た目も美味しそうにすることができる。
加熱によってカニ身からドリップ(肉汁)がでるが、そのドリップは耐熱容器内で保持されるので、カニ身の歩留まり低下を抑制することができる。また、飽和水蒸気由来のスチーム(湯気)による加熱は、カニ身の温度を上昇させる工程であっても、カニ身の乾燥を抑制することができる(いわゆる蒸し工程)。従って、カニ身の水分量を多くすることができ(歩留まりも良く)、カニ身の乾燥を抑制して、その結果、美味しいカニ身にすることができる。
ここで、スチーム加熱(S300)後のカニ身から出たドリップ(肉汁)は、耐熱容器に保持されるが、このドリップは、カニエキスとしての利用度が高い。具体的には、本実施形態のドリップのBRIXは高い(BRIX:3〜7)。したがって、このドリップは、カニエキスとして再利用することができ、そして、このドリップからカニエキスを作る場合は、カニエキスを作るための作業時間は短く、そのエネルギーコストは低く、またそのエキスの味もよい。一方、完全ボイルした場合に得られるドリップはBRIXが低く(BRIX:1〜3)、カニエキスにするのに時間は長くかかり、エネルギーコストは多くなり、しかも、味も良くない。本実施形態の手法は、カニエキス製造方法としても利点が多く、そして、そのカニエキスは味もよい。当該カニエキスは、濃縮エキスにして、カニ身の調味料や、単独でのカニ風味の味付け液として使用すると、さらに美味しくなる。濃縮手法としては、真空低温濃縮が好ましい。
なお、「BRIX」(またはBRIX値)とは、食品産業のワイン、精糖、果実農業などで、ショ糖(いわゆる砂糖)、果糖、転化糖、ブドウ糖など、いわゆる糖の含有量を測るために、糖度として用いられる物理量である。BRIX値は20℃のショ糖溶液の質量百分率に相当する値で定められている。ショ糖1gのみを溶質として含む水溶液100gをBRIX屈折計で測定したとき、その示度BRIX値が1%である。つまり、質量分率30%のショ糖溶液(100gの溶液中に30gのショ糖(水は70g))では、BRIX値が30%となる。BRIX値は、一般的には、糖度として認識されている。
スチーム加熱工程(S300)後、そのカニ身(半生カニ身、又は、半生スチームカニ身)の良品を選別して、パックにつめる(S400)。スチーム加熱工程(S300)において、本実施形態では、カニ身を身出しした後にカニ身の表面を加熱しているので、完全ボイルだけをしたカニ身(完全ボイル品)と比較して、汚染や増菌が少ない。つまりは、完全ボイルの場合は、その後に身出しをして、良品を選別してパックに詰めることになるので、加熱後の加工工程が長くなり、その長い工程の作業によってカニ身は汚染されやすくなり、また増菌もされやすくなる。一方、本実施形態の場合、カニ身を身出しした後にカニ身の表面を加熱しているので、後工程が短く、汚染や増菌が少ないという利点がある。
その後、必要に応じて、チルド保存または凍結保存する(S410)。チルドまたは凍結されたカニ身(半生カニ身)は、出荷まで倉庫に配置しておくか、あるいは、直ちに出荷する。本実施形態のカニ身(半生カニ身)は、汚染や増菌が少なく、食品廃棄のリスクが低いという利点がある。
本実施形態の紅ズワイガニのカニ身(半生カニ身)は、完全ボイルしたカニ身と比較して味も良い。味が良いという証拠の一つとして、図3にアミノ酸分析の表を示す。図3に示した表は、アミノ酸18種類とタウリンについて、比較例(完全ボイルのカニ身)と実施例(半生カニ身)とを比較したものである。図3中の各成分において、左の棒グラフが比較例で、右の棒グラフが実施例である。
図3に示すとおり、実施例(半生カニ身)は、カニの美味しさの指標となるグリシン、アラニンおよびアルギニンの3つのアミノ酸量の全てにおいて、比較例(完全ボイル)よりも数値が高い。したがって、実施例の方が、比較例よりも、カニの美味しさが引き立っていることが理解できる。さらに、実施例の場合、比較例では検出されなかったトリプトファンが検出された。したがって、カニ身にトリプトファンが含まれている場合は、本実施形態の加工方法を使用して得られたものと推測される可能性が高い。
加えて、実施例は、比較例よりも、歩留まりがよいので、それだけ、生の紅ズワイガニに保持されていたる美味しいドリップを味わうことができる。さらに説明すると、生の紅ズワイガニは、身の味には甘みがあり、その身の水分の多さも魅力であるが、その生の紅ズワイガニを食べることができるのは、漁港に近い一部の限られた人だけであった。そして、生の紅ズワイガニをボイルすると、エキスが外に流れでてしまい、味が見劣りして、紅ズワイガニの評価は低いままであった。しかしながら、本実施形態の手法を用いた紅ズワイガニ(半生カニ身)では、ボイルしているにもかかわらず(すなわち、半ボイルとスチーム加熱)、美味しいドリップを保持して水分量の多い味の良い紅ズワイガニ(カニ身)を食べることができる。この紅ズワイガニ(半生カニ身)は、チルド保存または冷凍保存の状態で、全国に出荷できるので、いままで評価の低かった紅ズワイガニの評価を一変させるカニ身(半生カニ身)を、広く、全国(場合によっては海外にも)流通させることができる。
実施例のカニ身(半生カニ身)と、比較例(完全ボイル)のカニ身を試食して評価した結果を図4に示す。評価したカニ身は、味の違いがよく分かるように(または、全国で流通する場合を考慮して)、一度、冷凍して解凍したものを用いた。
なお、実施例1および比較例1は、棒足ミートであり、そして、実施例2及び比較例2は、肩ミートである。評価は4点法として、大変良い(4点)、良い(3点)、普通(2点)、良くない(1点)とした。試食者は、男女あわせて8人である。
図4に示すように、実施例1(棒足ミート)は、全員満点(4点)の32点(平均4.0点)であった。一方、比較例1(棒足ミート)は、全員3点の24点(平均3.0点)であった。つまり、実施例1の方が、比較例1よりも、1ランク上の美味しさであるという評価(1.3倍の評価)になった。
また、実施例2(肩ミート)は、3点と4点を含む評価で、合計29点(平均3.6点)であった。一方、比較例2(肩ミート)は、1点と2点を含む評価で、合計13点(平均1.6点)であった。つまり、実施例2は、比較例2よりも、2ランク上の美味しさであるという評価(2.2倍の評価)になった。
アミノ酸・タウリンの数値、水分保水量(歩留まり、ドリップの量)、そして、試食者による実際の味の評価ともに、実施例のカニ身が、比較例よりも美味しいことが示された。
本実施形態のカニ身(半生カニ身)は、そのまま、ボイル(半ボイル)がされていてもドリップが多いので、カニの刺身のようにして食することができる。また、本実施形態のカニ身は、調理食材として使用することができる。例えば、カニおにぎりの具材、寿司、サラダのトッピング具材、サンドイッチの具材、チャーハンの具材、冷凍食品の具材、ピザの具材などに使用することができる。なお、本実施形態の一例としては、カニ身の具材だけでなく、おにぎり、寿司、サラダ、サンドイッチ、チャーハン、ピザなどの形態として、取引者ないし消費者に提供することができる。
本実施形態においては、生のカニとして、紅ズワイガニを用いた。これは、ズワイガニと比較して、紅ズワイガニの方が商品価値が低い(安い)ことに起因している。そして、その紅ズワイガニの商品価値を上げることは、消費者の人が安くて美味しいものが食べられるということとともに、紅ズワイガニは価格も安定しており資源量の枯渇も少ないことから、技術的・資源的な側面からもメリットが多い。そして、紅ズワイガニは、決して、ズワイガニに劣るものではなく、本実施形態の手法で加工・生産されたカニ身(半生カニ身)によって、紅ズワイガニの美味しさが再認識されることになると期待される。このことは、ズワイガニなどのカニの資源枯渇の抑制にも働くものである。
なお、本実施形態では、紅ズワイガニを用いたが、ズワイガニ、タラバガニなどの他のカニ(甲殻類)のものでも、半ボイルおよびスチーム加熱の処理を行うことは可能である。しかしながら、商品価値の向上の面、資源枯渇の観点などを考慮すると、本実施形態のカニとして、紅ズワイガニを用いることが好適である。特に、本実施形態の紅ズワイガニのカニ身(半生カニ身)は、味も一級品であり、ズワイガニなどの高級カニと比較しても同じレベルの美味しさである。
本実施形態では、半ボイル工程(S100)およびスチーム加熱工程(S300)を実行する。ここで、半ボイル工程(S100)は、ボイル水の温度およびボイル時間の管理または比較的容易であるので、半ボイル工程を高い精度で制御して実行することはそんなに難しいことではない。一方、スチーム加熱工程(S300)は、気体(水蒸気)による温度管理であり、できるだけ、加熱空間にムラがなく均一で、温度制御を良好に行うことが望ましい。
スチーム加熱工程(S300)では、例えば、バッチ式のボイラー蒸気を減圧したスチームを直接使用することが可能である。また、バッチ式でなく、連続式のボイラー蒸気を減圧したスチームを直接使用することも可能である。ボイラー蒸気の中の不純物がカニ身に付着することを避けたい場合には、高温高圧のボイラー蒸気で加熱源として蒸気を発生させる間接蒸気発生装置を用いて、その蒸気でカニ身を加熱してもよい。
本実施形態の一つの構成例では、図5に示すような蒸気加熱装置100を使用することができる。図5は、本実施形態の蒸気加熱装置(加熱装置)100の側面構成を示している。また、図5は、本実施形態の加熱装置100と、加熱装置(蒸し処理装置)100に蒸気を送り込む蒸気発生装置80との組み合わせを示した図である。
本実施形態の加熱装置100は、被加熱物(カニ身入りの容器)を移送する移送装置10と、移送装置10の上方を覆うドーム部20と、ドーム部20の下方に位置する土台部30とから構成されている。移送装置10では、コンベア(ベルトコンベア)によって、被加熱物を移動させることができる。また、本実施形態の構成では、ドーム部20と土台部30とによって囲まれた空間50に蒸気45を導入する蒸気導入部42、43が設けられている。カニ身入りの容器は、コンベアによって、蒸気45の加熱空間(密閉空間、または、ほぼ密閉空間)50の中を通って、その空間50でスチーム加熱がなされる。
本実施形態の土台部30は、移送装置10のコンベアが移動する領域36を規定する水平部材35を備えている。また、土台部30は、台座60の上に配置されており、台座60の地面に接する部分には、車輪(またはストッパ)66が配置されている。本実施形態の移送装置10は、被加熱物を加熱装置100内において上流(100a)から下流(100b)に向けて移動させる搬送装置である。移送装置10は、加熱装置100の入口開口部99a(上流100a)からスタートして被加熱物を加熱装置100の内部に入れ、次いで、加熱装置100の内部において被加熱物を移動させ、最後に、加熱装置100の出口開口部99b(下流100b)から被加熱物を出す。
本実施形態の移送装置10は、耐熱式の搬送装置であり、例えば、ベルトコンベア式搬送装置、ローラーコンベア式搬送装置、チェーンコンベア式搬送装置、ネット式搬送装置などである。図示した移送装置10は、金属製のローラーピンが平行に配置された構成で、各ローラーピンがチェーンに接続され、そのチェーンが無限軌道式(キャタピラー式)に移動するチェーンコンベア式の搬送装置であるが、特にそれに限定されるものではない。金属製のネットを移動させるような方式でもよいし、複数の回転ローラーで被加熱物を移動させてもよい。
図5に示した構造では、加熱装置100の入口100a(99a)および/または出口100b(99b)の付近に排気室70が設けられている。排気室70は、加熱装置100の空間50内の蒸気45を排気するための塔状の部屋である。排気室70の隣には(この例では、上流および下流の両方)、風除室72が配置されている。風除室72は、加熱装置100の入口100a(99a)および/または出口100b(99b)から入ってくる空気の流れを遮断する部屋である。この風除室72によって、空間50内の蒸気45が、外から入ってくる空気の影響を受けにくくなり、安定して均一な加熱処理工程を実行しやすくなる。なお、風除室72は、排気室70の隣の何れか一方に設けておけばよいが、両隣に設けた方が効果が大きくなる。
また、排気室70ではなく、図6に示すように、出口99bに風除けフード161を設けた構成にしてもよい。図6は、本実施形態の加熱装置100の出口99b周辺の構造の一例を示す斜視図である。この例では、移送装置10は、ローラーピン11およびチェーンコンベア15の組み合わせから構成されている。移送装置10は、方向変換ローラー19によって折り返されて、入口99aの方に戻っていく。
加熱装置100に送り込む蒸気は、ボイラーで発生させたボイラー蒸気で構わないのであるが、ボイラー蒸気には次のような欠点があるので、本実施形態の蒸気発生装置80を用いることが好ましい。
まず、ボイラー蒸気(高温高圧の蒸気)を加熱装置100に導入して、被加熱物(カニ身、または、カニ身入りのコンテナ)に吹き付ける場合、流速の速いボイラー蒸気が被加熱物によくあたる部分とそうでない部分との差が激しく、美味しい加熱食品とはなりにくい。また、その流速の速いボイラー蒸気の場合、加熱制御が非常に困難を極め、食品の加熱という非常に繊細な温度管理(加熱温度制御)に向いていない。さらには、ボイラー蒸気は不純物(例えば、強アルカリ成分)を含むので、ボイラー蒸気が食品にあたると、味に影響を与えてしまう。また、ボイラー蒸気には空気が含まれているので、その空気が断熱材として機能し、加熱ムラも生じる。
本実施形態の蒸気発生装置80で発生させる蒸気は、ほぼ大気圧(微圧蒸気)の湯気(飽和水蒸気)である。すなわち、蒸気発生装置80で発生させる蒸気(湯気)は、高温高圧のスチーム蒸気とは異なって、空気の含有率も少ない。本実施形態の蒸気発生装置80では、熱交換器81(言い換えると、蒸気間接加熱方式の湯気発生装置)を用いて、例えば0.12MPaA(104℃)の湯気(クリーンスチーム)を発生させているので、不純物を含まない蒸気(湯気)を生成することができるとともに、流速が遅いので温度の制御コントロールがし易い。その結果、緻密に温度制御できるので、タンパク質の変性を抑えた美味しい食品を製造することができる。加えて、本実施形態の構成では、実質的に大気圧の動作であるので、安全面での利点が大きい。すなわち、高温高圧のボイラー蒸気を用いた場合には、開放型の加熱装置100を使う場合に工夫が必要であるが、本実施形態の構成の場合には、安全で、かつ、簡便に連続運転(コンベア式の運転)を行うことができる。
本実施形態における「湯気」は、ボイラー蒸気のような高圧蒸気ではなく、微圧蒸気のことを意味する。換言すると、ここでいう「湯気」は、高温高圧のスチーム蒸気と異なり、微圧力の蒸気(例えば、絶対圧力0.12MPaA以下の蒸気)である。なお、「湯気」は微圧力の蒸気であることを特徴としており、湯から立ち上る蒸気(水蒸気)であればよく、その蒸気が小さな水滴となって白く煙になるような状態であることまで限定されるものではない。すなわち、湯気は、白い煙のような状態であってもよいし、透明の状態であってもよい。
加熱装置100に接続される蒸気発生装置(80)は、一定の量の水(または液体)を加熱手段(例えば、ボイラー、電熱ヒータ、高周波加熱装置など)で加熱して、そこで湯気を発生させる方式を採用することができる。さらに好ましい形態としては、図7及び図8に示した構成のものである。蒸気発生装置(湯気発生装置)80において安定して湯気(微圧蒸気)を発生させるには、湯気発生部81内の水位(液面)を一定に揃えておくことが、制御し易くて好ましい。そのような蒸気発生装置80を以下説明する。
本実施形態の蒸気発生装置80は、ボイラー装置85からのボイラー蒸気を熱交換器81に送り込んで、そこで発生させた蒸気を連絡配管86へと導いて、そこから、加熱装置100に導入する。図11に示した例では、蒸気供給配管43および蒸気導入部42への接続を表しているが。なお、本実施形態の蒸気発生装置80は、蒸気を安定して発生して連続供給できるように次のような構造を有している。
図7は、本実施形態の蒸気発生装置80の構成を模式的に示す断面図である。蒸気発生装置80は、液体(水)82aが蓄えられる貯水タンク82と、貯水タンク82に連通管83を通して接続された熱交換器(湯気発生部)81とから構成されている。熱交換器(湯気発生部)81は、貯水タンク82から供給される液体82aを加熱することによって湯気80aを発生させることができる。そして、図示した蒸気発生装置80では、貯水タンク82における液体82aの水位WL1と、熱交換器81における液体82aの水位WL2とは互いに一致している。水位WL1とWL2とが一致するのは、連通管83を用いることで、パスカルの原理を利用しているからである。
さらに説明すると、図示した湯気発生部81は、熱交換器であり、互いに独立する液体経路81aおよび蒸気経路81bを有している。この熱交換器(湯気発生部)81では、液体経路81aを流動する液体と蒸気経路81bを流動する加熱用蒸気との間で熱交換が行われる。熱交換器81の蒸気経路81bには、ボイラー85からの高圧蒸気(ボイラー蒸気)が導入される。一方、熱交換器81の液体経路81aは、連通管83を通して開放貯水タンク82に接続されている。開放貯水タンク82は、水位を示す水位表示器(例えば、浮き球)82bが設けられている。ここでの開放貯水タンク82とは、大気圧状態という意味であり、開放貯水タンク82に蓋などがされていても構わない。
また、開放貯水タンク82には、液体(水)を供給するための配管(例えば、水道管)82cが接続されている。上述したように、貯水タンク82と液体経路81aとは連通管83によって接続されているので、貯水タンク82の水位(WL1)と液体経路81aの水位(WL2)が一致している。したがって、本実施形態の構成によれば、大気圧を利用して簡便に水位(液面レベル)WL2の制御を行うことが可能となる。
また、蒸気発生装置(湯気発生装置)80は、図8に示すようなものを採用することも可能である。図8に示した湯気発生装置80は、湯気発生部81を備えている。湯気発生部81は、液体82aを加熱する電熱ヒータ81dと、電熱ヒータ81dを収納し、液体82aを保持するハウジング81cとから構成されている。そして、ハウジング81cと貯水タンク82とは連通管83で互いに接続されている。また、ハウジング81cと、貯水タンク82とは連通管83で互いに接続されていることから、上述した図12に示した装置と同様に、大気圧によって、ハウジング81c内の液体の水位(WL2)と、貯水タンク82内の液体82aの水位(WL1)は一致した状態となっている。したがって、図13に示した構成によっても、大気圧を利用して簡便に水位(液面レベル)WL2の制御を行うことが可能となる。
さらに説明すると、貯水タンク82には、液体82aを補給する補給タンク82dが配管82cを介して接続されている。貯水タンク82の液体82aが消費されると、適宜、補給タンク82dから液体82aが補給される。この例では、貯水タンク82には、液体82aの水位(WL1)を示す水位表示器(例えば、浮き球)82bが設けられている。したがって、この水位表示器82bを利用して、水位表示器82bで示された水位(WL1)に応じて、補給タンク82dから液体82aを補給することができる構成にすることが可能である。また、補給タンク82dに水道口(不図示)を接続して、補給タンク82dに水道水を導入することも可能である。なお、補給タンク82dを用いずに、貯水タンク82に水道口を接続して、水道口から液体82aを補給することも可能である。
また、図8に示した例では、連通管83は、貯水タンク82側に少なくとも2つの接続端を有している。この例の連通管83(83a、83b)は、2本の構成からなっている。あるいは、言い換えると、連通管83は、二股の構成となっており、連通管83a、83bのそれぞれの一端は、貯水タンク82に接続されており、連通管83の共通した他端はハウジング81cに接続されている。水位(WL1、WL2)と一致させて制御するのであれば、連通管83は一本だけで十分であるが、連通管83を複数本または分岐した構成にすると、ハウジング81c内の液体82aの液面が一時的に揺れてしまうことを抑制することができる。
詳述すると、連通管83が一本のときは、連通管83が分岐している場合(83a、83b)と比較すると、間欠な流入になりやすく、そのときは、ハウジング81c内の液体82aの液面が一時的に揺れてしまうことが発生する。一方、連通管83a及び83bのように分岐させると、間欠な流入を抑えることができ、その結果、連通管83からハウジング81c内への液体82aのスムーズな流入を達成することができる。したがって、ハウジング81c内の液体82aの液面が揺れることを抑えることができるので、湯気発生部81内の液面を安定させることが容易となる。すなわち、この構成においては、連通管83bを間欠防止用の配管として使用している。
湯気発生部81のハウジング81cには、電熱ヒータ81d(例えば、プラグヒータ、フランジヒータなど)が挿入されており、電熱ヒータ81dが液体82aを加熱することによって、液体82aから湯気80aが生成される。湯気発生部81では、動作時に実質的に大気圧と同じ内部圧力(例えば、1.2気圧以下の内部圧力)で加熱が実行される。ハウジング81cは、金属(例えば、ステンレスなど)から構成されており、ハウジング81cの後方部から電熱ヒータ81dは差し込まれている。電熱ヒータ81dには、電熱面積を大きくするためのフィン81eが取り付けられており、本実施形態では、電熱ヒータ81dに複数のフィン81eが取り付けられている。
湯気発生部81で発生した湯気は、ハウジング81cから配管81fに進み(矢印80a参照)、その後、加熱装置100に接続するための配管80bに導入される。湯気は、微圧力の蒸気であるので、高温高圧のスチーム蒸気と異なり、配管80b内をゆっくりと進んで、加熱装置100の空間50内に到達する。本実施形態の電熱ヒータ81dは、例えば、数キロワット程度の電熱ヒータ(例えば、プラグヒータ、フランジヒータなど)である。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、本実施形態の加熱装置100において、蒸気45の中に、調味料および/または発色剤となるものを加えて、蒸し工程とともに味付けおよび/または色づけを行う処理を実行しても構わない。
本発明によれば、歩留まりの低下を抑えて味も良い紅ズワイガニのカニ身を提供することにある。
10 移送装置
11 ローラーピン
15 チェーンコンベア
19 方向変換ローラー
20 ドーム部
30 土台部
35 水平部材
42 蒸気導入部
43 蒸気供給配管
45 蒸気
50 蒸気加熱空間
60 台座
70 排気室
72 風除室
80 蒸気発生装置(湯気発生装置)
81 熱交換器(湯気発生部)
82 貯水タンク(開放貯水タンク)
83 連通管
85 ボイラー
86 連絡配管
100 蒸気加熱装置(加熱装置)

Claims (9)

  1. 紅ズワイガニのカニ身であって、
    沸騰温度よりも低い温度のボイル水で殻付きの生の紅ズワイガニを半ボイルした後に当該半ボイルした紅ズワイガニの殻から身出したカニ身をスチームで加熱した半生カニ身から構成され、
    前記半生カニ身は、トリプトファンを含んでいる、紅ズワイガニのカニ身。
  2. 前記半生カニ身は、沸騰したボイル水でボイルした紅ズワイガニのボイルカニ身と比較して、グリシン、アラニンおよびアルギニンの何れもアミノ酸量が多いことを特徴とする、請求項1に記載の紅ズワイガニのカニ身。
  3. 前記半生カニ身の歩留まりの低下割合は、1%以上10%以下である、請求項1または2に記載の紅ズワイガニのカニ身。
  4. 請求項1または2に記載の紅ズワイガニのカニ身を備えた食品であって、
    前記食品は、おにぎり、寿司、サラダ、サンドイッチ、チャーハンおよびピザからなる群から選択される一つである、食品。
  5. カニ身の加工方法であって、
    殻付きのカニを、沸騰温度よりも低い温度のボイル水で半ボイルする工程と、
    前記半ボイルした殻付きカニを身出しする工程と、
    前記身出ししたカニ身をスチームで加熱する工程と
    を含む、加工方法。
  6. 前記殻付きのカニは、生の紅ズワイガニであり、
    前記半ボイルする工程における前記ボイル水の温度は、30℃から90℃までであり、
    前記身出しする工程において、前記半ボイルした殻付きカニは、ローラーを通すことによって身出しされることによって、殻なしのカニ身が得られる、請求項5に記載の加工方法。
  7. 前記身出しする工程を実行した後の前記カニ身の質量から、前記スチームで加熱する工程を実行した後の前記カニ身の質量の低下割合は、1%以上10%以下である、請求項5または6に記載の加工方法。
  8. 前記スチームで加熱する工程において、前記カニ身は、飽和水蒸気からなる前記スチームで満たした空間での加熱が行われる、請求項5から7の何れか一つに記載の加工方法。
  9. 前記スチームで加熱する工程において、前記身出ししたカニ身から離水したドリップ液を回収する工程を実行する、請求項5から8の何れか一つに記載の加工方法。
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