JP2016219286A - 渦電流式発熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転軸の運動エネルギを熱エネルギに有効に変換して回収することができる渦電流式発熱装置を提供する。
【解決手段】発熱装置1は、回転軸3と、発熱部材4と、複数の永久磁石5と、磁石保持部材6と、熱回収機構と、を備える。熱回収機構は、密閉容器と、入側配管33と、出側配管34と、蓄熱装置40と、バイパス配管37と、弁38A、38Bと、熱媒体と、を含む。入側配管33は、密閉容器の内部空間に繋がる入口11に接続される。出側配管34は、密閉容器の内部空間に繋がる出口12に接続される。バイパス配管37は、入側配管33と出側配管34とを連絡する。弁38A、38Bは、容器、入側配管33、出側配管34及び蓄熱装置40で形成される主循環路と、容器、入側配管33、出側配管34及びバイパス配管37で形成される副循環路と、に経路を切り換える。熱媒体は、主循環路及び副循環路に充填される。
【選択図】図3

Description

本発明は、回転軸の運動エネルギ(回転動力)を熱エネルギに変換して回収するための発熱装置に関する。特に、本発明は、永久磁石(以下、単に「磁石」ともいう)を用い、磁石からの磁界の作用によって生じる渦電流を利用した渦電流式発熱装置に関する。
近年、化石燃料の燃焼に伴う二酸化炭素の発生が問題視される。このため、太陽熱エネルギ、風力エネルギ、水力エネルギ等のような自然エネルギの活用が推進される。自然エネルギの中でも、風力エネルギ、水力エネルギ等は流体の運動エネルギである。従来、流体運動エネルギを活用して発電が行われる。
例えば、一般的な風力発電設備では、羽根車が風力を受けて回転する。羽根車の回転軸は発電機の入力軸に連結されており、羽根車の回転に伴って発電機の入力軸が回転する。これにより、発電機で電気が発生する。つまり、一般的な風力発電設備では、風力エネルギが羽根車の回転軸の運動エネルギに変換され、この回転軸の運動エネルギが電気エネルギに変換される。
特開2011−89492号公報(特許文献1)は、エネルギの利用効率の向上を図った風力発電設備を開示する。特許文献1の発電設備は渦電流式減速装置を備え、風力エネルギから電気エネルギへの変換過程で熱エネルギを発生する。
特許文献1の発電設備においては、風力エネルギが羽根車の回転軸の運動エネルギに変換され、この回転軸の運動エネルギが油圧ポンプの油圧エネルギに変換される。油圧エネルギによって油圧モータが回転する。油圧モータの主軸は渦電流式減速装置の回転軸に連結され、この減速装置の回転軸は発電機の入力軸に連結される。油圧モータの回転に伴って減速装置の回転軸が回転するとともに、発電機の入力軸が回転する。これにより、発電機で電気が発生する。
渦電流式減速装置は、永久磁石からの磁界の作用によって生じる渦電流を利用し、減速装置の回転軸の回転速度を減速する。これにより、油圧モータの主軸の回転速度が減速し、これに伴い油圧ポンプを介して羽根車の回転速度が調整される。
また、渦電流式減速装置においては、渦電流の発生により、回転軸の回転速度を減速させる制動力が発生すると同時に、熱が発生する。つまり、風力エネルギの一部が熱エネルギに変換される。その熱(熱エネルギ)が蓄熱装置に回収され、回収された熱エネルギによって原動機が駆動する。原動機の駆動によって発電機が駆動し、その結果として発電機で電気が発生する、と特許文献1には記載される。このことから、特許文献1の渦電流式減速装置は、羽根車の回転軸の運動エネルギを熱エネルギに変換して回収するための発熱装置ともいえる。
また、渦電流式減速装置は、トラック、バス等の車両に補助ブレーキとして搭載される場合がある。この場合の減速装置は、プロペラシャフト、ドライブシャフト等のような回転軸の回転速度を減速する。これにより、車両の走行速度が調整される。その際、回転軸の回転速度を減速させる制動力が発生すると同時に、熱が発生する。したがって、車両に搭載された渦電流式減速装置においても、回転軸の運動エネルギが熱エネルギに変換されることから、この熱エネルギを回収して活用することが望まれる。
特開2011−89492号公報
特許文献1の風力発電設備は、回転軸である羽根車と渦電流式減速装置(発熱装置)との間に油圧ポンプ及び油圧モータを備える。このため、設備の構造が複雑になる。また、多段階のエネルギ変換が必要であるから、エネルギの変換ロスが著しい。これに伴って、発熱装置としての渦電流式減速装置で得られる熱エネルギも小さくなる。
また、特許文献1の渦電流式減速装置の場合、複数の磁石が円筒状のロータの内周面に対向し、円周方向にわたり配列される。これらの磁石の磁極(N極、S極)の配置は、回転軸を中心とする周方向であって、円周方向に隣接する磁石同士で一律である。このため、磁石からの磁界が広がらず、ロータに到達する磁束密度が少ない。そうすると、実質的に、磁石からの磁界の作用によってロータに生じる渦電流が小さくなり、十分な発熱が得られない。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、回転軸の運動エネルギ(回転動力)を熱エネルギに有効に変換して回収することができる渦電流式発熱装置を提供することである。
本発明の実施形態による渦電流式発熱装置は、下記(1)又は(2)の構成を備える。
(1)渦電流式発熱装置は、非回転部に回転可能に支持された回転軸と、
前記非回転部に固定された発熱部材と、
前記発熱部材に隙間を空けて対向し、互いに隣接するもの同士で磁極の配置が交互に異なる複数の永久磁石と、
前記永久磁石を保持し、前記回転軸に固定された磁石保持部材と、
前記発熱部材に生じた熱を回収する熱回収機構と、を備える。
(2)渦電流式発熱装置は、非回転部に回転可能に支持された回転軸と、
前記回転軸に固定された発熱部材と、
前記発熱部材に隙間を空けて対向し、互いに隣接するもの同士で磁極の配置が交互に異なる複数の永久磁石と、
前記永久磁石を保持し、前記非回転部に固定された磁石保持部材と、
前記発熱部材に生じた熱を回収する熱回収機構と、を備える。
上記(1)又は(2)の渦電流式発熱装置は、更に下記の構成を備える。
前記熱回収機構は、
前記非回転部に固定されて前記発熱部材を包囲する密閉容器であって、前記発熱部材と前記永久磁石との前記隙間に非磁性の隔壁を有する密閉容器と、
前記密閉容器の内部空間に繋がる入口に接続された入側配管と、
前記密閉容器の内部空間に繋がる出口に接続された出側配管と、
前記入側配管及び前記出側配管に接続された蓄熱装置と、
前記入側配管と前記出側配管とを連絡するバイパス配管と、
前記容器、前記入側配管、前記出側配管及び前記蓄熱装置で形成される主循環路と前記容器、前記入側配管、前記出側配管及び前記バイパス配管で形成される副循環路と、に経路を切り換える弁と、
前記主循環路及び前記副循環路に充填された熱媒体と、を含む。
本発明の渦電流式発熱装置によれば、回転軸の運動エネルギを熱エネルギに有効に変換して回収することができる。
図1は、第1実施形態の発熱装置の要部を示す縦断面図である。 図2は、第1実施形態の発熱装置の要部を示す横断面図である。 図3は、第1実施形態の発熱装置の全体を模式的に示す図である。 図4は、第1実施形態の発熱装置における発熱部材の好適な態様の一例を示す横断面図である。 図5は、第2実施形態の発熱装置の全体を模式的に示す図である。 図6は、第3実施形態の発熱装置の全体を模式的に示す図である。 図7は、第4実施形態の発熱装置の全体を模式的に示す図である。 図8は、第5実施形態の発熱装置の全体を模式的に示す図である。 図9は、第6実施形態の発熱装置の縦断面図である。 図10は、第6実施形態の発熱装置の横断面である。
本発明の実施形態による渦電流式発熱装置は、回転軸と、発熱部材と、複数の永久磁石と、磁石保持部材と、熱回収機構と、を備える。回転軸は、非回転部に回転可能に支持される。発熱部材は、前記非回転部に固定される。複数の永久磁石は、前記発熱部材に隙間を空けて対向し、互いに隣接するもの同士で磁極の配置が交互に異なる。磁石保持部材は、前記永久磁石を保持し、前記回転軸に固定される。熱回収機構は、前記発熱部材に生じた熱を回収する。
また、本発明の他の実施形態による渦電流式発熱装置は、回転軸と、発熱部材と、複数の永久磁石と、磁石保持部材と、熱回収機構と、を備える。回転軸は、非回転部に回転可能に支持される。発熱部材は、前記回転軸に固定される。複数の永久磁石は、前記発熱部材に隙間を空けて対向し、互いに隣接するもの同士で磁極の配置が交互に異なる。磁石保持部材は、前記永久磁石を保持し、前記非回転部に固定される。熱回収機構は、前記発熱部材に生じた熱を回収する。
前記熱回収機構は、密閉容器と、入側配管と、出側配管と、蓄熱装置と、バイパス配管と、弁と、熱媒体と、を含む。密閉容器は、前記非回転部に固定されて前記発熱部材を包囲する。密閉容器は、前記発熱部材と前記永久磁石との前記隙間に非磁性の隔壁を有する。入側配管は、前記密閉容器の内部空間に繋がる入口に接続される。出側配管は、前記密閉容器の内部空間に繋がる出口に接続される。蓄熱装置は、前記入側配管及び前記出側配管に接続される。バイパス配管は、前記入側配管と前記出側配管とを連絡する。弁は、前記容器、前記入側配管、前記出側配管及び前記蓄熱装置で形成される主循環路と、前記容器、前記入側配管、前記出側配管及び前記バイパス配管で形成される副循環路と、に経路を切り換える。熱媒体は、前記主循環路及び前記副循環路に充填される。
本実施形態の渦電流式発熱装置によれば、発熱部材に対向する磁石の磁極の配置が、互いに隣接する磁石同士で交互に異なるため、磁石からの磁界が広がり、発熱部材に到達する磁束密度が多くなる。これにより、磁石からの磁界の作用によって発熱部材に生じる渦電流が大きくなり、十分な発熱が得られる。しかも、本実施形態の発熱装置では主循環路と副循環路とに経路を切り換えることができるため、起動時に副循環路を利用すれば、熱媒体の温度を効率良く上げることができる。したがって、回転軸の運動エネルギを熱エネルギに有効に変換して回収することができる。
上記の発熱装置において、前記熱回収機構は前記副循環路のうち、前記容器、前記入側配管又は前記出側配管に配置された温度センサを備える構成とすることができる。
上記の発熱装置において、前記熱回収機構は前記副循環路のうち、前記入側配管、前記出側配管又は前記バイパス配管に配置された循環ポンプを備える構成とすることができる。
上記の発熱装置において、前記熱回収機構は前記副循環路のうち、前記入側配管、前記出側配管又は前記バイパス配管に配置された圧力調整装置を備える構成とすることができる。
上記の発熱装置は、風力発電設備、水力発電設備等のように流体運動エネルギを利用した発電設備に搭載することができる。また、上記の発熱装置は、車両に搭載することができる。いずれの場合でも、発熱装置は回転軸の運動エネルギを熱エネルギに変換して回収する。回収した熱エネルギは、例えば電気エネルギの生成に利用される。
以下に、図面を参照して、本発明の渦電流式発熱装置の実施形態について詳述する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の発熱装置の要部を示す縦断面図である。図2は、第1実施形態の発熱装置の要部を示す横断面図である。図3は、第1実施形態の発熱装置の全体を模式的に示す図である。図1〜図3には、風力発電設備に搭載した発熱装置1を例示する。図1及び図2に示すように、第1実施形態の発熱装置1は、回転軸3と、発熱部材4と、複数の永久磁石5と、磁石保持部材6と、を備える。回転軸3は、非回転部である固定の本体2に対し、軸受7を介して回転可能に支持される。
発熱部材4は、回転軸3を軸心とする円筒状であり、本体2に固定される。磁石保持部材6は、発熱部材4の内側に配置され、回転軸3に固定される。磁石保持部材6は、回転軸3を軸心とする円筒部材6aと、この円筒部材6aと回転軸3を繋ぐ円板状の連結部材6bと、を含む。円筒部材6aは磁石5を保持する。連結部材6bには、軽量化のために、複数の貫通穴6cが設けられる。
磁石5は、円筒部材6aの外周面に固定され、発熱部材4の内周面に対し隙間を空けて対向する。ここで、図2に示すように、磁石5は、円周方向にわたり配列される。これらの磁石5の磁極(N極、S極)の配置は、回転軸3を中心とする径方向であって、円周方向に隣接する磁石5同士で交互に異なる。第1実施形態の場合、磁石5を直接保持する円筒部材6aの材質は、強磁性材料である。
発熱部材4の材質、特に磁石5と対向する内周面の表層部の材質は、導電性材料である。導電性材料としては、強磁性金属材料(例:炭素鋼、鋳鉄等)、弱磁性金属材料(例:フェライト系ステンレス鋼等)、又は非磁性金属材料(例:アルミニウム合金、オーステナイト系ステンレス鋼、銅合金等)が挙げられる。
また、発熱部材4の外側には、全体を包囲するように円筒状のカバー8が配置される。このカバー8は、本体2に固定される。更に、発熱部材4の内側には、発熱部材4と磁石5との隙間に円筒状の隔壁15が配置される。この隔壁15は、本体2(非回転部)に固定される。カバー8、本体2及び隔壁15によって、発熱部材4を包囲する密閉容器が形成される。隔壁15の材質は非磁性材料である。磁石5から発熱部材4への磁界に悪影響を及ぼさないようにするためである。
回転軸3が回転すると、磁石5が回転軸3と一体で回転する(図1中の白抜き矢印参照)。これにより、磁石5と発熱部材4との間に相対的な回転速度差が生じる。このとき、図2に示すように、発熱部材4の内周面と対向する磁石5に関し、磁極(N極、S極)の配置は、回転軸3を中心とする径方向であって、円周方向に隣接する磁石5同士で交互に異なる。また、磁石5を保持する円筒部材6aが強磁性体である。
このため、磁石5からの磁束(磁界)は、次のような状況になる。互いに隣接する磁石5のうちの一方の磁石5のN極から出た磁束は、この磁石5に対向する発熱部材4に達する。発熱部材4に達した磁束は、他方の磁石5のS極に達する。他方の磁石5のN極から出た磁束は、円筒部材6aを通じて一方の磁石5のS極に達する。つまり、円周方向に隣接する磁石5同士、磁石5を保持する円筒部材6a、及び発熱部材4との間に、磁石5による磁気回路が形成される。このような磁気回路が、円周方向の全域にわたり、交互にその磁束の向きを逆向きにして形成される。そうすると、磁石5からの磁界が広がり、発熱部材4に到達する磁束密度が多くなる。
磁石5と発熱部材4との間に相対的な回転速度差が生じた状態において、磁石5から発熱部材4に磁界が作用すると、発熱部材4の内周面に渦電流が発生する。この渦電流と、磁石5からの磁束密度との相互作用により、フレミングの左手の法則に従い、回転軸3と一体で回転する磁石保持部材6には回転方向と逆向きの制動力が発生する。
更に、渦電流の発生により、制動力が発生すると同時に、発熱部材4に熱が発生する。上記のとおり、発熱部材4に到達する磁束密度が多いので、磁石5からの磁界の作用によって発熱部材4に生じる渦電流が大きくなり、十分な発熱が得られる。
発熱装置1は、発熱部材4に生じた熱を回収して活用するために、熱回収機構を備える。第1実施形態では、熱回収機構として、カバー8と一体で密閉容器を構成する本体2に、密閉容器の内部空間、すなわち発熱部材4が存在する空間(以下、「発熱部材存在空間」ともいう)に繋がる入口11及び出口12が設けられる。図3に示すように、この発熱部材存在空間の入口11及び出口12のそれぞれには、入側配管33及び出側配管34が接続される。入側配管33及び出側配管34は、蓄熱装置40に接続される。発熱部材存在空間(密閉容器の内部空間)、入側配管33、出側配管34、及び蓄熱装置40は一連の経路(以下、「主循環路」ともいう)を形成し、この経路中を熱媒体が流通して循環する(図3中の実線矢印参照)。
図3を参照して、発熱部材4に生じた熱は、発熱部材存在空間を流通する熱媒体に伝達される。発熱部材存在空間内の熱媒体は、発熱部材存在空間の出口12から排出され、出側配管34を通じて蓄熱装置40に導かれる。蓄熱装置40は、熱交換によって熱媒体から熱を受け取って回収し、その熱を蓄える。蓄熱装置40を経た熱媒体は、入側配管33を通じ、入口11から発熱部材存在空間に戻る。このようにして、発熱部材4に生じた熱が回収される。その後、蓄熱装置40に蓄えられた熱は、発電装置41に送られ、電気エネルギに変換される。
蓄熱装置40に蓄えられた熱から効率的に電気エネルギを得るためには、蓄熱装置40に蓄えられる熱量を増やすことが必要である。そのためには、蓄熱装置40に導かれる熱媒体の温度を高温にする必要がある。しかしながら、発熱装置1の起動直後は、熱媒体の温度が低い。そのため、熱媒体が所定の温度以上に上昇するまでの間、低温の熱媒体が蓄熱装置40に導かれるため、電気エネルギが効率的に得られない。この事態に対応するため第1実施形態の発熱装置1は下記の構成を備える。
発熱装置1には、入側配管33と出側配管34とを連絡するバイパス配管37が設けられる。バイパス配管37は、入側配管33及び出側配管34それぞれに弁38A、38Bを介して接続される。弁38A、38Bは例えば、三方弁である。この弁38A、38Bによって熱媒体の流通経路が主循環路と副循環路とに切り換えられる。副循環路は、発熱部材存在空間、入側配管33、出側配管34及びバイパス配管37で構成される一連の経路である(図3中の破線矢印参照)。弁38A、38Bによって、熱媒体の経路が主循環路に切り換えられた場合、熱媒体はバイパス配管37を通らない。一方、熱媒体の経路が副循環路に切り換えられた場合、熱媒体は蓄熱装置40を通らない。弁38A、38Bの切り換えは、図示しない制御装置によって行われる。
副循環路は主循環路と比べて短いため、副循環路を流通する熱媒体の総体積は小さい。そのため、副循環路内の熱媒体全体の温度上昇率は、主循環路内の熱媒体全体の温度上昇率より高い。要するに、熱媒体の経路が副循環路の場合、主循環路の場合に比べて、熱媒体の温度が効率良く上昇する。
蓄熱装置40に導かれる熱媒体の温度は、400〜600℃であるのが好ましい。熱媒体の温度がこの温度範囲のとき、熱交換率が高いためである。起動時には、熱媒体を副循環路内で循環させる。所定時間が経過した後、制御装置からの指令により弁38A、38Bが作動し、熱媒体の経路を主循環路に切り換える。これにより、400〜600℃の熱媒体が蓄熱装置40に送られる。しかしながら、蓄熱装置40に導かれる熱媒体の温度は、400〜600℃に限定されない。蓄熱装置40の仕様や、使用する熱媒体の特性によって、熱交換率の高い温度範囲が異なるため、蓄熱装置40に導かれる熱媒体の温度はそれらに合わせて適宜設定される。
渦電流式発熱装置に適した熱媒体は、例えば、硝酸塩系の溶融塩(例:硝酸ナトリウム60%と硝酸カリウム40%との混合塩)である。熱媒体にはその他に、熱媒油、水(蒸気)、空気、超臨界CO2等を適用してもよい。
第1実施形態の発熱装置1においては、上記のとおり、発熱部材4で十分な発熱が得られる。しかも、発熱装置1では主循環路と副循環路とに経路を切り換えることができるため、起動時に熱媒体の経路をバイパス配管37を含む副循環路に切り換え、この経路を利用すれば、熱媒体の温度を効率良く上げることができる。したがって、回転軸3の運動エネルギを熱エネルギに有効に変換して回収することができる。
第1実施形態の発熱装置1は、風力発電設備に搭載される。すなわち、図1に示すように、発熱装置1の回転軸3の延長線上に、風車である羽根車20が設けられる。羽根車20の回転軸21は、固定の本体2に対し、軸受25を介して回転可能に支持される。羽根車20の回転軸21は、クラッチ装置23及び増速装置24を介して、発熱装置1の回転軸3に連結される。羽根車20の回転軸21の回転に伴って発熱装置1の回転軸3が回転する。このとき、発熱装置1の回転軸3の回転速度は、増速装置24によって、羽根車20の回転軸21の回転速度よりも増加する。増速装置24には、例えば遊星歯車機構を適用できる。
このような風力発電設備では、羽根車20が風力を受けて回転する(図1の白抜き矢印参照)。羽根車20の回転に伴って発熱装置1の回転軸3が回転する。これにより、発熱部材4で熱が発生し、発生した熱は蓄熱装置40(図3参照)に回収される。すなわち、羽根車20の回転に基づく発熱装置1の回転軸3の運動エネルギの一部が熱エネルギに変換されて回収される。その際、羽根車20と発熱装置1との間には、特許文献1の風力発電設備のような油圧ポンプ及び油圧モータが無いため、エネルギの変換ロスが少ない。蓄熱装置に回収された熱は、例えば、熱素子、スターリングエンジン等による発電に利用される。
更に、発熱装置1の回転軸3が回転することにより、発熱部材4が発熱すると同時に、回転軸3には、回転を減速させる制動力が発生する。これにより、増速装置24及びクラッチ装置23を介し羽根車20の回転速度が調整される。ここで、クラッチ装置23は以下の機能を有する。発熱装置1で発熱が必要な場合には、クラッチ装置23は、羽根車20の回転軸21と発熱装置1の回転軸3とを接続する。これにより、羽根車20の回転動力が発熱装置1に伝達される。蓄熱装置に蓄積された熱量が許容量に達し、発熱装置1で発熱の必要が無くなった場合、メンテナンスのために発熱装置1を停機する場合等には、クラッチ装置23は、羽根車20の回転軸21と発熱装置1の回転軸3との接続を切る。これにより、羽根車20の回転力が発熱装置1に伝達されない。このときに羽根車20が風力で自由に回転することのないように、羽根車20とクラッチ装置23との間に、羽根車20の回転を止める摩擦式、電磁式等のブレーキ装置22を設置するのが好ましい。
風力発電設備に搭載された発熱装置1では、入側配管33、出側配管34及びバイパス配管37は地面と風車を繋ぐタワー(図3中の破線T)内に収容される。蓄熱装置40も、地面に配置される。バイパス配管37は発熱装置1の近くに配置されるのが好ましい。副循環路内を流通する熱媒体の量を少なくし、熱媒体の温度をより効率的に上げるためである。しかしながら、副循環路内を流通する熱媒体の量が少なすぎると、主循環路への切り換え直後に、蓄熱装置40に送られる高温の熱媒体の量が少ないため、電気エネルギを効率的に得られない。したがって、バイパス配管37の配置は、副循環路内の熱媒体の量が蓄熱装置40の仕様に応じて適切になるように決められる。
図4は、第1実施形態の発熱装置における発熱部材の好適な態様の一例を示す横断面図である。図4では、磁石5と対向する発熱部材4の内周面近傍を拡大して示す。図4に示すように、発熱部材4は、基材4aの内周面に、第1層4b、第2層4c及び酸化防止皮膜層4dが順に積層される。基材4aの材質は、熱伝導率の高い導電性金属材料(例:銅合金、アルミニウム合金等)である。第1層4bの材質は、強磁性金属材料(例:炭素鋼、鋳鉄等)である。第2層4cの材質は、非磁性金属材料又は弱磁性金属材料であり、特に第1層4bに比べて導電率の高い材料(例:アルミニウム合金、銅合金等)が望ましい。酸化防止皮膜層4dは、例えばNi(ニッケル)めっき層である。
基材4aと第1層4bとの間、第1層4bと第2層4cとの間、第2層4cと酸化防止皮膜層4dとの間には、それぞれ緩衝層4eが積層される。緩衝層4eの線膨張係数は、隣接する一方の材料の線膨張係数よりも大きく、他方の材料の線膨張係数よりも小さい。各層の剥離を防止するためである。緩衝層4eは、例えばNiP(ニッケル−リン)めっき層である。
このような積層構造によれば、磁石5からの磁界の作用によって発熱部材4に生じる渦電流がより大きくなり、高い制動力とより十分な発熱を得ることが可能になる。ただし、第2層4cは省いて構わないし、緩衝層4eも省いて構わない。
上記の実施形態では、発熱部材4の内側に隔壁15及び磁石5を配置し、隔壁15は発熱部材4の内周面に対向する。これとは逆に、発熱部材4の外側に隔壁15及び磁石5を配置し、隔壁15が発熱部材4の外周面に対向するようにすることもできる。ただし、この場合であっても、発熱部材4及び隔壁15は本体2(非回転部)に固定される。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の発熱装置の全体を模式的に示す図である。第2実施形態では、第1実施形態の発熱装置1に温度センサ50が追加される。その他の構成は、第1実施形態の発熱装置1と同じである。
上述したように、第1実施形態の発熱装置1では、熱媒体の温度に応じて熱媒体の経路を主循環路又は副循環路に切り換える。第2実施形態では、温度センサ50が熱媒体の温度を測定し、その結果に基づき熱媒体の経路を主循環路(図5中の実線矢印参照)又は副循環路(図5中の破線矢印参照)に切り換える。より具体的には、温度センサ50及び弁38A、38Bは制御装置51と電気的に接続される。温度センサ50は、測定した熱媒体の温度データを制御装置51に送る。制御装置51は、温度センサ50からのデータに基づき弁38A、38Bを制御する。すなわち、制御装置51は、熱媒体の温度が所定の温度以上である場合、弁38A、38Bを制御し熱媒体を主循環路に導く。制御装置51は、熱媒体の温度が所定の温度以下である場合、弁38A、38Bを制御し熱媒体を副循環路に導く。
温度センサ50は、副循環路のうち、入側配管33、出側配管34又は発熱部材存在空間に配置される。これにより、熱媒体の経路が主循環路であっても、副循環路であっても、熱媒体の温度を測定できる。
このような構成を備える熱回収機構は、熱媒体の経路の切り換えを制御し、効率的に熱媒体の温度を上げることができる。
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態の発熱装置の全体を模式的に示す図である。第3実施形態では、前記第1実施形態の発熱装置1に循環ポンプ36が追加される。その他の構成は、第1実施形態の発熱装置1と同じである。
循環ポンプ36は、入側配管33、出側配管34又はバイパス配管37に配置される。すなわち、循環ポンプ36は副循環路に配置される。熱媒体の経路が副循環路である場合、発熱部材4から熱媒体への熱伝達効率を上げるために、熱媒体がある程度の速度で副循環路内を循環するのが好ましい。そのため、第3実施形態では、循環ポンプ36により副循環路内の熱媒体を強制的に循環させる。これにより、副循環路内の熱媒体全体の温度が効率的に上がる。循環ポンプ36は、必要に応じて複数配置されてもよい。
このような循環ポンプ36の構成は、前記第2実施形態の発熱装置1に適用することも可能である。
[第4実施形態]
図7は、第4実施形態の発熱装置の全体を模式的に示す図である。図7では、簡便のため蓄熱装置40は図示しない。第4実施形態は、第1実施形態の発熱装置1に圧力調整装置が追加される。その他の構成は、第1実施形態の発熱装置1と同じである。圧力調整装置は例えば、アキュムレータ60である。
副循環路は密閉されているため熱媒体の温度が上がりすぎると、熱媒体が気化し、熱媒体の体積が膨張することがある。熱媒体が膨張すると、副循環路の配管内の圧力が高くなる。配管内の圧力が高くなり過ぎると、配管が損傷するおそれがある。副循環路にアキュムレータ60を配置すると、膨張した分の熱媒体をアキュムレータ60が収容する。すなわち、アキュムレータ60によって、副循環路内の圧力の過剰な上昇が抑制される。
アキュムレータ60は、副循環路のうち、入側配管33、出側配管34又はバイパス配管37に接続される。副循環路の配管内の圧力を制御するためである。アキュムレータ60は、必要に応じて複数配置されてもよい。熱媒体は、アキュムレータ60内と副循環路の配管内とで圧力差が生じたとき、アキュムレータ60に流れ込む。
このような圧力調整装置の態様は、前記第2実施形態又は前記第3実施形態の発熱装置1に適用することも可能である。
[第5実施形態]
図8は、第5実施形態の発熱装置の全体を模式的に示す図である。図8では、簡便のため発熱装置40は図示しない。第5実施形態では、第4実施形態と同様に、第1実施形態の発熱装置1に圧力調整装置が追加される。その他の構成は、第1実施形態の発熱装置1と同じである。第5実施形態の圧力調整装置は、放冷器61である。
熱媒体の循環経路が副循環路の場合、上述したように、副循環路の配管内の圧力が熱媒体の気化等により高くなり過ぎることがある。この場合、熱媒体の温度を下げれば、配管内の圧力も下がる。気化等により膨張した熱媒体の体積が、温度低下により縮小するからである。副循環路に放冷器61を配置すると、過加熱により膨張した熱媒体の温度を低下させることができる。これにより、配管内の圧力を低下させることができる。要するに、放冷器61によって、副循環路内の圧力の過剰な上昇が抑制される。
放冷器61は、副循環路のうち、入側配管33、出側配管34又はバイパス配管37に配置される。放冷器61は、必要に応じて複数配置されてもよい。放冷器61は副循環路から分岐して配置される。放冷器61は弁38C、38Dを介して配管に接続される。弁38C、38Dは、上述した弁38A、38Bと同様の三方弁である。弁38C、38Dは、図示しない制御装置に接続される。すなわち、第5実施形態の発熱装置1は、弁38C、38Dによって、副循環路の熱媒体の経路を、熱媒体が放冷器61を通る場合と、熱媒体が放冷器61を通らない場合と、に切り換えることができる。これにより、必要に応じて熱媒体を放冷器61によって冷却できる。
放冷器61への経路の切り換えは、時間によって制御する。具体的には、熱媒体を副循環路内で循環させる。副循環路内で熱媒体を所定時間循環させた後、制御装置が弁38C、38Dに指令を送る。これにより、弁38C、38Dが作動し、熱媒体を放冷器61に送り、冷却する。より好ましくは、放冷器61への経路の切り換えは、第2実施形態(図5参照)に示すように、温度センサ50の測定データに基づいて制御されるのが好ましい。すなわち、熱媒体の温度が所定以上の場合、熱媒体を放冷器61に導き、冷却する。一方、熱媒体の温度が所定以下の場合、熱媒体は放冷器61によって冷却されない。これにより、熱媒体の温度が適正に保たれ、副循環路内の圧力の過剰な上昇が抑制される。また、放冷器61への経路の切り換えは、副循環路内の圧力測定結果に基づいて行ってもよい。
このような圧力調整装置の態様は、前記第2〜第4実施形態の発熱装置1に適用することも可能である。
[第6実施形態]
第6実施形態の発熱装置は、第1実施形態の発熱装置1と異なり、磁石5は固定であり、発熱部材4が回転軸3と一体で回転する。その他の構成は、第1実施形態の発熱装置1と同じである。
図9は、第6実施形態の発熱装置の縦断面図である。図10は、第6実施形態の発熱装置の横断面である。図9及び図10には、風力発電設備に搭載した発熱装置1Aを例示する。第6実施形態の発熱装置1Aは、第1実施形態の発熱装置1と同様に、回転軸3と、発熱部材4と、複数の永久磁石5と、磁石保持部材6と、を備える。回転軸3は、非回転部である固定の本体2に対し、軸受7を介して回転可能に支持される。
発熱部材4は、回転軸3に固定される。発熱部材4は、回転軸3を軸心とする円筒部材4Aと、この円筒部材4Aと回転軸3を繋ぐ円板状の連結部材4Bと、を含む。連結部材4Bには、軽量化及び熱回収のために、複数の貫通穴4Cが設けられる。磁石保持部材6は、発熱部材4の外側に配置され、本体2に固定される。磁石保持部材6は、回転軸3を軸心とする円筒部材6aを含む。円筒部材6aは磁石5を保持する。
磁石5は、円筒部材6aの内周面に固定され、発熱部材4(円筒部材4A)の外周面に対し隙間を空けて対向する。ここで、図10に示すように、磁石5は、円周方向にわたり配列されている。これらの磁石5の磁極(N極、S極)の配置は、径方向であって、円周方向に隣接する磁石5同士で交互に異なる。
また、発熱部材4と磁石5との隙間には、円筒状の隔壁15が配置されている。この隔壁15は本体2に固定され、発熱部材4を包囲する密閉容器を形成する。隔壁15の材質は非磁性材料である。磁石5から発熱部材4への磁界に悪影響を及ぼさないようにするためである。
回転軸3が回転すると、発熱部材4が回転軸3と一体で回転する(図1中の白抜き矢印参照)。これにより、磁石5と発熱部材4との間に相対的な回転速度差が生じる。このとき、図2に示すように、発熱部材4(円筒部材4A)の外周面と対向する磁石5に関し、磁極(N極、S極)の配置は、径方向であって、円周方向に隣接する磁石5同士で交互に異なっている。
このような構成の発熱装置1Aは、第1実施形態の発熱装置1と同様に、発熱部材4に到達する磁束密度が多いので、磁石5からの磁界の作用によって発熱部材4に生じる渦電流が大きくなり、十分な発熱が得られる。
発熱装置1Aは、発熱部材4に生じた熱を回収して活用するために、熱回収機構を備える。第6実施形態では、熱回収機構として、隔壁15と一体で密閉容器を構成する本体2に、密閉容器の内部空間、すなわち発熱部材4が存在する空間(発熱部材存在空間)に繋がる入口11及び出口12が設けられる。入口11及び出口11から蓄熱装置40までの各配管の構成は、第1実施形態の発熱装置1(図3参照)と同じであるため、説明は省略する。
上記の実施形態では、発熱部材4(円筒部材4A)の外側に磁石5を配置し、磁石5は発熱部材4の外周面に対向する。これとは逆に、発熱部材4(円筒部材4A)の内側に磁石5を配置し、磁石5が発熱部材4の内周面に対向するようにすることもできる。ただし、この場合であっても、発熱部材4は回転軸3に固定され、磁石5は磁石保持部材6を介して本体2に固定される。
このような発熱装置1Aに、前記第2〜第5実施形態に記載の熱回収機構を適用することも可能である。
上記の実施形態では、いずれも磁石5は回転軸3を中心とする円周方向にわたり配列され、磁石5の磁極の配置は、回転軸3を中心とする径方向である。しかしながら、磁石5の配列及び磁極の配置は、上記実施形態の態様に限定されない。例えば、円周方向にわたり配列された磁石5の磁極の配置は、回転軸3を中心とする円周方向であってもよい。この場合であっても、磁極の配置は円周方向に隣接する磁石5同士で交互に異なる。また、磁石5の配置は、軸方向にわたり配列されてもよい。この場合、磁極の配置は、回転軸3に沿った軸方向である。この場合であっても、磁極の配置は軸方向に隣接する磁石5同士で異なる。
その他本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、発熱部材4が円筒状とされているが、これに代えて、回転軸3を軸心とする円板状とされても構わない。この場合、磁石保持部材6も回転軸3を軸心とする円板状とされる。この円板部材は、円板状の発熱部材の主面(軸方向の両面のうちの一方の面)と対向し、この主面と対向する面に磁石5を保持する。これにより、磁石は、発熱部材の主面に対し隙間を空けて対向する。この場合、磁石5の配列形態は、例えば、以下の3種類となる。
第1の配列態様では、磁石は、回転軸3を中心とする円周方向にわたり配列される。これらの磁石の磁極(N極、S極)の配置は、軸方向であって、円周方向に隣接する磁石同士で交互に異なる。この場合、磁石を直接保持する円板部材の材質は、強磁性材料である。
第2の配列態様では、磁石は、回転軸3を中心とする円周方向にわたり配列される。これらの磁石の磁極(N極、S極)の配置は、周方向であって、円周方向に隣接する磁石同士で交互に異なる。この場合、磁石を直接保持する円板部材の材質は、非磁性材料である。円周方向で隣接する磁石の間に強磁性体からなるポールピースが設けられる。
第3の配列態様では、磁石は、回転軸3を中心とする径方向にわたり同心円状に配列される。これらの磁石の磁極(N極、S極)の配置は、径方向であって、径方向に隣接する磁石同士で交互に異なる。この場合、磁石を直接保持する円板部材の材質は、非磁性材料である。径方向で隣接する磁石の間に強磁性体からなるポールピースが設けられる。更に、ポールピースは、径方向の両端に配置された磁石の端にも設けられる。
また、上記の発熱装置は、風力発電設備のみならず、水力発電設備等のように流体運動エネルギを利用した発電設備に搭載することができる。
更に、上記の発熱装置は、車両に搭載することができる。この場合、上記の発熱装置は、補助ブレーキとしての渦電流式減速装置とは別個に設けられてもよいし、補助ブレーキとして兼用されてもよい。補助ブレーキとして兼用される場合、制動と非制動を切り替えるスイッチ機構を設置すればよい。車両に搭載した発熱装置によって回収された熱は、例えば、車体内を暖めるための暖房機の熱源に利用されたり、コンテナ内を冷却するための冷凍機の熱源に利用されたりする。
本発明の渦電流式発熱装置は、風力発電設備、水力発電設備等のように流体運動エネルギを利用した発電設備、及びトラック、バス等の車両に有用である。
1、1A:渦電流式発熱装置、 2:本体、 3:回転軸、
4:発熱部材、 4a:基材、 4b:第1層、 4c:第2層、
4d:酸化防止皮膜層、 4e:緩衝層、
5:永久磁石、 6:磁石保持部材、 6a:円筒部材、
6b:連結部材、 6c:貫通穴、
7:軸受、 8:カバー、 9:ポールピース、
11:入口、 12:出口、
15:隔壁、 15a:隔壁支持部材、
20:羽根車、 21:回転軸、 22:ブレーキ装置、
23:クラッチ装置、 24:増速装置、 25:軸受、
33:入側配管、 34:出側配管、
36:循環ポンプ、 37:バイパス配管、38A〜38D:弁、
40:蓄熱装置、 50:温度センサ、51:制御装置、
60:アキュムレータ、 61:放冷器

Claims (8)

  1. 非回転部に回転可能に支持された回転軸と、
    前記非回転部に固定された発熱部材と、
    前記発熱部材に隙間を空けて対向し、互いに隣接するもの同士で磁極の配置が交互に異なる複数の永久磁石と、
    前記永久磁石を保持し、前記回転軸に固定された磁石保持部材と、
    前記発熱部材に生じた熱を回収する熱回収機構と、を備え、
    前記熱回収機構は、
    前記非回転部に固定されて前記発熱部材を包囲する密閉容器であって、前記発熱部材と前記永久磁石との前記隙間に非磁性の隔壁を有する密閉容器と、
    前記密閉容器の内部空間に繋がる入口に接続された入側配管と、
    前記密閉容器の内部空間に繋がる出口に接続された出側配管と、
    前記入側配管及び前記出側配管に接続された蓄熱装置と、
    前記入側配管と前記出側配管とを連絡するバイパス配管と、
    前記容器、前記入側配管、前記出側配管及び前記蓄熱装置で形成される主循環路と前記容器、前記入側配管、前記出側配管及び前記バイパス配管で形成される副循環路と、に経路を切り換える弁と、
    前記主循環路及び前記副循環路に充填された熱媒体と、を含む、渦電流式発熱装置。
  2. 請求項1に記載の渦電流式発熱装置であって、
    前記熱回収機構は、前記副循環路のうち、前記容器、前記入側配管又は前記出側配管に配置された温度センサを備える、渦電流式発熱装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の渦電流式発熱装置であって、
    前記熱回収機構は、前記副循環路のうち、前記入側配管、前記出側配管又は前記バイパス配管に配置された循環ポンプを備える、渦電流式発熱装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の渦電流式発熱装置であって、
    前記熱回収機構は、前記副循環路のうち、前記入側配管、前記出側配管又は前記バイパス配管に配置された圧力調整装置を備える、渦電流式発熱装置。
  5. 非回転部に回転可能に支持された回転軸と、
    前記回転軸に固定された発熱部材と、
    前記発熱部材に隙間を空けて対向し、互いに隣接するもの同士で磁極の配置が交互に異なる複数の永久磁石と、
    前記永久磁石を保持し、前記非回転部に固定された磁石保持部材と、
    前記発熱部材に生じた熱を回収する熱回収機構と、を備え、
    前記熱回収機構は、
    前記非回転部に固定されて前記発熱部材を包囲する密閉容器であって、前記発熱部材と前記永久磁石との前記隙間に非磁性の隔壁を有する密閉容器と、
    前記密閉容器の内部空間に繋がる入口に接続された入側配管と、
    前記密閉容器の内部空間に繋がる出口に接続された出側配管と、
    前記入側配管及び前記出側配管に接続された蓄熱装置と、
    前記入側配管と前記出側配管とを連絡するバイパス配管と、
    前記容器、前記入側配管、前記出側配管及び前記蓄熱装置で形成される主循環路と前記容器、前記入側配管、前記出側配管及び前記バイパス配管で形成される副循環路と、に経路を切り換える弁と、
    前記主循環路及び前記副循環路に充填された熱媒体と、を含む、渦電流式発熱装置。
  6. 請求項5に記載の渦電流式発熱装置であって、
    前記熱回収機構は、前記副循環路のうち、前記容器、前記入側配管又は前記出側配管に配置された温度センサを備える、渦電流式発熱装置。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の渦電流式発熱装置であって、
    前記熱回収機構は、前記副循環路のうち、前記入側配管、前記出側配管又は前記バイパス配管に配置された循環ポンプを備える、渦電流式発熱装置。
  8. 請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の渦電流式発熱装置であって、
    前記熱回収機構は、前記副循環路のうち、前記入側配管、前記出側配管又は前記バイパス配管に配置された圧力調整装置を備える、渦電流式発熱装置。
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