JP2021040411A - 発熱機、及びエネルギー貯蔵システム - Google Patents

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Abstract

【課題】発生熱を熱媒体に効率的に伝達でき、かつ小型化を実現できる発熱機を提供する。
【解決手段】熱媒体を加熱する発熱機であって、ケースと、前記ケースの内周側に同軸に配置される第一の回転子と、を備え、前記ケースは、筒状の内殻及び外殻と、前記内殻と前記外殻との間に前記熱媒体が流通される筒状空間と、前記筒状空間に前記熱媒体が供給される入口部と、前記筒状空間から前記熱媒体が排出される出口部と、前記筒状空間内に回転可能に収容される導電性の筒体と、を有し、前記第一の回転子は、前記ケースの一端面に回転自在に支持され、かつ第一の駆動源によって回転され第一の回転軸と、前記第一の回転子の外周に設けられる第一の磁極と、前記第一の磁極から前記筒体に向けて磁束を発生させる第一の界磁と、を有する、発熱機。
【選択図】図1

Description

本発明は、発熱機、及びエネルギー貯蔵システムに関する。
特許文献1は、発熱装置と、蓄熱装置と、発電装置とを備えるエネルギー貯蔵システムを開示する。発熱装置は、電力系統に接続される電動機と、電動機の回転力を熱に変換する発熱機とを備える。発熱機は、電動機により回転する回転部及び電磁誘導により発熱する発熱部を有する。このエネルギー貯蔵システムは、発熱装置で発生した熱を蓄熱装置に蓄え、その熱を利用して発電装置で発電を行う。
特許文献1には、発熱機の一例として、回転部と、回転部の外側に配置された発熱部と、回転部から発熱部に向けて磁束を発生する磁束発生部と、発熱部の外周に設けられた熱媒体流路とを備える構成が示されている。熱媒体流路は、配管によって構成されている。この発熱機は、回転部の回転により、磁束発生部から磁束を発生させる。発熱部は、この磁束の通過に伴う誘導電流により発熱する。
国際公開第2018/139004号
発熱機は、発生した熱を熱媒体に効率よく伝熱することが望まれる。よって、発熱した物体から流通する熱媒体への熱伝達率を高めることが重要である。
特許文献1に記載される発熱機は、発熱部から配管を流通する熱媒体に熱を伝える構成である。そのため、配管の内周面とそれに接する熱媒体との間で対流による熱伝達が生じる。一般に、配管内の熱媒体の流れは層流になる。層流の場合、ヌッセルト数が低い値になり、熱伝達率が小さくなる。熱伝達率が小さければ、熱媒体への熱の移動量が小さくなるため、その分、配管と熱媒体との接触面積、即ち伝熱面積を大きくする必要がある。上記構成の発熱機において、伝熱面積を大きくするために、配管の全長を長くすることが考えられる。この場合、発熱部に対して配管を多層に配置するなどの対策が必要となり、発熱機の大型化を招く。
本開示は、発生熱を熱媒体に効率的に伝達でき、かつ小型化を実現できる発熱機を提供することを目的の一つとする。また、本開示は、上記発熱機を備えるエネルギー貯蔵システムを提供することを別の目的の一つとする。
本開示の発熱機は、
熱媒体を加熱する発熱機であって、
ケースと、
前記ケースの内周側に同軸に配置される第一の回転子と、を備え、
前記ケースは、
筒状の内殻及び外殻と、
前記内殻と前記外殻との間に前記熱媒体が流通される筒状空間と、
前記筒状空間に前記熱媒体が供給される入口部と、
前記筒状空間から前記熱媒体が排出される出口部と、
前記筒状空間内に回転可能に収容される導電性の筒体と、を有し、
前記第一の回転子は、
前記ケースの一端面に回転自在に支持され、かつ第一の駆動源によって回転される第一の回転軸と、
前記第一の回転子の外周に設けられる第一の磁極と、
前記第一の磁極から前記筒体に向けて磁束を発生させる第一の界磁と、を有する。
本開示のエネルギー貯蔵システムは、
熱媒体を加熱する発熱装置と、
前記発熱装置で加熱した熱媒体の熱を蓄える蓄熱装置と、を備え、
前記発熱装置は、
本開示の発熱機と、
前記第一の駆動源として、電力系統を電源とする第一の同期電動機と、を有する。
本開示の発熱機は、発生熱を熱媒体に効率的に伝達でき、かつ小型化を実現できる。本開示のエネルギー貯蔵システムは、上記発熱機を備えることで、設置スペースが少なくて済む。
図1は、実施形態1に係る発熱機の構成の一例を示す概略縦断面図である。 図2は、図1示すII−II線で切断した概略断面図である。 図3は、筒体の別の一例を示す概略断面図である。 図4は、筒体の更に別の一例を示す概略断面図である。 図5は、実施形態2に係る発熱機の構成の一例を示す概略縦断面図である。 図6は、実施形態に係るエネルギー貯蔵システムの一例を示す概念図である。 図7は、フライホイールを備える同期電動機の構成例を示す概略図である。 図8は、比較例に係る発熱機の構成を示す概略縦断面図である。 図9は、比較例に係る発熱機の構成を示す概略断面図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の実施形態に係る発熱機は、
熱媒体を加熱する発熱機であって、
ケースと、
前記ケースの内周側に同軸に配置される第一の回転子と、を備え、
前記ケースは、
筒状の内殻及び外殻と、
前記内殻と前記外殻との間に前記熱媒体が流通される筒状空間と、
前記筒状空間に前記熱媒体が供給される入口部と、
前記筒状空間から前記熱媒体が排出される出口部と、
前記筒状空間内に回転可能に収容される導電性の筒体と、を有し、
前記第一の回転子は、
前記ケースの一端面に回転自在に支持され、かつ第一の駆動源によって回転される第一の回転軸と、
前記第一の回転子の外周に設けられる第一の磁極と、
前記第一の磁極から前記筒体に向けて磁束を発生させる第一の界磁と、を有する。
本開示の発熱機は、熱媒体が流通するケースの筒状空間内に筒体が収容されている。この発熱機は、第一の駆動源により第一の回転軸を介して第一の回転子が回転する。第一の回転子は、第一の界磁により第一の磁極から筒体に向けて磁束を発生させる。第一の回転子が回転し、第一の磁極から発生した磁束が筒体を通過することにより、筒体に誘導電流が発生して筒体が発熱する。そして、筒体に発生した熱が熱媒体に伝えられ、熱媒体が加熱される。また、筒体に発生する誘導電流と第一の磁極から発生する磁束との相互作用により、筒体に回転トルクが発生する。よって、筒体が第一の回転子と同じ方向に回転する。筒体が筒状空間内で回転することで、熱媒体がかき混ぜられ、熱媒体の流れが乱流になる。乱流の場合、ヌッセルト数が高い値になり、熱伝達率が大きくなる。熱伝達率が大きいことで、熱媒体に効率よく伝熱することができる。そのため、伝熱面積が小さくても、熱媒体を十分に加熱することが可能である。したがって、本開示の発熱機は、発生熱を熱媒体に効率的に伝達でき、かつ小型化を実現できる。
(2)上記の発熱機の一形態として、
前記内殻が非磁性を有することが挙げられる。
内殻が非磁性体であることで、第一の磁極から発生する磁束が内殻で遮蔽され難くなる。よって、上記形態は、筒体に磁束が通過し易い。
(3)上記の発熱機の一形態として、
前記第一の界磁は、前記第一の回転子の一端側に配置され、前記第一の回転軸、前記第一の磁極、前記内殻、前記筒体、前記外殻、及び前記ケースの一端面を通る閉磁路を形成することが挙げられる。
第一の界磁により生じる磁束が閉磁路を形成するように構成されていることで、漏れ磁束を少なくすることができる。よって、上記形態は、第一の界磁による磁束を効率よく利用できる。
上記形態では、第一の界磁により第一の回転軸の軸方向に磁束が生じ、第一の回転軸から第一の磁極に向けて磁束が流れ、第一の磁極から筒体に向けて磁束を発生する。第一の界磁は、第一の回転子の一端側に配置されているため、ケースの一端面に近い側の方が遠い側よりも磁路長が短くなる。そのため、第一の磁極において、ケースの一端面に近い一端側に磁束が集中し易い。よって、第一の磁極から発生する磁束は、第一の磁極における一端側の方が他端側に比べて大きい。そのため、筒体における一端側の方が他端側に比べて通過する磁束が多く、単位面積あたりの発熱量が大きくなる。
(4)上記(3)に記載の発熱機の一形態として、
前記入口部が前記ケースの一端側に設けられ、
前記出口部が前記ケースの他端側に設けられていることが挙げられる。
発熱する筒体と、筒状空間に流通する熱媒体との温度差が大きいほど、熱の移動量が大きくなる。入口部側は熱媒体の温度が低く、出口部側は熱媒体の温度が高い。上述したように、上記形態では、筒体における一端側の方が発熱量が大きい。そのため、入口部がケースの一端側に設けられていることで、筒体に発生した熱を熱媒体に効率よく伝えることができる。よって、上記形態は、熱媒体を効率よく加熱できる。
また、入口部がケースの一端側に設けられていることで、入口部が第一の界磁に近い側に位置する。ケースは、入口部が設けられた一端側の方が出口部が設けられた他端側に比べて温度が低い。そのため、上記形態は、ケースから第一の界磁への熱の影響を抑制できる。
(5)上記の発熱機の一形態として、
前記筒体は、その内周面から外周面に貫通する貫通孔を有することが挙げられる。
筒体が貫通孔を有することで、筒体の内側と筒体の外側との間で貫通孔を通して熱媒体が移動できる。そのため、筒体の内側を流通する熱媒体と筒体の外側を流通する熱媒体とが混ざる。よって、上記形態は、筒状空間に流通する熱媒体の温度を均一化し易い。
(6)上記の発熱機の一形態として、
前記筒体は、その内周面及び外周面の少なくとも一方にフィンを有することが挙げられる。
筒体の回転速度が第一の回転子の回転速度に近づくと、筒体に発生する誘導電流が小さくなる。そのため、筒体の発熱量が減る。筒体がフィンを有することで、フィンが回転抵抗になり、筒体と第一の回転子の回転速度差が大きくなる。よって、上記形態は、筒体の発熱量を大きくできる。また、筒体がフィンを有することで、筒体の表面積が増える。そのため、筒体と熱媒体との接触面積が増えるので、筒体から熱媒体に効率よく熱を伝え易い。
(7)上記の発熱機の一形態として、
前記第一の回転子の他端側に対向すると共に、前記ケースの内周側に同軸に配置される第二の回転子を備え、
前記第二の回転子は、
前記ケースの他端面に回転自在に支持され、かつ第二の駆動源によって回転される第二の回転軸と、
前記第二の回転子の外周に設けられる第二の磁極と、
前記第二の磁極から前記筒体に向けて磁束を発生させる第二の界磁と、を有し、
前記第一の回転軸と前記第二の回転軸の回転方向及び回転速度の少なくとも一方が異なることが挙げられる。
上述したように、筒体の回転速度が第一の回転子の回転速度に近づくと、筒体に発生する誘導電流が小さくなるため、筒体の発熱量が減る。上記形態は、第二の回転子を備え、第二の磁極から発生した磁束が筒体を通過することにより、筒体に誘導電流が発生する。つまり、第一の回転子とは別に、第二の回転子によっても筒体に回転トルクが生じる。上記形態では、第一の回転軸と第二の回転軸の回転方向及び回転速度の少なくとも一方が異なる。そのため、筒体に対して、第一の回転子による回転トルクとは異なる回転トルクを第二の回転子によって与えることができる。よって、上記形態は、筒体の回転速度を制御できるので、筒体の発熱量を大きくできる。
以下では、上記第一の回転子のみ備える発熱機を「第一の発熱機」と呼び、上記第一の回転子及び上記第二回転子の双方を備える発熱機を「第二の発熱機」と呼ぶ場合がある。
(8)上記第二の発熱機の一形態として、
前記第二の界磁は、前記第二の回転子の他端側に配置され、前記第二の回転軸、前記第二の磁極、前記内殻、前記筒体、前記外殻、及び前記ケースの他端面を通る閉磁路を形成することが挙げられる。
第二の界磁により生じる磁束が閉磁路を形成するように構成されていることで、漏れ磁束を少なくすることができる。よって、上記形態は、第二の界磁による磁束を効率よく利用できる。
上記形態では、第二の界磁により第二の回転軸の軸方向に磁束が生じ、第二の回転軸から第二の磁極に向けて磁束が流れ、第二の磁極から筒体に向けて磁束を発生する。
(9)上記第二の発熱機の一形態として、
前記第二の界磁の磁力が前記第一の界磁の磁力よりも小さいことが挙げられる。
上記第二の発熱機において、例えば、第一の回転軸と第二の回転軸の回転方向が逆方向である場合、第一の回転子と第二の回転子とが互いに逆方向に回転する。この場合、筒体に対して、第一の回転子による回転トルクとは逆向きの回転トルクを第二の回転子によって与えることができる。第一の回転子による回転トルクと第二の回転子による逆向きの回転トルクとが同じ大きさであると、筒体が回転しない。上記形態は、第二の界磁の磁力が第一の界磁の磁力よりも小さいことで、第二の回転子による回転トルクの大きさが第一の回転子による回転トルクに比べて小さくなる。よって、上記形態は、筒体の回転速度を制御できるので、筒体の発熱量を大きくできる。
(10)本開示の実施形態に係るエネルギー貯蔵システムは、
熱媒体を加熱する発熱装置と、
前記発熱装置で加熱した熱媒体の熱を蓄える蓄熱装置と、を備え、
前記発熱装置は、
上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の発熱機と、
前記第一の駆動源として、電力系統を電源とする第一の同期電動機と、を有する。
本開示のエネルギー貯蔵システムは、発熱装置が上記本開示の発熱機を有することで、発熱装置の設置スペースが小さくて済む。また、本開示のエネルギー貯蔵システムは、第一の駆動源として、電力系統を電源とする第一の同期電動機を有することで、周波数調整機能を実現できる。電力系統に連系された同期電動機は同期化力を持つ。そのため、太陽光発電や風力発電などの不安定な電源によって電力系統に周波数変動が発生したとき、第一の同期電動機は、電力系統の周波数を維持するように機能する。また、同期電動機であれば、無効電力を吸収する機能も期待できるので、電力系統の電圧上昇を抑制できる。したがって、本開示のエネルギー貯蔵システムは、周波数調整機能を備えることから、電力系統の安定化に寄与する。
(11)本開示の実施形態に係る別のエネルギー貯蔵システムは、
熱媒体を加熱する発熱装置と、
前記発熱装置で加熱した熱媒体の熱を蓄える蓄熱装置と、を備え、
前記発熱装置は、
上記(7)から(9)のいずれか1つに記載の発熱機と、
前記第二の駆動源として、電力系統を電源とする第二の同期電動機と、を有する。
本開示の別のエネルギー貯蔵システムは、発熱装置が上記本開示の発熱機を有することで、発熱装置の設置スペースが小さくて済む。また、本開示のエネルギー貯蔵システムは、第二の駆動源として、電力系統を電源とする第二の同期電動機を有することで、周波数調整機能を実現できる。上述したように、電力系統に連系された同期電動機は同期化力を持つ。そのため、電力系統に周波数変動が発生したとき、第二の同期電動機は、同期化力により電力系統の周波数を維持するように機能する。また、同期電動機であれば、無効電力を吸収する機能も期待できるので、電力系統の電圧上昇を抑制できる。したがって、本開示の別のエネルギー貯蔵システムは、周波数調整機能を備えることから、電力系統の安定化に寄与する。
上記(10)、(11)に記載の本開示のエネルギー貯蔵システムにおいて、蓄熱装置に蓄えられた熱は、後述するように発電に利用できる。その他、蓄熱装置に蓄えられた熱は、そのまま熱として利用することも可能であり、例えば、暖房や給湯、熱化学反応などに利用することが挙げられる。
(12)上記のエネルギー貯蔵システムの一形態として、
第一の同期電動機及び前記第二の同期電動機の少なくとも一方にフライホイールを備えることが挙げられる。
上記形態は、第一の同期電動機及び前記第二の同期電動機の少なくとも一方にフライホイールを備えることで、電力系統に連系される同期電動機の慣性力が増し、同期化力が向上する。よって、上記形態は、周波数調整機能が向上する。
(13)上記のエネルギー貯蔵システムの一形態として、
前記蓄熱装置に蓄えられた熱を利用して発電する発電装置を備えることが挙げられる。
上記形態は、発電装置を備えることで、蓄熱装置に蓄えられた熱を電力として取り出すことができる。例えば、電力系統に発電装置を接続して、電力需要が増大した場合に発電装置で発電した電力を電力系統に給電することが挙げられる。その他、発電装置で発電した電力を水の電気分解による水素製造に利用することが挙げられる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る発熱機、及びエネルギー貯蔵システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一又は相当部分を示す。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<発熱機>
[実施形態1]
主に図1及び図2を参照して、実施形態1に係る発熱機1Aについて説明する。以下では、実施形態1の発熱機1Aを第一の発熱機1Aと呼ぶ場合がある。発熱機1Aは、ケース10と、ケース10の内周側に同軸に配置される第一の回転子30とを備える。発熱機1Aの特徴の1つは、熱媒体が流通されるケース10の筒状空間13内に筒体20が収容されている点にある。以下、発熱機1Aの構成を詳しく説明する。
(ケース)
ケース10は、内殻11及び外殻12と、筒状空間13と、入口部14と、出口部15と、筒体20とを有する。本例のケース10の外観は円筒状である。
ケース10は、筒状の内殻11及び外殻12を有する。本例では、内殻11及び外殻12はそれぞれ円筒形である。内殻11と外殻12とは径方向に間隔をあけて同軸に配置されている。外殻12は、内殻11の外側を囲むように設けられている。
〈内殻〉
内殻11は非磁性を有することが好ましい。内殻11が非磁性体であれば、後述する第一の磁極32から発生する磁束が内殻11で遮蔽され難くなる。よって、筒体20に磁束が通過し易い。非磁性とは、通常、磁性を示さないものをいうが、ここでは、比透磁率が10未満のものとし、好ましくは比透磁率が5未満、更に2未満のものをいう。この例では、内殻11がステンレス鋼で形成されている。非磁性のステンレス鋼としては、例えば、SUS303、SUS304、SUS305などが挙げられる。
更に、内殻11は導電性を有してもよい。内殻11が導電体であれば、第一の磁極32から発生する磁束が通過することにより、内殻11に誘導電流が発生して内殻11が発熱する。但し、第一の磁極32から発生する全ての磁束が内殻11で遮蔽されないように、内殻11の厚み及び導電率を選択する。内殻11の厚みは、例えば1mm以上5mm以下が好ましい。内殻11の厚みが1mm以上であることで、強度を確保し易い。内殻11の厚みが5mm以下であることで、ケース10の径方向の大きさを小さくし易く、軽量化も図れる。よって、発熱機1Aを小型化し易い。また、内殻11の厚みが5mm以下であれば、後述する第一の磁極32から筒体20までの距離を短くし易い。そのため、筒体20に磁束が通過し易い。より好ましい内殻11の厚みは4mm以下である。
〈外殻〉
外殻12は強磁性を有することが好ましい。外殻12が強磁性体であれば、後述するように閉磁路を形成することができる。ここでいう強磁性とは、比透磁率が10以上のものとし、好ましくは比透磁率が100以上のものをいう。外殻12の厚み及び比透磁率は、後述する閉磁路が形成されるように選択すればよい。外殻12の厚みは、例えば1mm以上5mm以下が好ましい。外殻12の厚みが1mm以上であることで、外殻12の磁路断面積を確保し易い。また、外殻12の厚みが1mm以上であれば、強度を確保し易い。外殻12の厚みが5mm以下であることで、ケース10の径方向の大きさを小さくし易く、軽量化も図れる。よって、発熱機1Aを小型化し易い。より好ましい外殻12の厚みは4mm以下である。
更に、外殻12は導電性を有してもよい。外殻12が導電体であれば、筒体20を通過した磁束が通過することにより、外殻12に誘導電流が発生して外殻12が発熱する。外殻12は、例えば鉄、鋼、ステンレス鋼などで形成することが挙げられる。強磁性のステンレス鋼としては、SUS430などのフェライト系ステンレス鋼、SUS403などのマルテンサイト系ステンレス鋼などが挙げられる。
内殻11と外殻12との径方向の間隔、即ち内殻11と外殻12との隙間は、例えば2mm以上10mm以下、更に2mm以上5mm以下が好ましい。上記隙間が2mm以上であることで、後述する筒状空間13を構成し易い。筒状空間13には熱媒体が流通すると共に、筒体20が収納される。上記隙間が2mm以上であることで、筒状空間13の流路断面積を確保し易く、圧損を小さくできる。上記隙間が10mm以下であることで、ケース10の径方向の大きさを小さくし易い。よって、発熱機1Aを小型化し易い。
発熱機1Aを小型化する観点から、ケース10の外径は、例えば0.2m以下、更に0.18m以下が好ましい。また、ケース10の長さ、即ち内殻11及び外殻12の軸方向の長さは、例えば1m以下、更に0.8m以下が好ましい。
〈筒状空間〉
ケース10は、内殻11と外殻12との間に筒状空間13を有する。筒状空間13の一端側と他端側のそれぞれの開口は、ケース10の一端面16及び他端面17によって閉じられている。本例の筒状空間13は円筒状である。筒状空間13には、熱媒体が流通される。ケース10は、筒状空間13に熱媒体が供給される入口部14と、筒状空間13から熱媒体が排出される出口部15とを有する。図1に示すように、入口部14及び出口部15にはそれぞれ、配管18及び配管19が接続されている。本例では、入口部14がケース10の一端側に設けられており、出口部15がケース10の他端側に設けられている。つまり、熱媒体は、ケース10の一端側から他端側に向かって筒状空間13を流れる。
〈筒体〉
筒体20は、筒状空間13内に収容されている。筒体20は、ケース10に固定されておらず、回転可能である。本例では、筒体20は円筒形である。また、筒体20は導電性を有する。筒体20が導電体であることで、後述するように、第一の磁極32から発生する磁束が通過することにより、筒体20に誘導電流が発生して筒体20が発熱する。また、筒体20に発生する誘導電流と第一の磁極32から発生する磁束との相互作用により、筒体20が回転する。筒体20が筒状空間13内で回転することで、熱媒体がかき混ぜられて乱流が生じる。ここでいう導電性とは、導電率が1×10S/m以上のものとし、好ましくは導電率が5×10S/m以上、更に1×10S/m以上のものをいう。筒体20は、例えば、銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、鉄、鋼などで形成することが挙げられる。
更に、筒体20は強磁性を有してもよい。筒体20が強磁性を有することで、後述するように、筒体20を閉磁路の一部に利用できる。筒体20が強磁性を有し、筒体20を通って閉磁路が形成される場合、外殻12は非磁性体でもよい。外殻12が強磁性であれば、筒体20は非磁性体でもよい。
筒体20の厚みは、例えば0.5mm以上5mm以下、更に1mm以上4mm以下が好ましい。筒体20の厚みが0.5mm以上であることで、筒体20を通過する磁束によって誘導電流を発生させ易い。また、筒体20の厚みが0.5mm以上であれば、強度を確保し易い。筒体20の厚みが5mm以下であることで、筒体20を磁束が通過し易い。筒体20の厚みは、後述する図4に示すフィン22の突出高さを含まないものとする。
筒体20の内径は内殻11の外径よりも大きく、筒体20の外径は外殻12の内径よりも小さい。筒体20と内殻11との隙間、並びに筒体20と外殻12との隙間は、例えば0.5mm以上4mm以下が好ましい。筒体20と内殻11との隙間とは、筒体20と内殻11との半径差のことである。筒体20と外殻12との隙間とは、筒体20と外殻12との半径差のことである。筒体20と内殻11との間、及び筒体20と外殻12との間の上記双方の隙間が0.5mm以上であることで、筒体20の内側及び外側に熱媒体を流通させ易い。上記双方の隙間が4mm以下であることで、筒体20の内側及び外側に流れる熱媒体の流速が速くなることによって、乱流が生じ易くなる。また、筒体20と内殻11との隙間が4mm以下であれば、後述する第一の磁極32から筒体20までの距離を短くし易い。そのため、筒体20に磁束が通過し易い。上記双方の隙間は2mm以下がより好ましい。
(第一の回転子)
第一の回転子30は、第一の回転軸31と、第一の磁極32と、第一の界磁33とを有する。本例の第一の回転子30の外観は円柱状である。第一の回転子30は、強磁性を有する材料で形成されている。強磁性を有する材料としては、例えば鉄、鋼、ステンレス鋼などが挙げられる。
〈第一の回転軸〉
第一の回転軸31は、第一の回転子30の一端側に設けられている。第一の回転軸31は、ケース10の一端面16に回転自在に支持されている。本例では、ケース10の一端面16に挿通孔16aが形成されている。挿通孔16aには、軸受16bが固定されている。第一の回転軸31は、ケース10の一端面16に設けられた軸受16bにより回転自在に支持されている。本例の場合、第一の回転軸31は一端面16に対して片持ち支持されている。勿論、第一の回転軸31は一端面16と他端面17に支持されていてもよい。第一の回転軸31の構成材料は、第一の回転子30と同じ強磁性を有する材料で形成されている。
第一の回転軸31は、第一の駆動源51によって回転される。第一の駆動源51は、ケース10の一端面16よりも外側に位置する。第一の駆動源51は、第一の回転軸31を回転させるものであればよく、例えば電動機、風車などが挙げられる。電動機は、同期電動機でもよいし、誘導電動機でもよい。第一の駆動源51は、同期電動機であることが好ましい。本例では、第一の駆動源51が同期電動機である。電力系統100Lに連系された同期電動機は同期化力を持つ。第一の駆動源51が電力系統100Lを電源とする同期電動機であることで、同期電動機の同期化力によって、周波数調整機能を実現できる。
第一の回転軸31は、第一の駆動源51と直結されていてもよいし、図示しない増速機を介して第一の駆動源51と連結されていてもよい。第一の回転軸31と第一の駆動源51とが直結されている場合、増速機によるトラブルを回避できる。本例では、第一の回転軸31が第一の駆動源51と直結されている。
〈第一の磁極〉
第一の磁極32は、第一の回転子30の外周に設けられている。本例の第一の磁極32は、第一の回転子30の外周面から突出する凸部によって形成されている。第一の磁極32は、第一の回転子30の軸方向に沿って設けられている。具体的には、本例の第一の磁極32の形状は、第一の回転子30の軸方向の全長にわたって伸びる直線状の突条である。第一の磁極32の形状は、第一の回転子30の外周に螺旋状、又は螺旋の一部を構成する曲線状に形成される突条であってもよい。第一の磁極32は、第一の回転子30の軸方向に間隔をあけて配置される複数の凸部であってよい。第一の磁極32の数は、特に限定されないが、複数であることが好ましい。本例では、複数の第一の磁極32を有する。各第一の磁極32は、第一の回転子30の周方向に等間隔に設けられている。第一の磁極32の数は、例えば4以上12以下が挙げられる。本例では、第一の磁極32の数が4つである。第一の磁極32の構成材料は、第一の回転子30と同じ強磁性を有する材料で形成されている。
第一の磁極32の外周面とケース10の内周面との径方向の間隔、即ち第一の磁極32と内殻11との隙間は、例えば0.5mm以上5mm以下、1mm以上4mm以下が好ましい。上記隙間が0.5mm以上であることで、第一の回転子30の回転時に、第一の磁極32と内殻11とが接触することを抑制できる。上記隙間が5mm以下であることで、第一の磁極32から筒体20までの距離を短くし易い。そのため、筒体20に磁束が通過し易い。
〈第一の界磁〉
第一の界磁33は、第一の磁極32から筒体20に向けて磁束を発生させる。本例では、第一の界磁33は第一の回転子30の一端側に配置され、第一の回転軸31の軸方向に磁束が生じるように設けられている。本例の第一の界磁33は、ケース10の一端側に偏って配置されている。第一の界磁33は、一端面16に固定されている。第一の界磁33は、第一の回転軸31と同軸に設けられている。第一の回転軸31に生じた磁束は、第一の回転軸31から第一の磁極32に向かって流れ、第一の磁極32から筒体20に向けて磁束を発生する。
本例の第一の界磁33はコイルである。コイルとしては、銅線などの常電導コイルや超電導線材を用いた超電導コイルが挙げられる。具体的には、第一の界磁33を構成するコイルは、第一の回転軸31の周囲に第一の回転軸31と間隔をあけて巻回されている。このコイルには、図示しない直流電源が接続され、直流電源から電流が通電される。コイルに通電される電流を制御することによって、第一の界磁33の磁力を調整することが可能である。コイルに通電される電流を大きくすれば、第一の界磁33の磁力が大きくなる。
第一の界磁33は、第一の回転軸31の軸方向に磁束を発生させるものであればよく、永久磁石であってもよい。第一の界磁33を永久磁石で構成する場合は、例えば、第一の回転軸31の途中に永久磁石を配置することが挙げられる。具体的には、第一の回転軸31の軸方向にS極とN極とが並ぶように永久磁石を配置する。その永久磁石は、第一の回転軸31の一端側に偏在させることが好ましい。第一の界磁33はコイルであることが好ましい。コイルであれば、永久磁石に比べて、温度上昇による磁気特性の低下や、経時的な磁気特性の劣化が起こり難いからである。更に、超電導コイルであれば、電気抵抗がゼロであり、大電流を流してもコイルに損失が実質的に生じない。そのため、常電導コイルに比較して、大電流を流すことによるコイルの損失を抑制することができる。
また、本例では、第一の界磁33は、図1の破線矢印で示すように、第一の回転軸31、第一の磁極32、内殻11、筒体20、外殻12、及びケースの一端面16を通る閉磁路を形成する。図1の破線矢印は磁束の流れを示している。第一の界磁33により生じる磁束が閉磁路を形成するように構成されていることで、漏れ磁束を少なくすることができる。よって、第一の界磁33による磁束を効率よく利用できる。
ここで、筒体20が強磁性を有する場合は、磁束が外殻12を通らない、又は殆ど通らずに、筒体20からケースの一端面16を通る閉磁路が形成される。つまり、筒体20を閉磁路の一部に利用できる。
次に、発熱機1Aによる熱媒体を加熱するメカニズムについて説明する。第一の駆動源51により第一の回転軸31を介して第一の回転子30が回転する。第一の回転子30は、第一の界磁33により第一の磁極32から筒体20に向けて磁束を発生させる。第一の回転子30が回転することによって、第一の磁極32と対向する筒体20の領域では、通過する磁束が増加する。一方、第一の磁極32と対向しない筒体20の領域では、通過する磁束が減少する。そのため、第一の回転子30の回転により、筒体20に対して第一の磁極32が相対的に移動することで、筒体20を通過する磁束が周期的に変化する。第一の回転子30が回転し、第一の磁極32から発生した磁束が筒体20を通過することにより、筒体20に誘導電流が発生して筒体20が発熱する。そして、筒体20に発生した熱が筒状空間13を流通する熱媒体に伝えられ、熱媒体が加熱される。
また、筒体20に発生する誘導電流と第一の磁極32から発生する磁束との相互作用により、筒体20に回転トルクが発生する。これにより、筒体20が第一の回転子30と同じ方向に回転する。筒体20が筒状空間13内で回転することで、筒状空間13を流通する熱媒体がかき混ぜられ、熱媒体の流れが乱流になる。乱流の場合、ヌッセルト数が高い値になり、筒体20から熱媒体への熱伝達率が大きくなる。熱伝達率が大きいことで、熱媒体に効率よく伝熱することができる。
第一の回転子30の停止時、重力によって、筒体20は図1の上側の内周面が内殻11の外周面に接触し、図1の下側の内周面が内殻11の外周面から離隔した状態になる。つまり、筒体の20の上側は第一の磁極32に近く、下側は第一の磁極32から遠くなる。第一の回転子30の回転時、第一の磁極32から発生する磁束により、筒体20において、第一の磁極32に対向する箇所に誘導電流が発生する。このとき、第一の磁極32に近い箇所ほど強い磁束を受け、発生する誘導電流と磁束との相互作用によって反発力が働く。第一の回転子30が所定の回転速度に達すると、反発力によって、筒体20の内周面は全周にわたって内殻11の外周面と非接触の状態となり、その状態で筒体20も第一の回転子30に連動して回転する。
内殻11及び外殻12の少なくとも一方が導電性を有する場合、第一の磁極32から発生した磁束が通過することにより誘導電流が発生して、内殻11及び外殻12の少なくとも一方も発熱する。この場合、内殻11及び外殻12の少なくとも一方からも熱媒体に熱が伝えられ、熱媒体が加熱されることになる。筒体20が筒状空間13内で回転することで、筒状空間13を流通する熱媒体の流れが乱流になるため、内殻11及び外殻12の少なくとも一方から熱媒体への熱伝達率も大きくなる。そのため、熱媒体を効率よく加熱することが可能である。
本例では、図1の破線矢印で示すように、第一の回転軸31から第一の磁極32に向けて磁束が流れ、第一の磁極32から筒体20に向けて磁束を発生する。第一の界磁33は、第一の回転子30の一端側に配置されているため、ケース10の一端面16に近い側の方が遠い側よりも磁路長が短くなる。そのため、第一の磁極32において、一端面16に近い一端側に磁束が集中し易い。よって、第一の磁極32から発生する磁束は、第一の磁極32における一端側の方が他端側に比べて大きい。よって、筒体20における一端側の方が他端側に比べて通過する磁束が多く、単位面積あたりの発熱量が大きくなる。
本例の場合、図1に示すように、入口部14がケース10の一端側に設けられ、出口部15がケース10の他端側に設けられており、熱媒体がケース10の一端側から他端側に向かって筒状空間13を流れる。入口部14側は熱媒体の温度が低く、出口部15側は熱媒体の温度が高い。ここで、発熱する筒体20と、筒状空間13に流通する熱媒体との温度差が大きいほど、熱の移動量が大きくなる。本例では、上述したように、筒体20における一端側の方が他端側に比べて発熱量が大きい。そのため、入口部14がケース10の一端側に設けられていることで、筒体20に発生した熱を熱媒体に効率よく伝えることができる。この点でも、熱媒体を効率よく加熱できる。
(熱媒体)
熱媒体は、例えば、水、水蒸気、油、溶融塩などの流体が挙げられる。油の一例として、合成油が挙げられる。中でも、溶融塩は、高温で使用可能であり、太陽熱発電の熱媒体にも採用されていることから、熱媒体として好ましい。溶融塩としては、代表的には、硝酸塩系、炭酸塩系、塩化物系のものが挙げられる。特に、硝酸塩は、熱的物性、入手容易性、安全性、コストの面から好ましい。熱的物性は、例えば、融点、沸点、密度、粘性、熱伝導率、比熱などが挙げられる。硝酸塩としては、例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、及びこれらの混合物などの少なくとも一つが挙げられる。特に、硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとを含む共晶混合物は、融点が低く、使用温度範囲も広いなど、好適である。
硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの二成分系の共晶混合物の熱的物性の一例を以下に示す。硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの混合比率は、硝酸ナトリウム60質量%、硝酸カリウム40質量%である。
〈熱的物性値〉
融点:224℃
沸点:600℃
熱分解温度:620℃
密度(ρ):1788.88kg/m
粘性係数(μ):0.0018Pa・s
動粘性係数(ν):1.009×10−9/s
熱伝導率(λ):0.600W/(m・K)
比熱(cp):1500.0J/(kg・K)
上記硝酸塩の混合物を熱媒体に使用する場合、凝固を防止する観点から最低温度は250℃以上とされ、290℃以上が好ましい。また、熱分解を防止する観点から最高温度は600℃以下とされ、560℃以下が好ましい。つまり、使用温度範囲は290℃以上560℃以下が好ましい。よって、入口部14側の熱媒体の温度は290℃とし、出口部15側の熱媒体の温度は560℃とすることが挙げられる。また、熱媒体と接する筒体20、内殻11及び外殻12の表面温度は、熱分解温度である620℃以下とする。
筒体20は、図3に示すように、その内周面から外周面に貫通する貫通孔21を有することが好ましい。熱媒体が筒状空間13を流れるとき、熱媒体は筒体20の内側及び外側に流れる。筒体20が貫通孔21を有することで、筒体20の内側と外側との間で貫通孔21を通して熱媒体が移動できる。そのため、筒体20の内側を流通する熱媒体と筒体20の外側を流通する熱媒体とが混ざる。よって、筒状空間13に流通する熱媒体の温度を均一化し易い。貫通孔21は、筒体20の径方向と交差するように形成されている。本例では、筒体20の横断面における弦に沿った貫通孔21としている。本例の貫通孔21を通る弦は2本であり、両弦は互いに平行である。この弦の本数は特に限定されず、複数の弦がある場合に互いに平行か否かも問わない。図3に示す貫通孔21は、筒体20の径方向に対して傾斜するように形成されている。貫通孔21は、筒体20の径方向と直交するように形成されていてもよい。貫通孔21が筒体20の径方向に対して傾斜していると、直交する場合に比べて、筒体20の内側と外側の熱媒体が混ざり易く、乱流が生じ易い。貫通孔21の大きさ及び数は、適宜選択すればよい。
筒体20は、図4に示すように、その内周面及び外周面の少なくとも一方にフィン22を有することが好ましい。フィン22は、筒体20の内周面及び外周面の少なくとも一方から突出するように形成されている。図4では、筒体20の外周面にのみフィン22が形成されている例を示している。具体的には、フィン22の形状は、筒体20の軸方向の全長にわたって伸びる直線状の突条である。フィン22の形状は、筒体20の外周に螺旋状、又は螺旋の一部を構成する曲線状に形成される突条であってもよい。フィン22は、筒体20の軸方向に間隔をあけて配置される複数の凸部であってよい。フィン22の数は、特に限定されないが、複数であることが好ましい。筒体20が筒状空間13内を回転するとき、筒体20の回転速度が第一の回転子30の回転速度に近づくと、筒体20に発生する誘導電流が小さくなる。よって、筒体20の発熱量が減る。換言すれば、筒体20と第一の回転子30の回転速度差をある程度大きくする方が、筒体20の発熱量が増える。要するに、筒体20の回転速度が第一の回転子30の回転速度に対して遅くなるように、筒体20にブレーキをかけるようにすればよい。筒体20がフィン22を有することで、フィン22が回転抵抗になり、筒体20と第一の回転子30の回転速度差が大きくなる。つまり、フィン22がブレーキの役割を果たす。そのため、筒体20の発熱量を大きくできる。また、筒体20がフィン22を有することで、筒体20の表面積が増える。そのため、筒体20と筒状空間13を流通する熱媒体との接触面積が増えるので、筒体20から熱媒体に効率よく熱を伝え易い。フィン22は、図4の実施形態の他、筒体20の内周面にのみ形成されていてもよいし、筒体20の内周面及び外周面の双方に形成されていてもよい。フィン22の大きさ及び数は、適宜選択すればよい。
{作用効果}
上述した実施形態1に係る第一の発熱機1Aは、以下の効果を奏する。
第一の回転子30が第一の駆動源51により第一の回転軸31を介して回転し、第一の界磁33により第一の磁極32から発生した磁束が筒体20を通過する。これにより、筒体20に誘導電流が発生して、筒状空間13内で筒体20が発熱すると共に回転する。筒体20が筒状空間13内で回転することで、筒状空間13に流通する熱媒体の流れが乱流になる。乱流状態になることで、熱媒体への熱伝達率が大きくなる。熱伝達率が大きいことで、熱媒体に効率よく伝熱することができる。そのため、伝熱面積が小さくても、熱媒体を十分に加熱することが可能である。したがって、発熱機1Aを小型化することが可能である。
[実施形態2]
図5を参照して、実施形態2に係る第二の発熱機1Bについて説明する。第二の発熱機1Bは、第二の回転子40を備える点が、図1に示す第一の発熱機1Aと相違する。以下では、第二の発熱機1Bについて、第一の発熱機1Aとの相違点を中心に説明する。
第二の回転子40は、第一の回転子30の他端側に対向すると共に、ケース10の内周側に同軸に配置される。第二の回転子40は、第二の回転軸41と、第二の磁極42と、第二の界磁43とを有する点で、第二の回転子40と基本的な構成は同じである。本例の第二の回転子40は、第一の回転子30と同様に、外観が円柱状である。第二の回転子40は、例えば鉄、鋼、ステンレス鋼などの強磁性を有する材料で形成されている。本例の第二の回転子40は、ケース10を軸方向に二等分する線に対して、第一の回転子30と線対称に設けられている。
〈第二の回転軸〉
第二の回転軸41は、第二の回転子40の他端側に設けられている。第二の回転軸41は、ケース10の他端面17に回転自在に支持されている。本例では、ケース10の他端面17に挿通孔17aが形成されている。挿通孔17aには、軸受17bが固定されている。第二の回転軸41は、ケース10の他端面17に設けられた軸受17bにより回転自在に支持されている。本例の場合、第二の回転軸41は他端面17に対して片持ち支持されている。ケース10の軸方向の中間部に仕切りを設け、第二の回転軸41が他端面17とこの仕切りに両持ち支持されていてもよい。勿論、第一の回転軸31も一端面16とこの仕切りに両持ち支持されていてもよい。第二の回転軸41の構成材料は、第二の回転子40と同じ強磁性を有する材料で形成されている。
第二の回転軸41は、第二の駆動源52によって回転される。第二の駆動源52は、ケース10の他端面17よりも外側に位置する。第二の駆動源52は、第二の回転軸41を回転させるものであればよく、例えば電動機、風車などが挙げられる。電動機は、同期電動機でもよいし、誘導電動機でもよい。第二の駆動源52は、同期電動機であることが好ましい。本例では、第二の駆動源52が同期電動機である。電力系統100Lに連系された同期電動機は同期化力を持つ。第二の駆動源52が電力系統100Lを電源とする同期電動機であることで、同期電動機の同期化力によって、周波数調整機能を実現できる。第二の回転軸41は、第二の駆動源52と直結されていてもよいし、図示しない増速機を介して第二の駆動源52と連結されていてもよい。
また、第二の回転軸41の回転方向及び回転速度の少なくとも一方は、第一の回転軸31と異なっている。この理由については、後述する。
〈第二の磁極〉
第二の磁極42は、第二の回転子40の外周に設けられている。第二の磁極42の構成は、上述した第一の回転子30における第一の磁極32と同じであるので、説明を省略する。
〈第二の界磁〉
第二の界磁43は、第二の磁極42から筒体20に向けて磁束を発生させる。本例では、第二の界磁43は第二の回転子40の他端側に配置され、第二の回転軸41の軸方向に磁束が生じるように設けられている。本例の第二の界磁43は、ケース10の他端側に偏って配置されている。第二の界磁43は、他端面17に固定されている。第二の界磁43は、第二の回転軸41と同軸に設けられている。第二の回転軸41に生じた磁束は、第二の回転軸41から第二の磁極42に向かって流れ、第二の磁極42から筒体20に向けて磁束を発生する。
本例の第二の界磁43は、第一の界磁33と同様に、コイルである。第二の界磁43を構成するコイルは、第二の回転軸41の周囲に第二の回転軸41と間隔をあけて巻回されている。このコイルには、図示しない直流電源が接続され、直流電源から電流が通電される。コイルに通電される電流を制御することによって、第二の界磁43の磁力を調整することが可能である。第二の界磁43は、第二の回転軸41の軸方向に磁束を発生させるものであればよく、永久磁石を利用することも可能である。上述した第一の界磁33と同じ理由から、第二の界磁43はコイルであることが好ましい。
本例では、第二の界磁43は、図5の破線矢印で示すように、第二の回転軸41、第二の磁極42、内殻11、筒体20、外殻12、及びケースの他端面17を通る閉磁路を形成する。図5の破線矢印は磁束の流れを示している。第二の界磁43により生じる磁束が閉磁路を形成するように構成されていることで、漏れ磁束を少なくすることができる。よって、第二の界磁43による磁束を効率よく利用できる。ここで、筒体20が強磁性を有する場合は、磁束が外殻12を通らずに、筒体20からケースの他端面17を通る閉磁路が形成される。
発熱機1Bは、第二の回転子40を備えることで次の効果を奏する。上述したように、筒体20の回転速度が第一の回転子30の回転速度に近づくと、筒体20に発生する誘導電流が小さくなる。よって、筒体20の発熱量が減る。第二の回転子40における第二の磁極42から発生した磁束が筒体20を通過することにより、筒体20に誘導電流が発生する。つまり、第一の回転子30とは別に、第二の回転子40によっても筒体20に回転トルクが生じる。第一の回転軸31と第二の回転軸41の回転方向及び回転速度の少なくとも一方が異なることで、筒体20に対して、第一の回転子30による回転トルクとは異なる回転トルクを第二の回転子40によって与えることができる。よって、発熱機1Bは、第二の回転子40により、筒体20の回転速度を制御できるので、筒体20の発熱量を大きくできる。
例えば、第一の回転軸31と第二の回転軸41の回転方向が異なる場合、即ち、第一の回転子30に対して第二の回転子40が逆回転する場合について説明する。この場合、筒体20に対して、第一の回転子30による回転トルクとは逆向きの回転トルクが第二の回転子40によって与えられることになる。つまり、第二の回転子40による逆方向の回転トルクによって、筒体20にブレーキをかけることができる。そのため、筒体20の回転速度が遅くなる。
次に、第一の回転軸31と第二の回転軸41の回転速度が異なる場合について説明する。ここでは、第二の回転軸41の回転方向が第一の回転軸31と同じで、第二の回転軸41の回転速度が第一の回転軸31よりも遅い場合について説明する。この場合、第二の回転子40の回転速度が第一の回転子30に比べて相対的に遅いため、第二の磁極42から発生する磁束が筒体20を通過すると、筒体20に発生する誘導電流とこの磁束の相互作用により、筒体20に制動トルクが発生する。つまり、筒体20に対して、第一の回転子30による回転トルクとは逆向きの回転トルクが与えられた状態と同じになる。そのため、筒体20の回転速度が遅くなる。第二の回転子40は、必ずしも回転する必要はなく、静止していてもよい。つまり、「第一の回転軸31と第二の回転軸41の回転速度が異なる」とは、第二の回転軸41が静止していることを含む。第二の回転子40が静止していても、同じ作用効果を奏する。
第二の界磁43の磁力は第一の界磁33の磁力よりも小さいことが好ましい。例えば、第一の回転軸31と第二の回転軸41の回転方向が異なる場合において、第一の回転子30による回転トルクと第二の回転子40による逆向きの回転トルクとが同じ大きさであると、筒体20が回転しない。つまり、各々の回転トルクが釣り合って、筒体20が静止する。第二の界磁43の磁力が第一の界磁33の磁力よりも小さいことで、第二の回転子40による回転トルクの大きさが第一の回転子30による回転トルクに比べて小さくなる。そのため、筒体20を回転させることができる。
<エネルギー貯蔵システム>
図6を参照して、実施形態に係るエネルギー貯蔵システム100Sについて説明する。図6に示すエネルギー貯蔵システム100Sは、電力系統100Lに設置され、発熱装置100と蓄熱装置200とを備える。この例では、更に発電装置300を備える。電力系統100Lは、電源100Gで発電した電力を需要家に供給する送電設備である。電源100Gは、電力系統100Lに接続される発電機群で構成される。電源100Gには、例えば、火力発電、原子力発電、水力発電などの一般電源の他、太陽光発電、風力発電などに代表される再生可能エネルギー電源といった各種電源が含まれる。
(発熱装置)
発熱装置100は、熱媒体を加熱するものであり、発熱機1と、同期電動機50とを有する。発熱機1は、上述した実施形態1、2に係る発熱機1A、1Bである。同期電動機50は、図1、図5に示す発熱機1A、1Bにおける第一の駆動源51及び第二の駆動源52の少なくとも一方として機能する。同期電動機50は、電力系統100Lを電源とする。つまり、同期電動機50は、電力系統100Lに連系されている。エネルギー貯蔵システム100Sは、発熱装置100を制御する制御部110を備える。制御部110は、例えば、電力系統100Lの余剰電力に応じて発熱装置100を制御する。この制御部110により、電力系統100Lに余剰電力が発生したとき、制御部110によって発熱装置100が作動する。例えば、電力系統100Lには、図示しない電力監視システムが設置されている。この電力監視システムは、電力系統100Lにおける電力需給を監視し、電力需給に基づき制御部110に動作指令を送る。制御部110は、余剰電力発生時に電力監視システムから動作指令を受け取ると、発熱機1及び同期電動機50を動作させる。
(蓄熱装置)
蓄熱装置200は、発熱装置100で加熱された熱媒体の熱を蓄える。蓄熱装置200の構成としては、例えば、上述した発熱機1A、1Bによって加熱された熱媒体を貯留する第一のタンクと、熱媒体から熱を取り出す熱交換器とを備える構成が挙げられる。第一のタンクは、図1、図5に示す出口部15に接続される配管19を通して、加熱された高温の熱媒体が貯留される。熱交換器は、第一のタンクに貯留された高温の熱媒体から熱を取り出す。熱交換器により抜熱された低温の熱媒体は、第一のタンクとは別の第二のタンクに貯留され、第二のタンクから図1、図5に示す配管18を通して入口部14に送られる。
(発電装置)
発電装置300は、蓄熱装置200に蓄えられた熱を利用して発電する。発電装置300は電力系統100Lに連系されている。発電装置300は、例えば、蒸気タービンと発電機とを備える。上述した蓄熱装置200の熱交換器によって、高温の熱媒体から取り出した熱で蒸気を発生させる。そして、発電装置300は、発生した蒸気で蒸気タービンを回し、発電機により発電を行う。発電した電力は電力系統100Lに供給される。この例では、発電装置300は、制御部110によって制御され、電力系統100Lの電力需要が増大したときに作動する。例えば、電力需要増大時に上述の電力監視システムから制御部110に動作指令が送られ、制御部110が発電装置300を動作させる。
{作用効果}
上述した実施形態に係るエネルギー貯蔵システム100Sは、以下の効果を奏する。
発熱装置100における発熱機1が上述した実施形態1、2に係る発熱機1A、1Bであるため、発熱機1を小型化できる。よって、発熱装置100の設置スペースが小さくて済む。
発熱機1A、1Bにおける第一の駆動源51及び第二の駆動源52の少なくとも一方として、同期電動機50を有することで、周波数調整機能を実現できる。同期電動機50は、電力系統100Lに連系されていることで、同期電動機の同期化力によって、電力系統の周波数を維持するように機能する。よって、電力系統の安定化に寄与する。また、同期電動機50は、無効電力を吸収する機能も期待できるので、電力系統100Lの電圧上昇を抑制できる。その他、同期電動機50であれば、高価なインバータを必要としないので、誘導電動機に比べて低コスト化が可能である。
更に、図7に示すように、同期電動機50にフライホイール55を備えると、同期電動機の慣性力が増し、同期化力が向上する。よって、同期電動機50による周波数調整機能の向上が期待できる。
[試算例]
上述した実施形態1の発熱機1Aについて、以下のような試算を行い、小型化の実現性を検討した。
発熱機1Aの構成は次のように想定する。
内殻11の外周面の半径:0.070m
外殻12の内周面の半径:0.073m
内殻11と外殻12との隙間:3mm
筒体20の厚み:1mm
筒体20と内殻11との隙間:0.5mm
筒体20と外殻12との隙間:1.5mm
筒体20の軸方向の長さ:0.55m
筒体20の回転速度:1750rpm
筒体20の発熱量:250kW
熱媒体は、上述した硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの混合物を使用するものとする。この硝酸塩混合物の熱的物性値は上述したとおりである。
入口部14側の熱媒体の温度は290℃とし、出口部15側の熱媒体の温度は560℃とする。筒体20の発熱量と、出口部15側と入口部14側の熱媒体の温度差とから、熱媒体の流量は0.6172kg/sとなる。
上述した想定条件で、ヌッセルト数を試算したところ、ヌッセルト数は117程度となる。求めたヌッセルト数から熱伝達率を試算すると、熱伝達率は17500W/(m・K)程度となる。また、この場合、筒体20の表面温度と熱媒体との温度差は60℃以下になり、筒体20の表面温度は熱媒体の熱分解温度以下になると想定される。
以上の試算結果から、発熱機1Aによれば、ケース10の外径0.2m、軸方向の長さ0.6mを実現できると想定される。
また、上述した想定条件で圧損を試算したところ、圧損は最大でも10kPa程度になると想定される。圧損が10kPa程度であれば、大気圧の100kPaに比べて十分に小さく、問題ない範囲である。
(比較例)
図8に示す比較例に係る発熱機1Xについて、以下のような試算を行い、小型化の実現性を検討した。
発熱機1Xの構成を説明する。発熱機1Xは、ケース10Xと、ケース10Xの内周側に同軸に配置される第一の回転子30Xとを備える。発熱機1Xは、ケース10Xの構成が図1に示す発熱機1Aのケース10と相違する。以下、ケース10Xの構成をケース10との相違点を中心に説明する。第一の回転子30Xは、発熱機1Aの第一の回転子30と基本的な構成は同じであるので、その説明を省略する。
ケース10Xは、円筒状の筒体20Xを有する。筒体20Xは導電性及び強磁性を有する材料で形成されている。筒体20Xの両端は、ケース10Xの一端面16及び他端面17に固定されている。そのため、筒体20Xは回転しない。筒体20Xは、第一の回転子30Xに設けられた第一の磁極32から発生する磁束が通過することにより、誘導電流が発生して発熱する。
図8に示す発熱機1Xにおいて、筒体20Xの外周に管路を配置し、管路内を流通する熱媒体を加熱する場合を検討した。管路の外径及び内径は0.04m、及び0.036mを想定した。筒体20Xの発熱量は250kWを想定した。熱媒体に上述した硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの混合物を使用し、熱媒体を290℃から560まで加熱することを想定した。
管路に流れる熱媒体は層流になると予想される。上述した想定条件で、ヌッセルト数を試算したところ、ヌッセルト数は4.36程度と想定された。求めたヌッセルト数から熱伝達率を試算して必要な伝熱面積を求めた結果、上記管路の全長が216mになると想定された。
筒体20Xの長さを上述した発熱機1Aのケース10の長さと同じ0.6mとし、筒体Xの外周に216m分の上記管路を配置することを想定した場合、上記管路の構成は図9に示すような構成とすることが挙げられる。図9では、筒体20Xに対して、筒体20Xの外周面から突出すると共に、筒体20Xの軸方向に沿って延びる板状体60が形成されている。板状体60は、筒体20Xの周方向に間隔をあけて設けられている。各板状体60には、筒体20Xの軸方向に沿う管路61が、筒体20Xの径方向に並ぶように配置されている。筒体20Xの長さを0.6mとしたとき、筒体Xの外周に全長216mの管路61を配置する場合、各板状体60に対して管路61を5層重ねて配置することを想定すると、板状体60の数は72個必要になる。図9では、都合上、一部の板状体60のみ図示しており、他の板状体60は省略している。
図9に示す管路の構成を採用する場合、筒体20Xの仕様は直径1.0m、となり、板状体60の突出長さは0.25m、板状体60の幅が0.0436mになると試算された。発熱機1Xでは、筒体20Xに板状体60を付加する構造とすることで、ケース10Xの外径が1.5m、長さ0.6mになると想定される。
以上の試算結果から、発熱機1Aは、発熱機1Xに比較して1/50以下のサイズとなり、発熱機1Xよりも大幅に小型化できると推定される。
100G 電源
100L 電力系統
100S エネルギー貯蔵システム
100 発熱装置 110 制御部
200 蓄熱装置 300 発電装置
1、1A、1B、1X 発熱機
10、10X ケース
11 内殻 12 外殻
13 筒状空間
14 入口部 15 出口部
16 一端面 17 他端面
16a、17a 挿通孔 16b、17b 軸受
18、19 配管
20、20X 筒体
21 貫通孔 22 フィン
30、30X 第一の回転子
31 第一の回転軸 32 第一の磁極 33 第一の界磁
40 第二の回転子
41 第二の回転軸 42 第二の磁極 43 第二の界磁
50 同期電動機
51 第一の駆動源 52 第二の駆動源
55 フライホイール
60 板状体 61 管路

Claims (13)

  1. 熱媒体を加熱する発熱機であって、
    ケースと、
    前記ケースの内周側に同軸に配置される第一の回転子と、を備え、
    前記ケースは、
    筒状の内殻及び外殻と、
    前記内殻と前記外殻との間に前記熱媒体が流通される筒状空間と、
    前記筒状空間に前記熱媒体が供給される入口部と、
    前記筒状空間から前記熱媒体が排出される出口部と、
    前記筒状空間内に回転可能に収容される導電性の筒体と、を有し、
    前記第一の回転子は、
    前記ケースの一端面に回転自在に支持され、かつ第一の駆動源によって回転される第一の回転軸と、
    前記第一の回転子の外周に設けられる第一の磁極と、
    前記第一の磁極から前記筒体に向けて磁束を発生させる第一の界磁と、を有する、
    発熱機。
  2. 前記内殻が非磁性を有する請求項1に記載の発熱機。
  3. 前記第一の界磁は、前記第一の回転子の一端側に配置され、前記第一の回転軸、前記第一の磁極、前記内殻、前記筒体、前記外殻、及び前記ケースの一端面を通る閉磁路を形成する請求項1又は請求項2に記載の発熱機。
  4. 前記入口部が前記ケースの一端側に設けられ、
    前記出口部が前記ケースの他端側に設けられている請求項3に記載の発熱機。
  5. 前記筒体は、その内周面から外周面に貫通する貫通孔を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発熱機。
  6. 前記筒体は、その内周面及び外周面の少なくとも一方にフィンを有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発熱機。
  7. 前記第一の回転子の他端側に対向すると共に、前記ケースの内周側に同軸に配置される第二の回転子を備え、
    前記第二の回転子は、
    前記ケースの他端面に回転自在に支持され、かつ第二の駆動源によって回転される第二の回転軸と、
    前記第二の回転子の外周に設けられる第二の磁極と、
    前記第二の磁極から前記筒体に向けて磁束を発生させる第二の界磁と、を有し、
    前記第一の回転軸と前記第二の回転軸の回転方向及び回転速度の少なくとも一方が異なる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発熱機。
  8. 前記第二の界磁は、前記第二の回転子の他端側に配置され、前記第二の回転軸、前記第二の磁極、前記内殻、前記筒体、前記外殻、及び前記ケースの他端面を通る閉磁路を形成する請求項7に記載の発熱機。
  9. 前記第二の界磁の磁力が前記第一の界磁の磁力よりも小さい請求項7又は請求項8に記載の発熱機。
  10. 熱媒体を加熱する発熱装置と、
    前記発熱装置で加熱した熱媒体の熱を蓄える蓄熱装置と、を備え、
    前記発熱装置は、
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の発熱機と、
    前記第一の駆動源として、電力系統を電源とする第一の同期電動機と、を有する、
    エネルギー貯蔵システム。
  11. 熱媒体を加熱する発熱装置と、
    前記発熱装置で加熱した熱媒体の熱を蓄える蓄熱装置と、を備え、
    前記発熱装置は、
    請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の発熱機と、
    前記第二の駆動源として、電力系統を電源とする第二の同期電動機と、を有する、
    エネルギー貯蔵システム。
  12. 前記第一の同期電動機及び前記第二の同期電動機の少なくとも一方にフライホイールを備える請求項10又は請求項11のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システム。
  13. 前記蓄熱装置に蓄えられた熱を利用して発電する発電装置を備える請求項10から請求項12のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システム。
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