JP2016216602A - フッ素系界面活性剤およびこれを含有する組成物 - Google Patents

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【課題】 表面平滑性が求められる各種塗料分野、あるいは精密塗工が要求されるコーティング分野の各種コーティング材、レジスト材料等のレベリング剤として好適に用いられ、また、フォトリソグラフィーによる半導体の製造に用いられる洗浄液(リンス液)等の水溶液へ好適に添加できるフッ素系界面活性剤を提供すること。【解決手段】 フッ素原子が直接結合した炭素原子の数が1〜6であるフッ素化アルキル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物(A)と、親水性のビニルエーテル化合物(B)とを重合させて得られることを特徴とするフッ素系界面活性剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、表面平滑性が求められる各種塗料分野、あるいは精密塗工が要求されるコーティング分野の各種コーティング材、レジスト材料等のレベリング剤として好適に用いられ、また、フォトリソグラフィーによる半導体の製造に用いられる洗浄液(リンス液)等の水溶液へも好適に添加できるフッ素系界面活性剤に関する。
従来、各種コーティング分野において、得られる塗膜の均質性及び平滑性を向上させる目的で界面活性剤が使用されている。具体的には、例えば、半導体の回路を形成する為に用いられるレジスト材料には界面活性剤がレベリング剤として添加されている。また、例えば、半導体の回路を形成する際に用いる洗浄剤(リンス液)は、形成された回路を良好に洗浄するために表面張力が低いことが要求されるが、この要求を満たすために洗浄剤(リンス液)には界面活性剤が添加されている。
界面活性剤には、フッ素系、炭化水素系、シリコン系等種々の種類がある。中でも、フッ素系の界面活性剤は、表面張力低下特性に優れるため、前記レジスト材料やリンス液に好適に添加される。
表面張力を低下させる能力に優れレベリング剤としての使用や、リンス液への添加が好適なフッ素系界面活性剤としては、例えば、炭素原子数が4〜6のフッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有する単量体(A)と、ポリオキシアルキレン鎖を有する単量体(B)とを共重合させて得られるフッ素系の界面活性剤が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。具体的には、該特許文献1には、炭素原子数が4〜6のフッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有する単量体(A)として該フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと、ポリオキシアルキレン鎖を有する単量体(B)として、ポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるフッ素系界面活性剤が開示されている。
近年、使用環境や自然環境を考慮して、各種コーティング材も水性化が進行中であり、これに伴い界面活性剤も水系の組成物にも使用できる界面活性剤の需要が高まりつつある。このような需要に対し、前記特許文献1で開示されたフッ素系界面活性剤は、主鎖骨格中にあるエステル結合が加水分解する。その為、特許文献1に開示されたフッ素系界面活性剤を用いて得られる水性のコーティング材や洗浄剤(リンス液)は、時間が経過するにつれて表面張力を低い状態で維持することが困難であった。
特開2012−062433号公報
本発明が解決しようとする課題は、水系の組成物にも使用でき、水中で加水分解されにくく、水性のコーティング材や洗浄剤(リンス液)等の水系の組成物を長期間にわたって表面張力を低い状態で維持することが可能なフッ素系界面活性剤、該フッ素系界面活性剤を含む組成物を提供する事にある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、炭素原子の数が1〜6であるフッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物(A)と親水性のビニルエーテル化合物(B)とを重合させて得られるフッ素系界面活性剤は、エステル結合を含まないために、該結合の加水分解が起こりえない事、水性のコーティング材や洗浄剤(リンス液)等の水系の組成物に添加した際に、これらの表面張力を長期にわたって低い状態で維持できること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、フッ素原子が直接結合した炭素原子の数が1〜6であるフッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物(A)と、親水性のビニルエーテル化合物(B)とを重合させて得られることを特徴とするフッ素系界面活性剤を提供するものである。
また、本発明は、前記フッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする組成物を提供するものである。
本発明のフッ素系界面活性剤は、加水分解の影響を受けることがない。その為、水性の溶液に添加することで長期にわたって表面張力を低い状態に維持することができる。従って、本発明のフッ素系界面活性剤は水性のコーティング材や、リンス液への添加剤として好適に使用できる。また、顔料を使用した水性インキに本発明のフッ素系界面活性剤を添加することで、顔料の分散性を向上させるだけでなく、樹脂フィルム等のインキ非浸透面で筆跡定着性が向上できる。
図1は、実施例1で得られたフッ素系界面活性剤(1)の13C−NMRスペクトルのチャート図である。 図2は、実施例1で得られたフッ素系界面活性剤(1)のIRスペクトルのチャート図である。
本発明のフッ素系界面活性剤はフッ素原子が直接結合した炭素原子の数が1〜6であるフッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物(A)と、親水性のビニルエーテル化合物(B)とを共重合させて得られることを特徴とする。
前記ビニルエーテル化合物(A)中のフッ素原子が直接結合した炭素原子の数が1〜6のフッ素化アルキル基を用いることで生体蓄積性の懸念が低いフッ素系界面活性剤が得られる。前記フッ素化アルキル基の中でも、表面張力低下特性に優れることから炭素原子の数が4〜6であるフッ素化アルキル基が好ましい。
前記フッ素化アルキル基はアルキル基が有する水素原子の一部がフッ素原子に置換された部分フッ素化アルキル基でも良いし、水素原子の全部がフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基でも良い。またはフッ素化アルキレンエーテル基でも良い。更に、フッ素化アルキル基中の炭素原子が不飽和結合であるものでも良い。前記フッ素化アルキル基の中でも表面張力低下特性に優れるフッ素系界面活性剤となることからパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基は直鎖状のものでも、分岐状のものでも良い。中でも、水との親和性が高いことから直鎖状のフッ素化アルキル基が好ましい。
本発明で用いるビニルエーテル化合物(A)は、例えば、下記一般式(1)で表される化合物を好ましく例示することができる。
Figure 2016216602
(式中Rfはフッ素原子が直接結合した炭素原子の数が1〜6であるフッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基である。mは1〜6である。)
前記一般式(1)において、mは水中でも加水分解されにくく、水性のコーティング材や洗浄剤(リンス液)を長期間にわたって表面張力を低い状態で維持することが可能な界面活性剤が得られ、しかも、入手が容易なことから1〜3が好ましい。
前記一般式(1)において、Rfは、例えば、下記の構造を好ましく例示することができる。
Figure 2016216602
〔上記式(Rf−1)及び(Rf−2)中のnは1〜6の整数を表す。上記式(Rf−3)中のnは2〜6の整数を表す。上記式(Rf−4)中のnは4〜6の整数を表す。上記式(Rf−5)中のmは1〜5の整数であり、nは0〜4の整数であり、かつm及びnの合計は1〜5である。上記式(Rf−6)中のmは0〜4の整数であり、nは1〜4の整数であり、pは0〜4の整数であり、かつm、n及びpの合計は1〜5である。〕
前記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、(パーフルオロヘキシル)メチルビニルエーテル、2−(パーフルオロヘキシル)エチルビニルエーテル、3−(パーフルオロヘキシル)プロピルビニルエーテル等を好ましく例示することができる。
前記一般式(1)で表される化合物の中でも、表面張力を低くする能力に優れるフッ素系界面活性剤が得られ、且つ、入手も容易であることから2−(パーフルオロヘキシル)エチルビニルエーテルがより好ましい。
本発明で用いるビニルエーテル化合物(A)は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明で用いるビニルエーテル化合物(B)は親水性である。本発明において、ビニルエーテル化合物が親水性か否かは、水に対する溶解度を根拠に判断する。具体的には、25℃の水100gに対して10g以上溶解できるビニルエーテル化合物を本発明では親水性のビニルエーテル化合物(B)として用いることができる。
本発明で用いるビニルエーテル化合物(B)は、例えば、下記一般式(2)
Figure 2016216602
(式中Rはアルキレン基である。)
で表される化合物を好ましく例示することができる。
前記一般式(2)中のアルキレン基は、例えば、直鎖状のアルキレン基、分岐状のアルキレン基、環状のアルキレン基等が挙げられる。アルキレン基の中でも、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
前記一般式(2)で表され、且つ、直鎖状のアルキレン基を有するビニルエーテル化合物としては、例えば、下記一般式(3)
Figure 2016216602
(式中、nは1〜6である。)
で表される化合物を好ましく例示することができる。
前記一般式(3)で表されるビニルエーテル化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキチルビニルエーテル、が挙げられる。
前記一般式(2)で表され、且つ、分岐状のアルキレン基を有するビニルエーテル化合物としては、例えば、1-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1-ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシブチルビニルエーテル、3-ヒドロキシブチルビニルエーテル、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシ-2-メチルブチルビニルエーテル等が挙げられる。
前記一般式(2)で表され、且つ、環状のアルキレン基を有するビニルエーテル化合物としては、例えば、4-ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールモノビニルエーテル等が挙げられる。
前記一般式(3)において、nは水との親和性が高いことから、1〜4が好ましい。
本発明で用いるビニルエーテル化合物(B)の中でも、表面張力を低下させる能力に優れ、且つ、水溶性にも優れるフッ素系界面活性剤が得られることから2-ヒドロキシエチルビニルエーテルが好ましい。
本発明で用いるビニルエーテル化合物(B)は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明のフッ素系界面活性剤は、フッ素原子含有ビニルエーテル化合物(A)と親水性のビニルエーテル化合物(B)に加えて、本発明の効果を損なわない範囲でその他の重合性化合物(C)を用いて得ても良い。その他の重合性化合物(C)としては、例えば、アリル基含有化合物(C1)、前記ビニルエーテル化合物(A)とビニルエーテル化合物(B)以外のビニルエーテル化合物(C2)等が挙げられる。
前記アリル基含有化合物(C1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどのアリルエーテル類等が挙げられる。
前記ビニルエーテル化合物(C2)としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類等が挙げられる。
本発明のフッ素系界面活性剤を得るには、種々の重合法(例えば、特開昭63−112642号、特開2007−230947号、特開2001−40037号、特開2003−313397号等の記載の合成法)を利用することができる。中でもラジカル重合反応を用いたラジカル重合法が好ましく、フリーラジカル重合法が好ましい。
前記フリーラジカル重合法により本発明のフッ素系界面活性剤を得る場合は、例えば、ビニルエーテル化合物(A)、ビニルエーテル化合物(B)及び(A)(B)と共重合しうる化合物(C)を有機溶剤中、開始剤を使用して重合させる方法が挙げられる。ここで用いる有機溶媒としては、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性、重合性を考慮して適宜選択される。
前記開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、イオン性開始剤およびレドックス開始剤等が挙げられる。
本発明のフッ素系界面活性剤は、水溶性の界面活性剤となることから、前記フッ素原子含有ビニルエーテル化合物(A)と、親水性のビニルエーテル化合物(B)とを、質量比〔(A)/(B)〕で10/90〜60/40となる割合で反応させることにより得られるものが好ましく、20/80〜50/50となる割合反応でさせることにより得られるものがより好ましい。
本発明のフッ素系界面活性剤の数平均分子量(Mn)は、コーティング材やリンス液等の水性溶液への溶解性に優れること、表面張力が小さい水性溶液が得られることから500〜30,000が好ましく、500〜10,000がより好ましい。また、重量平均分子量(Mw)は500〜100,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましい。なお、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:
カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
本発明の組成物は本発明のフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする。本発明の組成物の具体例としては、例えば、水性のコーティング材、フォトリソグラフィー用のリンス液、カラーフィルター製造用のリンス液等が挙げられる。中でも、本発明の組成物は、フォトリソグラフィー製造用のリンス液として、特に好適に使用できる。
また、本発明のフッ素系界面活性剤は、水性媒体中で顔料を分散させる効果も期待できるため水性インキに本発明のフッ素系界面活性剤を添加することで、顔料の分散性を向上させる効果が期待できる。加えて、本発明のフッ素系界面活性剤を用いた水性インキは樹脂フィルム等のインキ非浸透面で筆跡定着性が向上も期待できる。
以下、本発明を実施例に基づき更に具体的に説明する。例中の%は断りがない限り質量基準である。
実施例1
撹拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラスフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル9gを加え、窒素気流中、撹拌しながら120℃に昇温した。ついで、2−(パーフルオロヘキシル)エチルビニルエーテル27g、ヒドロキシエチルビニルエーテル54gおよびt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート11gを混合した滴下液を滴下装置にセットし、フラスコ内を120℃に保ちながら2時間かけて滴下した。滴下終了後、120℃で2.5時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒と未反応モノマーとを留去し、本発明のフッ素系界面活性剤(1)を得た。フッ素系界面活性剤(1)の数平均分子量は770であり、重量平均分子量は2,900であった。尚、フッ素系界面活性剤(1)の13C−NMRスペクトルのチャート図を図1に、IRスペクトルのチャート図を図2にそれぞれ示す。
得られたフッ素系界面活性剤(1)を0.01%及び1%となるように水に添加し、本発明の組成物(1−1)〜(1−2)を得た。これらの組成物を65℃の環境下に静置し、静置した時点(0日)、3日後、6日後及び10日後の組成物の表面張力を測定した。表面張力が小さい程界面活性効果(表面張力低下特性)に優れ、また、表面張力の経時的な変化が小さい程、水中でも加水分解されにくいことを表す。尚、それぞれの組成物の表面張力の測定値は2サンプルの平均値である。測定結果を第1表に表す。
本発明において表面張力の測定は、下記条件に従った。
<表面張力の測定条件>
測定器:自動平衡式エレクトロ表面張力計(協和科学株式会社製「ESB−IV型」) 測定方法:環境温度23℃で、白金板を用いたウィルヘルミー法にて静的表面張力を測定した。尚、上記測定条件において水の静的表面張力は、72.3mN/mであった(参考例)。
比較例1
撹拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラスフラスコに、メチルエチルケトン(MEK)300gを加え、窒素気流中、撹拌しながら80℃に昇温した。ついで、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート70g、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレングリコール平均繰り返し数=9)130gを混合させた滴下液、ジメチル2,2´−アゾビスイソブチレート10gをMEK100gに溶解させた滴下液をそれぞれ滴下装置にセットし、フラスコ内を80℃に保ちながら両滴下液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で16時間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、比較対照用フッ素系界面活性剤(1´)を得た。比較対照用フッ素系界面活性剤(1´)の数平均分子量は1,500、重量平均分子量は4,200であった。
実施例1と同様にして比較対照用組成物(1´−1)〜(1´−2)を調整し、表面張力の測定を行った。測定結果を第1表に示す。組成物中のフッ素系界面活性剤をそれぞれ0.01質量%と低い含有割合で含有する(1−1)と(1´−1)の結果によると、本願発明のフッ素系界面活性剤を含有する(1−1)では、表面張力低下能に優れ、且つ、長期間にわたって表面張力低下能を維持できているのに対し、比較対照用のフッ素系界面活性剤を含有する(1´−1)では、時間の経過と共に表面張力低下能が劣ってくることが分かる。
また、組成物中のフッ素系界面活性剤をそれぞれ1質量%含有する(1−2)と(1´−2)の結果によると、本願発明のフッ素系界面活性剤を含有する(1−2)は前記(1−1)に比べて更に表面張力低下能に優れ、且つ、長期間にわたって表面張力低下能を維持できていることが分かる。その一方で、比較対照用のフッ素系界面活性剤を含有する(1´−2)では、同濃度の本発明の界面活性剤を含有する(1−2)と比較して表面張力低下能が劣ることが分かる。
Figure 2016216602

Claims (10)

  1. フッ素原子が直接結合した炭素原子の数が1〜6であるフッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物(A)と、親水性のビニルエーテル化合物(B)とを重合させて得られることを特徴とするフッ素系界面活性剤。
  2. 前記フッ素化アルキル基が直鎖状のフッ素化アルキル基である請求項1記載のフッ素系界面活性剤。
  3. 前記フッ素原子含有ビニルエーテル化合物(A)が、下記一般式(1)
    Figure 2016216602
    (式中Rfはフッ素原子が直接結合した炭素原子の数が1〜6であるフッ素化アルキル基である。mは1〜6である。)
    で表される化合物である請求項1記載のフッ素系界面活性剤。
  4. 前記親水性のビニルエーテル化合物(B)が下記一般式(2)
    Figure 2016216602
    (式中Rはアルキレン基である。)
    で表される化合物である請求項1記載のフッ素系界面活性剤。
  5. 前記アルキレン基が直鎖状のアルキレン基である請求項4記載のフッ素系界面活性剤。
  6. 前記親水性のビニルエーテル化合物(B)が、下記一般式(3)
    Figure 2016216602
    (式中、nは1〜6である。)
    で表される化合物である請求項1または4記載のフッ素系界面活性剤。
  7. 前記フッ素原子含有ビニルエーテル化合物(A)が2−(パーフルオロヘキシル)エチルビニルエーテルである請求項1または2記載のフッ素系界面活性剤。
  8. 前記親水性のビニルエーテル化合物(B)が、ヒドロキシエチルビニルエーテルである請求項1記載のフッ素系界面活性剤。
  9. 前記フッ素原子含有ビニルエーテル化合物(A)と、親水性のビニルエーテル化合物(B)とを、質量比〔(A)/(B)〕で10/90〜60/40となる割合で反応させることにより得られるものである請求項1記載のフッ素系界面活性剤。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載のフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする組成物。
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