JP6604333B2 - 共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、従来の技術では、残存単量体が少なく、転化率の高い重合反応を行なうことは困難であり、また多分散度の低い共重合体が得られていなかった。
式(1) R1−O(CO)OO(CO)O−R2
〔式(1)中、R1およびR2はCnH2n+1(n=2〜8)を示し、R1およびR2は同一でも良いし異なっていても良い。〕
また重合温度を比較的低温にすることが可能であるので、カルボキシ基とエポキシ基との反応を抑制することができ、多分散度の低い共重合体を得ることができる。
さらに(D)成分は、常温・常圧下で溶液状態であるので滴下槽を使用することが可能であり、投入量の調整がし易く連続的に投入が可能であるなど取り扱い性が良い。すなわち、本発明の製造方法によれば、効率よく共重合体を製造することができる。
なお、本明細書において感光性樹脂組成物における光は、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等を包含する。
本発明の共重合体の製造方法は、(A)芳香族ビニル化合物、(B)(メタ)アクリル酸グリシジル、および(C)(メタ)アクリル酸を少なくとも含み、さらに任意成分を含有しても良い単量体混合物を、開始剤である(D)式(1)で表されるジアルキルパーオキシジカーボネートの存在下で重合させる工程を有する。
式(1) R1−O(CO)OO(CO)O−R2
〔式(1)中、R1およびR2はCnH2n+1(n=2〜8)を示し、R1およびR2は同一でも良いし異なっていても良い。〕
なお、本明細書において記号「〜」を用いて規定された数値範囲は「〜」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2〜5」は2以上5以下を表す。
(A)成分は芳香族ビニル化合物であり、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、t−ブトキシスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、その中でもスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびヒドロキシスチレンが好ましく、特にスチレンが好ましい。なお、(A)成分として2種以上の芳香族ビニル化合物を用いてもよい。
(B)成分は(メタ)アクリル酸グリシジルであり、アクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルが挙げられ、工業的に容易に入手可能であることからメタアクリル酸グリシジルが好ましい。なお、アクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルのうち一方または両方を用いることができる。
単量体混合物中における(B)成分の含有割合は、1〜30質量%であり、好ましくは5〜25質量%である。
(C)成分は(メタ)アクリル酸であり、アクリル酸およびメタクリル酸が挙げられる。なお、アクリル酸およびメタクリル酸のうち一方または両方を用いることができる。
単量体混合物中における(C)成分の含有割合は、1〜40質量%であり、好ましくは5〜30質量%である。
本発明の製造方法で用いられる開始剤である(D)成分は、式(1)で表されるジアルキルパーオキシジカルボネートである。
式(1) R1−O(CO)OO(CO)O−R2
式(1)中、R1およびR2はCnH2n+1(n=2〜8)を示し、R1およびR2は同一でも良いし異なっていても良い。R1およびR2としては、具体的には、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
なお、開始剤の投入に際しては、全量を一括仕込みしてもよいし、一部を一括仕込みして残りを滴下してもよく、あるいは全量を滴下してもよい。また、単量体とともに開始剤を添加すると、反応の制御が容易となるので好ましく、さらに残存単量体を低減するために単量体滴下後にも開始剤を添加してもよい。
本発明の製造方法で用いられる単量体混合物には、上記(A)〜(C)成分以外の他の単量体を1種または2種以上含んでいてもよく、その含有割合は、単量体混合物中において0〜20質量%である。
他の単量体としては、上記(A)〜(C)成分以外の単量体であり、かつ共重合が可能である単量体であれば特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物などを挙げることができる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を表す。
上記単量体混合物を開始剤である(D)成分の存在下で重合させるに際しては、通常のラジカル重合を行う方法として知られている方法を採用することができ、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などを採用することができる。例えば、溶液重合においては、単量体および開始剤を含有する溶液を、溶媒または単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法や、単量体を含有する溶液と開始剤を含有する溶液を各々別に、溶媒または単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法などを挙げることができる。また開始剤は固体のまま使用しても、溶媒と混合して使用しても良い。
重合反応時には、分子量調整のために、必要に応じて、通常用いられる連鎖移動剤を用いてもよい。
溶媒量としては、単量体混合物の総量100質量部に対して、例えば、100〜1,000質量部が好ましい。溶媒量がこの範囲のとき、重合体溶液が撹拌しやすく均一な溶液にできるとともに、分子量の調整も行いやすく、単量体が残存しにくい。
また、本発明の製造方法により、多分散度の低い共重合体、例えば、多分散度(Mw/Mn)が3以下の共重合体を得ることができる。
なお、共重合体の転化率は重合体溶液に含まれる単量体量をガスクロマトグラフ(GC)により分析して求めることができ、共重合体の多分散度(Mw/Mn)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により求めることができる。Mwは重量平均分子量を、Mnは数平均分子量をそれぞれ表す。
重合体溶液に含まれる単量体量を下記方法により定量し、転化率を算出した。
重合体溶液3gと内部標準物質のビフェニル0.01gをアセトン35gに溶解させ、分析試料を調製した。試料をガスクロマトグラフ(GC)により下記条件で分析し、内部標準法により定量した。
GC装置:(株)島津製作所製、GC−2014
検出器:FID
インジェクション温度:200℃
検出器温度:250℃
カラム温度:50℃10分保持、毎分10℃昇温、250℃10分保持
カラム:アジレント・テクノロジー(株)製、DB−17(内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)
そして、原料の物質収支および残存単量体量から単量体の転化率(%)を算出した。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により、下記条件で求めた。
GPC装置:東ソー(株)製、HLC−8220
カラム:昭和電工(株)製、Shodex KF−805L
溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:ポリスチレン
PGMEA:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
GMA:メタクリル酸グリシジル
MAA:メタクリル酸
EMA:メタクリル酸エチル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
NPP:ジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート(商品名:パーロイルNPP、日油(株)製:純度50%品)
IPP:ジイソプロピルパーオキシジカルボネート(商品名:パーロイルIPP、日油(株)製:純度50%品)
OPP:ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート(商品名:パーロイルOPP、日油(株)製:純度70%品)
V−65:2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製)
MSD:α−メチルスチレンダイマー(商品名:ノフマーMSD、日油(株)製)
パーオクタND:1,1,3,3−テトラメチルブチル−パーオキシネオデカネート(日油(株)製:純度70%品)
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA637g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン207.0g(65質量%)、GMA63.7g(20質量%)、MAA47.8g(15質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、NPP89.2g(14質量部)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は85.8%であった。また共重合体のMwは10,000であり、Mw/Mnは1.8であった。
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA654g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン212.4g(65質量%)、GMA65.4g(20質量%)、MAA49.0g(15質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、NPP39.2g(6質量部)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は80.2%であった。また得られた共重合体のMwは51,000であり、Mw/Mnは2.6であった。
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA625g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン203.1g(65質量%)、GMA62.5g(20質量%)、MAA46.9g(15質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、NPP125g(20質量部)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は87.6%であった。また得られた共重合体のMwは5,400であり、Mw/Mnは1.7であった。
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA637g(200質量部%)を導入し、65℃に昇温後、スチレン207.0g(65質量%)、GMA63.7g(20質量%)、MAA31.8g(10質量%)、EMA15.9g(5質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、NPP89.2g(14質量部)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は84.8%であった。また得られた共重合体のMwは9,800であり、Mw/Mnは1.8であった。
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA637g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン207.0g(65質量%)、GMA63.7g(20質量%)、MAA31.8g(10質量%)、CHMA15.9g(5質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、IPP89.2g(14質量部)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は83.9%であった。また得られた共重合体のMwは9,800であり、Mw/Mnは1.8であった。
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA637g(200質量部)、MSD6.4g(2質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン207.0g(65質量%)、GMA63.7g(20質量%)、MAA31.8g(10質量%)、EMA15.9g(5質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、NPP76.4g(12質量部)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は87.8%であった。また得られた共重合体のMwは8,800であり、Mw/Mnは1.8であった。
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA637g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン207.0g(65質量%)、GMA63.7g(20質量%)、MAA31.8g(10質量%)、CHMA15.9g(5質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、OPP63.7g(14質量部)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は82.2%であった。また得られた共重合体のMwは9,600であり、Mw/Mnは2.4であった。
これら実施例で得られた共重合体溶液および共重合体を評価した結果を表1に示す。
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA626g(193質量部)、MSD3.2g(1質量部)を導入し、70℃に昇温後、スチレン211.0g(65質量%)、GMA32.5g(10質量%)、MAA48.7g(15質量%)、EMA32.5g(10質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、V−65の22.7g(7質量部)をPGMEA23g(7質量部)に溶解した開始剤溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は65.4%であった。また得られた共重合体のMwは11,000であり、Mw/Mnは2.6であった。
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA624g(193質量部)、MSD3.2g(1質量部)を導入し、70℃に昇温後、スチレン210.4g(65質量%)、GMA32.4g(10質量%)、MAA48.5g(15質量%)、EMA32.4g(10質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、V−65の22.7g(7質量部)をPGMEA20g(6質量部)に溶解した開始剤溶液を2時間かけて滴下した。終了後4時間熟成した後、さらに追加的にV−65の3.2g(1質量部)をPGMEA3g(1質量部)に溶解した開始剤溶液を滴下し、さらに2時間熟成して共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は77.8%であった。また得られた共重合体のMwは25,000であり、Mw/Mnは3.6であった。
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA637g(200質量部)を導入し、65℃に昇温後、スチレン207.0g(65質量%)、GMA63.7g(20質量%)、MAA47.8g(15質量%)を2時間かけて滴下した。並行して、パーオクタND63.7g(14質量部)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
得られた共重合体溶液を評価したところ、転化率は70.8%であった。また得られた共重合体のMwは9,000であり、Mw/Mnは1.9であった。
これら比較例で得られた共重合体溶液および共重合体を評価した結果を表2に示す。
Claims (1)
- (A)芳香族ビニル化合物の含有割合が30〜80質量%であり、(B)(メタ)アクリル酸グリシジルの含有割合が1〜30質量%であり、(C)(メタ)アクリル酸の含有割合が1〜40質量%である単量体混合物を(D)式(1)で表されるジアルキルパーオキシジカーボネートの存在下で重合させる工程を有する、共重合体の製造方法。
式(1) R1−O(CO)OO(CO)O−R2
〔式(1)中、R1およびR2はCnH2n+1(n=2〜8)を示し、R1およびR2は同一でも良いし異なっていても良い。〕
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