JP2016215724A - 船外機 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料ラインにおけるベーパロックを防止してエンジンへの燃料供給を良好に実施できると共に、エンジンへの吸気温度の上昇を抑制してエンジン出力を向上できること。
【解決手段】エンジン室内にエンジン11が、クランクシャフトを鉛直方向に配設すると共に、クランク室をエンジン室の前寄りに位置づけ、シリンダ及び燃焼室をエンジン室の後寄りに位置づけて配置される船外機において、燃焼室へ燃料と空気の混合気を供給するキャブレタ40がエンジンの左側部に配置され、キャブレタへ燃料を導く燃料ラインが、エンジン室の前部から後部まで、エンジン11における右側部に沿って配設され、発電機により発電する電力を調整するレギュレータ61が、キャブタ40に対しては前後方向に離間したエンジン室の前部に位置づけられ、且つ燃料ラインに対してはクランクシャフトを挟んで左右方向反対側に位置づけられて配置されたものである。
【選択図】 図3

Description

本発明は、発電機により発電する電力を調整するレギュレータ(レギュレータレクチファイア)のレイアウトを改善した船外機に関する。
図7に示す特許文献1に記載の船外機100では、エンジンカバー102により形成されるエンジン室103内に、エンジン101と共に燃料タンク104が配置されている。このような船外機100では、燃料ポンプ105や燃料フィルタ106等を備えた燃料ライン107が、燃料タンク104内の燃料を燃料インジェクタ108へ導いている。また、スロットルボディ109がエンジン室103内の空気を吸い込み、この空気は、燃料イジェクトタ108から噴射される燃料と共に、混合気としてエンジン101へ供給される。
一方、発電機110は、エンジン101のクランクシャフト111の回転により駆動されて発電し、この発電された電力は、レギュレータ112により調整されて、イグニッションコイルなどの電装品へ給電された後、余剰電力が、船体に設置されたバッテリに電源ケーブル(共に図示せず)を経て供給されて充電される。
特開2006−291770号公報
ところで、レギュレータ112は発熱体であり、燃料ライン107及びスロットルボディ109の近傍に配置されている。このため、燃料ライン107内の燃料がレギュレータ112により加熱されてベーパロックが発生しやすく、この燃料ライン107から燃料インジェクタ108へ燃料が供給され難くなる恐れがある。また、スロットルボディ109により吸い込まれる空気がレギュレータ112により加熱されて、エンジン101の出力が低下する恐れがある。更に、レギュレータ112がエンジン室103の後部に配置されているので、船体に設置されたバッテリとレギュレータ112とを接続する電源ケーブルが長くなってしまう。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、燃料ラインにおけるベーパロックを防止してエンジンへの燃料供給を良好に実施できると共に、エンジンへの吸気温度の上昇を抑制してエンジン出力を向上できる船外機を提供することにある。
本発明に係る船外機は、エンジンカバーに覆われて形成されるエンジン室内にエンジンが、クランク軸を鉛直方向に配設すると共に、前記クランク軸を収容するクランク室を前記エンジン室の前寄りに位置づけ、シリンダ及び燃焼室を水平方向で前記エンジン室の後寄りに位置づけて配置される船外機において、前記燃焼室へ燃料と空気の混合気を供給する混合気供給装置が前記エンジンの左右方向の一側部に配置され、前記混合気供給装置へ燃料を導く燃料ラインが、前記エンジン室の前部から後部まで、前記エンジンにおける前記左右方向の一側部と反対側の他側部に沿って配設され、前記クランク軸と一体に回転する発電機により発生する電力を調整するレギュレータが、前記混合気供給装置に対しては前後方向に離間した前記エンジン室の前部に位置づけられ、且つ前記燃料ラインに対しては前記クランク軸を挟んで左右方向反対側に位置づけられて配置されたことを特徴とするものである。
本発明によれば、発熱体であるレギュレータが混合気供給装置及び燃料ラインに対して離間して配置されたので、混合気供給装置は、温度の低い空気(吸気)を混合気としてエンジンの燃焼室へ供給できるのでエンジン出力を向上させることができ、また、燃料ラインは、レギュレータにより燃料が加熱されないのでベーパロックが抑制されて、混合気供給装置、ひいてはエンジンの燃焼室へ燃料を良好に供給できる。
本発明に係る船外機の一実施形態を示す左側面図。 図1の船外機におけるエンジン等を、アッパカバーを取り外して示す平面図。 図1及び図2のエンジン等を示す左側面図。 図3のIV斜視図。 図1及び図2のエンジン等を示す右側面図。 図2のVI−VI線に沿う断面図。 従来の船外機におけるエンジン等を示す断面図。
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る船外機の一実施形態を示す左側面図である。この図1に示す船外機10はエンジンホルダ16を備え、このエンジンホルダ16にバーティカル型のエンジン11が搭載される。エンジンホルダ16にはドライブシャフトハウジング12が下方へ向かって一体に延設され、このドライブシャフトハウジング12の下端部にギアケース13が設置される。エンジン11及びエンジンホルダ16は、エンジンカバー14に覆われて形成されるエンジン室15内に配置される。エンジンカバー14は、エンジンホルダ16に取り付けられたロアカバー14Aと、このロアカバー14Aに着脱可能に設けられたアッパカバー14Bと、を備えてなる。
エンジン11は、クランクシャフト17(図6)が鉛直方向に設けられた縦置き型(バーティカル型)であり、このクランクシャフト17に連結されたドライブシャフト18がドライブシャフトハウジング12内に鉛直方向に延びる。ドライブシャフト18は、ギアケース13内に水平方向に配設されたプロペラシャフト19にシフト機構20を介して連結され、プロペラシャフト19の後端部にプロペラ21が回転一体に取り付けられる。エンジン11の駆動力は、クランクシャフト17からドライブシャフト18及びシフト機構20を経てプロペラシャフト19へ伝達され、シフト機構20の作用でプロペラ21を正転または逆転させて、船体25(後述)を前進または後進させる。
ドライブシャフトハウジング12の上半部は、周囲に設けられたスイベルブラケット22によって水平方向に回動自在に支持され、このスイベルブラケット22がスイベルシャフト23を介してクランプブラケット24に対し鉛直方向に回転自在に支持され、このクランプブラケット24が船体25のトランサム25Aを把持する。スイベルブラケット22がクランプブラケット24に対し鉛直方向に回動自在に設けられたことで、船外機10は船体25に対し鉛直方向にトリム&チルト操作可能に設けられる。また、ドライブシャフトハウジング12がスイベルブラケット22に対し水平方向に回動自在に設けられることで、船外機10は水平方向に操舵可能に設けられる。
尚、船外機10を操舵する際には、操舵ハンドル26が用いられる。この操舵ハンドル26は、エンジンホルダ16に鉛直方向に回転自在に枢支され、この操舵ハンドル26の先端部に、エンジン11の出力調整用のスロットルグリップ26Aが設けられる。
エンジン11は、図6に示すように4サイクル単気筒エンジンであり、上下に分割可能な上側エンジンケース27及び下側エンジンケース28と、シリンダヘッド29とを有して構成される。上側エンジンケース27には、前方にクランク室37、後方にシリンダ31がそれぞれ形成される。クランク室30はクランクシャフト17を収容して、エンジン室15の前寄りに位置づけられる。シリンダ31は水平方向に延在して、後述の燃焼室36と共にエンジン室15の後寄りに位置づけられる。このシリンダ31内にはピストン32が摺動自在に配設され、このピストン32がクランクシャフト17にコンロッド33を介して連結されて、ピストン32の往復運動がクランクシャフト17の回転運動に変換される。
下側エンジンケース28には、オイルパン34及び排気通路35が形成される。また、シリンダヘッド29には、シリンダ31に整合する燃焼室36と、この燃焼室36に連通する吸気ポート37及び排気ポート38とがそれぞれ形成されると共に、図示しない動弁装置が設けられる。この動弁装置の図示しない吸気バルブ、排気バルブが吸気ポート37、排気ポート38をそれぞれ開閉する。排気ポート38は、下側エンジンケース28の排気通路35に連通する。
吸気ポート37は、混合気供給装置としての図3に示すキャブレタ(気化器)40に連通する。このキャブレタ40は吸気口40Aを備え、この吸気口40Aから取り込んだエンジン室15内の空気(吸気)と燃料ライン45(後述)から導かれる燃料とから混合気を生成し、この混合気をエンジン11の燃焼室36へ供給する。キャブレタ40は吸気口40Aと共に、図2及び図3に示すように、エンジン室15内でエンジン11の左右方向の一側部、本実施形態では左側部に配置される。
前記燃料ライン45は、図3〜図5に示すように、船体25に設置された図示しない外部燃料タンクに接続可能な燃料コネクタ46が第1燃料パイプ41を経て、燃料フィルタ47が配設された第2燃料パイプ42に接続され、この第2燃料パイプ42が燃料ポンプ48に接続され、更にこの燃料ポンプ48が第3燃料パイプ43を経てキャブレタ40に接続されて主要なラインが構成される。燃料ライン45の他のラインとして、後述の燃料タンク50とキャブレタ40とを接続する第4燃料パイプ44を備えたものがある。
燃料ライン45における燃料ポンプ48等を含む主要なラインは、エンジン室15内でエンジン11の前部から後部まで、キャブレタ40が配置されたエンジン15における左右方向の一側部と反対側の他側部、本実施形態では右側部に沿って配設される。この燃料ライン45の主要なライン内を、図5の矢印Aに示すように燃料が流れる。また、燃料ライン45における第4燃料パイプ44を含む他のラインは、エンジン室15内の後部に配設される。
前記燃料タンク50は、図5及び図6に示すように、エンジン室15の後上部で、且つエンジン11におけるシリンダ31と、燃焼室36を含むシリンダヘッド29との上方に配置される。キャブレタ40へは、燃料タンク50からの燃料と、船体25に設置された外部燃料タンクからの燃料とが択一に導かれる。
図6に示すように、エンジン11の上部であるクランクシャフト17の上端にフライホイールマグネト51が回転一体に取り付けられ、このフライホイールマグネト51の上面に換気ファン52が固着される。換気ファン52の上方にリコイルスタータプーリ53が、フライホイールマグネト51と回転一体に設けられる。これらのフライホイールマグネト51、換気ファン52及びリコイルスタータプーリ53はファンカバー54により覆われて構成される。このファンカバー54の天面に空気流入口55が、ファンカバー54の前下部に空気流出口56がそれぞれ形成される。
図2及び図6に示すように、ロアカバー14Aの後下部で且つ燃料タンク50の下方に、エンジン室15内に外気を導入する外気導入口57が形成される。また、ロアカバー14Aの前下部には、エンジン室15内の空気を船外機10外へ排出する排気口58が形成される。このロアカバー14Aの排気口58とファンカバー54の空気流出口56とが、エンジン室15の前部に配置された換気ダクト59により連結される。
クランクシャフト17の回転により換気ファン52が駆動されると、図6の矢印Cに示すように、ロアカバー14Aの外気導入口57からエンジン室15内に外気が導入される。このエンジン室15内に導入された外気は、燃料タンク50の周囲を通ってファンカバー54の空気流入口55からファンカバー54内に流入すると共に、シリンダヘッド29を冷却して温度上昇し、ファンカバー54と上側エンジンケース27との隙間(不図示)を通ってファンカバー54内に流入する。このファンカバー54内に流入した空気は、フライホイールマグネト51を含む発電機60周囲を冷却して更に温度上昇し、ファンカバー54の空気流出口56及び換気ダクト59を経て、ロアカバー14の排気口58から船外機10外へ排出される。
ところで、フライホイールマグネト51を備えた発電機60は、フライホイールマグネト51がクランクシャフト17と一体に回転することで発電するが、この発電された電力は、図3〜図5に示すレギュレータ(レギュレータレクチファイア)61により交流電流が直流電流に整流され、電圧が所定電圧(例えば12V)に安定化されて調整される。このレギュレータ61により調整された電力は、図示しないイグニッションコイルなどの電装品へ供給された後、余剰電力が電源ケーブル62(図1)を経て、船体25に設置されたバッテリ63に充填される。
上述のレギュレータ61は発熱体であり、このため、図3に示すようにキャブレタ60、及び燃料ライン45における第4燃料ライン44を含む他のラインに対しては、前後方向に離間するエンジン11の前方に位置づけられ、且つ図4に示すように、燃料ライン45の燃料ポンプ48を含む主要なラインに対しては、クランクシャフト17を挟んで左右方向反対側に離間して位置づけられて配置される。また、このレギュレータ61の外表面には、鉛直方向に延びる放熱フィン64が複数形成されて、エンジン室15内を上昇する空気による放熱効率の向上が図られている。
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)〜(4)を奏する。
(1)図3〜図5に示すように、発熱体であるレギュレータ61がキャブレタ40及び燃料ライン45に対して離間して配置されたので、キャブレタ40は、温度の低い空気(吸気)を混合気としてエンジン11の燃焼室36へ供給できるのでエンジン出力を向上させることができ、また、燃料ライン45は、レギュレータ61により燃料が加熱されないのでベーパロックが抑制されて、キャブレタ40、ひいてはエンジン11の燃焼室36へ燃料を良好に供給できる。更に、燃料ライン45における燃料温度の上昇が防止されるので、燃料温度の上昇により燃料蒸気が増加して大気汚染を招く事態を未然に回避できる。
(2)図4に示すように、換気ダクト59が、燃料ライン45における燃料ポンプ48等を含む主要なラインとレギュレータ61との間に配置されたので、この換気ダクト59がレギュレータ61の熱を遮蔽できる。この結果、燃料ライン45の主要なラインにおける燃料温度の上昇をより一層防止できると共に、燃料ライン45における遮熱対策を削減できる。
(3)図6に示すように、エンジン室15の前部にレギュレータ61が、後上部に燃料タンク50がそれぞれ配置されたので、燃料タンク50内の燃料が発熱体であるレギュレータ61により加熱されることを防止でき、燃料タンク50内での燃料蒸気の発生を抑制できる。更に、ロアカバー14Aには燃料タンク50の下方に外気導入口57が形成されたので、この外気導入口57から導入される外気によって燃料タンク50を冷却でき、このため、燃料タンク50内の燃料温度の上昇をより一層防止できる。
(4)図1に示すように、エンジン室15の前部にレギュレータ61が配置されたので、船体25に設置されたバッテリ63とレギュレータ61との距離が接近して、これらのバッテリ63とレギュレータ61とを接続する電源ケーブル62を短縮できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
例えば、エンジン11の燃焼室36へ燃料と空気の混合気を供給する混合気供給装置はキャブレタ40に限らず、共に図示しない燃料インジェクタ及びスロットルボディであってもよい。スロットルボディが備えたスロットルバルブの開閉により燃焼室36への空気量が調整され、燃料インジェクタの噴射制御により燃焼室36へ導かれる燃料量が調整される。
10 船外機
11 エンジン
14 エンジンカバー
14A ロアカバー
15 エンジン室
30 クランク室
31 シリンダ
36 燃焼室
40 キャブレタ(混合気供給装置)
45 燃料ライン
46 燃料コネクタ
47 燃料フィルタ
48 燃料ポンプ
50 燃料タンク
51 フライホイールマグネト
52 換気ファン
54 ファンカバー
55 空気流入口
56 空気流出口
57 外気導入口
58 排気口
59 換気ダクト
60 発電機
61 レギュレータ
63 バッテリ

Claims (4)

  1. エンジンカバーに覆われて形成されるエンジン室内にエンジンが、クランク軸を鉛直方向に配設すると共に、前記クランク軸を収容するクランク室を前記エンジン室の前寄りに位置づけ、シリンダ及び燃焼室を水平方向で前記エンジン室の後寄りに位置づけて配置される船外機において、
    前記燃焼室へ燃料と空気の混合気を供給する混合気供給装置が前記エンジンの左右方向の一側部に配置され、
    前記混合気供給装置へ燃料を導く燃料ラインが、前記エンジン室の前部から後部まで、前記エンジンにおける前記左右方向の一側部と反対側の他側部に沿って配設され、
    前記クランク軸と一体に回転する発電機により発生する電力を調整するレギュレータが、前記混合気供給装置に対しては前後方向に離間した前記エンジン室の前部に位置づけられ、且つ前記燃料ラインに対しては前記クランク軸を挟んで左右方向反対側に位置づけられて配置されたことを特徴とする船外機。
  2. 前記エンジンの上部に設けられクランク軸により駆動される換気ファンと、この換気ファンを覆い空気流入口及び空気流出口を備えたファンカバーと、このファンカバーの前記空気流出口とエンジンカバーに設けられた排気口とを連結する換気ダクトとを備え、この換気ダクトが、燃料ラインとレギュレータとの間に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の船外機。
  3. 前記エンジン室の後上部にはエンジンのシリンダ及び燃焼室の上方に燃料タンクが配置され、エンジンカバーの後下部で且つ前記燃料タンクの下方に、前記エンジン室内に外気を導入する外気導入口が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の船外機。
  4. 前記混合気供給装置は気化器、または燃料を噴射する燃料インジェクタとスロットルバルブを備えたスロットルボディとであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の船外機。
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