JP4005198B2 - 船外機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンカバーで覆われたエンジンルームの内部に、バーチカル型エンジン及びこのエンジンでベルト駆動される発電機を収納した、船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】
船外機は一般に、防水用エンジンカバーで覆われたエンジンルームの内部に、バーチカル型エンジンを収納したものである。エンジンカバーは、エンジンルームに新気を取入れる新気取入れ口を備えており、この新気取入れ口から取入れた新気はエンジンの燃焼室に連通する吸気装置に供給されることになる。エンジンルームにおいて、バーチカル型エンジンは、クランクシャフトの上端にプーリを取付け、このプーリによって発電機をベルト駆動するものであって、プーリ及びベルトはカバーで覆われる。
【0003】
このような船外機として、例えば、特開平6−33790号「船舶推進機」がある。この技術は、その公報の図1〜図3によれば、エンジン本体10(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)を収納するトップカウル42に新気取入れ口を備え、この新気取入れ口から取入れた空気(新気)をインテーク吸入口32を介してエンジン本体10に取り込むものであり、しかも、新気取入れ口からインテーク吸入口32までの空気の流れから、交流発電機46を離して配置するというものである。さらには、交流発電機46は上部のみを防水カバー58で覆われたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般にエンジンルーム内には、エンジン本体の運転条件を制御するための電装部品が収容される。この電装部品自体の発熱(点火コイルや電子制御モジュール駆動用ICの発熱等)も含め、回路の安定した作動のため適宜に冷却することが望ましい。しかしながら、上記従来の技術ではそのような配慮がなかった。
【0005】
そこで本発明の目的は、空冷型発電機並びにエンジン制御用電装部品を新気で積極的に効果的に冷却できる技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、新気取入れ口を有するエンジンカバーで覆われたエンジンルームに、クランクシャフトを概ね縦置きに回転支持するエンジンブロックと、クランクシャフトの上端部に取付けた駆動プーリと、この駆動プーリと協働する被動プーリを有し冷却用ファンを備えた空冷型発電機と、新気取入れ口と空冷型発電機との間に配置したエンジン制御用電装部品と、駆動・被動プーリ並びにこれらのプーリに掛けたベルトの少なくとも上方を覆うベルトカバーとを備えるバーチカル型エンジンを収納した船外機において、エンジン制御用電装部品を、新気取入れ口と空冷型発電機との間であって、ベルトカバーより下方に位置させるとともに、ベルトカバーの上部に、新気取入れ口からエンジンルーム内におけるベルトカバーの上方へ取入れた新気をエンジン制御用電装部品へ誘導するための誘導壁を設けたことを特徴とする。
【0007】
ベルトカバーよりも上方位置で取入れた新気(エンジンルーム内の空気よりも低温の外気)の一部は、ベルトカバーの上部で誘導壁によってエンジン制御用電装部品へ誘導される。このため、新気の一部はエンジン制御用電装部品を冷却し、新気の他の一部は空冷型発電機の方に流れて、空冷型発電機を冷却する。従って、空冷型発電機並びにエンジン制御用電装部品を新気で積極的に効果的に冷却することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、バーチカル型エンジンの燃焼室に連通する吸気装置の吸気口を、空冷型発電機の近傍に配置したことを特徴とする。
【0009】
エンジンの吸気口と空冷型発電機とを互いに近づけて配置した。このため、エンジンルーム内に取入れられた新気の一部は、エンジン制御用電装部品の周囲を経てエンジンの吸気装置内に吸引され、エンジン制御用電装部品を冷却した後に燃焼に供され、船外機の排気出口から排出される。また、新気の他の一部は、エンジン制御用電装部品の周囲を経て空冷型発電機の冷却用スリットに取入れられ、エンジン制御用電装部品を冷却した後に発電機の冷却に供され、ベルトカバーに設けられた換気用ダクトから排出されるか、最終的に吸気装置に吸引され、燃焼に供された後に、船外機の排気出口から排出される。また、新気のさらに他の一部は、新気取入れ口から発電機へ直接的に流れ、発電機の冷却に供される。また、新気の別の一部は、吸気装置に吸引され、燃焼に供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る船外機の側面図であり、船外機1は、エンジン取付部材としてのマウントケース2の上にボルト結合したバーチカル型多気筒エンジン3と、マウントケース2の下にボルト結合し排気膨張室を画成するエクステンションケース4と、このエクステンションケース4内に収納しエンジン3からの動力を伝達するバーチカル駆動軸5と、エクステンションケース4の下部に取付けたギヤケース6と、このギヤケース6に収納し前後進切換えをするベベルギヤセット7(ドッグクラッチ装置を含む)と、このベベルギヤセット7に連結し伝達された動力によって回転するプロペラ8等からなる船外機本体1Aに、図示せぬマウントラバーを介して船外機取付機構11を弾性的に支持、結合したものである。
【0011】
船外機取付機構11は船体Sに船外機本体1Aを固定する金具であって、スイベル軸12を中心に平面視左右に船外機本体1Aを揺動し、また、チルト軸13を中心にスイベル軸12を含む船外機本体1Aを図時計方向に跳ね上げることが可能である。
船外機本体1Aは、更に、エンジン3を収容する下部のアンダーケース21並びに上部のエンジンカバー22と、アンダーケース21の直下でマウントケース2の周囲並びにエクステンションケース4の上部周囲を覆うアンダーカバー23とを備えた。
【0012】
詳しくは、マウントケース2の上部にアンダーケース21を載せてボルト結合し、このアンダーケース21の上部にエンジンカバー22を載せて図示せぬ係脱装置にて着脱可能に取付け、また、アンダーケース21の下部にアンダーカバー23の上部をボルト結合したものである。
【0013】
アンダーケース21並びにエンジンカバー22は、エンジン3を収納するためのエンジンルーム24を画成する役割を果たす。エンジンカバー22は上部側壁に、エンジンルーム24内に新気(エンジンルーム24内の空気よりも低温の外気)を取入れる新気取入れ口22aと、エンジンルーム24内を冷却した後の冷却排風を外部に排出し換気する排気出口22bとを設けたものである。新気取入れ口22aは、エンジンカバー22の背面(この図の左)に開けた、水平方向に細長いスリット状の貫通孔である。
アンダーカバー23は化粧カバーの役割を果たす。
【0014】
バーチカル型多気筒エンジン3は例えば水冷4気筒4サイクルエンジンからなり、上下方向に並んだ各シリンダ31…(…は複数を示す。以下同じ。)の軸線を横向き(略水平)とし、クランクシャフト32を縦向き(縦置き)としたもので、横向きのシリンダブロック33とシリンダヘッド34との接合面、並びに、シリンダヘッド34とヘッドカバー35との接合面は略垂直面となる。エンジン3の燃焼室3aは、シリンダブロック33とシリンダヘッド34との接合部分に形成したものである。
そして、エンジン3は、船外機1の後方(船体Sの推進方向後方。すなわち、この図の左方向)にシリンダヘッド34並びにヘッドカバー35を向けて配置したものである。
【0015】
図中、25はオイルパン、26は排気管、27はシフトロッド、36はシリンダブロック33にボルト結合したクランクケース、37はシリンダ31内のピストン、38はクランクシャフト32に取付けたフライホイールである。
【0016】
図2は図1の2−2線断面図であり、想像線で表した新気取入れ口22a,22aが、カム軸44側に左右一対あることを示す。
エンジン3は、2本の2次バランサ軸41,42と、他方の2次バランサ軸42の近傍の中間軸43と、1本のカム軸44とを、それぞれクランクシャフト32と平行に配置して備え、また、クランクケース36の上面に、ブラケット45を介して空冷型発電機46(以下、単に「発電機46」と言う。)を取付けたものである。他方の2次バランサ軸42と中間軸43とは、連動関係にある。発電機46の回転軸46aは、クランクシャフト32と平行に配置したものである。
【0017】
2次バランサ軸41,42はクランクシャフト32よりもシリンダヘッド34寄りに配置し、また、カム軸44はシリンダヘッド34とヘッドカバー35との合わせ面に配置したものである。
【0018】
平面視において、クランクシャフト32とカム軸44と発電機46とは、概ね一直線上に配置するとともに、クランクシャフト32を基準にして、カム軸44と発電機46とは、互いに反対側に配置したものである。
このため、エンジンルーム24の後部の新気取入れ口22a,22aに対して、これと反対側のエンジンルーム24の前部に、発電機46を配置したことになる。
【0019】
クランクシャフト32は上端部に、カム軸駆動プーリ47と2次バランサ軸駆動プーリ48と発電機駆動プーリ49とを、下からこの順に取付けたものである。発電機駆動プーリ49は上端部に、換気ファン51を一体的に設けたものである。
【0020】
カム軸44は上端部に、カム軸被動プーリ52を取付けたものであり、このカム軸被動プーリ52とカム軸駆動プーリ47とに、第1ベルト53を掛けたものである。
一方の2次バランサ軸41及び中間軸43は上端部に、それぞれ2次バランサ軸被動プーリ54,54を取付けたものであり、これらの2次バランサ軸被動プーリ54,54と2次バランサ軸駆動プーリ48とに、第2ベルト55を掛けたものである。
発電機46の回転軸46aは上端部に、発電機被動プーリ56を取付けたものであり、この発電機被動プーリ56と発電機駆動プーリ49とに、第3ベルト57を掛けたものである。
【0021】
クランクケース36は前面(図右面)に吸気サイレンサ61を取付けたものである。吸気サイレンサ61は、スロットル弁62及び吸気マニホールド63を介してエンジン3の燃焼室3a(図1参照)に接続したものである。吸気マニホールド63は、エンジン3の右側面を沿うように配置したものである。
【0022】
さらにこの図は、エンジンルーム24内において、新気取入れ口22a,22aと発電機46との間に、詳しくは、後述するガイド板74の前縁Lと発電機46との間に、電装ボックス64を配置し、この電装ボックス64をシリンダブロッ33並びにクランクケース36の左側面に取付けたことを示す。
電装ボックス64は、後述するエンジン3を制御するためのエンジン制御用電装部品90(図10参照)を収納するボックスであり、例えば、冷却フィン付きアルミニウムケースに図10の制御系電装部品91や点火コイル92を収納する。エンジン制御用電装部品90は、燃料噴射弁65からの燃料噴射量及び燃料噴射タイミングあるいは点火タイミングを電気的に制御するものである。
電装ボックス64は、シリンダブロック33とクランクケース36とエンジンカバー22の内面との間の、狭い空間にコンパクトに収納されることになる。
【0023】
図中、58は第1ベルト53に所定の張力を与える第1テンショナ、59は第2ベルト55に所定の張力を与える第2テンショナ、Bはカム軸中心、Cは発電機用回転軸中心である。
【0024】
図3は図2の3矢視図である。
発電機46の上部並びに第1・第2・第3ベルト53,55,57は、ベルトカバー71に収納したものである。すなわち、第1・第2・第3ベルト53,55,57の少なくとも上方をベルトカバー71で覆った。ベルトカバー71は上カバ72ーと下カバー73とからなる。
上カバー72は、上部における発電機46周囲に、スリット状の多数の空気通過孔72a…を開けたものである。下カバー73は、発電機46の周囲を囲む開口部73aを有する。
【0025】
ところで、エンジンカバー22は、新気取入れ口22aの下縁から前方(図右方向)へ延びるガイド板74を、内部に取付けたものである。従って、新気取入れ口22aから取入れた新気は、エンジンカバー22の上壁とガイド板74とに挟まれた空間24aを通って前方へ流れ、ガイド板74の前縁(図2の想像線Lに示される位置にある縁)を新気導入部とし、この新気導入部からエンジンルーム24へ流れることになる。
【0026】
また、この図は、エンジン3に固定したエンジンハンガ75の上端が、上カバー72を貫通して上方に突出したことを示す。
燃料は、燃料ポンプ76,76によって船外機1の外部から燃料サブタンク77に送られ、不図示の高圧燃料ポンプにより高圧燃料フィルタ78を経て燃料噴射弁65に送られる。79はオイルフィルタである。
【0027】
図4は図3の4矢視図である。
発電機46は、上部コーナ並びに下部コーナに、スリット状の多数の空気通過孔46b…,46c…を開けるとともに、ロータ46dの上部並びに下部に、冷却用ファン46e…,46f…を備えたものである。
図2の回転軸46aと共にロータ46dが回転することによって、冷却用ファン46e…,46f…も回転する。このため、新気は上の空気通過孔46b…の上部コーナから入って内部を冷却した後に、上の空気通過孔46b…の側方から抜出る。また、新気は下の空気通過孔46c…の下部コーナからから入って内部を冷却した後に、下の空気通過孔46c…の側方から抜出る。
【0028】
吸気サイレンサ61は、発電機46の下方に配置したものであって、箱状の本体部81と、この本体部81の左側面に結合したダクト部82とからなる。ダクト部82は、下端に下向きに開口する吸気口82aを備えるとともに、その上端に本体部81の内部空間に連通する連通孔82bを備える。
このようにして、エンジン3の燃焼室3a(図1参照)に連通する吸気サイレンサ61の吸気口82aを、発電機46の近傍に配置したことを特徴とする。83は可撓性吸気ダクトである。
【0029】
吸気サイレンサ61、スロットル弁62、吸気マニホールド63、可撓性吸気ダクト83は、エンジン3の燃焼室3aに連通する吸気装置をなす。
また、以上の説明から明らかなように、バーチカル型多気筒エンジン3は、クランクシャフト32を縦置きとしたエンジンブロック(シリンダブロック33、シリンダヘッド34、ヘッドカバー35、クランクケース36からなる組立体)と、前記吸気装置と発電機46と、電装ボックス64を備えたものである。
【0030】
ところで、ガイド板74は右側部(図左)には換気用ダクト74aを形成したものである。この換気用ダクト74aは、上カバー72の排気出口72bと、エンジンカバー22の排気出口22bとの間を、連通するダクトである。
ベルトカバー71内の換気をする換気ファン51が回転することにより、発電機46を冷却した後の冷却排風を、換気用ダクト74aを介してエンジンルーム24の外部に排出することができる。すなわち、換気用ダクト74aにより、ベルトカバー71内が新気と連通して換気が行われる。
【0031】
一旦、図2に戻って説明を続けると、上カバー72は内部に、且つ、発電機駆動プーリ(駆動プーリ)49と発電機被動プーリ(被動プーリ)56との間に、第3ベルト57を迂回して冷却排風を排気出口72bへ案内するための、板状の案内壁72cを設けたものである。また、上カバー72は内部に、第2ベルト55を迂回して冷却排風を排気出口72bへ案内するための、板状の案内壁72dを設けたものである。
さらには、上カバー72は上部に、想像線にて示す2つの誘導壁72e,72fを一体に設けたことを特徴とする。新気取入れ口22aから取入れた新気が、上カバー72の上方を通る際に、新気を誘導壁72e,72fで分岐して、電装ボックス64に誘導することができる。
【0032】
下カバー73は底壁73bには、種々の孔を開けたものであり、これらの孔は例えば、▲1▼クランクシャフト32の近傍に開けた多数のスリット状の第1空気通過孔(吸気孔)73c…、▲2▼カム軸44の近傍に開けた多数のスリット状の第2空気通過孔(吸気孔)73d…、▲3▼電装ボックス64の近傍に開けた2つのスリット状の第3空気通過孔(吸気孔)73e…である。
第1・第2空気通過孔73c…,73d…は、ベルトカバー71の下方にあるエンジン3に熱気が籠らないように吸引する孔である。第3空気通過孔73e…は、ベルトカバー71の下方にある電装ボックス64に熱気が籠らないように吸引する孔である。
【0033】
図5は本発明に係る上カバーの平面図であり、上カバー72に多数の空気通過孔72a…、排気出口72b、2つの誘導壁72e,72fを設けたことを示す。2つの誘導壁72e,72fは、上カバー72の上部の左側部(電装ボックス64の配置側)に前後(図左右方向)に並べたものである。72gはハンガ貫通孔である。
【0034】
図6(a),(b)は本発明に係る上カバーの構成図であり、(a)は平面断面図、(b)は(a)のb−b線断面図であって、上カバー72に空気通過孔72a…、排気出口72b、案内壁72c,72dを設けたことを示す。さらには、上カバー72は、想像線にて示す換気ファン51に対して、案内壁72cと略対象位置に案内壁72hを設けたことを示す。案内壁72c,72d,72hは、上カバー72の裏面から垂下したものである。
【0035】
図7(a),(b)は本発明に係る上カバーの構成図であり、(a)は図5の7矢視図、(b)は(a)のb矢視図であって、2つの誘導壁72e,72fの形状並びに配置関係を示す。
【0036】
図8(a),(b)は本発明に係る下カバーの構成図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b線断面図であって、下カバー73の前部(発電機46側)に開口部73aを設け、下カバー73の底壁73bに第1・第2・第3空気通過孔73c…,73d…,73e…を設けたことを示す。
【0037】
次に上記構成の船外機の作用を説明する。
図2において、エンジン3を運転することによりクランクシャフト32が回転すると、カム軸駆動プーリ47と2次バランサ軸駆動プーリ48と発電機駆動プーリ49とが回転するので、第1・第2・第3ベルト53,55,57を介してカム軸被動プーリ52と2次バランサ軸被動プーリ54と発電機被動プーリ56とが回転する。従って、カム軸44、中間軸43、2次バランサ軸41,42及び発電機46は駆動されて回転する。
【0038】
さらに図9及び図10に基づいて、船外機の冷却作用を説明する。
図9は本発明に係る船外機の作用図(その1)である。
エンジン3の運転に伴って発生する吸気負圧により、エンジンルーム24の中は負圧になる。このため、エンジンカバー22の後部の新気取入れ口22aからガイド板74の上面に沿ってエンジンルーム24に新気が取入れられる。新気取入れ口22a及び吸気サイレンサ61の吸気口82aはエンジンルーム24の対角位置に設けられているため、つまり、新気取入れ口22aはエンジンルーム24の後上部にあり、吸気サイレンサ61の吸気口82aはエンジンルーム24の前下部にあるため、新気はエンジン3の外周を迂回してエンジンルーム24の内部空間を隈なく流れ、吸気口82aから吸気サイレンサ61に吸入される。吸気サイレンサ61に入った新気は、エンジン3の各シリンダ31…(図1参照)の燃焼室3a…に供給される。
【0039】
発電機46が、エンジンルーム24の前部に位置するクランクケース36の前方にあるため、新気はエンジンカバー22の上壁に沿って前方に流れ、さらに、エンジンカバー22の前壁に沿って下方へ流れる新気の流れの経路に発電機46が配置したことになり、発熱部材である発電機46及びその周辺を効果的に冷却することができる。
【0040】
また、エンジンルーム24に取入れた新気のうち、吸気サイレンサ61に吸入されなかったものは、図2に示す上カバー72の空気通過孔72a…、下カバー73の開口部73a及び第1・第2・第3空気通過孔73c…,73d…,73e…からベルトカバー71内に導入され、そこで、発電機駆動プーリ56に設けた換気ファン51により攪拌されて、第1・第2・第3ベルト53,55,57を冷却し、換気用ダクト74aを経て、船外機1の外部に排出される。このとき、下カバー73の開口部73aに臨むように発電機46を配置しているので、開口部73aを通過する新気により発電機46及びその周辺を効果的に冷却することができる。
【0041】
図10は本発明に係る船外機の作用図(その2)である。
新気取入れ口22aからガイド板74の上面に沿ってエンジンルーム24に取入れられた新気は、上カバー72の上方を通る際に、誘導壁72e,72fによって分流されて、一部が電装ボックス64に誘導される。このため、新気は下記(1)〜(4)のような作用をなす。
【0042】
(1)エンジンルーム24内に取入れられた新気の一部は、電装ボックス64の周囲を経て、吸気口82aからエンジン3の吸気装置内に吸引され、電装ボックス64に収納したエンジン制御用電装部品90(冷却フィン付きアルミニウムケースに内蔵した制御系電装部品91や点火コイル92等)を冷却した後にエンジン3の燃焼に供され、船外機1に排気出口24b(図4参照)から排出される。なお、電装ボックス64は多数の空気通過孔64a…を有し、この空気通過孔64a…を通過した新気によってエンジン制御用電装部品90が冷却される。
【0043】
(2) また、新気の他の一部は、電装ボックス64の周囲(エンジン制御用電装部品90)の周囲を経て、発電機46の冷却用スリットとしての空気通過孔46b,46c(46bは図4参照)に取入れられ、エンジン制御用電装部品90を冷却した後に発電機46の冷却に供され、ベルトカバー71に設けられた換気用ダクト74a(図4参照)から排出されるか、最終的に吸気装置の吸気口82aに吸引され、燃焼に供された後に、船外機1の排気出口22bから排出される。
【0044】
(3)また、新気のさらに他の一部は、新気取入れ口22aから発電機46へ直接的に流れ、発電機46の冷却に供される。
【0045】
(4)また、新気の別の一部は、吸気口82aに直接吸引されて、エンジン3の燃焼に供される。
【0046】
以上のように、エンジンカバー22の新気取入れ口22aからエンジンルーム24に取入れられて、吸気サイレンサ61の吸気口82aに吸引される新気により、発電機46の冷却が行われ、しかも、エンジンルーム24からベルトカバー71内を経て外部に排出される冷却排風によっても発電機16の冷却が行われる。この結果、発電機46の発する熱気が第1・第2・第3ベルト53,55,57等の周囲の機器や部材に与える影響を軽減することができる。
【0047】
一方、エンジン3を停止した場合には、エンジン3からの熱気が上カバー72の空気通過孔72a…、下カバー73の開口部73a及び第1・第2・第3空気通過孔73c…,73d…,73e…からベルトカバー71内に導入され、図9の換気用ダクト74aを経て船外機1の外に排出される。
【0048】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1記載の発明は、ベルトカバーに、新気取入れ口からエンジンルーム内におけるベルトカバーの上方へ取入れた新気をエンジン制御用電装部品へ誘導するための誘導壁を、上部に設けたので、ベルトカバーよりも上方位置で取入れた新気(エンジンルーム内の空気よりも低温の新気)が、ベルトカバーの上方を吸引力の強い空冷型発電機の方に直接的に向う流れとして集中することなく、エンジンルーム内のエンジン制御用電装部品にも新気を行き渡らせることができ、空冷型発電機並びにエンジン制御用電装部品を積極的に効果的に冷却することができる。
【0049】
請求項2記載の発明は、エンジンの燃焼室に連通する吸気装置の吸気口を、空冷型発電機の近傍に配置したので、エンジンルーム内に取入れられた新気の一部が、エンジン制御用電装部品の周囲を経てエンジンの吸気装置内に吸引され、エンジン制御用電装部品を冷却した後に燃焼に供され、船外機の排気出口から排出される。また、新気の他の一部は、エンジン制御用電装部品の周囲を経て空冷型発電機の冷却用スリットに取入れられ、エンジン制御用電装部品を冷却した後に発電機の冷却に供され、ベルトカバーに設けられた換気用ダクトから排出されるか、最終的に吸気装置に吸引され、燃焼に供された後に、船外機の排気出口から排出される。また、新気のさらに他の一部は、新気取入れ口から発電機へ直接的に流れ、発電機の冷却に供される。また、新気の別の一部は、吸気装置に吸引され、燃焼に供される。このように、空冷型発電機並びにエンジン制御用電装部品を、新気で積極的に効果的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る船外機の側面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図2の3矢視図
【図4】図3の4矢視図
【図5】本発明に係る上カバーの平面図
【図6】本発明に係る上カバーの構成図
【図7】本発明に係る上カバーの構成図
【図8】本発明に係る下カバーの構成図
【図9】本発明に係る船外機の作用図(その1)
【図10】本発明に係る船外機の作用図(その2)
【符号の説明】
1…船外機、3…バーチカル型多気筒エンジン、22…エンジンカバー、22a…新気取入れ口、24…エンジンルーム、32…クランクシャフト、46…空冷型発電機、46e,46f…発電機の冷却用ファン、49…駆動プーリ、51…換気ファン、56…被動プーリ、57…ベルト、64…エンジン制御用電装部品を収納した電装ボックス、71…ベルトカバー、72…上カバー、72a…ベルトカバーの空気通過孔、72b…排気出口、72c,72d…案内壁、72e,72f…誘導壁、73…下カバー、73a…エンジンの燃焼室に連通する吸気装置の吸気口、90…エンジン制御用電装部品。
Claims (2)
- 新気取入れ口を有するエンジンカバーで覆われたエンジンルームに、クランクシャフトを概ね縦置きに回転支持するエンジンブロックと、前記クランクシャフトの上端部に取付けた駆動プーリと、この駆動プーリと協働する被動プーリを有し冷却用ファンを備えた空冷型発電機と、前記新気取入れ口と空冷型発電機との間に配置したエンジン制御用電装部品と、前記駆動・被動プーリ並びにこれらのプーリに掛けたベルトの少なくとも上方を覆うベルトカバーとを備えるバーチカル型エンジンを収納した船外機において、前記エンジン制御用電装部品を、前記新気取入れ口と空冷型発電機との間であって、ベルトカバーより下方に位置させるとともに、前記ベルトカバーの上部に、前記新気取入れ口からエンジンルーム内におけるベルトカバーの上方へ取入れた新気を前記エンジン制御用電装部品へ誘導するための誘導壁を設けたことを特徴とする船外機。
- 前記バーチカル型エンジンの燃焼室に連通する吸気装置の吸気口を、前記空冷型発電機の近傍に配置したことを特徴とする請求項1記載の船外機。
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