JP2016213343A - 熱電変換材料の製造方法及び熱電変換素子の製造方法 - Google Patents

熱電変換材料の製造方法及び熱電変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱電変換材料を溶解鋳造によって製造する場合に、組成を均一化し、割れの発生を防止することができる製造方法を提供する。【解決手段】炉11の中に、溶解用るつぼ1と凝固用るつぼ2とを設置して、炉11内を不活性雰囲気又は還元性雰囲気としておき、熱電変換材料を構成する各元素の原料を溶解用るつぼ1内で溶解する溶解工程と、溶解工程後に、予熱しておいた凝固用るつぼ2に熱電変換材料の溶湯を移して凝固させる凝固工程とを有し、溶解工程では、原料に液相が生じたら溶解用るつぼ1の開口1aを閉塞して、その閉塞状態で原料を溶解し、凝固工程では、熱電変換材料を1030℃まで冷却する際の冷却速度を15℃/分以上90℃/分以下とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、複数のP型熱電変換素子とN型熱電変換素子とを組み合わせて配列した熱電変換モジュールに用いられる熱電変換素子(P型熱電変換素子及びN型熱電変換素子)の製造方法に関する。
熱電変換モジュールは、一組の配線基板の間に、一対のP型熱電変換素子とN型熱電変換素子とを電極で接続状態に組み合わせたものを、P,N,P,Nの順に交互に配置されるように、電気的に直列に接続した構成とされ、両端を直流電源に接続して、ペルチェ効果により各型熱電変換素子中で熱を移動させる(P型では電流と同方向、N型では電流と逆方向に移動させる)、あるいは、両配線基板間に温度差を付与して各熱電変換素子にゼーベック効果により起電力を生じさせるもので、冷却や加熱あるいは発電モジュールとしての利用が可能である。
ところで、P型熱電変換素子、N型熱電変換素子の両熱電変換素子は、一般には、ホットプレスやプラズマ放電焼結などの方法で粉体を固め、その圧粉体(熱電変換材料)から素子を切り出すという方法が用いられる。その際、粉体の作製にはガスアトマイズなどの方法の他に、溶解、鋳造により所望の熱電変換素子の母合金(熱電変換材料)を作製し、それを粉砕して粉体を作製するという方法も行われている。
しかし、このような方法ではプロセスが長く、材料のロスが多くなりコスト高になる。さらに、粉体を作製するプロセスの間に不純物が混入し、熱電変換特性が低下するおそれもある。
そこで、熱電変換材料を溶解、鋳造により作製する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、熱電変換材料の原料を溶融させる工程と、前記溶融された熱電変換材料の原料を凝固させる工程とを有しており、少なくとも凝固工程において、熱電変換材料の原料の溶融物に超音波振動を印加することが開示されている。この方法によれば、結晶の配向を揃えるとともに、結晶粒を微細化し、これにより、熱伝導率を小さくし、性能指数を向上させることが可能になると記載されている。
特許文献2には、冷却板の上に複数の貫通孔を有する型材を設置する工程と、型材内に熱電変換材料の溶湯を注湯する工程と、型材内で熱電変換材料の溶湯を凝固させて熱電変換素子を形成する工程とを有する製造方法が開示されている。この製造方法によれば、熱電変換材料の溶湯が急冷されるため、熱電変換素子の高さ方向に結晶配向が揃い、電気抵抗が低減でき、また結晶粒径が小さいため熱伝導率が低く、高い性能が得られると記載されている。
特開2005−311094号公報 特開2007−194438号公報
ところで、粉体を作製してから、これをホットプレスやプラズマ放電焼結によって固める方法は、粉体を良く混ぜて焼結することで、組成の均一化を図ることができ、また、カーボンシートやグラファイトシート等の離型材を用いることにより、型と熱電変換材料が密着しないので、それによる割れを防止することができる。
これに対して、特許文献に開示される溶解鋳造によって熱電変換材料を製造する方法では、組成が不均一になり易く、また、冷却時に型に溶着し、熱応力によって割れが生じ易いという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、熱電変換材料を溶解鋳造によって製造する場合に、組成を均一化し、割れの発生を防止することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明の熱電変換材料の製造方法は、炉の中に、溶解用るつぼと凝固用るつぼとを設置して、前記炉内を不活性雰囲気又は還元性雰囲気としておき、熱電変換材料を構成する各元素の原料を前記溶解用るつぼ内で溶解する溶解工程と、前記溶解工程後に、予熱しておいた前記凝固用るつぼに熱電変換材料の溶湯を移して凝固させる凝固工程とを有し、前記溶解工程では、少なくとも前記原料に液相が生じた状態では前記溶解用るつぼの開口を閉塞した状態とし、その閉塞状態で前記原料を溶解し、前記凝固工程では、熱電変換材料を1030℃まで冷却する際の冷却速度を15℃/分以上90℃/分以下とする。
熱電変換材料としては、ビスマステルル合金、スクッテルダイト合金、シリサイド合金、ハーフホイスラー合金等が用いられるが、これらの熱電変換材料の成分には、種々の融点、沸点を有する元素が混在しており、各元素の個々の材料を溶解すると、沸点の低い元素が先に蒸発するため、所望の組成の熱電変換材料を得ることが難しい。
本発明においては、沸点の低い元素あるいは蒸気圧の高い元素と、融点の高い元素とを合金化するとき、原料に液相が生じたら溶解用るつぼの開口を蓋で覆うことにより、沸点の低い元素あるいは蒸気圧の高い元素の蒸発を抑え、溶湯のストイキオメトリを維持している。
また、溶解された原料は、そのまま溶解用るつぼ内で凝固させると凝固に時間がかかり、結晶が成長し微細化するのが難しい為、溶湯を凝固用るつぼに移し変え、結晶が割れないように凝固用るつぼの温度を制御しながら出来る限り素早く凝固させることにより、微細な結晶粒の熱電変換材料を得ることができる。そして、得られた熱電変換材料を所望の形に切り出すことによって熱電変換素子を得ることができる。
本発明の熱電変換材料の製造方法において、前記溶解工程では、前記溶解用るつぼ内の溶湯を撹拌するとよい。
溶解用るつぼ内の溶湯を撹拌することにより、溶湯中の組成を均一化することができる。攪拌機には、セラミックス製の羽根を有する攪拌翼を用い、この羽根を回転させて攪拌するとよい。
本発明の熱電変換材料の製造方法において、前記凝固用るつぼの内面に離型層を形成しておくとよい。
凝固用るつぼの内面に離型層を形成しておくことにより、溶湯とるつぼとの反応を抑えて、るつぼとの溶着を防止することができる。このため、結晶が凝固し冷却する際にるつぼと熱電変換材料のインゴットとの拘束がなくなり、溶着による熱電変換材料の割れを防止できる。離型層にはシリコンナイトライド、ボロンナイトライドを用いることが好ましい。
本発明の熱電変換素子の製造方法は、前述の熱電変換材料の製造方法により熱電変換素子を製造する方法であって、前記凝固用るつぼは、熱電変換材料を熱電変換素子の横断面形状で角型に凝固させるものであり、前記凝固工程の後に、前記角型に凝固した熱電変換材料を長さ方向の途中位置で切断して熱電変換素子を形成する。
凝固用るつぼにより熱電変換素子のほぼ最終形状に近い形状で凝固させ、これを切断して熱電変換素子とするため効率が良い。
本発明の製造方法によれば、溶解工程において沸点の低いあるいは蒸気圧の高い元素の蒸発を防止することができるので、所望の組成の熱電変換材料を得ることができ、また、溶解用と凝固用とでるつぼを分けたので、凝固用るつぼの温度を制御しながら冷却することができ、微細な結晶粒として、熱伝導率が低く、高い性能の熱電変換材料を得ることができる。
本発明の製造方法を実施するための装置の例を示す縦断面図である。 凝固用るつぼの他の例を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明が適用される熱電変換材料としては、ビスマステルル合金、スクッテルダイト合金、シリサイド合金、ハーフホイスラー合金等が用いられる。
代表的な熱電変換材料の物性を表1に示す。
Figure 2016213343
この表1からわかるように、各熱電変換材料は、融点及び沸点が大きく異なる元素からなる合金である。このような熱電変換材料は、これら元素単体の原料を溶解して撹拌した後、凝固することにより製造される。
その製造のための装置として、図1に示すように、一つの炉の中に、溶解用るつぼと凝固用るつぼとを設置したものが用いられる。
この製造装置10は、内部を密閉可能な炉11と、その炉11の中に設置された溶解用るつぼ1及び凝固用るつぼ2と、これらるつぼ1,2を個別に加熱するヒータ3,4と、溶解用るつぼ1の開口1aを閉塞可能な蓋5と、溶解用るつぼ1内の溶湯を撹拌するための羽根6aを有する攪拌機6とを備えている。蓋5の中心には攪拌棒6bを通す穴5aがあり、回転時のすべりとるつぼ1内の気密性を維持するために、攪拌棒6bの蓋5の穴5aと接する攪拌棒6bの部分には、厚さ0.1〜0.2mmの黒鉛シートを巻き付けるなどによりブッシュ6cが設けられている。さらに、炉壁において、攪拌棒6bは磁性流体シールユニットを用いてシールされ、炉内雰囲気を保ちながら炉外の回転体に接続されている。なお、磁性流体シールユニットは水冷され、磁気シール部の温度上昇を抑えている。
炉11は、ガス導入管12とガス排出管13とが備えられており、これら管12,13を通して、炉11内を真空にし、あるいは還元性雰囲気等の所定の雰囲気に設定することができる。
溶解用るつぼ1及び凝固用るつぼ2は、それぞれカーボンやアルミナ等により形成され、内面の全面にシリコンナイトライド(Si)からなる離型層7が形成されている。このシリコンナイトライドは、例えば、宇部興産株式会社製の高純度窒化珪素粉末(例えば商品名SN−E03)が用いられ、これを純水とポリビニルアルコールに混ぜて、その懸濁液(例えば、1kgの窒化珪素粉末と1.5kgのポリビニルアルコールと1.5kgの純水とを混合して得られる)をるつぼ1,2の内面に複数回(例えば、30回)吹き付けた後、加熱してるつぼ1,2内面に固着することにより離型層7が形成される。なお、前述した攪拌機6の羽根6aはアルミナやSiCによって形成することができる。さらに、アルミナやSiCの羽根6aにシリコンナイトライドやボロンナイトライドをコーティングして使用しても良い。
なお、離型層7をボロンナイトライドによって形成してもよい。
また、凝固用るつぼ2の内側には熱電対などの温度センサ8が設けられている。この温度センサ8は、アルミナ等の材料から形成された保護管9内に収容されており、離形層7は、この保護管9の外面も覆うように形成されている。
また、溶解用るつぼ1には傾転機構(図示略)が備えられており、溶解用るつぼ1を垂直の起立姿勢から傾けて、内部の溶湯を注出して凝固用るつぼ2に移し変えることができるようになっている。
この傾転機構及び攪拌機6の各駆動部(ともに図示略)は炉11の外部に設置される。
次に、この製造装置10を用いて熱電変換材料及び熱電変換素子を製造する方法について説明する。
まず、溶解用るつぼ1に原料を投入する。
例えば、シリサイド系のP型熱電変換材料の場合は、原料としてMnとSiが用いられる。シリサイド系のN型熱電変換材料の場合には、MgとSi、さらにSb、Al、Sn、Agなどの元素を添加して熱電特性(熱伝導度、電気伝導度、ゼーベック係数等)の向上を図る。個別原料はそれぞれペレット状、粒状、粉状等の形態で混ぜて投入する。
次に、炉11内をまず真空引きしてアルゴンガス等の不活性ガスで炉11内を置換した後、再度真空引きし、その後、不活性ガス、又は不活性ガスに水素を混合した還元性ガスを導入して、その不活性ガス又は還元性ガスを炉11内に流通させる。この一連の操作によって溶解るつぼ1上部の酸素を追い出す。還元性ガスは水素の爆発限界を避け、例えば、アルゴン+1%〜4%水素、あるいはアルゴン+75%〜100%水素等を使用することができる。
そして、溶解用るつぼ1を加熱して原料を溶解する。なお、溶解中にも不活性ガス又は還元性ガスを流通させておく。この加熱は2段階で行われ、まず第1段階の温度に保持した後、それより高い第2段階の温度に保持する。MgSi(N型)の場合、具体的には、第1段階として650℃〜950℃で、固相反応によってMgSiの粒子が形成される時間、例えば60分〜240分保持し、その後、第2段階としてMgSiが溶解する温度、1085℃〜1200℃に30分〜180分保持する。その間、少なくとも原料の一部に液相が生じるようになったら(例えば700℃以上の温度になったら)、溶解用るつぼ1に蓋5をする。
なお、原料の一部に液相が生じる前、即ち、加熱前から溶解用るつぼ1に蓋5をすることも可能である。しかしながら、液相が生じた状態で溶解用るつぼ1に蓋5をする場合、加熱中に原料表面に付着した水分や有機物等の不純物を揮発させることが可能であり、また、還元性ガスを使用した場合には原料表面の酸化物を還元することも可能となる。よって、ガスとして還元性ガスを用い、少なくとも原料の一部に液相が生じた状態で溶解用るつぼ1に蓋5をすることが望ましい。
原料を溶解していくと、沸点の低い元素の原料(MgSiの場合であるとMg)が先に蒸発し始めるが、蓋5をすることにより、その蒸気は溶解用るつぼ1の外部には流出しない。そして、第2段階の温度である1085℃〜1200℃に保持した状態で内部の原料をすべて溶解させる。この原料がすべて溶解したら、攪拌機6を作動させて、その羽根6aにより溶解用るつぼ1内の溶湯を撹拌する。羽根の回転数は10〜120rpmである。攪拌時間は5分〜30分とすると良い。
この1085℃〜1200℃で5分〜30分、溶湯を攪拌した後、撹拌を停止して蓋5を開け、傾転機構8によって溶解用るつぼ1を傾転させ、内部の溶湯を凝固用るつぼ2に移し変える。
この溶湯の移し変えに際しては、凝固用るつぼ2を予めヒータ4で加熱して700℃〜1030℃に保温しておく。
そして、この凝固用るつぼ2に溶湯を移し変える。
この際、溶湯注入後、1030℃までの冷却速度を15℃/分以上90℃/分以下となるよう冷却する。1030℃までの冷却速度が15℃/分未満の場合、得られる熱電変換材料の結晶粒径が大きくなる。このような熱電変換材料を用いて熱電変換素子を作製すると、熱伝導率が高くなり、無次元性能指数が低下するため、発電変換効率が低下することとなる。1030℃までの冷却速度が90℃/分を超えると、熱電変換材料に割れが生じやすい。よって、少なくとも溶湯の温度が1030℃にまで低下するまでは、冷却速度を15℃/分以上90℃/分以下とする必要がある。
そして、凝固用るつぼ2にて、500℃〜950℃に維持した状態で10分〜120分保持した後、ヒータ4からの加熱を停止して、炉冷する。この炉冷の際の冷却速度は、1℃/分以上10℃以下/分とするとよい。
ここで、冷却速度の測定方法を説明する。まず、凝固用るつぼ2の内部側面に内径4mm、外形6mmのアルミナ保護管の封じた側をるつぼ底部に接触させ、凝固用るつぼ内面の側壁の縦方向に沿って絶縁耐熱接着剤(例えば、商品名:RESBOND 989)を用いて固定する。そして、アルミナ保護管の外表面には、凝固用るつぼ2と同様の離型層を形成する。そして、アルミナ保護管内部に封じた側の底部から1cm上の位置にR(白金ロジウム合金(13%ロジウム)−白金)熱電対の先端をいれて、凝固用るつぼ内の温度を測定し、冷却速度を求めた。
なお、溶解用るつぼ1内で溶湯をそのまま冷却して凝固させると、凝固までに時間がかかり、部分的に濃縮が生じるなど、目的とする組成が得られない。
そして、得られた熱電変換材料を所望の形に切り出すことによって、熱電変換素子を製造することができる。
このようにして原料を溶解して冷却することにより、目的とする組成で、結晶粒が微細とされた熱電変換材料を得ることができ、この熱電変換材料から、熱伝導性が低く高い性能を有する熱電変換素子を得ることができる。また、るつぼ1,2の内面にシリコンナイトライドの離型層7を形成しておくことにより、るつぼ1,2との溶着が防止され、熱電変換材料の割れの発生を防止することができ、高い品質の熱電変換材料を歩留まり良く生産することができる。
図2は、凝固用るつぼの他の例を示している。この凝固用るつぼ21は、複数個のキャビティ22を有しており、各キャビティ22が、最終的な熱電変換素子の横断面形状の角型の材料を得ることができる大きさに形成されている。
この凝固用るつぼ21を用いることにより、熱電変換素子をより効率的に製造することができる。
なお、この凝固用るつぼ21の場合、複数個のキャビティ22のうちの一つのキャビティ22aに熱電対等の温度センサ8が挿入されており、このキャビティ22aを除く他のキャビティ22内に溶湯が充填される。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の種々の変更を加えることも可能である。
前述した製造方法に従って、N型マグネシウムシリサイド(融点1085℃)からなる熱電変換材料を種々の条件で作製して評価した。
溶解用るつぼ、凝固用るつぼともにアルミナ製のものを用意し、後述の実施例5を除き、内面にシリコンナイトライドの離型層をコーティングしたものを用いた。各実施例、比較例の原料としては、いずれも以下のものを準備した。
Mg:純度99.9%(3N)、直径6mm、長さ5mmのワイヤーカット材を300g
Si:純度99.999%(5N)、最大径5mmの破砕状のものを171g
Sb:純度99.9%(3N)、直径300μm以下の粗粉末状のものを11.3g
これらの原料の溶解・凝固の条件を変えて、以下の実施例、比較例の熱電変換材料を作製した。また、原料を溶解する際に、炉内を真空引きした後、アルゴンガスで置換し、再度真空引きした後、アルゴンに4%水素を混合した還元性ガスを原料が溶解して凝固が完了するまで流した。凝固完了後は、不活性ガスであるアルゴンを炉内温度が300℃になるまで流通させた。
また、得られた熱電変換材料の結晶粒径を測定した。結晶粒径は、二次電子走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、熱電変換材料の任意の領域を10か所測定し、面内の結晶粒子の個数を数え、測定領域の面積をその個数で割り、結晶粒子の平均面積を求めた。その平均面積の平方根を求め、その値を結晶粒径とした。
各実施例、比較例の条件及びその作製結果は以下の通りである。
(実施例1)
条件:内容積が500cmの溶解用るつぼ内に原料を投入して850℃まで昇温した後、850℃に4時間保持し、その後1150℃で60分保持した。その際、700℃より溶解用るつぼに蓋をし、1150℃で5分間蓋をした状態で攪拌した。攪拌を止め、1150℃で5分間放置した後に蓋をあけ、950℃に保温した内容積300cmの凝固用るつぼに溶湯を注ぎ、凝固後900℃まで降温し、900℃で1時間保持した後、炉冷した。凝固用るつぼに溶湯を注いでから1030℃までの冷却速度は、25℃/分であった。
結果:結晶に割れがなく、るつぼとの溶着が見られず、凝固用るつぼから容易に熱電変換材料を取り出すことができた。得られた熱電変換材料の結晶粒径は36μmであった。
(実施例2)
条件:内容積が500cmの溶解用るつぼ内に原料を投入して850℃まで昇温した後、850℃に4時間保持し、その後1120℃で60分保持した。その際、700℃より溶解用るつぼに蓋をし、1120℃で5分間蓋をした状態で攪拌した。攪拌を止め、1120℃で5分間放置した後に蓋をあけ、900℃に保温した内容積300cmの凝固用るつぼに溶湯を注ぎ、900℃で1時間保持した後、炉冷した。凝固用るつぼに溶湯を注いでから1030℃までの冷却速度は、45℃/分であった。
結果:結晶に割れがなく、るつぼとの溶着が見られず、凝固用るつぼから容易に結晶を取り出すことができた。得られた熱電変換材料の結晶粒径は25μmであった。
(実施例3)
条件:内容積が500cmの溶解用るつぼ内に原料を投入して850℃まで昇温した後、850℃に4時間保持し、その後1150℃で60分保持した。その際、700℃より溶解用るつぼに蓋をし、1150℃で5分間蓋をした状態で攪拌した。攪拌を止め、1150℃で5分間放置した後に蓋をあけ、800℃に保温した内容積300cmの凝固用るつぼに溶湯を注ぎ、800℃で1時間保持した後、炉冷した。凝固用るつぼに溶湯を注いでから1030℃までの冷却速度は、90℃/分であった。
結果:取り出した熱電変換材料に割れがなく、るつぼとの溶着が見られず、凝固用るつぼから容易に熱電変換材料を取り出すことができた。得られた熱電変換材料の結晶粒径は17μmであった。
(実施例4)
条件:内容積が500cmの溶解用るつぼ内に原料を投入して850℃まで昇温した後、850℃に4時間保持し、その後1150℃で60分保持した。その際、700℃より溶解用るつぼに蓋をした。溶解用るつぼ内で原料を溶解した際の攪拌は行わなかった。1150℃で蓋をあけ、1030℃に保温した内容積300cmの凝固用るつぼに溶湯を注ぎ、凝固後900℃まで降温し、900℃で1時間保持した後、炉冷した。凝固用るつぼに溶湯を注いでから1030℃までの冷却速度は、15℃/分であった。
結果:るつぼとの反応はなく、結晶の割れも生じなかったが、一部に組成が異なる領域のものがあった。理想的なマグネシウムシリサイド(N型)の組成は、質量%比でMg:Si=66.6:33.3であるが、Mg:Si=50.3:49.4あるいはMg:Si=55.2:44.5の比率のものが存在した。得られた熱電変換材料の結晶粒径は43μmであった。
(実施例5)
条件:溶解用るつぼ、凝固用るつぼとも内面の離型層が形成されていないものを用いた他は、実施例1と同じ条件とした。なお、アルミナ保護管にも離型層は形成されていないものを用いた。凝固用るつぼに溶湯を注いでから1030℃までの冷却速度は、25℃/分であった。
結果:熱電変換材料がつるぼと反応し、るつぼの内壁に溶着した。また、外周部(るつぼの内周部付近)の熱電変換材料には割れが発生していた。得られた熱電変換材料の結晶粒径は40μmであった。
(実施例6)
条件:内容積が500cmの溶解用るつぼ内に原料を投入して850℃まで昇温した後、850℃に4時間保持し、その後1150℃で60分保持した。その際、700℃より溶解用るつぼに蓋をし、1150℃で5分間蓋をした状態で攪拌した。攪拌を止め、1150℃で5分間放置した後に蓋をあけ、1030℃に保温した内容積300cmの凝固用るつぼに溶湯を注ぎ、凝固後900℃まで降温し、900℃で1時間保持した後、炉冷した。凝固用るつぼに溶湯を注いでから1030℃までの冷却速度は、15℃/分であった。
結果:取り出した熱電変換材料に割れがなく、るつぼとの溶着が見られず、凝固用るつぼから容易に熱電変換材料を取り出すことができた。得られた熱電変換材料の結晶粒径は44μmであった。
(比較例1)
条件:溶解用るつぼ、凝固用るつぼとも実施例1と同じものを用い、溶解条件も実施例1と同じとしたが、凝固用るつぼを650℃に保温し、その凝固用るつぼに溶解用るつぼから溶湯を注いで、そのまま炉冷した。凝固用るつぼに溶湯を注いでから1030℃までの冷却速度は、100℃/分であった。
結果:熱電変換材料に割れが発生していた。得られた熱電変換材料の結晶粒径は8μmであった。
(比較例2)
条件:溶解用るつぼ内で原料を溶解した後、凝固用るつぼに移し変えずに、溶解用るつぼのままヒータによる加熱を停止して炉冷した。また、溶湯の攪拌は行わなかった。ヒータによる加熱を停止してから1030℃までの冷却速度は、10℃/分であった。
結果:るつぼとの反応はなく、熱電変換材料の割れも生じなかったが、一部に組成が大きく異なる領域(Mg:Si=15.0:84.9)があった。得られた熱電変換材料の結晶粒径は67μmであった。
以上の結果から、組成が偏ることなく、所望の熱電変換材料を得るために、溶解工程の途中、少なくともるつぼ内に液相が発生した段階で溶解用るつぼに蓋をすること、及び、適切な温度に制御した凝固用るつぼに溶解用るつぼから溶湯を移し変えて冷却することが重要であることがわかる。即ち、少なくとも溶湯を1030℃まで冷却する際の冷却速度を15℃/分以上90℃/分以下にすることが重要である。
なお、その場合、溶解用るつぼ内の溶湯を撹拌することにより、より正確な組成の熱電変換材料を歩留まり良く得ることができる。
なお、離型層を形成しなかったるつぼを用いた実施例5においては、るつぼの内周面付近で異常が認められ、歩留まりは低下するものの、内側のの熱電変換材料から得られる熱電変換素子は、他の実施例と同等の性能を有するものであった。
これに対して、溶解用るつぼにて原料を溶解して、そのまま凝固したものや、溶解用るつぼから溶湯を650℃に保持した凝固用るつぼに移し変えた場合には、即ち、少なくとも溶湯を1030℃まで冷却する際の冷却速度が15℃/分未満の場合や、90℃/分を超えた場合には、得られる熱電変換材料の結晶の粒径が大きく異なったり、熱電変換材料に割れが生じたりする不具合があった。
1 溶解用るつぼ
1a 開口
2 凝固用るつぼ
3,4 ヒータ
5 蓋
6 攪拌機
6a 羽根
6b 攪拌棒
6c ブッシュ
7 離型層
8 温度センサ
9 保護管
10 製造装置
11 炉
21 凝固用るつぼ
22,22a キャビティ

Claims (4)

  1. 炉の中に、溶解用るつぼと凝固用るつぼとを設置して、前記炉内を不活性雰囲気又は還元性雰囲気としておき、熱電変換材料を構成する各元素の原料を前記溶解用るつぼ内で溶解する溶解工程と、前記溶解工程後に、予熱しておいた前記凝固用るつぼに熱電変換材料の溶湯を移して凝固させる凝固工程とを有し、前記溶解工程では、少なくとも前記原料に液相が生じた状態では前記溶解用るつぼの開口を閉塞した状態とし、その閉塞状態で前記原料を溶解し、前記凝固工程では、熱電変換材料を1030℃まで冷却する際の冷却速度を15℃/分以上90℃/分以下とすることを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
  2. 前記溶解工程では、前記溶解用るつぼ内の溶湯を撹拌することを特徴とする請求項1記載の熱電変換材料の製造方法。
  3. 前記凝固用るつぼの内面に離型層を形成しておくことを特徴とする請求項1又は2記載の熱電変換材料の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項記載の熱電変換材料の製造方法により熱電変換素子を製造する方法であって、前記凝固用るつぼは、熱電変換材料を熱電変換素子の横断面形状で角型に凝固させるものであり、前記冷却工程の後に、前記角型に凝固した熱電変換材料を長さ方向の途中位置で切断して熱電変換素子を形成することを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
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