JP2016210666A - カーボンシートの保管方法、複合シートの保管方法、カーボンシート、複合シート、及び巻回体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のカーボンシートの保管方法は、平均直径100nm以上の第1のカーボンナノチューブと平均直径30nm以下の第2のカーボンナノチューブとを含み、前記第1のカーボンナノチューブの表面に前記第2のカーボンナノチューブが付着し、前記第2のカーボンナノチューブが、複数の前記第1のカーボンナノチューブ間に跨った構造を有するカーボンシートに溶媒を含浸させる。
【選択図】図1
Description
以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1に本発明の一態様に係るカーボンシートの透過電子顕微鏡写真を示す。図2は、本発明の一態様に係るカーボンシートの斜視模式図である。本発明のカーボンシート10は、平均直径100nm以上の第1のカーボンナノチューブ1と平均直径30nm以下の第2のカーボンナノチューブ2とを含み、第1のカーボンナノチューブ1の表面に第2のカーボンナノチューブ2が付着することで、第2のカーボンナノチューブ2が複数の第1のカーボンナノチューブ1間に跨った構造を有する。このカーボンシートは、電池、所定の物質(触媒、タンパク質、二酸化炭素等)の担持体、電磁波シールド、電気化学用センサー、バイオセンサー等の種々のデバイスに用いることができる。電池としては、例えば、燃料電池(例えば、マグネシウム燃料電池、微生物燃料電池等、固体高分子型燃料電池、直接酸化型燃料電池、グルコース燃料電池、メタノール型燃料電池)、二次電池(例えば、マグネシウム電池、リチウム電池、金属空気電池、アルカリ金属−硫黄系二次電池等)、蓄電池などに用いることができる。また電池の中でも、電極、ガス拡散層等の種々の用途が考えられる。
カーボンシート10を保管する際に含浸させる場合は、管理の容易さから溶媒として水を用いることが好ましい。カーボンシートが変質するのを防いだり、カーボンシートの性能を向上させたりする目的で、添加物を加えても良い。例えば、藻や細菌の発生を抑制するために、水に微量の酸やアルコール等の添加物を加えてもよい。この溶媒は、後述する分散液の溶媒と同じものを用いても良い。
gw=Va×x×y ・・・(1)
これに対してカーボンシートの質量は以下となる。
gc=k×Vc ・・・(2)
一方で、各部分の体積から以下の関係も成り立つ。
z=Va/(Va+Vc) ・・・(3)
これらの(1)〜(3)の式を代入すると、以下の関係式が成り立つ。
gw/gc=xyz/k(1−z) ・・・(4)
後述する製造工程のことまで考慮すると、基材は溶媒を透過できるものであることが好ましい。カーボンシートは、基材上に塗工したカーボンナノチューブ分散液から、溶媒を基材側から除去して作製される。基材11が溶媒を透過できることで、カーボンナノチューブの分散液から、溶媒を容易に除去することができる。そのため、この製造時に用いた基材をこの複合シートの基材として用いれば、別途新たな基材を準備する必要がない。すなわち、複合シート20に用いられる基材11は、製造段階で用いた基材11と同一であることが好ましいが、必ずしも同一である必要はない。
カーボンシートの製造方法は、カーボンナノチューブの分散液を作製する工程と、作製した分散液をシート状に加工する工程を有する。
これは予備実験により確認でき、例えば、親水化に必要な量は、導電性高分子水溶液中にカーボンナノチューブを投入しても、導電性高分子水溶液中の導電性高分子の濃度が大幅に低下しない量を言う。
また分散性の向上に必要な量は、例えば、後述する方法で200μmの厚さになるようなカーボンシートを作製した際、表面粗さを測定し、導電性高分子を添加しなかったときの算術平均粗さRaの1/5以下になる量である。より好ましくは、1/10以下の量である。
特に、ポリイソチアナフテンスルホン酸は、親水化及び分散性向上に顕著な効果があるため、添加量は極少量で良い。そのため、ポリイソチアナフテンスルホン酸の場合、親水化に必要な量の3倍量添加しておけば、充分分散もできる。
例えば、比較的小さなサイズを作製する際には、数mm程度の穴を有するステンレスのメッシュ上に、通液性を有する基材を設置する。そして、この基材上に分散液を広げる。すると、通液性を有する基材及びメッシュの孔部を通過して、溶媒が排出されカーボンシートを得ることができる。この方法は、比較的小さな面積の電極を少量作製する場合、好適である。
通液性を有する基材11上に、作製したカーボンナノチューブの分散液31を供給源32から滴下する。次いで、滴下した分散液31を均一な厚さになるように塗工手段33を用いて塗工する。塗工手段32としては、ワイヤーバーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、リバースロールコーター、ダイコーター等を用いることが出来る。
カーボンシート10は、製造段階で用いた基材11とカーボンシート10からなる複合シートの状態、カーボンシート10単体の状態、製造時に用いられた基材11と異なる基材にカーボンシートを移し替え、移し替えた基材とカーボンシート10からなる複合シートの状態のいずれの状態で保管及び使用してもよい。基材は、製造段階で用いたもの及び製造段階で用いた基材から移し替えたもの、のいずれにおいても上述のものを用いることができる。
本発明の一態様に係るカーボンシートの保管方法では、カーボンシートに保存液を含浸させる。換言すると、カーボンシートに溶媒が含浸された状態は、全て保管状態である。すなわち、「保管」とは、長時間に渡る保管に限られない。例えば、製造工程の途中の塗工工程、脱水工程、仕上げ工程のいずれの工程の後に、所定の保液率で短時間保管するものも含まれる。また当然、完成後において、短時間または長時間の保管でもよい。ここで、仕上げ工程とは、例えば、上述の製造方法で長尺のシート上に作製されたカーボンシートをプレス、切断等する工程を意味する。
なお、「保存液」は、特許請求の範囲における「溶媒」の一態様である。例えば塗工工程と脱水工程の工程間における保管では、分散液に使用した溶媒をそのまま保存液とすることができる。分散液に使用した溶媒と異なる溶媒で保管したい場合、及び、使用時の溶媒で保管したい場合は、脱水工程後或いは仕上げ工程後に、所望の保存液を吸液させることができる。
第1のカーボンナノチューブとして昭和電工製VGCF(登録商標)−H(平均直径150nm、平均繊維長10μm)900gを用い、第2のカーボンナノチューブとして昭和電工製VGCF(登録商標)−X(平均直径15nm、平均繊維長3μm)100gを用いた。この両者を純水50リットルにポリイソチアナフテンスルホン酸0.5gを溶解した溶液に入れて、ミキサー(IKA社製 ULTRA−TURRAX UTC 80)を用いて予備的に混合した。
次いで、得られた複合シートに、溶媒として水を含浸させて、半径45mmのロールに巻き取った。巻き取った複合シートを、保液率18%の状態で7日間保管した。そして保管後の複合シートを再度巻出し、脱水乾燥した。脱水乾燥後のカーボンシートには、ひび等の破損が確認されなかった。
ポリイソチアナフテンスルホン酸15gを溶解したこと、およびカーボン短繊維を添加しなかったことを除いて、実施例1−1と同じ条件でカーボンシートを作製し、ロール状にして7日間保管した。その後、再度カーボンシートを巻き出しても、巻き出した後のカーボンシートにはひび等の破損が確認されなかった。
第1のカーボンナノチューブとして平均直径100nmのカーボンナノチューブ900gを用いたことを除いて、実施例1−1と同じ条件でカーボンシートを作製し、ロール状にして7日間保管した。その後、再度カーボンシートを巻き出しても、巻き出した後のカーボンシートにはひび等の破損が確認されなかった。
第2のカーボンナノチューブとして平均直径30nmのカーボンナノチューブ100gを用いたことを除いて、実施例1−1と同じ条件でカーボンシートを作製しロール状にして7日間保管した。その後、再度カーボンシートを巻き出しても、巻き出した後のカーボンシートにはひび等の破損が確認されなかった。
実施例1−1と同様に作製したカーボンシートを1辺10mm各で切り出した。カーボンシートの厚みは2.6mmであった。得られたカーボンシートの乾燥状態での荷重による圧縮変位と、含浸状態での荷重による圧縮変位を測定した(最大荷重150kgNまで)。含浸状態とは、カーボンシートに溶媒として水を含浸させた状態を意味する。この際の保液率は20%であった。その結果を図6に示す。図6において縦軸は加えた荷重であり、横軸は荷重を加えた方向に対するカーボンシートまたはカーボンフェルトの厚さの縮小量を示す。
実施例1−1の手順で作製した乾燥状態のカーボンシートに対する溶媒の含浸量(すなわち、保液率)を変化させながら、曲げ試験を行った。溶媒としては水を用いた。
曲げ試験は、60mm×25mm×0.27mmtのサンプルを準備し、そのサンプルを曲げ半径Rを45mmで、折り曲げた。このときサンプルにひびが入った場合を不良、入らなかった場合を良とした。その結果を表1に示す。
必要な保液率は、例えば、以下の方法で予め求めることができる。
1.使用するシートのサンプル片に溶媒又は保存液を含浸させた状態で、使用時にハンドリングする際にシートに付与する最大曲げ半径でサンプル片を曲げる。
2.ひび割れの発生の有無を確認する。
3.ひび割れが生じていれば溶媒又は保存液の量を増やして同様の確認を繰り返す。ひび割れが生じなければ溶媒又は保存液の量を減じて同様の確認を繰り返す。
4.以上からひび割れが発生しない最低必要な溶媒又は保存液の量から求めた保液率を所定の保液率とする。通常、所定の保液率は15%を超えない。
Claims (12)
- 平均直径100nm以上の第1のカーボンナノチューブと平均直径30nm以下の第2のカーボンナノチューブとを含み、前記第1のカーボンナノチューブの表面に前記第2のカーボンナノチューブが付着し、前記第2のカーボンナノチューブが、複数の前記第1のカーボンナノチューブ間に跨った構造を有するカーボンシートに溶媒を含浸させるカーボンシートの保管方法。
- 溶媒を含浸するカーボンシートの保液率が15%以上である請求項1に記載のカーボンシートの保管方法。
- 溶媒が水である請求項1または2のいずれかに記載のカーボンシートの保管方法。
- 平均直径100nm以上の第1のカーボンナノチューブと平均直径30nm以下の第2のカーボンナノチューブとを含み、前記第1のカーボンナノチューブの表面に前記第2のカーボンナノチューブが付着し、前記第2のカーボンナノチューブが、複数の前記第1のカーボンナノチューブ間に跨った構造を有するカーボンシートに溶媒を含浸させる工程と、前記含浸させたカーボンシートを基材に密着させ複合シートとする工程を有する複合シートの保管方法。
- 前記溶媒を含浸させる工程における前記カーボンシートの保液率が15%以上である請求項4に記載の複合シートの保管方法。
- 前記基材が、通液性を有する請求項4または5のいずれかに記載の複合シートの保管方法。
- 前記カーボンシートの保管段階における保液率が15%以上または5%以下である請求項4〜6のいずれか一項に記載の複合シートの保管方法。
- 前記基材に密着させた複合シートを巻き取る工程をさらに有する請求項4〜7のいずれか一項に記載の複合シートの保管方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のカーボンシートの保管方法によって保管されたカーボンシート。
- 請求項9に記載のカーボンシートと、前記カーボンシートの少なくともいずれか一面に密着した基材と、を備えた複合シート。
- 前記基材が通液性を有する請求項10に記載の複合シート。
- 請求項10又は請求項11のいずれかに記載の複合シートを巻き取った巻回体。
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