JP2016204928A - 土壌流出防止シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】縦スリットヤーン1aと横スリットヤーン1bとにより格子状に形成されたネット体1と、該ネット体1の下面に溶着された不織布2と、を備え、縦スリットヤーン1a及び横スリットヤーン1bがいずれもポリエチレンフィルムを短冊状に切断し、延伸したものであり、縦スリットヤーン1aの上面が平滑である土壌流出防止シートである。
【選択図】図4
Description
また、農耕地においても地形や土質によっては、降雨により、多量の土壌が流出し、被害が生じる恐れがある。
近年、これらを防止するために、土壌の上に敷設し、土壌の流出を妨げる土壌流出防止シートの開発が求められている。
また、繊度の異なる複数種類の撥水性繊維を絡み合わせて1〜200mmの厚みに形成したシート状体からなる表土保護シートであって、撥水性繊維の繊度が1〜50デシテックスであるとともに繊維長が10〜100mmであり、かつ、複数種類の撥水性繊維のうち少なくとも1種類は、加熱によって溶着する接着繊維である表土保護シート(例えば、特許文献3参照)が知られている。
かかる表土保護シートにおいては、降雨水が、シート状体を浸透し、積層間隙部に到達し積層間隙部で面方向へ流下されるようになっている。
このため、降雨量が多い場合は、降雨水がこれらの内部に浸透し易く、土壌を流出させる恐れがある。
また、近年、台風やゲリラ豪雨により、想定以上の降雨が発生する場合があり、降雨量が極端に多い場合にも対応した土壌流出防止シートの開発が求められている。
一方で、不織布に浸透した一部の降雨水は、不織布の面方向に沿って流下させる。
このように、土壌流出防止シートにおいては、降雨水の多くをネット体の上面で流下させることにより、降雨量が多い場合であっても、土壌の流出を防止することができる。
また、芯鞘繊維の芯部がポリエステルからなるので、当該不織布は、耐候性にも優れる。
不織布が、ポリエステル繊維を更に含むことにより、保形性のあるボリューム感を付与することができる。また、降雨の衝撃による敷設箇所の侵食を防止することができる。
不織布が、種子を更に含むことにより、植生を構成できる。したがって、土壌流出防止シートを法面の植生工に利用することができる。
また、不織布の厚みが1mm〜10mmである場合、不織布に浸透した一部の降雨水を一時的に十分に保持できると共に、不織布の面方向に沿って流下させることができる。
また、不織布が種子を含む場合は、ネット体が植物の発芽及び生育の物理的な障害にならない。
これにより、降雨量が多い場合であっても、土壌の流出を防止することができる。
図1に示すように、土壌流出防止シート10は、ネット体1と、該ネット体1の下面に溶着された不織布2とを備える。すなわち、土壌流出防止シート10は、平面状のネット体1に不織布2が積層された構造となっている。
なお、不織布2は、ネット体1に対して、部分的に溶着されていることが好ましいが、全面が溶着されていてもよい。
図2に示すように、ネット体1は、縦スリットヤーン1aと横スリットヤーン1bとにより格子状に形成されている。
なお、縦スリットヤーン1aとは、縦方向に配列されたスリットヤーンを意味し、横スリットヤーン1bとは、横方向に配列されたスリットヤーンを意味する。
ここで、縦スリットヤーン1a及び横スリットヤーン1bの長手方向に垂直な方向の幅は、1mm〜8mmであることが好ましい。
縦スリットヤーン1a及び横スリットヤーン1bの幅が1mm未満であると、幅が上記範囲内にある場合と比較して、降雨水が各スリットヤーン1a,1b表面に沿って流れず、ネット体の下側に浸透し易くなり、不織布が浸透した降雨水を十分に保持できずに、土壌まで達し、当該土壌が流出してしまう恐れがある。一方、縦スリットヤーン1a及び横スリットヤーン1bの幅が8mmを超えると、幅が上記範囲内にある場合と比較して、いわゆるコシが強くなり、取扱い難くなる欠点がある。
このとき、横スリットヤーン1bの上面は、必ずしも平滑である必要はないが、製造上の観点からは、平滑であることが好ましい。
また、不織布2をその光の熱によって適度に乾燥させることができる。
なお、この場合、縦スリットヤーン1a及び横スリットヤーン1bは透明であれば、僅かに着色されていてもよい。
このとき、ネット体1の縦スリットヤーン1a及び横スリットヤーン1bに囲まれた矩形状の空隙部Sの一辺の長さHは、7mm以下であることが好ましく、3mm〜7mmであることがより好ましく、0.1mm〜3mmであることがより好ましい。
空隙部Sの一辺の長さHが7mmを超えると、一辺の長さHが上記範囲内にある場合と比較して、通常の降雨水がネット体1の下側に浸透し易くなる欠点がある。
なお、ゲリラ豪雨のように、粒径が比較的小さい場合であっても、空隙部Sの一辺の長さHが3mm以下とすることにより、降雨水がネット体1の下側に浸透することを抑制することができる。
すなわち、降雨水がネット体1の下側に浸透することを抑制することにより、多くの降雨水をネット体1の表面で流下させることが可能となる。これにより、土壌の流出を効果的に防止することができる。
ネット体1の空隙率が40%未満であると、空隙率が上記範囲内にある場合と比較して、降雨後の晴天時に、ネット体が土壌からの余分な水蒸気の蒸発を妨げる恐れがあり、ネット体1の空隙率が80%を超えると、降雨水がネット体1の下側に浸透し易くなる欠点がある。
図3に示すように、不織布2は、芯鞘繊維と、ポリエステル繊維と、レーヨン繊維とからなり、不織布2の内部のランダムな位置に、種子Pが保持されている。
不織布2が種子Pを含むことにより、植生を構成できる。なお、かかる種子Pは、特に限定されず、公知のものが採用できる。
不織布2が種子Pを含む場合、土壌流出防止シート10は、法面の植生工に利用することができる。
土壌流出防止シートにおいては、不織布2が、芯鞘繊維を含み、該芯鞘繊維の鞘部がポリエチレンからなるので、同質のポリエチレンからなるネット体1との溶着によりネット体1と不織布2とを一体化することができる。これにより、ネット体1と不織布2との接着が強固なものとなる。
また、芯鞘繊維の芯部がポリエステルからなるので、不織布2は、強度や耐候性にも優れる。
レーヨン繊維が少なすぎると、親水性が低くなり、種子に必要な水分が十分に保持されなくなる恐れがあり、ポリエステル繊維が少なすぎると、ボリューム感が損なわれると共に、強度が不十分となる欠点がある。
また、レーヨン繊維及びポリエステル繊維に対し、芯鞘繊維1が少なすぎると、ネット体1との接着性が低下する欠点がある。
この中でも、ニードルパンチ法を用いることが好ましい。
具体的には、芯鞘繊維と、ポリエステル繊維と、レーヨン繊維と、種子とを混合し、ニードルパンチで機械的に繊維同士を結合することにより製造することが好ましい。
具体的には、不織布2の厚みは、1mm〜10mmであることが好ましく、3mm〜10mmであることがより好ましい。この場合、不織布に浸透した一部の降雨水を一時的に十分に保持できると共に、不織布の面方向に沿って流下させることができる。
なお、不織布2の厚みが、1mm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、ネット体1の下側に浸透した一部の降雨水が、不織布2に十分に保持されず、土壌を流出させてしまう恐れがあり、不織布2の厚みが、10mmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、重量が大きくなり、作業性が低下する欠点がある。
また、不織布2に浸透した一部の降雨水は、不織布2の面方向に沿って流下させることができる。
これらのことから、土壌流出防止シート10においては、降雨水の多くをネット体1の上面で流下させることにより、降雨量が多い場合であっても、土壌の流出を防止することができる。
図4は、本発明に係る土壌流出防止シートを法面に敷設した状態を模式的に示す斜視図である。
図4に示すように、土壌流出防止シート10は、法面Nに対し、縦スリットヤーン1aの長手方向Y1が、法面Nの傾斜方向Y2と平行になるように敷設する。
なお、土壌流出防止シート10は、図示しないアンカーピン等によって法面Nに固定される。
これにより、法面Nにおいては、降雨水がネット体1の縦スリットヤーン1aの上面に沿って流下することになるので、降雨量が多い場合であっても、土壌の流出を防止することができる。
また、不織布2は、種子と共に、肥料を含んでいてもよい。
本発明の土壌流出防止シートによれば、降雨量が多い場合であっても、土壌の流出を防止することができる。
1a・・・縦スリットヤーン
1b・・・横スリットヤーン
2・・・不織布
10・・・土壌流出防止シート
N・・・法面
S・・・空隙部
Y1・・・長手方向
Y2・・・傾斜方向
Claims (8)
- 縦スリットヤーンと横スリットヤーンとにより格子状に形成されたネット体と、
該ネット体の下面に溶着された不織布と、
を備え、
前記縦スリットヤーン及び前記横スリットヤーンがいずれもポリエチレンフィルムを短冊状に切断し、延伸したものであり、
前記縦スリットヤーンの上面が平滑である土壌流出防止シート。 - 前記不織布が、芯部がポリエステル、鞘部がポリエチレンからなる芯鞘繊維を含む請求項1記載の土壌流出防止シート。
- 前記不織布が、ポリエステル繊維と、レーヨン繊維とを更に含む請求項2記載の土壌流出防止シート。
- 前記不織布が、種子を更に含む請求項3記載の土壌流出防止シート。
- 前記縦スリットヤーン及び前記横スリットヤーンの幅が1mm〜8mmであり、
前記不織布の厚みが1mm〜10mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の土壌流出防止シート。 - 前記ネット体の前記縦スリットヤーン及び前記横スリットヤーンに囲まれた矩形状の空隙部の一辺の長さが7mm以下であり、
前記ネット体の空隙率が40%〜80%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の土壌流出防止シート。 - 前記縦スリットヤーン及び前記横スリットヤーンが透明である請求項1〜6のいずれか1項に記載の土壌流出防止シート。
- 法面に対し、請求項1〜7のいずれか1項に記載の土壌流出防止シートを敷設する土壌流出防止シートの敷設方法であって、
前記土壌流出防止シートの縦スリットヤーンの長手方向が、前記法面の傾斜方向と平行になるように敷設する土壌流出防止シートの敷設方法。
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