JP2002119151A - 農業用マルチシート - Google Patents

農業用マルチシート

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JP2002119151A
JP2002119151A JP2000310957A JP2000310957A JP2002119151A JP 2002119151 A JP2002119151 A JP 2002119151A JP 2000310957 A JP2000310957 A JP 2000310957A JP 2000310957 A JP2000310957 A JP 2000310957A JP 2002119151 A JP2002119151 A JP 2002119151A
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JP
Japan
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sheet
soil
nonwoven fabric
dark
colored
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Application number
JP2000310957A
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English (en)
Inventor
Kazuo Tsuda
和雄 津田
Masashige Tottori
正成 鳥取
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TOYOBO SEWING THREAD CO Ltd
Nissho Corp
Original Assignee
TOYOBO SEWING THREAD CO Ltd
Nissho Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 敷設作業などの取扱いが容易で、土壌の保護
および園芸作物の生育促進の機能にも優れたマルチシー
トを提供する。 【解決手段】 園芸用の土壌Eを覆って使用されるマル
チシート10であって、複数の材料層が積層されてな
り、使用時に前記土壌E側の表面に配置され、スパンボ
ンド紡糸法により得られ、合成樹脂繊維を主材料とし、
暗色を呈する暗色不織布層14と、前記不織布層と反対
側の表面に配置され、透湿性を有するポリオレフィンフ
ィルムからなり、明色を呈する明色フィルム層12とを
備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業用マルチシー
トに関し、ミカンなどの園芸作物を栽培する土壌の表面
を覆って使用されて土壌の保護や園芸作物の成育促進を
図るマルチシートを対象にしている。
【0002】
【従来の技術】農業用マルチシートは、ミカンやリンゴ
などの果樹園、イチゴやメロンなどの果物畑において、
作物を植え付けて成育させる土壌の畝を覆って敷設さ
れ、作物の周囲の土壌の浸食を防いだり、雑草の繁殖を
防止したりする効果があるとされている。従来における
一般的なマルチシートの材料としては、黒色のポリエチ
レンフィルムが用いられていた。このような黒色フィル
ムからなるマルチシートは、雑草の繁殖防止効果が高
く、土壌の保温効果もあるとされていた。フィルム材料
として透湿性の高いものを用いることで、土壌からの水
分やガスの放出を阻害せず、作物の生育を良好にできる
ともされている。
【0003】また、高密度に接合された不織布からなる
マルチシートも知られている。この不織布からなるマル
チシートは、白色を呈しており、使用時に上面で太陽光
線を反射することで、果実の色付きや糖度、食味を向上
させる効果もあるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した不織布からな
るマルチシートは、雑草の繁殖防止効果がほとんどない
という問題がある。また、黒色フィルムからなるマルチ
シートは、太陽光線を吸収してしまうため、果実の下面
側に太陽光線が十分に当たらず、色付きあるいは成育が
悪くなるという問題がある。黒色フィルムに代えて、白
色や銀色などの反射性の高いフィルムを使用して、果実
の下面にも太陽光線が当たるようにすることも提案され
ているが、黒色フィルムに比べて、雑草の繁殖防止効果
が低下するという欠点がある。
【0005】さらに、従来のマルチシートは、土壌を覆
って敷設するときの取扱いが行い難かったり、敷設後に
風などで端が捲くれたり剥がれたりし易いという問題も
ある。これらの性能は、マルチシートの引張強さや伸び
率などの物理特性に影響されることが推測される。従来
のマルチシートでは、材料の種類や厚みを様々に変更し
ても、マルチシートとして要求される使用性能を達成す
ることは困難であった。従来のマルチシートは、敷設後
に農薬液の散布や雨などで濡れると表面が滑り易いとい
う問題もある。果樹の手入れ等を行う作業者がマルチシ
ートの上で滑って、作業が行い難くなったり、作業能率
が低下したりする。
【0006】本発明の課題は、前記した従来のマルチシ
ートが有する問題点を解消し、取扱い易く、土壌の保護
および園芸作物の生育促進の機能にも優れたマルチシー
トを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる農業用マ
ルチシートは、園芸用の土壌を覆って使用されるマルチ
シートであって、複数の材料層が積層されてなり、使用
時に前記土壌側の表面に配置され、スパンボンド紡糸法
により得られ、合成樹脂繊維を主材料とし、暗色を呈す
る暗色不織布層と、前記不織布層と反対側の表面に配置
され、透湿性を有するポリオレフィンフィルムからな
り、明色を呈する明色フィルム層とを備える。 〔農業用マルチシート〕本発明のマルチシートは、従来
のマルチシートと同様に、通常の各種農業用途に使用さ
れるものである。特に、作物の樹木や茎の途中に実がな
る果樹や果菜類を栽培する園芸用に有用である。具体的
には、ミカンなどの柑橘類やリンゴ、モモ、カキその他
の果樹栽培、あるいは、イチゴやメロン、スイカ、な
す、トマトなどの果菜類の栽培に使用される。
【0008】マルチシートの敷設方法や、園芸作物の栽
培に伴うマルチシートの取扱いなどは、通常の農業用マ
ルチシートと同様に行われる。本発明のマルチシート
は、複数の材料層が積層された積層シートである。 〔暗色不織布層〕マルチシートを構成する複数の材料層
の中で、使用時に土壌側の表面に配置される。すなわ
ち、マルチシートを敷設したときに、土壌と対面する表
面の層である。不織布の材料としては、通常のマルチシ
ート等に使用されている合成樹脂繊維が使用できる。ポ
リエステル繊維やポリプロピレン繊維が好ましい材料で
ある。ポリエステル繊維のみを用いてもよいし、ポリエ
ステルに別の合成樹脂を共重合あるいは混合した樹脂か
らなる繊維であってもよいし、これらのポリエステル系
繊維にポリエステル系以外の合成樹脂からなる繊維や天
然繊維を組み合わせることもできる。
【0009】スパンボンド紡糸法は、合成樹脂を溶融紡
糸して得られた繊維をそのまま、接着剤を使用せずに、
空気流によって絡合させて不織布を製造する方法であ
る。暗色不織布層を製造するための具体的な製造装置や
製造条件は、従来における通常のスパンボンド紡糸法に
よる不織布の製造技術が適用できる。暗色とは、黒色あ
るいは黒色に近い暗灰色、暗紺色、暗緑色などを含む明
度の低い色を意味する。黒色に近い色ほど、雑草の繁殖
防止効果が高い。暗色不織布層は、着色インキの印刷に
よって着色することができる。また、不織布を製造する
繊維材料の染色や原料樹脂への混合等の手段で着色する
こともできる。
【0010】暗色不織布層は、光の吸収率が高く、反射
率が低いものが好ましい。なお、暗色不織布層を構成す
る不織布を、単独の状態で測定した色や反射率と、マル
チシートに積層された状態での暗色不織布層の表面の色
および反射率は少し違う場合がある。具体的には、暗色
不織布層は繊維材料間に隙間があるので、背面側の材料
層の色や反射率の影響を受けることがある。したがっ
て、マルチシートの状態で、明度あるいは反射率が低く
なるように、暗色不織布層を設計しておくことが好まし
い。暗色不織布層は、目付20〜130g/m2 、厚さ
0.12〜0.60mmの範囲のものが使用され、目付
30〜70g/m2 、厚さ0.15〜0.40mmのも
のが好ましい。
【0011】〔明色フィルム層〕マルチシートのうち、
暗色不織布層と反対側の表面に配置される。マルチシー
トを土壌に敷設した状態では、空中側に露出することに
なる。明色フィルム層の材料として、透湿性を有するポ
リオレフィンフィルムが使用される。ポリオレフィンフ
ィルムの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン
等のポリオレフィン樹脂のみからなるものだけでなく、
ポリオレフィン樹脂を主体にしてその他の合成樹脂が共
重合されたり混合されたりしたものであってもよい。
【0012】ポリオレフィンフィルムに透湿性を与える
には、材料そのものに透湿性のある材料を用いるほか、
連続気泡の発泡フィルムを用いたり、微細な孔を加工し
たりすることで透湿性を高めることができる。明色と
は、白色あるいは白色に近い明灰色、明黄色、さらには
銀色などを含む明度の高い色を意味する。白色に近い色
ほど、果実などの園芸作物の生育を良好にする機能が向
上する。明色フィルム層の材料を選択すること、およ
び、顔料などの着色剤を配合することによって、明色フ
ィルム層の色を設定する。明色フィルム層は、厚さ0.
02〜0.07mmの範囲のものが使用され、厚さ0.
03〜0.05mmのものが好ましい。
【0013】〔マルチシートの製造〕通常の積層シート
の製造技術が適用される。複数の材料層は、暗色不織布
層と明色フィルム層だけであってもよいし、別の材料層
を組み合わせることもできる。別の材料層は、合成樹脂
フィルムであってもよいし、不織布であってもよい。こ
れら別の材料層は、暗色不織布層と明色フィルム層の間
に配置される。各材料層の積層は、間に接着剤層を介し
て接合することができる。接着剤としては、熱接着性、
感圧接着性、反応接着性などの各種接着剤が使用でき
る。材料層同士を熱融着させることもできる。
【0014】積層シートに、シボ加工などで微細な凹凸
を形成しておくと、マルチシートの使用時に表面が滑り
難くなる。 〔マルチシートの特性〕マルチシートとしては、通常の
農業用マルチシートに要求される機械的あるいは化学的
特性を備えたものが用いられる。マルチシートの具体的
特性として、以下の特性を備えたものが使用できる。透
湿性の優れたものが好ましい。具体的には、透湿度30
00g/m2 /24h以上、より望ましくは透湿度60
00〜10000g/m2 /24hである。透湿度は、
JIS−L1099の〔4.1.1(A−1法)塩化カ
ルシウム使用、φ70mm〕で測定する。透湿度が低す
ぎると、使用時に土壌中の水分やガスが外部に放出され
ず、園芸作物の生育に悪影響を及ぼす。
【0015】水を通過させない耐水圧の高いものが好ま
しい。具体的には、耐水圧1.47N以上、より望まし
くは耐水圧2.45N以上である。耐水圧は、JIS−
L1902の〔5.1 B法(高水圧法)〕で測定す
る。耐水圧が低すぎると、使用時に雨などの水がマルチ
シートを通過して土壌に侵入し、土壌を浸食する問題が
生じる。耐水圧を高くすることによって、防水性が高ま
り、土壌への過剰な雨水の浸入を防ぎ、園芸作物が過剰
に水分を吸収することを抑え、果実等の糖度を高めるこ
とができる。引張強さが十分にあるものが好ましい。具
体的には、引張強さ70N/5cm以上、より望ましく
は引張強さ80〜200N/5cmである。引張強さ
は、JIS−L1906に準拠し、初期試料長10c
m、引張速度20cm/minで測定する。引張強さが
小さいと、取扱い時および使用中に破れたり穴があいた
りし易く耐久性が低下する。引張強さが大きすぎると、
マルチシートが硬くなり、取扱い難く、敷設作業などの
作業能率が低下する。
【0016】引裂強さが十分にあるものが好ましい。具
体的には、引裂強さ10N以上、より望ましくは引裂強
さ12N以上である。引裂強さは、JIS−1906の
〔ペンジュラム法、試料長6.5cm×10cm〕で測
定する。引裂強さが弱いと、取扱い時および使用中に破
れたり穴があいたりし易く耐久性が低下する。特に、引
張強さが十分であっても、引裂強さが弱いと、マルチシ
ートに負荷がかかったときに裂け易い。伸び性が十分に
あるものが好ましい。具体的には、伸び率20%以上、
より望ましくは伸び率25〜100%である。伸び率
は、前記した引張強さと同じ試験方法で測定できる。伸
び率が低いと、土壌の畝などの曲面や凹凸に沿って敷設
するのが困難である。
【0017】マルチシートのうち、明色フィルム層側の
表面の光反射性に優れたものが好ましい。具体的には、
光反射率70%以上、より望ましくは光反射率80%以
上である。光反射率は、分光光度計を用い、波長送り速
度300nm/min、測定波長範囲380〜780n
mで測定する。光反射率が低いと、果実の色付きや生育
が悪くなる。遮光性の高いものが好ましい。具体的に
は、遮光率95%以上、より望ましくは遮光率98%以
上である。遮光率は、分光光度計を用い、波長送り速度
120nm/min、測定波長範囲380〜780nm
で測定する。遮光率が低いと、雑草の繁殖防止が果たし
難い。
【0018】耐候性に優れたものが好ましい。耐候性
は、前記した各特性が、経時的に低下する割合で評価で
きる。実際の使用環境よりも過酷な促進環境に晒して評
価することができる。具体的には、耐候試験として、ス
ガ試験機社製サンシャインスーパーロングライフウェザ
ーメーター(WEL−SUN−HC−HB・BR型)を
用い、63℃×400hrs(63℃→120分中降雨
18分)を行い、試験前後の特性値を比較することがで
きる。耐候試験の前後における引張強さの変化で表す強
力保持率が高いものが好ましい。具体的には、強力保持
率90%以上、より望ましくは95%以上である。
【0019】その他の特性についても、前記耐候試験の
後においても、実用上の十分な性能を有していることが
望ましい。 〔マルチシートの使用〕マルチシートの使用方法は、通
常の農業用マルチシートの場合と同様で良い。但し、園
芸用の土壌に敷設する際に、暗色不織布層を土壌側に、
明色フィルム層を上空の果実などと対面する側に配置す
る。本発明のマルチシートは、雑草の発生および繁殖を
阻止する機能があるので、除草のために農薬などを使用
しなくてもよくなる。また、除草剤を使用する場合で
も、その使用量を減らすことができる。
【0020】
【発明の実施形態】図1〜3に示す実施形態は、ミカン
栽培用のマルチシートを示している。マルチシート10
は、長尺の帯状をなし、片面側に明色フィルム層12、
反対面側に暗色不織布層14が配置された積層シートで
ある。図示を省略しているが、明色フィルム層12と暗
色不織布層14とは接着剤を介して互いに積層されてい
る。明色フィルム層12は、厚さ0.035mmの白色
の透湿性ポリエチレンシート(市販品)である。
【0021】暗色不織布層14は、目付40g/m
2 (厚さ0.23mm)の黒色のポリエステル不織布
(商品名「エクーレ」6401AD、東洋紡績社製)で
ある。明色フィルム層12と暗色不織布層14とが積層
されたマルチシート10の厚さは0.276mmであ
る。図示を省略したが、マルチシート10の全面には、
微細なシボ模様が形成されている。マルチシート10の
製造は、予め製造された長尺の帯状をなす明色フィルム
層12および暗色不織布層14をそれぞれ、連続的に走
行させながら、明色フィルム層12の表面に熱接着性接
着剤を塗布し、明色フィルム層12の接着剤塗布面に暗
色不織布層14を重ねて加熱ドラムに接触させること
で、明色フィルム層12と暗色不織布層14とを積層一
体化させる。その後、プレスロールを用いてシボ加工を
施す。
【0022】図3に示すように、マルチシート10を使
用するには、土壌Eに植えられた樹木Tを育成して果実
Fを収穫する園芸場において、樹木Tの周辺の土壌E
を、マルチシート10で覆っておく。マルチシート10
の暗色不織布層14が土壌E側に、明色フィルム層12
が上空の果実Fと対面する側に配置される。マルチシー
ト10は、長尺の帯状で製造されたものを巻回した状態
で輸送保管に供せられる。使用時には、端部から巻きほ
どきながら土壌Eに敷設していく。このような敷設作業
の際に、適度な強度を有し柔軟性に優れたマルチシート
10は取扱いが容易であり、土壌Eの表面に沿ってぴっ
たりと密着して敷いていくことができる。畝の凹凸や曲
面にも沿わせ易い。土壌Eに密着していれば、使用中に
強風などが当たっても、捲くれや剥がれが生じることが
少ない。
【0023】太陽光線は、マルチシート10の白色をな
す明色フィルム層12の表面で効率的に反射され、果実
Fの下側にも十分に照射される。その結果、果実Fは裏
面まで色付きが良くなり、糖度が高くなって味も良くな
る。生育も早く大きくなり、商品価値の高い収穫が得ら
れる。土壌Eの表面には、マルチシート10の黒色をな
す暗色不織布層14が配置されていることで、土壌Eに
おける雑草の発生および繁殖を効果的に抑制することが
できる。マルチシート10は透湿性が良好であるため、
土壌E中の湿気やガスが良好に放散され、湿気やガスが
樹木Tの幹や根の生育に悪い影響を与えることを防ぐこ
とができる。
【0024】マルチシート10は耐水性が高いので、雨
などの水分はマルチシート10を通過して土壌に侵入す
ることができない。雨による土壌の浸食が防止できる。
しかも、園芸作物が過剰な水分を吸収することも抑えら
れるので、果実等の糖度が高まり、味の良い商品価値の
高い収穫が得られる。マルチシート10の表面は滑り難
くなっているため、雨のあとや、農薬液の散布を行った
あとで、作業者がマルチシート10の上に載ったり歩い
たりしても、滑って転んだり怪我をしたりする心配がな
い。マルチシート10に載った状態で樹木Tの手入れそ
の他の作業を行うのもやり易い。
【0025】〔性能比較〕本発明のマルチシート10で
ある実施例と、従来のマルチシートを用いた比較例との
性能比較結果を示す。実施例1は、前記した形状構造を
有する本発明の実施品である。比較例1は、白色のポリ
エチレンフィルムからなる市販マルチシートである。比
較例2は、白色不織布からなる市販マルチシート(ハー
ドタイプ)である。比較例3は、白色不織布からなる市
販マルチシート(ソフトタイプ)である。これらの実施
例および比較例に対して、各種の性能評価試験を行い、
その結果を、下記「表1.性能比較表」に示している。
【0026】各評価項目の試験方法は、前記したJIS
規格などに準拠する試験方法を適用した。シートのタテ
・ヨコで特性値が違うものは、タテ・ヨコそれぞれの測
定値を示す。「耐候性」欄の評価は、前記した耐候試験
後の特性を示す。 柔軟性評価基準: ○ =柔軟である。 △ =少し柔軟性に劣る。 × =柔軟性がない。 △※=柔軟過ぎて、取扱い難い。
【0027】滑り性評価基準: ◎ =非常に滑り難い。 ○ =滑り難い。 × =滑り易い。 △※=滑ることはないが、シートが破れ易い。 <表1.性能比較表> ──────────────────────────── 評価項目 実施例1 比較例1 比較例2 比較例3 ──────────────────────────── 目付 g/m2 76.9 71.5 62.8 42.1 厚さ mm 0.276 0.059 0.185 0.135 透湿度 g/m2/24h 9108 8521 7296 5758 耐水圧 N 5.20 1.18 1.47 1.77 引裂強さ タテ 16.6 18.0 14.9 14.2 N ヨコ 12.4 6.6 9.8 16.9 引張強さ タテ 169.2 37.3 263.4 94.3 N/5cm ヨコ 83.6 23.3 379.9 109.7 伸び率 タテ 28.9 310.4 14.2 12.5 % ヨコ 36.7 424.7 18.3 18.2 ──────────────────────────── 耐候性: 強力保持率 タテ 109.9 76.4 97.2 81.0 % ヨコ 95.2 80.3 − 72.3 光反射率 % 83.5 62.2 87.6 93.7 遮光率 % 98.0 86.3 92.5 94.0 柔軟性 ○ △※ × △ 滑り性 ◎ △※ × ○ ──────────────────────────── <評 価>比較例1のフィルム単体のマルチシートは、
引張強さ、引裂強さなどの機械的強度に劣る。耐水性も
不十分である。耐候性も悪い。柔軟性には優れている
が、柔らかすぎて却って取扱い難い。
【0028】比較例2の不織布製マルチシートは、伸び
率が低く、柔軟性に劣るため、土壌に沿わせて敷設する
作業が行い難い。引張強さはあるが、ヨコ方向の引裂強
さが劣る。これは、不織布の製造条件によって、一方の
方向に引き裂け易くなっているものと推測できる。遮光
性の点でも少し劣っている。比較例3の不織布製マルチ
シートは、比較例2に比べると柔軟な不織布が使用され
ているが、それでも伸び率は不足し、土壌に沿わせて敷
設するのが難しい。強力保持率が低く、経時的な劣化が
大きい。実施例のマルチシートは、何れの比較例1〜3
に比べても、耐水圧が高く、雨水などの浸透防止性能に
優れていながら、透湿度は高いので、土壌の水分等の放
散は良好に行える。比較例2、3に比べて伸び率が高
く、柔軟性に優れているので、土壌への敷設作業は容易
になり、使用中の捲くれや剥がれが発生し難い。引裂強
さや引張強さも実用的に十分な性能を有し、耐候性にも
優れている。
【0029】<使用性能>実施例および比較例1〜3の
マルチシートを、ミカン栽培を行っている園芸場の土壌
に被せておき、所定期間経過後に評価した。実施例のマ
ルチシートを敷設した範囲では雑草の発生は全くみられ
なかった。比較例2、3では、マルチシートを敷設しな
かった周囲と変わりがないほど雑草が繁殖しており、雑
草の繁殖防止機能はほとんど認められなかった。比較例
1では、実施例よりも劣るが、ある程度の雑草繁殖防止
は認められた。収穫されたミカンの色付きを評価したと
ころ、実施例ではミカンの裏面まで十分に色付いてお
り、糖度や食味も良好であった。
【0030】また、比較例2では、マルチシートの表面
が非常に滑り易く、マルチシートの敷設面で園芸作業を
行うのが難しかった。比較例3も実施例に比べると滑り
易い。比較例1は、滑ることはないが、強度が弱いので
シートが損傷することがあった。実施例では、ほとんど
滑ることはなく、作業が行い易いとともにシートの損傷
も発生しなかった。比較例1は、経時的な性能の劣化が
甚だしいが、実施例では1シーズンの栽培期間を超えて
も十分な特性を備えており、複数シーズンにわたって使
用することも可能な状態であった。
【0031】
【発明の効果】この発明にかかる農業用マルチシート
は、使用時に土壌側に配置される暗色不織布層によっ
て、雑草の発生および繁殖を確実に抑制することができ
る。また、使用時に果実などの作物側に配置される明色
フィルム層が、太陽光線を効率的に反射して作物の色付
きや糖度などの品質を大幅に向上させて、商品価値の高
い収穫物を得ることができる。上記のような2種類の材
料層を組み合わせることで、マルチシート全体として
は、十分な強度や耐久性を備えていながら適度な柔軟性
や伸びがあって、土壌にぴったりと沿わせて敷設するこ
とが可能になり、使用時に端が捲くれたり剥がれたりす
ることが防止できる。
【0032】耐水圧が高くて雨水等を通過させないのに
透湿性は高くて水蒸気は通過させるので、土壌の水分な
どは良好に放散されることになり、土壌の流出や崩壊か
ら確実に保護しながら、作物の生育を阻害することが極
めて少ないものとなる。しかも、園芸作物が過剰な水分
を吸収するのを抑えて、果実等の糖度を高め、商品価値
の高い収穫を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を表すマルチシートの斜視
【図2】 断面図
【図3】 使用状態の断面図
【符号の説明】
10 マルチシート 12 明色フィルム層 14 暗色不織布層 E 土壌 F 果実 T 樹木
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳥取 正成 大阪市中央区久太郎町2丁目4番27号 東 洋紡ミシン糸株式会社内 Fターム(参考) 2B024 DA02 DB03 DB07 4F100 AK01A AK03B AK04 AK07B AK41B BA02 BA03 BA04 BA05 CB03 DG15A GB01 HB00A HB00B HB22 JD04B JK02 JK03 JK08 JK13 JK20 JL00 JL04 JL10A JL10B JN02 JN06 YY00 4L047 AA21 BA07 BB06 CA06 CB01 CC15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】園芸用の土壌を覆って使用されるマルチシ
    ートであって、 複数の材料層が積層されてなり、 使用時に前記土壌側の表面に配置され、スパンボンド紡
    糸法により得られ、合成樹脂繊維を主材料とし、暗色を
    呈する暗色不織布層と、 前記不織布層と反対側の表面に配置され、透湿性を有す
    るポリオレフィンフィルムからなり、明色を呈する明色
    フィルム層とを備える農業用マルチシート。
  2. 【請求項2】透湿度3000g/m2 /24h以上、耐
    水圧1.47N以上である請求項1に記載の農業用マル
    チシート。
  3. 【請求項3】引張強さ70N/5cm以上、引裂強さ1
    0N以上、伸び率20%以上である請求項1または2の
    何れかに記載の農業用マルチシート。
  4. 【請求項4】前記暗色不織布層が黒色であり、 前記明色フィルム層が白色である請求項1〜3の何れか
    に記載の農業用マルチシート。
  5. 【請求項5】前記合成樹脂繊維が、ポリエステル系繊維
    およびポリプロピレン系繊維の何れか1種である請求項
    1〜4の何れかに記載の農業用マルチシート。
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