JP2016204268A - スチレン化フェノール系組成物、及びその製造方法 - Google Patents

スチレン化フェノール系組成物、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トリスチレン化フェノール系化合物の含有量が高く、スチレンオリゴマー等の不純物の含有量の低いスチレン化フェノール系組成物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】特定のモノスチレン化フェノール系化合物と、特定のジスチレン化フェノール系化合物と、特定のトリスチレン化フェノール系化合物とを含有するスチレン化フェノール系組成物、及びその製造方法である。スチレン化フェノール系組成物は、有機物100質量%当たりのモノスチレン化フェノール系化合物とジスチレン化フェノール系化合物とトリスチレン化フェノール系化合物との合計含有量が98質量%以上である。スチレン化フェノール系組成物におけるトリスチレン化フェノール系化合物の含有量は80質量%以上であり、副成分の含有量が2質量%以下(0を含む)である。
【選択図】図1

Description

本発明は、モノスチレン化フェノール系化合物とジスチレン化フェノール系化合物とトリスチレン化フェノール系化合物とを含有するスチレン化フェノール系組成物、及びその製造方法に関する。
トリスチレン化フェノール化合物等のフェノール化合物は、イソシアネート化合物のブロック化剤等として用いられている。具体的には、例えば、BF3触媒を用いてトルエン溶媒中でスチレンとフェノールとを反応させることにより、トリス[2,4,6−(1−フェニルエチル)−フェノール]又は4−(1-フェニルエチル)フェノールを主成分とするフェノール化合物を得る方法が知られている(特許文献1参照)。また、所定量の硫酸触媒を用いて加熱条件下で1モルのフェノールに対して3モルのスチレンモノマーを反応させることにより、トリスチレン化フェノール(TSP)等を含むフェノール化合物を得る方法が知られている(特許文献2及び特許文献3参照)。
特開2002−348530号公報 特開2012−31285号公報 韓国公開特許第10−2012−0065836号公報
しかしながら、上記従来の方法においては、反応時にスチレン同士の副反応が進行し易く、スチレンダイマー等のスチレンオリゴマーが発生し易いという問題がある。その結果、フェノール化合物中に含まれるスチレンオリゴマー等の不純物の含有量が増大するという問題がある。スチレンの滴下速度を低下させることにより、スチレンオリゴマーの生成量をある程度抑制することは可能であるが、抑制効果には限界がある。また、滴下速度を下げると、反応に要する時間が長くなるため、生産性が著しく低下してしまう。特に、スチレンの供給量の増加に対して指数関数的に供給時間を長くする必要があるため、工業的な生産性の観点から非現実的である。
また、フェノールとスチレン等のスチレン系化合物との反応によって生じるスチレン化フェノール系化合物には、1分子のフェノールに対して1分子のスチレン系化合物が付加したモノスチレン化フェノール系化合物、1分子のフェノールに対して2分子のスチレン系化合物が付加したジスチレン化フェノール系化合物、及び1分子のフェノールに対して3分子のスチレン系化合物が付加したトリスチレン化フェノール系化合物が存在する。これらの化合物のうち、トリスチレン化フェノール系化合物は、ジスチレン化フェノール系化合物に対してさらにスチレンが付加することによって生成されるが、ジスチレン化フェノール系化合物の活性エネルギーが高いため、トリスチレン化フェノール系化合物の生成反応は遅い。その結果、トリスチレン化フェノール系化合物の含有量を高めることが困難であるという問題がある。実際に上述の従来の製造方法によって製造されるスチレン化フェノール系組成物中のトリスチレン化フェノール系化合物の含有量は、せいぜい75質量%以下である。また、蒸留等による精製も想定されるが、沸点の高いトリスチレン化フェノール系化合物を含むスチレン化フェノール系組成物の蒸留には、例え減圧を行ったとしても高温での加熱が必要となるため、トリスチレン化フェノールが分解されてしまうおそれがある。したがって、結局は、トリスチレン化フェノール系化合物の含有量の高いスチレン化フェノール系組成物を得ることができないという問題がある。また、蒸留時の熱履歴により、スチレン化フェノール系組成物の品質が劣化するおそれもある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、トリスチレン化フェノール系化合物の含有量が高く、スチレンオリゴマー等の不純物の含有量の低いスチレン化フェノール系組成物及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、下記の式(1)及び/又は(2)で表されるモノスチレン化フェノール系化合物と、
下記の式(3)及び/又は(4)で表されるジスチレン化フェノール系化合物と、
下記の式(5)で表されるトリスチレン化フェノール系化合物と、を含有し、
有機物100質量%当たりの上記モノスチレン化フェノール系化合物と上記ジスチレン化フェノール系化合物と上記トリスチレン化フェノール系化合物との合計含有量が98質量%以上であり、上記トリスチレン化フェノール系化合物の含有量が80質量%以上であり、上記モノスチレン化フェノール系化合物、上記ジスチレン化フェノール系化合物、及び上記トリスチレン化フェノール系化合物以外の副成分の含有量が2質量%以下(0を含む)であることを特徴とするスチレン化フェノール系組成物にある。
Figure 2016204268
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Figure 2016204268
Figure 2016204268
Figure 2016204268
(ただし、上記式(1)〜(5)において、R1、R2、R4、R5、R7、及びR8は、それぞれ独立して水素又はメチル基であり、R3、R6、及びR9は、それぞれ独立して水素又はメチロール基である。)
本発明の他の態様は、酸触媒の存在下において、フェノールと下記の式(6)で表されるスチレン系化合物とを所定の反応温度で反応させる反応工程を行うことにより、上記スチレン化フェノール系組成物を製造する方法において、
上記フェノール100mol%に対する上記酸触媒の添加量xmol%と上記反応温度y℃とが下記の式(I)〜(III)の関係を満足することを特徴とするスチレン化フェノール系組成物の製造方法にある。
y≧−55.85ln(x)+199.53 ・・・(I)
y≦200 ・・・(II)
x≦5 ・・・(III)
Figure 2016204268
(ただし、上記式(6)において、R10及びR11は、それぞれ独立して水素又はメチル基であり、R12は、水素又はメチロール基である。)
上記スチレン化フェノール系組成物は、上述のようにトリスチレン化フェノール系化合物の含有量が高い。また、モノスチレン化フェノール系化合物、ジスチレン化フェノール系化合物、及びトリスチレン化フェノール系化合物以外の副成分の含有量が非常に少ない。副成分は、例えばスチレンダイマー等のスチレンオリゴマーである。即ち、上記スチレン化フェノール系組成物は、従来得ることができなかった程度にトリスチレン化フェノール系化合物の含有量が高く、副成分の含有量が少ない組成物である。
このようなスチレン化フェノール系組成物は、高い屈折率を有するトリスチレン化フェノール系化合物を上記所定量以上含有するため、屈折率が高い。そのため、上記スチレン化フェノール系組成物は、屈折率の高い光学材料に悪影響を及ぼし難いため、例えば光学材料の添加剤等に好適である。また、トリスチレン化フェノール系化合物の含有量の高いスチレン化フェノール系組成物においては、ラジカルを補足するための水素を増やすことが可能であり、ラジカル補足能を高めることが可能である。したがって、上記スチレン化フェノール系組成物は、例えば光学材料の酸化防止剤として特に好適である。
上記スチレン化フェノール系組成物は、上記式(I)〜(III)の関係を満足する条件で、上記反応工程を行うことにより製造される。即ち、酸触媒の量と反応温度との関係を、上記所定の関係を満足する条件に制御することにより、反応工程におけるスチレン同士の反応が抑制され、スチレンダイマー等のスチレンオリゴマーの生成を抑制できる。その結果、上述のように副成分の含有量の少ないスチレン化フェノール系組成物を得ることができる。さらに、ジスチレン化フェノール系化合物からトリスチレン化フェノール系化合物への生成反応が進行し易くなる。そのため、上述のように80質量%以上というトリスチレン化フェノールの含有量の高いスチレン化フェノール系組成物を得ることができる。
また、上記反応工程においては、必ずしも溶媒を使用する必要がない。そのため、溶媒の分離除去作業が必ずしも必要なく、製造コストの低下、生産性の向上が可能になる。また、廃液量を減らすことが可能になる。さらに、上記製造方法においては、蒸留等による精製を行うことなく、トリスチレン化フェノール系化合物の含有量の高いスチレン化フェノール系組成物を得ることが可能になる。そのため、熱履歴による品質劣化を防止できると共に、製造コストの増大や収率の低下を防止することができる。上記製造方法によれば上記スチレン化フェノール系組成物の大量生産も可能になる。
実施例1における、触媒量と反応温度との関係を示す説明図。
次に、スチレン化フェノール系組成物及びその製造方法の実施形態等について説明する。スチレン化フェノール系組成物は、上述のように式(1)及び/又は(2)で表されるモノスチレン化フェノール系化合物と、式(3)及び/又は(4)で表されるジスチレン化フェノール系化合物と、式(5)で表されるトリスチレン化フェノール系化合物と、を含有する。式(1)〜(5)において、R1、R2、R4、R5、R7、及びR8は、それぞれ独立して水素又はメチル基であり、R3、R6、及びR9は、それぞれ独立して水素又はメチロール基である
式(1)〜(5)で表される化合物において、R1、R2、R4、R5、R7、及びR8の少なくともいずれかがメチル基である場合や、R3、R6、及びR9の少なくともいずれかがメチロール基である場合には、スチレン化フェノール系組成物を添加剤等として用いる際に、樹脂材料等の被添加材料に対する相溶性を向上させることができる。また、R1〜R9の少なくともいずれかが水素である場合には、スチレン化フェノール系組成物のラジカル補足能を高めることができるため、スチレン化フェノール系組成物は酸化防止剤等としてより好適になる。ラジカル補足能を更に高めるという観点からは、R1〜R9は全て水素であることがより好ましい。
上記スチレン化フェノール系組成物のハーゼン色数(APHA)は500以下であることが好ましい。この場合には、スチレン化フェノール系組成物の色調が良好になるため、スチレン化フェノール系組成物が添加される被添加材料の着色を充分に抑制することが可能になる。したがって、スチレン化フェノール系組成物は、添加剤としてより好適になり、特に、無色や無色に近い色が望まれる光学材料用の添加剤に好適になる。同様の観点から、スチレン化フェノール系組成物のハーゼン色数は200以下であることがより好ましい。
また、上記スチレン化フェノール系組成物の酸価は0.5mgKOH/g以下であることが好ましい。この場合には、スチレン化フェノール系組成物が添加される被添加材料の酸による劣化がより抑制されるという理由から、スチレン化フェノール系組成物が添加剤としてより好適になる。
ハーゼン色数が500以下のスチレン化フェノール系組成物や、酸価が0.5mgKOH/g以下のスチレン化フェノール系組成物は、製造時に、反応工程後に洗浄工程を行うことにより実現できる。洗浄工程については後述する。
上記スチレン化フェノール系組成物は、例えば樹脂材料等の被添加材料に対する添加剤として用いることができる。好ましくは、スチレン化フェノール系組成物は、光学材料の酸化防止剤として用いられることがよい。この場合には、スチレン化フェノール系組成物が有する高い屈折率及び優れたラジカル補足能等の特性を充分に生かすことができる。
スチレン化フェノール系組成物は、反応工程を行うことにより製造される。反応工程においては、酸触媒の存在下において、フェノールと上述の式(6)で表されるスチレン系化合物とを所定の反応温度で反応させる。スチレン系化合物としては、式(6)で表される化合物のうちの1種、又は2種以上を用いることができる。
上記式(6)で表されるスチレン系化合物は、スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、及びシンナミルアルコールからなるグループから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。この場合には、樹脂材料等の被添加材料に対する相溶性の高いスチレン化フェノール系組成物や、ラジカル補足能の高いスチレン化フェノール系組成物を得ることができる。スチレン系化合物はスチレンであることがより好ましい。この場合には、ラジカル補足能がより高いスチレン化フェノール系組成物を得ることができる。
酸触媒は、無機酸であっても有機酸であってもよい。無機酸としては、例えば硫酸を用いることが好ましい。有機酸としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸を用いることが好ましい。これらの場合には、生産性をより向上させることができると共に、上述の所望の組成のスチレン化フェノール系組成物をより確実に得ることができる。
反応工程においては、フェノール100mol%に対する上記酸触媒の添加量xmol%と上記反応温度y℃とが上述の式(I)〜(III)の関係を満足することが好ましい。式(I)〜(III)の関係から外れる場合には、スチレンダイマー等の副成分の含有量を2質量%以下にまで低下させることができなくなる。また、トリスチレン化フェノール系化合物の含有量を80質量%以上にまで高めることができなくなる。なお、式(II)においては、y≦200であるが、スチレン化フェノール系組成物の着色をより抑制し、無色又は無色により近い組成物が得られるという観点からは、y≦180であることがより好ましく、y≦160であることがさらに好ましい。
フェノールとスチレン系化合物との反応は、酸触媒の存在及び加熱条件下においてフェノール中にスチレン系化合物を滴下することにより行うことができる。反応工程においては、フェノール1モル当たりにスチレン2.8〜3.2モルを170分以上かけて滴下することが好ましい。この場合には、スチレン同士の副反応をより一層抑制することが可能になる。
また、反応工程は、非酸化雰囲気(不活性雰囲気)で行うことが好ましい。具体的には、例えば窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、ヘリウム雰囲気、ネオン雰囲気等で行うことができる。この場合には、スチレン化フェノール系組成物の酸化による着色を抑制することができる。
また、上記反応工程後に得られる反応物を水洗する洗浄工程を行うことが好ましい。この場合には、ハーゼン色数や酸価の低いスチレン化フェノール系組成物を製造することができる。水洗は、例えば温度60〜200℃で行うことができる。この範囲よりも温度が低い場合には、水洗時に生じる油相の粘度が高くなりすぎて、水相と油相との分離が困難になったり、目的物の収率が低下し易くなるおそれがある。また、この場合には油相と水相とが乳化して両者の分離自体が不可能になり、水洗を行うことができなくなるおそれがある。一方、この範囲よりも温度が高い場合には生成物が分離するおそれがある。より好ましくは、水洗は温度90℃〜100℃で行うことがよい。水洗に使用する水の量は、水の添加後の酸触媒の濃度を指標にして調整することができる。具体的には、酸触媒の濃度が2〜3質量%となるように、水を添加することが好ましい。この範囲よりも酸触媒の濃度が高い場合には、水の量が少なすぎて、ハーゼン色数や酸価を充分に低下させることが困難になるおそれがある。一方、この範囲よりも酸触媒の濃度が低い場合には、水の量が多すぎて、油相へ取り込まれる酸を含んだ水相の量が多くなり、洗浄時の脱水後も、酸や着色物が油相に残留するおそれがある。その結果、やはりハーゼン色数や酸価を充分に低下させることが困難になるおそれがある。
上記スチレン化フェノール系組成物は、例えば樹脂材料等の添加剤として用いることができる。スチレン化フェノール系組成物の上述の優れた特性をいかして、特に光学材料の酸化防止剤として有用である。光学材料としては、例えばディスプレイ、光学レンズ、光学フィルム、コーティング剤(ハードコート剤等)等がある。
(実施例1)
次に、スチレン化フェノール系組成物の実施例について説明する。以下の説明において、MSPは、モノスチレン化フェノールを表し、DSPはジスチレン化フェノールを表し、TSPはトリスチレン化フェノールを表す。本例においては、MSPとDSPとTSPとを含有するスチレン化フェノール系組成物を製造する例である。本例のスチレン化フェノール系組成物は、MSPとして、下記の式(7)で表されるo−MSP(2−(1−フェニルエチル)フェノール)及び/又は下記の式(8)で表されるp−MSP(4−(1−フェニルエチル)フェノール)を含有し、DSPとして、下記の式(9)で表される2,6−DSP(2,6−ビス(1−フェニルエチル)フェノール)及び/又は下記の式(10)で表される2,4−DSP(2,4−ビス(1−フェニルエチル)フェノール)を含有し、TSPとして、下記の式(11)で表される2,4,6−トリス(1−フェニルエチル)フェノールを含有する。本例においては、異なる製造条件で複数のスチレン化フェノール系組成物(試料X1〜試料X10)を製造し、そのTSP含有量等を評価した。まず、試料X1のスチレン化フェノール系組成物の製造方法について以下説明する。
Figure 2016204268
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具体的には、まず、容量1.5Lのガラス製のオートクレーブI内において、温度50℃で溶解させたフェノール200gに、ボーメ度50°Beの硫酸水溶液(濃度62.5質量%の硫酸水溶液)3.3gを添加し、オートクレーブI内を密閉し、窒素置換を行った。フェノール100モル%に対する酸触媒(硫酸)の添加量は1モル%である。次いで、オートクレーブ内を反応温度200℃まで昇温させ、この温度200℃に維持した。次いで、スチレンを入れて密閉した別の金属製のオートクレーブIIから、スチレン620gをオートクレーブI内に供給した。スチレンの供給は滴下により行い、170分間かけて連続的にオートクレーブI内のフェノール中に所定の滴下速度でスチレンを滴下した。フェノール1モル当たりのスチレン添加量は、2.8モルである。スチレンの供給完了後、さらに同一温度(200℃)で1時間熟成を行った。このようにしてスチレン化フェノール系組成物からなる高粘度液体(試料X1)を得た。
[ガスクロマトグラフィー分析]
次に、ガスクロマトグラフィ(GC)により、試料X1のスチレン化フェノール系組成物中に含まれる化合物の定量を行った。まず、試料X1をトルエンに溶解し、濃度10質量%のトルエン溶液を作製し、酸吸着剤(協和化学工業(株)製の「KW−500SH」)により溶液中の酸を吸着させた後、濾別を行うことにより、測定用サンプル液を調整した。この測定用サンプル液について、下記の装置及び条件によりGC分析を行った。GC装置:(株)島津製作所製「GC−2014 I」、カラム:アジレント・テクノロジー社製のキャピラリカラム HP−5 30m×φ0.32mm 膜厚0.25μm、気化室温度:320℃、検出器温度:320℃、キャリアガス:He、入口圧:49.6kPa、キャリアガス流量1ml/min、線速度:22.8cm/sec、スプリット比:50:1、カラム温度:100℃×1分→10℃/min(昇温速度)→320℃×7分、検出器:FID、測定用サンプル液量:0.2μL
GS分析の結果として、試料X1中に含まれるMSPとDSPとTSPとの合計量(質量%)、TSP量(質量%)、スチレンダイマー量(質量%)の結果を後述の表1に示す。なお、これらの化合物の量(質量%)は、GS測定よって得られるGCチャートの各ピーク面積の割合(GC%)のことである。
また、試料X1のスチレン化フェノール系組成物の水洗を行った。具体的には、まず、試料X1中に含まれる酸触媒(硫酸)の濃度が2.5wt%となるように、試料X1に水を添加した。具体的には、79.2gの水を試料X1に添加した。次いで、水を添加した試料X1を撹拌しながら温度100℃まで昇温させた。さらに10分間撹拌後、撹拌を停止し、温度100℃に保温した状態で1時間静置した。その後、下層の有機層を分取した。この有機層が水洗後のスチレン化フェノール系組成物である。次いで、スチレン化フェノール系組成物を温度100℃、圧力5kPaの条件で30分間脱水した。これにより、淡黄色の透明液体(スチレン化フェノール系組成物)を得た。水洗後の試料X1のハーゼン色数(APHA)及び酸価を以下のようにして測定した。
[ハーゼン色数(APHA)測定]
試料X1の着色を調べるために、ハーゼン色数(APHA)をJIS K0071(1998年)に準拠して測定した。その結果を表1に示す。
[酸価の測定]
試料X1の酸価は、KOHを溶かすための溶媒をエタノールから水に変更した点を除いては、JIS K0070(1992年)に準拠して測定した。具体的には、0.1規定のKOH水溶液で中和滴定を行い、分析に用いた試料量Sg、中和に要したKOHaq.量Cml、使用したKOHaq.のファクターFに基づいて、次式(I)から算出した。その結果を表1に示す。
酸価(mgKOH/g)=0.1×F×C×56.11/S ・・・(I)
次に、上記試料X1とは異なる条件でさらに複数のスチレン化フェノール系組成物(試料X2〜試料X10)を作製した。
試料X2は、下記の点を除いては、試料X1と同様にして作製したスチレン化フェノール系組成物である。具体的には、オートクレーブの代わりに、容量1Lの4つ口フラスコを用いた。また、酸触媒(ボーメ度50°Be硫酸水溶液)の添加量を3.3gから6.7gに変更した。フェノール100モル%に対する酸触媒(硫酸)の添加量は2モル%である。また、反応温度を200℃から160℃に変更した。その他は、上述の試料X1と同様にして作製した。
試料X3は、下記の点を除いては、試料X1と同様にして作製したスチレン化フェノール系組成物である。具体的には、オートクレーブの代わりに、容量1Lの4つ口フラスコを用いた。また、酸触媒(ボーメ度50°Be硫酸水溶液)の添加量を3.3gから13.3gに変更したフェノール100モル%に対する酸触媒(硫酸)の添加量は5モル%である。また、反応温度を200℃から110℃に変更した。その他は、上述の試料X1と同様にして作製した。
試料X4は、下記の点を除いては、試料X1と同様にして作製したスチレン化フェノール系組成物である。具体的には、酸触媒(ボーメ度50°Be硫酸水溶液)の添加量を3.3gから13.3gに変更した。フェノール100モル%に対する酸触媒(硫酸)の添加量は5モル%である。その他は、上述の試料X1と同様にして作製した。
試料X5は、下記の点を除いては、試料X1と同様にして作製したスチレン化フェノール系組成物である。具体的には、オートクレーブの代わりに、容量1Lの4つ口フラスコを用いた。また、酸触媒(ボーメ度50°Be硫酸水溶液)の添加量を3.3gから11.7gに変更した。フェノール100モル%に対する酸触媒(硫酸)の添加量は3.5モル%である。また、反応温度を200℃から160℃に変更した。その他は、上述の試料X1と同様にして作製した。
試料X6は、下記の点を除いては、試料X1と同様にして作製したスチレン化フェノール系組成物である。具体的には、オートクレーブの代わりに、容量1Lの4つ口フラスコを用いた。また、酸触媒(ボーメ度50°Be硫酸水溶液)の添加量を3.3gから20gに変更した。フェノール100モル%に対する酸触媒(硫酸)の添加量は6モル%である。また、反応温度を200℃から100℃に変更した。その他は、上述の試料X1と同様にして作製した。
試料X7は、下記の点を除いては、試料X1と同様にして作製したスチレン化フェノール系組成物である。具体的には、オートクレーブの代わりに、容量1Lの4つ口フラスコを用いた。また、酸触媒(ボーメ度50°Be硫酸水溶液)の添加量を3.3gから23.4gに変更した。フェノール100モル%に対する酸触媒(硫酸)の添加量は7モル%である。また、反応温度を200℃から90℃に変更した。その他は、上述の試料X1と同様にして作製した。
試料X8は、下記の点を除いては、試料X1と同様にして作製したスチレン化フェノール系組成物である。具体的には、オートクレーブの代わりに、容量1Lの4つ口フラスコを用いた。また、酸触媒(ボーメ度50°Be硫酸水溶液)の添加量を3.3gから34gに変更した。フェノール100モル%に対する酸触媒(硫酸)の添加量は10モル%である。また、反応温度を200℃から70℃に変更した。その他は、上述の試料X1と同様にして作製した。
試料X9は、下記の点を除いては、試料X1と同様にして作製したスチレン化フェノール系組成物である。具体的には、オートクレーブの代わりに、容量1Lの4つ口フラスコを用いた。また、反応温度を200℃から110℃に変更した。その他は、上述の試料X1と同様にして作製した。
試料X10は、下記の点を除いては、試料X1と同様にして作製したスチレン化フェノール系組成物である。具体的には、オートクレーブの代わりに、容量1Lの4つ口フラスコを用いた。また、酸触媒(ボーメ度50°Be硫酸水溶液)の添加量を3.3gから6.7gに変更した。フェノール100モル%に対する酸触媒(硫酸)の添加量は2モル%である。また、反応温度を200℃から110℃に変更した。その他は、上述の試料X1と同様にして作製した。
試料X2〜試料X10についても、上述の試料X1と同様のGS分析を行った。また、試料X2〜試料X10についても、上述の試料X1と同様に水洗後のハーゼン色数(APHA)及び酸価の測定を行った。水洗の水の添加量は各試料において異なるが、試料X1と同様に酸触媒の濃度が2.5wt%となるように水を加え、その他は試料X1と同様にして水洗を行った。その結果を後述の表1に示す。
次に、試料X1〜試料X10の製造条件について、フェノール100モル%に対する酸触媒の添加量(モル%)と反応温度との関係をグラフにプロットした。その結果を図1に示す。図1中の曲線αは、触媒量xモル%(対フェノール100モル%)と、反応温度y℃との関係において、y=−55.85ln(x)+199.53という式で表される曲線である。なお、図1においては、試料X1〜試料X5のプロット点を丸印で示し、試料X6〜試料X10のプロット点を四角印で示してある。
Figure 2016204268
表1より知られるように、試料X1〜試料X5は、有機物100質量%当たりのMSPとDSPとTSPとの合計含有量が98質量%以上であり、TSPの含有量が80質量%以上である。また、MSP、DSP、及びTSP以外の副成分の含有量(スチレンオリゴマーの含有量)が2質量%以下である。これに対し、試料X6〜試料X10は、いずれもTSPの含有量が少ない。さらに、試料X6〜試料X9は、副成分の含有量が多くなっていた。
表1と図1との関係から、フェノール100mol%に対する酸触媒の添加量xmol%と反応温度y℃とがy≧−55.85ln(x)+199.53(y≦200、x≦5)の関係を満足する場合(図1における斜線のハッチングの領域)において、試料X1〜試料X5と同様に、有機物100質量%当たりのモノスチレン化フェノール系化合物とジスチレン化フェノール系化合物とトリスチレン化フェノール系化合物との合計含有量が98質量%以上であり、トリスチレン化フェノール系化合物の含有量が80質量%以上であり、副成分の含有量が2質量%以下のスチレン化フェノール系組成物を得ることができるといえる。また、本例においては、フェノールに対してスチレンを反応させた例について説明したが、スチレンの代わりに、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、及びシンナミルアルコール等の上述の式(6)で表されるスチレン系化合物を用いても、本例と同様の結果が得られることが理解される。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。

Claims (10)

  1. 下記の式(1)及び/又は(2)で表されるモノスチレン化フェノール系化合物と、
    下記の式(3)及び/又は(4)で表されるジスチレン化フェノール系化合物と、
    下記の式(5)で表されるトリスチレン化フェノール系化合物と、を含有し、
    有機物100質量%当たりの上記モノスチレン化フェノール系化合物と上記ジスチレン化フェノール系化合物と上記トリスチレン化フェノール系化合物との合計含有量が98質量%以上であり、上記トリスチレン化フェノール系化合物の含有量が80質量%以上であり、上記モノスチレン化フェノール系化合物、上記ジスチレン化フェノール系化合物、及び上記トリスチレン化フェノール系化合物以外の副成分の含有量が2質量%以下(0を含む)であることを特徴とするスチレン化フェノール系組成物。
    Figure 2016204268
    Figure 2016204268
    Figure 2016204268
    Figure 2016204268
    Figure 2016204268
    (ただし、上記式(1)〜(5)において、R1、R2、R4、R5、R7、及びR8は、それぞれ独立して水素又はメチル基であり、R3、R6、及びR9は、それぞれ独立して水素又はメチロール基である。)
  2. 上記スチレン化フェノール系組成物のハーゼン色数(APHA)が500以下であることを特徴とする請求項1に記載のスチレン化フェノール系組成物。
  3. 上記スチレン化フェノール系組成物の酸価が0.5mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスチレン化フェノール系組成物。
  4. 上記式(1)〜式(5)において、R1〜R9は水素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン化フェノール系組成物。
  5. 上記スチレン化フェノール系組成物は、光学材料の酸化防止剤として用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレン化フェノール系組成物。
  6. 酸触媒の存在下において、フェノールと下記の式(6)で表されるスチレン系化合物とを所定の反応温度で反応させる反応工程を行うことにより、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレン化フェノール系組成物を製造する方法において、
    上記フェノール100mol%に対する上記酸触媒の添加量xmol%と上記反応温度y℃とが下記の式(I)〜(III)の関係を満足することを特徴とするスチレン化フェノール系組成物の製造方法。
    y≧−55.85ln(x)+199.53 ・・・(I)
    y≦200 ・・・(II)
    x≦5 ・・・(III)
    Figure 2016204268
    (ただし、上記式(6)において、R10及びR11は、それぞれ独立して水素又はメチル基であり、R12は、水素又はメチロール基である。)
  7. 上記スチレン系化合物は、スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、及びシンナミルアルコールからなるグループから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載のスチレン化フェノール系組成物の製造方法。
  8. 上記スチレン系化合物はスチレンであることを特徴とする請求項6又は7に記載のスチレン化フェノール系組成物の製造方法。
  9. 上記酸触媒が硫酸及び/又はスルホン酸であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のスチレン化フェノール系組成物の製造方法。
  10. 上記反応工程後に得られる反応物を水洗する洗浄工程を有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のスチレン化フェノール系組成物の製造方法。
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JP2017075305A (ja) * 2015-10-06 2017-04-20 コリア クンホ ペトロケミカル カンパニー リミテッドKorea Kumho Petrochemical Co.,Ltd. スチレン化フェノールを含む重防食エポキシ塗料組成物及びその製造方法

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