JP2016199715A - 偽造防止用インキ及びその印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、印刷物の赤外線波長域における赤外線吸収プロファイルを任意に設定することができ、赤外線検知器の種類によって印刷物の読取精度が左右されることのない偽造防止用インキ及びその印刷物、並びに任意に設定された赤外線吸収プロファイルに基づいて真贋判定を行うことができる真贋判定方法及び真贋判定装置を提供することである。【解決手段】偽造防止用インキが、互いに赤外線吸収性の異なる2種類の赤外線吸収性顔料と、ビヒクルとを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、偽造防止用インキ及びその印刷物、並びに真贋判定方法及び真贋判定装置に関する。
紙幣、有価証券、カード等には、偽造防止を目的として赤外線吸収性を有するインキを使用した印刷が部分的に施されている。赤外線吸収性を有するインキは、一般に用いられる印刷インキに赤外線吸収剤を加えることにより形成される。
赤外線吸収剤としては、赤外線吸収性有機材料、例えば、シアニン系化合物、ナフトキノン系化合物等;赤外線吸収性無機材料、例えば、カーボンブラック、アンチモンドープ酸化錫(ATO)の顔料等が知られている。近年、他のプロセスインキの色調に与える影響の少ない偽造防止用インキとして、淡い白色を呈するATO含有赤外線吸収性インキが提案された(特許文献1)。
ところで、可視光透過性及び赤外線吸収性を有する日射遮蔽体形成用材料として、タングステン(W)−セシウム(Cs)複合酸化物微粒子の分散液が知られている(特許文献2)。
特開2010−006999号公報 特開2005−187323号公報
赤外線吸収剤の赤外線吸収効果は、852nm〜2500nmの波長域において一定とは限らない。例えば、ATO、タングステン−セシウム複合酸化物等の赤外線吸収性無機材料は、852nm〜2500nmの波長域において、赤外線吸収効果が著しく変わる。一方で、様々な赤外線検知器が、同じ波長の赤外線を検知するとは限らない。
その結果、特許文献1に記載のATO含有赤外線吸収性インキにより印刷された印刷部は、赤外線検知器の種類に応じて読み取り精度に誤差が生じることがあった。さらに、赤外線波長域の観測結果を利用する真贋判定方法の自由度も制限された。
なお、特許文献2に記載の分散液は、トルエン等の非極性有機溶剤にタングステン−セシウム複合酸化物微粒子を分散させることにより形成されるため、印刷機械のゴム製ブランケットが非極性有機溶剤により溶解する場合があり、一般的な印刷インキ、特にオフセット印刷インキとして使用されることができなかった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、印刷物の赤外線波長域における赤外線吸収プロファイルを任意に設定することができ、赤外線検知器の種類によって印刷物の読取精度が左右されることのない偽造防止用インキ及びその印刷物、並びに任意に設定された赤外線吸収プロファイルに基づいて真贋判定を行うことができる真贋判定方法及び真贋判定装置を提供することである。
本発明者らは、互いに赤外線吸収性の異なる2種類の赤外線吸収性顔料によって、印刷物の赤外線波長域における赤外線吸収プロファイルを任意に設定できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 互いに赤外線吸収性の異なる2種類の赤外線吸収性顔料と、ビヒクルとを含む偽造防止用インキ。
[2] 前記偽造防止用インキを基材に印刷し、乾燥し、印刷部を形成して、前記印刷部の反射率を測定したときに、852nm〜2500nmの波長域における最大反射率と最小反射率の差の絶対値が、22.90%以下である、[1]に記載の偽造防止用インキ。
[3] 前記2種類の赤外線吸収性顔料が、
一般式Cs{式中、x、y及びzは、それぞれ正数であり、0<x/y≦1であり、かつ2.2≦z/y≦3.0である}で表されるセシウム酸化タングステン微粒子;及び
酸化錫と酸化アンチモンを含有するアンチモンドープ酸化錫微粒子;
である、[1]又は[2]に記載の偽造防止用インキ。
[4] 前記アンチモンドープ酸化錫微粒子1質量部に対して、前記セシウム酸化タングステン微粒子が1/3質量部以上の割合で含有されている、[3]に記載の偽造防止用インキ。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の偽造防止用インキを使用して、フレキソ印刷、活版印刷、オフセット印刷、凹版印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷で印刷物を得る方法。
[6] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の偽造防止用インキにより印刷された印刷部を備える印刷物。
[7] 少なくとも2つの赤外線波長について印刷部を観測すること;及び
前記少なくとも2つの赤外線波長における観測結果に基づいて真贋判定を行うこと;
を含む、真贋判定方法。
[8] 前記少なくとも2つの赤外線波長における観測結果の差に基づいて真贋判定を行う、[7]に記載の真贋判定方法。
[9] 選択された赤外線波長域における最大反射率と最小反射率の差の絶対値に基づいて真贋判定を行う、[8]に記載の真贋判定方法。
[10] 前記絶対値が特定の範囲内の値であるときに、前記印刷部が真正であることを判断する、[9]に記載の真贋判定方法。
[11] 少なくとも2つの赤外線波長について印刷部を観測する観測部を含む真贋判定装置。
[12] 前記少なくとも2つの赤外線波長における観測結果に基づいて真贋判定を行う真贋判定部をさらに含む、[11]に記載の真贋判定装置。
互いに赤外線吸収性の異なる2種類の赤外線吸収性顔料によって印刷物の赤外線吸収プロファイルを任意に設定できるので、本発明によれば、赤外線検知器の種類によって印刷物の読み取り精度が左右されることのない偽造防止用インキを得ることができる。さらに、本発明によれば、任意に設定された赤外線吸収プロファイルに基づいて、印刷物の真贋判定を行うことができる。
図1は、352nm〜2500nmの波長域において、インキ中の2種類の赤外線吸収性顔料の質量比が印刷物の反射率に与える影響を示すグラフである。
<印刷インキ>
本発明の印刷インキ(以下、単に「インキ」という)は、赤外線吸収性を利用して印刷物の偽造を防止するために、使用されることができる。本発明のインキは、互いに異なる赤外線吸収性を有する2種類の赤外線吸収性顔料と、ビヒクルとを含む。本発明のインキは、補助剤、着色剤等もさらに含んでよい。
本発明のインキは、ビヒクル成分の種類に応じて、油性インキ、紫外線硬化型インキ(以下、「UVインキ」と略記する)、又は油性・紫外線硬化型併用インキ(以下、「油性・UV併用インキ」と略記する)として使用されることができる。
油性インキは、ビヒクル成分の酸化重合により硬化可能なインキである。一般に、油性インキは、ビヒクル成分として、溶剤、樹脂等を含む。
UVインキは、ビヒクル成分の光重合により硬化可能なインキである。一般に、UVインキは、ビヒクル成分として、樹脂、光重合性モノマー又はオリゴマー、光重合開始剤等を含むが、溶剤等の揮発成分を含まない。
油性・UV併用インキは、油性インキとUVインキの両方の硬化特性を備えたインキである。
本発明のインキは、ビヒクルとして使用可能な溶剤の種類に応じて、水を主溶剤とする水性インキ、又は有機溶剤を主溶剤とする溶剤インキとして使用されることもできる。
水性インキは、水を主溶剤とするインキであるが、有機溶剤を含んでもよい。溶剤インキは、有機溶剤を主溶剤とするインキであるが、実質的に水を含まなくてよい。なお、「実質的に水を含まない」とは、インキ中の水の含有率が0質量%であること、又はインキが1質量%以下の水を不可避的に含むことをいう。
本発明のインキは、一般的な印刷インキとして、例えば、オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、凹版印刷インキ、活版印刷インキ、シルクスクリーン印刷インキ、フレキソ印刷インキ、インクジェット印刷インク等として使用されることができる。なお、凹版印刷インキは、直刻版面又は食刻版面を用いる押圧印刷に使用されることができる。
本発明のインキに含まれる2種類の赤外線吸収性顔料、ビヒクル、補助剤及び着色剤について以下に説明する。
[互いに赤外線吸収性の異なる2種類の赤外線吸収性顔料]
2種類の赤外線吸収性顔料は、互いに異なる赤外線吸収性を有し、特に852nm〜2500nmの波長域において、互いに異なる赤外線吸収プロファイルを有してよい。
1種類の赤外線吸収性顔料を含む印刷物は、同一条件下で測定されるとき、852nm〜2500nmの波長域において1種類の赤外線吸収プロファイルしか有さず、その赤外線吸収プロファイルはフラットではないので、赤外線検知器の種類によって印刷物の読み取り精度が左右されることがある。
一方で、互いに異なる赤外線吸収性を有する2種類の赤外線吸収性顔料を組み合わせることにより、赤外線検知器の検出波長に適した赤外線吸収波長を印刷物に提供することができる。
2種類の赤外線吸収性顔料は、印刷物の赤外線吸収率が852nm〜2500nmの波長域において一定に近付くように、本発明のインキに配合されることが好ましい。特定の赤外線波長における一方の赤外線吸収性顔料と他方の赤外線吸収性顔料の間の吸収強度の差をなくして、印刷物の赤外線吸収率を一定に近付けるために、インキ中の2種類の赤外線吸収性顔料の質量比を調整することも好ましい。
赤外線検知器による印刷物の読み取り精度の誤差を抑制するためには、2種類の赤外線吸収性顔料とビヒクルとを含む偽造防止用インキを基材に印刷し、乾燥し、印刷部を形成して、前記印刷部の反射率を測定したときに、852nm〜2500nmの波長域における最大反射率と最小反射率の差の絶対値が、22.94%未満、22.90%以下、22.00%以下、20.00%以下、18.00%以下、16.00%以下、14.00%以下、12.00%以下、又は10.00%以下であることが好ましい。この絶対値は、0%、又は5%以上でもよい。印刷部の反射率は、実施例で記載されている方法により測定される。
2種類の赤外線吸収性顔料は、互いに赤外線吸収性が異なる限り、赤外線吸収性有機材料及び赤外線吸収性無機材料から成る群から選択されることができる。
赤外線吸収性有機材料としては、例えば、ポリメチン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、インモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、ジチオール系金属錯体類等が挙げられる。
赤外線吸収性無機材料としては、例えば、カーボンブラック、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ランタン、酸化タングステン、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、複合タングステン酸化物等が挙げられる。
偽造防止用インキ及びその印刷物の耐候性を確保するために、赤外線吸収性無機材料を使用することが好ましい。赤外線吸収性無機材料は、粒子又は微粒子の形態でよい。他のプロセスインキの色調に与える影響の少ない偽造防止用インキを提供するために、濃い暗色を呈するカーボンブラック以外の赤外線吸収性無機材料を使用することが好ましい。
図1は、352nm〜2500nmの波長域において、インキ中の2種類の赤外線吸収性顔料の質量比が印刷物の反射率に与える影響を示すグラフである。図1に示されるように、セシウム酸化タングステンの赤外線吸収率が、852nm〜1900nmの波長域で高く、かつ1900nmを超える波長域で低いのに対して、ATOの赤外線吸収率が、852nm〜1900nmの波長域で低く、かつ1900nmを超える波長域で高い。
したがって、2種類の赤外線吸収性顔料としてセシウム酸化タングステン及びATOを用いると、852nm〜2500nmの波長域における印刷物の赤外線吸収プロファイルをフラットに近付け易いので好ましい。
特定の赤外線波長におけるセシウム酸化タングステンとATOの吸収強度の差を減らして、852nm〜2500nmの波長域においてフラットな赤外線吸収プロファイルを得るために、インキ中のセシウム酸化タングステン微粒子の含有量は、ATO微粒子1質量部に対して、1/3質量部以上、1/2質量部以上、又は3/4質量部以上でよく、この含有量は9/2質量部以下、4質量部以下、3質量部以下、2質量部以下、又は3/2質量部以下でよい。セシウム酸化タングステン及びATOについて以下に説明する。
〔セシウム酸化タングステン〕
偽造防止、赤外線遮蔽又は日射遮蔽のために使用されている既知のセシウム酸化タングステンを本発明のインキに含有させてよい。ATOとの併用という観点では、一般式Cs{式中、x、y及びzは、それぞれ正数であり、0<x/y≦1であり、かつ2.2≦z/y≦3.0である}で表されるセシウム酸化タングステンが好ましい。
一般式Csにおいて、x/yの値は、0.2以上又は0.30以上であることが好ましく、この値は、0.5以下又は0.35以下であることが好ましい。x/yの値は、理想的には0.33である。一般式Csにおいて、z/yの値は、2.45≦z/y≦3.0の関係を満たすことがより好ましい。
可視光透過性及び近赤外線波長域(750nm〜1400nm)の赤外線吸収性を向上させるために、セシウム酸化タングステンは、六方晶の結晶構造を有するか、又は六方晶の結晶構造から成ることが好ましい。分散性、可視光透過性及び近赤外線吸収性のバランスを取るために、セシウム酸化タングステンが、シランカップリング剤で処理されていることも好ましい。
より詳細には、一般式Csで表されるセシウム酸化タングステン微粒子は、特開2005−187323号公報に記載の製造方法により得られることができる。
〔アンチモンドープ酸化錫(ATO)〕
ATOは、酸化錫と酸化アンチモンを含有する。偽造防止、赤外線遮蔽又は帯電防止のために使用されている既知のATOを本発明のインキに含有させてよい。ATOとしては、例えば、下記(1)〜(3)の材料を使用してよい。
(1)市販ATO粉体、例えばELCOM TL−30(日揮触媒化成株式会社)
(2)市販ATO粉体を通気下で焼成することにより得られるATO微粒子
(3)下記(a)及び/又は(b)を満たすATO:
(a)X線回折測定により得られた2θ=27°付近の半値幅(Δ2θ)が、0.35以下である;及び/又は
(b)酸化アンチモンの含有量が、ATOの重量を基準として、0.5〜10.0重量%であり、かつ、X線回折測定により得られた2θ=27°付近のピークのピーク値を半値幅(Δ2θ)で除算した値である結晶化度が、18092以上である。
上記(2)又は(3)の材料では、酸化アンチモンの使用量を低減させながらも、赤外線吸収効果を十分に発揮させるために、X線回折測定により得られた2θ=27°付近の半値幅(Δ2θ)は、0.30以下、0.25以下、0.21以下、0.20以下、又は0.19以下であることが好ましい。また、2θ=27°付近の結晶化度は、58427以上、特に78020以上であることが好ましい。より詳細には、上記(2)又は(3)の材料は、国際公開第2013/168812号に記載の製造方法により得られる。
[ビヒクル]
ビヒクルは、赤外線吸収性顔料及び/又は着色剤を被印刷物に転移させ、かつ印刷後には赤外線吸収性顔料及び/又は着色剤を被印刷物に固着させる媒体である。本発明に用いられるビヒクルは、印刷に使用されている既知のビヒクル成分、例えば、樹脂、溶剤、光重合成分等を含んでよい。
〔樹脂〕
本発明の実施形態では、印刷に使用されている既知の樹脂を使用してよい。例えば、油性インキに含まれる樹脂、又はUVインキに含まれる樹脂を使用してよい。
樹脂は、天然樹脂又は合成樹脂でよく、かつホモポリマー又はコポリマーでよい。油性インキの粘性を確保するためには、樹脂が固形であることが好ましい。樹脂をUVインキ用バインダーとして使用するときには、樹脂の重量平均分子量は、約1000〜約3,000,000であることが好ましい。
天然樹脂としては、例えば、松脂、琥珀、シェラック、ギルソナイト等が挙げられる。
合成樹脂としては、例えば、ロジン、フェノール樹脂、変性アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、石油樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等のマレイン酸樹脂、環化ゴム、アクリル樹脂、1液型ウレタン樹脂、2液型ウレタン樹脂、及びその他の合成樹脂が挙げられる。
本発明のインキが水性インキであるときには、水性インキは、例えば、水溶性樹脂、コロイダルディスパージョン樹脂、エマルション樹脂等を含んでよい。
上記で列挙した樹脂は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
〔溶剤〕
溶剤としては、有機溶剤、乾性油、半乾性油、鉱物油、水等が挙げられる。
(有機溶剤)
樹脂に対する溶解力、乾燥速度、粘度、流動性、被印刷体への濡れ性、臭気の有無、環境又は人体への影響等の様々な性質を考慮して、本発明のインキには、印刷に使用されている既知の有機溶剤を含有させてよい。また、有機溶剤の様々な性質を調整するために、1種類の有機溶剤を使用するだけでなく、複数の種類の有機溶剤を混合して使用することも好ましい。
(乾性油・半乾性油)
乾性油及び半乾性油は、空気酸化作用により重合して硬化する油系材料である。乾性油とは、130以上のヨウ素価を有する植物油又は植物油由来成分をいう。また、半乾性油とは、100〜130のヨウ素価を有する植物油又は植物油由来成分をいう。乾性油又は半乾性油は、それぞれ単独で、又は2種以上を併用して使用されることができる。
(鉱物油)
鉱物油としては、スピンドル油、マシン油、白灯油、非芳香族系石油溶剤等が挙げられる。特に、鉱物油は、水と相溶せず、かつ180℃以上の沸点を有する非芳香族系石油溶剤であることが好ましい。非芳香族系石油溶剤としては、例えば、n−ドデカン鉱油等が挙げられる。
(水)
水は、水性インキの必須成分である。水は、赤外線吸収性顔料、樹脂、有機溶剤、乾性油、半乾性油、鉱物油、光重合成分、着色剤、補助剤等と共に水性分散体を形成することができる。水性インキのビヒクルとして使用される水としては、例えば、純水、脱イオン水、蒸留水、飲料水、水道水等が挙げられる。
本発明のインキ中の全溶剤量に対する水の含有量は、水性インキに必要な性能のバランスを考慮して、50質量%以上、又は70質量%以上でよく、また、この含有量は、90質量%以下、又は85質量%以下でよい。
〔光重合成分〕
本発明に使用される光重合成分は、モノマー、オリゴマー、光重合開始剤等を含む。
(モノマー・オリゴマー)
モノマーは、従来から光重合に使用されていたエチレン性不飽和結合を有する化合物でよい。また、オリゴマーは、エチレン性不飽和結合を有する化合物を、オリゴマー化することにより得られる。
オリゴマーは、UVインキの基本物性を支配する樹脂である。一方で、モノマーは、主に希釈剤として作用し、インキの粘度、硬化性、接着性等の性質を調整するために使用されることができる。
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸系化合物;マレイン酸系化合物;ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリオール系、植物油系化合物等で変性したエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、紫外線照射によって活性酸素等のラジカルを発生する化合物である。本発明のインキには、印刷に使用されている既知の光重合開始剤を含有させてよい。
[補助剤]
本発明のインキには、印刷に使用されている既知の補助剤、例えば、分散剤、架橋剤、乾燥促進剤、及びその他の添加剤を含有させてよい。
〔分散剤〕
分散剤は、インキのレベリング性、安定性及び分散性を向上させるための補助剤である。分散剤は、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性でよい。分散剤としては、例えば、低分子分散剤、高分子分散剤、顔料誘導体、カップリング剤等が挙げられる。
低分子分散剤は、赤外線吸収性顔料又は着色剤への配向性又は吸着性が高い部分、及びビヒクルとの親和性が高い部分を有する低分子量物質であり、界面活性剤又は湿潤剤とも呼ばれる。
高分子分散剤は、赤外線吸収性顔料又は着色剤の表面に吸着するアンカー基と、ビヒクル中で立体障害効果を発揮するバリアー基とを有する高分子量物質である。高分子分散剤は、低分子分散剤と比べて、バリアー基が、かさ高くなるので、赤外線吸収性顔料又は着色剤の分散安定性が向上する。
顔料誘導体は、顔料骨格にカルボキシル基、スルホン基、三級アミノ基等の極性基を導入することにより得られる。顔料誘導体の顔料骨格部分は、対応する顔料と吸着し易く、一方で、導入された極性基は、ビヒクル又は他の分散剤との親和性に優れる。
カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。
〔架橋剤〕
架橋剤は、上記で説明された樹脂を架橋又はゲル化させるために、ビヒクルに加えられることができる。
〔乾燥促進剤〕
乾燥促進剤としては、例えば、乾性油又は半乾性油に含まれる脂肪酸の金属塩、有機カルボン酸の金属塩、無機酸の金属塩等が挙げられる。
〔その他の添加剤〕
本発明のインキには、所望により、重合禁止剤、例えば、フェノチアジン、t−ブチルヒドロキシトルエン等;ワックス;体質顔料;乾燥抑制剤;酸化防止剤;整面助剤;裏移り防止剤;消泡剤;又は界面活性剤を含有させてよい。
[着色剤]
着色剤は、インキに色を付ける成分である。本発明のインキには、赤外線吸収性顔料に加えて、印刷に使用されている既知の着色剤を含有させてよい。着色剤としては、例えば、無機顔料、有機顔料、染料、トナー用有機色素等が挙げられる。
さらに、上記で説明した赤外線吸収性顔料及び着色剤以外に、機能性顔料、機能性染料等の他の機能性材料を、本発明のインキに配合してもよい。機能性材料は、無機でも有機でもよく、またインキに機能性を付与する添加剤でもよい。
<インキの組成及び粘度>
偽造防止用インキ中の2種類の赤外線吸収性顔料の合計含有量は、1質量%以上、2質量%以上、又は3質量%以上であることが好ましく、この含有量は、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、9質量%以下又は8質量%以下であることが好ましい。
偽造防止用インキ中の分散剤の含有量は、0.25質量%以上、0.5質量%以上又は1.0質量%以上であることが好ましく、この含有量は、15質量%以下、10質量%以下、又は8質量%以下であることが好ましい。
偽造防止用インキの粘度は、0.002Pa・s以上、0.02Pa・s以上、0.2Pa・s以上、2Pa・s以上、又は5Pa・s以上であることが好ましく、この粘度は、200Pa・s以下、150Pa・s以下、又は100Pa・s以下であることが好ましい。
ビヒクルとしての溶剤、樹脂及び光重合成分は、偽造防止用インキの粘度が0.002Pa・s〜200Pa・sになる量で、それぞれ偽造防止用インキに含まれてよい。
偽造防止用インキが油性インキである場合には、油性インキの好ましい組成としては、インキ粘度を25℃で約5〜100Pa・sに調整したときに、2種類の赤外線吸収性顔料の合計含有量が1〜45質量%であり、ビヒクルの含有量が20〜85質量%であり、着色剤の含有量が0〜20質量%であり、かつ補助剤の含有量が0.25〜25質量%である。
偽造防止用インキがUVインキである場合には、UVインキの好ましい組成としては、インキ粘度を25℃で約1〜200Pa・sに調整したときに、2種類の赤外線吸収性顔料の合計含有量が1〜45質量%であり、ビヒクルの含有量が10〜90質量%であり、着色剤の含有量が0〜25質量%であり、かつ補助剤の含有量が0〜25質量%である。
偽造防止用インキが油性・UV併用インキである場合には、油性・UV併用インキに含まれる各成分の配合比率は、インキ粘度を25℃で数百Pa・sに調整したときに、溶剤及び樹脂を含む油性インキ用ビヒクルが25〜50質量%であり、樹脂及び光重合成分を含むUVインキ用ビヒクルが25〜50質量%であり、2種類の赤外線吸収性顔料の合計含有量が1〜45質量%であり、着色剤が0〜20質量%であり、かつ補助剤が0〜20質量%である。
<2種類の赤外線吸収性顔料の混合方法>
所望により、本発明のインキを調製する前に、手動で、又はプロペラ、ミキサー等の混合撹拌器で、互いに赤外線吸収性の異なる2種類の赤外線吸収性顔料を混合してもよい。
<赤外線吸収性顔料の分散>
所望により、本発明のインキを調製する前に、赤外線吸収性顔料を溶剤に分散して、赤外線吸収性顔料分散体を形成してもよい。
セシウム酸化タングステン微粒子を溶剤に分散する場合には、印刷時にゴム製ブランケットを溶解するおそれのある有機溶剤の含有量を抑制するために、以下の工程を以下の順序で含む方法によって、セシウム酸化タングステン微粒子分散液を得ることが好ましい:
(1)セシウム酸化タングステン微粒子を、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素類及びグリコールエーテル類から成る群から選択される沸点が180℃以下の有機溶剤へ混合し、湿式媒体ミルで分散して、第一の分散液を得る工程;
(2)第一の分散液へ、植物油、例えば、半乾性油、不乾性油等、又は植物油由来の化合物、例えば、脂肪酸モノエステル等を添加し、混合して第二の分散液を得る工程;及び
(3)第二の分散液から、工程(1)で使用した有機溶剤の含有量が5.0質量%以下になるまで、工程(1)で使用した有機溶剤を除去する工程。
工程(2)において第一及び第二の分散液の粘度の上昇を抑制するために、第一の分散液及び/又は第二の分散液へ、植物油又は植物油由来の化合物に可溶な脂肪酸を構造中に有する分散剤を添加することが好ましい。
工程(3)は、工程(1)で使用した有機溶剤と工程(2)で使用した植物油又は植物油由来の化合物との沸点の差を用いた加熱蒸留法により行なわれることができる。さらに、減圧操作も加えた減圧加熱蒸留は、安全性、エネルギーコスト、及び品質の安定化の観点から好ましい。
<インキの製造方法>
本発明のインキを製造する方法の一態様では、互いに赤外線吸収性の異なる2種類の赤外線吸収性顔料、ビヒクル、補助剤、着色剤等の成分を任意の順序で混合及び分散することにより、インキを得ることができる。各成分の混合及び分散は、ミキサー、例えば一軸ミキサー及び二軸ミキサー;練肉機(ink mill)、例えば3本ローラーミル、ビーズミル、ボールミル、サンドグラインダー及びアトライター等により行なわれることができる。
この態様では、本発明の油性インキ、UVインキ、油性・UV併用インキ、溶剤インキ又は水性インキを形成してよい。油性・UV併用インキを形成するとき、互いに赤外線吸収性の異なる2種類の赤外線吸収性顔料、溶剤及び樹脂を混合して混合物を得て、この混合物に光重合性モノマー又はオリゴマーを加え、所望により、追加のビヒクル、補助剤又は着色剤も加えて、ビーズミル又は3本ロールミル等で練肉及び分散することによりインキ用ミルベースを得る。さらに、インキ用ミルベースに、光重合開始剤を加え、所望により、その他の材料も加えて、本発明の油性・UV併用インキを得ることができる。
インキ中の赤外線吸収性顔料のメジアン径は、印刷インキの種類に応じて調整されることができるが、可視光波長域でのインキの透明性という観点から、200nm以下又は100nm以下であることが好ましい。赤外線吸収性顔料のメジアン径は、レーザー回折散乱法により測定されたときに、オフセット印刷インキでは3μm以下、グラビア印刷インキ及びフレキソ印刷インキでは30μm以下、シルクスクリーン印刷インキ、活版印刷インキ及び凹版印刷インキでは100μm以下、インクジェット印刷インクでは約100nmであることがより好ましい。
<印刷物及び印刷方法>
本発明のインキを基材に印刷することによって、印刷部を備える印刷物を提供することができる。したがって、印刷物は、基材、及び本発明のインキにより印刷された印刷部を備える。
印刷物は、単数又は複数の印刷部を備えてよい。基材上に複数の印刷部が設けられている場合には、各印刷部を形成するインキの組成、例えば、互いに赤外線吸収性の異なる2種類の赤外線吸収性顔料の質量比、インキ中の全ての赤外線吸収性顔料の総含有量等は、同じであっても異なっていてもよい。複数の印刷部は、互いに隣接していても離間していてもよい。
基材としては、紙基材、例えば、上質紙、コート紙、アート紙、再生紙等;フィルム基材、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、塩化ビニルフィルム等;又は布基材、例えば、織布、不織布等を使用してよい。印刷物は、紙幣、パスポート、有価証券、チケット、カード等でよい。
本発明のインキを使用して、一般的な印刷方式、例えば、フレキソ印刷、活版印刷、オフセット印刷、凹版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷又はインクジェット印刷等で印刷物を得ることができる。
これらの印刷方式の中でも、印刷物の偽造を防止するために、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、凹版印刷又はオフセット印刷が好ましい。
本発明のインキは赤外線吸収性を有するので、本発明の印刷インキを任意のパターンで印刷し、得られた印刷物を赤外光検知器等で読み取ることにより、各種の情報管理を行うことができる。
<真贋判定方法及び真贋判定装置>
本発明によれば、任意に設定可能な印刷部の赤外線吸収プロファイルに伴って、以下の工程を含む真贋判定方法が提供される:
少なくとも2つの赤外線波長について印刷部を観測すること;及び
前記少なくとも2つの赤外線波長における観測結果に基づいて真贋判定を行うこと。
例えば、真正な印刷部について、少なくとも2つの赤外線波長における観測結果の関係を予め決める。その後、赤外線カメラ等の赤外光検知器を用いて、少なくとも2つの赤外線波長について、基材上に形成された観測対象の印刷部を観測し、観測結果の関係について、真正な印刷部と観測対象の印刷部を比較することにより、観測対象の印刷部の真贋を判定することができる。
印刷部の判定精度を向上させるために、少なくとも2つの赤外線波長について印刷部の観測箇所が同一であることが好ましい。なお、少なくとも2つの赤外線波長に関する観測箇所とは異なる箇所において、さらに印刷部の観測を行なうことにより、より複雑な真贋判定を行なってもよい
印刷部の観測は、近赤外線波長域(750nm〜1400nm)、短波長赤外線波長域(1400nm〜3000nm)又はそれらの両方において赤外線を検出できる赤外光検知器で行なわれることができる。印刷部の観測は、単数又は複数の赤外光検知器で行われることができる。
印刷部の真贋判定は、好ましくは、少なくとも2つの赤外線波長における観測結果の差に基づいて、より好ましくは、選択された赤外線波長域における最大反射率と最小反射率の差の絶対値に基づいて行なわれる。
赤外光検知器の種類によらず真贋判定の精度を向上させるために、選択された赤外線波長域における最大反射率と最小反射率の差の絶対値が、特定の範囲内の値であるときに、印刷部が真正であることを判断することが好ましい。真正な印刷部について、選択された赤外線波長域における最大反射率と最小反射率の差の絶対値を5%以上又は8%以上に設定することが好ましく、この絶対値を22.90%以下に設定することも好ましい。
任意に設定可能な印刷部の赤外線吸収プロファイルに伴って、少なくとも2つの赤外線波長について印刷部を観測する観測部を含む真贋判定装置も提供される。観測部は、上記で説明した赤外光検知器でよい。
真贋判定装置は、少なくとも2つの赤外線波長における印刷部の観測結果に基づいて真贋判定を行う真贋判定部をさらに含むことが好ましい。真贋判定部は、真正な印刷部について予め設定した少なくとも2つの赤外線波長域における観測結果の関係に基づいて、観測対象の真贋を自動的に決定するプログラムを実行するための演算処理部を備えてよい。真贋判定部は、真贋判定の結果を音、画像、光、熱等によって出力する出力部と、真贋判定の結果に応じて出力部に出力させる信号を制御する制御部を備えてもよい。出力部は、真贋判定の結果を表示する表示装置、例えば、液晶画面等でよい。
<セシウム酸化タングステン微粒子分散液の調製>
セシウム酸化タングステン微粒子分散液を以下の手順で調製した:
(1)式Cs0.33WOで表される六方晶セシウム酸化タングステン微粒子(住友金属鉱山株式会社)50質量部、及び構造中に脂肪酸を有する分散剤(不揮発分100%)20質量部をポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中で混合し、湿式媒体ミルで分散して、第一の分散液を得た。
(2)第一の分散液へヒマワリ油25質量部を添加し、混合して第二の分散液を得た。
(3)撹拌型真空乾燥機を用いて第二の分散液の減圧及び加熱蒸留を80℃で1時間に亘って行い、PGMEAの含有量が5.0質量%以下になるまで、第二の分散液からPGMEAを除去して、セシウム酸化タングステン微粒子(以下、「CWO微粒子」という)の含有量が50質量%であるCWO微粒子分散液を得た。
<アンチモンドープ酸化錫微粒子の調製>
国際公開第2013/168812号に記載の実施例2と同じ方法に従って、アンチモンドープ酸化錫原料を通気下で炉において焼成することによって、酸化アンチモン含有率が2.8重量%であり、積算回数1回のX線回折測定により得られた2θ=27°付近の半値幅(Δ2θ)が0.18であり、かつ2θ=27°付近の結晶化度(CPS/Δ2θ)が84883であるアンチモンドープ酸化錫微粒子(以下、「ATO微粒子」という)を得た。
<粒径測定>
以下の粒径測定条件下で、CWO微粒子分散液の粒度分布を測定した。以下の粒径測定条件下で、測定器内にブタノールを循環させながらATO微粒子の粉末を測定器に投入して、ATO微粒子の粒度分布を測定した。CWO微粒子のメジアン径(D50)は0.056μmであり、ATO微粒子のメジアン径(D50)は0.23μmであった。
[粒径測定条件]
測定器:LMS−2000e(株式会社セイシン企業)
自動湿式分散ユニット:2000SR
測定方法:レーザー回折法
<油性オフセット印刷インキの調製>
[比較例1]
三本ロールミルを用いて、上記で得られたATO微粒子をベストワンGIGAメジウム(株式会社T&K TOKA)に分散させて、ATO微粒子の含有量が15質量%である油性オフセット印刷インキを得た。
[比較例2]
三本ロールミルを用いて、上記で得られたCWO微粒子分散液(CWO微粒子:50質量%)をベストワンGIGAメジウムに分散させて、CWO微粒子分散液の含有量が15質量%である油性オフセット印刷インキを得た。
[実施例1〜9]
三本ロールミルを用いて、上記で得られたCWO微粒子分散液(CWO微粒子:50質量%)と上記で得られたATO微粒子をベストワンGIGAメジウムに分散させ、下記表1に示されるようにインキ中のATO微粒子とCWO微粒子の質量比を変更して、CWO微粒子分散液とATO微粒子との合計含有量が15質量%である油性オフセット印刷インキを得た。
<印刷物の赤外線吸収性>
以下の印刷条件下で、実施例1〜9並びに比較例1及び2で得られた油性オフセット印刷インキをそれぞれ印刷して、印刷物を得た。
[印刷条件]
印刷機:オフセット印刷機 RIテスター(株式会社IHI機械システム)
インキ盛量:0.125ml
インキ膜厚:約1μm
印刷基材 :OCR用紙(王子製紙株式会社)
以下の反射率測定条件下で、得られた印刷物の反射率を測定して、852nm〜2500nmの波長域における最大反射率と最小反射率の差の絶対値を算出した。なお、印刷基材であるOCR用紙(王子製紙株式会社)の反射率を約100%の基準値として設定した。
[反射率測定条件]
測定装置:紫外可視分光光度計 U−4000(株式会社日立製作所)
測定項目:反射率(%)
測定波長:352nm〜2500nm
各印刷物について、反射率測定の結果を図1及び下記表1に示す。
Figure 2016199715
実施例1〜9について、CWO微粒子分散液中のCWO微粒子の含有量が50質量%であり、かつインキ中のCWO微粒子分散液とATO微粒子との合計含有量が15質量%であるために、インキ中のCWO微粒子分散液の量が増えるにつれて、すなわち実施例番号が増えるにつれて、インキ中の総微粒子量が少なくなる。しかしながら、インキ中のATO微粒子とCWO微粒子の質量比が同じである限り、インキ中の総微粒子量が変わったとしても、852nm〜2500nmの波長域と反射率(%)との関係を示すグラフにおいて、総微粒子量に応じて反射プロファイルの位置が上下するにすぎず、最大反射率と最小反射率の差の絶対値は変わらないことが考えられる。
図1に示される852nm〜2500nmの波長域において反射率を対比すると、2種類の赤外線吸収性顔料を組み合わせることによって、1種類の赤外線吸収性顔料とは異なる赤外線吸収プロファイルが得られることが分かる。したがって、実施例1〜9のインキで印刷された印刷物の赤外線吸収プロファイルに基づいて、新たに真贋判定を行うことができる。
さらに、表1及び図1から、ATO微粒子とCWO微粒子の質量比が4.5:5.25、すなわち6:7に近付くにつれて、852nm〜2500nmの波長域における赤外線吸収プロファイルがフラットに近付いていくので、赤外線検知器の種類によらず印刷物の読み取り精度を確保し易くなることが分かる。

Claims (12)

  1. 互いに赤外線吸収性の異なる2種類の赤外線吸収性顔料と、ビヒクルとを含む偽造防止用インキ。
  2. 前記偽造防止用インキを基材に印刷し、乾燥し、印刷部を形成して、前記印刷部の反射率を測定したときに、852nm〜2500nmの波長域における最大反射率と最小反射率の差の絶対値が、22.90%以下である、請求項1に記載の偽造防止用インキ。
  3. 前記2種類の赤外線吸収性顔料が、
    一般式Cs{式中、x、y及びzは、それぞれ正数であり、0<x/y≦1であり、かつ2.2≦z/y≦3.0である}で表されるセシウム酸化タングステン微粒子;及び
    酸化錫と酸化アンチモンを含有するアンチモンドープ酸化錫微粒子;
    である、請求項1又は2に記載の偽造防止用インキ。
  4. 前記アンチモンドープ酸化錫微粒子1質量部に対して、前記セシウム酸化タングステン微粒子が1/3質量部以上の割合で含有されている、請求項3に記載の偽造防止用インキ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の偽造防止用インキを使用して、フレキソ印刷、活版印刷、オフセット印刷、凹版印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷で印刷物を得る方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の偽造防止用インキにより印刷された印刷部を備える印刷物。
  7. 少なくとも2つの赤外線波長について印刷部を観測すること;及び
    前記少なくとも2つの赤外線波長における観測結果に基づいて真贋判定を行うこと;
    を含む、真贋判定方法。
  8. 前記少なくとも2つの赤外線波長における観測結果の差に基づいて真贋判定を行う、請求項7に記載の真贋判定方法。
  9. 選択された赤外線波長域における最大反射率と最小反射率の差の絶対値に基づいて真贋判定を行う、請求項8に記載の真贋判定方法。
  10. 前記絶対値が特定の範囲内の値であるときに、前記印刷部が真正であることを判断する、請求項9に記載の真贋判定方法。
  11. 少なくとも2つの赤外線波長について印刷部を観測する観測部を含む真贋判定装置。
  12. 前記少なくとも2つの赤外線波長における観測結果に基づいて真贋判定を行う真贋判定部をさらに含む、請求項11に記載の真贋判定装置。
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