JP2016195132A - リチウムイオン電池用包装材の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用包装材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エンボス成型時に異方性白化の少なく、深絞り成型が可能なリチウムイオン電池用包装材を提供する。【解決手段】基材層11の一方の面に、少なくとも接着剤層12、アルミニウム箔層13、化成処理層14、接着樹脂層15およびシーラント層16が順次積層した包装材において、前記接着樹脂層15が熱可塑性樹脂を含み、前記接着樹脂層15およびシーラント層16の複屈折率が0.002以下であり、かつ、結晶化度が60%以下であることを特徴とするリチウムイオン電池用包装材。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池用包装材に関する。
近年、パソコン、携帯電話などの携帯端末装置、ビデオカメラ、衛星、車両などに用いられる電池として、超薄型化、小型化の可能なリチウムイオン電池が盛んに開発されている。このようなリチウムイオン電池に用いる包装材として、従来の電池用包材として用いられている金属製の缶とは異なり、軽量で、放熱性が高く、電池の形状を自由に選択できるという点から、多層フィルムを袋状に成型加工したリチウムイオン電池用包装材が注目を集めている。このようなリチウムイオン電池用包装材は一般的に、例えば図3に示すように、アルミニウム箔層33とシーラント層36の間の接着樹脂層35が熱硬化性材料であるドライラミネート用接着樹脂層からなるドライラミネート構成(基材層31/接着剤層32/アルミニウム箔層33/化成処理層34/接着樹脂層35/シーラント層36)と、アルミニウム箔層33とシーラント層36の間の接着樹脂層15が熱可塑性材料からなる熱ラミネート構成(基材層31/接着剤層32/アルミニウム箔層33/化成処理層34/接着樹脂層35/シーラント層36)の2種類に大きく分類され、一般的にドライラミネート構成は、成型性が求められるポータブル機器などの民生用途に、一方、熱ラミネート構成品は、信頼性や安全性が求められる電気自動車、衛星、潜水艦、電動自転車などの大型用途に使用される。
リチウムイオン電池用包装材30を袋状に加工した内部に、正極、セパレーター、負極、電解液およびタブなどの内容物を密封する方法として2種類の包装形体が提案されている。例えば前記リチウムイオン電池用包装材30を用いてパウチを形成し、内容物を収納するパウチタイプ、または、前記リチウムイオン電池用包装材30をプレスで冷間成型して凹部を形成し、該凹部に内容物を収納するエンボスタイプの2種類が挙げられる。近年では、効率的にリチウムイオン電池用包装材30内に上記内容物を配置するために、片面だけでなく両面に凹部となるようにエンボス成型し、貼り合わせることにより包装材内部の体積を増加させ、電池容量を増加させる方法も採用されている。しかしながら、凹部にエンボス成型された多層フィルムは、金型での絞り加工時やヒートシール後の折り曲げ時に、リチウムイオン電池用包装材30各層の延伸性の差や、加熱工程でのフィルムの結晶化状態により、アルミニウム箔33と接着樹脂層35の間が剥離したり、シーラント層36と接着樹脂層35で、クラックにより破断や白化を生じることがある。一般的にドライラミネート品よりも熱ラミネート品の方が多層フィルム製造時にかかる熱量によりシーラント36や接着樹脂層35などが結晶化しやすいため、エンボス成型時に延伸率の高い部位である辺や角のクラックによる破断や白化が起こりやすい。そのため、熱ラミネート品でもドライラミネート品と同様に、エンボス成型時にクラックによる破断や白化がないように成型性や耐衝撃性を持たせることが必要となってきている。またリチウムイオン電池用包装材30に使用しているシーラント層36や接着樹脂層35は一般的に押出成型により製膜させるため、押出成型時に発生する応力などによりフィルムの流れ方向であるMD方向(機械方向)に配向しやすい。そのため、シーラント層36や接着樹脂層35の分子配向により、伸び率や応力などがMD(機械方向)とTD方向(機械方向に対し垂直方向)で異なる特性をとるため、エンボス成型時にクラックによる破断や白化に異方性が発生しやすい傾向にある。
このようにリチウムイオン電池は体積密度を向上させるためエンボス成型して使用することが多いという観点から、リチウムイオン電池用包装材30の各物性は異方性が小さく、等方性であることが好ましい、これらのことから、機械的異方性の少ない多層フィルム30が検討されている。
特許文献1に記載の発明は、張り出し成形、深絞り成形などの加工性が優れてシャープな形状の成形が可能であり、強度的にも優れており、腐食性の電解液などにも侵されることのない電池ケース用包材およびそれを使用した小型であり、体積エネルギー密度が高い畜電池のための電池ケースの開発を目的としている。少なくともアルミニウム箔の片面に、厚さ9〜50μmの引張試験(試料幅15mm、標点間距離50mm、引張速度100mm/min)における4方向(0°、45°、90°および135°)の破断までの引張強さが150N/mm以上であり、かつ4方向の伸びが80%以上である機械的性質の方向性の少ない延伸ポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムをラミネートすると共に、他の面に少なくとも厚さ9〜50ミクロンのポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリレート共重合体またはアイオノマー樹脂のフィルムを最も外側にラミネートした、総厚が150ミクロン以下である包材が提案されている。この特許では機械的性質の方向性の少ない延伸ポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムを採用することで、体積エネルギー密度の高い電池ケースが提供できることが記載されている。
特許文献2には、電池本体の安定した保護物性とともに、白化やクラックの発生のない生産性のよい製造方法を提供する電池包装に用いる材料が記載されている。電池本体を挿入し周縁部をヒートシールにより密封する電池の包装において、外装体を形成する包装材料が、少なくとも基材層、接着層、化成処理層(1)、アルミニウム、化成処理層(2)、シーラント部から構成される積層体とし、少なくともシーラント部が接着樹脂層とエチレンの含有量が3から10%のポリプロピレン系樹脂層との共押出しにより形成し、化成処理層(2)側を接着樹脂層としている。このように、ポリプロピレン系樹脂層にエチレンを含有させることで結晶化が阻害されシーラント部の柔軟性が増し、白化しにくいと考えられるが、シーラント層や接着樹脂層自体の分子配向がフィルム内に残っているため、エンボス成型時に延伸方向や伸び率によっては、クラックによる白化が発生する可能性がある。
同様に、特許文献3にも絞り加工時の白化およびクラックが発生せず、耐水蒸気透過性に優れ、経時後にもデラミネーションの恐れのない二次電池容器用積層材と容器が記載されている。二次電池容器用積層材は、外装樹脂フィルムと化成処理アルミニウム箔の接着剤層を介して積層し、前記化成処理アルミニウム箔とシーラントフィルムをプライマー層を介して積層したものであって、前記シーラントフィルムは、α−オレフィンの含有量が2〜10重量%であるプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体と、エラストマーまたはポリブテンのいずれかまたは両方とのブレンド品より作製される。こちらも特許文献1と同様に、シーラントフィルム内にα−オレフィンを共重合させたり、エラストマーまたはポリブテンを分散させることにより同様の効果を狙っているが、シーラントフィルム自体の分子配向がフィルム内に残っているため、エンボス成型時に延伸方向や伸び率によっては、クラックによる白化が発生する可能性がある。
特許第3567230号公報 特開2003−272571号公報 特開2003−288866号公報
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、エンボス成型時に異方性白化が少なく、深絞り成型が可能なリチウムイオン電池用包装材を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、基材層の一方の面に、少なくとも接着剤層、アルミニウム箔層、化成処理層、接着樹脂層およびシーラント層が順次積層した包装材において、
前記接着樹脂層が熱可塑性樹脂を含み、
前記接着樹脂層およびシーラント層を積層した状態で、その複屈折率が0.002以下であり、かつ、結晶化度が10〜55%であることを特徴とするリチウムイオン電池用包装材である。
請求項2に記載の発明は、前記化成処理層が、クロメート処理により形成された塗膜であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用包装材である。
請求項3に記載の発明は、前記シーラント層が、オレフィン系樹脂の単層体または積層体から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用包装材である。
請求項4に記載の発明は、前記オレフィン系樹脂が、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレンおよびブロックポリプロピレンから選択された少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン電池用包装材である。
請求項5に記載の発明は、前記接着樹脂層が、酸変性オレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材である。
請求項6に記載の発明は、前記酸変性オレフィン系樹脂が、酸変性プロピレンおよび酸変性エチレンから選択された少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン電池用包装材である。
請求項7に記載の発明は、前記接着樹脂層が、スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマーから選択された少なくとも1種類以上をさらに含むことを特徴とする請求項5または6に記載のリチウムイオン電池用包装材である。
請求項8に記載の発明は、前記接着樹脂層およびシーラント層の合計膜厚が12μm以上110μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材である。
本発明のリチウムイオン電池用包装材は、基材層の一方の面に、少なくとも接着剤層、アルミニウム箔層、化成処理層、接着樹脂層およびシーラント層が順次積層し、前記接着樹脂層が熱可塑性樹脂を含み、前記接着樹脂層およびシーラント層の複屈折率が0.002以下であり、かつ、結晶化度が60%以下であることを特徴としているので、シーラント層と接着樹脂層の結晶化度が低く、機械的異方性が少ないことにより、エンボス成型時に異方性白化が少なく、深絞り成型が可能なリチウムイオン電池用包装材を提供することができる。
本発明のリチウムイオン電池用包装材の実施形態の一例を示した断面図である。 本発明のリチウムイオン電池用包装材の実施形態の別の例を示した断面図である。 従来のリチウムイオン電池用包装材を説明するための断面図である。
以下、本発明のリチウムイオン電池用包装材の実施形態の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態のリチウムイオン電池用包装材10(以下、「包装材10」という。)は、図1に示すように、基材層11の一方の面に、接着剤層12、アルミニウム箔層13、化成処理層14、接着樹脂層15およびシーラント層16が順に積層された多層フィルムである。または、図2に示すように、基材層11の一方の面に、接着剤層12、化成処理層14、アルミニウム箔層13、化成処理層14、接着樹脂層15およびシーラント層16が順に積層された多層フィルムである。
(基材層)
基材層11は、リチウムイオン電池を製造する時のシール工程における耐熱性を付与し、加工や流通の際に起こりうるピンホールの発生を抑制するだけでなく、エンボス成型時のアルミニウム箔層の破断を防止する役割を果たす。基材層11としては、絶縁性を有する樹脂層が好ましい。該樹脂層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの延伸または未延伸フィルムが挙げられる。なかでも、成型性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性を向上させる点から、延伸ポリアミドフィルムや延伸ポリエステルフィルムが好ましい。基材層11は、単層であってもよく、複数層であってもよい。
基材層11は、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などの添加剤を樹脂中に配合、または表面上に塗布されていてもよい。スリップ剤としては、脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミドなど)などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、シリカなどの各種フィラー系のアンチブロッキング剤が好ましい。添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。基材層11の厚さは、6〜40μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
(接着剤層)
接着剤層12は、基材層11とアルミニウム箔層13を接着する層である。接着剤層12を形成する接着剤としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなどのポリオールを主剤とし、芳香族系や脂肪族系のイソシアネートを硬化剤とした2液硬化型のポリウレタン系接着剤が好ましい。該接着剤は、塗工後に40℃で4日以上のエージング処理を行うことで、主剤のポリオールのOH基と、硬化剤のイソシアネートのNCO基が反応し、基材層11とアルミニウム箔層13が接着される。主剤のOH基に対する硬化剤のNCO基のモル比(NCO/OH)は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。接着剤層12の厚さは、接着強度や、追随性、加工性などの点から、1〜10μmが好ましく、2〜6μmがより好ましい。接着剤層の塗工方法としては、マイクログラビア、グラビアなど各種塗工方法を採用することができる。
(アルミニウム箔層)
アルミニウム箔層13の材質としては、公知の軟質アルミニウム箔が使用できるが、耐ピンホール性、および成型時の延展性に優れる点から、鉄を含むアルミニウム箔が好ましい。該アルミニウム箔における鉄の含有量は、アルミニウム箔の全質量100質量%に対して、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であれば、耐ピンホール性、延展性が向上する。鉄の含有量が9.0質量%以下であれば、柔軟性が向上する。
また、アルミニウム箔は、未処理のアルミニウム箔も用いてもよいが、脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いることが好ましい。脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプが挙げられる。ウェットタイプの脱脂処理としては、酸脱脂やアルカリ脱脂などが挙げられる。酸脱脂に使用する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、アルミニウム箔のエッチング効果が向上する点から、必要に応じて鉄(III)イオンやセリウム(III)イオンなどの供給源となる各種金属塩を配合してもよい。アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムなどの強エッチングタイプのアルカリが挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものを用いてもよい。ウェットタイプの脱脂処理は浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプの脱脂処理としては、例えば、アルミニウムを焼鈍処理する工程において、その処理時間を長くすることで脱脂処理を行う方法が挙げられる。また、該脱脂処理の他にも、フレーム処理やコロナ処理などが挙げられる。さらには特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解・除去する脱脂処理も挙げられる。
アルミニウム箔層13の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性の点から、9〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。
(化成処理層)
化成処理層14は、電解液と水分との反応により発生するフッ酸によるアルミニウム箔層13の腐蝕を防止し、さらにアルミニウム箔層13との相互作用を向上させて接着樹脂層15との密着力を向上させる役割を果たす。化成処理層14は、塗布型、または浸漬型の耐酸性の腐蝕防止処理剤により形成された塗膜であることが好ましい。化成処理層14が前記塗膜であれば、アルミニウム箔層13の酸に対する腐蝕の防止効果が向上する。さらに、アルミニウム箔層13上にアンカーが形成されることでアルミニウム箔層13と接着樹脂層15の密着力がより強固になり、電解液などの耐内容物特性が向上し、フッ酸が発生しても接着剤の劣化による密着力の低下が抑制できる。該塗膜は、例えば、クロム酸塩、リン酸塩、フッ化物と各種熱硬化性の樹脂からなる腐蝕防止処理剤によるクロメート処理、希土類元素である酸化物(例えば酸化セリウム)とリン酸塩と各種熱硬化性の樹脂からなる腐蝕防止処理剤によるセリアゾール処理などにより形成できる。化成処理層14は、アルミニウム箔層13の耐蝕性を満たす塗膜であれば、上記処理で形成した塗膜には限定されず、例えば、Zr処理、ZrO処理などが挙げられる。また必要に応じて、シランカップリング剤などの添加剤を添加してもよい。化成処理層14の厚さは、腐蝕防止機能とアンカーとしての機能の点から、10nm〜5μmが好ましく、20nm〜500nmがより好ましい。化成処理層の形成方法としては、マイクログラビア、グラビアスプレー、ディッピングなど各種塗工方法を採用することができる。
(接着樹脂層)
接着樹脂層15は、熱可塑性の酸変性オレフィン系樹脂で構成されている層であるのが好ましい。本発明における酸変性オレフィン系樹脂とは、酸をグラフト共重合して変性したポリオレフィン樹脂を意味する。酸変性オレフィン系樹脂としては、カルボン酸、エポキシ化合物によりグラフト変性したポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、無水マレイン酸でグラフト変性した無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、低密度、中密度、高密度のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロックまたはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。また、前記のものにアクリル酸やメタクリル酸などの極性分子を共重合した共重合体、架橋ポリオレフィンなどのポリマーなどが挙げられ、所望の特性に応じて分散、共重合などを実施した樹脂が使用できる。酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、酸変性プロピレンおよび酸変性エチレンから選択された少なくとも1種類以上が好ましく、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂が特に好ましい。前記酸変性ポリオレフィン樹脂が無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂であれば、アルミニウム箔層13とシーラント層16の密着力をより強固にできる。そのため、電解液などの耐内容物特性が向上し、フッ酸が発生しても接着剤の劣化による密着力の低下が抑制できる。酸変性ポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
無水マレイン酸変性ポリプロピレンのマレイン酸の変性率は、0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。変性率が0.1質量%以上であれば、アルミニウム箔層13との密着力が向上する。変性率が20質量%以下であれば、シーラント層16との密着力が向上する。
無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂のビガット軟化点は、100℃以上180℃未満が好ましい。ビガッド軟化点が100℃以上であれば、耐熱性が向上し、接着樹脂層15が高温下で軟化して強度が低下することを抑制しやすい。そのため、ホットメルト型接着剤を用いた場合によく見られる、高温でのアルミニウム箔層13とシーラント層16の密着力の低下を防止しやすい。ビガッド軟化点が180℃未満であれば、容易に軟化できるため接着特性が得られやすい。ビガッド軟化点は、JIS K7206に準拠した方法で測定される。
接着樹脂層15は、本発明の効果の点から、スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマーから選択された少なくとも1種類以上をさらに含むことが好ましい。前記接着樹脂層に分散させる前記オレフィン系エラストマーはハードセグメントとしてプロピレンやエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ソフトセグメントとしてEPDM、EPRなどのαーオレフィン共重合体からなり、架橋タイプと非架橋タイプに分類される。架橋タイプは非架橋タイプに比べ、ゴム弾性や耐熱性が優れている。一方、前記スチレン系エラストマー樹脂としては、ポリスチレンに代表されるハードセグメントとエチレン、ブタジエンに代表されるソフトセグメントからなり、ハードセグメントとソフトセグメントの割合やソフトセグメントを調整することで各種樹脂との相溶性や、各種基材との密着性等を改良できる。オレフィン系エラストマーとスチレン系エラストマーは接着樹脂層に1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。このように酸変性オレフィン系樹脂を含む接着樹脂層の特性を改質するために、オレフィン系エラストマーとスチレン系エラストマーを分散させることが好ましく、酸変性オレフィン系樹脂とエラストマーとの混合比が酸変性オレフィン系樹脂に対しエラストマーが2.0〜40質量%であることが好ましい。接着樹脂層15の厚さは、2〜30μmが好ましい。
(シーラント層)
シーラント層16を構成する成分としては、ポリオレフィン系樹脂、またはポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸などでグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度、高密度のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体;ホモ、ブロック、またはランダムポリプロピレン;プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シーラント層16は、単層フィルムからなる層であってもよく、多層フィルムからなる積層体であってもよい。また、例えば防湿性を付与する目的で、エチレン−環状オレフィン共重合体、ポリメチルペンテンなどの樹脂を介在させた多層フィルムを用いてもよい。また、シーラント層16は、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の各種添加剤が含有されていてもよい。スリップ剤、アンチブロッキング剤等の添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。シーラント層16の厚さは、10〜80μmが好しい。
このように接着樹脂層15およびシーラント層16の合計膜厚は、本発明の効果の点から12μm以上110μm以下であるのが好ましい。
包装材10における前記各層は、必要に応じて、コロナ処理、プラズマ処理、エキシマー処理などの表面改質や、ブラスト処理、エンボス加工などの表面形状を賦形してもよい。
(複屈折)
一般的にプラスチックは大きな異方性を有することが知られている。ポリオレフィンなどが分子配向したときに異方性が生じるのは、樹脂から成型物が形成される時に分子鎖内が共有結合で結ばれているのに対し、分子鎖間は分子間力により結ばれているため、分子の配向に垂直な方向に比べ、配向に平行な方法で機械的性質が向上するためである。またポリアミドなどの水素結合を有する分子では共有結合と分子間力の間の結合力を有し、これらの結合力の値がそのまま材料の性質に反映される。このように使用する材料やプロセスを選択することにより、分子配向を制御することで物性をコントロールすることができる。例えば、液晶テレビに使用されている液晶分子や偏光板は、分子配向をコントロールすることで、背面から照射される光の量をコントロールし、画像を表示させている。プラスチックの分子配向を評価する方法として、さまざまな方法が提案されており、例えば複屈折やX線回折、赤外吸収分光、ラマン分光、蛍光偏光法などが利用されている。複屈折とは分子が配向した状態では、配向方向に偏光した直線偏光に対する屈折率n1と、配向方向に直交する方向に偏光した直線偏光に対する屈折率n2が異なる状態をいい、大きさはΔn=n1-n2で表わされ、Δnが正になる場合を正の複屈折、負になる場合を負の複屈折という。実施例では、複屈折測定を用いて、シーラント層と接着樹脂層のリタデーションを測定した値を膜厚で除することにより複屈折Δnを測定している。一般的に、ポリエチレンやポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン系フィルムはフィルム成型時にかかる応力により分子配向が生じるため、無延伸フィルムであってもMD、TD方向で物性値が異なる場合が多い。このような分子配向を有する包装材10を作製した後に、エンボス加工など成型する場合に、クラックによる異方性白化が発生する場合がある。このことから、シーラント層と接着樹脂層の分子配向を抑えることが等方的な機械的物性を有することにつながる。複屈折としては、0.002以下の場合、分子配向が小さくエンボス成型時の白に異方性が発現しにくく、0.002より大きい場合は、分子配向が大きくエンボス成型時の白化に異方性が発現しやすくなる。さらに好ましい複屈折率は−0.0015〜0.0015である。
(結晶化度)
ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィンなどの結晶性高分子の物性は、全重量に対する結晶部分の重量分率で表される結晶化度により大きな影響を受ける。
このため、材料選定や、加工条件、熱履歴により、結晶化度を制御することは、降伏強度、曲げ剛性、密度、硬度等、各種パラメーターの調整を行うことができるので、機能性材料を作製するうえで重要な要因になる。結晶化度は、例えば熱溶融後の冷却速度により調整することができ、徐冷の場合では結晶化が促進することで、結晶化度が上昇し、一方、急冷の場合では結晶化が促進せず、結晶化度が低下する。結晶化度を測定する方法として、さまざまな方法が提案されており、例えばX線回折や、赤外吸収分光、ラマン分光、密度、熱分析などが利用されている。結晶化度としては、60%以下の場合は、結晶化が低下するため、延伸時のクラックによる白化がおこりにくく、60%より大きい場合は、結晶化が上昇するため、延伸時のクラックによる白化がおこりやすくなる。
このように本発明では、接着樹脂層およびシーラント層を積層した状態で、その複屈折率が0.002以下であり、かつ、結晶化度が60%以下であることが必要である。
さらに好ましい結晶化度は10〜55%である。
以上説明した包装材10は、基材層の一方の面に、少なくとも接着剤層、アルミニウム箔層、化成処理層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層した包装材でかつ、接着樹脂層が熱可塑性樹脂を用いる場合において、前記接着樹脂層およびシーラント層の複屈折率が0.002以下かつ、結晶化度が60%以下であることを特徴とする電池用包装材とすることで、シーラント層と接着樹脂層の結晶化度が低く、機械的異方性が少ないことにより、エンボス成型時に異方性白化の少なく、深絞り成型が可能なリチウムイオン電池用包装材を提供することができる。
なお、本発明のリチウムイオン電池用包装材10は、前述した包装材10には限定されない。例えば、図2に示したように、接着剤層12とアルミニウム箔層13の間に、化成処理層14と同様の化成処理層を設けたリチウムイオン電池用包装材10であってもよい。該リチウムイオン電池用包装材は、シーラント層側からだけでなく、基材層側からのアルミニウム箔層の腐蝕を防止する効果が得られる。
図1に示すように、本実施形態に係わるリチウムイオン電池用包装材10は、その下側から基材層11、接着剤層12、アルミニウム箔層13、化成処理層14、接着樹脂層15、シーラント層16で構成される。この包装材10をエンボス成型した内部に、正極、セパレーター、負極およびタブをいれ、その後にシーラント層16が向かい合うように包装材10を重ね合わせ、3辺をシールする。その後、真空状態で残った1辺から電解液を注入し、残り1辺を最後にシールし内部を密封し、リチウムイオン電池を作製する。
(製造方法)
以下、前述した包装材10の製造方法について説明する。ただし、包装材10の製造方法は下記方法には限定されない。包装材10の製造方法としては、例えば、下記工程(I)〜(III)を有する方法が挙げられる。
(I)アルミニウム箔層13表面を化成処理して化成処理層14を形成する工程。
(II)表面に化成処理層14が形成されたアルミニウム箔層13における化成処理層14と反対側の面と、基材層11とを、接着剤層12を介して貼り合せる工程。
(III)基材層11、接着剤層12、アルミニウム箔層13および化成処理層14からなる積層体における化成処理層14上に、接着樹脂層15を介してシーラント層16を積層する工程。
工程(I):
金属化合物、リン化合物、バインダー樹脂、架橋剤などから構成される腐蝕防止処理剤を、アルミニウム箔層13上に塗工後、乾燥することで熱架橋を行い、化成処理層14を形成する。腐蝕防止処理剤の塗工方法としては、公知の方法を使用でき、例えば、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、バーコーター、キスコーター、コンマコーターなどによる塗工が挙げられる。アルミニウム箔層13は、未処理のアルミニウム箔を用いてもよく、ウェットタイプまたはドライタイプの脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いてもよい。また、必要に応じてアルミニウム箔の両面に化成処理層を形成してもよい。
工程(II):
表面に化成処理層14を形成したアルミニウム箔層13と、基材層11とを、アルミニウム箔層13における化成処理層14と反対側の面と基材層11が向かい合うように、接着剤層12を形成する前記接着剤により貼り合わせる。貼り合わせの方法としては、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、ウェットラミネートなどが挙げられる。これにより、基材層11、接着剤層12、アルミニウム箔層13および化成処理層14が順次積層された積層体が得られる。
工程(III):
前記積層体の化成処理層14上に、接着樹脂層15を介してシーラント層16を積層する。積層方法としては、ドライプロセスとウェットプロセスが挙げられる。ドライプロセスの場合は、前記積層体の化成処理層14上に、接着樹脂層15を形成する接着樹脂からなるペレットを用いて押出ラミネートにより接着樹脂層15を形成し、さらにインフレーション法またはキャスト法により得られるシーラント層16を積層する。なお、化成処理層14は、この押出ラミネートの際にインラインで設けてもよい。その後、化成処理層14と接着樹脂層15との密着力を向上させる目的で、熱ラミネートなどの後処理を行うことが好ましい。熱ラミネート処理としては、シリンダーを使用した熱ロール方式やオーブンを利用した熱風方式等を利用することができ、シーラント層16と接着樹脂層15の融点以上の熱量を与えることが好ましい。熱ラミネート後の冷却では、シリンダーを利用した冷却ロール方式や空冷を利用した冷風方式、また水冷方式等を利用することができ、冷却速度および、冷却温度をコントロールすることで、結晶化度と複屈折を制御することができる。また本発明においては、上述したような層構成を形成させることで、上記工程以外にも押出ラミネート時の少ない熱量および、冷却でも特性を満たす包装材10が得ることができる。また、多層押出成型にて、接着樹脂層15とシーラント層16との包装材10を作成し、該包装材10を前記積層体上に熱ラミネートおよび冷却により積層してもよい。
ウェットプロセスの場合は、前記積層体の化成処理層14上に、接着樹脂層15を形成する接着樹脂を含有する接着樹脂液を塗工し、溶媒を揮発させた後、接着樹脂を融点以上の温度まで加熱し、溶融させて焼き付けを行う。その後、シーラント層16を熱ラミネートおよび冷却などの熱処理により積層することにより、包装材10が得られる。前記接着樹脂液とは、前述した接着樹脂層15を形成する接着樹脂を、有機溶媒に分散させた分散液、または有機溶媒に溶解させた溶液である。接着樹脂液を用いる場合には、該接着樹脂液に架橋剤、シランカップリング剤などの各種添加剤を配合してもよい。前記接着樹脂液の塗工方法としては、前記工程(I)において挙げた各種塗工方法が使用できる。また、熱ラミネートや冷却としては、上記ドライプロセスに記載した工程を同様に採用することができる。
以下に実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら例に限定されるものではない。ここで、実施例および比較例に用いた材料を以下に示す。
[使用原料]
<基材層>
A−1:2軸延伸ポリアミドフィルム(厚さ25μm)
<接着剤層>
B−1:ポリウレタン系接着剤(厚さ4μm)
<アルミニウム箔層>
C−1:軟質アルミニウム箔8079材(厚さ40μm)
<化成処理層>
D−1:塗布型クロメート処理
<接着樹脂層>
E−1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(厚さ15μm)
E−2:無水マレイン酸変性ポリプロピレン85質量%+オレフィン系エラストマー15質量%(厚さ15μm)
<シーラント層(ヒートシール層)>
F−1:無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)
[リチウムイオン電池用包装材の作成と評価方法]
<包装材作成>
まず、アルミニウム箔層13上に塗布型クロメートからなる化成処理層14を必要に応じてバーコーターにより設け、乾燥ユニットにおいて150〜200℃で焼き付け処理を施した。化成処理層14の厚さはドライで0.1〜0.2μmであった。次いで、アルミニウム箔層13の、化成処理層14とは反対側の面に、ドライラミネート手法により、4μmのポリウレタン系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製、A525/A50)を用いて耐熱性の基材層11を貼合した後に40℃7日間エージングすることで、接着剤の熱架橋をさせた。次に接着樹脂層を押出成型機から15μm押出し、両側から30μmのシーラント層16と化成処理層14と基材層11を積層したアルミニウム箔層13とで挟み込みながら貼り合わせ包装材を作製した。その後、包装材10を熱ラミネート装置において150〜200℃で4kg/cm、2m/分の条件で加熱圧着したあと徐冷、または急冷することでリチウムイオン電池用包装材を作成した。
(包装材評価)
得られたリチウムイオン電池用包装材を150×150mmサイズの長方径に切り取り、成型評価用サンプルとし、下記に示す条件で成型評価を行った。表1に記載したシーラント層と接着樹脂層の複屈折測定は、前記接着樹脂層およびシーラント層を積層した状態で、回転検光子法を用い、550nmの複屈折値を使用した。一方、シーラント層と接着樹脂層の結晶化度測定は、前記接着樹脂層およびシーラント層を積層した状態で、X線回折または赤外吸収分光から結晶化度の算出を行った。絞り深さ10mmまで調整可能な、長方形で100×50mmサイズの冷間成形用装置を用いてエンボス成形加工を行い、6mm絞り成型した場合のMD(機械方向)、TD辺(機械方向に垂直の方向)の白化の評価を行った。なお、○以上の評価を合格とする。
○:6mmの絞り量で、MDTD辺ともに延伸白化せずに成型可能である。
△:6mmの絞り量で、MDTD辺の少なくとも一辺が延伸白化せずに成型可能である。
×:6mmの絞り量で、MDTD辺の両辺が延伸白化する。
[実施例1〜4、比較例1〜3]
実施例1〜4、比較例1〜3は、表1に示す材料を用い、包装材作製にて結晶化度と複屈折率の異なるリチウムイオン電池用包装材10を作成し、成型評価を行った。結果を表1に示す。なお、実施例3は参考例である。
Figure 2016195132
シーラント層16と接着樹脂層15の結晶化度が60%以下でかつ、複屈折が0.002以下の場合の実施例1から4では、成型性評価でMD、TD方向共に延伸部白化はなしという結果であった。一方、結晶化度が60%以下で、かつ複屈折が0.002を超えた比較例1では、成型性評価でMD方向への延伸部白化なし、TD方向への延伸部白化ありと、白化に異方性が発生する結果であった。次に結晶化度が60%を超え、複屈折が0.002以下である比較例2では、同様にMD方向、TD方向延伸部で白化ありという結果になった。一方、次に結晶化度が60%を超え、複屈折が0.002を超えた比較例3では、こちらも比較例2と同様にMD方向、TD方向延伸部で白化ありという結果になった。これらの結果により、シーラント層16と接着樹脂層15の結晶化度と複屈折を制御することにより、成型時の延伸部で発生する異方性白化を防止することができることがわかった。
本発明によれば、シーラント層と接着樹脂層の結晶化度が低く、機械的異方性が少ないことにより、エンボス成型時に異方性白化の少なく、深絞り成型が可能なリチウムイオン電池用包装材が得られる。
11・・・基材層
12・・・接着剤層
13・・・アルミニウム箔層
14・・・化成処理層
15・・・接着樹脂層
16・・・シーラント層
10・・・リチウムイオン電池用包装材(包装材)
本発明は、リチウムイオン電池用包装材の製造方法に関する。
近年、パソコン、携帯電話などの携帯端末装置、ビデオカメラ、衛星、車両などに用いられる電池として、超薄型化、小型化の可能なリチウムイオン電池が盛んに開発されている。このようなリチウムイオン電池に用いる包装材として、従来の電池用包材として用いられている金属製の缶とは異なり、軽量で、放熱性が高く、電池の形状を自由に選択できるという点から、多層フィルムを袋状に成型加工したリチウムイオン電池用包装材が注目を集めている。このようなリチウムイオン電池用包装材は一般的に、例えば図3に示すように、アルミニウム箔層33とシーラント層36の間の接着樹脂層35が熱硬化性材料であるドライラミネート用接着樹脂層からなるドライラミネート構成(基材層31/接着剤層32/アルミニウム箔層33/化成処理層34/接着樹脂層35/シーラント層36)と、アルミニウム箔層33とシーラント層36の間の接着樹脂層15が熱可塑性材料からなる熱ラミネート構成(基材層31/接着剤層32/アルミニウム箔層33/化成処理層34/接着樹脂層35/シーラント層36)の2種類に大きく分類され、一般的にドライラミネート構成は、成型性が求められるポータブル機器などの民生用途に、一方、熱ラミネート構成品は、信頼性や安全性が求められる電気自動車、衛星、潜水艦、電動自転車などの大型用途に使用される。
リチウムイオン電池用包装材30を袋状に加工した内部に、正極、セパレーター、負極、電解液およびタブなどの内容物を密封する方法として2種類の包装形体が提案されている。例えば前記リチウムイオン電池用包装材30を用いてパウチを形成し、内容物を収納するパウチタイプ、または、前記リチウムイオン電池用包装材30をプレスで冷間成型して凹部を形成し、該凹部に内容物を収納するエンボスタイプの2種類が挙げられる。近年では、効率的にリチウムイオン電池用包装材30内に上記内容物を配置するために、片面だけでなく両面に凹部となるようにエンボス成型し、貼り合わせることにより包装材内部の体積を増加させ、電池容量を増加させる方法も採用されている。しかしながら、凹部にエンボス成型された多層フィルムは、金型での絞り加工時やヒートシール後の折り曲げ時に、リチウムイオン電池用包装材30各層の延伸性の差や、加熱工程でのフィルムの結晶化状態により、アルミニウム箔33と接着樹脂層35の間が剥離したり、シーラント層36と接着樹脂層35で、クラックにより破断や白化を生じることがある。一般的にドライラミネート品よりも熱ラミネート品の方が多層フィルム製造時にかかる熱量によりシーラント36や接着樹脂層35などが結晶化しやすいため、エンボス成型時に延伸率の高い部位である辺や角のクラックによる破断や白化が起こりやすい。そのため、熱ラミネート品でもドライラミネート品と同様に、エンボス成型時にクラックによる破断や白化がないように成型性や耐衝撃性を持たせることが必要となってきている。またリチウムイオン電池用包装材30に使用しているシーラント層36や接着樹脂層35は一般的に押出成型により製膜させるため、押出成型時に発生する応力などによりフィルムの流れ方向であるMD方向(機械方向)に配向しやすい。そのため、シーラント層36や接着樹脂層35の分子配向により、伸び率や応力などがMD(機械方向)とTD方向(機械方向に対し垂直方向)で異なる特性をとるため、エンボス成型時にクラックによる破断や白化に異方性が発生しやすい傾向にある。
このようにリチウムイオン電池は体積密度を向上させるためエンボス成型して使用することが多いという観点から、リチウムイオン電池用包装材30の各物性は異方性が小さく、等方性であることが好ましい、これらのことから、機械的異方性の少ない多層フィルム30が検討されている。
特許文献1に記載の発明は、張り出し成形、深絞り成形などの加工性が優れてシャープな形状の成形が可能であり、強度的にも優れており、腐食性の電解液などにも侵されることのない電池ケース用包材およびそれを使用した小型であり、体積エネルギー密度が高い畜電池のための電池ケースの開発を目的としている。少なくともアルミニウム箔の片面に、厚さ9〜50μmの引張試験(試料幅15mm、標点間距離50mm、引張速度100mm/min)における4方向(0°、45°、90°および135°)の破断までの引張強さが150N/mm以上であり、かつ4方向の伸びが80%以上である機械的性質の方向性の少ない延伸ポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムをラミネートすると共に、他の面に少なくとも厚さ9〜50ミクロンのポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリレート共重合体またはアイオノマー樹脂のフィルムを最も外側にラミネートした、総厚が150ミクロン以下である包材が提案されている。この特許では機械的性質の方向性の少ない延伸ポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムを採用することで、体積エネルギー密度の高い電池ケースが提供できることが記載されている。
特許文献2には、電池本体の安定した保護物性とともに、白化やクラックの発生のない生産性のよい製造方法を提供する電池包装に用いる材料が記載されている。電池本体を挿入し周縁部をヒートシールにより密封する電池の包装において、外装体を形成する包装材料が、少なくとも基材層、接着層、化成処理層(1)、アルミニウム、化成処理層(2)、シーラント部から構成される積層体とし、少なくともシーラント部が接着樹脂層とエチレンの含有量が3から10%のポリプロピレン系樹脂層との共押出しにより形成し、化成処理層(2)側を接着樹脂層としている。このように、ポリプロピレン系樹脂層にエチレンを含有させることで結晶化が阻害されシーラント部の柔軟性が増し、白化しにくいと考えられるが、シーラント層や接着樹脂層自体の分子配向がフィルム内に残っているため、エンボス成型時に延伸方向や伸び率によっては、クラックによる白化が発生する可能性がある。
同様に、特許文献3にも絞り加工時の白化およびクラックが発生せず、耐水蒸気透過性に優れ、経時後にもデラミネーションの恐れのない二次電池容器用積層材と容器が記載されている。二次電池容器用積層材は、外装樹脂フィルムと化成処理アルミニウム箔の接着剤層を介して積層し、前記化成処理アルミニウム箔とシーラントフィルムをプライマー層を介して積層したものであって、前記シーラントフィルムは、α−オレフィンの含有量が2〜10重量%であるプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体と、エラストマーまたはポリブテンのいずれかまたは両方とのブレンド品より作製される。こちらも特許文献1と同様に、シーラントフィルム内にα−オレフィンを共重合させたり、エラストマーまたはポリブテンを分散させることにより同様の効果を狙っているが、シーラントフィルム自体の分子配向がフィルム内に残っているため、エンボス成型時に延伸方向や伸び率によっては、クラックによる白化が発生する可能性がある。
特許第3567230号公報 特開2003−272571号公報 特開2003−288866号公報
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、エンボス成型時に異方性白化が少なく、深絞り成型が可能なリチウムイオン電池用包装材の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、基材層の一方の面に、少なくとも接着剤層、アルミニウム箔層、化成処理層、接着樹脂層およびシーラント層順次積層させるリチウムイオン電池用包装材の製造方法であって、下記工程(I)〜(III)を有し、前記接着樹脂層が熱可塑性樹脂を含み、前記接着樹脂層およびシーラント層を積層した状態で、その複屈折率が0.002以下であり、かつ、結晶化度が10〜55%であることを特徴とする前記製造方 である。
(I)アルミニウム箔層表面を化成処理して化成処理層を形成する工程。
(II)表面に化成処理層が形成されたアルミニウム箔層における化成処理層と反対側の面 と、基材層とを、接着剤層を介して貼り合せる工程。
(III)基材層、接着剤層、アルミニウム箔層および化成処理層からなる積層体における 化成処理層上に、接着樹脂層を介してシーラント層を積層する工程。
請求項2に記載の発明は、前記化成処理層が、クロメート処理により形成された塗膜であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用包装材の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記シーラント層が、オレフィン系樹脂の単層体または積層体から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用包装材の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記オレフィン系樹脂が、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレンおよびブロックポリプロピレンから選択された少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン電池用包装材の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記接着樹脂層が、酸変性オレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材の製造方法である。
請求項6に記載の発明は、前記酸変性オレフィン系樹脂が、酸変性プロピレンおよび酸変性エチレンから選択された少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン電池用包装材の製造方法である。
請求項7に記載の発明は、前記接着樹脂層が、スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマーから選択された少なくとも1種類以上をさらに含むことを特徴とする請求項5または6に記載のリチウムイオン電池用包装材の製造方法である。
請求項8に記載の発明は、前記接着樹脂層およびシーラント層の合計膜厚が12μm以上110μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、シーラント層と接着樹脂層の結晶化度が低く、機械的異方性が少ないことにより、エンボス成型時に異方性白化が少なく、深絞り成型が可能なリチウムイオン電池用包装材を提供することができる。
本発明のリチウムイオン電池用包装材の実施形態の一例を示した断面図である。 本発明のリチウムイオン電池用包装材の実施形態の別の例を示した断面図である。 従来のリチウムイオン電池用包装材を説明するための断面図である。
以下、本発明のリチウムイオン電池用包装材の実施形態の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態のリチウムイオン電池用包装材10(以下、「包装材10」という。)は、図1に示すように、基材層11の一方の面に、接着剤層12、アルミニウム箔層13、化成処理層14、接着樹脂層15およびシーラント層16が順に積層された多層フィルムである。または、図2に示すように、基材層11の一方の面に、接着剤層12、化成処理層14、アルミニウム箔層13、化成処理層14、接着樹脂層15およびシーラント層16が順に積層された多層フィルムである。
(基材層)
基材層11は、リチウムイオン電池を製造する時のシール工程における耐熱性を付与し、加工や流通の際に起こりうるピンホールの発生を抑制するだけでなく、エンボス成型時のアルミニウム箔層の破断を防止する役割を果たす。基材層11としては、絶縁性を有する樹脂層が好ましい。該樹脂層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの延伸または未延伸フィルムが挙げられる。なかでも、成型性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性を向上させる点から、延伸ポリアミドフィルムや延伸ポリエステルフィルムが好ましい。基材層11は、単層であってもよく、複数層であってもよい。
基材層11は、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などの添加剤を樹脂中に配合、または表面上に塗布されていてもよい。スリップ剤としては、脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミドなど)などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、シリカなどの各種フィラー系のアンチブロッキング剤が好ましい。添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。基材層11の厚さは、6〜40μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
(接着剤層)
接着剤層12は、基材層11とアルミニウム箔層13を接着する層である。接着剤層12を形成する接着剤としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなどのポリオールを主剤とし、芳香族系や脂肪族系のイソシアネートを硬化剤とした2液硬化型のポリウレタン系接着剤が好ましい。該接着剤は、塗工後に40℃で4日以上のエージング処理を行うことで、主剤のポリオールのOH基と、硬化剤のイソシアネートのNCO基が反応し、基材層11とアルミニウム箔層13が接着される。主剤のOH基に対する硬化剤のNCO基のモル比(NCO/OH)は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。接着剤層12の厚さは、接着強度や、追随性、加工性などの点から、1〜10μmが好ましく、2〜6μmがより好ましい。接着剤層の塗工方法としては、マイクログラビア、グラビアなど各種塗工方法を採用することができる。
(アルミニウム箔層)
アルミニウム箔層13の材質としては、公知の軟質アルミニウム箔が使用できるが、耐ピンホール性、および成型時の延展性に優れる点から、鉄を含むアルミニウム箔が好ましい。該アルミニウム箔における鉄の含有量は、アルミニウム箔の全質量100質量%に対して、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であれば、耐ピンホール性、延展性が向上する。鉄の含有量が9.0質量%以下であれば、柔軟性が向上する。
また、アルミニウム箔は、未処理のアルミニウム箔も用いてもよいが、脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いることが好ましい。脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプが挙げられる。ウェットタイプの脱脂処理としては、酸脱脂やアルカリ脱脂などが挙げられる。酸脱脂に使用する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、アルミニウム箔のエッチング効果が向上する点から、必要に応じて鉄(III)イオンやセリウム(III)イオンなどの供給源となる各種金属塩を配合してもよい。アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムなどの強エッチングタイプのアルカリが挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものを用いてもよい。ウェットタイプの脱脂処理は浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプの脱脂処理としては、例えば、アルミニウムを焼鈍処理する工程において、その処理時間を長くすることで脱脂処理を行う方法が挙げられる。また、該脱脂処理の他にも、フレーム処理やコロナ処理などが挙げられる。さらには特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解・除去する脱脂処理も挙げられる。
アルミニウム箔層13の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性の点から、9〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。
(化成処理層)
化成処理層14は、電解液と水分との反応により発生するフッ酸によるアルミニウム箔層13の腐蝕を防止し、さらにアルミニウム箔層13との相互作用を向上させて接着樹脂層15との密着力を向上させる役割を果たす。化成処理層14は、塗布型、または浸漬型の耐酸性の腐蝕防止処理剤により形成された塗膜であることが好ましい。化成処理層14が前記塗膜であれば、アルミニウム箔層13の酸に対する腐蝕の防止効果が向上する。さらに、アルミニウム箔層13上にアンカーが形成されることでアルミニウム箔層13と接着樹脂層15の密着力がより強固になり、電解液などの耐内容物特性が向上し、フッ酸が発生しても接着剤の劣化による密着力の低下が抑制できる。該塗膜は、例えば、クロム酸塩、リン酸塩、フッ化物と各種熱硬化性の樹脂からなる腐蝕防止処理剤によるクロメート処理、希土類元素である酸化物(例えば酸化セリウム)とリン酸塩と各種熱硬化性の樹脂からなる腐蝕防止処理剤によるセリアゾール処理などにより形成できる。化成処理層14は、アルミニウム箔層13の耐蝕性を満たす塗膜であれば、上記処理で形成した塗膜には限定されず、例えば、Zr処理、ZrO処理などが挙げられる。また必要に応じて、シランカップリング剤などの添加剤を添加してもよい。化成処理層14の厚さは、腐蝕防止機能とアンカーとしての機能の点から、10nm〜5μmが好ましく、20nm〜500nmがより好ましい。化成処理層の形成方法としては、マイクログラビア、グラビアスプレー、ディッピングなど各種塗工方法を採用することができる。
(接着樹脂層)
接着樹脂層15は、熱可塑性の酸変性オレフィン系樹脂で構成されている層であるのが好ましい。本発明における酸変性オレフィン系樹脂とは、酸をグラフト共重合して変性したポリオレフィン樹脂を意味する。酸変性オレフィン系樹脂としては、カルボン酸、エポキシ化合物によりグラフト変性したポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、無水マレイン酸でグラフト変性した無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、低密度、中密度、高密度のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロックまたはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。また、前記のものにアクリル酸やメタクリル酸などの極性分子を共重合した共重合体、架橋ポリオレフィンなどのポリマーなどが挙げられ、所望の特性に応じて分散、共重合などを実施した樹脂が使用できる。酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、酸変性プロピレンおよび酸変性エチレンから選択された少なくとも1種類以上が好ましく、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂が特に好ましい。前記酸変性ポリオレフィン樹脂が無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂であれば、アルミニウム箔層13とシーラント層16の密着力をより強固にできる。そのため、電解液などの耐内容物特性が向上し、フッ酸が発生しても接着剤の劣化による密着力の低下が抑制できる。酸変性ポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
無水マレイン酸変性ポリプロピレンのマレイン酸の変性率は、0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。変性率が0.1質量%以上であれば、アルミニウム箔層13との密着力が向上する。変性率が20質量%以下であれば、シーラント層16との密着力が向上する。
無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂のビガット軟化点は、100℃以上180℃未満が好ましい。ビガッド軟化点が100℃以上であれば、耐熱性が向上し、接着樹脂層15が高温下で軟化して強度が低下することを抑制しやすい。そのため、ホットメルト型接着剤を用いた場合によく見られる、高温でのアルミニウム箔層13とシーラント層16の密着力の低下を防止しやすい。ビガッド軟化点が180℃未満であれば、容易に軟化できるため接着特性が得られやすい。ビガッド軟化点は、JIS K7206に準拠した方法で測定される。
接着樹脂層15は、本発明の効果の点から、スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマーから選択された少なくとも1種類以上をさらに含むことが好ましい。前記接着樹脂層に分散させる前記オレフィン系エラストマーはハードセグメントとしてプロピレンやエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ソフトセグメントとしてEPDM、EPRなどのαーオレフィン共重合体からなり、架橋タイプと非架橋タイプに分類される。架橋タイプは非架橋タイプに比べ、ゴム弾性や耐熱性が優れている。一方、前記スチレン系エラストマー樹脂としては、ポリスチレンに代表されるハードセグメントとエチレン、ブタジエンに代表されるソフトセグメントからなり、ハードセグメントとソフトセグメントの割合やソフトセグメントを調整することで各種樹脂との相溶性や、各種基材との密着性等を改良できる。オレフィン系エラストマーとスチレン系エラストマーは接着樹脂層に1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。このように酸変性オレフィン系樹脂を含む接着樹脂層の特性を改質するために、オレフィン系エラストマーとスチレン系エラストマーを分散させることが好ましく、酸変性オレフィン系樹脂とエラストマーとの混合比が酸変性オレフィン系樹脂に対しエラストマーが2.0〜40質量%であることが好ましい。接着樹脂層15の厚さは、2〜30μmが好ましい。
(シーラント層)
シーラント層16を構成する成分としては、ポリオレフィン系樹脂、またはポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸などでグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度、高密度のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体;ホモ、ブロック、またはランダムポリプロピレン;プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シーラント層16は、単層フィルムからなる層であってもよく、多層フィルムからなる積層体であってもよい。また、例えば防湿性を付与する目的で、エチレン−環状オレフィン共重合体、ポリメチルペンテンなどの樹脂を介在させた多層フィルムを用いてもよい。また、シーラント層16は、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の各種添加剤が含有されていてもよい。スリップ剤、アンチブロッキング剤等の添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。シーラント層16の厚さは、10〜80μmが好しい。
このように接着樹脂層15およびシーラント層16の合計膜厚は、本発明の効果の点から12μm以上110μm以下であるのが好ましい。
包装材10における前記各層は、必要に応じて、コロナ処理、プラズマ処理、エキシマー処理などの表面改質や、ブラスト処理、エンボス加工などの表面形状を賦形してもよい。
(複屈折)
一般的にプラスチックは大きな異方性を有することが知られている。ポリオレフィンなどが分子配向したときに異方性が生じるのは、樹脂から成型物が形成される時に分子鎖内が共有結合で結ばれているのに対し、分子鎖間は分子間力により結ばれているため、分子の配向に垂直な方向に比べ、配向に平行な方法で機械的性質が向上するためである。またポリアミドなどの水素結合を有する分子では共有結合と分子間力の間の結合力を有し、これらの結合力の値がそのまま材料の性質に反映される。このように使用する材料やプロセスを選択することにより、分子配向を制御することで物性をコントロールすることができる。例えば、液晶テレビに使用されている液晶分子や偏光板は、分子配向をコントロールすることで、背面から照射される光の量をコントロールし、画像を表示させている。プラスチックの分子配向を評価する方法として、さまざまな方法が提案されており、例えば複屈折やX線回折、赤外吸収分光、ラマン分光、蛍光偏光法などが利用されている。複屈折とは分子が配向した状態では、配向方向に偏光した直線偏光に対する屈折率n1と、配向方向に直交する方向に偏光した直線偏光に対する屈折率n2が異なる状態をいい、大きさはΔn=n1-n2で表わされ、Δnが正になる場合を正の複屈折、負になる場合を負の複屈折という。実施例では、複屈折測定を用いて、シーラント層と接着樹脂層のリタデーションを測定した値を膜厚で除することにより複屈折Δnを測定している。一般的に、ポリエチレンやポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン系フィルムはフィルム成型時にかかる応力により分子配向が生じるため、無延伸フィルムであってもMD、TD方向で物性値が異なる場合が多い。このような分子配向を有する包装材10を作製した後に、エンボス加工など成型する場合に、クラックによる異方性白化が発生する場合がある。このことから、シーラント層と接着樹脂層の分子配向を抑えることが等方的な機械的物性を有することにつながる。複屈折としては、0.002以下の場合、分子配向が小さくエンボス成型時の白に異方性が発現しにくく、0.002より大きい場合は、分子配向が大きくエンボス成型時の白化に異方性が発現しやすくなる。さらに好ましい複屈折率は−0.0015〜0.0015である。
(結晶化度)
ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィンなどの結晶性高分子の物性は、全重量に対する結晶部分の重量分率で表される結晶化度により大きな影響を受ける。
このため、材料選定や、加工条件、熱履歴により、結晶化度を制御することは、降伏強度、曲げ剛性、密度、硬度等、各種パラメーターの調整を行うことができるので、機能性材料を作製するうえで重要な要因になる。結晶化度は、例えば熱溶融後の冷却速度により調整することができ、徐冷の場合では結晶化が促進することで、結晶化度が上昇し、一方、急冷の場合では結晶化が促進せず、結晶化度が低下する。結晶化度を測定する方法として、さまざまな方法が提案されており、例えばX線回折や、赤外吸収分光、ラマン分光、密度、熱分析などが利用されている。結晶化度としては、60%以下の場合は、結晶化が低下するため、延伸時のクラックによる白化がおこりにくく、60%より大きい場合は、結晶化が上昇するため、延伸時のクラックによる白化がおこりやすくなる。
このように本発明では、接着樹脂層およびシーラント層を積層した状態で、その複屈折率が0.002以下であり、かつ、結晶化度が60%以下であることが必要である。
さらに好ましい結晶化度は10〜55%である。
以上説明した包装材10は、基材層の一方の面に、少なくとも接着剤層、アルミニウム箔層、化成処理層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層した包装材でかつ、接着樹脂層が熱可塑性樹脂を用いる場合において、前記接着樹脂層およびシーラント層の複屈折率が0.002以下かつ、結晶化度が60%以下であることを特徴とする電池用包装材とすることで、シーラント層と接着樹脂層の結晶化度が低く、機械的異方性が少ないことにより、エンボス成型時に異方性白化の少なく、深絞り成型が可能なリチウムイオン電池用包装材を提供することができる。
なお、本発明のリチウムイオン電池用包装材10は、前述した包装材10には限定されない。例えば、図2に示したように、接着剤層12とアルミニウム箔層13の間に、化成処理層14と同様の化成処理層を設けたリチウムイオン電池用包装材10であってもよい。該リチウムイオン電池用包装材は、シーラント層側からだけでなく、基材層側からのアルミニウム箔層の腐蝕を防止する効果が得られる。
図1に示すように、本実施形態に係わるリチウムイオン電池用包装材10は、その下側から基材層11、接着剤層12、アルミニウム箔層13、化成処理層14、接着樹脂層15、シーラント層16で構成される。この包装材10をエンボス成型した内部に、正極、セパレーター、負極およびタブをいれ、その後にシーラント層16が向かい合うように包装材10を重ね合わせ、3辺をシールする。その後、真空状態で残った1辺から電解液を注入し、残り1辺を最後にシールし内部を密封し、リチウムイオン電池を作製する。
(製造方法)
以下、前述した包装材10の製造方法について説明する。ただし、包装材10の製造方法は下記方法には限定されない。包装材10の製造方法としては、例えば、下記工程(I)〜(III)を有する方法が挙げられる。
(I)アルミニウム箔層13表面を化成処理して化成処理層14を形成する工程。
(II)表面に化成処理層14が形成されたアルミニウム箔層13における化成処理層14と反対側の面と、基材層11とを、接着剤層12を介して貼り合せる工程。
(III)基材層11、接着剤層12、アルミニウム箔層13および化成処理層14からなる積層体における化成処理層14上に、接着樹脂層15を介してシーラント層16を積層する工程。
工程(I):
金属化合物、リン化合物、バインダー樹脂、架橋剤などから構成される腐蝕防止処理剤を、アルミニウム箔層13上に塗工後、乾燥することで熱架橋を行い、化成処理層14を形成する。腐蝕防止処理剤の塗工方法としては、公知の方法を使用でき、例えば、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、バーコーター、キスコーター、コンマコーターなどによる塗工が挙げられる。アルミニウム箔層13は、未処理のアルミニウム箔を用いてもよく、ウェットタイプまたはドライタイプの脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いてもよい。また、必要に応じてアルミニウム箔の両面に化成処理層を形成してもよい。
工程(II):
表面に化成処理層14を形成したアルミニウム箔層13と、基材層11とを、アルミニウム箔層13における化成処理層14と反対側の面と基材層11が向かい合うように、接着剤層12を形成する前記接着剤により貼り合わせる。貼り合わせの方法としては、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、ウェットラミネートなどが挙げられる。これにより、基材層11、接着剤層12、アルミニウム箔層13および化成処理層14が順次積層された積層体が得られる。
工程(III):
前記積層体の化成処理層14上に、接着樹脂層15を介してシーラント層16を積層する。積層方法としては、ドライプロセスとウェットプロセスが挙げられる。ドライプロセスの場合は、前記積層体の化成処理層14上に、接着樹脂層15を形成する接着樹脂からなるペレットを用いて押出ラミネートにより接着樹脂層15を形成し、さらにインフレーション法またはキャスト法により得られるシーラント層16を積層する。なお、化成処理層14は、この押出ラミネートの際にインラインで設けてもよい。その後、化成処理層14と接着樹脂層15との密着力を向上させる目的で、熱ラミネートなどの後処理を行うことが好ましい。熱ラミネート処理としては、シリンダーを使用した熱ロール方式やオーブンを利用した熱風方式等を利用することができ、シーラント層16と接着樹脂層15の融点以上の熱量を与えることが好ましい。熱ラミネート後の冷却では、シリンダーを利用した冷却ロール方式や空冷を利用した冷風方式、また水冷方式等を利用することができ、冷却速度および、冷却温度をコントロールすることで、結晶化度と複屈折を制御することができる。また本発明においては、上述したような層構成を形成させることで、上記工程以外にも押出ラミネート時の少ない熱量および、冷却でも特性を満たす包装材10が得ることができる。また、多層押出成型にて、接着樹脂層15とシーラント層16との包装材10を作成し、該包装材10を前記積層体上に熱ラミネートおよび冷却により積層してもよい。
ウェットプロセスの場合は、前記積層体の化成処理層14上に、接着樹脂層15を形成する接着樹脂を含有する接着樹脂液を塗工し、溶媒を揮発させた後、接着樹脂を融点以上の温度まで加熱し、溶融させて焼き付けを行う。その後、シーラント層16を熱ラミネートおよび冷却などの熱処理により積層することにより、包装材10が得られる。前記接着樹脂液とは、前述した接着樹脂層15を形成する接着樹脂を、有機溶媒に分散させた分散液、または有機溶媒に溶解させた溶液である。接着樹脂液を用いる場合には、該接着樹脂液に架橋剤、シランカップリング剤などの各種添加剤を配合してもよい。前記接着樹脂液の塗工方法としては、前記工程(I)において挙げた各種塗工方法が使用できる。また、熱ラミネートや冷却としては、上記ドライプロセスに記載した工程を同様に採用することができる。
以下に実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら例に限定されるものではない。ここで、実施例および比較例に用いた材料を以下に示す。
[使用原料]
<基材層>
A−1:2軸延伸ポリアミドフィルム(厚さ25μm)
<接着剤層>
B−1:ポリウレタン系接着剤(厚さ4μm)
<アルミニウム箔層>
C−1:軟質アルミニウム箔8079材(厚さ40μm)
<化成処理層>
D−1:塗布型クロメート処理
<接着樹脂層>
E−1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(厚さ15μm)
E−2:無水マレイン酸変性ポリプロピレン85質量%+オレフィン系エラストマー15質量%(厚さ15μm)
<シーラント層(ヒートシール層)>
F−1:無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)
[リチウムイオン電池用包装材の作成と評価方法]
<包装材作成>
まず、アルミニウム箔層13上に塗布型クロメートからなる化成処理層14を必要に応じてバーコーターにより設け、乾燥ユニットにおいて150〜200℃で焼き付け処理を施した。化成処理層14の厚さはドライで0.1〜0.2μmであった。次いで、アルミニウム箔層13の、化成処理層14とは反対側の面に、ドライラミネート手法により、4μmのポリウレタン系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製、A525/A50)を用いて耐熱性の基材層11を貼合した後に40℃7日間エージングすることで、接着剤の熱架橋をさせた。次に接着樹脂層を押出成型機から15μm押出し、両側から30μmのシーラント層16と化成処理層14と基材層11を積層したアルミニウム箔層13とで挟み込みながら貼り合わせ包装材を作製した。その後、包装材10を熱ラミネート装置において150〜200℃で4kg/cm、2m/分の条件で加熱圧着したあと徐冷、または急冷することでリチウムイオン電池用包装材を作成した。
(包装材評価)
得られたリチウムイオン電池用包装材を150×150mmサイズの長方径に切り取り、成型評価用サンプルとし、下記に示す条件で成型評価を行った。表1に記載したシーラント層と接着樹脂層の複屈折測定は、前記接着樹脂層およびシーラント層を積層した状態で、回転検光子法を用い、550nmの複屈折値を使用した。一方、シーラント層と接着樹脂層の結晶化度測定は、前記接着樹脂層およびシーラント層を積層した状態で、X線回折または赤外吸収分光から結晶化度の算出を行った。絞り深さ10mmまで調整可能な、長方形で100×50mmサイズの冷間成形用装置を用いてエンボス成形加工を行い、6mm絞り成型した場合のMD(機械方向)、TD辺(機械方向に垂直の方向)の白化の評価を行った。なお、○以上の評価を合格とする。
○:6mmの絞り量で、MDTD辺ともに延伸白化せずに成型可能である。
△:6mmの絞り量で、MDTD辺の少なくとも一辺が延伸白化せずに成型可能である。×:6mmの絞り量で、MDTD辺の両辺が延伸白化する。
[実施例1〜4、比較例1〜3]
実施例1〜4、比較例1〜3は、表1に示す材料を用い、包装材作製にて結晶化度と複屈折率の異なるリチウムイオン電池用包装材10を作成し、成型評価を行った。結果を表1に示す。なお、実施例3は参考例である。
Figure 2016195132
シーラント層16と接着樹脂層15の結晶化度が60%以下でかつ、複屈折が0.002以下の場合の実施例1から4では、成型性評価でMD、TD方向共に延伸部白化はなしという結果であった。一方、結晶化度が60%以下で、かつ複屈折が0.002を超えた比較例1では、成型性評価でMD方向への延伸部白化なし、TD方向への延伸部白化ありと、白化に異方性が発生する結果であった。次に結晶化度が60%を超え、複屈折が0.002以下である比較例2では、同様にMD方向、TD方向延伸部で白化ありという結果になった。一方、次に結晶化度が60%を超え、複屈折が0.002を超えた比較例3では、こちらも比較例2と同様にMD方向、TD方向延伸部で白化ありという結果になった。これらの結果により、シーラント層16と接着樹脂層15の結晶化度と複屈折を制御することにより、成型時の延伸部で発生する異方性白化を防止することができることがわかった。
本発明によれば、シーラント層と接着樹脂層の結晶化度が低く、機械的異方性が少ないことにより、エンボス成型時に異方性白化の少なく、深絞り成型が可能なリチウムイオン電池用包装材が得られる。
11・・・基材層
12・・・接着剤層
13・・・アルミニウム箔層
14・・・化成処理層
15・・・接着樹脂層
16・・・シーラント層
10・・・リチウムイオン電池用包装材(包装材)

Claims (8)

  1. 基材層の一方の面に、少なくとも接着剤層、アルミニウム箔層、化成処理層、接着樹脂層およびシーラント層が順次積層した包装材において、
    前記接着樹脂層が熱可塑性樹脂を含み、
    前記接着樹脂層およびシーラント層を積層した状態で、その複屈折率が0.002以下であり、かつ、結晶化度が10〜55%であることを特徴とするリチウムイオン電池用包装材。
  2. 前記化成処理層が、クロメート処理により形成された塗膜であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用包装材。
  3. 前記シーラント層が、オレフィン系樹脂の単層体または積層体から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用包装材。
  4. 前記オレフィン系樹脂が、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレンおよびブロックポリプロピレンから選択された少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン電池用包装材。
  5. 前記接着樹脂層が、酸変性オレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材。
  6. 前記酸変性オレフィン系樹脂が、酸変性プロピレンおよび酸変性エチレンから選択された少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン電池用包装材。
  7. 前記接着樹脂層が、スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマーから選択された少なくとも1種類以上をさらに含むことを特徴とする請求項5または6に記載のリチウムイオン電池用包装材。
  8. 前記接着樹脂層およびシーラント層の合計膜厚が12μm以上110μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材。
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