JP2016195059A - ガス拡散層とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明のガス拡散層は、以下の工程[1]〜[4]を含む製造方法によって製造することができる。
使用するカーボン粉としては、たとえば、黒鉛粉やカーボンブラックなどを用いることができる。例えばカーボンブラックとしてはアセチレンブラック(例えば電気化学工業(株)製のデンカブラック)、ケッチェンブラック(例えばライオン(株)製のKetjen Black EC)、ファーネスブラック(例えばCABOT社製のバルカンXC72)などを用いることができる。より高い導電性を発現するといった観点から、カーボンブラックを用いることが好ましい。
<<多孔質炭素電極基材の処理>>
多孔質炭素電極基材に撥水性を付与すべく行う撥水処理には、フッ素樹脂などの撥水剤の粒子を溶媒中に分散させた分散液を用いる。溶媒として水を用いる場合、撥水剤は、そのままでは水には分散しないため、適当な界面活性剤によって水中に分散させる。また、分散液としてはあらかじめ撥水剤が分散されたディスパージョン等を用いることもできる。
多孔質炭素電極基材上に塗工膜を形成するための塗工液を塗布方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えばバーコート法、ブレード法、スクリーン印刷法、スプレー法、カーテンコーティング法およびロールコート法などがあげられる。これらの方法により、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成することができる。
コーティングロッドとしては従来から使用されているワイヤーバーに限らず、金属棒の表面に溝を賦形したバーを用いることも出来る。コーティングロッドのピッチは0.1mm〜1.5mmであることが好ましく、さらに深さが5〜350μmの範囲内にあることが好ましい。
本発明においては、塗工したコーティング液が平坦化される前に固化、乾燥することでシート長手方向に沿って連続的な凹凸を有するコーティング層を形成する。乾燥方法は例えばプレートヒーター、加熱ロールや、熱風乾燥機やIRヒーターなどを用いることができる。乾燥させる際の雰囲気温度としては、50℃〜300℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜300℃である。乾燥温度が50℃よりも小さいと、塗膜の乾燥速度が遅くなり、コーティング層に凹凸を形成することができない、また、乾燥温度が300℃よりも大きくなると、溶媒の蒸発速度が速すぎるため、意図しない大きなクラックが塗膜に生じてしまい、塗工膜の強度が低下してしまう。乾燥時間としては、生産性を考慮すると0.5分〜20分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10分である。
本発明においては、乾燥後の「塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材」を300〜400℃の環境下において焼成させることでガス拡散層を製造する。
本発明の製造方法により、多孔質炭素電極基材から電気抵抗が低く、排水性の良い固体高分子形燃料電池用の多孔質炭素電極を製造することができる。多孔質炭素電極基材であれば、どのようなものであっても本発明の技術を使用することにより、従来の製造技術を使用するよりも上記の効果を発現することができる。
シート状物を製造するにあたっては、液体の媒体中に、炭素短繊維(A)を分散させて抄造する湿式法、空気中に、炭素短繊維(A)を分散させて降り積もらせる乾式法などの抄紙方法を適用できる。好ましくは湿式法である。
炭素短繊維(A)としては、その原料によらず用いることができるが、ポリアクリロニトリル(以後PANと略す。)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維から選ばれる1つ以上の炭素繊維を含むことが好ましく、PAN系炭素繊維あるいはピッチ系炭素繊維を含むことがより好ましい。炭素短繊維(A)の平均直径は、ガス拡散層としての表面平滑性と導電性の観点から、3〜30μm程度が好ましく、4〜20μmがより好ましく、4〜8μmがさらに好ましい。炭素短繊維(A)の長さは、抄紙時の分散性とガス拡散層としての機械的強度の観点から、2〜12mmが好ましく、3〜9mmがさらに好ましい。
炭素繊維前駆体短繊維(b)は、長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものである。炭素繊維前駆体短繊維(b)の繊維長は、分散性の点から、2〜20mm程度が好ましい。炭素繊維前駆体短繊維(b)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体短繊維(b)の直径は、炭素化時の収縮による破断を抑制するため、5μm以下であることが好ましい。
フィブリル状繊維(b´)は、天然繊維、合成繊維の区別なく、いかなる繊維を用いることも出来る。たとえば、アクリル等を主成分とするフィブリル状炭素前駆体(b´−1)から天然繊維である木材パルプまで含む。中でも含有する金属分が少ないことが好ましいため、フィブリル状繊維(b´)は、合成繊維であることが好ましい。より好ましくはフィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)などを用いることができる。これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、炭素化収率を向上させるには、以下に示すフィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)を用いることが好ましい。
抄紙体の製造にあたっては、以下の方法をとることもできる。好適な長さに切断した炭素短繊維(A)を水中に均一に分散させ、分散している炭素短繊維を網上に抄造し、抄造した炭素短繊維シートをポリビニルアルコールの水系分散液に浸漬し、浸漬したシートを引き上げて乾燥させる。前記ポリビニルアルコールは、炭素短繊維同士を結着するバインダーの役目を果たし、炭素短繊維が分散した状態において、それらがバインダーにより結着された状態の炭素短繊維のシートが製造される。バインダーとしては、他に、スチレン−ブタジエンゴム、エポキシ樹脂などを用いることが出来る。
交絡処理は必ずしも必要ではないが、シート状物を交絡処理することで、炭素短繊維
抄紙体に含浸させる樹脂としては、炭素化した段階でガス拡散層の炭素繊維を結着することのできる公知の樹脂から適宜選んで用いることができる。炭素化工程を有する多孔質炭素電極基材を製造する場合は、炭素化後に導電性物質として残存しやすいという観点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ピッチ等が好ましく、加熱による炭素化の際に炭化率の高いフェノール樹脂が特に好ましい。炭素化工程を有さない多孔質炭素電極基材を製造する際には、熱可塑性・熱硬化性樹脂を問わず、使用することができる。多孔質炭素電極基材の撥水性を高める観点から、フッ素樹脂が好ましい。また、炭素化工程の有無に関わらず、多孔質炭素電極基材の導電性をさらに向上させることを目的として、これらの樹脂に炭素粉を混合することも有効である。炭素粉としては、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛、葉片状黒鉛、塊状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛粒子、更には、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。特に限定はされないが、上記炭素粉のうちでも、黒鉛粒子、カーボンブラックがより好ましい。これらを単数あるいは複数用いてもよい。⇒東レ・東邦対策で炭素粉について追記しました。
熱硬化性樹脂を含浸させる方法としては、公知の方法を用いることが出来る。たとえば、ディップ法やキスコート法、スプレー法、カーテンコート法などを用いることが出来る。とりわけ製造コストの観点から、スプレー法やカーテンコート法を用いることが好ましい。
乾燥方法としては、公知の技術を用いることが出来る。加熱されたロールに接触させて乾燥させるドラム乾燥や熱風による乾燥方法などを用いることが出来る。メンテナンスの簡便さから、非接触方式による乾燥が好ましい。乾燥温度としては、樹脂が硬化しない温度範囲60〜110℃、より好ましくは70〜100℃が好ましい。
炭素化処理は前駆体シート中の炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状炭素前駆体繊維(b´)および熱硬化性樹脂を炭素化する。炭素化処理は多孔質炭素電極基材の導電性を高めるために、不活性ガス中で行うことが好ましい。炭素化処理は、通常1000℃以上の温度で行なわれる。炭素化処理温度範囲は、1000〜3000℃が好ましく、1000〜2200℃がより好ましい。炭素化処理時間は、例えば10分間〜1時間程度である。また、炭素化処理の前に、300〜800℃の程度の不活性雰囲気での焼成による前処理を行うことができる。
炭素化工程を省略することで、炭素化を行う場合に比べてエネルギーコストを大幅に低減することができる。炭素化工程の省略による導電性の低下を抑制するため、さらなる導電性物質を導入することが必要である。上述した、炭素短繊維が分散した抄紙体に前記導電性物質などを添加・定着させる方法や、導電性物質とバインダー樹脂からなるスラリーを調製し、それらを製膜後、熱処理を行って多孔質炭素電極基材を製造する方法がある。前者の方法であれば、上述した炭素化工程を有する多孔質炭素電極基材の製造方法に準じて、抄紙体に樹脂含浸を行う要領で、導電性物質を添加し、その後にプレス成形することで定着させて多孔質炭素電極基材を製造することができる。また、後者の製造方法においても、上記抄紙体を製造する際のスラリー調製方法と同様にして、導電性物質を単数もしくは複数選択し、バインダー物質と溶液中で混合することでスラリーを調製し、公知のコーティング技術を用いて製膜後、乾燥・熱処理を施すことで多孔質炭素電極基材を製造できる。また、これらに供する導電性物質は、特に限定されるものではなく、例えば、炭素繊維であればポリアクリロニトリル系(PAN系)炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、その他、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどを適宜用いることができる。用いる種類は限定されず、単独で使用してもよくあるいは複数選択して用いてもよい。導電性物質を決着させるバインダーとしては、樹脂を用いることができる。樹脂としては、撥水性を有するフッ素系、あるいはシリコン系樹脂などが好適である。上記スラリーを調製するにあたっては、スラリーの溶媒として、水、アセトン、エタノール、メタノールなどを適宜用いることができるが、環境負荷の低減、製造装置のコスト低減の観点から、溶媒としては水を用いることが最も好ましい。また、スラリー中における導電性物質およびバインダー物質の分散性を向上させるべく、界面活性剤や粘剤などの添加剤を適宜用いてもよい。
本発明の製造方法により得られる多孔質炭素電極は、炭素短繊維が炭素により結着された多孔質炭素電極基材の少なくとも一方の面上に、カーボン粉と繊維化された撥水剤からなるコーティング層が形成されたガス拡散層である。
本発明においては、「多孔質炭素電極基材の少なくとも一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成されたもの」を「ガス拡散層」という。本発明のガス拡散層は、固体高分子形燃料電池用のガス拡散層として有用である。
ここで言う凹凸とは、コーティング層をにおける厚みの不均一な形態のことを指す。この凹凸は、コーティングに用いるロッドの形態および、塗工膜の乾燥速度を調節することにより形成することができる。コーティング層上の凹部の平均深さHの、コーティング層の平均厚みAに対する比率H/Aが、0.01〜0.3となるように調整することが好ましい。ここで比率H/Aが0.01よりも小さいと凹凸による効果は発現しない。一方で、H/Aが0.3よりも大きくなるとコーティング層の強度が低下する。コーティング層上の凹部および凸部の幅については、それぞれ0.1〜1000μmの範囲内であることが好ましい。ここで言う凹部は平均厚みよりも小さな厚みを有する部分を指し、凸部は、平均厚みよりも大きな厚みを持つ部分のことを指す。
ガス拡散層の厚みは、良好な電気導電性と排水性を発現するために、55〜350μmの範囲にあることが好ましい。55μm以上であれば、ハンドリング可能であり、350μm以下であれば良好な電気伝導性が得られる。さらに好ましい厚みは、100〜250μmの範囲である。ガス拡散層を構成する多孔質電極基材の厚みが50〜250μmであることが好ましく、さらに少なくとも一方の面に形成されたコーティング層の平均厚みが5〜100μmであることが好ましい。多孔質電極基材の厚みが50μmより小さいと搬送が困難であり、コーティング層を設けることが困難である。また、多孔質電極基材の厚みが350μmよりも大きいと取扱い性は向上するが、電気抵抗が大きくなるため、発電性能が低下してしまう。コーティング層の厚みは、5μmよりも小さいと、多孔質炭素電極基材を構成する炭素短繊維がコーティング層を突き破り、触媒層や電解質膜まで到達する恐れがあるため好ましくない。100μmよりも厚すぎるとコーティング層による電子抵抗が増大し、発電性能の低下を招くこととなるため好ましくない。
製造した多孔質炭素電極基材、およびガス拡散層から、3×3cm角の試験片を10点、ランダムに取り出し、それぞれの厚みをマイクロメーターにより各サンプルに対して5点ずつ測定して平均厚みを算出し、ガス拡散層の平均厚みより多孔質炭素電極基材の平均厚みを差し引くことで、コーティング層の厚みを算出した。
製造したガス拡散層から、1m2あたり、5×5mm角の試験片を10個作成し、各々の試験片について、走査型電子顕微鏡にて加速電圧5kV、スポットサイズ30mm、焦点距離15mm、倍率1000倍にて各サンプルの全面積について撮影を行った。凹凸のサイズ検出には断面観察および、画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー社製)を用いて行った。各サンプルのクラックのサイズは平均値により決定した。
片面に触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量:50質量%)及び撥水剤、アイオノマーからなる触媒層(触媒層面積:25cm2、Pt付着量:0.3mg/cm2)を形成したパーフルオロスルホン酸系の高分子電解質膜(膜厚:30μm)に対し、触媒層とガス拡散層のコーティング層が接するように重ね合わせ、120℃で1.5MPaの面圧を付与して膜電極接合体を形成した。この膜電極接合体を20mm角にカットし、試験サンプルとする。試験サンプルの両面から、万能試験機を用いて試験サンプルを厚み方向に引っ張る向きに2Nの試験力を加え、試験サンプルに剥離が生じるか否かにより接着性を評価した。一つの例に対し、試験サンプルは10点作製・試験を実施し、1点でも剥離が生じた際には接着性は×とした。
(多孔質炭素電極基材)
多孔質炭素電極基材は、市販のカーボンペーパーやカーボンクロスなどを用いることが出来るが、本発明では平滑な多孔質炭素電極基材を得るべく、多孔質炭素電極基材から製造を行った。
炭素短繊維(A)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ミキサーを通して離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
炭素繊維前駆体短繊維(b)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ミキサーを通して離解処理し、離解スラリー繊維(Sb)とした。
前記易割繊性アクリル系海島複合短繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散させミキサーを通して叩解・離解処理し、離解スラリー繊維(Sb´)とした。
炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)およびフィブリル状繊維(b´)とが、質量比70:10:20で、かつスラリー中の繊維の濃度が、1.44g/Lとなるように離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb)、離解スラリー繊維(Sb´)、希釈水を計量し、分散させた。抄紙には、ネット駆動部及び幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置、スラリー供給部幅が48cm、ネット下部に配置した減圧脱水装置からなる処理装置を用いた。処理装置の下流に下記の3本のウォータージェットノズルを備えた加圧水流噴射処理装置を配置した。
幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)
1列配置、ノズル有効幅500mm
幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)
1列配置、ノズル有効幅500mm
幅方向孔間ピッチ1.5mm
3列配置、列間ピッチ5mm、ノズル有効幅500mm
得られた抄紙体にフェノール樹脂ディスパージョンを含浸させ、熱風乾燥機を用いて雰囲気温度100℃にて乾燥させた。
次に、この抄紙体の両面を、シリコーン系離型剤をコートした紙で挟み込むように配置し、ダブルベルトプレス装置にて190℃、ベルト速度0.2m/分にてプレス成形を行った。
その後、この前駆体シートを炭素化炉にて、窒素ガス雰囲気中、2000℃の条件下で炭素化処理して多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材は反りやうねりが生じておらず平滑であった。得られた多孔質炭素電極基材の厚みは155μmであった。
デンカブラック(電気化学工業株式会社製)、イオン交換水、イソプロピルアルコールをそれぞれ5:100:80の割合で混合し、ホモミクサーMARK−II(プライミクス株式会社製)を用いて、冷却しながら15000rpmで30分間撹拌を行って、コーティング液1を得た。
コーティング液1に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョンをカーボンブラック1に対し、0.3の割合で添加しディスパーによって5000rpmで15分間の撹拌を行い、コーティング液2を得た。
多孔質炭素電極基材用の撥水処理液の作成には、PTFEディスパージョン(31−JR、三井デュポンフロロケミカル製)と界面活性剤(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)および蒸留水を用いた。撥水処理液における固形分濃度が、PTFEは1wt%、界面活性剤は2wt%となるように調整した後、蒸留水を添加して、ディスパーを用いて1000rpm、10分間撹拌することによって撥水処理液を作成した。
多孔質炭素電極基材を上記の撥水処理液に浸漬することによって含浸させた。含浸後の多孔質炭素電極基材をアプリケーター(テスター産業製)のガラス面に静置し、付属のアプリケーターバーを多孔質炭素電極基材に押し当て、アプリケーターバーを100mm/secの速度で搬送することによって、多孔質炭素電極基材に付着した余分な撥水処理液を取り除き、乾燥機にて60℃30分間多孔質炭素電極基材を乾燥処理することで撥水処理が施された多孔質炭素電極基材を得た。
さらに、コーティング液2を多孔質炭素電極基材上にピッチが0.1mm、深さが10μmのコーティングロッドを用いて塗工速度1m/minにて塗工し、すぐさま100℃に設定した熱風乾燥炉を用いて20分間乾燥させた。さらに、乾燥後焼結炉にて360℃1時間焼結処理をおこなってコーティング層を形成したガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを20μmとしたことと、塗工速度を5m/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを50μmとしたことと、塗工速度を10m/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを100μmとしたこと以外は、実施例3と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを300μmとしたこと以外は、実施例3と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドのピッチを0.5mm、深さを20μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを50μmとしたことと、塗工速度を5m/minとしたこと以外は、実施例6と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを100μmとしたことと、塗工速度を10m/minとしたこと以外は、実施例6と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを300μmとしたこと以外は、実施例8と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドのピッチを1mm、深さを50μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを80μmとしたことと、塗工速度を5m/minとしたこと以外は、実施例10と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを100μmとしたことと、塗工速度を10m/minとしたこと以外は、実施例10と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを300μmとしたこと以外は、実施例12と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドのピッチを1.5mm、深さを80μmとしたこと以外は、実施例12と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドのピッチを1.5mmとしたこと以外は、実施例4と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドの深さを200μmとしたこと以外は、実施例14と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
塗工に用いるコーティングロッドのピッチを1.5mmとしたこと以外は、実施例5と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の厚みおよび形成された凹凸の情報を計測したところ、表1のようになった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離は生じず良好な結果が得られた。
コーティングロッドとして、ピッチ及び深さを有さない丸棒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層を得ようとしたが、均一なコーティング層を得ることができなかった。コーティング層の厚み等は計測できなかった。
コーティングロッドとして、ピッチ及び深さを有さない丸棒を用いたこと以外は実施例2と同様にして、ガス拡散層を得ようとしたが、均一なコーティング層を得ることができなかった。コーティング層の厚み等は計測できなかった。
コーティング液を多孔質電極基材上に塗工する際に、ブレードを用いてコーティング層の厚みが50μmとなるよう塗工を行ったこと以外は、実施例4と同様にしてガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の表面には凹凸がなく、平滑な表面であった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離が10点測定中8点において発生し、接着性が弱い傾向が確認された。評価結果は表1にまとめた。
コーティング液を多孔質電極基材上に塗工する際に、スロットダイを用いてコーティング層の厚みが50μmとなるよう塗工を行ったこと以外は、実施例4と同様にしてガス拡散層を得た。得られたガス拡散層のコーティング層の表面には凹凸がなく、平滑な表面であった。また電極触媒層との接着性評価を実施したところ、触媒層とコーティング層間での剥離が10点測定中6点において発生し、接着性が弱い傾向が確認された。評価結果は表1にまとめた。
Claims (7)
- 多孔質炭素電極基材の少なくとも一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を設けたガス拡散層であって、シート長手方向に沿って直線状の凹凸を有するコーティング層を形成しているガス拡散層。
- ガス拡散層を構成する多孔質電極基材の厚みが50〜250μmであり、少なくとも一方の面に形成されたコーティング層の厚みが5〜100μmである請求項1に記載のガス拡散層。
- コーティング層上の凹部の平均深さHの、コーティング層の平均厚みAに対する比率H/Aが、0.01〜0.3である請求項1または2に記載のガス拡散層。
- コーティング層上の凹部および凸部の幅がそれぞれ0.1〜1000μmの範囲内である請求項1〜3のいずれかに記載のガス拡散層。
- 前記凹部の幅と凸部の幅の差が、0.1〜500μmである請求項1〜4のいずれかに記載のガス拡散層。
- ピッチが0.1mm〜1.5mm深さが5〜350μmのコーティングロッドを用いて1〜10m/分の速度でコーティング液を多孔質電極基材上に塗工し、シート長手方向に沿って連続的な凹凸を有するコーティング層を形成するガス拡散層の製造方法。
- 塗工したコーティング液が平坦化される前に固化、乾燥し、シート長手方向に沿って連続的な凹凸を有するコーティング層を形成する、請求項6に記載のガス拡散層の製造方法。
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