JP2016193803A - ドロマイトの多孔質化方法、多孔質ドロマイト材の製造方法、該製造方法により得られた多孔質ドロマイト材及び該多孔質ドロマイト材の利用方法 - Google Patents

ドロマイトの多孔質化方法、多孔質ドロマイト材の製造方法、該製造方法により得られた多孔質ドロマイト材及び該多孔質ドロマイト材の利用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や温度等の焼成条件の設定等に左右されることがなく、ドロマイトの細孔容積を高めることで多孔質化して吸着性能を向上させた、ドロマイトの多孔質化方法、多孔質ドロマイト材の製造方法、該製造方法により得られた多孔質ドロマイト材及び該多孔質ドロマイト材の利用方法を提供する。【解決手段】本発明のドロマイトの多孔質化方法は、ドロマイト焼成物の粉末X線回析によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO3)2相の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成してCaMg(CO3)2相の残留量を調整することで、ドロマイトを多孔質化して高吸着性とする、ドロマイトの多孔質化方法であり、多孔質ドロマイト材は、特に、排ガス吸着用もしくはウィルス不活化用として利用できる。【選択図】なし

Description

本発明は、ドロマイトの多孔質化方法、多孔質ドロマイト材の製造方法、該製造方法により得られた多孔質ドロマイト材及び該多孔質ドロマイト材の利用方法に関し、特に、単位質量あたりの細孔容積を高めることにより吸着性能を高めることができ、例えば排ガス吸着やウィルス不活化に用いることができる、ドロマイトの多孔質化方法、多孔質ドロマイト材の製造方法、該製造方法により得られた多孔質ドロマイト材及び該多孔質ドロマイト材の利用方法に関する。
従来より、NOx等の排ガス吸着に使用される排ガス吸着材としては、活性炭やゼオライト、モンモリロナイト等の層状粘土鉱物が使用されてきた。また、ウィルス不活化に使用される無機系抗菌剤としては、銀系抗菌剤が一般的に用いられている。
しかし、排ガス吸着等に使用される活性炭やゼオライトはコストが高く、ウィルス不活化に使用される銀系抗菌剤は、コストの面や、酸化による黒化、銀イオンの溶出等の問題を抱えている。
そこで、焼成ドロマイトが、鳥インフルエンザ等のウィルスに対して効果があることが非特許文献1「無機マテリアル学会誌」第13巻(2006年)7月号に記載されている。
また、国際公開WO2005/013695号公報(特許文献1)には、ウィルス不活化を目的とした焼成ドロマイトの製造法が示されており、焼成における温度範囲は、700℃以上1300℃以下、好ましくは、700℃以上1100℃以下の範囲にし、焼成(か焼)時間は、14時間〜15時間かけて行うようにすることが記載されている。
しかし、上記従来の方法は、ドロマイトの温度と焼成時間とを設定しなければならないこと、また焼成時間が長くエネルギーコストが高いことが問題である。
特開2012−3115号公報(特許文献2)には、ドロマイトを焼成し、それを水和した後、微粉砕した微粒子を抗ウィルス剤とし、それに添加剤として炭素数5〜18の脂肪酸が配合されている、抗ウィルス剤が記載されている。
特開2008−69136号公報(特許文献3)には、比表面積が特定の範囲になる生石灰粉末を有効成分とし、これに生石灰の1〜5重量%の脂肪酸を配合してなる衛生剤が記載されている。
また特開2014−140812号公報(特許文献4)には、ドロマイトまたはMgOとして5重量%以上のMgCOを含有する石灰石を、900〜1200℃の温度で焼成したのち、焼成物に対して1重量%以下のジエチレングリコールを添加した消化水を加えて消化し、消化物を熟成することにより製造された消化物であって、MgO換算で5重量%以上のMgO+Mg(OH)を含有し、比表面積が30m/g以上50m/g未満、細孔容積が0.15cm/g以上0.3cm/g未満である排ガス処理剤が記載されている。
更に、特開2005−320267号公報(特許文献5)には、CaCO3/MgCO3のモル比が0.8〜2.0であるドロマイトを焼成して脱炭酸させ、得られた焼成ドロマイトに水を加えて消化し、熟成することからなる消化ドロマイトを製造する方法において、焼成ドロマイトに対して重量比で0.01〜0.20の糖を添加するとともに、焼成ドロマイトの消化当量より過剰な量の消化水を添加することを特徴とする反応性の高い消化ドロマイトを排ガス浄化に用いることができることが記載されている。
通常、ドロマイトは、下記反応式に従い2段階で熱分解する。
CaMg(CO→MgO+CaCO+CO→MgO+CaO+2CO
ドロマイトを焼成することで、半焼成ドロマイトには、ドロマイト相(CaMg(CO相)、MgO相、CaCO相が共存することとなり、これらの結晶相の含有割合により、吸着性能が異なると考えられる。
また、原料となるドロマイト鉱石は、通常ドロマイト相と炭酸カルシウム相の2相混合物の状態で産出され、ドロマイト相の含有率は、産地毎に大きく異なり、したがって、ドロマイトを焼成する際には、原料毎に適切な焼成条件が異なってしまうという問題がある。
しかし、従来においては、ドロマイトを排ガス浄化材や抗ウィルス材として有効に用いるのに適するドロマイト焼成物は、含有されるドロマイト相が関連することは一切記載されていない。もっと簡便にドロマイトの吸着性能を向上させることができるドロマイト多孔質吸着材で、特に排ガスやウィルスを有効に吸着することができる、ドロマイト多孔質吸着材の開発が期待されている。
国際公開WO2005/013695号公報 特開2012−3115号公報 特開2008−69136号公報 特開2014−140812号公報 特開2005−320267号公報
「無機マテリアル学会誌」第13巻(2006年)7月号
本発明の目的は、上記課題を解決し、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や温度等の焼成条件の設定等に左右されることがなく、ドロマイトの細孔容積を高めることで多孔質化して吸着性能を向上させた、ドロマイトの多孔質化方法を提供することである。
また本発明の他の目的は、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や温度等の焼成条件の設定等に左右されることなく、原料ドロマイトの細孔容積を高めることで多孔質化する、多孔質ドロマイト材の製造方法及び該方法により得られた多孔質ドロマイト材を提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記多孔質ドロマイト材の有効利用方法を提供することである。
本発明は、ドロマイト焼成物中に残留するドロマイト相の含量と、焼成により変化する細孔容積と比表面積とが密接な関係にあることを見出し、ドロマイト焼成物中のドロマイト相の残留量を特定の回析方法で解析して決定することで、本発明に到ったものである。
すなわち本発明のドロマイトの多孔質化方法は、粉末X線回析によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO2相の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成してCaMg(CO2相の残留量を調整することで、ドロマイトを多孔質化して高吸着性とすることを特徴とする、ドロマイトの多孔質化方法である。
また、本発明の多孔質ドロマイト材の製造方法は、ドロマイトを、粉末X線回析によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO2相の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成することで、高吸着性の多孔質ドロマイト材を得ることを特徴とする、多孔質ドロマイト材の製造方法である。
本発明の多孔質ドロマイト材は、前記本発明の多孔質ドロマイト材の製造方法により得られた、多孔質ドロマイト材である。
また、本発明の多孔質ドロマイト材の利用方法は、上記本発明の多孔質ドロマイト材を、排ガス吸着またはウィルス不活化に用いることを特徴とする、多孔質ドロマイト材の利用方法である。
本発明は、ドロマイトの多孔質化と、ドロマイト焼成物中の残留ドロマイト相の含量とが密接な関係にあることを見出したことにより、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や、焼成温度等の焼成条件の調整などに依存することなく、半焼成ドロマイト中の残留ドロマイト相の含量を正確に特定することで、ドロマイトを有効に多孔質化して、得られる多孔質ドロマイト材単独で吸着性能を有効に発揮することを可能とする。
また、本発明の多孔質ドロマイト材の製造方法は、本発明の半焼成ドロマイトである多孔質ドロマイト材を、特別な装置等を必要とすることなく、有効に製造することができる。
更に、本発明の製造方法により製造された多孔質ドロマイト材は、多孔質性に優れ、細孔容積も大きく、また比表面積が高くなり、他の添加剤等と組合わせて用いる必要なく、該ドロマイト材単独で、吸着性能が優れることとなる。
本発明の多孔質ドロマイト材は、多孔質化による吸着性能が優れるため、排ガス中のNOx等や鳥インフルエンザや口蹄疫ウィルス等の不活化に有効に利用することができる。特に、ドロマイトは粘土鉱物であり経済的であるため、高価なものとはならず、人体に有害ではなく、例えば、酸性ガスを通過させて排ガスを浄化したり、土壌に散布することで、鳥インフルエンザや口蹄疫ウィルス等を有効に吸着・不活化することが可能となる。
一例の原料ドロマイトを用いたドロマイト焼成物中の残留ドロマイト相の含量及び比表面積を表す線図である。 他の一例の原料ドロマイト材を用いたドロマイト焼成物中の残留ドロマイト相の含量及び比表面積を表す線図である。 他の一例の原料ドロマイト材を用いたドロマイト焼成物中の残留ドロマイト相の含量及び比表面積を表す線図である。 他の一例の原料ドロマイト材を用いたドロマイト焼成物中の残留ドロマイト相の含量及び比表面積を表す線図である。 他の一例の原料ドロマイト材を用いたドロマイト焼成物中の残留ドロマイト相の含量及び比表面積を表す線図である。 原料ドロマイトの産地の相違による各ドロマイト焼成物の細孔半径と細孔容積変化率との関係を示す図である。 原料ドロマイトの産地の相違によるドロマイト焼成物の比表面積とドロマイト相の残留量との関係を示す図である。
本発明を以下の好適例により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明のドロマイトの多孔質化方法は、粉末X線回析によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO2相の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成してCaMg(CO2相の残留量を調整することで、ドロマイトを多孔質化して高吸着性とする、ドロマイトの多孔質化方法である。
上記方法により、原料ドロマイトの産地等に依存することなく、ドロマイトを、高比表面積を有するように多孔質化できることとなる。
本発明は、ドロマイト焼成物中の残留ドロマイト相の含量と、多孔質化と比表面積とが相関関係を有することにより、ドロマイト焼成物中に含まれるドロマイト相であるCaMg(CO相を定量して、上記特定の範囲内の残留量とすることで、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や、焼成温度等の焼成条件の調整などに関係なく、ドロマイトが高い比表面積を有するように多孔質化できることとなる。
本発明に用いられる原料ドロマイトは、任意の原料ドロマイトを用いることができ、産地や原料ドロマイトの組成は問わない。
ドロマイトは、石灰石CaCOとマグネサイトMgCOのモル比が1:1となる複塩構造をとっており、CO 2−基を挟んでCa2+イオンとMg2+イオンが交互に層を成しており、一般に、炭酸マグネシウムの割合が10〜45質量%のものをいう。ドロマイトは、国内に多量に存在しているため、得られる多孔質ドロマイ材を使用した排ガス吸着材やウィルス不活化材は、コストや環境負荷の点からも有利である。
ドロマイトは焼成することで、
CaMg(CO→MgO+CaCO+CO・・・(1)
で表される分解反応を示す。ドロマイトの焼成による上記熱分解により、ドロマイトが多孔質化することで比表面積が増加して、吸着性能を向上させることができるものと考えられる。
本発明は、ドロマイトを焼成した半焼成ドロマイト中のドロマイト相(CaMg(CO相)の残留量を粉末X線回析によるリートベルト法により解析して、残留CaMg(CO相の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)、好ましくは1.8≦x≦17.4(質量%)となるようにすることで、半焼成ドロマイトの多孔質化を実現し、高い比表面積を有することが可能となるものである。
残留CaMg(CO相の含量が、0.4質量%より小さい場合や35.4質量%より多い場合では、得られるドロマイト焼成物の多孔質化が低下し比表面積が小さくなってしまう。
粉末X線回析によるリートベルト法は、TG−DSC法と異なり、半焼成ドロマイト中に含まれるCaMg(CO相、CaCO3相、MgO相の量を正確に解析することができるため、ドロマイト焼成物中の残留ドロマイト相(CaMg(CO相)の正確な定量を可能とすることができる。
また、本発明の多孔質ドロマイト材の製造方法は、ドロマイトを、粉末X線回析によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO相の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成することで多孔質化して高比表面積を有する、多孔質ドロマイト材の製造方法である。
ドロマイトを焼成する温度は、特に限定されず、通常ドロマイトを焼成して半焼成ドロマイトを製造する温度、例えば650〜1000℃で焼成することができる。残留CaMg(CO相の含量が0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成すれば焼成時間も特定されるものではない。
ドロマイトを焼成する過程で、残留CaMg(CO相の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となる時間の半焼成ドロマイトを選定することで、本発明の、多孔質化されて高比表面積を有するような多孔質ドロマイト材を得ることができる。
上記本発明の高比表面積を有するように多孔質化されたドロマイト材は、多孔質で高比表面積を有するため、排ガス吸着やウィルス吸着に有効利用することができる。その吸着方法は、特に限定されず、公知の任意の方法を適用することができ、排ガス吸着には該ドロマイト材粉末を、従来の排ガス吸着材が適用されていた固定床触媒や流動床触媒として利用でき、またウィルス吸着材としては、例えば、鳥インフルエンザや口蹄疫等のウィルスを、該ドロマイト材粉末を土壌に配合混合することで除去することが可能となる。
また本発明の多孔質ドロマイト材は、本来、粘土鉱物であり、人体に無害であり、入手が容易であって安価であるため、大量に散布等する場合には、特に有効に用いることができる。
更に、本発明の多孔質ドロマイト材は、粉末状にして、各種用途に適用することが可能であり、例えば、壁材、天井材、床材等の用途の場合には、本発明のドロマイト材をロールコーター、カーテンフローコーター、吹付等により塗工することができる。
本発明を次の実施例及び比較例により説明する。
産地A〜Eの異なる各ドロマイト6種を、大気中800℃にて10〜120分焼成し、その間、焼成開始から10分毎の各ドロマイト焼成物を得た。各ドロマイト焼成物を、下記条件の粉末X線回析リートベルト法にて、各ドロマイト焼成物中の残留ドロマイト相(CaMg(CO相)の含量を解析した。
その結果を、それぞれ下記表1〜5及び図1〜図5に示す(産地Aは表1・図1、産地Bは表2・図2、産地Cは表3・図3、産地Dは表4・図4、産地Eは表5・図5)。
Figure 2016193803
Figure 2016193803
Figure 2016193803
Figure 2016193803
Figure 2016193803
粉末X線回析リートベルト法による測定条件は以下の通りである。
装置名:PANalytical X’Pert Pro MPD
解析ソフト:PANalytical X’Pert HighScore Plus
測定条件
管球:Cu-Kα
管電圧:45 kV
電流:40 mA
モノクロメーター無し
Divergence Slit:1 °
Scatter Slit:1 °
SollerSlit:0.04 Rad
receiving Slit:無し
Scan Continuous:0.15 °/min
Filter:Ni
検出器:X’Celarator
Stage:MPSS
また、上記各産地A〜Eから得られた各ドロマイト焼成物の細孔容積と細孔半径を測定した。その結果をそれぞれ下記表6〜10に示す(産地Aは表6、産地Bは表7、産地Cは表8、産地Dは表9、産地Eは表10)。
また、上記各産地A〜Eから得られた各ドロマイト焼成物の比表面積も測定した。その結果を、それぞれ下記表6〜10及び図1〜図5に示す(産地Aは表6・図1、産地Bは表7・図2、産地Cは表8・図3、産地Dは表9・図4、産地Eは表10・図5)。
なお、細孔容積、細孔半径、比表面積は下記の方法で測定した。
・窒素吸着法
前処理方法:120 ℃で8時間、真空脱気を行った。
測定方法:定容法を用いて、窒素による吸着脱離等温線を測定した。
吸着温度:77K 吸着質断面積:0.162 nm2
吸着質:窒素 平衡待ち時間:150 sec※1
飽和蒸気圧:実測
※1:吸着平衡状態(吸脱着の際の圧力変化が所定の値以下になる状態)に達してからの待ち時間
比表面積:BET法(JIS Z 8830:2013)により算出した。
細孔容積及び細孔半径:BJH法(JIS Z 8831-2:2010)により算出した。
測定装置:BELSORP-mini(マイクロトラック・ベル(株)製)
前処理装置:BELPREP-vacII(マイクロトラック・ベル(株)製)
なお、窒素BET法とは、吸着材に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより吸着等温線を測定し、測定したデータを下記式(1)で表されるBET式に基づき解析する方法であり、この方法に基づき比表面積や細孔容積等を算出することができる。
具体的には、窒素BET法により比表面積の値を算出する場合、先ず、吸着材に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより、吸着等温線を求める。そして、得られた吸着等温線から、下記式(1)あるいは式(1)を変形した下記式(1’)に基づき[p/{Va(p0-p)}]を算出し、平衡相対圧(p/p0)に対してプロットする。そして、このプロットを直線と見なし、最小二乗法に基づき、傾きs(=[(C−1)/(C・Vm)])及び切片i(=[1/(C・Vm)])を算出する。そして、求められた傾きs及び切片iから下記式(2−1)、下記式(2−2)に基づき、Vm及びCを算出する。更には、Vmから、下記式(3)に基づき比表面積asBETを算出することで、比表面積を求めることができる。
Va=(Vm・C・p)/[(p0-p){1+(C−1)(p/p0)}]・・・(1)
[p/{Va(p0‐p)}]=[(C−1)/(C・Vm)](p/p0)+[1/(C・Vm)]・・・(1’)
Vm=1/(s+i)・・・(2−1)
C =(s/i)+1・・・(2−2)
asBET=(Vm・L・σ)/22414・・・(3)
但し、上記式中、Va:吸着量、Vm:単分子層の吸着量、p:窒素の平衡時の圧力、p0:窒素の飽和蒸気圧、L:アボガドロ数、σ:窒素の吸着断面積を示す。
窒素BET法により細孔容積Vpを算出する場合、例えば、求められた吸着等温線の吸着データを直線補間し、細孔容積算出相対圧で設定した相対圧での吸着量Vを求める。この吸着量Vから下記式(4)に基づき細孔容積Vpを算出することができる。なお、窒素BET法に基づく細孔容積を、以下、単に「細孔容積」と称する。
Vp=(V/22414)×(Mg/ρg)・・・(4)
上記式中、V:相対圧での吸着量、Mg:窒素の分子量、ρg:窒素の密度を示す。
メソ細孔の孔径は、例えば、BJH法に基づき、その孔径に対する細孔容積変化率から細孔の分布として算出することができる。BJH法は、細孔分布解析法として広く用いられている方法である。BJH法に基づき細孔分布解析をする場合、先ず、吸着材に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより、脱着等温線を求める。そして、求められた脱着等温線に基づき、細孔が吸着分子(例えば窒素)によって満たされた状態から吸着分子が段階的に着脱する際の吸着層の厚さ、及び、その際に生じた孔の内径(コア半径の2倍)を求め、下記式(5)に基づき細孔半径rpを算出し、下記式(6)に基づき細孔容積を算出する。そして、細孔半径及び細孔容積から細孔径(2rp)に対する細孔容積変化率(dVp/drp)をプロットすることにより細孔分布曲線が得られる。
rp=t+rk・・・(5)
Vpn=Rn・dVn−Rn・dtn・c・ΣApj・・・(6)
但し、Rn=rpn2/(rkn−1+dtn)2・・・(7)
上記式中、rp:細孔半径、rk:細孔半径rpの細孔の内壁にその圧力において厚さtの吸着層が吸着した場合のコア半径(内径/2)、Vpn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの細孔容積、dVn:そのときの変化量、dtn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの吸着層の厚さtnの変化量、rkn:その時のコア半径、c:固定値、rpn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの細孔半径を示す。
また、ΣApjは、j=1からj=n−1までの細孔の壁面の面積の積算値を示す。
Figure 2016193803
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Figure 2016193803
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また、表6〜10に示す原料ドロマイトの産地の相違による各ドロマイト焼成物であるドロマイト材中、当該表中に記載されているドロマイト材であって最も比表面積が大きいものの細孔半径(r)と細孔容積変化率(dV/dr)との関係を示す図を図6に示す。
更に、産地の違いによる多孔質ドロマイト材の比表面積とドロマイト相の残留量との関係を示す図を図7に示す。
上記表及び図の結果より、ドロマイトを高比表面積を有するように多孔質化するためには、半焼成ドロマイト中に残留するドロマイト相(CaMg(CO相)の含量が0.4≦x≦35.4(質量%)となるように調整することで、多孔質化でき、比表面積を大きくすることができることがわかる。
従って、本発明の多孔質ドロマイト材は、多孔質化により比表面積を高くすることができるため、吸着性能に優れることとなり、例えば、NOx等の排ガスを有効に吸着でき、また土壌等に添加配合して口蹄疫等のウィルス等を有効に吸着することが可能となるものである。
本発明は、産地や原料ドロマイトの組成に関係なく、簡便に、多孔質化されて高比表面積を有する多孔質ドロマイト材を得ることができるため、排気中に含まれる有害な物質や、鳥インフルエンザ等のウィルスを効率良く、吸着除去することに適用できる。

Claims (4)

  1. ドロマイト焼成物の粉末X線回析によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO2相の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成してCaMg(CO2相の残留量を調整することで、ドロマイトを多孔質化することを特徴とする、ドロマイトの多孔質化方法。
  2. ドロマイトを、粉末X線回析によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO2の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように、ドロマイトを焼成することにより多孔質化することを特徴とする、多孔質ドロマイト材の製造方法。
  3. 請求項2記載の多孔質ドロマイト材の製造方法により得られた、多孔質ドロマイト材。
  4. 請求項3に記載の多孔質ドロマイト材を、排ガス吸着またはウィルス不活化に用いることを特徴とする、多孔質ドロマイト材の利用方法。

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