JP2016193073A - 歯ブラシ - Google Patents

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【課題】ヘッド部を薄型化しても反りを抑制できる歯ブラシを提供する。【解決手段】植毛面12に複数の植毛穴12aが設けられたヘッド部10を備え、用毛の毛束が植毛穴に植設されてなる歯ブラシであって、ヘッド部の最小厚さは、2.0mm以上、3.5mm以下であり、ヘッド部の最小厚さをT、ヘッド部の短手方向の最大幅をW、植毛穴の直径をd、植毛穴の深さをD、ヘッド部の長手方向における植毛穴が設けられた範囲の長さをL、長手方向における植毛穴の配置ピッチをl、短手方向の植毛穴の数をnとしたときに、(T−D)×(l−d)×(W−n×d)×(T/L/W)×100で表される値が1.5以上、4.0以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、歯ブラシに関する。
歯ブラシにおいては、操作性を高めて口腔内を隅々まで刷掃できるようにするために、ヘッド部を薄型化することがある。ヘッド部の薄型化に伴う課題としては、(1)ヘッド部の破断強度の確保、(2)植毛強度の確保、(3)ヘッドの反りの回避が挙げられる。
上記の課題(1)について、例えば特許文献1には、樹脂特性、耐折れ強度、ヘッド部の厚さ範囲、ヘッド部の幅方向の最外側の植毛穴と端縁との最短距離を規定した歯ブラシが開示されている。また、上記の課題(2)について、例えば特許文献2には、樹脂材料に加えて、ヘッド部の厚さ範囲、平線の厚さおよび幅、植毛穴の直径および深さの関係を定義した歯ブラシが開示されている。
特許第5530776号公報 特許第5427486号公報
しかしながら、上記課題(3)のヘッドの反りについては、特許文献1および特許文献2に記載された技術では十分とはいえなかった。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、ヘッド部を薄型化しても反りを抑制できる歯ブラシを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部を備え、用毛の毛束が前記植毛穴に植設されてなる歯ブラシであって、前記ヘッド部の最小厚さは、2.0mm以上、3.5mm以下であり、前記ヘッド部の最小厚さをT、前記ヘッド部の短手方向の最大幅をW、前記植毛穴の直径をd、前記植毛穴の深さをD、前記ヘッド部の長手方向における前記植毛穴が設けられた範囲の長さをL、前記長手方向における前記植毛穴の配置ピッチをl、前記短手方向の前記植毛穴の数をnとしたときに、(T−D)×(l−d)×(W−n×d)×(T/L/W)×100で表される値が1.5以上、4.0以下であることを特徴とする歯ブラシが提供される。
本発明の歯ブラシにおいては、前記値は、2.0以上、3.5mm以下であることが好ましい。
本発明の歯ブラシにおいては、前記ヘッド部の最小厚さは、2.5mm以上、3.5mm以下であることが好ましい。
本発明の歯ブラシにおいては、前記用毛は、金属片により前記ヘッド部に固定されていることが好ましい。
本発明では、ヘッド部を薄型化しても反りを抑制することが可能となる。
本発明の実施の形態を示す図であって、歯ブラシの正面図である。 図1の歯ブラシを構成するヘッド部の植毛面を示す平面図である。 図2におけるA−A線視断面図である。 実施例及び比較例の仕様及び評価を示す図である。
以下、本発明の歯ブラシの実施の形態を、図1ないし図4を参照して説明する。
図1〜図3に、本実施形態の歯ブラシを示す。図1は、歯ブラシ1の正面図、図2は、歯ブラシ1を構成するヘッド部10の植毛面12を示す平面図、図3は、図2におけるA−A線視断面図である。
本実施形態の歯ブラシ1は、用毛の毛束11が植毛されたヘッド部10と、ヘッド部10の基端側から延設されたネック部20と、ネック部20の基端側から延設されたハンドル部30(以下、ヘッド部10とネック部20とハンドル部30とを合わせてハンドル体という。)とを備える。
ハンドル体は、全体として長尺状に一体成形されたものであり、例えば、樹脂を材料とし射出成形により得られるものである。
ハンドル体の材質としては、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、ポレアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)などが挙げられる。これらの中でも、強度が高く、ヘッド部を薄肉化しやすい点では、ポリアセタール樹脂が好ましい。
上記の樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ハンドル体は、把持性を向上させるため、例えばエラストマーなどの柔軟な樹脂が部分的又は全体に被覆されていてもよい。
図2に示すように、ヘッド部10の表面である植毛面12には、複数の植毛穴12aが形成され、その植毛面12に毛束11が植毛されている。ヘッド部10の最小厚さは、2.0mm以上、3.5mm以下である。ヘッド部10の最小厚さは、2.5mm以上、3.5mm以下であることがより好ましい。ヘッド部10の最小厚さが前記上限値以下であれば、歯ブラシ1の口腔内の操作性を向上させることができ、前記下限値以上であれば、ヘッド部10の強度低下を防止できる。
毛束11を構成する用毛としては、毛先に向かって漸次その径が小さくなる用毛(テーパー毛)、毛先の丸め部を除いて外径がほぼ同一である用毛(ストレート毛)、毛先がヘラ状、球状、先割れ状などの形状になっている用毛を用いることができる。
用毛の材質としては、例えば、ポリアミド(例:6−12ナイロン、6−10ナイロン)、ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(例:ポリプロピレン)、エラストマー(例:オレフィン系、スチレン系)などの合成樹脂材料が挙げられる。これらの樹脂材料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、用毛は、芯部と該芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを有する多重芯構造であってもよい。
用毛の横断面形状は円形が好ましいが、円形に必ずしも限定されるものではなく、歯ブラシ1の目的用途に応じて任意の形状とすることができる。例えば、楕円形、多角形(例えば、三角形、四角形、五角形、六角形等。)、異形(例えば、星形、三つ葉のクローバー形、四つ葉のクローバー形等)等とすることができる。
各用毛の太さは、特に限定されず、例えば、横断面が円形の場合、4〜8mil(1mil=1/1000inch=0.025mm)が好ましい。前記下限値以上であれば、自立性が向上して清掃性がより高くなり、前記上限値以下であれば、毛束11の毛腰が適度になり、当たり心地がより良好になる。
毛束11を構成する用毛は、全てが同じ太さであってもよいし、2種以上の異なる太さの用毛が組み合わされてもよい。
用毛の毛丈は、例えば、大人用で8mm〜13mm、子供用で6mm〜9mmとすることが好ましい。また、口腔内の使用性や使用感の点から、選択された用毛の直径が小さいほど、用毛の毛丈を短くすることが好ましい。また、使用感や、刷掃感、清掃効果、耐久性などの目的に応じて、太さの異なる複数本の用毛を組み合わせて用いてもよい。
毛束11の植毛方法は、用毛の毛束を二つ折りにし、その間に挟み込まれた平線を植毛穴12aに打ち込むことによって、毛束11を植毛穴12aに植設する平線式植毛法であってもよいし、毛束11をヘッド部10に熱溶着する熱溶着式植毛法であってもよいが、低コストである点から、平線式植毛法が好ましい。
平線は、植毛穴12aの中心部を通り、且つ、植毛穴12aを跨ぐように植毛穴12aに打設されている。平線の材質としては、例えば、真鍮やステンレスなどの金属片を挙げることができ、その他にも硬質プラスチックや生分解性プラスチックなどを挙げることができる。
平線の長さや幅、厚みは、毛束11や植毛穴12aに合わせて任意に調整すればよいが、通常、平線の長さは植毛穴12aの直径よりも大きく、平線の幅は植毛穴12aの深さよりも小さくされる。また、平線の厚みを調節することによって、毛束11を植毛穴12a内に確実に固定して空隙を少なくすることができる。また、平線は、植毛穴12aからの抜けを防ぐため、植毛穴12aの両側からはみ出した部分の長さの合計が0.3〜0.6mmであることが好ましい。
具体的には、平線の幅は1.0〜1.5mm、好ましくは1.2mmである。
また、平線の厚みは0.15〜0.30mm、好ましくは0.20mmである。
本実施形態におけるヘッド部10は、最小厚さが2.0mm〜3.5mmの範囲内であり、従来の歯ブラシのヘッド部よりも薄いので、口腔内操作性が向上する。
また、ヘッド部10は、植毛穴12aが格子状に配置されており、ヘッド部10の最小厚さをT(mm)、ヘッド部10の短手方向(図2における上下方向)の最大幅をW(mm)、植毛穴12aの直径をd(mm)、植毛穴12aの深さをD(mm)、ヘッド部10の長手方向(図2における左右方向)における植毛穴12aが設けられた範囲の長さをL(mm)、長手方向における植毛穴12aの配置ピッチをl(mm)、短手方向の植毛穴12aの数をnとしたときに、下記の式(1)で表される値が1.5以上、4.0以下となるように設定されている。
なお、長手方向における植毛穴12aが設けられた範囲の長さLは、当該長手方向において最も外側に配置された植毛穴12aにおける外側の縁間の距離である。
(T−D)×(l−d)×(W−n×d)×(T/L/W)×100 …(1)
式(1)は、厚さ方向に関して、植毛穴12aとヘッド部10の裏面13との間に位置する樹脂体積のうち、植毛穴12aと離れた位置にある樹脂体積が大きい場合や、ヘッド部10の最小厚さが大きい場合に式(1)の値が大きくなり、ヘッド部10の最大幅Wや植毛穴12aが設けられた範囲の長さLが増えた場合に式(1)の値が小さくなる。
式(1)の値が1.5未満の場合は、反りが大きすぎて使用性に問題が生じるとともに、ヘッド部10の亀裂・白化が発生することとなり好ましくない。これは、例えば、植毛穴12aと離れた位置にある樹脂体積が小さいと、樹脂成形時に全面的に均一的に冷却される裏面13側と比較して、植毛穴12aを成形するために部分的に配置されたピン部を介した不均一的な冷却の影響や、厚さ方向の肉厚が小さく強度不足による影響が考えられる。
一方、式(1)の値が4.0を超える場合は、植毛強度の低下、あるいはヘッド部10の大型化による刷掃力の低下という問題が生じる。
これに対して、本実施形態のヘッド部10は、上記の式(1)の値が1.5以上、4.0以下であるため、ヘッド部10における亀裂・白化の発生を抑制しつつ、ヘッド部10の薄型化による口腔内操作性の向上及び高い刷掃力という効果が得られる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(使用材料)
ハンドル部;ポリブチレンテレフタレート(PBT):曲げ弾性率2300MPa
用毛;ポリブチレンテレフタレート(PBT) :東レモノフィラメント株式会社製アクラス
(実施例1〜10、比較例1〜4)
図4に示す仕様に従い、ポリブチレンテレフタレート製のハンドル部30を射出成形により作製し、用毛の毛束を二つ折りにし、その間に挟み込まれた平線を植毛穴12aに打ち込むことによって、毛束11を植毛穴12aに植設して各例の歯ブラシ1を得た。
各例の評価はひずみのレベルにて行い、植毛前と比較してヘッド部10の先端部の変形量が0.5mm未満を◎とし、0.5mm以上1.0mm未満を○とし、1.0mm以上を×とした。
図4に示すように、ヘッド部10の最小厚さTが2.0mm以上、3.5mm以下の場合に、上記の式(1)で表される値が1.5以上、4.0以下であるとひずみ(反り)が少ない良好な歯ブラシ1であることが分かる。また、上記の式(1)で表される値が2.0以上、3.5mm以下であると、さらにひずみ(反り)が少ない歯ブラシ1であることが分かる。また、ヘッド部10の最小厚さTが2.5mm以上、3.5mm以下の場合には、ひずみ(反り)が少ない歯ブラシ1である傾向が確認された。
1…歯ブラシ、 10…ヘッド部、 11…毛束、 12…植毛面、 20…ネック部、 30…ハンドル部

Claims (4)

  1. 植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部を備え、用毛の毛束が前記植毛穴に植設されてなる歯ブラシであって、
    前記ヘッド部の最小厚さは、2.0mm以上、3.5mm以下であり、
    前記ヘッド部の最小厚さをT、前記ヘッド部の短手方向の最大幅をW、
    前記植毛穴の直径をd、前記植毛穴の深さをD、前記ヘッド部の長手方向における前記植毛穴が設けられた範囲の長さをL、前記長手方向における前記植毛穴の配置ピッチをl、前記短手方向の前記植毛穴の数をnとしたときに、
    (T−D)×(l−d)×(W−n×d)×(T/L/W)×100
    で表される値が1.5以上、4.0以下であることを特徴とする歯ブラシ。
  2. 前記値は、2.0以上、3.5mm以下であることを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。
  3. 前記ヘッド部の最小厚さは、2.5mm以上3.5mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の歯ブラシ。
  4. 前記用毛は、金属片により前記ヘッド部に固定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
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