JPWO2019230838A1 - 歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2018年5月31日に、日本に出願された特願2018−105172号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
[1]植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部を含む樹脂製のハンドル体を備え、前記植毛穴のそれぞれに平線の打ち込みにより毛束が植設された植毛部が設けられている歯ブラシであって、
前記ヘッド部の厚みが2mm以上、4mm以下であり、
前記植毛面に設けられた植毛穴の総数に対する、直径が1.8mm以上の大径の植毛穴の合計数の割合が10%以上であり、
2つ以上の前記大径の植毛穴が前記ハンドル体の長軸方向に並び、
長軸方向に隣り合う前記大径の植毛穴の少なくとも一組が、下記式1で表される応力発生パラメータP1の下記式2で表される長軸応力緩和パラメータP2に対する割合が20〜30%であるという条件を満たす、歯ブラシ。
P1=(SA−SB)×h ・・・式1
P2=SC×D ・・・式2
(ただし、前記式1及び式2中、SAは、正面視で、前記大径の植毛穴に打ち込まれる前記平線の外接円の面積(mm2)である。SBは、前記大径の植毛穴の開口面積(mm2)である。hは、側面視で、前記植毛面から前記大径の植毛穴に打ち込まれる前記平線の下端までの距離(mm)である。SCは、長軸方向に隣り合う前記大径の植毛穴のそれぞれの開口縁と、隣り合う前記大径の植毛穴のいずれにも接し、かつ交差しない2本の接線とで囲まれる植毛面の面積(mm2)である。Dは、前記ヘッド部の厚み(mm)である。)
[2]前記応力発生パラメータP1が2.3〜4.0である、[1]に記載の歯ブラシ。
[3]前記大径の植毛穴の少なくとも一つが、下記式3で表される短軸応力緩和パラメータP3が2.0〜5.5であるという条件を満たす、[1]又は[2]に記載の歯ブラシ。
P3=(SD×D)/d ・・・式3
(ただし、前記式3中、SDは、前記大径の植毛穴に短軸方向と平行に引いた2本の接線と、前記ヘッド部の短軸方向の両側の縁とで囲まれる植毛面の面積(mm2)であって、前記2本の接線と前記両側の縁で囲まれる領域iの面積SD1から、前記領域i内のすべての植毛穴の前記領域iと重なる部分の開口面積の合計SD2を差し引いた値である。Dは、前記ヘッド部の厚み(mm)である。dは、前記ヘッド部の幅(mm)である。)
[4]前記植毛面に、前記大径の植毛穴と、直径が1.8mm未満の小径の植毛穴とが形成され、
すべての前記大径の植毛穴について、正面視で、前記大径の植毛穴の中心を通る短軸方向に平行な直線を引いたとき、それらの直線の総本数に対して50%以上の直線が、前記小径の植毛穴の中心を通らない直線である、[1]〜[3]のいずれかに記載の歯ブラシ。
ハンドル部14は、ネック部12の長軸方向の後端側に延接されている。ハンドル部14は、使用者が把持する部分である。
ハンドル体1aは、ヘッド部10、ネック部12及びハンドル部14が一体に成形されたものでもよく、それらのうちのいずれかを別に成形して接合させたものでもよい。
ヘッド部10は、厚み方向の一方の側に植毛面10aを有している。
ヘッド部10の植毛面10aには、複数の円形の第1植毛穴11a及び第2植毛穴11bが形成されている。歯ブラシ1のヘッド部10には、植毛部18が設けられている。植毛部18では、複数の第1植毛穴11aのそれぞれに第1毛束16aが植設され、複数の第2植毛穴11bのそれぞれに第2毛束16bが植設されている。
なお、前記のヘッド部の厚みDの範囲は、ヘッド部のどの位置で測定しても厚みが前記範囲内になっていることを意味する。
なお、前記のヘッド部の幅dの範囲は、ヘッド部における最大の幅が前記範囲内になっていることを意味する。また、本明細書において、「〜」で表される数値範囲は、〜の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
植毛穴の配列パターンは、特に限定されず、千鳥状、格子状を例示できる。
なお、「植毛穴が長軸方向に並ぶ」とは、ヘッド部の正面視において、任意の植毛穴の短軸方向の両側に接するように、長軸方向に平行な接線を2本引いたときに、その2本の接線で挟まれた領域に少なくとも一部が重なるように別の植毛穴が形成されている状態を意味する。植毛穴が長軸方向に並ぶ態様には、任意の植毛穴の中心を通る長軸方向に平行な直線上に別の植毛穴の中心が位置するように直線的に並んでいる態様だけでなく、任意の植毛穴の中心を通る長軸方向に平行な直線からずれた位置に中心が位置し、かつ一部が前記領域に重なるように別の植毛穴が並んで形成されている態様も含まれる。
同様に、「植毛穴が短軸方向に並ぶ」は、ヘッド部の正面視において、任意の植毛穴の長軸方向の両側に接するように、短軸方向に平行な接線を2本引いたときに、その2本の接線で挟まれた領域に少なくとも一部が重なるように別の植毛穴が形成されている状態を意味する。
本発明では、中央部の小径の植毛穴を1列の対の大径の植毛穴で挟んでもよく、2列の対の大径の植毛穴で挟んでもよい。
なお、本発明では、ヘッド部の植毛面の短軸方向の中央部に複数の大径の植毛穴を形成し、それらの大径の植毛穴の短軸方向の両側に小径の植毛穴を形成してもよい。
本発明では、ヘッド部の短軸方向に並ぶすべて植毛穴が、任意の植毛穴の中心を通る直線上に別の植毛穴の中心が存在しないように、互いにずれて形成されていることが特に好ましい。
長軸方向に並ぶ大径の植毛穴の直径は、同一であることが好ましい。
長軸方向に並ぶ小径の植毛穴の直径は、同一であることが好ましい。
なお、植毛穴の直径は、正面視での植毛穴の形状が円形である場合はその直径であり、正面視での植毛穴の形状が円形以外の場合は正面視における当該植毛穴の外接円の直径である。
割合Q1の下限値は10%以上であり、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。割合Q1の上限値は100%であり、80%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下が更に好ましい。割合Q1は10〜80%が好ましく、20〜50%がより好ましく、30〜40%が更に好ましい。これにより、歯茎のマッサージ実感と歯垢清掃を両立することができる。
P1=(SA−SB)×h ・・・式1
P2=SC×D ・・・式2
ヘッド部の厚みが長軸方向において変化する場合、長軸応力緩和パラメータP2の計算に用いる厚みDには、長軸方向に並んで隣り合う大径の植毛穴の中心同士の中間点でのヘッド部の厚みを採用する。
長軸方向に並んで隣り合う大径の植毛穴のすべての組み合わせの総数に対する、条件Iを満たすように隣り合う大径の植毛穴の組み合わせの数の比率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。前記比率が前記下限値以上であれば、大径の植毛穴を用いた薄肉ヘッドの条件であっても、植毛強度及び毛抜け強度を保ちつつ、ヘッド部の割れを抑制できる効果が得られやすい。
P3=(SD×D)/d ・・・式3
ヘッド部の幅が長軸方向において変化する場合、dは、正面視でP3を算出しようとする植毛穴の中心を通る短軸方向の直線上でのヘッド部の短軸方向の縁同士の距離とする。
SDは、以下のように算出できる。ヘッド部10の正面視において、大径の第1植毛穴11aの長軸方向の両側に接するように、短軸方向と平行に引いた2本の接線m1,m2と、ヘッド部10の短軸方向の両側の縁10b,10cとで囲まれる領域iの面積(mm2)をSD1とする。領域i内のすべての第1植毛穴11a及び第2植毛穴11bの開口面積の合計(mm2)をSD2とする。第1植毛穴11a及び第2植毛穴11bにおいて一部のみが領域i内にある植毛穴については、当該植毛穴の開口端の開口面積のうちの領域iに重なっている部分の面積だけをSD2の算出に用いる。SD1からSD2を差し引いてSDを算出する。
取り得るSDのパターン総数に対する、条件IIを満たすSDのパターンの合計数の比率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。前記比率が前記下限値以上であれば、短軸方向の割れを抑制しつつ、十分な清掃力及びマッサージ感を得ることが容易になる。
なお、正面視で、植毛穴の中心が短軸方向に平行な同一の直線上にあり、SDを算出する際の領域iが同一となる2つ以上の大径の植毛穴が存在する場合は、「取り得るSDのパターン総数」を数える際、それら大径の植毛穴については纏めて1つのSDのパターンであるとして数える。
なお、前記「小径の植毛穴の中心を通らない」とは、前記大径の植毛穴の中心を通る短軸方向に平行な直線を中心として、歯ブラシの長軸方向に前記大径の植毛穴の直径の20%の幅で均等に平行移動した際に形成される領域内に、前記小径の植毛穴の中心が存在しないことを意味する。
また、正面視で、2つ以上の大径の植毛穴の中心が短軸方向に平行な同一の直線上にある場合、それらの大径の植毛穴の中心を通る短軸方向に平行な直線は一致するため、前記直線の総本数を数える際には1本として数える。
また、前記の取り得るSDのパターン総数の計測及び前記直線の総本数の計測において「同一の直線上にある」とは、前記大径の植毛穴の中心を通る短軸方向に平行な直線を中心として、歯ブラシの長軸方向に前記大径の植毛穴の直径の20%の幅で均等に平行移動した際に形成される領域内に、他の大径の植毛穴の中心が存在することを意味する。
ハンドル体は、把持性を向上させるため、例えばエラストマー等の柔軟な樹脂が部分的又は全体に被覆されていてもよい。前記の柔軟な樹脂としては、接着性が向上する点から、ハンドル体の材質がPPであればオレフィン系のエラストマーが好ましく、POMであればスチレン系のエラストマーが好ましい。
なお、用毛の直径は、用毛の横断面形状が円形である場合はその直径であり、用毛の横断面形状が円形以外の場合は用毛の横断面の外接円の直径である。
第1毛束16a及び第2毛束16bの直径は、植設する第1植毛穴11a及び第2植毛穴11bの直径に応じて設定すればよい。
例えば、本発明の歯ブラシにおいてヘッド部の植毛面に植設される毛束の数や、植毛穴の配列パターンは、歯ブラシ1のものには限定されない。具体的には、本発明の歯ブラシにおける毛束の数や、植毛穴の配列パターンは、図9〜15に例示した歯ブラシ1A〜1Gのような態様であってもよい。
本発明の歯ブラシは、図16に示すように、小径の第2植毛穴11bが短軸方向の外側に配置され、大径の第1植毛穴11aが短軸方向の内側に配置された歯ブラシ1Hであってもよい。
[奥歯の清掃しやすさの評価]
専門家パネル10人による官能試験を行い、奥歯(第二大臼歯)の清掃しやすさを以下の基準で評価した。専門家パネル10名の平均点が4.0点以上、5.0点以下を「◎」、3.0点以上、4.0点未満を「○」、2.0点以上、3.0点未満を「△」、2.0点未満を「×」とした。○又は◎であるものを奥歯の清掃しやすさが高い歯ブラシであると判断した。
(評価基準)
5点:非常に磨きやすい。
4点:やや磨きやすい。
3点:どちらでもない。
2点:やや磨きにくい。
1点:非常に磨きにくい。
専門家パネル10人による官能試験を行い、歯垢を落とす実感を以下の基準で評価した。専門家パネル10名の平均点が4.0点以上、5.0点以下を「◎」、3.0点以上、4.0点未満を「○」、2.0点以上、3.0点未満を「△」、2.0点未満を「×」とした。○又は◎であるものを歯垢を落とす実感が高い歯ブラシであると判断した。
(評価基準)
5点:非常に感じる。
4点:やや感じる。
3点:どちらでもない。
2点:あまり感じない。
1点:全く感じない。
専門家パネル10人による官能試験を行い、歯茎のマッサージ実感を以下の基準で評価した。専門家パネル10名の平均点が4.0点以上、5.0点以下を「◎」、3.0点以上、4.0点未満を「○」、2.0点以上、3.0点未満を「△」、2.0点未満を「×」とした。○又は◎であるものを歯茎のマッサージ実感が高い歯ブラシであると判断した。
(評価基準)
5点:非常に感じる。
4点:やや感じる。
3点:どちらでもない。
2点:あまり感じない。
1点:全く感じない。
ザホランスキー社製植毛機を用いて、ヘッド部に植毛した歯ブラシを100本作製し、ヘッド部に発生する割れ、白化の数を専門検査員が目視で検出し、その数を歯ブラシ100本分の植毛穴数で除した値(百分率)を割れ、白化の評価基準とした。ヘッド部の割れ、白化を以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎:0%。
○:0%より大きく0.1%未満。
△:0.1%以上0.5%未満。
×:0.5%以上。
1つの大径の植毛穴に植設された毛束を専用器具によってつかみ、引張試験機を用いて植毛穴から毛束が抜けるまでの最大引張応力(N)を測定(引張速度20mm/分)(n=10)し、その値に応じて毛束の抜けにくさを以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎:最大引張応力の平均値が25N以上。
○:最大引張応力の平均値が20N以上25N未満。
△:最大引張応力の平均値が15N以上20N未満。
×:最大引張応力の平均値が15N未満。
ハンドル体を形成する樹脂としてPOM(曲げ弾性率:2500MPa)を用い、表1及び表2に示す仕様に従って、射出成形により図1〜8に例示したハンドル体1aを作製した。東レモノフィラメント社製の用毛(直径:大穴5.0mil、小穴6.0mil)を束ねた毛束を二つ折りにし、その間に挟み込まれた平線を表2に示す仕様に従ってヘッド部の植毛穴に打ち込み、毛束を植設して歯ブラシを製作した。
植毛穴及び平線の仕様を表1及び表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
割合Q2が高く、応力発生パラメータP1が低い比較例3、4では、ヘッド部の割れや白化のリスクが高まり、毛束抜け強度が低くなる傾向があった。また、直径1.8mm以上の大径の植毛穴がない比較例3、4の歯ブラシでは、実施例に比べて歯茎へのマッサージ実感が不足していた。ヘッド部の厚みが厚すぎる比較例1、2では、実施例に比べて奥歯が清掃しにくかった。
Claims (4)
- 植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部を含む樹脂製のハンドル体を備え、前記植毛穴のそれぞれに平線の打ち込みにより毛束が植設された植毛部が設けられている歯ブラシであって、
前記ヘッド部の厚みが2mm以上、4mm以下であり、
前記植毛面に設けられた植毛穴の総数に対する、直径が1.8mm以上の大径の植毛穴の合計数の割合が10%以上であり、
2つ以上の前記大径の植毛穴が前記ハンドル体の長軸方向に並び、
長軸方向に隣り合う前記大径の植毛穴の少なくとも一組が、下記式1で表される応力発生パラメータP1の下記式2で表される長軸応力緩和パラメータP2に対する割合が20〜30%であるという条件を満たす、歯ブラシ。
P1=(SA−SB)×h ・・・式1
P2=SC×D ・・・式2
(ただし、前記式1及び式2中、SAは、正面視で、前記大径の植毛穴に打ち込まれる前記平線の外接円の面積(mm2)である。SBは、前記大径の植毛穴の開口面積(mm2)である。hは、側面視で、前記植毛面から前記大径の植毛穴に打ち込まれる前記平線の下端までの距離(mm)である。SCは、長軸方向に隣り合う前記大径の植毛穴のそれぞれの開口縁と、隣り合う前記大径の植毛穴のいずれにも接し、かつ交差しない2本の接線とで囲まれる植毛面の面積(mm2)である。Dは、前記ヘッド部の厚み(mm)である。) - 前記応力発生パラメータP1が2.3〜4.0である、請求項1に記載の歯ブラシ。
- 前記大径の植毛穴の少なくとも一つが、下記式3で表される短軸応力緩和パラメータP3が2.0〜5.5であるという条件を満たす、請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
P3=(SD×D)/d ・・・式3
(ただし、前記式3中、SDは、前記大径の植毛穴に短軸方向と平行に引いた2本の接線と、前記ヘッド部の短軸方向の両側の縁とで囲まれる植毛面の面積(mm2)であって、前記2本の接線と前記両側の縁で囲まれる領域iの面積SD1から、前記領域i内のすべての植毛穴の前記領域iと重なる部分の開口面積の合計SD2を差し引いた値である。Dは、前記ヘッド部の厚み(mm)である。dは、前記ヘッド部の幅(mm)である。) - 前記植毛面に、前記大径の植毛穴と、直径が1.8mm未満の小径の植毛穴とが形成され、
すべての前記大径の植毛穴について、正面視で、前記大径の植毛穴の中心を通る短軸方向に平行な直線を引いたとき、それらの直線の総本数に対して50%以上の直線が、前記小径の植毛穴の中心を通らない直線である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
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