JP2016191168A - 繊維機械用ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルト走行中に発生する6000〜8000Hzの周波数の音圧レベルを低減できる繊維機械用ベルトを提供する。【解決手段】プーリに接触する一表面と、スピンドルに接触する他表面とを有する繊維機械用ベルトであって、前記プーリに接触する一表面16aは、未押圧状態での凹凸20のピッチp0が0.3mm未満であることを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、繊維機械用ベルトに関する。
合撚機やカバリング機等の繊維機械において用いられるベルトは、通常、表面にゴム層を有している(例えば、特許文献1参照)。こうしたベルトにおける表面のゴム層は、ベルトの耐摩擦性や耐屈曲性を担っている。
合撚機においては、一対のベルトを交差するように配設して、それぞれプーリにより互いに交差走行させ、一対のベルトが、互いに対向する面によって糸をニップしてツイステッドヤーンが製造される。一方、カバリング機においては、紡糸ボビンを支持した中空スピンドルを高速で回転させ、この中空スピンドルを通過して走行する芯糸に、紡糸ボビンから供給されるカバー糸を巻付けてカバードヤーンが製造される。カバリング機においては、中空スピンドルに接触して配置されたベルトによって、中空スピンドルの高速回転が達成されている。
カバリング機の運転中には、比較的高い音域の走行音がプーリとの接触部分から発生することがある。現在、6000〜8000Hzの周波数が走行音の中に確認されている。音圧レベルが過剰に高くない場合であっても、6000〜8000Hzの周波数は一般に不快に感じる範囲であるとされている。良好な作業環境を維持するために、カバリング機の運転中における不快な走行音は低減することが求められる。
そこで本発明は、ベルト走行中に発生する6000〜8000Hzの周波数の音圧レベルを低減できる繊維機械用ベルトを提供することを目的とする。
本発明に係る繊維機械用ベルトは、プーリに接触する一表面と、スピンドルに接触する他表面とを有する繊維機械用ベルトであって、前記プーリに接触する一表面は、未押圧状態での凹凸のピッチが0.3mm未満であることを特徴とする。
本発明によれば、繊維機械用ベルトは、プーリに接触する表面(プーリ側層表面)とスピンドルに接触する表面(スピンドル層側表面)とを備え、プーリ側層表面は、未押圧状態での凹凸のピッチが0.3mm未満である。
ベルトの走行中にプーリとの接触部分で発生する走行音の周波数は、走行中のベルトのプーリ側層表面における凹凸のピッチに相当する。本実施形態の繊維機械用ベルトは、プーリ側層表面の未押圧状態での凹凸のピッチが0.3mm未満に制限されているので、走行中にプーリに押圧されてプーリ側層表面の凹凸のピッチが増大したとしても、この凹凸のピッチは可聴域の上限波長未満に維持される。
これによって、繊維機械用ベルトを走行させた際には、発生する走行音の周波数は可聴域の上限周波数を超えることとなり、6000〜8000Hzの周波数の音圧レベルを低減することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.全体構成
図1に示す繊維機械用ベルト10は、芯体帆布12と、芯体帆布12の両面にそれぞれ設けられた第1の樹脂層14a、第2の樹脂層14bと、第1の樹脂層14aの表面に設けられたプーリ側層16と、第2の樹脂層14bの表面に設けられたスピンドル側層18とを備える。
図1に示す繊維機械用ベルト10は、芯体帆布12と、芯体帆布12の両面にそれぞれ設けられた第1の樹脂層14a、第2の樹脂層14bと、第1の樹脂層14aの表面に設けられたプーリ側層16と、第2の樹脂層14bの表面に設けられたスピンドル側層18とを備える。
<芯体帆布>
芯体帆布12の材質は、ポリエステル繊維およびナイロン繊維等から選択することができる。ポリエステル繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、およびポリブチレンテレフタレート繊維等が挙げられ、ナイロン繊維としては、例えばナイロン6繊維、およびナイロン66繊維等が挙げられる。特に、PET繊維が芯体帆布12の材質として好ましい。芯体帆布12の厚さは特に限定されないが、通常、0.4〜1.2mm程度であるのが好ましく、0.45〜0.8mm程度であるのがより好ましい。
芯体帆布12の材質は、ポリエステル繊維およびナイロン繊維等から選択することができる。ポリエステル繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、およびポリブチレンテレフタレート繊維等が挙げられ、ナイロン繊維としては、例えばナイロン6繊維、およびナイロン66繊維等が挙げられる。特に、PET繊維が芯体帆布12の材質として好ましい。芯体帆布12の厚さは特に限定されないが、通常、0.4〜1.2mm程度であるのが好ましく、0.45〜0.8mm程度であるのがより好ましい。
<第1、第2の樹脂層>
第1,第2の樹脂層14a,14bは、熱可塑性エラストマーを用いて形成され、ベルト10に接着性および柔軟性を付与する。熱可塑性エラストマーとしては、例えば熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane:TPU)エラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。なかでも、柔軟性および屈曲性がより優れていることから、TPUエラストマーが好ましい。第1,第2の樹脂層14a,14bそれぞれの厚さは特に限定されず、通常、0.2〜0.85mm程度であるのが好ましく、0.5〜0.85mm程度であるのがより好ましい。
第1,第2の樹脂層14a,14bは、熱可塑性エラストマーを用いて形成され、ベルト10に接着性および柔軟性を付与する。熱可塑性エラストマーとしては、例えば熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane:TPU)エラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。なかでも、柔軟性および屈曲性がより優れていることから、TPUエラストマーが好ましい。第1,第2の樹脂層14a,14bそれぞれの厚さは特に限定されず、通常、0.2〜0.85mm程度であるのが好ましく、0.5〜0.85mm程度であるのがより好ましい。
<プーリ側層>
第1の樹脂層14a表面のプーリ側層16は、繊維機械においてプーリに接触して摩擦に供される。このプーリ側層16は、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム、およびウレタンゴム等から選択されるゴム材料を用いて作製することができる。これらのゴム材料は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。簡便な手法で芯体帆布12に固着でき、良好な接着が得られることから、ゴム材料としてはNBRが好ましい。プーリ側層16の厚さは、特に限定されず、通常、0.15〜0.45mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.3mm程度であるのがより好ましい。
第1の樹脂層14a表面のプーリ側層16は、繊維機械においてプーリに接触して摩擦に供される。このプーリ側層16は、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム、およびウレタンゴム等から選択されるゴム材料を用いて作製することができる。これらのゴム材料は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。簡便な手法で芯体帆布12に固着でき、良好な接着が得られることから、ゴム材料としてはNBRが好ましい。プーリ側層16の厚さは、特に限定されず、通常、0.15〜0.45mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.3mm程度であるのがより好ましい。
また、プーリ側層16の硬度(JIS−A)は、60〜83°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましい。プーリ側層16の硬度は、JIS K6301に準拠して求めることができる。
プーリ側層16の表面16aは、図2に示すような凸部20aと凹部20bとからなる未押圧状態での凹凸20のピッチp0が、0.3mm未満である。このピッチp0は、製造後、未走行時の凹凸の間隔である。本実施形態においては、プーリ側層16の表面16aにおける凹凸20のピッチp0は、小さいほど好ましい。
<スピンドル側層>
第2の樹脂層14b上のスピンドル側層18は、繊維機械においてスピンドルに接触してスピンドルを回転させる。このスピンドル側層18は、プーリ側層16と同様の材料で形成することができる。スピンドル側層18の厚さは、特に限定されず、通常、0.15〜0.45mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.3mm程度であるのがより好ましい。
第2の樹脂層14b上のスピンドル側層18は、繊維機械においてスピンドルに接触してスピンドルを回転させる。このスピンドル側層18は、プーリ側層16と同様の材料で形成することができる。スピンドル側層18の厚さは、特に限定されず、通常、0.15〜0.45mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.3mm程度であるのがより好ましい。
2.製造方法
繊維機械用ベルト10は、芯体帆布12と第1、第2の樹脂層14a,14b、第1の樹脂層14aとプーリ側層16、第2の樹脂層14bとスピンドル側層18とが固着して剥離しないような方法であれば、任意の方法により製造することができる。
繊維機械用ベルト10は、芯体帆布12と第1、第2の樹脂層14a,14b、第1の樹脂層14aとプーリ側層16、第2の樹脂層14bとスピンドル側層18とが固着して剥離しないような方法であれば、任意の方法により製造することができる。
まず、帯状に成形した芯体帆布12の両面に、コーティングまたはディッピングにより接着剤を塗布する。接着剤としては、例えばポリウレタン系接着剤を用いることができる。接着剤が塗布された芯体帆布12の両面には、第1,第2の樹脂層14a,14bを押出ラミネーションによりラミネートする。
プーリ側層16は、カレンダー加工等により、所定のゴム材料を所定の帆布上に塗布してシート状のゴム材料を作製し、得られたシート状のゴム材料を第1の樹脂層14aの表面に転写して配置することができる。本実施形態においては、プーリ側層16の作製に用いられる帆布は平織構造であり、この帆布のピッチは0.7mm未満に規定される。
スピンドル側層18は、プーリ側層16と同様の手法により帆布上にシート状のゴム材料を作製し、得られたシート状のゴム材料を第2の樹脂層14bの表面に転写して配置することができる。スピンドル側層18を作製する場合には、用いられる帆布は特に限定されず、任意の帆布を用いることができる。
プーリ側層16およびスピンドル側層18の転写にあたっては、シート状のゴム材料を第1の樹脂層14a、第2の樹脂層14bの各表面に配置して、最表面に帆布を有する積層体を得る。この積層体に対して加熱加圧条件下で圧搾加硫を行って、所定の厚さに加工する。圧搾加硫の後の厚さは、例えば2.0〜3.0mm程度とすることができる。圧搾加硫を行うことによって、第1の樹脂層14aの表面にはプーリ側層16が加硫接着により固着され、第2の樹脂層14bの表面には、スピンドル側層18が加硫接着により固着される。
最表面の帆布を剥離して、芯体帆布12と、芯体帆布12の両面にそれぞれ設けられた第1の樹脂層14aおよび第2の樹脂層14bと、第1の樹脂層14aの上に設けられたプーリ側層16と、第2の樹脂層14bの上に設けられたスピンドル側層18とを備えた本実施形態の繊維機械用ベルト10が得られる。プーリ側層16の表面16aにおいては、未押圧状態での凹凸20のピッチp0は0.3mm未満である。
このようにして得られた繊維機械用ベルト10は、適用される装置等に応じて所望の寸法とすることができる。例えば、幅は20〜60mm程度、長さは10〜160m程度とすることができる。本実施形態の繊維機械用ベルト10は、両端部をフィンガー継手により継ぎ合せて無端状とすることができる。無端状としたベルト10は、繊維機械における2つのプーリ間に、例えば15〜30N/mm程度の張力で掛け回して使用することができる。
3.作用及び効果
本実施形態に係る繊維機械用ベルト10においては、プーリ側層16の表面16aは、未押圧状態での凹凸20のピッチp0が0.3mm未満に規定されている。ベルト10を走行させた際、6000〜8000Hzの周波数の走行音は、ベルト10とバックアッププーリ36との接触部分で発生する。本実施形態においては、ベルト10のプーリ側層16の表面16aにおける凹凸20の間隔に着目し、発生する走行音の周波数を不可聴域とすることによって、6000〜8000Hzの可聴域の音圧レベルを低減した。
本実施形態に係る繊維機械用ベルト10においては、プーリ側層16の表面16aは、未押圧状態での凹凸20のピッチp0が0.3mm未満に規定されている。ベルト10を走行させた際、6000〜8000Hzの周波数の走行音は、ベルト10とバックアッププーリ36との接触部分で発生する。本実施形態においては、ベルト10のプーリ側層16の表面16aにおける凹凸20の間隔に着目し、発生する走行音の周波数を不可聴域とすることによって、6000〜8000Hzの可聴域の音圧レベルを低減した。
ベルト走行速度vと、走行音の周波数fおよび波長λとの間には、式v=fλで表される関係がある。可聴域の上限周波数fupperは、一般的に20000Hzであるとされており、このときの波長(可聴域の上限波長)λupperは、λupper=v/fupperで表される。上限波長λupper未満であれば、発生する走行音の周波数は、可聴域の上限周波数fupper(20000Hz)を超える。その結果、6000〜8000Hzの可聴域の周波数の音圧レベルは低減されることとなる。
本発明者らは、ベルトの走行音の波長λは、凹凸の高さ(大きさ)にかかわらず、走行中のベルトがバックアッププーリに押圧された際のプーリ側層表面16aの凹凸のピッチ(prunning)と同等であるという知見を得た。ベルトが押圧状態の場合には、プーリ側層表面16aの凹凸のピッチ(prunning)は、未押圧状態での凹凸のピッチ(p0)と必ずしも同じではない。特に、プーリ側層16が柔らかい場合には、押圧状態での凹凸のピッチ(prunning)は、未押圧状態における凹凸のピッチ(p0)より大きくなって、prunning=αp0(αは、プーリ側層16の硬度に依存する値(>1))となる。
可聴域の上限波長λupperは、可聴域の上限周波数(fupper=20000Hz)とベルト走行速度vとを用いて(λupper=v/fupper)により求められる。ベルトがバックアッププーリに押圧された際のプーリ側層16の表面16aの凹凸のピッチ(prunning)が、上限波長λupper未満であれば、上述したとおり、発生する走行音の周波数は可聴域の上限周波数fupperを超える。これによって、6000〜8000Hzの可聴域の周波数の音圧レベルは低減される。
バックアッププーリに押圧された際のプーリ層側表面16aの凹凸のピッチ(prunning)は、prunning=αp0(αは、プーリ側層16の硬度に依存する値(>1))であることから、プーリ側層16の硬度を考慮して未押圧状態での凹凸のピッチ(p0)を求めることができる。
以上に基づいて、本実施形態においては、ベルトのプーリ側層16の表面16aの未押圧状態での凹凸のピッチを0.3mm未満に規定することによって、走行中に発生する6000〜8000Hzの周波数の音圧レベルを低減することができた。
4.変形例
本発明は、ここに記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
本発明は、ここに記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
上記実施形態においては、シート状のゴム層を帆布上に形成して、プーリ側層16を第1の樹脂層14aの表面に転写して形成したが、こうした手法に限定されない。例えば、紙上に形成するといった手法で、プーリ側層16を第1の樹脂層14aの表面に形成してもよい。場合によっては、プーリ側層16の表面16aを平滑面に近づけることもできる。この際には、プーリ側層16の表面16aにおける未押圧状態での凹凸のピッチp0はゼロに近づくこととなる。
また、本実施形態の繊維機械用ベルト10を無端状にするにあたっては、ベルトの両端部をテーパー状に加工し、テーパー面同士を接着剤によって接着して、スカイバー継手により継ぎ合せてもよい。接着剤としては、例えばウレタン系接着剤を用いることができる。
5.実施例
以下、実施例を挙げて本発明の繊維機械用ベルトを詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明の繊維機械用ベルトを詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[実施例]
<第1,第2の樹脂層の作製>
まず、帯状に成形した芯体帆布(PET製)の両面にコーティングによりポリウレタン系接着剤を塗布した。接着剤が塗布された芯体帆布の両面にTPUエラストマーを押出ラミネーションによりラミネートして、第1,第2の樹脂層を0.8mmの厚さで作製した。
<第1,第2の樹脂層の作製>
まず、帯状に成形した芯体帆布(PET製)の両面にコーティングによりポリウレタン系接着剤を塗布した。接着剤が塗布された芯体帆布の両面にTPUエラストマーを押出ラミネーションによりラミネートして、第1,第2の樹脂層を0.8mmの厚さで作製した。
<プーリ側層の準備>
ゴム材料としてのNBRを、カレンダー加工により0.25mmの厚さで帆布に塗布して、プーリ側層の原料となる帆布に支持されたシート状のゴム材料を得た。用いた帆布は、40dタフタ(旭化成せんい(株)製)であり、この帆布のピッチは0.22mmである。
ゴム材料としてのNBRを、カレンダー加工により0.25mmの厚さで帆布に塗布して、プーリ側層の原料となる帆布に支持されたシート状のゴム材料を得た。用いた帆布は、40dタフタ(旭化成せんい(株)製)であり、この帆布のピッチは0.22mmである。
<スピンドル側層の準備>
プーリ側層と同様の手法により、スピンドル側層の原料となるシート状のゴム材料を得た。
プーリ側層と同様の手法により、スピンドル側層の原料となるシート状のゴム材料を得た。
<ベルトの作製>
芯体帆布の表面に形成された第1の樹脂層の上にプーリ側層の原料を配置し、第2の樹脂層の上にはスピンドル側層の原料を配置して、最表面に帆布を有する積層体を得た。この積層体に対して常法により圧搾加硫を行った後、両表面から帆布を剥離して、厚さ2.6mmの実施例のベルトが得られた。
芯体帆布の表面に形成された第1の樹脂層の上にプーリ側層の原料を配置し、第2の樹脂層の上にはスピンドル側層の原料を配置して、最表面に帆布を有する積層体を得た。この積層体に対して常法により圧搾加硫を行った後、両表面から帆布を剥離して、厚さ2.6mmの実施例のベルトが得られた。
実施例のベルトをマイクロスコープによる観察した結果、プーリ側層の表面には凹凸模様が確認された。この凹凸模様は、剥離された帆布の痕によるものである。実施例のベルトは、プーリ側層表面における未押圧状態での凹凸のピッチ(p0)は、0.23mmである。また、実施例のベルトにおいては、プーリ側層は、JIS K6301に準拠して求めらた硬度(JIS−A)が67°である。
さらに、以下のような比較例1〜4のベルトを作製した。
[比較例1]
プーリ側層の硬度、およびプーリ側層を作製する際の帆布を変更する以外は、実施例と同様にして比較例1のベルトを作製した。比較例1のベルトにおいては、プーリ側層の硬度は70°である。用いた帆布はN4(帝人フロンティア(株)製)であり、この帆布のピッチは0.7〜0.8mmである。
プーリ側層の硬度、およびプーリ側層を作製する際の帆布を変更する以外は、実施例と同様にして比較例1のベルトを作製した。比較例1のベルトにおいては、プーリ側層の硬度は70°である。用いた帆布はN4(帝人フロンティア(株)製)であり、この帆布のピッチは0.7〜0.8mmである。
[比較例2]
プーリ側層の硬度を変更する以外は比較例1と同様にして、比較例2のベルトを作製した。比較例2のベルトにおいては、プーリ側層の硬度は85°である。
プーリ側層の硬度を変更する以外は比較例1と同様にして、比較例2のベルトを作製した。比較例2のベルトにおいては、プーリ側層の硬度は85°である。
[比較例3]
プーリ側層の硬度を変更する以外は比較例1と同様にして、比較例3のベルトを作製した。比較例3のベルトにおいては、プーリ側層の硬度は76°である。
プーリ側層の硬度を変更する以外は比較例1と同様にして、比較例3のベルトを作製した。比較例3のベルトにおいては、プーリ側層の硬度は76°である。
[比較例4]
プーリ側層を作製する際の帆布を、N4(帝人フロンティア(株)製)に変更する以外は実施例と同様にして、比較例4のベルトを作製した。
プーリ側層を作製する際の帆布を、N4(帝人フロンティア(株)製)に変更する以外は実施例と同様にして、比較例4のベルトを作製した。
比較例1〜4のベルトにおいても、実施例のベルトと同様にプーリ側層の表面には、剥離された帆布の痕による凹凸模様が確認された。比較例1〜4のベルトでは、プーリ側層表面における未押圧状態での凹凸のピッチ(p0)は0.7〜0.8mmであった。
<ベルトの走行音測定>
実施例および比較例の各ベルトは、両端部を熱融着により接合してフィンガー継手を有する無端ベルトを作製した。得られた無端ベルトを、図3に示す試験機(社内ミニタンゼンシャルデモ機)30で走行させて、走行音を測定した。
実施例および比較例の各ベルトは、両端部を熱融着により接合してフィンガー継手を有する無端ベルトを作製した。得られた無端ベルトを、図3に示す試験機(社内ミニタンゼンシャルデモ機)30で走行させて、走行音を測定した。
試験にあたっては、図示するように、無端状にしたベルト10を、駆動プーリ32と従動プーリ34との間に掛け回した。この際のベルト10の張力は、22.9N/mmである。駆動プーリ32と従動プーリ34との間には、複数のバックアッププーリ36およびスピンドル38が配置されている。駆動プーリ32、従動プーリ34の直径は120mm、バックアッププーリ36の直径は40mm、スピンドル38の直径は20mmとした。ベルト10においては、プーリ側層16の表面がバックアッププーリ36等のプーリに接し、スピンドル側層18の表面がスピンドル38に接している。無端状にしたベルト10を走行させた際には、ベルト10のプーリ側層15の表面は、バックアッププーリ36に押圧されることとなる。
図中の矢印方向に駆動プーリ32を回転させることにより、12.56m/sのベルト速度でベルト10を走行させて、この際に発生する走行音を測定した。走行音は、騒音計40(リオン(株):NA−60)により測定し、図示しない1/3オクターブバンドフィルタ(リオン(株):NX−02A)により周波数分析を行った。ベルト10と騒音計40との距離dは150mmとした。
実施例および比較例の各ベルトについて、5000Hz、6300Hz,8000Hzの周波数の音圧レベル(dB)を求めた。その結果を、プーリ側層の表面における未押圧状態での凹凸のピッチおよびプーリ側層の硬度とともに下記表1にまとめる。
上記表1に示すように、実施例のベルトは、5000〜8000Hzの周波数の音圧レベルが、比較例のベルトより小さい。6000〜8000Hzの周波数は、一般的に不快に感じる範囲であることから、実施例のベルトは、不快に感じる周波数の音圧レベルが低減されたことがわかる。
実施例のベルトでは、プーリ側層の表面における未押圧状態での凹凸のピッチ(p0)が0.23mmである。このように、プーリ側層の表面における未押圧状態での凹凸のピッチが0.3mm未満であることから、実施例のベルトでは6000〜8000Hzの周波数の音圧レベルを低下させることができた。これに対して、比較例1〜4のベルトでは、プーリ側層の表面における未押圧状態での凹凸のピッチ(p0)が0.7〜0.8mmと0.3mm以上であるので、6000〜8000Hzの周波数の音圧レベルを低下させることができない。
以下に、ベルトのプーリ層側表面における凹凸のピッチとベルト走行音の周波数との関係について検討する。ベルト走行速度v(m/s)と、走行音の周波数f(Hz)および波長λ(m)との間には、式v=fλで表される関係がある。
本明細書において問題とされている周波数fは、6000〜8000Hzである。上述の実施例および比較例のベルトは、速度v=12.56(m/s)でを走行させた際に、6000〜8000Hzの周波数が観測されている。ベルト走行速度vおよび周波数fの値を用いると、このときの波長λは、1.57〜2.09mmと算出される。
比較例のベルトは、プーリ層側表面の未押圧状態での凹凸のピッチ(p0)が0.7〜0.8mmである。音圧レベルの最も大きな比較例4のベルトに着目すると、プーリ層側表面の硬度は67°であり比較的柔らかい。ベルト走行速度v=12.56(m/s)で比較例4のベルトを走行させた際には、バックアッププーリに押圧されることによってプーリ側層表面の凹凸のピッチが増大する。押圧状態においては、プーリ側層表面の凹凸のピッチ(prunning)が、算出された波長λと同等の1.57〜2.09mmとなって、周波数f=6000〜8000Hzの走行音が、バックアッププーリとベルトとの接触部分で発生したものと推測される。
このように、硬度67°のプーリ側層を備えたベルトを速度v=12.56(m/s)で走行させた場合には、プーリ側層がバックアッププーリに押圧されることにより、プーリ側層表面の凹凸のピッチ(prunning)は、未押圧状態における凹凸のピッチ(p0)の2.0〜2.8倍の値となる。
可聴域の上限周波数fupperは一般的に20000Hzとされており、ベルト走行速度v=12.56(m/s)の場合には、λupper=v/fupperから、可聴域の上限波長λupperは0.628mmと算出される。すなわち、ベルトがバックアッププーリに押圧された際、ベルトのプーリ側層表面の凹凸のピッチ(prunning)が上限波長λupper(0.628mm)未満であれば、発生する走行音の周波数は上限周波数fupper(20000Hz)を超えて不可聴域となる。その結果、6000〜8000Hzの周波数の音圧レベルは低減される。
上述したとおり、プーリ側層(硬度67°)を速度v=12.56(m/s)で走行させた場合には、バックアッププーリに押圧されることによって、プーリ側層表面の凹凸のピッチは、未押圧状態における凹凸のピッチ(p0)の2.0〜2.8倍となる。こうした条件の場合には、バックアッププーリに押圧された際の凹凸のピッチ(prunning)を上限波長λupper(0.628mm)未満とするためには、未押圧状態でのプーリ側層表面の凹凸のピッチ(p0)は0.3mm未満であることが要求される。
以上に基づいて、本実施形態においては、ベルトのプーリ側層表面の未押圧状態での凹凸のピッチ(p0)を0.3mm未満に規定した。
実施例のベルトにおいては、プーリ側層表面の未押圧状態での凹凸のピッチ(p0)は0.23mmであり、プーリ側層の硬度は67°である。この実施例のベルトを速度v=12.56(m/s)で走行させた場合には、プーリ側層表面の凹凸のピッチ(prunning)は0.5mm程度となり、上限波長λupper(0.628mm)未満である。したがって、6000〜8000Hzの周波数の音圧レベルを低減することができた。
10 繊維機械用ベルト
12 芯体帆布
14a 第1の樹脂層
14b 第2の樹脂層
16 プーリ側層
16a (プーリ側層)表面
18 スピンドル側層
20 凹凸
20a 凸部
20b 凹部
p0 未押圧状態での凹凸のピッチ
12 芯体帆布
14a 第1の樹脂層
14b 第2の樹脂層
16 プーリ側層
16a (プーリ側層)表面
18 スピンドル側層
20 凹凸
20a 凸部
20b 凹部
p0 未押圧状態での凹凸のピッチ
Claims (3)
- プーリに接触する一表面と、スピンドルに接触する他表面とを有する繊維機械用ベルトであって、
前記プーリに接触する一表面は、未押圧状態での凹凸のピッチが0.3mm未満であることを特徴とする繊維機械用ベルト。 - 前記プーリに接触する一表面を有するプーリ側層は、JIS−A硬度が70°以下であることを特徴とする請求項1記載の繊維機械用ベルト。
- 前記繊維機械は、カバリング機であることを特徴とする請求項1又は2記載の繊維機械用ベルト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015071513A JP2016191168A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 繊維機械用ベルト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015071513A JP2016191168A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 繊維機械用ベルト |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016191168A true JP2016191168A (ja) | 2016-11-10 |
Family
ID=57245398
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015071513A Pending JP2016191168A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 繊維機械用ベルト |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016191168A (ja) |
-
2015
- 2015-03-31 JP JP2015071513A patent/JP2016191168A/ja active Pending
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