JP2019019831A - 伝動ベルトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴムの平プーリ接触面の耐摩耗性が優れる伝動ベルトの製造方法を提供する。【解決手段】伝動ベルトの製造方法は、経糸Wa及び緯糸Weで形成された織布422bの凹凸面を成型面として、前記成型面に未架橋ゴム組成物を圧接させて前記凹凸面を転写すると共に前記未架橋ゴム組成物を架橋させることによりゴムの平プーリ接触面を成型するものである。前記成型面である前記織布422bの前記凹凸面は、前記織布422bの単位組織において、前記凹凸面を構成する凹部の総面積が凸部の総面積よりも広い。【選択図】図5A
Description
本発明は伝動ベルトの製造方法に関する。
平プーリに巻き掛けられるベルト背面に織布が設けられた伝動ベルトが知られている。また、そのベルト背面をゴムで形成した伝動ベルトも知られている。更に、このベルト背面をゴムで形成した伝動ベルトにおいて、ベルト走行時における騒音抑制効果等の特性について、ベルト背面に織布が設けられた伝動ベルトと同様の性能を得るため、ベルト背面を織布と同一のゴムの凹凸面に形成することが知られている。例えば、特許文献1及び2には、織布の凹凸面を平滑面に押しつけることにより凹凸面の凸部を潰して頂面を平坦面に形成し、次いで、その織布の凹凸面を未架橋のゴム型に圧接させると共にゴム型を架橋させることによりゴム型に織布の凹凸面を転写した成型面を形成し、そして、その成型面に未架橋ゴム組成物を圧接させると共に架橋させることによりベルト背面に織布と同一のゴムの凹凸面を形成することが開示されている。特許文献3には、円筒織布で被覆した金型の上にベルトスラブを成型し、そのベルトスラブから円筒織布を強制的に剥ぎ取ることによりベルト背面に織布と同一のゴムの凹凸面を形成することが開示されている。
本発明の課題は、ゴムの平プーリ接触面の耐摩耗性が優れる伝動ベルトの製造方法を提供することである。
本発明は、経糸及び緯糸で形成された織布の凹凸面を成型面として、前記成型面に未架橋ゴム組成物を圧接させて前記凹凸面を転写すると共に前記未架橋ゴム組成物を架橋させることによりゴムの平プーリ接触面を成型する伝動ベルトの製造方法であって、前記成型面である前記織布の前記凹凸面は、前記織布の単位組織において、前記凹凸面を構成する凹部の総面積が凸部の総面積よりも広い。
本発明によれば、平プーリ接触面の成型に用いる織布の単位組織において、成型面である織布の凹凸面を構成する凹部の総面積が凸部の総面積よりも広く、従って、それが転写される平プーリ接触面の凹凸面では、織布の単位組織に対応する部分において、平プーリが直接接触する凸部の総面積が凹部の総面積よりも広くなるので、平プーリの接触圧力が低く抑えられ、その結果、ゴムの平プーリ接触面の優れた耐摩耗性を得ることができる。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(VリブドベルトB)
図1は、実施形態に係る方法により製造するVリブドベルトB(伝動ベルト)を示す。このVリブドベルトBは、例えば自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動ベルト伝動装置等に用いられるエンドレスの動力伝達部材である。VリブドベルトBは、例えば、ベルト長さが700mm以上3000mm以下、ベルト幅が10mm以上36mm以下、及びベルト厚さが4.0mm以上5.0mm以下である。
図1は、実施形態に係る方法により製造するVリブドベルトB(伝動ベルト)を示す。このVリブドベルトBは、例えば自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動ベルト伝動装置等に用いられるエンドレスの動力伝達部材である。VリブドベルトBは、例えば、ベルト長さが700mm以上3000mm以下、ベルト幅が10mm以上36mm以下、及びベルト厚さが4.0mm以上5.0mm以下である。
VリブドベルトBは、ベルト外周側の背面ゴム層11と中間の接着ゴム層12とベルト内周側の圧縮ゴム層13との三重層に構成されたベルト本体10を備えている。ベルト本体10の接着ゴム層12の厚さ方向の中間部には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線14が埋設されている。
背面ゴム層11は、断面横長矩形の帯状に形成されている。背面ゴム層11の表面、つまり、ベルト背面は、織布の凹凸面が転写された形態を有する。このベルト背面の凹凸面では、後述する方法でVリブドベルトBを製造することから、織布の単位組織に対応して、凹凸面を構成する凸部の総面積が凹部の総面積よりも広いものとなっている。ベルト背面は、ベルト走行時における騒音を抑制する観点から、経糸及び緯糸の交差角度が90°よりも大きい広角と90°よりも小さい挟角とを有する織布が、それらのうちの広角がベルト長さ方向に開口するように配置されたのと同様の形態を有することが好ましい。この広角は例えば120°である。背面ゴム層11の厚さは例えば0.4mm以上0.8mm以下である。
接着ゴム層12も、断面横長矩形の帯状に形成されている。接着ゴム層12の厚さは例えば1.0mm以上2.5mm以下である。
圧縮ゴム層13は、複数のVリブ15がベルト内周側に垂下するように設けられている。複数のVリブ15は、各々がベルト長さ方向に延びる断面略逆三角形の突条に形成されていると共に、ベルト幅方向に並設されている。圧縮ゴム層13の最大厚さは例えば1.0mm以上3.6mm以下である。各Vリブ15は、例えば、リブ高さが2.0mm以上3.0mm以下、基端間の幅が1.0mm以上3.6mm以下である。Vリブ15の数は例えば3個以上6個以下である(図1では3個)。
背面ゴム層11、接着ゴム層12、及び圧縮ゴム層13は、ゴム成分に種々のゴム配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されてゴム成分が架橋したゴム組成物で形成されている。背面ゴム層11、接着ゴム層12、及び圧縮ゴム層13は、同じ配合のゴム組成物で形成されていても、また、別配合のゴム組成物で形成されていても、どちらでもよい。
背面ゴム層11、接着ゴム層12、及び圧縮ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、エチレン−ブテンコポリマー(EDM)、エチレン−オクテンコポリマー(EOM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマー;クロロプレンゴム(CR);クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM);水素化ニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。ゴム配合剤としては、カーボンブラックなどの補強材、充填材、可塑剤、加工助剤、加硫助剤、架橋剤、共架橋剤、老化防止剤等が挙げられる。
心線14は、ポリエステル繊維(PET)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN)、アラミド繊維、ビニロン繊維等の撚糸で構成されている。心線14の直径は例えば0.50mm以上2.5mm以下であり、断面における相互に隣接する心線14の中心間の寸法は例えば0.050mm以上0.20mm以下である。心線14は、ベルト本体10の接着ゴム層12に対する接着性を付与するために、成形前にRFL水溶液に浸漬した後に加熱する接着処理及び/又はゴム糊に浸漬した後に乾燥させる接着処理が施されている。
図2は、VリブドベルトBを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置20のプーリレイアウトを示す。この補機駆動ベルト伝動装置20は、VリブドベルトBが4つのリブプーリ及び2つの平プーリの6つのプーリに巻き掛けられて動力を伝達するサーペンタインドライブ方式のものである。
この補機駆動ベルト伝動装置20は、最上位置にリブプーリのパワーステアリングプーリ21が設けられ、そのパワーステアリングプーリ21の下方にリブプーリのACジェネレータプーリ22が設けられている。また、パワーステアリングプーリ21の左下方には平プーリのテンショナプーリ23が設けられており、そのテンショナプーリ23の下方には平プーリのウォーターポンププーリ24が設けられている。更に、テンショナプーリ23の左下方にはリブプーリのクランクシャフトプーリ25が設けられており、そのクランクシャフトプーリ25の右下方にリブプーリのエアコンプーリ26が設けられている。これらのプーリは、例えば、金属のプレス加工品や鋳物、ナイロン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂成形品で構成されており、また、プーリ径が例えばφ50mm以上φ150mm以下である。
この補機駆動ベルト伝動装置20では、VリブドベルトBは、Vリブ15側が接触するようにパワーステアリングプーリ21に巻き掛けられ、次いで、ベルト背面側が接触するようにテンショナプーリ23に巻き掛けられた後、Vリブ15側が接触するようにクランクシャフトプーリ25及びエアコンプーリ26に順に巻き掛けられ、更に、ベルト背面側が接触するようにウォーターポンププーリ24に巻き掛けられ、そして、Vリブ15側が接触するようにACジェネレータプーリ22に巻き掛けられ、最後にパワーステアリングプーリ21に戻るように設けられている。従って、平プーリのテンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24に接触するベルト背面が平プーリ接触面を構成する。プーリ間で掛け渡されるVリブドベルトBの長さであるベルトスパン長は例えば50mm以上300mm以下である。プーリ間で生じ得るミスアライメントは例えば0°以上2°以下である。
(VリブドベルトBの製造方法)
実施形態に係るVリブドベルトBの製造方法を、図3A〜8Bに基づいて説明する。実施形態に係るVリブドベルトBの製造方法は、部材準備工程、成形工程、架橋工程、及び仕上工程で構成される。
実施形態に係るVリブドベルトBの製造方法を、図3A〜8Bに基づいて説明する。実施形態に係るVリブドベルトBの製造方法は、部材準備工程、成形工程、架橋工程、及び仕上工程で構成される。
<部材準備工程>
部材準備工程では、背面ゴム層11となる背面ゴムシート11’、接着ゴム層12となる接着ゴムシート12’、及び圧縮ゴム層13となる圧縮ゴムシート13’、並びに心線14となる撚糸14’を作製する。
部材準備工程では、背面ゴム層11となる背面ゴムシート11’、接着ゴム層12となる接着ゴムシート12’、及び圧縮ゴム層13となる圧縮ゴムシート13’、並びに心線14となる撚糸14’を作製する。
−背面ゴムシート11’、接着ゴムシート12’、及び圧縮ゴムシート13’−
ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用い、ゴム成分とゴム配合剤とを混練した後、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して未架橋の背面ゴムシート11’、接着ゴムシート12’、及び圧縮ゴムシート13’を作製する。
ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用い、ゴム成分とゴム配合剤とを混練した後、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して未架橋の背面ゴムシート11’、接着ゴムシート12’、及び圧縮ゴムシート13’を作製する。
−撚糸14’−
心線14を構成する撚糸14’に、RFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理、及び/又は、ゴム糊に浸漬して乾燥させる接着処理を施す。これらの接着処理の前に、エポキシ樹脂溶液又はイソシアネート樹脂溶液に浸漬して加熱する下地処理を施してもよい。
心線14を構成する撚糸14’に、RFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理、及び/又は、ゴム糊に浸漬して乾燥させる接着処理を施す。これらの接着処理の前に、エポキシ樹脂溶液又はイソシアネート樹脂溶液に浸漬して加熱する下地処理を施してもよい。
<成形工程>
成形工程では、まず、成形機(不図示)に、軸方向が水平方向となるように円筒状の成形マンドレル31を回転可能に軸支し、図3Aに示すように、成形マンドレル31上に背面ゴムシート11’を巻き付け、その上に更に接着ゴムシート12’を巻き付ける。成形マンドレル31は、製造するVリブドベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。これにより、背面ゴムシート11’上に接着ゴムシート12’を積層する。なお、所定長の背面ゴムシート11’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを成形マンドレル31上に被せてもよい。また、背面ゴムシート11’と接着ゴムシート12’とを積層一体化させたものを作製し、それを成形マンドレル31上に巻き付けてもよく、或いは、その積層体の所定長を、接着ゴムシート12’が外側となるように両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを成形マンドレル31に被せてもよい。
成形工程では、まず、成形機(不図示)に、軸方向が水平方向となるように円筒状の成形マンドレル31を回転可能に軸支し、図3Aに示すように、成形マンドレル31上に背面ゴムシート11’を巻き付け、その上に更に接着ゴムシート12’を巻き付ける。成形マンドレル31は、製造するVリブドベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。これにより、背面ゴムシート11’上に接着ゴムシート12’を積層する。なお、所定長の背面ゴムシート11’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを成形マンドレル31上に被せてもよい。また、背面ゴムシート11’と接着ゴムシート12’とを積層一体化させたものを作製し、それを成形マンドレル31上に巻き付けてもよく、或いは、その積層体の所定長を、接着ゴムシート12’が外側となるように両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを成形マンドレル31に被せてもよい。
次いで、図3Bに示すように、接着ゴムシート12’上に撚糸14’を螺旋状に巻き付け、その上に更に接着ゴムシート12’を巻き付ける。これにより、接着ゴムシート12’上に撚糸14’の層を積層し、また、撚糸14’の層上に接着ゴムシート12’を積層する。
次いで、図3Cに示すように、全周に渡って接着ゴムシート12’の上からローラー32で押圧する。これにより、撚糸14’の間にゴムを流動させて撚糸14’を一対の接着ゴムシート12’間に埋設させると共に位置固定して全体として一体化した筒状体を形成する。なお、この操作は、撚糸14’の層上に接着ゴムシート12’を巻き付けるのと同時に行ってもよい。
続いて、図3Dに示すように、筒状体の接着ゴムシート12’上に圧縮ゴムシート13’を複数層巻き付ける。なお、所定長の厚肉の圧縮ゴムシート13’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを接着ゴムシート12’上に被せてもよい。
以上のようにして、成形マンドレル31上に、背面ゴムシート11’、接着ゴムシート12’、撚糸14’、接着ゴムシート12’、及び圧縮ゴムシート13’が内側から順に積層された円筒状の未架橋スラブS’を成形する。
<架橋工程>
図4A及びBは、架橋工程において用いるベルト成型装置40を示す。
図4A及びBは、架橋工程において用いるベルト成型装置40を示す。
ベルト成型装置40は、基台41と、その上に立設された円柱状の膨張ドラム42と、その外側に設けられた円筒状の円筒金型43とを備える。
膨張ドラム42は、中空円柱状に形成されたドラム本体421と、その外周に外嵌めされた円筒状の膨張スリーブ422とを有する。ドラム本体421の外周部には、各々、内部に連通した多数の通気孔423が形成されている。膨張スリーブ422の両端部は、それぞれドラム本体421との間で固定リング44,45によって封止されている。また、ベルト成型装置40には、ドラム本体421の内部に高圧空気を導入して加圧する加圧手段(不図示)が設けられており、この加圧手段によりドラム本体421の内部に高圧空気が導入されると、高圧空気が通気孔423を通ってドラム本体421と膨張スリーブ422との間に入って膨張スリーブ422を径方向外向きに膨張させるように構成されている。
膨張スリーブ422は、内周側のゴム製のスリーブ本体422aとその外周面に貼設された織布422bとを有する。
スリーブ本体422aは、ゴム成分に種々のゴム配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されてゴム成分が架橋したゴム組成物で形成されている。ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレンプロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)やエチレン−プロピレンコポリマー(EPM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマー等が挙げられる。ゴム配合剤としては、カーボンブラックなどの補強材、充填材、可塑剤、加工助剤、加硫助剤、架橋剤、共架橋剤、老化防止剤等が挙げられる。
図5A及びBは織布422bの一例を示す。
織布422bを形成する繊維材料としては、例えば、綿、麻等の天然繊維、ナイロン66やナイロン46やナイロン6などの脂肪族ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、PBO繊維等の化学繊維が挙げられる。織布422bは、これらのうちの1種又は2種以上の繊維材料で形成されていることが好ましい。
織布422bは、外向きに露出した外周面が経糸Wa及び緯糸Weの交錯により形成された凹凸面であり、この凹凸面がベルト背面に転写される成型面を構成する。そして、この成型面である織布422bの凹凸面は、織布422bの単位組織において、凹凸面を構成する凹部の総面積が凸部の総面積よりも広い。織布422bの単位組織において、凹凸面を構成する凹部の総面積は、好ましくは50%以上80%以下、より好ましくは60%以上70%以下である。
このような織布422bの構成は、織布422bを形成する経糸Wa及び緯糸Weのうちいずれか一方が他方よりも繊度が大きいことにより容易に得ることができる。つまり、図5Aを例として説明すると、繊度が大きい方の相対的に太い緯糸Weが嵩高いことにより、相対的に細い経糸Waがその嵩高い相対的に太い緯糸Weと交差して小さな凸部を離散的に形成する一方、それ以外の部分が相対的に太い緯糸Weが露出した凹部で占められ、その結果形成される凹凸面において、それを構成する凹部の総面積が凸部の総面積よりも広くなる。そのため、製造されるVリブドベルトBのベルト背面には、図6に示すように、織布422bの凹凸面の凸部に対応した平面視が略楕円又は略長方形の細長形状の凹孔16が、その長軸方向に一定間隔をおいて直列に並ぶと共に、長軸方向と角度をなす方向に平行に並ぶように配設された形態を得ることができる。
織布422bの組織は、特に限定されるものではないが、平織又は変化平織であることが好ましい。変化平織としては、例えば、畦織(畝織)、斜子織等が挙げられる。織布422bの組織は、図5A及びBに示すような変化平織である畦織であることがより好ましい。
実施形態に係るVリブドベルトBの製造方法によれば、このように平プーリ接触面を構成するベルト背面の成型に用いる膨張スリーブ422の織布422bの単位組織において、成型面である織布422bの凹凸面を構成する凹部の総面積が凸部の総面積よりも広く、従って、それが転写されるベルト背面の凹凸面では、織布422bの単位組織に対応する部分において、平プーリのテンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24に直接接触する凸部の総面積が凹部の総面積よりも広くなるので、それらの平プーリのテンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24の接触圧力が低く抑えられ、その結果、ベルト背面の優れた耐摩耗性を得ることができる。
また、ベルト走行時における騒音を抑制する観点からは、後述するように成型面である織布422bの凹凸面に未架橋ゴム組成物を圧接させるとき、織布422bを、織布422bを形成する経糸Wa及び緯糸Weのそれぞれの延びる方向がベルト長さ方向及びベルト幅方向のいずれに対応する方向に対しても角度を有するように配置することが好ましい。従って、織布422bは、膨張ドラム42に、経糸Wa及び緯糸Weのそれぞれの延びる方向が膨張ドラム42の周方向及び軸方向のいずれの方向に対しても角度を有するように設けられていることが好ましい。このようにすれば、製造されるVリブドベルトBのベルト背面には、経糸Wa及び緯糸Weのそれぞれの延びる方向がベルト長さ方向及びベルト幅方向のいずれにも角度を有するように織布422bが設けられたのと同様の形態を得ることができる。
この場合、耐屈曲疲労性を高める観点からは、成型面である織布422bの凹凸面に未架橋ゴム組成物を圧接させるとき、織布422bを形成する経糸Wa及び緯糸Weのベルト長さ方向に対応する方向に開口した交差角度が90°よりも大きい広角θであることが好ましい。従って、織布422bは、経糸Wa及び緯糸Weの交差角度が90°よりも大きい広角θと90°よりも小さい挟角とを有し、膨張ドラム42に、経糸Wa及び緯糸Weの膨張ドラム42の周方向に開口した交差角度が広角θとなるように設けられていることが好ましい。このようにすれば、製造されるVリブドベルトBのベルト背面には、経糸Wa及び緯糸Weのベルト長さ方向に対応する方向に開口した交差角度が90°よりも大きい広角θであるように織布422bが設けられたのと同様の形態を得ることができる。なお、膨張スリーブ422が膨張すると織布422bの広角θは狭くなるので、膨張前の膨張スリーブ422における織布422bの広角θは、ベルト背面の広角よりも広く設定することが好ましい。例えば、ベルト背面の広角を120°とする場合、織布422bの広角θを約130°に設定することが好ましい。なお、経糸Wa及び緯糸Weの交差角度が広角θ及び挟角を有する織布422bは、例えば、国際公開96/22479等に開示された方法で作製することができる。
以上の構成の膨張スリーブ422は以下のようにして作製することができる。
まず、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用い、ゴム成分とゴム配合剤とを混練した後、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して長尺の未架橋ゴムシート422a’を作製する。また、長尺の織布422b’に接着処理を施す。接着処理は、織布422b’をRFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理、ゴム糊に浸漬して乾燥させる接着処理、及び接着面にゴム糊をコーティングする接着処理である。
続いて、図7Aに示すように、未架橋ゴムシート422a’と接着処理を施した織布422b’とを一対のロールR間で連続的に貼り合わせて加熱及び加圧することにより、未架橋ゴムシート422a’を架橋させると共に織布422b’と一体化させて長尺のゴムシート422a’及び織布422b’の積層体を得る。
そして、得られた積層体から所定長さを切り出し、図7B及び7Cに示すように、織布422b’が外側となるようにその両端を接合して円筒状に形成することにより膨張スリーブ422を得る。なお、この接合は、積層体の厚さ方向に沿った端面又は厚さ方向に対して傾斜した端面にいわゆる加硫接着剤を塗布し、両端面を突き合わせ、その部分を一対の熱盤間で挟んで加熱及び加圧して加硫接着剤を架橋させることにより行うことができる。また、膨張スリーブ422の軸方向に対して傾斜する方向に接合部が形成されるように積層体の接合を行ってもよい。
円筒金型43は基台41に脱着可能に構成されている。基台41に取り付けられた円筒金型43は、膨張ドラム42との間に間隔をおいて同心状に設けられる。円筒金型43は、内周面に、各々、周方向に延びる複数のVリブ形成溝431が軸方向に連設されている。各Vリブ形成溝431は、製造するVリブドベルトBのVリブ15に対応する形状に形成されている。ベルト成型装置40には、円筒金型43の加熱手段及び冷却手段(いずれも不図示)が設けられており、これらの加熱手段及び冷却手段により円筒金型43の温度制御が可能となるように構成されている。
架橋工程では、成形マンドレル31から未架橋スラブを抜き取り、この未架橋スラブを、ベルト成型装置40における基台41から取り外した円筒金型43の内側に内嵌めするように配置する。円筒金型43は、製造するVリブドベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。
次いで、図8Aに示すように、未架橋スラブS’を設けた円筒金型43を、膨張ドラム42を覆うように配置して基台41に取り付ける。このとき、円筒金型43に設けた未架橋スラブS’と膨張ドラム42との間には隙間が形成される。
そして、図8Bに示すように、加熱手段により円筒金型43を昇温させると共に、加圧手段により膨張ドラム42のドラム本体421の内部に高圧空気を導入して膨張スリーブ422を径方向外向きに膨張させ、その状態を所定時間保持する。これにより、円筒金型43と膨張スリーブ422との間で未架橋スラブS’を圧縮し、圧縮ゴムシート13’をVリブ形成溝431に流入させてVリブ15を形成し、また、背面ゴムシート11’、接着ゴムシート12’、及び圧縮ゴムシート13’のゴム成分を架橋させて一体化させると共に撚糸14’と複合化させ、最終的に、円筒状のベルトスラブSを成型する。更に、膨張スリーブ422の外周に設けられた織布422bの凹凸面を成型面として、その成型面に未架橋スラブの内周面を構成する背面ゴムシート11’の未架橋ゴム組成物を圧接させて織布422bの凹凸面を転写すると共に未架橋ゴム組成物を架橋させる。そのため、このベルトスラブSの内周面には織布422bの凹凸面が転写され、それがVリブドベルトBの平プーリ接触面を構成するベルト背面となる。このときの加熱温度は例えば100〜180℃、圧力は例えば0.5〜2.0MPa、及び加工時間は例えば10〜60分である。
<仕上工程>
仕上工程では、加圧手段によるドラム本体421の内部の加圧を解除すると共に、冷却手段により円筒金型43を冷却した後、基台41から円筒金型43を取り外し、円筒金型43から、その内側に成型されたベルトスラブを取り出し、それを所定のVリブ15の数の幅で輪切りし、表裏を裏返すことによりVリブドベルトBを得る。
仕上工程では、加圧手段によるドラム本体421の内部の加圧を解除すると共に、冷却手段により円筒金型43を冷却した後、基台41から円筒金型43を取り外し、円筒金型43から、その内側に成型されたベルトスラブを取り出し、それを所定のVリブ15の数の幅で輪切りし、表裏を裏返すことによりVリブドベルトBを得る。
本発明は、伝動ベルトの製造方法の技術分野について有用である。
B Vリブドベルト(伝動ベルト)
Wa 経糸
We 緯糸
422b 織布
Wa 経糸
We 緯糸
422b 織布
Claims (6)
- 経糸及び緯糸で形成された織布の凹凸面を成型面として、前記成型面に未架橋ゴム組成物を圧接させて前記凹凸面を転写すると共に前記未架橋ゴム組成物を架橋させることによりゴムの平プーリ接触面を成型する伝動ベルトの製造方法であって、
前記成型面である前記織布の前記凹凸面は、前記織布の単位組織において、前記凹凸面を構成する凹部の総面積が凸部の総面積よりも広い伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1に記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記織布を形成する前記経糸及び前記緯糸のうちいずれか一方が他方よりも繊度が大きい伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1又は2に記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記織布が平織織布又は変化平織織布である伝動ベルトの製造方法。 - 請求項3に記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記織布が畦織織布である伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記成型面に未架橋ゴム組成物を圧接させるとき、前記織布を、前記織布を形成する前記経糸及び前記緯糸のそれぞれの延びる方向がベルト長さ方向及びベルト幅方向のいずれに対応する方向に対しても角度を有するように配置する伝動ベルトの製造方法。 - 請求項5に記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記成型面に未架橋ゴム組成物を圧接させるとき、前記織布を形成する前記経糸及び前記緯糸のベルト長さ方向に対応する方向に開口した交差角度が90°よりも大きい伝動ベルトの製造方法。
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Cited By (1)
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DE102019131032A1 (de) * | 2019-11-18 | 2021-05-20 | Arntz Beteiligungs Gmbh & Co. Kg | Antriebsriemen und Verfahren zur Herstellung eines Antriebsriemens |
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