JP2013144416A - 伝動ベルトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝動ベルトの伝動面側の最外層に、ラップ部分のないフィルム層を容易に形成したり、繊維密度の低下を抑制して、ラップ部分のない布層を容易に形成したりする。
【解決手段】円筒状の内型23の外周面に、接着ゴム層及び圧縮ゴム層を形成するための未加硫のゴムシート1a、2a、2b及び4aを巻き付けることにより、円筒状のゴム積層体5を形成する積層体形成工程と、ゴム積層体5の外周部に、フィルム層又は布層を形成するための熱収縮性を有する円筒状の被収縮体6aを配置した後に、被収縮体6aを熱収縮させて密着させる熱収縮工程と、内型23と、内型23に対応する円筒状の外型24との間で、ゴム積層体5を加熱及び加圧する加硫工程とを備える。
【選択図】図3
【解決手段】円筒状の内型23の外周面に、接着ゴム層及び圧縮ゴム層を形成するための未加硫のゴムシート1a、2a、2b及び4aを巻き付けることにより、円筒状のゴム積層体5を形成する積層体形成工程と、ゴム積層体5の外周部に、フィルム層又は布層を形成するための熱収縮性を有する円筒状の被収縮体6aを配置した後に、被収縮体6aを熱収縮させて密着させる熱収縮工程と、内型23と、内型23に対応する円筒状の外型24との間で、ゴム積層体5を加熱及び加圧する加硫工程とを備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、伝動ベルトの製造方法に関し、特に、伝動面側の最外層にフィルム層や布層が設けられたVリブドベルトなどの伝動ベルトを製造する方法に関するものである。
Vリブドベルトは、例えば、心線が埋設された接着ゴム層と、接着ゴム層のベルト内面(伝動面)側に積層され、ベルト長さ方向に沿って延びるように複数のVリブが設けられた圧縮ゴム層とを備えた伝動ベルトである。
例えば、特許文献1には、内側にゴムジャケットが設けられた外型と、未収縮帆布及び未加硫ゴムシートが順に巻き付けられる内型とを備えた加硫成型装置を用いて、未収縮帆布及び未加硫ゴムシートの積層体を、外型側及び内型側から相対的に低い温度で加熱した後に、内型側から相対的に高い温度で加熱することにより、未収縮帆布を熱収縮させる、ベルトの製造方法が開示されている。
ところで、伝動面側の最外層に布層が設けられたVリブドベルトでは、布層にラップする部分が形成されると、そのラップ部分がプーリを通過する際に異音を発生させたり、そのラップ部分でクラックが発生するまでの寿命が極端に短かったりするおそれがある。
ここで、伝動面に布層が設けられたVリブドベルトの製造では、例えば、円筒状の内型の外周面に未加硫ゴムシートなどからなるゴム積層体を形成し、その円筒状のゴム積層体の表面に布層となる円筒状の帆布を被せることになる。そして、円筒状の帆布の内周がゴム積層体の外周よりも短くなるように加工(筒織り(ニットの場合)、熱溶着ジョイント(熱可塑性の帆布の場合)、ミシンジョイント(非熱可塑性の帆布の場合)など)して、円筒状の帆布を径方向に伸ばした状態でゴム積層体の表面に被せることにより、上記ラップ部分の形成を未然に防ぐことができるものの、製造されたVリブドベルトでは、帆布が伸びたままで固定され易いので、布層における繊維密度が低くなるおそれがある。また、伝動面にフィルム層が設けられたVリブドベルトについては、仮に、円筒状のフィルムの内周がゴム積層体の外周よりも短くなるようにしても、フィルム自体が伸び縮みし難いので、筒状のフィルムをゴム積層体の表面に被せることすらできなく、上記ラップ部分の形成を防ぐことが困難である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、伝動ベルトの伝動面側の最外層に、ラップ部分のないフィルム層を容易に形成したり、繊維密度の低下を抑制して、ラップ部分のない布層を容易に形成したりすることにある。
上記目的を達成するために、本発明は、接着ゴム層及び圧縮ゴム層を形成するための円筒状のゴム積層体の外周部に、フィルム層又は布層を形成するための熱収縮性を有する円筒状の被収縮体を配置した後に、その被収縮体を熱収縮させるようにしたものである。
具体的に本発明に係る伝動ベルトの製造方法は、心線が埋設された接着ゴム層と、上記接着ゴム層のベルト内面側に積層するように設けられた圧縮ゴム層と、上記圧縮ゴム層を覆うように設けられたフィルム層又は布層とを備えた伝動ベルトを製造する方法であって、円筒状の内型の外周面に、上記接着ゴム層及び圧縮ゴム層を形成するための未加硫のゴムシートを巻き付けることにより、円筒状のゴム積層体を形成する積層体形成工程と、上記ゴム積層体の外周部に、上記フィルム層又は布層を形成するための熱収縮性を有する円筒状の被収縮体を配置した後に、該被収縮体を熱収縮させて密着させる熱収縮工程と、上記内型と、該内型に対応する円筒状の外型との間で、上記ゴム積層体を加熱及び加圧する加硫工程とを備えることを特徴とする。
上記の方法によれば、積層体形成工程、熱収縮工程及び加硫工程を行うことにより、例えば、ベルトスラブが作製され、そのベルトスラブを所定幅に輪切りにすることにより、ベルト内面側の圧縮ゴムの表面、すなわち、伝動面の最外層にフィルム層又は布層が設けられた伝動ベルトが製造される。そして、熱収縮工程において、積層体形成工程で内型の外周面に形成された(接着ゴム層及び圧縮ゴム層を形成するための)円筒状のゴム積層体の外周部に、(フィルム層又は布層を形成するための)熱収縮性を有する円筒状の被収縮体を配置した後に、その被収縮体を熱収縮させて密着させるので、ゴム積層体の外周部で円筒状の被収縮体が幾分だぶつくことになり、ゴム積層体の外周部に被収縮体を配置する作業が容易になる。さらに、被収縮体のだぶつきがその熱収縮により吸収されるので、フィルム層又は布層において、ラップ部分が形成されないことになる。また、布層は、被収縮体の熱収縮により形成されるので、布層における繊維密度が被収縮体における繊維密度よりも高くなり、布層における繊維密度の低下が抑制される。したがって、伝動ベルトの伝動面側の最外層に、ラップ部分のないフィルム層を容易に形成したり、繊維密度の低下を抑制して、ラップ部分のない布層を容易に形成したりすることが可能になる。
上記加硫工程は、上記熱収縮工程を含み、上記加硫工程では、上記外型の内周部に上記被収縮体を配置した後に、該被収縮体の内周側に上記内型の外周面に形成されたゴム積層体を挿入することにより、上記ゴム積層体の外周部に上記被収縮体を配置し、上記ゴム積層体を加熱及び加圧する際に該被収縮体を熱収縮させてもよい。
上記の方法によれば、積層体形成工程と、熱収縮工程を含む加硫工程とを順に行うことにより、伝動面の最外層にフィルム層又は布層が設けられた伝動ベルトが具体的に製造される。そして、熱収縮工程を含む加硫工程では、外型の内周部に被収縮体を配置した後に、その被収縮体の内周側に(内型の外周面に形成された)ゴム積層体を挿入することにより、ゴム積層体の外周部に被収縮体を配置し、ゴム積層体を加熱及び加圧する際の加硫熱を利用して被収縮体を熱収縮させるので、製造工程の増加を抑制して、ラップ部分のないフィルム層又は布層が形成される。
上記外型の内周面には、周方向に沿って互いに平行に延びるように複数の溝条が設けられていてもよい。
上記の方法によれば、外型の内周面に周方向に沿って互いに平行に延びるように複数の溝条が設けられているので、ゴム積層体を挿入する際に、被収縮体の介在により、ゴム積層体が外型の内周面に形成された各溝条に接触し難くなり、ゴム積層体におけるゴム材料の捲り上がりが抑制され、外型の内側にゴム積層体を容易に挿入することが可能になる。
上記加硫工程は、上記熱収縮工程の後で行われ、上記熱収縮工程では、上記ゴム積層体の外周部に配置された被収縮体を上記内型の周方向に回転させながら加熱してもよい。
上記の方法によれば、積層体形成工程、熱収縮工程及び加硫工程を順に行うことにより、伝動面の最外層にフィルム層又は布層が設けられた伝動ベルトが具体的に製造される。そして、熱収縮工程では、ゴム積層体の外周部に配置された被収縮体を回転させながら加熱するので、被収縮体が均一に熱収縮される。
上記熱収縮工程では、上記被収縮体の外周面に対して、加熱されたロールの外周面を接触させることにより、該被収縮体を加熱してもよい。
上記の方法によれば、熱収縮工程では、被収縮体の外周面に加熱されたロールの外周面を互いに回転させながら接触させることにより、被収縮体を加熱するので、被収縮体が回転方向に沿って順に加熱されることにより、被収縮体が均一に熱収縮される。
上記被収縮体の内周は、上記ゴム積層体の外周の1.01倍〜1.25倍であってもよい。
上記の方法によれば、被収縮体の内周がゴム積層体の外周の1.01倍〜1.25倍であるので、ゴム積層体の外周部に被収縮体を容易に配置することが可能になる。ここで、被収縮体の内周がゴム積層体の外周の1.01倍よりも小さい場合には、ゴム積層体の外周部に被収縮体を配置させ難くなり、被収縮体の内周がゴム積層体の外周の1.25倍よりも大きい場合には、被収縮体のだぶつきが熱収縮により吸収し難くなる。
本発明によれば、接着ゴム層及び圧縮ゴム層を形成するための円筒状のゴム積層体の外周部に、フィルム層又は布層を形成するための熱収縮性を有する円筒状の被収縮体を配置した後に、その被収縮体を熱収縮させるので、伝動ベルトの伝動面側の最外層に、ラップ部分のないフィルム層を容易に形成したり、繊維密度の低下を抑制して、ラップ部分のない布層を容易に形成したりすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《発明の実施形態1》
図1〜図4は、本発明に係るVリブドベルトの製造方法の実施形態1を示している。具体的に、図1は、本実施形態のVリブドベルト10aの斜視図である。また、図2は、Vリブドベルト10aを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置50のプーリレイアウトを示す図である。また、図3及び図4は、Vリブドベルト10aの製造方法をそれぞれ示す説明図である。
図1〜図4は、本発明に係るVリブドベルトの製造方法の実施形態1を示している。具体的に、図1は、本実施形態のVリブドベルト10aの斜視図である。また、図2は、Vリブドベルト10aを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置50のプーリレイアウトを示す図である。また、図3及び図4は、Vリブドベルト10aの製造方法をそれぞれ示す説明図である。
Vリブドベルト10aは、図1に示すように、心線3が埋設された接着ゴム層2と、接着ゴム層2のベルト内面側に積層するように設けられた圧縮ゴム層4と、圧縮ゴム層4を覆うように設けられたフィルム層6と、接着ゴム層2のベルト外面側に積層するように設けられた背面ゴム層1とを備えている。ここで、Vリブドベルト10aは、例えば、ベルト周長700mm〜3000mm程度、ベルト幅10mm〜36mm程度、及びベルト厚さ4.0mm〜5.0mm程度に形成されている。
心線3は、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリケトン繊維などの撚り糸により、外径0.7mm〜1.1mm程度に形成されている。また、心線3は、ベルト長さ方向に伸びると共に、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように設けられている。
接着ゴム層2は、図1に示すように、原料ゴム成分に種々の配合剤が配合されたゴム組成物により、断面横長矩形の帯状に形成されている。ここで、接着ゴム層2を構成する構成するゴム組成物の原料ゴム成分としては、例えば、エチレン・プロピレンゴム(EPR)やエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリルニトリルゴム(H−NBR)などが挙げられる。そして、耐熱性及び耐寒性の点で優れた性質を示す観点から、接着ゴム層2を構成するゴム組成物の原料ゴム成分としては、エチレン−α−オレフィンエラストマーが好ましい。また、配合剤としては、例えば、架橋剤(例えば、硫黄、有機過酸化物など)、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、カーボンブラックなどの補強材、充填材などが挙げられる。なお、接着ゴム層2を構成するゴム組成物は、原料ゴム成分に配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋剤により架橋させたものである。
圧縮ゴム層4は、例えば、原料ゴム成分に種々の配合剤が配合されたゴム組成物により、図1に示すように、ベルト内面側の表面に、各々、断面V字形の複数の溝条が互いに平行に延びるように配列された帯状に形成されている。ここで、圧縮ゴム層4は、図1に示すように、各溝条の間にそれぞれ設けられ、互いに平行に延びる複数のVリブ9を備えている。また、圧縮ゴム層4を構成するゴム組成物の原料ゴム成分としては、例えば、エチレン・プロピレンゴム(EPR)やエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリルニトリルゴム(H−NBR)などが挙げられる。そして、耐熱性及び耐寒性の点で優れた性質を示す観点から、圧縮ゴム層4を構成する構成するゴム組成物の原料ゴム成分としては、エチレン−α−オレフィンエラストマーが好ましい。また、配合剤としては、例えば、架橋剤(例えば、硫黄、有機過酸化物など)、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、カーボンブラックなどの補強材、充填材、短繊維などが挙げられる。さらに、短繊維は、例えば、ナイロン短繊維、ビニロン短繊維、アラミド短繊維、ポリエステル短繊維、綿短繊維などにより、長さ0.2mm〜5.0mm程度で繊維径10μm〜50μmで形成されている。なお、圧縮ゴム層4を構成するゴム組成物は、原料ゴム成分に配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋剤により架橋させたものである。
フィルム層6は、例えば、ポリエチレン樹脂やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などにより、厚さ50μm程度に形成されている。また、フィルム層6には、例えば、熱可塑性樹脂などの粒状の粉体や短繊維などが含まれていてもよい。
背面ゴム層1は、図1に示すように、原料ゴム成分に種々の配合剤が配合されたゴム組成物により、断面横長矩形の帯状に形成されている。ここで、背面ゴム層1を構成する構成するゴム組成物の原料ゴム成分としては、例えば、エチレン・プロピレンゴム(EPR)やエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリルニトリルゴム(H−NBR)などが挙げられる。そして、耐熱性及び耐寒性の点で優れた性質を示す観点から、背面ゴム層1を構成するゴム組成物の原料ゴム成分としては、エチレン−α−オレフィンエラストマーが好ましい。なお、背面ゴム層1を構成するゴム組成物は、原料ゴム成分に配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋剤により架橋させたものである。
ここで、接着ゴム層2、圧縮ゴム層4及び背面ゴム層1は、互いに異なるゴム組成物で形成されていても、全く同じゴム組成物で形成されていてもよい。
上記構成のVリブドベルト10aは、図2に示すように、自動車の補機駆動ベルト伝動装置50に用いられるものである。ここで、補機駆動ベルト伝動装置50は、図3に示すように、図中最上位置のパワーステアリングプーリ51と、パワーステアリングプーリ51の図中下側に配置されたジェネレータプーリ52と、パワーステアリングプーリ51の図中左下側に配置された平プーリのテンショナプーリ53と、テンショナプーリ53の図中下側に配置された平プーリのウォーターポンププーリ54と、テンショナプーリ53の図中左下側に配置されたクランクシャフトプーリ55と、クランクシャフトプーリ55の図中右下側に配置されたエアコンプーリ56とを備えている。そして、補機駆動ベルト伝動装置50では、平プーリであるテンショナプーリ53及びウォーターポンププーリ54以外は、全てリブプーリである。また、Vリブドベルト10aは、図2に示すように、Vリブ9側が接触するようにパワーステアリングプーリ51に巻き掛けられ、次いで、ベルト背面が接触するようにテンショナプーリ53に巻き掛けられた後、Vリブ9側が接触するようにクランクシャフトプーリ55及びエアコンプーリ56に順に巻き掛けられ、さらに、ベルト背面が接触するようにウォーターポンププーリ54に巻き掛けられ、そして、Vリブ9側が接触するようにジェネレータプーリ52に巻き掛けられ、最後にパワーステアリングプーリ51に戻るように設けられている。
次に、本実施形態のVリブドベルト10aの製造方法について図3及び図4を用いて説明する。なお、本実施形態のVリブドベルト10aの製造方法は、準備工程と、積層体形成工程と、熱収縮工程を含む加硫工程とを備える。
ここで、Vリブドベルト10aの製造に用いるベルト成形型25について説明する。
ベルト成形型25は、図3及び図4に示すように、円筒状に設けられた内型23と、内型23に同心状に配置する円筒状の外型24とを備えている。ここで、内型23は、図3に示すように、円筒状のゴムスリーブ型21と、ゴムスリーブ型21の内周側に円筒状に設けられ、ゴムスリーブ型21の上部及び下部を密着状態で収容する金属ベース型22とを備え、ゴムスリーブ型21及び金属ベース型22の間に高温の水蒸気を供給することなどにより、半径方向に膨らんで、外型24に圧接するように構成されている。また、内型23は、例えば、外径が700mm〜3000mm程度、厚さが8mm〜20mm程度、及び高さが500mm〜1000mm程度である。さらに、外型24は、例えば、金属などの剛性材料により形成されている。また、外型24の内周面には、図3及び図4に示すように、Vリブ9を形成するための複数の溝条24aが互いに平行に延びるように設けられている。
<準備工程>
接着ゴム層2となる原料ゴム及び配合剤などをニーダーなどの混練機にて混練することによって塊状の未架橋ゴム組成物を形成した後に、その未架橋ゴム組成物を、例えば、カレンダーロールを用いて、厚さ0.4mm〜0.8mm程度のシート状に加工することにより、ゴムシート2a及び2b(図3参照)を作製する。
接着ゴム層2となる原料ゴム及び配合剤などをニーダーなどの混練機にて混練することによって塊状の未架橋ゴム組成物を形成した後に、その未架橋ゴム組成物を、例えば、カレンダーロールを用いて、厚さ0.4mm〜0.8mm程度のシート状に加工することにより、ゴムシート2a及び2b(図3参照)を作製する。
また、圧縮ゴム層4となる原料ゴム及び配合剤などをニーダーなどの混練機にて混練することによって塊状の未架橋ゴム組成物を形成した後に、その未架橋ゴム組成物を、例えば、カレンダーロールを用いて、厚さ0.6mm〜1.0.mm程度のシート状に加工することにより、ゴムシート4a(図3参照)を作製する。
また、背面ゴム層1となる原料ゴム及び配合剤などをニーダーなどの混練機にて混練することによって塊状の未架橋ゴム組成物を形成した後に、その未架橋ゴム組成物を、例えば、カレンダーロールを用いて、厚さ0.4mm〜0.8mm程度のシート状に加工することにより、ゴムシート1a(図3参照)を作製する。
また、熱収縮性を有する矩形状のフィルムシートの対向する端縁同士をラップ部分がないように突き合わせた状態で、例えば、熱溶着にて継ぎ合わせることにより、フィルム層6となる円筒状の被収縮体フィルム6a(図4参照)を作製する。ここで、被収縮体フィルム6aは、その内周が後述するゴム積層体5の外周の1.01倍〜1.25倍になるように設定する。なお、被収縮体フィルム6aの内周がゴム積層体5の外周の1.01倍よりも小さい場合には、ゴム積層体5の外周部に被収縮体フィルム6aを配置させ難くなり、被収縮体フィルム6aの内周がゴム積層体5の外周の1.25倍よりも大きい場合には、被収縮体フィルム6aのだぶつきが熱収縮により吸収し難くなる。
<積層体形成工程>
まず、離型剤を塗布した内型23の外周面にゴムシート1a及びゴムシート2aを順に巻き付けた後に、ゴムシート2aの外周面に心線3となる撚り糸3aを螺旋状に巻き付ける。
まず、離型剤を塗布した内型23の外周面にゴムシート1a及びゴムシート2aを順に巻き付けた後に、ゴムシート2aの外周面に心線3となる撚り糸3aを螺旋状に巻き付ける。
続いて、撚り糸3aが巻き付けられたゴムシート2aの外周面に、ゴムシート2b及びゴムシート4aを順に巻き付けることにより、ゴム積層体5(図3参照)を形成する。
<加硫工程(熱収縮工程)>
まず、外型24の内周部に被収縮体フィルム6aを配置した後に、被収縮体フィルム6aの内周側に漏斗を用いて内型23の外周面に形成されたゴム積層体5を挿入することにより、ゴム積層体5の外周部に被収縮体フィルム6aを配置する。
まず、外型24の内周部に被収縮体フィルム6aを配置した後に、被収縮体フィルム6aの内周側に漏斗を用いて内型23の外周面に形成されたゴム積層体5を挿入することにより、ゴム積層体5の外周部に被収縮体フィルム6aを配置する。
続いて、内型23の内部に、例えば、高温の水蒸気を供給して、内型23のゴムスリーブ型21を膨張させることにより、内型20a及び外型20bの間でベルト材料を加熱(例えば、150℃〜180℃程度)及び加圧(例えば、0.5MPa〜1.0MPa程度)する。これにより、被収縮体フィルム6aが熱収縮し、ゴム成分の架橋反応が進行すると共に、ゴム成分と撚り糸3a及び被収縮体フィルム6aとの接着反応も進行し、円筒状のベルトスラブが作製される。
最後に、作製されたベルトスラブをベルト成形型25から取り外した後に、ベルトスラブを所定幅に輪切りし、表裏を反転させる。
以上のようにして、本実施形態のVリブドベルト10aを製造することができる。
以上説明したように、本実施形態のVリブドベルト10aの製造方法によれば、積層体形成工程と、熱収縮工程を含む加硫工程とを順に行うことにより、例えば、ベルトスラブが作製され、そのベルトスラブを所定幅に輪切りにすることにより、ベルト内面側の圧縮ゴム4の表面、すなわち、伝動面の最外層にフィルム層6が設けられたVリブドベルト10aを製造することができる。そして、熱収縮工程において、積層体形成工程で内型23の外周面に形成された(背面ゴム層1、接着ゴム層2及び圧縮ゴム層4を形成するための)円筒状のゴム積層体5の外周部に、(フィルム層6を形成するための)熱収縮性を有する円筒状の被収縮体フィルム6aを配置した後に、その被収縮体6aを熱収縮させて密着させるので、ゴム積層体5の外周部で円筒状の被収縮体フィルム6aが幾分だぶつくことになり、ゴム積層体5の外周部に被収縮体フィルム6aを配置する作業を容易にすることができる。さらに、被収縮体フィルム6aのだぶつきがその熱収縮により吸収されるので、フィルム層6において、ラップ部分が形成されないことになる。したがって、Vリブドベルト10aの伝動面側の最外層に、ラップ部分のないフィルム層6を容易に形成することができる。
また、本実施形態のVリブドベルト10aの製造方法によれば、熱収縮工程を含む加硫工程において、外型24の内周部に被収縮体フィルム6aを配置した後に、その被収縮体フィルム6aの内周側に(内型23の外周面に形成された)ゴム積層体5を挿入することにより、ゴム積層体5の外周部に被収縮体フィルム6aを配置し、ゴム積層体5を加熱及び加圧する際の加硫熱を利用して被収縮体フィルム6aを熱収縮させるので、製造工程の増加を抑制して、ラップ部分のないフィルム層6を形成することができる。
また、本実施形態のVリブドベルト10aの製造方法によれば、外型24の内周面に周方向に沿って互いに平行に延びるように複数の溝条24aが設けられているので、ゴム積層体5を挿入する際に、被収縮体フィルム6aの介在により、ゴム積層体5が外型の内周面に形成された各溝条24aに接触し難くなり、ゴム積層体5におけるゴム材料の捲り上がりを抑制することができ、外型24の内側にゴム積層体5を容易に挿入することができる。
また、本実施形態のVリブドベルト10aの製造方法によれば、被収縮体フィルム6aの内周がゴム積層体5の外周の1.01倍〜1.25倍であるので、ゴム積層体5の外周部に被収縮体フィルム6aを容易に配置することができる。
また、本実施形態のVリブドベルト10aによれば、伝動面の最外層にラップ部分のないフィルム層6が設けられているので、ベルト走行時において、異音の発生を抑制することができると共に、ラップ部分に起因するクラックの発生を抑制することができる。
《発明の実施形態2》
図5〜図7は、本発明に係るVリブドベルトの製造方法の実施形態2を示している。具体的に、図5は、本実施形態のVリブドベルト10bの斜視図である。また、図6及び図7は、Vリブドベルト10bの製造方法をそれぞれ示す説明図である。なお、以下の実施形態において、図1〜図4と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図5〜図7は、本発明に係るVリブドベルトの製造方法の実施形態2を示している。具体的に、図5は、本実施形態のVリブドベルト10bの斜視図である。また、図6及び図7は、Vリブドベルト10bの製造方法をそれぞれ示す説明図である。なお、以下の実施形態において、図1〜図4と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記実施形態1では、伝動面の最外層にフィルム層6が設けられたVリブドベルト10a及びその製造方法を例示したが、本実施形態では、伝動面の最外層にフィルム層7が設けられたVリブドベルト10b及びその製造方法を例示する。
Vリブドベルト10bは、図5に示すように、心線3が埋設された接着ゴム層2と、接着ゴム層2のベルト内面側に積層するように設けられた圧縮ゴム層4と、圧縮ゴム層4を覆うように設けられた布層7と、接着ゴム層2のベルト外面側に積層するように設けられた背面ゴム層1とを備え、上記実施形態1のVリブドベルト10aと同様に、自動車の補機駆動ベルト伝動装置50に用いられるものである。ここで、Vリブドベルト10bは、例えば、ベルト周長700mm〜3000mm程度、ベルト幅10mm〜36mm程度、及びベルト厚さ4.0mm〜5.0mm程度に形成されている。
布層7は、例えば、熱可塑性樹脂やセルロースなどの混紡などからなる織物や編み物などにより形成されている。また、布層7は、熱可塑性の不織布により形成されていてもよい。
次に、本実施形態のVリブドベルト10bの製造方法について図6及び図7を用いて説明する。なお、本実施形態のVリブドベルト10bの製造方法は、準備工程、積層体形成工程、熱収縮工程及び加硫工程を備える。
<準備工程>
上記実施形態1と同様に、ゴムシート1a、2a、2b及び4a(図3参照)を作製する。
上記実施形態1と同様に、ゴムシート1a、2a、2b及び4a(図3参照)を作製する。
熱収縮性を有する矩形状の布の対向する端縁同士をラップ部分がないように突き合わせた状態で、例えば、熱溶着にて継ぎ合わせることにより、布層7となる円筒状の被収縮体布7a(図6参照)を作製する。ここで、被収縮体布7aは、その内周がゴム積層体5の外周の1.01倍〜1.25倍になるように設定する。なお、被収縮体布7aの内周がゴム積層体5の外周の1.01倍よりも小さい場合には、ゴム積層体5の外周部に被収縮体布7aを配置させ難くなり、被収縮体布7aの内周がゴム積層体5の外周の1.25倍よりも大きい場合には、被収縮体布7aのだぶつきが熱収縮により吸収し難くなる。
<積層体形成工程>
まず、離型剤を塗布した内型23の外周面にゴムシート1a及びゴムシート2aを順に巻き付けた後に、ゴムシート2aの外周面に心線3となる撚り糸3aを螺旋状に巻き付ける。
まず、離型剤を塗布した内型23の外周面にゴムシート1a及びゴムシート2aを順に巻き付けた後に、ゴムシート2aの外周面に心線3となる撚り糸3aを螺旋状に巻き付ける。
続いて、撚り糸3aが巻き付けられたゴムシート2aの外周面に、ゴムシート2b及びゴムシート4aを順に巻き付けることにより、ゴム積層体5(図6参照)を形成する。
<熱収縮工程>
まず、内型23の外周面に形成されたゴム積層体5の外周部に被収縮体布7aを被せる(図6参照)。
まず、内型23の外周面に形成されたゴム積層体5の外周部に被収縮体布7aを被せる(図6参照)。
続いて、内型23を周方向に回転させながら、ゴム積層体5に被せられた被収縮体布7aの外周面に、図6に示すように、加熱されたロール26の外周面を接触させて、被収縮体布7aを加熱することにより、図7に示すように、被収縮体布7aを熱収縮させ、ゴム積層体5の外周面に被収縮体布7aを密着させる。なお、本実施形態では、内型23を回転させながら、加熱されたロール26と接触させることにより、被収縮体布7aを加熱する製造方法を例示したが、本発明は、内型23を回転させながら、ドライヤーなどで熱風を吹き付けることにより、被収縮体布7aを加熱する製造方法にも適用することができる。
<加硫工程>
まず、外周面に被収縮体布7aを密着させたゴム積層体5が形成された内型23に対して同心状に外型24を取り付ける。
まず、外周面に被収縮体布7aを密着させたゴム積層体5が形成された内型23に対して同心状に外型24を取り付ける。
続いて、内型23の内部に、例えば、高温の水蒸気を供給して、内型23を膨張させることにより、内型23及び外型24の間でベルト材料を加熱(例えば、150℃〜180℃程度)及び加圧(例えば、0.5MPa〜1.0MPa程度)する。これにより、ゴム成分の架橋反応が進行すると共に、ゴム成分と撚り糸3a及び熱収縮させた被収縮体布7aとの接着反応も進行し、円筒状のベルトスラブが作製される。
さらに、作製されたベルトスラブをベルト成形型25から取り外した後に、ベルトスラブを所定幅に輪切りし、表裏を反転させる。
以上のようにして、本実施形態のVリブドベルト10bを製造することができる。
以上説明したように、本実施形態のVリブドベルト10bの製造方法によれば、積層体形成工程、熱収縮工程及び加硫工程を順に行うことにより、例えば、ベルトスラブが作製され、そのベルトスラブを所定幅に輪切りにすることにより、ベルト内面側の圧縮ゴム4の表面、すなわち、伝動面の最外層に布層7が設けられたVリブドベルト10bを製造することができる。そして、熱収縮工程において、積層体形成工程で内型23の外周面に形成された(背面ゴム層1、接着ゴム層2及び圧縮ゴム層4を形成するための)円筒状のゴム積層体5の外周部に、(布層7を形成するための)熱収縮性を有する円筒状の被収縮体布7aを配置した後に、その被収縮体布7aを熱収縮させて密着させるので、ゴム積層体5の外周部で円筒状の被収縮体布7aが幾分だぶつくことになり、ゴム積層体5の外周部に被収縮体布7aを配置する作業を容易にすることができる。さらに、被収縮体布7aのだぶつきがその熱収縮により吸収されるので、布層7において、ラップ部分が形成されないことになる。また、布層7は、被収縮体布7aの熱収縮により形成されるので、布層7における繊維密度が被収縮体布7aにおける繊維密度よりも高くなり、布層7における繊維密度の低下を抑制することができる。したがって、Vリブドベルト10bの伝動面側の最外層に、繊維密度の低下を抑制して、ラップ部分のない布層7を容易に形成することができる。
また、本実施形態のVリブドベルト10bの製造方法によれば、熱収縮工程では、被収縮体布7aの外周面に加熱されたロール26の外周面を互いに回転させながら接触させることにより、被収縮体布7aを加熱するので、被収縮体布7aが回転方向に沿って順に加熱されることにより、被収縮体布7aを均一に熱収縮することができる。
なお、本実施形態では、被収縮体布7aを回転させながら加熱する製造方法を例示したが、上記実施形態1の被収縮体フィルム6aを回転させながら加熱してもよく、また、本実施形態の被収縮体布7aを上記実施形態1と同様に加硫熱を利用して加熱してもよい。
また、上記各実施形態では、伝動ベルトとして、Vリブドベルトを例示したが、本発明は、Vベルトなどの他の伝動ベルトにも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、伝動ベルトの伝動面側の最外層に、ラップ部分のないフィルム層や布層を容易に形成することができるので、伝動ベルトの製造方法について有用である。
1a,2a,2b,4a ゴムシート
2 接着ゴム層
4 圧縮ゴム層
5 ゴム積層体
6 フィルム層
6a 被収縮体フィルム
7 布層
7a 被収縮体布
10a,10b Vリブドベルト(伝動ベルト)
23 内型
24 外型
24a 溝条
26 ロール
2 接着ゴム層
4 圧縮ゴム層
5 ゴム積層体
6 フィルム層
6a 被収縮体フィルム
7 布層
7a 被収縮体布
10a,10b Vリブドベルト(伝動ベルト)
23 内型
24 外型
24a 溝条
26 ロール
Claims (6)
- 心線が埋設された接着ゴム層と、
上記接着ゴム層のベルト内面側に積層するように設けられた圧縮ゴム層と、
上記圧縮ゴム層を覆うように設けられたフィルム層又は布層とを備えた伝動ベルトを製造する方法であって、
円筒状の内型の外周面に、上記接着ゴム層及び圧縮ゴム層を形成するための未加硫のゴムシートを巻き付けることにより、円筒状のゴム積層体を形成する積層体形成工程と、
上記ゴム積層体の外周部に、上記フィルム層又は布層を形成するための熱収縮性を有する円筒状の被収縮体を配置した後に、該被収縮体を熱収縮させて密着させる熱収縮工程と、
上記内型と、該内型に対応する円筒状の外型との間で、上記ゴム積層体を加熱及び加圧する加硫工程とを備えることを特徴とする伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1に記載された伝動ベルトの製造方法において、
上記加硫工程は、上記熱収縮工程を含み、
上記加硫工程では、上記外型の内周部に上記被収縮体を配置した後に、該被収縮体の内周側に上記内型の外周面に形成されたゴム積層体を挿入することにより、上記ゴム積層体の外周部に上記被収縮体を配置し、上記ゴム積層体を加熱及び加圧する際に該被収縮体を熱収縮させることを特徴とする伝動ベルトの製造方法。 - 請求項2に記載された伝動ベルトの製造方法において、
上記外型の内周面には、周方向に沿って互いに平行に延びるように複数の溝条が設けられていることを特徴とする伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1に記載された伝動ベルトの製造方法において、
上記加硫工程は、上記熱収縮工程の後で行われ、
上記熱収縮工程では、上記ゴム積層体の外周部に配置された被収縮体を上記内型の周方向に回転させながら加熱することを特徴とする伝動ベルトの製造方法。 - 請求項4に記載された伝動ベルトの製造方法において、
上記熱収縮工程では、上記被収縮体の外周面に対して、加熱されたロールの外周面を接触させることにより、該被収縮体を加熱することを特徴とする伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1乃至5の何れか1つに記載された伝動ベルトの製造方法において、
上記被収縮体の内周は、上記ゴム積層体の外周の1.01倍〜1.25倍であることを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012006425A JP2013144416A (ja) | 2012-01-16 | 2012-01-16 | 伝動ベルトの製造方法 |
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- 2012-01-16 JP JP2012006425A patent/JP2013144416A/ja active Pending
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