JP2016190447A - 離型部材及びその製造方法、該離型部材を用いた離型部材付触媒層及び離型部材付電解質膜、並びに該離型部材付触媒層若しくは該離型部材付電解質膜を用いた燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の製造方法 - Google Patents

離型部材及びその製造方法、該離型部材を用いた離型部材付触媒層及び離型部材付電解質膜、並びに該離型部材付触媒層若しくは該離型部材付電解質膜を用いた燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の製造方法 Download PDF

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稔 有山
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Abstract

【課題】安価に製造でき、耐熱性に優れ、触媒層、電解質膜、導電性多孔質層等中のピンホールを抑制することができるとともに、シリコーン樹脂の移行による触媒層、電解質膜及び繊維強化プラスチックの汚染を抑制し、離型性に優れる離型部材を提供する。
【解決手段】基材11の一方面上に、無機酸化物を含有する離型層12形成し、離型層12の表面に、トリアルコキシシラン化合物を溶媒中で加水分解して得た溶液を、塗布及び乾燥することで、疎水基を有する離型部材1を形成する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、離型部材及びその製造方法、該離型部材を用いた離型部材付触媒層及び離型部材付電解質膜、並びに該離型部材付触媒層若しくは該離型部材付電解質膜を用いた燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の製造方法に関する。
固体高分子形燃料電池等の燃料電池において、触媒層や電解質膜の形成方法としては、今日までに、塗布法、転写法等、様々な方法が提案されている。これらの中でも、一度別の基材(離型部材)上に触媒層、電解質膜等を形成した転写部材を用いて他層に転写する転写法は、触媒層や電解質膜を形成することが容易であり、他層にも悪影響が少ないため、有利である。
この転写法を採用する際に用いられる離型部材は、通常、触媒層、電解質膜等の転写不良を避けるために、基材上に離型層を有している。このような離型部材に採用される離型層としては、種々の構成が考案されており、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂や、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂等を含有する離型層が知られている。しかしながら、フッ素系フィルムは離型性には優れるものの、濡れ性が悪く触媒層や電解質膜中のピンホールが多くなるとともに高価である。また、ポリオレフィン系樹脂は、耐熱性が低い。さらに、シリコーン樹脂を含有する離型層を採用すると、当該シリコーン樹脂が触媒層や電解質膜へ移行することによって汚染され触媒層や電解質膜の性能が低下するおそれがある。
一方、基材フィルム上に、金属酸化物薄膜層を有する離型部材等が知られている(例えば、特許文献1等)。
特開平09−312162号公報
特許文献1のように、金属酸化物薄膜層を有することで、ピンホールの発生を抑制しつつ転写性を向上させることができる。近年、量産性の観点から、転写時間を極力短くすることが好ましいことから、高温且つ短時間の転写条件においても転写不良等の不具合なく転写することが要請される。しかしながら、金属酸化物薄膜層の表面には、通常水酸基を有しており、燃料電池用触媒層や電解質膜中に含まれるイオン伝導性高分子(イオン伝導性アイオノマー)のスルホン酸基と水素結合するため、緩和な条件で転写する場合には問題にはなりにくいものの、高温且つ短時間での転写時には転写不良が発生することがある。特に、電解質膜はイオン伝導性高分子のみで構成されているためこの不具合は顕著である。また、燃料電池用触媒層中に含まれるイオン伝導性高分子以外の樹脂が極性基を有する場合にも同様に、金属酸化物薄膜層表面の水酸基と結合するため、この場合もこの不具合は顕著である。この課題は、離型部材を用いて、極性基を有する樹脂を含有する導電性多孔質層を形成しようとする場合にも存在する課題である。したがって、離型部材のさらなる離型性の向上が求められている。
さらに、転写法のみならず、上記離型部材を用いて、触媒層又は電解質膜を他層の上に形成する前又は後に基材を剥離する方法においても、量産化の観点からは剥離時間を短くすることが要請されており、上記転写法と同様に、離型部材のさらなる離型性の向上が求められている。
上記では、燃料電池用途についてのみ説明したが、繊維強化プラスチック用途においても、シリコーン樹脂の移行による汚染の問題を抱えている。また、繊維強化プラスチックには、通常、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の極性基を有する樹脂を使用しており、金属酸化物薄膜層表面の水酸基との水素結合による問題点も抱えている。このため、上記の課題は、燃料電池用途のみならず、繊維強化プラスチック用途にも共通する課題である。
このような観点から、本発明は、安価に製造でき、耐熱性に優れ、触媒層、電解質膜、導電性多孔質層等中のピンホールを抑制することができるとともに、シリコーン樹脂の移行による触媒層、電解質膜及び繊維強化プラスチックの汚染を抑制し、離型性に優れる離型部材を提供することを主な課題とする。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、鋭意研究を続けて来た。その結果、無機酸化物を含有し、表面に疎水基を有する離型層を備えることにより、離型部材を安価に製造でき、耐熱性に優れるとともに、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等を形成する際に転写性能に優れ、不純物の移行を抑制するとともに、ピンホールの発生を抑制できることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、以下の構成を包含する。
項1.基材の一方面上に、無機酸化物を含有する離型層を有し、前記離型層の表面に疎水基を有する、離型部材。
項2.前記疎水基が、アルキル基又は水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子により置換されたアルキル基、並びにアリール基又は水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子により置換されたアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1に記載の離型部材。
項3.前記無機酸化物が、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、チタン酸化物及びジルコニウム酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1又は2に記載の離型部材。
項4.前記基材の他方の面に前記離型層を有する、項1〜3のいずれかに記載の離型部材。
項5.JIS K 6768に準拠して測定される前記離型層表面の濡れ張力が28.0mN/m〜35.0mN/mである、項1〜4のいずれかに記載の離型部材。
項6.触媒層用離型部材又は電解質膜用離型部材である、項1〜5のいずれかに記載の離型部材。
項7.(1)基材の一方面上に、無機酸化物を含有する離型層を形成する工程、及び
(2)トリアルコキシシラン化合物を溶媒中で加水分解して得た溶液を、前記離型層の上に塗布及び乾燥する工程
を備える、離型部材の製造方法。
項8.前記工程(1)が、化学気相成長法により前記離型層を形成する工程である、項7に記載の離型部材の製造方法。
項9.項1〜6のいずれかに記載の離型部材中の離型層の上に、触媒層を有する、離型部材付触媒層。
項10.項1〜6のいずれかに記載の離型部材中の離型層の上に、電解質膜を有する、離型部材付電解質膜。
項11.項9に記載の離型部材付触媒層を用いて電解質膜上に触媒層を形成する工程
を備える、燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の製造方法。
項12.項10に記載の離型部材付電解質膜を用いて触媒層上に電解質膜を形成する工程
を備える、燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の製造方法。
本発明の離型部材は、基材の一方面上に、無機酸化物を含有し、表面に疎水基を有する離型層を備えているため、安価に製造でき、耐熱性に優れるとともに、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等を形成する際に転写性能に優れ、不純物の移行を抑制するとともに、ピンホールの発生を抑制することもできる。
基材の一方面に離型層を有する本発明の離型部材の構成を説明する図面である。 基材の一方面及び他方面の双方に離型層を有する本発明の離型部材の構成を説明する図面である。 基材の一方面に離型層及び触媒層を有する本発明の離型部材付触媒層の構成を説明する図面である。 基材の一方面及び他方面の双方に離型層及び触媒層を有する本発明の離型部材付触媒層の構成を説明する図面である。 基材の一方面に離型層及び電解質膜を有する本発明の離型部材付電解質膜の構成を説明する図面である。 本発明の燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の構成を説明する図面である。
1.離型部材1
本発明の離型部材1は、燃料電池用触媒層、燃料電池用電解質膜、繊維強化プラスチック等を形成するために使用され、図1に示されるように、基材11の少なくとも一方面上に離型層12を有し、前記離型層12は、表面に疎水基を有する。
<基材11>
基材11としては、従来から離型部材に使用され得る基材であれば特に制限されず、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリスチレン;ポリメチルペンテン;環状オレフィン樹脂;アクリル樹脂;ポリイミド樹脂等の高分子フィルムを用いることができる。そのほか、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔等の金属箔等であってもよい。これらの中でも、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
基材11には、離型層12と接する表面に、後述する易接着層や離型層12等の密着性を向上させるため、表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、例えば、金属ブラシ、サンドブラスト等で物理的に表面凹凸をつける機械的処理、マット処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線照射処理、電子線照射処理等を採用することができる。
また、離型層12と基材11との密着性を増し、本発明の離型部材を用いて他材の上に触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等を形成する場合(特に他材の上に触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等を転写する場合)に離型層12が剥離することを防ぐために、基材11と離型層12の間に易接着層を有してもよい。易接着層の膜厚は、離型層12の剥離をより抑制するためには、例えば1μm以下程度が好ましい。また、易接着層は、基材11の全面に形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。
基材11の厚みは、例えば、取り扱い性及び経済性の観点から、2.5μm〜200μm程度が好ましく、10μm〜150μm程度がより好ましく、10μm〜100μm程度がさらに好ましい。なお、転写時に熱が伝わりやすく、転写性により優れる等の観点では基材11の厚みは薄いほうが好ましく、離型層12塗布後にカールをより抑制できる等のハンドリングの観点では基材11の厚みは厚いほうが好ましい。これらの観点から、要求特性に応じて適宜選択することができる。
<離型層12>
本発明において、基材11の一方面に形成される離型層12は、無機酸化物を含有するとともに、その表面に疎水基を有する。このような構成を採用することにより、本発明の離型部材を安価に製造できるとともに、耐熱性に優れるために高温且つ短時間の転写条件においても転写不良等の不具合なく触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等を転写することが可能となり量産性を向上させることができる。また、離型層にシリコーン樹脂を使用せず、強固な化学結合に支えられた疎水基を有する無機酸化物を使用していることから、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等の形成時に不純物の移行を抑制することができる。また、濡れ性が悪くなり過ぎない程度に濡れ張力を低減できるために、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等へのピンホールの発生も抑制できる。このため、本発明の離型部材を用いて形成した触媒層、電解質膜等を備える燃料電池の電池特性を向上させることができる。なお、本発明では、実質的に金属酸化物からなる離型層の表面に疎水基を有することが好ましい。
また、離型層12は、基材11上の全面に形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。つまり、離型層12は所望の形状でパターン状に形成されていてもよい。特に、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等を所望の形状でパターン状に形成する場合は、その形状にあわせて離型層12を形成することが好ましい。
本発明の離型部材1において、離型層12は、無機酸化物を含有する。無機酸化物としては、例えば、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物等が挙げられる。これらの金属酸化物は、通常表面に水酸基を有しており、後述のように表面に疎水基を有する構成を採用することにより、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等の中に存在する極性基を有する樹脂等との水素結合を抑制し、高温且つ短時間の転写条件においても転写不良等の不具合を抑制することができる。なかでも、転写不良抑制の観点から、ケイ素酸化物が好ましい。なお、本発明においては、離型層12は、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等の中に存在する極性基を有する樹脂等との水素結合を抑制し、高温且つ短時間の転写条件においても転写不良等の不具合を抑制する観点から、上記無機酸化物が層状に形成された薄膜を含有することが好ましい。また、離型層12中に上記金属酸化物のうち1種のみが含まれていてもよいが、2種以上が含まれていてもよい。なかでも、1種のみの金属酸化物が含まれている離型層12は簡便に製造することができる。
金属酸化物としてケイ素酸化物を使用する場合、該ケイ素酸化物は、一般的にSiOx(0≦x≦2)で表されるものである。xの値は、転写不良抑制の観点から、その平均値を、0.8〜2.0、好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.2〜2.0とすることができる。なお、ケイ素酸化物の薄膜中の酸化度合い(x値)は、X線光電子分光分析(XPS)等により測定する。なお、本発明の製造方法において、化学気相成長法を採用する場合は、離型層12を緻密としつつ、炭素鎖を導入することで親水性と疎水性のバランスを制御することも可能であり、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等の形成に適している。
本発明において、離型層12が表面に有する疎水基としては、触媒層、電解質膜に用いられるイオン伝導性高分子や、繊維強化プラスチックにも知られる樹脂中に存在し得る極性基(スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、エーテル基、エステル基、グリシジル基、アルキルアンモニウム基等)と反応しない基が好ましい。
このような疎水基としては、例えば、アルキル基又は水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子により置換されたアルキル基や、アリール基又は水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子により置換されたアリール基等が挙げられる。なお、アルキル基及びアリール基において、水素原子の一部がハロゲン原子により置換される場合、その個数は1個以上が好ましい。ハロゲン原子の数の上限値は特に制限はないが、アルキル基の場合は通常炭素原子数の2倍以下が好ましく、アリール基の場合は3個以下が好ましい。
アルキル基としては、C1−20アルキル基が好ましく、C1−12アルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。このアルキル基は、さらに水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)により置換されていてもよい。
アリール基としては、C6−14アリール基が好ましく、C6−8アリール基がより好ましい。具体的には、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基等が挙げられる。このアリール基は、さらに水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)により置換されていてもよい。
本発明において、離型層12の表面に疎水基が存在することは、X線光電子分光分析(XPS)により測定する。
本発明において、離型層12が有する疎水基の量は特に制限されないが、適度に濡れ張力が低減される程度に疎水基を有することが好ましい。具体的には、本発明の離型部材において、離型層12の濡れ張力は、28.0mN/m〜35.0mN/mが好ましく、30.0mN/m〜34.0mN/mがより好ましい。離型層12の濡れ張力をこの程度とすることにより、高温且つ短時間の転写条件においても転写不良等の不具合をより抑制するとともに、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等のピンホールをさらに抑制することができる。なお、本発明において、離型層12表面の濡れ張力は、JIS K 6768に準拠して測定する。
上記のような離型層12の厚みは、離型層12の均一性、転写不良抑制及びカール防止の観点から、通常2nm〜200nm程度が好ましく、5nm〜50nm程度がより好ましい。
本発明の離型部材1では、基材11の一方面のみに離型層12が形成されていてもよいし、図2に示すように、基材11の一方面のみに離型層12が形成されているのみならずさらに他方の面にも離型層13が形成されていてもよい。この際、離型層13は、離型層12と同様の材料を用いることができ、離型層12と組成、厚み等は同じでも異なってもよい。
2.離型部材1の製造方法
本発明の離型部材1は、例えば、
(1)基材11の一方面上に、無機酸化物を含有する離型層を形成する工程、及び
(2)トリアルコキシシラン化合物を溶媒中で加水分解して得た溶液を、前記離型層の上に塗布及び乾燥する工程
を備える製造方法により製造する(基材11の一方面上に離型層12を形成する)ことができる。
<工程(1)>
工程(1)では、基材11の一方面上に、無機酸化物を含有する離型層を形成する。基材11の一方面上に無機酸化物を含有する離型層を形成する方法は、例えば、物理気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、ゾル−ゲル法、塗工による方法等が挙げられる。
物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を採用できる。
化学気相成長法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、レーザーCVD法等が挙げられる。
プラズマCVD法を行う場合の方法の条件の一例を下記に述べる。
原料としては、金属酸化物を含有する離型層(特に金属酸化物からなる離型層)を製造できるものを使用することができる。このような原料としては、例えば、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリ−s−ブトキシド、アルミニウムトリ−t−ブトキシド等の有機アルミニウム化合物;テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の有機ケイ素化合物;オルトチタン酸テトラメチル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトライソプロピル、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル、オルトチタン酸テトラ−t−ブチル等の有機チタン化合物;ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシド等の有機ジルコニウム化合物等が挙げられる。
原料には、必要に応じて、キャリアーガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス等に対して、供給ガスとして酸素等を混合してもよい。これら原料、キャリアーガス及び供給ガスを含有する混合ガスを使用する際、これらの混合ガス中の原料の含有量は1体積%〜40体積%程度、酸素ガスの含有量は10体積%〜80体積%程度、不活性ガスの含有量は10体積%〜60体積%程度の範囲とする事ができ、原料の含有量を10体積%〜25体積%程度、酸素ガスを40体積%〜80体積%程度、不活性ガスを10体積%〜25体積%程度とすることが好ましい。
装置としては、巻き取り式プラズマCVD装置等を使用することができる。
真空チャンバー内の真空度は、例えば、1×10−8Torr〜1×10−1Torrが好ましく、1×10−7Torr〜1×10−1Torrがより好ましい。基材11の巻き取り速度は、10m/分〜500m/分が好ましく、50m/分〜350m/分がより好ましい。
また、ゾル−ゲル法は、金属アルコキシド等の有機金属化合物を金属酸化物の前駆体として含むゾル液を基材上に塗布した塗布膜から、金属酸化物からなる無機質系塗膜を形成する方法として知られている。ゾル液は、金属アルコキシドの塗布に適した溶媒に溶解し、一定量の水を添加して加水分解を行って調製することができる。上記金属アルコキシドの加水分解は、上記金属アルコキシドを適当な溶媒中に溶解して行うことができる。
使用できる溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロメタン、ブロモメタン等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;これらの混合物等が挙げられる。
上記加水分解を促進させるため、触媒として酸又は塩基を用いることが好ましい。使用できる酸の具体例としては、例えば、酢酸、シュウ酸、クエン酸、塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸等が挙げられ、塩基の具体例としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリメチルアンモニウム等のアミン類、t−ブチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類等が挙げられる。
上記金属アルコキシドは、上記溶媒中に、該金属アルコキシドが0.01質量%〜10質量%、特に0.1質量%〜5質量%となるように溶解することが好ましい。金属アルコキシドの添加は徐々に行い、0.1時間〜10時間、特に0.5時間〜5時間撹拌を行うことが好ましい。このような金属アルコキシドの具体例は、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のケイ素系アルコキシド化合物;オルトチタン酸テトラメチル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトライソプロピル、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル、オルトチタン酸テトラ−t−ブチル等のチタン系アルコキシド化合物;ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシド等のジルコニウム系アルコキシド化合物;アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリ−s−ブトキシド、アルミニウムトリ−t−ブトキシド等のアルミニウム系アルコキシド化合物等が挙げられる。
また、ゾル−ゲル法には、金属アルコキシドの他に金属アセチルアセトナート誘導体、金属カルボキシレート誘導体等の有機金属化合物、あるいはそれら各々の有機金属化合物の加水分解物、部分加水分解物等を用いることもできる。
これらの方法のなかでも、離型層12をより緻密層とするとともに、炭素鎖を導入することで親水性と疎水性とのバランスをより制御することができることから、化学気相成長法(CVD)、特にプラズマCVD法が好ましい。
<工程(2)>
工程(2)では、トリアルコキシシラン化合物を溶媒中で加水分解して得た溶液を、前記工程(1)で得た離型層の上に塗布及び乾燥する。加水分解により得られたトリアルコキシシラン化合物由来のシラノール基と、前記離型層表面の水酸基とが脱水縮合し、表面にトリアルコキシシラン化合物が有する疎水基を含有する離型層12を得ることができる。
トリアルコキシシラン化合物としては、3個のアルコキシ基と、1個の上記した疎水基を有するシラン化合物を好適に使用することができる。例えば、アルキル基を有するシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン;水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子に置換されたアルキル基を有するシラン化合物としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン;アリール基を有するシラン化合物としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、4−メチルフェニルトリメトキシシラン;水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子に置換されたアリール基としては、4−クロロメチルフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのトリアルコキシシラン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
加水分解に使用する溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロメタン、ブロモメタン等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;これらの混合物等が挙げられる。なかでも、より効率的に加水分解を進める観点から、水とアルコールとの混合溶媒が好ましい。
加水分解に使用する溶媒として水とアルコールとの混合溶媒を使用する場合、混合溶媒中のアルコールの含有量は、トリアルコキシシラン化合物が疎水基を有する観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%〜99質量%がより好ましい。
上記溶媒中のトリアルコキシシラン化合物の含有量は、より効率的に加水分解を進める観点から、0.1質量%〜20質量%、特に0.2質量%〜10質量%となるように溶解することが好ましい。また、トリアルコキシシラン化合物の添加は徐々に行い、0.1時間〜10時間、特に0.5時間〜5時間撹拌を行うことが好ましい。
上記加水分解を促進させるため、触媒として酸を用いることが好ましい。使用できる酸の具体例としては、例えば、酢酸、シュウ酸、クエン酸、塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸等が挙げられる。
上記溶媒中の触媒(酸)の含有量は、より効率的に加水分解を進める観点から、0.1質量%〜20質量%、特に0.2質量%〜10質量%となるように溶解することが好ましい。
このようにして、トリアルコキシシラン化合物は加水分解され、トリヒドロキシシラン化合物の状態となる。
このようにして得られた溶液を工程(1)で得た離型層の上に塗布する方法は、例えば、グラビアコーター、バーコーター、スプレーコーター、ディップコーター、ダイコーター等の一般的な方法を採用できる。塗布量は、厚みを測定できないほど少なくしても、離型層表面の水酸基を減らして疎水基を導入することが可能である。
上記の溶液を塗布した後、乾燥することにより離型層12が形成される。乾燥温度は、例えば、大気雰囲気中、通常50℃〜180℃程度が好ましく、80℃〜150℃程度がより好ましい。また、乾燥時間は通常1分〜30分程度が好ましく、3分〜10分程度がより好ましい。
なお、基材11の一方面に離型層12を形成するのみならず、他方面にも離型層13を形成する場合は、上記の操作を、同時又は逐次的に、基材11の両面に対して行えばよい。
3.離型部材付触媒層2及び離型部材付電解質膜3
上記説明した本発明の離型部材1は、表面に疎水基を有するために、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等中に存在する極性基を有する樹脂と水素結合することを抑制することができ、高温且つ短時間の条件でも触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等の転写不良を抑制することができる。また、本発明の離型部材1は、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等の形成時に不純物の移行を抑制し、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等へのピンホールの発生も抑制することができる。このため、本発明の離型部材1は、上記離型層12の上に、触媒層、電解質膜、繊維強化プラスチック等を形成した後に、基材11を剥離又は転写することで、燃料電池用部材(特に固体高分子形燃料電池用部材、好ましくは触媒層、電解質膜等)、繊維強化プラスチック等を製造する用途に適している。つまり、本発明の離型部材1は、触媒層用、電解質膜用、繊維強化プラスチック用等の各種用途に好適に使用することができる。さらに、本発明の離型部材1は、燃料電池用導電性多孔質層(MPL)が極性基を有する樹脂を含有している場合には、この樹脂と離型層12表面との結合も抑制し、転写不良を抑制することができることから、導電性多孔質層用としても好適に使用することができる。
(3−1)離型部材付触媒層2
本発明の離型部材付触媒層2は、図3にも示されるように、離型層12の上に触媒層21を有している。
<触媒層21>
本発明において、触媒層21は、触媒を含有していればよく、例えば、炭素粒子に触媒粒子を担持させたものを用いてもよい。さらに触媒層212は、触媒の他に高分子重合体を含有してもよい。
触媒としては、例えば、白金や白金合金等が挙げられる。白金合金としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄、コバルト等からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と、白金との合金等が挙げられる。なお、通常は、触媒層に含まれる触媒は白金である。
炭素粒子は、導電性を有しているものであればよく、公知又は市販のものを広く使用できる。例えば、カーボンブラックや、黒鉛、活性炭等を1種又は2種以上で用いることができる。カーボンブラックの例としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を挙げることができる。炭素粒子の算術平均粒子径は通常5nm〜200nm程度、好ましくは20nm〜80nm程度である。この炭素粒子の平均粒子径は、粒子径分布測定装置により測定する。
高分子重合体としては、公知の材料を使用できる。具体的には、イオン伝導性高分子、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル・ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。なかでも、離型層12の表面に疎水基を有することで樹脂との水素結合を抑制する効果を有する観点から、極性基を有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
また、イオン伝導性高分子としては、例えば、フッ素系イオン伝導性高分子、より具体的には、パーフルオロカーボンスルホン酸(PFS)ポリマー等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このようなイオン伝導性高分子の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)等が挙げられる。イオン伝導性高分子含有溶液中に含まれるイオン伝導性高分子の濃度は、通常5質量%〜60質量%程度、好ましくは20質量%〜40質量%程度である。
触媒層21の厚みは、例えば、1μm〜100μm程度が好ましく、2μm〜50μm程度がより好ましい。
なお、触媒層21には、撥水剤として、フッ素樹脂等の他、非ポリマー系フッ素材料であるフッ化ピッチ、フッ化カーボン、フッ化黒鉛等を添加することもできる。
本発明において、離型層12及び触媒層21は、図3に示されるように、基材11の一方面のみに形成されていてもよいが、離型層13をさらに他方面にも形成していてもよいし、図4にも示されるように、離型層13と触媒層22の双方を、さらに他方面にも形成していてもよい。この際、触媒層22は、触媒層21と同様の材料を用いることができる。また、両面の触媒層21及び触媒層22は離型層12及び離型層13上の全面にわたって形成されていてもよいし、一方面の触媒層21が全面に形成され他方面の触媒層22が所望の形状でパターン状に形成されていてもよいし、両面の触媒層21及び触媒層22がそれぞれ所望の形状でパターン状に形成されていてもよい。
<離型部材付触媒層2の製造方法>
本発明の離型部材付触媒層2の製造方法(離型層12上に触媒層21を形成する方法)は特に制限されないが、例えば、本発明の離型部材1の離型層12の上の全面又は一部に、触媒材料及び樹脂を含む触媒層21を形成することにより製造することができる。
触媒層21は、本発明の離型部材1の離型層12(離型層12が2層形成される場合は少なくとも片方の離型層12)の上に、触媒層形成用組成物を塗布及び必要に応じて乾燥させることにより得られる。
触媒層形成用組成物は、上記触媒層21を形成するための組成物であって、上記触媒材料及び樹脂に加え、必要に応じて溶媒を含有する。
溶媒は、公知又は市販のものを使用することができ、例えば、各種アルコール、各種エーテル、各種ジアルキルスルホキシド、水又はこれらの混合物等が挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の炭素数1〜4の一価アルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。エーテルとしては、例えば、n−プロピルエーテルや含フッ素エーテル化合物であるハイドロフルオロエーテル等が挙げられる。ジアルキルスルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
触媒層形成用組成物には、触媒材料及び樹脂が所定の割合となるように配合することが好ましい。例えば、触媒材料1質量部に対して、樹脂(固形分)が0.1質量部〜5質量部(特に0.2質量部〜4質量部)、溶媒が3質量部〜50質量部(特に10質量部〜30質量部)含まれているのがよく、残りが水である。水の割合は、通常、触媒材料に対して、等質量〜30倍質量である。
触媒層形成用組成物の塗布方法としては、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレーコーター、ディップコーター、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を採用できる。
触媒層形成用組成物を塗布した後、必要に応じて乾燥することにより触媒層21が形成される。乾燥温度は、例えば、大気雰囲気中、通常60℃〜150℃程度が好ましく、80℃〜130℃程度がより好ましい。乾燥時間は乾燥温度にもよるが、通常1分〜60分程度が好ましく、3分〜30分程度がより好ましい。
なお、触媒層を一方面のみならず他方面にも形成する場合は、上記の操作を、同時又は逐次的に行えばよい。
(3−2)離型部材付電解質膜3
本発明の離型部材付電解質膜3は、図5にも示されるように、離型層12の上に電解質膜31を有している。
<電解質膜31>
本発明において、電解質膜31は、固体高分子形燃料電池等の電解質膜として使用できるものであれば特に制限はなく、通常はイオン伝導性高分子(特に水素イオン伝導性高分子)を含有する。
イオン伝導性高分子としては、例えば、フッ素系イオン伝導性高分子、より具体的には、パーフルオロカーボンスルホン酸(PFS)ポリマー等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このようなイオン伝導性高分子電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。
電解質膜31の膜厚は通常15μm〜250μm程度、好ましくは20μm〜80μm程度である。
本発明において、離型層12及び電解質膜31は、図5に示されるように、基材11の一方面のみに形成されていることが好ましい。また、電解質膜31は離型層12上の全面にわたって形成されていてもよいし、所望の形状でパターン状に形成されていてもよい。
<離型部材付電解質膜3の製造方法>
電解質膜31は、例えば、離型層12上に上記のイオン伝導性高分子を含有する電解質膜形成用組成物を塗布し、必要に応じて乾燥することにより形成することができる。
電解質膜形成用組成物は、上記電解質膜31を形成するための組成物であって、上記イオン伝導性高分子電解質に加え、必要に応じて溶媒を含有する。
溶媒は、公知又は市販のものを使用することができ、例えば、各種アルコール、各種エーテル、各種ジアルキルスルホキシド、水又はこれらの混合物等が挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の炭素数1〜4の一価アルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。エーテルとしては、例えば、n−プロピルエーテルや含フッ素エーテル化合物であるハイドロフルオロエーテル等が挙げられる。ジアルキルスルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電解質膜形成用組成物には、イオン伝導性高分子が所定の割合となるように配合することが好ましい。例えば、電解質膜形成用組成物中に含まれるイオン伝導性高分子電解質の濃度は、通常1質量%〜50質量%程度が好ましく、3質量%〜30質量%程度がより好ましい。
電解質膜形成用組成物の塗布方法としては、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレーコーター、ディップコーター、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を採用できる。
乾燥温度は、例えば、大気雰囲気中、通常60℃〜150℃程度が好ましく、80℃〜130℃程度がより好ましい。乾燥時間は膜厚にもよるが、通常1分〜60分程度が好ましく、3分〜30分程度がより好ましい。
4.離型方法
(4−1)離型部材付触媒層2を用いた離型方法
上記した本発明の離型部材付触媒層2は、固体高分子形燃料電池用の電解質膜31、電極基材の上に触媒層21を形成する(特に転写する)ために用いられ得る。
電解質膜31は、固体高分子形燃料電池用として一般的に使用されているものを用いればよく、公知又は市販のものを使用できる。電解質膜31の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」膜、旭硝子(株)製の「Flemion」膜、旭化成(株)製の「Aciplex」膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」膜等が挙げられる。
また、電極基材としては、固体高分子形燃料電池において、一般的に使用されているものを用いればよく、公知又は市販のものを用いることができる。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等を例示できる。また、電極基材は、マイクロポーラスレイヤー(MPL)を含んでいてもよい。MPLは、導電性、ガス拡散性、ガス透過性、平滑性、水の排出性や保持性等の水管理特性等を向上させる目的で、電極基材の触媒層21と接する側に形成される。
離型方法は、常法に従って行うことができる。例えば、触媒層21を転写する場合は、電解質膜31、電極基材等の転写対象物質に、離型部材付触媒層2の触媒層21を接触させ、加圧することにより行うことができる。
加圧の程度は、転写不良を避けるために、通常1MPa〜10MPa程度が好ましく、1MPa〜5MPa程度がより好ましい。また、加圧操作の際は、転写不良をより一段と避けるために、加圧面を加熱することが好ましい。特に、量産化のためには、転写時間を短くすることが好ましく、そのためには、加熱温度を高温とすることが好ましいが、低温にて加熱することも可能である。本発明の離型部材付触媒層2は、上記のような構成を採用しているため、高温且つ短時間の転写条件であっても、転写不良を抑制することができる。このように、本発明では、高温で加熱することも可能であるため、用途に応じて広い温度範囲で適用可能であり、高温で加熱する場合、加熱温度は、例えば、130℃〜200℃程度が好ましく、140℃〜190℃程度がより好ましく、150℃〜180℃程度がさらに好ましい。
このようにして、本発明の離型部材付触媒層2を用いて、電解質膜31の片面又は両面に触媒層21及び触媒層22を転写すれば、図6に示す固体高分子形燃料電池用触媒層−電解質膜積層体4が得られる。なお、図6の固体高分子形燃料電池用触媒層−電解質膜積層体4において、触媒層21及び触媒層22のうち、片方はアノード触媒層、他方はカソード触媒層である。この後、固体高分子形燃料電池用触媒層−電解質膜積層体4の触媒層21及び触媒層22と上記した電極基材とが接するように積層することにより、固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体を得ることができる。
また、本発明の離型部材付触媒層2を用いて、電極基材上に触媒層21を転写すれば、固体高分子形燃料電池用電極が得られる。この後、上記した電解質膜31の片面又は両面に、固体高分子形燃料電池用電極を、触媒層21及び触媒層22と電解質膜31とが接するように配置して加圧することにより、固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体を得ることができる。
加圧の際の条件は、常法で採用されているものを採用することができる。
さらに、このようにして得られた固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体に公知又は市販のセパレータ、公知又は市販のガスケット等を設けることにより、固体高分子形燃料電池を得ることができる。
(4−2)離型部材付電解質膜3を用いた離型方法
上記した本発明の離型部材付電解質膜3は、電極基材、触媒層21及び電解質膜31をこの順に積層させる(特に転写する)ために用いられ得る。例えば、電極基材及び触媒層21が積層された固体高分子形燃料電池用電極の触媒層21の上に、電解質膜31を形成するために用いられ得る。
電極基材及び触媒層21は、上記説明したものを採用し得る。また、電極基材上に触媒層21を形成する方法は、特に制限はなく、塗布法、転写法等、公知の方法をいずれも採用することができる。
離型方法は、常法に従って行うことができる。例えば、電解質膜31を転写する場合は、例えば、触媒層21等の転写対象物質に、離型部材付電解質膜3の電解質膜31を接触させ、加圧することにより行うことができる。なお、離型部材1の上に形成する電解質膜31が単独で成立する膜である場合は、事前に基材を剥離してもよい。
加圧の程度は、転写不良を避けるために、通常1MPa〜10MPa程度が好ましく、1MPa〜5MPa程度がより好ましい。また、加圧操作の際は、転写不良をより一段と避けるために、加圧面を加熱することが好ましい。特に、量産化のためには、転写時間を短くすることが好ましく、そのためには、加熱温度を高温とすることが好ましいが、低温にて加熱することも可能である。本発明の離型部材付電解質膜3は、上記のような構成を採用しているため、高温且つ短時間の転写条件であっても、転写不良を抑制することができる。このように、本発明では、高温で加熱することも可能であるため、用途に応じて広い温度範囲で適用可能であり、高温で加熱する場合、加熱温度は、例えば、130℃〜200℃程度が好ましく、140℃〜190℃程度がより好ましく、150℃〜180℃程度がさらに好ましい。
このようにして、本発明の離型部材付電解質膜3を用いて、電極基材、触媒層21及び電解質膜31がこの順に積層し、さらにこの電解質膜31の他方面に、電極基材及び触媒層21が積層された固体高分子形燃料電池用電極を積層すれば、図6に示す固体高分子形燃料電池用触媒層−電解質膜積層体4を備える固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体を得ることができる。
さらに、このようにして得られた固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体に公知又は市販のセパレータ、公知又は市販のガスケット等を設けることにより、固体高分子形燃料電池を得ることができる。
(4−3)その他の用途
<燃料電池用導電性多孔質層>
上記では、離型部材付触媒層2又は離型部材付電解質膜3を用いて固体高分子形燃料電池を製造する方法の一例を示したが、本発明はこの方法のみに限定されない。例えば、固体高分子形燃料電池は、電極部材と触媒層との間に導電性多孔質層を備えていることがあるが、本発明の離型基材の上に導電性多孔質層を備えた離型部材付導電性多孔質層を用いて、上記(4−1)及び(4−2)で説明したものと同様の方法により上記電極基材又は触媒層21の上に導電性多孔質層を形成することができる。導電性多孔質層は、触媒層と導電性多孔質基材との間に中間層として設けられる導電層であり、通常導電性炭素材料を含有する。導電性炭素材料としては、特に限定しないが、導電性炭素粒子、導電性炭素繊維等が挙げられる。また、導電性多孔質層を形成する方法は、特に限定しないが、例えば、導電性炭素材料、高分子重合体等からなるペースト組成物を基材上に塗布及び乾燥することにより形成できる。高分子重合体としては、上述したような材料を用いてもよい。特に、導電性多孔質層が、高分子重合体として極性基を有する樹脂を含有している場合には、本発明の離型部材1を使用することにより、離型層表面の疎水基と導電性多孔質層中の樹脂が有する極性基とが水素結合しないことから、転写不良を抑制することができる。なお、導電性多孔質層の組成、厚み、形成方法等は、公知のものをそのまま採用することができる。その他の構成は上記と同様にして、固体高分子形燃料電池を得ることができる。このため、本発明の離型基材1は、燃料電池用導電性多孔質層を形成する場合にも好適に用いることができる。
<繊維強化プラスチック>
他にも、本発明の離型部材1は、繊維強化プラスチック(特に炭素繊維強化プラスチック)用離型部材としても有用である。
繊維強化プラスチック(特に炭素繊維強化プラスチック)は、通常、繊維(特に炭素繊維)にエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の樹脂を含浸させたプリプレグを硬化させることにより作製されるが、このプリプレグは、通常、エポキシ基、エーテル基、アミド基、水酸基、エステル基等の極性基を有している。本発明の離型基材1を使用することにより、離型層表面の疎水基と、繊維強化プラスチック(特に炭素繊維強化プラスチック)中の樹脂が有する極性基とが水素結合しないことから、転写不良を抑制することができる。
成型時の金型やロール温度、圧力、成型時間等はプラスチック成形の分野で公知の条件が使用可能である。例えば、プレス時の金型温度は通常、80℃〜200℃とすることができる。プレス圧は通常、0.1MPa〜15MPaとすることができる。また、プレス時間は通常、0.5分間〜60分間とすることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
製造例1:触媒層形成用ペースト組成物の調製
白金ルテニウム担持炭素粒子(Pt:27.2質量%、Ru:28.7質量%)(田中貴金属株式会社、「TEC62E58」)10質量部、5質量%電解質溶液(デュポン社製、「DE−520」、溶媒:n−プロピルアルコール:水=1:1(質量比))100質量部を、イソプロピルアルコール100質量及びプロピレングリコール2質量部に加え、攪拌することにより、触媒層形成用ペースト組成物を調製した。
実施例1:メチルトリメトキシシラン
<無機酸化物層の形成>
基材としてポリエチレンテレフタレート(ユニチカ(株)製、商品名「S−25F」、厚み25μm)を用い、以下の条件:
成膜機器:巻き取り式プラズマCVD装置
成膜圧力:3.0×10−2mBar
導入ガス:ヘキサメチルジシロキサン:アルゴン:酸素=0.9:0.9:3.0(単位:slm)
印加電力:AC40kHz、8kW
巻き取り速度:150m/分
真空チャンバー内の真空度:2〜6×10−6mBar
蒸着チャンバー内の真空度:2〜5×10−3mBar
で、プラズマCVD法にて、基材の一方面にケイ素酸化物層(厚み:10nm)を形成した。
得られたケイ素酸化物を含有する薄膜は、SiOx(x=0.8〜1.2、xの平均値:1.0)であった。
<シラン化合物の加水分解>
水:イソプロピルアルコール=10:90(質量比)の混合溶媒に、酢酸の濃度が1.0質量%に添加し、溶媒を撹拌しながら、メチルトリメトキシシラン(KBM−13、信越化学工業(株)製)の濃度が1.0質量%になるように徐々に添加し、1時間撹拌させることでメチルトリメトキシシランを加水分解させた溶液を得た。
<離型層の疎水化>
次に、上記で基材の一方面に形成したケイ素酸化物層の上に、上記メチルトリメトキシシランを加水分解させた溶液を、ミヤバーNo.3を用いて塗布した後、大気雰囲気下、140℃で5分間乾燥させることにより、基材上に、表面に疎水基を有する離型層を備えた実施例1の離型部材を得た。
<触媒層の形成>
得られた実施例1の離型部材の離型層上に、上記触媒層形成用ペースト組成物を、乾燥後の厚みが20μm〜25μmとなるように塗布した後、大気雰囲気下、95℃で15分間乾燥させることにより触媒層を形成して、実施例1の離型部材付触媒層を製造した。
実施例2:フェニルトリメトキシシラン
メチルトリメトキシシラン(KBM−13、信越化学工業(株)製)の代わりにフェニルトリメトキシシラン(KBM−103、信越化学工業(株)製)を用いること以外は実施例1と同様に、実施例2の離型部材及び離型部材付触媒層を製造した。
実施例3:デシルトリメトキシシラン
メチルトリメトキシシラン(KBM−13、信越化学工業(株)製)の代わりにデシルトリメトキシシラン(KBM−3103、信越化学工業(株)製)を用いること以外は実施例1と同様に、実施例3の離型部材及び離型部材付触媒層を製造した。
実施例4:3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン
メチルトリメトキシシラン(KBM−13、信越化学工業(株)製)の代わりに3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(KBM−7103、信越化学工業(株)製)を用いること以外は実施例1と同様に、実施例4の離型部材及び離型部材付触媒層を製造した。
比較例1:疎水化なし
<シラン化合物の加水分解>及び<離型層の疎水化>の工程を行わないこと以外は実施例1と同様に、比較例1の離型部材及び離型部材付触媒層を製造した。
比較例2:PTFEシート
市販のポリテトラフルオロエチレンシート(ナフロンPTFEシート、ニチアス社製)を、そのまま比較例2の離型部材として用いた。その後、実施例1と同様に、このPTFEシート上に、触媒層を形成し、比較例2の離型部材付触媒層を製造した。
試験例1:X線光電子分光分析
実施例1〜4及び比較例1の離型部材の離型層表面に疎水基が存在しているか否かを、ESCALAB 220i−XL(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製XPS装置)を用いて、X線光電子分光分析により、最表面から3nmを測定した。
試験例2:濡れ張力
実施例1〜4及び比較例1〜2の離型部材の離型層表面の濡れ張力を、JIS K 6768に規定される方法に準拠して測定した。結果を表2に示す。
試験例3:触媒層ピンホール
実施例1〜4及び比較例1〜2の離型部材付触媒層を10cm×10cmに切り出し、裏面より白色ライトを当て、触媒層のピンホールの有無を目視で確認した。ピンホールが確認できない場合をA、ピンホールが確認できた場合をCと評価した。結果を表2に示す。
試験例4:転写試験
実施例1〜4及び比較例1の離型部材付触媒層の触媒層を、電解質膜(Gore Select、ゴア社製)に対して、熱プレス機を用いて、120℃・3.5MPa・120秒、165℃・3.5MPa・120秒、又は165℃・3.5MPa・30秒のいずれかの条件で転写した。そのうえで、離型層上に触媒層の転写残りが確認できない場合をA、確認できる場合をCと評価した。結果を表2に示す。
上記の試験例1(X線光電子分光分析)の結果、比較例1(処理なし)に対して、実施例1〜4(疎水化処理)では炭素原子又はフッ素原子(実施例1〜3は炭素原子;実施例4はフッ素原子)が増大していることが確認できた。この結果は、試験例2(濡れ張力試験)において、比較例1(処理なし)では濡れ張力が実施例1〜4(疎水化処理)と比較して大きいこととも整合している。これらの結果は、実施例1〜4では、離型層表面に疎水基が存在していることがわかる。
また、上記の試験例2〜4の結果、比較例1のように、表面に疎水基を有さないケイ素酸化物層を離型層として使用すると、ピンホールの発生は抑制できるものの、濡れ張力が大きいために、高温での転写不良が避けられなかった。また、比較例2のように、PTFEシートでは、触媒層中にピンホールが見られたため、離型性に優れることが知られているフッ素樹脂を離型層に使用するとピンホールの発生が避けられなかった。それに対して、実施例1〜4では、ピンホールの発生を抑制するとともに、濡れ張力を適度に低減することができるために低温のみならず高温においても転写不良を抑制することができた。特に、高温且つ短時間の転写条件においても、転写不良を抑制することができることから、本発明の離型基材を用いることで、量産性向上が期待できる。
1 離型部材
11 基材
12 離型層
13 離型層
2 離型部材付触媒層
21 触媒層
22 触媒層
3 離型部材付電解質膜
31 電解質膜
4 燃料電池用触媒層−電解質膜積層体

Claims (12)

  1. 基材の一方面上に、無機酸化物を含有する離型層を有し、前記離型層の表面に疎水基を有する、離型部材。
  2. 前記疎水基が、アルキル基又は水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子に置換されたアルキル基、並びにアリール基又は水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子に置換されたアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の離型部材。
  3. 前記無機酸化物が、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、チタン酸化物及びジルコニウム酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の離型部材。
  4. 前記基材の他方の面に前記離型層を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の離型部材。
  5. JIS K 6768に準拠して測定される前記離型層表面の濡れ張力が28.0mN/m〜35.0mN/mである、請求項1〜4のいずれかに記載の離型部材。
  6. 触媒層用離型部材又は電解質膜用離型部材である、請求項1〜5のいずれかに記載の離型部材。
  7. (1)基材の一方面上に、無機酸化物を含有する離型層を形成する工程、及び
    (2)トリアルコキシシラン化合物を溶媒中で加水分解して得た溶液を、前記離型層の上に塗布及び乾燥する工程
    を備える、離型部材の製造方法。
  8. 前記工程(1)が、化学気相成長法により前記離型層を形成する工程である、請求項7に記載の離型部材の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の離型部材中の離型層の上に、触媒層を有する、離型部材付触媒層。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の離型部材中の離型層の上に、電解質膜を有する、離型部材付電解質膜。
  11. 請求項9に記載の離型部材付触媒層を用いて電解質膜上に触媒層を形成する工程
    を備える、燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の製造方法。
  12. 請求項10に記載の離型部材付電解質膜を用いて触媒層上に電解質膜を形成する工程
    を備える、燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の製造方法。
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