JP6171840B2 - 触媒層転写部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒層転写部材及びその製造方法に関する。
燃料電池等の触媒層を作成する方法として、今日まで様々の方法が提案されている。これらの中でも、一度別の基材上に作製した触媒層を電解質膜に転写する転写法は、触媒層を形成することが容易であり、電解質膜及び導電性多孔質基材にも悪影響が少ないため、有利である。
特開2007−294173号公報
転写法に使用される基材フィルムとしては、特許文献1に記載されているようにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることが知られているが、よりコストを低減するため、安価な基材上にPTFEを介して触媒層を形成することも行われている。しかしながら、PTFEを離型層に用いた場合には、撥水性が高すぎるために、基材上にPTFEを形成することができないため、膜形成性が十分なものは得られない。また、シリコーン樹脂が表面にコートされたフィルム等が知られているが、シリコーン成分が転写時に触媒層上に移行して発電性能を低下させる問題があった。
従って、本発明は、離型層を基材上に形成しやすくして転写時に触媒層へ離型層中の材料が移行することを抑制した触媒層転写部材を提供することを主な課題とする。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、鋭意研究を続けて来た。その結果、基材上に触媒層中の樹脂と特定の関係を有する材料(樹脂)を含有する離型層を形成することにより、基材上に離型層が形成しやすく、転写時に離型層中の材料が移行することを抑制できることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、以下の構成を包含する。
項1.基材の一方面に離型層が形成され、前記離型層の上に触媒層が形成された触媒層転写部材であって、
触媒層が触媒材料及び樹脂を含み、
前記離型層が、前記触媒層中の樹脂よりも軟化点が高いフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する、
触媒層転写部材。
項2.前記基材の他方面上に離型層を形成する、項1に記載の触媒層転写部材。
項3.前記基材の他方面上の離型層の上に触媒層を形成する、項1又は2に記載の触媒層転写部材。
項4.前記基材の一方面側に形成される触媒層中の樹脂は、イオン伝導性高分子電解質である、項1〜3のいずれかに記載の触媒層転写部材。
項5.前記基材と前記基材の一方面上の離型層の間、及び/又は前記基材と前記基材の他方面上の離型層の間に易接着層を有する、項1〜4のいずれかに記載の触媒層転写部材。
項6.前記基材の一方面上の離型層中のフッ化ビニリデン単位を有する重合体は、前記触媒層中の樹脂よりも5℃以上軟化点が高い、項1〜5のいずれかに記載の触媒層転写部材。
項7.項1〜6のいずれかに記載の触媒層転写部材中の少なくとも1つの触媒層の上に、さらに、電解質膜を形成する、触媒層−電解質膜積層体。
項8.(1)基材の一方面に、フッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物を塗布して離型層を形成する工程、及び
(2)前記離型層の上に、さらに、触媒材料及び樹脂を含む触媒層を形成する工程
を備え、且つ、
前記離型層中のフッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点は、前記触媒層中の樹脂の軟化点より高い、触媒層転写部材の製造方法。
1.触媒層転写部材
本発明の触媒層転写部材は、基材の一方面に離型層が形成され、前記離型層の上に触媒層が形成された触媒層転写部材であって、触媒層が触媒材料及び樹脂を含み、前記離型層が、前記触媒層中の樹脂よりも軟化点が高いフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する。
以下、各層を説明する。
<基材>
基材としては、従来から触媒層転写部材に使用される基材であれば特に制限されず、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の高分子フィルムを用いることができる。また、高分子フィルム以外にも、アート紙、コート紙(マットコート紙等)、軽量コート紙(軽量マットコート紙等)等の塗工紙、ノート用紙、コピー用紙等の非塗工紙等の紙であってもよい。そのほか、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素繊維系シートや、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔等の金属箔等であってもよい。これらの中でも、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート樹脂等が好ましい。
この基材には、離型層と接する表面に、表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、例えば、金属ブラシ、サンドブラスト等で物理的に表面凹凸をつける機械的処理、マット処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線処理、電子線照射処理、撥水処理等を採用することができる。
また、離型層と基材との密着性を増し、その結果離型層の樹脂をより触媒層へ移行させないために、基材と離型層の間に易接着層を有することが好ましい。易接着層の膜厚は特に限定されないが、1μm以下程度が好ましい。また、易接着層は、基材の全面に形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。つまり、易接着層は所望の形状でパターン状に形成されていてもよい。特に、後述の離型層を所望の形状でパターン状に形成する場合は、その形状にあわせて易接着層を形成することが好ましい。
基材の厚みは限定的でないが、例えば、取り扱い性及び経済性の観点から、2.5〜200μm程度が好ましく、10〜150μm程度がより好ましく、10〜100μm程度がさらに好ましい。
<離型層>
本発明において、基材の一方面に形成される離型層は、触媒層と基材との間に積層されており、所定のフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する。フッ化ビニリデン単位を有する重合体は基材との適度な密着性を有し、膜が形成しやすく、形成した膜が凝集破壊しにくい。本発明では、このような離型層を有しているため、離型層を基材上に形成しやすくして、転写時に離型層中の材料が移行することを抑制できる。また、触媒層と離型層との間に適度な接着強度が働き、触媒層を転写する際に、触媒層のみを転写対象物質(電解質膜等)に確実に転写でき、転写性が格段に向上する。また、触媒層を転写する際に、離型層が凝集破壊して触媒層へ移行することが抑制され、触媒層のみを転写対象物質(電解質膜等)に確実に転写でき、転写性が格段に向上する。
また、離型層は、基材上の全面に形成されていてもよいし、一部の上に形成されていてもよい。つまり、離型層は所望の形状でパターン状に形成されていてもよい。特に、後述の触媒層を所望の形状でパターン状に形成する場合は、その形状にあわせて離型層を形成することが好ましい。
本発明で使用するフッ化ビニリデン単位を有する重合体は、ポリフッ化ビニリデン又はフッ化ビニリデンと他のモノマーとの共重合体であって、触媒層中の樹脂よりも軟化点が高いものである。また、本発明において、触媒層中の樹脂より軟化点が高いフッ化ビニリデン単位を有する重合体の中には、軟化点を有さないフッ化ビニリデン単位を有する重合体も含むものとする。つまり、高温で軟化せずに分解する樹脂も含むものとする。このため、本発明においては、軟化点が高いか、軟化点を有さないフッ化ビニリデン単位を有する重合体が好ましい。また、本発明において離型層中に後述する添加剤等を含み、架橋や硬化等によりフッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点が向上した場合は、架橋や硬化等した後のフッ化ビニリデン単位を有する重合体が触媒層中の樹脂よりも高いものである。
フッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点は、触媒層中の樹脂の軟化点より高ければ特に制限はないが、触媒層のみを転写対象物質(電解質膜等)に転写させて転写性をより向上させる観点、熱圧着する場合は熱圧着を行う温度の選択域が広くなる観点等から、触媒層中の樹脂の軟化点よりも5℃以上高いことが好ましく、25℃以上高いことがより好ましい。また、フッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点と、隣接する触媒層中の樹脂の軟化点との差は、大きければ大きいほどよく、上限値に特に制限はないが、通常100℃程度である。
このようなフッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点は、実際には、100〜205℃程度が好ましく、105〜185℃程度がより好ましい。
なお、本発明において、フッ化ビニリデン単位を有する重合体、及び触媒層中の樹脂の軟化点は、粘弾性装置(UBM製のRheogel−E4000)を用いて、以下:
昇温速度 10℃/分
振動数 10Hz
振幅 10μm
静荷重 40g
環境 N
の条件で測定を複数回行い、得られるグラフにおける傾きの絶対値が最大となる温度の平均値とする。
また、本発明において使用するフッ化ビニリデン単位を有する重合体の結晶化度は、溶剤に溶解するのであればどのような結晶化度でも構わないが、溶剤により溶解させやすい観点から低いことが好ましく、具体的には、70%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。
このようなフッ化ビニリデン単位を有する重合体としては、具体的には、フッ化ビニリデン単独重合体(ポリフッ化ビニリデン;PVDF)の他、フッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソル(PDD)、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)等の1種又は2種以上との共重合体も好ましく使用できる。
なかでも、フッ化ビニリデンの比率を高めることで、より離型性の高い膜となるため、転写性をより改善することもできることから、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。なお、これらのフッ化ビニリデン単位を有する重合体は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
フッ化ビニリデン単位を有する重合体として共重合体を使用する場合、そのモノマー比としては、フッ化ビニリデンと他のモノマーとの比(フッ化ビニリデン:他のモノマー)が、重量比で、50〜95:5〜50が好ましく、60〜93:7〜40がより好ましい。
また、本発明では、離型層は、上記フッ化ビニリデン単位を有する重合体からなる層であってもよいし、フッ化ビニリデン単位を有する重合体と他の樹脂を含む層であってもよい。他の樹脂を含む場合、離型層を基材上により保持しやすくして離型層を基材上により形成しやすくし、転写時に離型層中の材料が触媒層へ移行することをより抑制できることから、フッ化ビニリデン単位を有する重合体の含有量は、60〜99.5重量%が好ましく、70〜98重量%がより好ましい。また、他の樹脂の含有量は、0.05〜40重量%が好ましく、2〜30重量%がより好ましい。
他の樹脂を含む場合、含んでいてもよい樹脂としては、特に制限されないが、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、本発明では、離型層には、離型層の耐熱性をより向上させて軟化点をより上昇させ、結果的に得られる触媒層転写部材の転写性及び耐熱性をより向上させることを目的として、さらに、架橋剤、硬化剤等の添加剤が含まれていてもよい。この際使用できる架橋剤及び硬化剤としては、特に制限されないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート類、アミン類、チオール類、アクリレート類、アミノアミド類、アルキルフェノン類、イミダゾール類、イミド類等が挙げられる。また、架橋剤、硬化剤等の添加剤を使用する場合、その添加量は、離型層の耐熱性をより向上させて軟化点をより上昇させ、結果的に得られる触媒層転写部材の転写性及び耐熱性をより向上させる観点から、フッ化ビニリデン単位を有する重合体及び他の樹脂の合計100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
上記のようなフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含む離型層の厚みは限定的でないが、通常20μm以下程度が好ましく、0.01〜20μm程度がより好ましく、0.1〜5μm程度がさらに好ましく、0.1μm以上、1μm未満が特に好ましい。この範囲とすることにより、離型層をより均一に形成できるとともに、転写性をより向上させ、さらに、触媒層転写部材の反りをより防止することができる。
離型層の形成方法
離型層を形成する方法は特に限定されないが、基材の一方面の全面又は一部にフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物を塗布することにより形成する方法が好ましい。詳しくは後述する。
<触媒層>
本発明において、触媒層は、離型層の上に形成されている。また、触媒層は、基材の一方面側の全面にわたって形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。つまり、触媒層は所望の形状でパターン状に形成されていてもよい。
本発明において、触媒層は、固体高分子形燃料電池の触媒層として使用できるものであれば特に制限はなく、触媒材料及び樹脂を含むものである。
触媒材料及び樹脂は公知又は市販のものを使用することができるが、本発明では、触媒層中の樹脂と離型層に含まれる樹脂との関係が重要である。例えば、離型層に軟化点の高い樹脂を用いる場合には、触媒層中の樹脂には当該樹脂よりも軟化点の低い樹脂を用いればよいが、離型層に軟化点の低い樹脂を用いる場合には、当該樹脂よりもさらに軟化点の低い樹脂を用いる必要がある。なお、触媒層中に2種以上の樹脂が含まれている場合は、触媒層中の最も軟化点が低い樹脂が、離型層中に含まれる樹脂よりも低ければよい。つまり、離型層中のフッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点は、触媒層中の樹脂のうち最も軟化点が低い樹脂の軟化点より高いことが好ましい。
触媒材料としては、燃料電池の電池反応を生じさせるものであれば特に制限はなく、例えば、白金、白金合金、白金化合物等が挙げられる。白金合金の具体例としては、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄等の1種又は2種以上の金属と白金との合金が挙げられる。本発明では、触媒担持炭素粒子(触媒材料を担持させた炭素粒子)が好ましい。
樹脂は触媒層のバインダーとして使用できる高分子材料であればよく、イオン伝導性高分子電解質が好ましい。イオン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂、特に、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。このような電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)等が挙げられる。イオン伝導性高分子電解質のうち、Nafionの一例として、DE−2020の場合は、軟化点が104℃である。
触媒層の厚みは限定的でなく、固体高分子形燃料電池の触媒層として一般的に採用されている範囲とすればよい。例えば0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm程度とすることができる。
触媒材料に触媒担持炭素粒子を用いる場合には、触媒担持炭素粒子と樹脂との含有割合は、前者1重量部に対して、後者を0.1〜5重量部程度が好ましく、0.2〜4重量部程度がより好ましい。
触媒層は、必要に応じて、炭素繊維、例えば気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンワイヤー等の公知の添加剤を含有していてもよい。これらの公知の添加剤の含有量は、触媒担持炭素粒子1重量部に対して、0.01〜0.1重量部程度とすることができる。
本発明において、離型層及び触媒層は、基材の一方面のみに形成されていてもよいが、離型層、又は離型層と触媒層の双方を両面に形成されていてもよい。具体的には、基材の一方面に離型層及び触媒層をこの順に形成し、基材の反対面には、離型層及び必要に応じて触媒層を形成してもよい。離型層が基材の両面に形成される場合、2層の離型層は同じものでもよいし、異なるものでもよい。また同様に、触媒層が両面に形成される場合、2層の触媒層は同じものでもよいし、異なるものでもよい。離型層及び触媒層が、基材の一方面のみに形成されている場合は、簡便に本発明の触媒層転写部材を製造することができる。また、他方面、即ち基材の離型層及び触媒層が形成されていない側の面には、カールの抑制、裏面にゴミ等が付着することを抑制、帯電防止、積層した場合やロールで巻いた場合に触媒層が脱落等することやブロッキングを抑制する等の目的のために、他の樹脂層を形成してもよい。一方、離型層が基材の両面に形成される場合は、熱収縮によるカール抑制、裏面にゴミ等が付着することを抑制、帯電防止、積層した場合やロールで巻いた場合に触媒層が脱落等することやブロッキングを抑制する等の効果も有する。このため、離型層及び触媒層を、より基材上に保持しやすくすることができるため、より均一な触媒層を形成することができる。この効果は、さらに、触媒層を両面に形成した場合に顕著である。
なお、離型層を基材の両面に形成する場合は、2層の離型層は同じものでもよいし、異なるものでもよい。この場合、1層の離型層をフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する離型層とし、もう1層の離型層は従来から公知の離型層としてもよいし、2層ともフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する離型層としてもよい。特に、2層ともフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する離型層とするのが、より好ましい。また、両面の離型層が基材の全面にわたって形成されていてもよいし、基材の一方面の離型層が全面に形成され他方面が所望の形状でパターン状に形成されていてもよいし、両面の離型層がそれぞれ所望の形状でパターン状に形成されていてもよい。
また、離型層を基材の両面に形成する場合には、片面の離型層のみに添加剤が含まれていてもよいし、2層ともに添加剤が含まれていてもよい。
なお、離型層を基材の両面に形成する場合、基材の両面に易接着層が形成されていてもよいし、基材の片面のみに易接着層が形成されていてもよい。
また、基材の両面に離型層を形成する場合には、片面の離型層の上にのみ触媒層が形成されていてもよいし、両面の離型層の上に触媒層が形成されていてもよい。触媒層を両面に形成する場合には、各触媒層は同じものでもよいし、異なるものでもよい。また、両面の触媒層が離型層上の全面にわたって形成されていてもよいし、一方面の触媒層が全面に形成され他方面の触媒層が所望の形状でパターン状に形成されていてもよいし、両面の触媒層がそれぞれ所望の形状でパターン状に形成されていてもよい。
2.触媒層転写部材の製造方法及び転写方法
本発明の触媒層転写部材は、
(1)基材の一方面に、フッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物を塗布して離型層を形成する工程、及び
(2)前記離型層の上に、さらに、触媒材料及び樹脂を含む触媒層を形成する工程
を備える方法により、製造することができる。
<離型層の形成>
基材にフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する離型層を形成する方法としては、基材の一方面の全面又は一部にフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物を塗布して形成する方法や、基材の表面に離型層形成用の樹脂を押出して形成する方法や、離型層を形成する樹脂フィルムを作製しドライラミネートにより基材の表面に貼り合せる方法等が挙げられるが、塗布することにより形成する方法が好ましい。塗布する方法を採用することにより、薄膜の離型層を形成して離型層をより均一に形成できる。また、少ない工程で離型層を形成することが可能であり、基材にかかる熱負荷が少ないため基材材料の選択の幅が広がる。また、離型層をより均一に形成できることから、離型層上に触媒層をより均一に形成できるため、触媒層の塗工により適している。このような効果は、塗布に適しているフッ化ビニリデン単位を有する重合体を用いているから得られる効果である。
なお、基材の両面に、離型層を形成する場合は、上記の操作を両面に対して行えばよい。この際、各離型層を形成するための組成物、離型層形成用の樹脂、樹脂フィルム等は同じでも異なっていてもよい。
フッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物を構成する溶媒としては、フッ化ビニリデン単位を有する重合体を溶解させられる溶媒であれば特に制限はなく、例えば、各種アルコール、各種エーテル、各種ジアルキルスルホキシド、水又はこれらの混合物等が挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4の一価アルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。エーテルとしては、例えば、含フッ素エーテル化合物であるハイドロフルオロエーテルや、n−プロピルエーテル等が挙げられる。ジアルキルスルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
フッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物の作製方法としては、フッ化ビニリデン単位を有する重合体が溶媒中に溶解又は分散されていれば特に制限されないが、加熱及び攪拌しながら溶媒中にフッ化ビニリデン単位を有する重合体を溶解させる方法が挙げられる。この際、塗工面をより均一にするため、確実に溶解させることが好ましい。
加熱温度は、特に制限されないが、常温(20℃)〜フッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点以下の温度及び溶媒の沸点の低いほうの範囲で加熱することが好ましい。
攪拌方法も特に制限されないが、攪拌子を用いる方法等が挙げられる。
加熱及び攪拌の時間は長ければ長いほど確実に溶解するため好ましいが、通常5分〜5時間程度である。
なお、離型層中に、他の樹脂、架橋剤、硬化剤等を含ませる場合には、この段階で、最終的な組成に相当する量を投入することが好ましい。具体的には、他の樹脂は、全樹脂の合計に対して0.5〜30重量%、架橋剤、硬化剤等の添加剤はフッ化ビニリデン単位を有する重合体及び他の樹脂の合計100重量部に対して、0.5〜10重量部投入することが好ましい。
フッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を採用でき、より薄膜に塗工しやすく、生産に適しているためバーコーターが好ましい。
フッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物を塗布した後、必要に応じて乾燥することにより離型層が形成される。乾燥温度は、例えば、大気雰囲気中、通常80〜150℃程度が好ましく、110〜130℃程度がより好ましい。また、乾燥時間は乾燥温度にもよるが、通常1〜30分程度が好ましく、1〜15分程度がより好ましい。
なお、基材の両面に離型層を形成する場合には、特に限定されないが、基材の上下からダイで両面に、フッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物を塗布し、その後必要に応じて上下から乾燥させる方法が挙げられる。基材の両面に、ディップコートにより前記組成物を塗布し、その後必要に応じて乾燥させる方法も挙げられる。
また、まず基材の一方面に、フッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物を塗布及び必要に応じて乾燥して離型層を形成した後に、基材の反対面に、同様にフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物を塗布及び必要に応じて乾燥して別途離型層を形成してもよい。この際、2層の離型層に使用されるフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物は同じものでも異なるものでもよいし、2層の離型層の厚みも同じであってもよく異なっていてもよいが、熱収縮によるカール抑制等の観点から、いずれも同じであることが好ましい。
<触媒層の形成>
触媒層は、上記で形成された離型層積層基材の離型層(離型層が2層形成される場合は少なくとも基材の一方面上に形成される離型層)の上に、触媒層形成用ペースト組成物を塗布及び必要に応じて乾燥させることにより得られる。本発明では、触媒層形成用ペースト組成物を形成する表面が、平滑なフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する離型層であるため、均一にペースト組成物を塗布することができる。このため、得られる触媒層も均一な厚みになり、触媒層の欠陥等が生じにくくなる。また、触媒層中の樹脂の軟化点が離型層中のフッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点より低いため、例えば触媒層中の樹脂の軟化点以上且つフッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点より低い温度において、電解質膜と触媒層とを熱圧着させることが可能であり、触媒層を転写する際に、触媒層のみが転写対象物質(電解質等)に確実に転写でき、転写性が格段に向上する。
触媒層形成用ペースト組成物は、上記触媒層を形成するためのペースト組成物であって、上記触媒材料及び樹脂に加え、溶媒を含有する。
溶媒は、公知又は市販のものを使用することができ、例えば、各種アルコール、各種エーテル、各種ジアルキルスルホキシド、水又はこれらの混合物等が挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4の一価アルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。エーテルとしては、例えば、含フッ素エーテル化合物であるハイドロフルオロエーテルや、n−プロピルエーテル等が挙げられる。ジアルキルスルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
触媒層形成用ペースト組成物には、触媒材料及び樹脂が所定の割合となるように配合することが好ましい。例えば、触媒材料1重量部に対して、樹脂(固形分)が0.1〜5重量部(特に0.2〜4重量部)、溶媒が3〜50重量部(特に10〜30重量部)含まれているのがよく、残りが水である。水の割合は、通常、触媒材料に対して、等重量〜30倍重量である。
触媒層形成用ペースト組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を採用できる。
触媒層形成用ペースト組成物を塗布した後、必要に応じて乾燥することにより触媒層が形成される。乾燥温度は、例えば、大気雰囲気中、通常80〜150℃程度が好ましく、100〜130℃程度がより好ましい。乾燥時間は乾燥温度にもよるが、通常0.5〜30分程度が好ましく、1〜15分程度がより好ましい。
なお、2層の触媒層を形成する場合には、両面に離型層を形成した基材の上下からダイで両面に、触媒層形成用ペースト組成物を塗布し、その後必要に応じて上下から乾燥させる方法が挙げられる。両面に離型層を形成した基材の両面に、ディップコートにより触媒層形成用ペースト組成物を塗布し、その後必要に応じて乾燥させる方法も挙げられる。また、まず片方の離型層の上に、触媒層形成用ペースト組成物を塗布及び必要に応じて乾燥して触媒層を形成した後に、反対側の離型層の上に、同様に触媒層形成用ペースト組成物を塗布及び必要に応じて乾燥して別途触媒層を形成してもよい。この際、2層の触媒層に使用される触媒層形成用ペースト組成物は同じものでも異なるものでもよいし、2層の触媒層の厚みも同じであってもよく異なっていてもよいが、熱収縮によるカール抑制等の観点から、いずれも同じであることが好ましい。
<転写方法>
本発明の触媒層転写部材は、固体高分子形燃料電池用の電解質膜、電極基材等に転写するために用いられる。
転写方法は常法に従って行えばよく、例えば、電解質膜、電極基材等の転写対象物質に、触媒層転写部材の触媒層を接触させ、加圧することにより行えばよい。
加圧の程度は、転写不良を避けるために、通常1〜10MPa程度が好ましく、1〜5MPa程度がより好ましい。また、加圧操作の際は、転写不良をより一段と避けるために、加圧面を加熱することが好ましい。加熱温度は、特に限定しないが、触媒層中の樹脂の軟化点以上且つフッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点より低い温度において、電解質膜と触媒層とを熱圧着させることが可能であり、触媒層のみを転写対象物質(電解質膜等)に確実に転写することができ、転写性を向上させることができる。また、このような離型層に含まれる樹脂は、隣接する触媒層には移行しない。このような観点から、加熱温度を選択すればよいが、具体的には例えば100〜160℃程度が好ましく、110〜150℃程度がより好ましく、130〜150℃程度がさらに好ましい。
電解質膜及び電極基材は、固体高分子形燃料電池用として使用されているものを使用すればよく、公知又は市販のものを使用できる。電解質膜の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」膜、旭硝子(株)製の「Flemion」膜、旭化成(株)製の「Aciplex」膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」膜等が挙げられる。電極基材の具体例としては、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等のガス拡散基材等が挙げられる。
このようにして、本発明の触媒層転写部材を用いて、電解質膜の片面又は両面に触媒層を転写すれば、固体高分子形燃料電池用触媒層−電解質膜積層体が得られる。この後、固体高分子形燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の触媒層と上記した電極基材とが接するように配置して熱プレスすることにより、固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体を得ることができる。この際、電解質膜を2個用意すれば、固体高分子形燃料電池用触媒層−電解質膜積層体を同時に2個作製することも可能である。
また、本発明の触媒層転写部材を用いて、電極基材上に触媒層を転写すれば、固体高分子形燃料電池用電極が得られる。この際、電極基材を2個用意すれば、固体高分子形燃料電池用電極を同時に2個作製することも可能である。この後、上記した電解質膜の片面又は両面に、固体高分子形燃料電池用電極を、触媒層と電解質膜とが接するように配置して熱プレスすることにより、固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体を得ることができる。
熱プレスの際の条件は、常法で採用されているものを採用すればよい。
さらに、このようにして得られた固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体に公知又は市販のセパレータ、公知又は市販のガスケット等を設けることにより、固体高分子形燃料電池を得ることができる。
本発明の触媒層転写部材は、所定のフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含む離型層を有しているため、離型層を基材上に保持しやすくして転写時に離型層の材料が触媒層に移行することを抑制し、均一な触媒層を形成できる。また、本発明の触媒層転写部材は、極めて優れた転写性を有している。すなわち、本発明の触媒層転写部材を使用すると、転写する際、基材側に触媒層が非常に残りにくく、触媒層を無駄なく使用することが可能となる。
本発明において、フッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点を測定する方法を説明するためのグラフ(DMA測定結果)である。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
<軟化点の測定>
以下の実施例及び比較例において使用した離型層材料の軟化点は、示差走査熱量測定(DMA)(UBM製 Rheogel−E4000)により行った。
具体的には、まず、横軸:温度(℃)に対する縦軸:貯蔵弾性率E’(Pa)の変化を測定した。例として、DE−2020(デュポン社製)、Solef21216/1001(ソルベイソレクシス(株)製)及びSolef5130/1001(ソルベイソレクシス(株)製)について測定を行ったDMA測定結果を図1に示す。この測定を2回行い、グラフにおける傾きの絶対値が最大となる温度の平均値を軟化点とした。
なお、測定の際の条件は以下:
サンプルサイズ:2cm×5mm
昇温速度:10℃/分
振動数:10Hz
振幅:10μm
静荷重:40g
環境:N
のとおりとした。
この測定により、DE−2020は軟化点104℃、結晶化度7.5%であった。また、Solef21216/1001は軟化点135℃、結晶化度40.1%であった。さらに、Solef5130/1001は軟化点162℃、結晶化度23.8%であった。得られた各離型層材料の結果を図1の矢印で示す。なお、Solef5130/1001においては、軟化点の直後にグラフが終了しているが、軟化点で相転移した後、変形や流動が著しくそれ以降は測定できなかった。
実施例1
<離型層の形成>
Solef21216/1001(ソルベイソレクシス(株)製:フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、軟化点135℃)をメチルエチルケトン(MEK)に添加し、スターラー(メディア回転速度:300rpm)を用いて80℃の条件下で3時間攪拌して保持することにより、5重量%のフッ化ビニリデン共重合体溶液を作製した。
次に、基材として、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡(株)製、商品名「コスモシャイン A4100」、厚み100μm、易接着層付き基材)の片面上に、上記のフッ化ビニリデン共重合体溶液を、バーコーターを用いて、乾燥後の厚みが0.25μmとなるように塗工し、100℃で1時間乾燥し、基材上に離型層を形成した。
<触媒層形成用ペースト組成物の調製>
白金ルテニウム担持炭素粒子(Pt:27.2重量%、Ru:28.7重量%)(田中貴金属株式会社、「TEC62E58」)10重量部、5重量%ナフィオン溶液(デュポン社製、「DE−2020」、溶媒:n−プロパノール、水)100重量部を、イソプロパノール100重量及びプロピレングリコール2重量部に加え、攪拌することにより、触媒層形成用ペースト組成物を調製した(触媒層中の樹脂であるナフィオンの軟化点は104℃である)。
<触媒層の形成>
得られた離型層積層基材の離型層上に、上記触媒層形成用ペースト組成物を乾燥後の厚みが15〜25μmになるように塗布した後、大気雰囲気下、95℃で15分間乾燥させることにより触媒層を形成して、実施例1の触媒層転写部材を製造した。この際、離型層は基材上に保持することができ、膜形成性は良好であった。
実施例2
離型層を形成する材料としてSolef5130/1001(ソルベイソレクシス(株)製:ポリフッ化ビニリデン、軟化点162℃)1重量部をメチルエチルケトン(MEK)に添加し、スターラー(メディア回転速度:300rpm)を用いて80℃で1時間攪拌して保持すること以外は実施例1と同様に、実施例2の触媒層転写部材を製造した。この際、離型層は基材上に保持することができ、膜形成性は良好であった。
実施例3
離型層を形成する材料としてSolef5130/1001(ソルベイソレクシス(株)製:ポリフッ化ビニリデン、軟化点162℃)1重量部をメチルエチルケトン(MEK)に添加し、スターラー(メディア回転速度:300rpm)を用いて80℃で1時間攪拌して保持したこと、基材として軽量マットコート紙(王子製紙(株)製、製品名「OKマットコートL」厚み57μm)を用いたこと以外は実施例1と同様に、実施例3の触媒層転写部材を製造した。この際、離型層は基材上に保持することができ、膜形成性は良好であった。
実施例4
離型層を形成する材料としてSolef5130/1001(ソルベイソレクシス(株)製:ポリフッ化ビニリデン、軟化点162℃)1重量部をメチルエチルケトン(MEK)に添加し、スターラー(メディア回転速度:300rpm)を用いて80℃で1時間攪拌して保持したこと、基材としてアルミニウム箔(厚み50μm)を用いたこと以外は実施例1と同様に、実施例4の触媒層転写部材を製造した。この際、離型層は基材上に保持することができ、膜形成性は良好であった。
実施例5
乾燥後の離型層の厚みが5μmとなるように、フッ化ビニリデン共重合体溶液を塗工したこと以外は実施例1と同様に、実施例5の触媒層転写部材を製造した。この際、離型層は基材上に保持することができ、膜形成性は良好であった。
実施例6
乾燥後の離型層の厚みが20μmとなるように、フッ化ビニリデン共重合体溶液を塗工したこと以外は実施例1と同様に、実施例6の触媒層転写部材を製造した。この際、離型層は基材上に保持することができ、膜形成性は良好であった。
実施例7
離型層を形成する材料としてSolef31508/1001(ソルベイソレクシス(株)製:フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレン(CTFE)との共重合体、軟化点は110℃)を用いたこと以外は実施例1と同様に、実施例7の触媒層転写部材を製造した。この際、離型層は基材上に保持することができ、膜形成性は良好であった。
比較例1
AD911(旭硝子(株)製:ポリテトラフルオロエチレン)を水に添加し、5重量%のPTFE分散液を作製した。
上記得られたPTFE分散液を用いて塗工すること以外は実施例1と同様に行った。しかしながら、離型層に用いた樹脂の撥水性が高すぎるためか、基材上に保持することができなかったため、膜形成性が悪かった。
比較例2
ルブロン LDW-410(ダイキン工業(株)製:テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体)を水に添加し、5重量%のFEP分散液を作製した。
上記得られたFEP分散液を用いて塗工すること以外は実施例1と同様に行った。しかしながら、離型層に用いた樹脂の撥水性が高すぎるためか、基材上に保持することができなかったため、膜形成性が悪かった。
比較例3
離型層を形成する材料としてSolef32008/1001(ソルベイソレクシス(株)製:フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレン(CTFE)との共重合体、軟化点はナフィオンより低い)を用いたこと以外は実施例1と同様に、比較例3の触媒層転写部材を製造した。この際、離型層は基材上に保持することができ、膜形成性は良好であった。
試験評価
<離型層の被着体への移行性>
各実施例及び比較例において、離型層形成後(触媒層形成前)に、セロテープ(ニチバン(株)製:セロテープ(登録商標))を離型層に貼り付けて剥がした。そして、被着体への移行性を以下のように評価した。
○:セロテープに離型層が付かなかった。
×:セロテープに離型層が付いた。
その結果、比較例1〜2では、上記のとおり、離型層を基材上に保持することができず、膜形成性に劣るものであり、セロテープに離型層が付着してしまい、転写時に被着体に移行してしまうことが示唆された。それに対して、実施例1〜7では、セロテープに離型層は付着せず、転写時に被着体に移行しないことが示された。このため、本発明の触媒層転写部材においては、離型層中の樹脂が、隣接する触媒層には移行しないことが示唆されている。
<転写性>
各実施例及び比較例で製造した触媒層転写部材を5cm×5cmの大きさに2枚裁断した後、当該触媒層転写部材2枚を、7.5cm×7.5cmの大きさに裁断した電解質膜(デュポン社製:商品名「Nafion 112」)に挟持した。その後、110℃又は130℃に加熱したプレス機で、両側から圧力2MPaで3分間プレスを行い、基材(離型層も含む)を剥がすことにより、当該電解質膜上に触媒層を転写した。
評価は、触媒層の転写率を目視により確認した。なお、転写率は、(電解質膜に転写した触媒層重量)/(転写前の触媒層転写部材上の触媒層重量)×100で求めた。そして、以下のように評価した。
○:転写率が90〜100%。
△:転写率が70%以上、90%未満。
▲:転写率が60%以上、70%未満。
×:転写率が60%未満。
なお、比較例1及び2では、基材上に離型層を保持することができなかったので、評価もできなかった。比較例3では、転写性が悪く、実用に耐えなかった。一方、実施例1〜7では、ほとんどすべての触媒層を転写することができ、転写性に優れていた。また、実施例1〜7では、基材上に離型層を保持できるとともに、転写後に離型層は基材から剥離して触媒層に付着していないことを外観観察により確認した。つまり、触媒層のみを確実に転写することができた。
上記の評価結果を表1に示す。
Figure 0006171840

Claims (8)

  1. 基材の一方面に離型層が形成され、前記離型層の上に触媒層が形成された触媒層転写部材であって、
    触媒層が触媒材料及び樹脂を含み、
    前記離型層が、前記触媒層中の樹脂よりも軟化点が高いフッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する、
    触媒層転写部材。
  2. 前記基材の他方面上に離型層を形成する、請求項1に記載の触媒層転写部材。
  3. 前記基材の他方面上の離型層の上に触媒層を形成する、請求項1又は2に記載の触媒層転写部材。
  4. 前記基材の一方面側に形成される触媒層中の樹脂は、イオン伝導性高分子電解質である、請求項1〜3のいずれかに記載の触媒層転写部材。
  5. 前記基材と前記基材の一方面上の離型層の間、及び/又は前記基材と前記基材の他方面上の離型層の間に易接着層を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の触媒層転写部材。
  6. 前記基材の一方面上の離型層中のフッ化ビニリデン単位を有する重合体は、前記触媒層中の樹脂よりも5℃以上軟化点が高い、請求項1〜5のいずれかに記載の触媒層転写部材。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の触媒層転写部材中の少なくとも1つの触媒層の上に、さらに、電解質膜を形成する、触媒層−電解質膜積層体。
  8. (1)基材の一方面に、フッ化ビニリデン単位を有する重合体を含有する組成物を塗布して離型層を形成する工程、及び
    (2)前記離型層の上に、さらに、触媒材料及び樹脂を含む触媒層を形成する工程
    を備え、且つ、
    前記離型層中のフッ化ビニリデン単位を有する重合体の軟化点は、前記触媒層中の樹脂の軟化点より高い、触媒層転写部材の製造方法。
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