JP2015197962A - 燃料電池用積層体の製造方法 - Google Patents

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咲枝 倉林
比呂志 岸本
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比呂志 岸本
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和史 小谷
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Abstract

【課題】凸凹やクラック等を減らし、且つ、電解質の膜やせを抑制することができる燃料電池用触媒層又は燃料電池用電極の製造方法を提供する。
【解決手段】第1基材上に第1触媒層(又は触媒層)を有する第1基材付第1触媒層(又は第1基材付触媒層)と、第2基材上に第2触媒層(又はマイクロポーラスレイヤー)を有する第2基材付第2触媒層(又は第2基材付マイクロポーラスレイヤー)とを、第1触媒層(又は触媒層)と第2触媒層(又はマイクロポーラスレイヤー)とが対向するように配置し、接合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、特に固体高分子形燃料電池に用いられる燃料電池用積層体の製造方法に関する。
燃料電池は、通常、高分子電解質膜の両面に電極が配置されており、水素と酸素の電気化学反応により発電する電池であるため、発電時に発生するのは水のみである。このように従来の内燃機関と異なり、二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しないために次世代のクリーンエネルギーシステムとして普及が見込まれている。その中でも特に固体高分子形燃料電池は、作動温度が低く、電解質の抵抗が少ないことに加え、活性の高い触媒を用いるので小型でも高出力を得ることができ、家庭用コージェネレーションシステム等として早期の実用化が見込まれている。
上記固体高分子形燃料電池の発電部位は、通常、イオンを伝導する高分子電解質膜の両面に電極となる触媒層が形成された触媒層−電解質膜積層体(CCM)により構成される。この触媒層−電解質膜積層体は、例えば、高分子電解質膜の片面又は両面に、基材及び触媒層を備える触媒層形成用転写フィルムを用いて、触媒層を転写することによって得られる。
触媒層は、通常、触媒担持炭素粒子及びイオン伝導性高分子電解質を含む触媒層形成用ペースト組成物をシート状に成形し乾燥することによって形成される。また、触媒層の触媒表面積が多いほど燃料電池の発電性能が高くなることが知られており、触媒層の厚さと発電性能には相間関係がある。しかしながら、触媒層を1層で厚膜に塗工すると、乾燥時に亀裂が発生し、凸凹やクラックが発生していた。このように、凸凹やクラックが発生した触媒層を高分子電解質膜に転写すると、高分子電解質膜の膜やせを引き起こし、電池性能や耐久性が悪化していた。一方、触媒層を薄く塗工すると、凹凸やクラックが少ない触媒層が得られるものの、所望の発電性能が得られない。
このような課題を解決するため、薄膜の触媒層を2回以上転写し、所望の厚みの触媒層を得つつ、凸凹やクラック等が発生するのを抑制する手法が知られている(特許文献1)。
特開2007−080548号公報
しかしながら、特許文献1のように、触媒層の転写を2回以上繰り返した場合、各々の触媒層を精度よく重ね合わせることが困難であり、位置精度が悪くなる。しかも、特許文献1の方法では、2層以上の触媒層を積層したときには、触媒層のうち1層は既に電解質膜と接合しているため、カットすることにより位置ずれを修正することができない。位置精度が悪い触媒層を用いて固体高分子形燃料電池を作製した場合、触媒層に隣接するガス拡散層やガスケット等と触媒層の位置ずれが生じた部分との間で密着性が悪くなったり、隙間が生じたりする。このため、ガスの流れが不均一となり、ガスリークが大きくなり、結果的に電池性能が悪化してしまう。また、この課題は、基材及びマイクロポーラスレイヤー(以下、「MPL」と言うこともある)を備えるMPL形成用転写フィルムを用いて、電解質膜に触媒層を転写した後に、さらにMPLを転写する場合も同様である。すなわち、この場合も触媒層とMPLを精度よく重ね合わせることが困難であり、位置ずれを修正することができない。
また、触媒層を高分子電解質膜へ2回以上転写すると、触媒層同士を密着させるために、転写するごとに強いプレス圧力をかける必要がある。よって、高分子電解質膜には強いプレス圧力が複数回かけられることになり、膜やせが避けられず、燃料電池の耐久性が低下してしまう。
さらに、上記のとおり、触媒層を高分子電解質膜へ複数回転写することから、その熱により電解質膜へのダメージが大きくなる。また、電解質膜へのダメージを低減するため、触媒層同士のプレス条件を緩やかにすると、触媒層同士をうまく接着できないという問題もあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、触媒層の凸凹やクラック等を減らし、且つ、電解質の膜やせを抑制することができる燃料電池用触媒層又は燃料電池用電極の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を続けてきた。その結果、第1基材付第1触媒層と、第2基材付第2触媒層とを、第1触媒層と第2触媒層とが対向するように配置し、接合した触媒層を使用することにより、上記課題を解決した燃料電池が得られることを見出した。具体的には、上記の触媒層から第1基材若しくは第2基材を剥離し、電解質膜上に第1触媒層及び第2触媒層を転写することにより、触媒層の凸凹やクラック等を減らし、且つ、電解質の膜やせを抑制した触媒層−電解質膜積層体が得られる。また、この効果は、ガス拡散層上に、第1触媒層及び第2触媒層を転写して燃料電池用電極を作製した後に、電解質膜と接合した場合も同様である。さらに、第1触媒層及び第2触媒層のうち片方をMPLとした燃料電池用電極を使用して、触媒層−電解質膜積層体を得る場合も同様である。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、以下の構成を包含する。
項1.第1基材上に第1触媒層を有する第1基材付第1触媒層と、第2基材上に第2触媒層を有する第2基材付第2触媒層とを、第1触媒層と第2触媒層とが対向するように配置し、接合する工程
を備える、
燃料電池用触媒層の製造方法。
項2.前記第1基材と前記第2基材とが異なる、項1に記載の製造方法。
項3.前記第1基材付第1触媒層中の第1触媒層、及び/又は前記第2基材付第2触媒層中の第2触媒層の上に接着層を有する、項1又は2に記載の製造方法。
項4.前記第1基材付第1触媒層中の第1触媒層、及び/又は前記第2基材付第2触媒層中の第2触媒層の上に少なくとも一層の触媒層を有する、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた燃料電池用触媒層から、第1基材又は第2基材を剥離する工程、及び
電解質膜の片面又は両面に、前記第1基材又は第2基材を剥離した燃料電池用触媒層を、第1触媒層又は第2触媒層と電解質膜とが対向するように配置し、接合する工程
を備える、燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の製造方法。
項6.項5に記載の製造方法により得られた燃料電池用触媒層−電解質膜積層体から第1基材又は第2基材を剥離する工程、及び
前記第1基材又は第2基材を剥離した燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の第1触媒層又は第2触媒層の上に、マイクロポーラスレイヤー及び/又は導電性多孔質基材を形成する工程
を備える、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
項7.項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた燃料電池用触媒層から、第1基材又は第2基材を剥離する工程、及び
導電性多孔質基材と、前記第1基材又は第2基材を剥離した燃料電池用触媒層とを、第1触媒層又は第2触媒層と導電性多孔質基材とが対向するように配置し、接合する工程
を備える、燃料電池用電極の製造方法。
項8.項7に記載の製造方法により得られた燃料電池用電極から第1基材又は第2基材を剥離する工程、及び
電解質膜の片面又は両面に、前記第1基材又は第2基材を剥離した燃料電池用電極を、電解質膜と第1触媒層又は第2触媒層とが対向するように配置し、積層する工程
を備える、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
項9.少なくとも、第1基材、第1触媒層、第2触媒層、及び第2基材がこの順に形成された燃料電池用触媒層。
項10.第1基材上に触媒層を有する第1基材付触媒層と、第2基材上にマイクロポーラスレイヤーを有する第2基材付マイクロポーラスレイヤーとを、触媒層とマイクロポーラスレイヤーとが対向するように配置し、接合する工程
を備える、燃料電池用電極の製造方法。
項11.前記第1基材と前記第2基材とが異なる、項10に記載の製造方法。
項12.第1基材付触媒層中の触媒層、及び/又は第2基材付マイクロポーラスレイヤー中のマイクロポーラスレイヤーの上に接着層を有する、項10又は11に記載の製造方法。
項13.第1基材付触媒層中の触媒層、及び/又は第2基材付マイクロポーラスレイヤー中のマイクロポーラスレイヤーの上に少なくとも一層の触媒層を有する、項10〜12のいずれかに記載の製造方法。
項14.項10〜13のいずれかに記載の製造方法により得られた燃料電池用電極から、第1基材を剥離する工程、及び
前記第1基材を剥離した燃料電池用電極を、触媒層と電解質膜とが対向するように配置し、接合する工程
を備える、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
項15.項14に記載の製造方法により得られた燃料電池用膜−電極接合体から第2基材を剥離する工程、及び
前記第2基材を剥離した燃料電池用膜−電極接合体のマイクロポーラスレイヤーの上に、導電性多孔質基材を形成する工程
を備える、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
項16.項10〜13のいずれかに記載の製造方法により得られた燃料電池用電極から、第2基材を剥離する工程、及び
導電性多孔質基材の上に、前記第2基材を剥離した燃料電池用電極を、マイクロポーラスレイヤーと導電性多孔質基材とが対向するように配置し、接合する工程
を備える、燃料電池用電極の製造方法。
項17.項16に記載の製造方法により得られた燃料電池用電極から第1基材を剥離する工程、及び
電解質膜の片面又は両面に、前記第1基材を剥離した燃料電池用電極を、電解質膜と触媒層とが対向するように配置し、形成する工程
を備える、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
項18.少なくとも、第1基材、触媒層、マイクロポーラスレイヤー、及び第2基材がこの順に形成された燃料電池用電極。
1.第1の態様
本発明の第1の態様では、例えば、図1に示される工程により、燃料電池用触媒層、燃料電池用触媒層−電解質膜積層体、及び燃料電池用膜−電極接合体が得られる。
(1)燃料電池用触媒層
本発明の第1の態様における燃料電池用触媒層は、第1基材、第1触媒層、第2触媒層、及び第2基材がこの順に形成された燃料電池用触媒層である。この構成においては、第1基材及び第2基材が、第1触媒層及び第2触媒層の保護フィルムとなることから、運搬等した場合に触媒層が保護され、傷や汚れ等がつきにくい。また、ロールで保管した場合には、隣接する触媒層が傷つきにくい。
このような燃料電池用触媒層は、図1にも示されるように、
第1基材11上に第1触媒層12を有する第1基材付第1触媒層1と、第2基材21上に第2触媒層22を有する第2基材付第2触媒層2とを、第1触媒層12と第2触媒層22とが対向するように配置し、接合する工程
を備える製造方法により得られる。
従来は電解質膜に複数回触媒層を転写した場合には、触媒層の位置ずれが見られ、また、電解質膜の膜やせが避けられないのに対し、このような方法を採用することにより、触媒層−電解質膜積層体や、膜−電極接合体を製造した際に、触媒層の位置ずれ及び電解質膜の膜やせを著しく抑制することができる。
<第1基材付第1触媒層1>
第1基材11
第1基材11としては、特に制限されず、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂(ETFE)、ポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の高分子フィルムを用いることができる。また、高分子フィルム以外にも、アート紙、コート紙(マットコート紙等)、軽量コート紙(軽量マットコート紙等)等の塗工紙、ノート用紙、コピー用紙等の非塗工紙等の紙であってもよい。そのほか、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素繊維シートや、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔等の金属箔等であってもよい。これらの中でも、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂(ETFE)等が好ましい。
第1基材11の厚みは限定的でないが、例えば、取り扱い性及び経済性の観点からは、2.5〜200μm程度が好ましく、10〜150μm程度がより好ましく、10〜100μm程度がさらに好ましい。
第1基材11としては、特に制限されないが、表面が平滑な基材を用いることが好ましい。第1基材11の表面を平滑とした場合には、本発明の触媒層の表面を平滑にすることができるため、隣り合う部材との密着性をより良好にすることができる。
本発明においては、第1基材11又は第2基材21を剥離しやすくするため、第1基材11と第2基材21とが異なることが好ましい。より好ましくは、第1基材11と第2基材21の水に対する接触角が異なることが好ましい。より具体的には、第1基材11と第2基材21の水に対する接触角の差は2°以上とすることが好ましい。なお、水との接触角は、自動接触角測定器(FACE接触角計、CA−X型、協和界面化学(株)製)を用い、1μl程度の水滴を基材表面に滴下し、接触角を観測することにより測定するものとする。
第1基材11と第2基材21とが異なるとは、第1基材11と第2基材21を構成する材料自体が異なる場合を含む。また、第1基材11及び第2基材21において、第1触媒層12又は第2触媒層22と接する表面に表面処理を施した場合や、他層を形成した場合に、表面処理や他層の有無、材質、配合、構造等が異なる場合も包含される。
このように、第1基材11と第2基材21とを異なるものとすれば、第1基材11と第2基材21の片方をより剥離しやすくすることができる。これは、結果的に、第1基材11と第1触媒層12との間の剥離強度と、第2基材21と第2触媒層22との間の剥離強度とを異なるものとすることができるためである。なお、第1基材11を剥離する場合、第1基材11の水に対する接触角を大きくすることが好ましい。
また、第1基材11の第1触媒層12と接する表面に表面処理を施す場合は、例えば、金属ブラシ、サンドブラスト等で物理的に表面凹凸をつける機械的処理、マット処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線処理、電子線照射処理、撥水処理等を採用することができる。このような表面処理を施すことにより、第1基材11の水に対する接触角を制御することができる。
また、第1基材11の第1触媒層12と接する表面に他層を形成する場合は、ケイ素酸化物、フッ素樹脂等を含む離型層を形成することが好ましい。この際、第1基材11と離型層との密着性を向上させるため、第1基材11と離型層との間に、膜厚1μm以下程度の易接着層が形成されていてもよい。これにより、第1基材11と離型層との密着性を向上させることができる。また、離型層や易接着層は複数層形成されていてもよい。さらに、第1基材11は、上述した材料のフィルムを、1種又は2種以上積層したものを用いてもよい。
なお、第1基材11の上に離型層を形成する場合、離型層の厚みは0.01〜20μm程度とすることが好ましい。
第1触媒層12
本発明において、第1触媒層12は、固体高分子形燃料電池の触媒層として使用できるものであれば特に制限はなく、一般的には、触媒を含有していればよく、例えば、炭素粒子に触媒粒子を担持させたものを用いてもよい。さらに第1触媒層12は、触媒の他に高分子重合体を含有してもよく、イオン伝導性高分子電解質等を用いてもよい。
触媒としては、燃料電池の電池反応を生じさせるものであれば特に制限はなく、例えば、白金や白金化合物等などが挙げられる。白金化合物としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄等からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属と、白金との合金などが挙げられる。なお、通常は、触媒層に含まれる触媒は白金である。
炭素粒子は、導電性を有しているものであれば限定的ではなく、公知または市販のものを広く使用できる。例えば、カーボンブラックや、黒鉛、活性炭などを1種または2種以上で用いることができる。カーボンブラックの例としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラックなどを挙げることができる。炭素粒子の算術平均粒子径は通常5nm〜200nm程度、好ましくは20nm〜80nm程度である。この炭素粒子の平均粒子径は、例えば、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製等により測定できる。
高分子重合体としては、特に限定的ではなく、公知の材料を使用できる。具体的には、イオン伝導性高分子電解質、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素ゴム、シリコーンゴム等も挙げられる。これらの高分子重合体は、単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせてもよい。
イオン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂、より具体的には、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このようなイオン伝導性高分子電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。イオン伝導性高分子電解質含有溶液中に含まれるイオン伝導性高分子電解質の濃度は、通常5〜60重量%程度、好ましくは20〜40重量%程度である。
第1触媒層12の厚みは限定的でないが、凸凹やクラックの発生を抑制できる程度の厚みとすることが好ましく、例えば0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm程度とすることができる。
本発明において、第1基材付第1触媒層1においては、第1触媒層12の上に、別途少なくとも一層の触媒層13を有していてもよい。このように、第1触媒層12の上に、別途触媒層13を有していることにより、凸凹やクラックの発生を抑制しつつ、第1基材付第1触媒層1が有する触媒層の厚みをより厚くすることができる。つまり、本発明の製造方法によれば所望の厚さの燃料電池用触媒層を得ることができ、燃料電池の発電性能をより向上させることができる。
第1基材付第1触媒層1中の第1触媒層12の上に形成する触媒層13としては、特に制限は無く、上記した第1触媒層12と同様のものを採用することができる。好ましい具体例も同様であり、第1触媒層12と同じものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。
また、本発明においては、第1基材付第1触媒層1と第2基材付第2触媒層2とを接合させる際には、第1触媒層12と第2触媒層22との密着性を向上させるため、第1触媒層12の上に、接着層14を有していてもよい。
この接着層14は、特に制限はなく、従来公知の粘着剤や、感熱接着剤等をいずれも使用できるが、熱可塑性樹脂から形成することが好ましい。使用できる熱可塑性樹脂としては、例えば、紫外線吸収性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等のような熱時接着性の良好な樹脂から選択することが好ましい。
また、イオン電導性を損ねない観点から、イオン電導性高分子電解質を用いることが好ましい。イオン伝導性高分子電解質としては、例えば、上述した材料等が使用できる。また、接着性の観点から第1触媒層12中の樹脂と同じ組成の樹脂(イオン伝導性高分子電解質等)を使用することが更に好ましい。
これらの樹脂は、1種単独で接着層14に用いてもよいし、2種以上を組合せて接着層14に用いてもよい。
接着層14の厚みは限定的でないが、接着不良をより抑制しつつ、接着層14の均一性をより維持するために、例えば0.01〜20μm程度とすることができる。
第1基材付第1触媒層1の第1触媒層12の上に接着層14を形成する方法としては、特に制限されず、塗布法、スプレー法等のいずれも採用でき、特に塗布法が好ましく、具体的には、第1基材付第1触媒層1の第1触媒層12上に、上述の樹脂を含む接着層形成用ペースト組成物を塗布及び乾燥させる方法で形成することができる。
接着層形成用ペースト組成物は、上記接着層14を形成するためのペースト組成物であって、上記の樹脂に加え、溶媒を含有する。溶媒としては、第1触媒層形成用ペースト組成物に使用できる溶媒と同様のものを使用することができる。
接着層形成用ペースト組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を採用できる。
接着層形成用ペースト組成物を塗布した後、乾燥することにより接着層14が形成される。乾燥温度は、例えば、大気雰囲気中、通常80〜150℃程度が好ましく、100〜130℃程度がより好ましい。乾燥時間は乾燥温度にもよるが、通常0.5〜30分程度が好ましく、1〜15分程度がより好ましい。
本発明においては、第1基材11又は第2基材21を剥離しやすくするため、第1触媒層12と第2触媒層22とが異なることが好ましい。
第1触媒層12と第2触媒層22とが異なるとは、第1触媒層12と第2触媒層22を構成する材料自体が異なる場合や、第1触媒層12と第2触媒層22とを構成する材料の配合割合が異なる場合の他、第1触媒層12及び第2触媒層22の片方又は双方において他層を形成した場合や、第1触媒層12と第2触媒層22との構造が異なる場合も包含される。なお、第1触媒層12と第2触媒層22との構造が異なるとは、具体的には、第1触媒層12及び第2触媒層22の細孔分布や、第1触媒層12及び第2触媒層22を構成する材料の偏析具合等が異なることを言い、第1触媒層12と第2触媒層22とを構成する材料の配合が同じであったとしても、製造条件が異なること等により、構造が異なることがあり得る。
上記の通り、本発明においては、第1基材11と第2基材21とを異なるものとしたり、第1触媒層12と第2触媒層22とを異なるものにしたり、またはその双方を採用することにより、第1基材11と第1触媒層12との間の剥離強度と、第2基材21と第2触媒層22との間の剥離強度とを、異ならせることが可能である。これにより、第1基材11及び第2基材21のうち、所望の基材を、より容易に剥離させることができる。
第1基材11上に第1触媒層12を形成して第1基材付第1触媒層1を作製する際には、その方法は特に制限はなく、塗付法、スプレー法等のいずれも採用できる。特に塗付法を採用することが好ましく、具体的には、第1基材11上(第1基材11の表面に離型層を形成する場合は離型層の上)に、第1触媒層形成用ペースト組成物を塗布及び乾燥させることが好ましい。
第1触媒層形成用ペースト組成物は、上記第1触媒層12を形成するためのペースト組成物であって、上記触媒材料及び樹脂に加え、溶媒を含有する。
溶媒は、公知又は市販のものを使用することができ、例えば、各種アルコール、各種エーテル、各種ジアルキルスルホキシド、水又はこれらの混合物等が挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4の一価アルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。エーテルとしては、例えば、含フッ素エーテル化合物であるハイドロフルオロエーテルや、n−プロピルエーテル等が挙げられる。ジアルキルスルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
第1触媒層形成用ペースト組成物には、触媒材料及び樹脂が所定の割合となるように配合することが好ましい。例えば、触媒材料1重量部に対して、樹脂(固形分)が0.1〜5重量部(特に0.2〜4重量部)、溶媒が3〜50重量部(特に10〜30重量部)含まれているのがよく、残りが水である。水の割合は、通常、触媒担持炭素粒子に対して、等重量〜30倍重量である。
第1触媒層形成用ペースト組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を採用できる。
第1触媒層形成用ペースト組成物を塗布した後、乾燥することにより第1触媒層12が形成される。乾燥温度は、例えば、大気雰囲気中、通常80〜150℃程度が好ましく、100〜130℃程度がより好ましい。乾燥時間は乾燥温度にもよるが、通常0.5〜30分程度が好ましく、1〜15分程度がより好ましい。
なお、第1基材付第1触媒層1の第1触媒層12の上に触媒層13を形成する方法としては、特に制限されず、塗布法、スプレー法、転写法等のいずれも採用でき、特に転写法が好ましい。転写法で形成する場合には、特に限定しないが、後述するように、上記の第1基材付第1触媒層1の第1触媒層12上に、後述する第2基材付触媒層2を熱プレスによって接合した後、第2基材21を剥離したものの、第2触媒層を触媒層13とし、触媒層13を有している第1基材付第1触媒層12とすることもできる。この場合、第1触媒層12、触媒層13を精度良く接合することができる。必要に応じて、触媒層13を複数層設けることができる。
<第2基材付第2触媒層2>
第2基材21
第2基材21としては、上記した第1基材11と同様のものを用いることができる。好ましい具体例も同様であり、表面処理を施す場合や他層を形成する場合の具体例も同様である。
なお、第2基材21としては、特に制限されないが、表面が平滑な基材を用いることが好ましい。第2基材21の表面を平滑とした場合には、本発明の触媒層の表面を平滑にすることができるため、隣り合う部材との密着性をより良好にすることができる。特に、第1基材11及び第2基材21の双方を平滑とした場合には、より密着性を向上させることができる。
なお、第1基材11ではなく第2基材21を剥離する場合、第2基材21の水に対する接触角を大きくすることが好ましい。
第2触媒層22
第2触媒層22としては、上記した第1触媒層12と同様のものを用いることができる。また、第1触媒層12と同様に、第2触媒層22上に別途触媒層を有していてもよい。また、第1触媒層12と同様に、第2触媒層22上に接着層を有していてもよい。好ましい例や具体例も第1触媒層12と同様である。
なお、第1触媒層12と第2触媒層22とが異なってもよい。第1触媒層12と第2触媒層22とが異なるとは、上述した通りである。
<燃料電池用触媒層>
本発明では、第1基材付第1触媒層1と、第2基材付第2触媒層2とを、第1触媒層12と第2触媒層22とが対向するように配置し、接合する。これにより、本発明の燃料電池用触媒層が得られる。
第1基材付第1触媒層1と第2基材付第2触媒層2とを接合させる方法としては、特に制限はなく、どのような方法で接合させてもよいが、第1基材付第1触媒層1と第2基材付第2触媒層2とを熱プレスすることが好ましい。
熱プレスする際の加圧レベルは、第1基材付第1触媒層1と第2基材付第2触媒層2とが接合できる限り特に制限されないが、通常0.1〜20MPa程度、好ましくは1.5〜15MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常100〜200℃程度、好ましくは120〜170℃程度がよい。
なお、第1基材付触媒層1と第2基材付触媒層2とを熱プレスによって接合した場合、第1基材付触媒層1と第2基材付触媒層2とが重なり合った部分に強く圧力がかかるため、当該重なり合った部分において、第1基材付触媒層1と第2基材付触媒層2とを接合することができる。そのため、容易に触媒層を所望の大きさ・形状とすることができる。例えば、第2基材付触媒層2を予め所望の大きさ・形状に形成し、第1基材付触媒層1を第2基材付触媒層2よりも大きく形成し、第2基材付触媒層2の全面が第1基材付触媒層1と重なり合うように積層した場合は、第1基材付触媒層の一部と第2基材付触媒層の全面とが接合される。そのため、第1基材11を剥離する際に、第1基材付触媒層1の第2基材付触媒層2と接合していない部分が、第1基材11とともに触媒層から分離される。これにより、触媒層を所望の大きさ・形状とすることができるので、積層した各触媒層のずれた部分が残らず、精度良く接合できる。なお、第1基材付触媒層1の第2基材付触媒層2と接合していない部分が第1基材11とともに触媒層から分離されなかった場合であっても、所望の大きさ・形状にカットすることにより、第1触媒層12と第2触媒層22とが精度よく接合した触媒層を得ることができる。
(2)燃料電池用触媒層−電解質膜積層体
本発明の燃料電池用触媒層−電解質膜積層体を製造する際には、図1にも示されるように、まず、上記第1の態様の(1)にて得られた本発明の燃料電池用触媒層から、第1基材11又は第2基材21を剥離する。なお、図1には、第1基材11を剥離する態様を示す。このように、最初に第1基材11及び第2基材21のうち、両方ではなく片方のみを剥離することにより、通常は自立性がない触媒層が基材上に積層されている態様とすることができ、取扱いがしやすい。また、自立性がある触媒層の場合でも、基材上に積層されている態様とすることで、取扱いがしやすいため好ましい。
上記第1の態様の(1)にて得られた本発明の燃料電池用触媒層から第1基材11又は第2基材21を剥離する方法としては、特に制限されず、常法にて用いられる方法を採用すればよい。
なお、本発明においては、第1基材11と第2基材21との水に対する接触角が異なる場合、接触角が大きいほうの基材を剥離させやすい傾向がある。また、第1触媒層12と第2触媒層22との水に対する接触角が異なる場合、接触角が大きい方の基材と触媒層の界面の方が、接触角が小さい方の基材と触媒層の界面と比較して接着強度が低い傾向があるため、接触角が大きい方の基材を剥離させやすい傾向がある。このような観点から総合的に考慮し、第1基材11及び第2基材21のうち、剥離させやすいほうの基材を剥離させることが好ましい。
本発明の燃料電池用触媒層−電解質膜積層体は、上記のように第1基材11又は第2基材21を剥離した後、電解質膜5の片面又は両面に、上記第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層を、第1触媒層12又は第2触媒層22(最表面に存在する層)と電解質膜5とが対向するように配置し、接合することにより得られる。
<電解質膜5>
電解質膜5は、固体高分子形燃料電池用として使用されているものを使用すればよく、特に制限されず、公知又は市販のものを使用できる。具体的には、デュポン社製の「Nafion」膜、旭硝子(株)製の「Flemion」膜、旭化成(株)製の「Aciplex」膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」膜等が挙げられる。
電解質膜5と上記第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層とを接合させる方法としては、特に制限はなく、どのような方法で接合させてもよいが、電解質膜5と上記第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層とを熱プレスすることが好ましい。なお、図1では、便宜上、電解質膜5の片面に、上記第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層を熱プレスする場合を示す。
熱プレスする際の加圧レベルは、電解質膜5と第1触媒層12又は第2触媒層22(最表面に存在する層)とが接合できる限り特に制限されないが、通常0.1〜10MPa程度、好ましくは0.5〜7MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常100〜200℃程度、好ましくは120〜170℃程度がよい。
(3)燃料電池用膜−電極接合体
本発明の燃料電池用膜−電極接合体を製造する際には、図1にも示されるように、上記第1の態様の(2)にて得られた燃料電池用触媒層−電解質膜積層体から、第1基材11又は第2基材21(燃料電池用触媒層−電解質膜積層体に存在する方の基材)を剥離した後に、第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の第1触媒層12又は第2触媒層22(最表面に存在する層)の上に、MPL及び/又はGDL6を形成することにより得られる。なお、図1に示された態様では、剥離する基材は第2基材21である。また、図1では、便宜上、MPLを形成しない場合(GDL6を形成する場合)を示す。
第1基材11又は第2基材21を剥離する方法としては、特に制限されず、常法にて用いられる方法を採用すればよい。
<MPL>
MPLとしては、下記で説明するMPL42と同様のものを用いることができる。好ましいものも同様であり、形成方法も第1触媒層12又は第2触媒層22(最表面に存在する層)の上に形成すること以外は同様である。
<GDL6>
GDL6としては、固体高分子形燃料電池において一般的に使用されているものを用いればよく、公知又は市販のものを用いることができる。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボン不織布(カーボンフェルト)等が挙げられる。
またカーボンペーパーの特性について、東レ(株)製のTGP−H−060を例にとり言及すると、厚み:190μm、電気抵抗:厚み方向80mΩ・cm、面方向5.8mΩ・cm、気孔率:78%、嵩密度:0.44g/cm、表面粗さ:8μm等である。
GDL6の厚みは限定的ではないが、通常30〜1000μm程度が好ましく、50〜400μm程度がより好ましい。
GDL6には、表面処理が施されていてもよい。表面処理を施す場合は、例えば、金属ブラシ、サンドブラスト等で物理的に表面凹凸をつける機械的処理、マット処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線処理、電子線照射処理、撥水処理等を採用することができる。なお、撥水処理を施す場合は、GDLをフッ素樹脂が分散した水分散体中に浸漬する方法等を採用できる。
なお、GDL6は、MPLを形成しない場合は第1触媒層12又は第2触媒層22(最表面に存在する層)上、MPLを形成する場合はMPL上に形成する。
GDL6を形成する場合、上記第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の上、又はMPLが形成された上記第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層−電解質膜積層体のMPLの上に、GDL6を、第1触媒層12、第2触媒層22又はMPL(最表面に存在する層)とGDL6とが対向するように配置し、接合することにより形成することが好ましい。
GDL6と第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層−電解質膜積層体とを接合させる方法としては、特に制限はなく、どのような方法で接合させてもよいが、GDL6と燃料電池用触媒層−電解質膜積層体とを熱プレスすることが好ましい。
熱プレスする際の加圧レベルは、GDL6と第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層−電解質膜積層体とが接合できる限り特に制限されないが、通常0.1〜10MPa程度、好ましくは0.5〜7MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常100〜200℃程度、好ましくは120〜170℃程度がよい。
2.第1の態様変形例
本発明の第1の態様では、変形例として、例えば、図2に示される工程により、燃料電池用触媒層、燃料電池用電極、及び燃料電池用膜−電極接合体が得られる。
(1)燃料電池用触媒層
第1の態様の(1)と同様に形成することができる。好ましい具体例も同様である。
(2)燃料電池用電極
本発明の燃料電池用電極を製造する際には、図2にも示されるように、まず、上記第1の態様変形例の(1)で得られた燃料電池用触媒層から、第1基材11又は第2基材21を剥離する。その方法は、上記第1の態様の(2)で記載したのと同様の方法で行うことができる。なお、図2には、第1基材11を剥離する態様を示す。
本発明の燃料電池用電極は、上記のように第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層の上に、MPL及び/又はGDL6を、第1触媒層12又は第2触媒層22(最表面に存在する層)と、MPL又はGDL6(MPLを形成する場合はMPL、形成しない場合はGDL6)とが対向するように配置し、接合することにより得られる。これにより、燃料電池用触媒層と、MPL又はGDL6とを接合させ、本発明の燃料電池用電極が得られる。なお、図2では、便宜上、MPLを形成しない場合(GDL6を形成する場合)を示す。
MPLは、下記で説明するMPLと同様のものを用いることができる。好ましいものも同様であり、形成方法も第1触媒層12又は第2触媒層22(最表面に存在する層)の上に形成すること以外は同様である。また、GDL6は、上記第1の態様の(3)にて説明したものと同様のものを用いることができる。好ましい具体例も同様であり、GDL6の形成方法も同様の方法を採用することができる。
第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層とMPL及び/又はGDL6とを接合させる方法としては、特に制限はなく、どのような方法で接合させてもよいが、第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層とMPL及び/又はGDL6とを熱プレスすることが好ましい。
なお、接合方法として熱プレスを採用する際の加圧レベルは、第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用触媒層とMPL又はGDL6とが接合できる限り特に制限されないが、通常0.1〜100MPa程度、好ましくは0.5〜10MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常100〜200℃程度、好ましくは120〜170℃程度がよい。
(3)燃料電池用膜−電極接合体
本発明の燃料電池用膜−電極接合体を製造する際には、図2にも示されるように、上記第1の態様変形例の(2)にて得られた燃料電池用電極から、第1基材11又は第2基材21(第1の態様変形例の(2)で得られた燃料電池用電極に存在する方の基材)を剥離した後に、電解質膜5の片面又は両面に、上記第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用電極を、第1触媒層12又は第2触媒層22(最表面に存在する層)と電解質膜5とが対向するように、積層することにより得られる。なお、図2に示された態様では、剥離する基材は第2基材21である。また、図2では、便宜上、電解質膜5の片面に、燃料電池用電極を積層する場合を示す。
第1基材11又は第2基材21を剥離する方法としては、特に制限されず、常法にて用いられる方法を採用すればよい。
電解質膜5は、上記第1の態様の(2)で説明したものと同様のものを用いることができる。好ましい具体例も同様である。
積層する場合、電解質膜5の片面又は両面に、上記第1基材11又は第2基材21を剥離した燃料電池用電極を、電解質膜5と、第1触媒層12又は第2触媒層22(最表面に存在する層)とが対向するように配置し、接合することにより形成することが好ましい。これにより、本発明の燃料電池用膜−電極接合体が得られる。
なお、接合方法として熱プレスを採用する際の加圧レベルは、電解質膜5と第1触媒層12又は第2触媒層22とが接合できる限り特に制限されないが、通常0.1〜10MPa程度、好ましくは0.5〜7MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常100〜200℃程度、好ましくは120〜170℃程度がよい。
3.第2の態様
本発明の第2の態様では、例えば、図3に示される工程により、燃料電池用電極、及び燃料電池用膜−電極接合体が得られる。
(1)燃料電池用電極
本発明の第2の態様における燃料電池用電極は、少なくとも、第1基材、触媒層、MPL、及び第2基材がこの順に形成された燃料電池用電極である。この構成においては、第1基材及び第2基材が、触媒層及びMPLの保護フィルムとなることから、運搬等した場合に触媒層及びMPLが保護され、傷や汚れ等がつきにくい。また、ロールで保管した場合には、隣接する触媒層及びMPLが傷つきにくい。
このような燃料電池用電極は、図3にも示されるように、
第1基材31上に触媒層32を有する第1基材付触媒層3と、第2基材41上にマイクロポーラスレイヤー42を有する第2基材付マイクロポーラスレイヤー4とを、触媒層32とマイクロポーラスレイヤー42とが対向するように配置し、接合する工程
を備える製造方法により得られる。
従来は電解質膜に触媒層及びMPLを転写法や塗布法により形成した場合には、触媒層とMPLとの位置ずれが見られ、また、電解質膜の膜やせが避けられないのに対し、このような方法を採用することにより、電極や、膜−電極接合体を製造した際に、触媒層32とMPL42との位置ずれ及び電解質膜の膜やせを著しく抑制することができる。
第2の態様における本発明においては、触媒層32とMPL42とが有する材料、配合割合、構造等が異なるため、第1基材31と触媒層32との間の剥離強度と、第2基材41とMPL42との間の剥離強度とが異なる。このため、仮に第1基材31と第2基材41とに同じ材料を用いたとしても、剥離強度が小さいほうに接している基材を、後の工程で容易に剥離させることができる。
<第1基材付触媒層3>
第1基材31
第1基材31としては、上記第1の態様の(1)にて説明した第1基材11と同様のものを用いることができる。好ましい具体例も同様である。
本発明においては、上記のとおり、第1基材31と触媒層32との間の剥離強度と、第2基材41とMPL42との間の剥離強度が異なるため、第1基材31と第2基材41とに同じ材料を用いたとしても、第1基材31又は第2基材41を容易に剥離することができるが、より剥離しやすくするため、第1基材31と第2基材41とが異なることが好ましい。より好ましくは、第1基材31と第2基材41の水に対する接触角が異なることが好ましい。より具体的には、第1基材31と第2基材41の水に対する接触角の差は2°以上とすることが好ましい。なお、剥離したい側の基材を、水に対する接触角を大きくすることが好ましい。これにより、結果的に、第1基材31と触媒層32との間の剥離強度と、第2基材41とMPL42との間の剥離強度とを異ならせることができるためである。第1基材31と第2基材41の片方をより剥離しやすくすることができる。また、水との接触角は、自動接触角測定器(FACE接触角計、CA−X型、協和界面化学(株)製)を用い、1μl程度の水滴を基材表面に滴下し、接触角を観測することにより測定するものとする。
第1基材31と第2基材41とが異なるとは、上記したとおり、第1基材31と第2基材41を構成する材料自体が異なる場合の他、第1基材31及び第2基材41の片方又は双方において、触媒層32又はMPL42と接する表面に表面処理を施した場合や、他層を形成した場合も包含される。その具体例も、上記したとおりであり、第1基材31と第2基材41とを異ならせるための方法も同様である。
触媒層32
触媒層32としては、上記第1の態様の(1)にて説明した第1触媒層12と同様のものを用いることができる。好ましい具体例も同様である。
本発明において、第1基材付触媒層3においては、触媒層32の上に、別途少なくとも一層の触媒層を有していてもよい。このように、触媒層32の上に、別途触媒層を有していることにより、凸凹やクラックの発生を抑制しつつ、第1基材付触媒層3が有する触媒層の厚みをより厚くすることができる。つまり、本発明の製造方法により製造される燃料電池用触媒層を所望の厚みとすることができ、燃料電池の発電性能をより向上させることができる。一例として、触媒層32の上に、別途一層の触媒層を形成する場合の本発明の製造方法について、図4に示す。
また、本発明においては、第1基材付触媒層3と第2基材付MPL4とを接合させる際には、触媒層32とMPL42との密着性を向上させるため、触媒層32の上に、接着層34を有していてもよい。一例として、触媒層32の上に、接着層34を形成する場合の本発明の製造方法について、図5に示す。
第1基材付触媒層3中の触媒層32の上に形成する接着層34としては、特に制限は無く、上記した第1触媒層12の上に形成する接着層14と同様のものを採用することができる。好ましい具体例も同様であり、上記した第1触媒層12の上に形成する接着層14と同じものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。
第1基材31上に触媒層32を形成して第1基材付触媒層3を作製する方法は、上記第1の態様の(1)にて説明した第1基材付第1触媒層1を作製する方法と同様の方法を採用することができ、使用する触媒層形成用ペースト組成物は、第1触媒層形成用ペースト組成物と同様のものを使用することができる。好ましい条件等も同様である。
<第2基材付MPL4>
第2基材41
第2基材41としては、上記第1の態様の(1)にて説明した第1基材11と同様のものを用いることができる。好ましい具体例も同様である。
MPL42
MPL42としては、公知の構成とすればよく、例えば、導電性炭素材料を含有する。導電性炭素材料としては、特に限定しないが、導電性炭素粒子、導電性炭素繊維等が挙げられる。また、MPL42を形成する方法は、特に限定しないが、例えば、導電性炭素材料、高分子重合体等からなるペースト組成物を基材上に塗布及び乾燥することにより形成できる。高分子重合体としては、上述したような材料や、後述するフッ素樹脂や非ポリマー系のフッ素材料を用いてもよい。
導電性炭素粒子
導電性炭素粒子は、導電性を有しているものであれば限定的ではなく、公知又は市販のものを広く使用できる。例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;黒鉛;活性炭等を1種又は2種以上で用いることができる。
導電性炭素粒子の算術平均粒子径は通常5〜200nm程度が好ましく、20〜80nm程度がより好ましい。この導電性炭素粒子の平均粒子径は、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製等により測定するものとする。
導電性炭素繊維
導電性炭素繊維としては、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、ワイヤーカップ、ワイヤーウォール等が挙げられる。これらの導電性炭素繊維は、1種又は2種以上を使用することができる。平均繊維径は限定的でなく、50〜400nmが好ましく、100〜250nm程度がより好ましい。平均繊維長も限定的でなく、5〜50μm程度が好ましく、10〜20μm程度がより好ましい。平均アスペクト比は、およそ10〜500程度が好ましい。なお、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定した画像等により測定するものとする。
フッ素樹脂
フッ素樹脂は、フッ素を含有し、重量平均分子量が10万〜1000万程度のポリマーであれば特に限定されない。フッ素樹脂としては、公知又は市販のものを使用できる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。これらのフッ素樹脂は、1種又は2種以上を使用することができる。
非ポリマーのフッ素材料
本発明において、マイクロポーラス層を形成するためのペースト組成物は、さらに、非ポリマーのフッ素材料を含んでいてもよい。
非ポリマーのフッ素材料は、公知又は市販のものを使用することができ、フッ素を含有し、且つ重量平均分子量が1000〜5000程度のものであれば特に限定されない。なお、この非ポリマーのフッ素材料は、上記のフッ素樹脂とは異なる材料である。また、非ポリマーのフッ素材料の重量平均分子量は、GPC測定装置CC−10A:(株)島津製作所製等により測定するものとする。本発明では特に導電性のものが好ましく、例えば、フッ化ピッチ、フッ化黒鉛等が挙げられ、フッ化ピッチが好ましい。これらの材料は、1種又は2種以上で用いることができる。
非ポリマーのフッ素材料としてフッ化ピッチを使用する場合、フッ化ピッチのF/C原子は限定的でないが、通常1〜2程度が好ましく、1.1〜1.6程度がより好ましい。平均粒子径は、0.5〜50μm程度が好ましく、1〜30μm程度がより好ましい。なお、フッ化ピッチのF/C原子は、IPC発光分析装置ICPE−9000:(株)島津製作所製等により、平均粒子径は、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製等により測定するものとする。
分散剤
本発明において、MPL42を形成するためのペースト組成物は、さらに、分散剤を含んでいてもよい。
分散剤としては、例えば、水系分散剤等が好ましい。水系分散剤は、フッ素樹脂及び水とともに使用されるものであり、フッ素樹脂を水中で分散させることができるものである限り限定されず、公知又は市販のものが使用できる。例えば、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、酸性基含有構造変性ポリアクリレート等が挙げられる。
MPL形成用ペースト組成物
MPL形成用ペースト組成物の配合割合は上記成分を含有する限り限定的ではないが、例えば、導電性炭素粒子100重量部に対して、フッ素樹脂5〜1000重量部(好ましくは50〜500重量部)程度、非ポリマーのフッ素材料0〜1000重量部(好ましくは50〜500重量部)程度、導電性炭素繊維0〜1000重量部(好ましくは20〜500重量部)程度とすればよい。なお、分散剤を使用する場合には、その配合量は、導電性炭素粒子100重量部に対して5〜300重量部(好ましくは7〜200重量部)程度とすればよい。
厚み
MPL42の厚みは限定的ではないが、通常1〜100μm程度、好ましくは10〜50μm程度とすればよい。
MPL42を第2基材41の上に形成する際には、その方法は特に制限はなく、塗付法、スプレー法、転写法等のいずれも採用できる。特に塗付法を採用することが好ましく、具体的には、上記したMPL形成用のペースト組成物を、第2基材41表面に塗工し、次いで乾燥及び焼成を行うことが好ましい。
MPL42を第2基材41上に形成させる際の塗工工程は、特に限定されるものではなく、例えばナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
MPL42を第2基材上に形成させる際の塗工量は、特に制限されないが、固形分換算で、通常5〜100g/m程度が好ましく、10〜50g/m程度がより好ましい。
MPL42を第2基材41上に形成させる際の乾燥温度は、特に限定的ではなく、例えば、大気中にて、50〜150℃程度が好ましく、90〜130℃程度がより好ましい。
MPL42を第2基材41上に形成させる際の乾燥時間は、乾燥温度等に応じて適宜決定されるが、通常10〜30分程度とすればよい。
MPL42を第2基材41上に形成させる際の焼成温度も、特に限定的ではなく、例えば、大気中にて、200〜400℃程度が好ましく、260〜350℃程度がより好ましい。
MPL42を第2基材41上に形成させる際の焼成時間は、焼成温度に応じて適宜決定されるが、通常10〜150分程度、好ましくは30〜120分程度とすればよい。
<燃料電池用電極>
本発明では、第1基材付触媒層3と、第2基材付MPL4とを、触媒層32とMPL42とが対向するように配置し、接合する。これにより、第1基材付触媒層3の触媒層32と、第2基材付MPL4のMPL42とを接合させ、本発明の燃料電池用電極が得られる。
第1基材付触媒層3と第2基材付MPL4とを接合させる方法としては、特に制限はなく、どのような方法で接合させてもよいが、第1基材付触媒層3と第2基材付MPL4とを熱プレスすることが好ましい。
熱プレスする際の加圧レベルは、触媒層32とMPL42とが接合できる限り特に制限されないが、通常0.1〜20MPa程度、好ましくは1〜15MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常100〜200℃程度、好ましくは120〜170℃程度がよい。
(2)燃料電池用膜−電極接合体
本発明の燃料電池用膜−電極接合体を製造する際には、図3にも示されるように、上記第2の態様の(1)にて得られた本発明の燃料電池用電極から、第1基材31を剥離した後に、電解質膜5の片面又は両面に、上記第1の基材31を剥離した燃料電池用電極を、触媒層32と電解質膜5とが対向するように配置し、接合することにより得られる。このため、第1基材31の水に対する接触角は第2基材41の水に対する接触角よりも大きく、第1基材31と触媒層32との間の剥離強度は第2基材41とMPL42との間の剥離強度より小さくなるように調整することが好ましい。なお、図3では、便宜上、電解質膜5の片面に、燃料電池用電極を熱プレスする場合を示す。
本発明の燃料電池用電極から第1基材31を剥離する方法としては、特に制限されず、常法にて用いられる方法を採用すればよい。
電解質膜5は、上記第1の態様の(2)で説明したものと同様のものを用いることができる。好ましい具体例も同様である。
電解質膜5と燃料電池用電極とを接合させる方法としては、特に制限はなく、どのような方法で接合させてもよいが、電解質膜5と燃料電池用電極とを熱プレスすることが好ましい。
熱プレスする際の加圧レベルは、電解質膜5と触媒層32とが接合できる限り特に制限されないが、通常0.1〜10MPa程度、好ましくは0.5〜7MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常100〜200℃程度、好ましくは120〜170℃程度がよい。
(3)燃料電池用膜−電極接合体
本発明の燃料電池用膜−電極接合体を製造する際には、図3にも示されるように、まず、上記第2の態様の(2)にて得られた燃料電池用膜−電極接合体から、第2基材41を剥離する。
第2基材41を剥離する方法としては、特に制限されず、常法にて採用される方法を採用すればよい。
本発明の燃料電池用膜−電極接合体は、上記のように第2基材41を剥離した燃料電池用膜−電極接合体の上に、GDL6を、MPL42とGDL6とが対向するように配置し、積層することにより得られる。具体的には、熱プレスすることが好ましい。これにより、MPL42とGDL6とを接合させ、本発明の燃料電池用膜−電極接合体が得られる。
GDL6は、上記第1の態様の(3)にて説明したものと同様のものを用いることができる。好ましい具体例も同様である。
熱プレスする際の加圧レベルは、燃料電池用膜−電極接合体とGDL6とが接合できる限り特に制限されないが、通常0.1〜10MPa程度、好ましくは0.5〜7MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常100〜200℃程度、好ましくは120〜170℃程度がよい。
4.第2の態様変形例
本発明の第2の態様では、変形例として、例えば、図6に示される工程により、燃料電池用電極、及び燃料電池用膜−電極接合体が得られる。
(1)燃料電池用電極
第2の態様の(1)と同様に形成することができる。好ましい具体例も同様である。
(2)燃料電池用電極
本発明の燃料電池用電極を製造する際には、図6にも示されるように、上記第2の態様変形例の(1)にて得られた本発明の燃料電池用電極から、第2基材41を剥離した後に、第2基材41を剥離した燃料電池用電極の上に、GDL6を、MPL42とGDL6とが対向するように配置し、接合することにより得られる。このため、第1基材31の水に対する接触角は第2基材41の水に対する接触角よりも小さく、第1基材31と触媒層32との間の剥離強度は第2基材41とMPL42との間の剥離強度より大きくなるように調整することが好ましい。
本発明の燃料電池用電極から第2基材41を剥離する方法としては、特に制限されず、常法にて用いられる方法を採用すればよい。
GDL6は、上記第1の態様の(3)にて説明したものと同様のものを用いることができる。好ましい具体例も同様である。
燃料電池用電極とGDL6とを接合させる方法としては、特に制限はなく、どのような方法で接合させてもよいが、燃料電池用電極とGDL6とを熱プレスすることが好ましい。
熱プレスする際の加圧レベルは、上記第2基材41を剥離した燃料電池用電極とGDL6とが接合できる限り特に制限されないが、通常0.1〜20MPa程度、好ましくは1.5〜15MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常100〜200℃程度、好ましくは120〜170℃程度がよい。
(3)燃料電池用膜−電極接合体
本発明の燃料電池用膜−電極接合体を製造する際には、図6にも示されるように、まず、上記第2の態様変形例の(2)にて得られた燃料電池用電極から、第1基材31を剥離する。
第1基材31を剥離する方法としては、特に制限されず、常法にて採用される方法を採用すればよい。
本発明の燃料電池用膜−電極接合体は、上記のように第1基材31を剥離した後、電解質膜5の片面又は両面に、上記第1基材31を剥離した燃料電池用電極を、触媒層32と電解質膜5とが対向するように配置し、積層することにより得られる。具体的には、熱プレスすることが好ましい。これにより、電解質膜5と、燃料電池用電極の触媒層32とを接合させ、本発明の燃料電池用膜−電極接合体が得られる。なお、図6では、便宜上、電解質膜5の片面に、燃料電池用電極を熱プレスする場合を示す。
電解質膜5は、上記第1の態様の(2)で説明したものと同様のものを用いることができる。好ましい具体例も同様である。
熱プレスする際の加圧レベルは、電解質膜5と触媒層32とが接合できる限り特に制限されないが、通常0.1から10MPa程度、好ましくは0.5〜7MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常100〜200℃程度、好ましくは120〜170℃程度がよい。
5.燃料電池
上記いずれかの方法により、膜−電極接合体を製造した後、公知又は市販のセパレータ、ガスケット等を設けることにより、本発明の固体高分子形燃料電池を得ることができる。
本発明の製造方法によれば、凸凹やクラック等を減らし、且つ、電解質の膜やせを抑制することができる。また、本発明の製造方法によれば、凸凹やクラック等を減らすために多層からなる触媒層を形成した場合にも、電解質膜の膜やせを抑制しつつ、多層の触媒層同士をうまく接合させることが可能である。
本発明の第1の態様における燃料電池用膜−電極接合体の製造方法の一例を説明する図面である。 本発明の第1の態様変形例における燃料電池用膜−電極接合体の製造方法の一例を説明する図面である。 本発明の第2の態様における燃料電池用膜−電極接合体の製造方法の一例を説明する図面である。 触媒層が2層からなる場合の本発明の第2の態様における燃料電池用膜−電極接合体の製造方法の一例を説明する図面である。 触媒層の上に接着層を形成する場合の本発明の第2の態様における燃料電池用膜−電極接合体の製造方法の一例を説明する図面である。 本発明の第2の態様変形例における燃料電池用膜−電極接合体の製造方法の一例を説明する図面である。 実施例1−1及び比較例1で得られた触媒層−電解質膜積層体の触媒層端部における断面SEM像である。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、以下の材料を使用した。
<基材>
PET:ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製のルミラーS10(登録商標);水との接触角 54.5°)
シリカPET:(大日本印刷(株)製のシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート;水との接触角70.9°)
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(ニチアス(株)製のナフロンPTFEシート;水との接触角 116.0°)
ETFE:エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(旭硝子(株)製のfluon(登録商標);水との接触角 72.5°)。
製造例1:触媒層形成用ペースト組成物
白金担持炭素粒子(商品名:TEC10E50E、製造会社:田中貴金属工業(株))1g、水3g、イソプロパノール(IPA)7g、及びイオン伝導性高分子電解質(商品名:ナフィオン(登録商標)DE520、製造会社:デュポン社)3.5gを遊星ボールミルにて2時間攪拌し、触媒層形成用ペースト組成物を得た。
製造例2:MPL形成用ペースト組成物
導電性炭素粒子(商品名:CGB−35、製造会社:日本黒鉛(株))1g、導電性炭素繊維(VGCF−R、製造会社:昭和電工(株))7.5g、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;商品名:AD911、製造会社:旭硝子(株))0.5g、イオン電導性高分子電解質(商品名:ナフィオンDE520、製造会社:デュポン社)12g、分散剤(商品名:エマルゲンA60、製造会社:花王(株))0.25g、及び水0.3gを遊星ボールミルにて2時間攪拌し、MPL形成用ペースト組成物を得た。
実施例1−1:第1の態様
<第1基材付第1触媒層>
上記触媒層形成用ペースト組成物を、ETFEにアプリケーターにより、得られる触媒層の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で20分間乾燥させ、得られたETFE/触媒層からなる積層体を第1基材付第1触媒層とした。
<第2基材付第2触媒層>
上記触媒層形成用ペースト組成物を、PETにアプリケーターにより、得られる触媒層の厚みが10μmとなるように塗布し、100℃で20分間乾燥させ、得られたPET/触媒層からなる積層体を第2基材付第2触媒層とした。
<触媒層−電解質膜積層体>
上記の第1基材付第1触媒層と、第2基材付第2触媒層とを、いずれも60mm×60mmにカットし、触媒層同士が対面となるように配置し、プレス温度150℃、プレス圧4MPa、プレス時間5分の条件で熱プレスをすることにより、ETFE/第1触媒層/第2触媒層/PETからなる触媒層を得た。
得られた触媒層から常法により基材を剥離させると、ETFEが剥離し、第1触媒層/第2触媒層/PETからなる触媒層を得た。
次に、100mm×100mm×50μmの水素イオン伝導性高分子電解質膜(デュポン社製、商品名「Nafion 211」)の片面に、得られた第1触媒層/第2触媒層/PETからなる触媒層を、第1触媒層と電解質膜とが対面するように、プレス温度120℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分の条件で熱プレスをすることにより、電解質膜/第1触媒層/第2触媒層/PETからなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
さらに、得られた積層体から常法によりPET基材を剥離させ、電解質膜/第1触媒層/第2触媒層からなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
実施例1−2:第1の態様
水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に、第1触媒層/第2触媒層/PETからなる触媒層を、第1触媒層と電解質膜とが対面するように、熱プレスすること以外は実施例1−1と同様に、第2触媒層/第1触媒層/電解質膜/第1触媒層/第2触媒層からなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
実施例1−3:第1の態様変形例
水素イオン伝導性高分子電解質膜の代わりに60mm×60mmの大きさに切断されたカーボンペーパー(東レ(株)製、TGP−H−090、厚さ280μm)を用い、当該カーボンペーパーの片面に、得られた第1触媒層/第2触媒層/PETからなる触媒層を、第1触媒層とカーボンペーパーとが対面するように、プレス温度120℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分の条件で熱プレスすること以外は実施例1−1と同様に、第2触媒層/第1触媒層/GDLからなる電極を得た。
実施例2−1:第2の態様
<第1基材付触媒層>
実施例1−1で得られたETFE/触媒層からなる積層体を第1基材付触媒層として用いた。
<第2基材付MPL>
上記MPL形成用ペースト組成物を、PETにアプリケーターにより、得られるMPLの厚みが50μmとなるように塗布し、100℃で20分間乾燥させ、得られたPET/MPLからなる積層体を第2基材付MPLとした。
<膜−電極接合体>
上記の第1基材付触媒層と、第2基材付MPLとを、いずれも60mm×60mmにカットし、触媒層とMPLとが対面となるように配置し、プレス温度150℃、プレス圧4MPa、プレス時間5分の条件で熱プレスをすることにより、ETFE/触媒層/MPL/PETからなる電極を得た。
得られた積層体から常法により基材を剥離させると、ETFEが剥離し、触媒層/MPL/PETからなる電極を得た。
次に、100mm×100mm×50μmの水素イオン伝導性高分子電解質膜(デュポン社製、商品名「Nafion 211」)の片面に、得られた触媒層/MPL/PETからなる電極を、触媒層と電解質膜とが対面するように、プレス温度120℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分の条件で熱プレスをすることにより、電解質膜/触媒層/MPL/PETからなる膜−電極接合体を得た。
さらに、得られた接合体から常法によりPET基材を剥離させ、電解質膜/触媒層/MPLからなる膜−電極接合体を得た。
実施例2−2:第2の態様
水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に、触媒層/MPL/PETからなる電極を、触媒層と電解質膜とが対面するように、熱プレスすること以外は実施例2−1と同様に、MPL/触媒層/電解質膜/触媒層/MPLからなる膜−電極接合体を得た。
実施例2−3:第2の態様変形例
<第1基材付触媒層>
実施例1−1で得られたPET/触媒層からなる積層体を第1基材付積層体として用いた。
<第2基材付MPL>
上記MPL形成用ペースト組成物を、ETFEにアプリケーターにより、得られるMPLの厚みが50μmとなるように塗布し、100℃で20分間乾燥させ、得られたETFE/MPLからなる積層体を第2基材付MPLとした。
<電極>
上記の第1基材付触媒層と、第2基材付MPLとを、いずれも60mm×60mmにカットし、触媒層とMPLとが対面となるように配置し、プレス温度150℃、プレス圧4MPa、プレス時間5分の条件で熱プレスをすることにより、PET/触媒層/MPL/ETFEからなる電極を得た。
得られた積層体から常法により基材を剥離させると、ETFEが剥離し、PET/触媒層/MPLからなる電極を得た。
次に、60mm×60mmの大きさに切断されたカーボンペーパー(東レ(株)製、TGP−H−090、厚さ280μm)の片面に、得られたPET/触媒層/MPLからなる電極を、MPLとカーボンペーパーとが対面するように、プレス温度120℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分の条件で熱プレスをすることにより、PET/触媒層/MPL/GDLからなる電極を得た。
さらに、得られた電極から常法によりPET基材を剥離させ、触媒層/MPL/GDLからなる電極を得た。
<膜−電極接合体>
次に、100mm×100mm×50μmの水素イオン伝導性高分子電解質膜(デュポン社製、商品名「Nafion 211」)の片面に、得られた触媒層/MPL/GDLからなる電極を、触媒層と電解質膜とが対面するように、プレス温度120℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分の条件で熱プレスをすることにより、電解質膜/触媒層/MPL/GDLからなる膜−電極接合体を得た。
実施例2−4:第2の態様変形例
水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に、触媒層/MPL/GDLからなる電極を、触媒層と電解質膜とが対面するように、熱プレスすること以外は実施例2−3と同様に、GDL/MPL/触媒層/電解質膜/触媒層/MPL/GDLからなる膜−電極接合体を得た。
実施例3−1:第1の態様(接着層有り)
<第1基材付第1触媒層>
上記触媒層形成用ペースト組成物を、シリカPETにアプリケーターにより、得られる触媒層の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で20分間乾燥させ、得られたシリカPET/第1触媒層からなる積層体を得た。
得られた第1基材付第1触媒層の第1触媒層の上に、接着剤(商品名:ナフィオン(登録商標)DE520、製造会社:デュポン社)をミヤバー(番手♯3)で直接塗工し、100℃で5分間乾燥させ、厚み1μm程度の接着層を形成し、得られたシリカPET/第1触媒層/接着層からなる積層体を第1基材付第1触媒層とした。
<第2基材付第2触媒層>
実施例1−1で得た第2基材付第2触媒層を用いた。
<触媒層−電解質膜積層体>
上記の第1基材付第1触媒層と、第2基材付第2触媒層とを、いずれも60mm×60mmにカットし、第1基材付第1触媒層の接着層と第2基材付第2触媒層の第2触媒層とが対面となるように配置し、プレス温度135℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分の条件で熱プレスをすることにより、シリカPET/第1触媒層/接着層/第2触媒層/PETからなる触媒層を得た。
得られた積層体から常法により基材を剥離させると、シリカPETが剥離し、第1触媒層/接着層/第2触媒層/PETからなる触媒層を得た。
次に、100mm×100mm×50μmの水素イオン伝導性高分子電解質膜(デュポン社製、商品名「Nafion 211」)の片面に、得られた第1触媒層/接着層/第2触媒層/PETからなる触媒層を、第1触媒層と電解質膜とが対面するように、プレス温度120℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分の条件で熱プレスをすることにより、電解質膜/第1触媒層/接着層/第2触媒層/PETからなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
さらに、得られた積層体から常法によりPET基材を剥離させ、電解質膜/第1触媒層/接着層/第2触媒層からなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
実施例3−2:第1の態様(接着層有り)
水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に、第1触媒層/接着層/第2触媒層/PETからなる触媒層を、第1触媒層と電解質膜とが対面するように、熱プレスすること以外は実施例3−1と同様に、第2触媒層/接着層/第1触媒層/電解質膜/第1触媒層/接着層/第2触媒層からなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
実施例3−3:第1の態様変形例(接着層有り)
水素イオン伝導性高分子電解質膜の代わりに60mm×60mmの大きさに切断されたカーボンペーパー(東レ(株)製、TGP−H−090、厚さ280μm)を用い、当該カーボンペーパーの片面に、得られた第1触媒層/接着層/第2触媒層/PETからなる触媒層を、第1触媒層とカーボンペーパーとが対面するように、プレス温度120℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分の条件で熱プレスすること以外は実施例3−1と同様に、第2触媒層/接着層/第1触媒層/GDLからなる電極を得た。
実施例4−1:第1の態様(第1触媒層の上に別途触媒層)
<第1基材付第1触媒層>
上記触媒層形成用ペースト組成物を、PTFEにアプリケーターにより、得られる触媒層の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で20分間乾燥させ、PTFE/第1触媒層からなる積層体を得た。
得られたPTFE/第1触媒層からなる積層体の触媒層の上に、さらに、上記触媒層形成用ペースト組成物を、アプリケーターにより、得られる2層目の触媒層の厚みが10μmとなるように塗布し、100℃で20分間乾燥させ、得られたPTFE/第1触媒層/触媒層からなる積層体を第1基材付第1触媒層とした。
<第2基材付第2触媒層>
実施例3−1で得た第1基材付第1触媒層を第2基材付第2触媒層として用いた。
<触媒層−電解質膜積層体>
上記の第1基材付第1触媒層と、第2基材付第2触媒層とを、いずれも60mm×60mmにカットし、触媒層同士が対面となるように配置し、プレス温度150℃、プレス圧4MPa、プレス時間5分の条件で熱プレスをすることにより、PTFE/第1触媒層/触媒層/第2触媒層/シリカPETからなる触媒層を得た。
得られた触媒層から常法により基材を剥離させると、PTFEが剥離し、第1触媒層/触媒層/第2触媒層/シリカPETからなる触媒層を得た。
次に、100mm×100mm×50μmの水素イオン伝導性高分子電解質膜(デュポン社製、商品名「Nafion 211」)の片面に、得られた第1触媒層/触媒層/第2触媒層/シリカPETからなる触媒層を、第1触媒層と電解質膜とが対面するように、プレス温度120℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分の条件で熱プレスをすることにより、電解質膜/第1触媒層/触媒層/第2触媒層/シリカPETからなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
さらに、得られた積層体から常法によりシリカPET基材を剥離させ、電解質膜/第1触媒層/触媒層/第2触媒層からなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
実施例4−2:第1の態様(第1触媒層の上に別途触媒層)
水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に、第1触媒層/触媒層/第2触媒層/シリカPETからなる触媒層を、第1触媒層と電解質膜とが対面するように、熱プレスすること以外は実施例4−1と同様に、第2触媒層/触媒層/第1触媒層/電解質膜/第1触媒層/触媒層/第2触媒層からなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
実施例4−3:第1の態様変形例(第1触媒層の上に別途触媒層)
水素イオン伝導性高分子電解質膜の代わりに50mm×50mmの大きさに切断されたカーボンペーパー(東レ(株)製、TGP−H−090、厚さ280μm)を用い、当該カーボンペーパーの片面に、得られた第1触媒層/触媒層/第2触媒層/シリカPETからなる触媒層を、第1触媒層とカーボンペーパーとが対面するように、プレス温度120℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分の条件で熱プレスすること以外は実施例4−1と同様に、第2触媒層/触媒層/第1触媒層/GDLからなる電極を得た。
比較例1
実施例1−1で得た第1基材−第1触媒層積層体を、触媒層形成用転写フィルムとして用いた。
触媒層形成用転写フィルムを60mm×60mmにカットし、100mm×100mm×50μmの水素イオン伝導性高分子電解質膜(デュポン社製、商品名「Nafion 211」)の片面に、触媒層と電解質膜とが対面するように、プレス温度145℃、プレス圧10MPa、プレス時間10分の条件で熱プレスをすることにより、電解質膜/触媒層/ETFEからなる触媒層−電解質膜積層体を得た。また、得られた積層体から常法によりETFE基材を剥離させ、電解質膜/触媒層からなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
さらに、触媒層形成用転写フィルムを60mm×60mmにカットし、得られた触媒層−電解質膜積層体と、触媒層同士が対面するように、プレス温度145℃、プレス圧10MPa、プレス時間10分の条件で熱プレスをすることにより、電解質膜/触媒層/触媒層/ETFEからなる触媒層−電解質膜積層体を得た。また、得られた積層体から常法によりETFE基材を剥離させ、電解質膜/触媒層/触媒層からなる触媒層−電解質膜積層体を得た。
比較例2
熱プレスの条件をプレス温度120℃、プレス圧1MPa、プレス時間2分としたこと以外は比較例1と同様に、電解質膜/触媒層/触媒層からなる触媒層−電解質膜積層体を得た。その結果、2層目の触媒層が1層目の触媒層に接着することなく、剥がれてしまった。
実験例:断面SEM観察
実施例1−1及び比較例1で得た触媒層−電解質膜積層体の触媒層端部周辺の断面を走査型電子顕微鏡観察した。結果を図7に示す。
その結果、比較例1では、2層の触媒層の位置をあわせることが困難であり、100μm程度はずれてしまった。また、電解質膜も10μm程度の膜やせが見られた。一方、実施例1−1では、2層の触媒層はほぼ同じ位置にあわせることができ、位置ずれはほとんど見られなかった。また、電解質膜の膜やせも、1μm未満程度にまで抑制することができた。
また、実施例1−1では、各触媒層は薄膜であるため、表面の凸凹やクラック等も抑制することができるとともに、各触媒層をうまく接合することができていた。
1 第1基材付第1触媒層
11 第1基材
12 第1触媒層
13 触媒層
14 接着層
2 第2基材付第2触媒層
21 第2基材
22 第2触媒層
3 第1基材付触媒層
31 第1基材
32 触媒層
33 触媒層
34 接着層
4 第2基材付マイクロポーラスレイヤー
41 第2基材
42 マイクロポーラスレイヤー(MPL)
5 電解質膜
6 導電性多孔質基材(GDL)

Claims (18)

  1. 第1基材上に第1触媒層を有する第1基材付第1触媒層と、第2基材上に第2触媒層を有する第2基材付第2触媒層とを、第1触媒層と第2触媒層とが対向するように配置し、接合する工程
    を備える、
    燃料電池用触媒層の製造方法。
  2. 前記第1基材と前記第2基材とが異なる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第1基材付第1触媒層中の第1触媒層、及び/又は前記第2基材付第2触媒層中の第2触媒層の上に接着層を有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記第1基材付第1触媒層中の第1触媒層、及び/又は前記第2基材付第2触媒層中の第2触媒層の上に少なくとも一層の触媒層を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた燃料電池用触媒層から、第1基材又は第2基材を剥離する工程、及び
    電解質膜の片面又は両面に、前記第1基材又は第2基材を剥離した燃料電池用触媒層を、第1触媒層又は第2触媒層と電解質膜とが対向するように配置し、接合する工程
    を備える、燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法により得られた燃料電池用触媒層−電解質膜積層体から第1基材又は第2基材を剥離する工程、及び
    前記第1基材又は第2基材を剥離した燃料電池用触媒層−電解質膜積層体の第1触媒層又は第2触媒層の上に、マイクロポーラスレイヤー及び/又は導電性多孔質基材を形成する工程
    を備える、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた燃料電池用触媒層から、第1基材又は第2基材を剥離する工程、及び
    導電性多孔質基材と、前記第1基材又は第2基材を剥離した燃料電池用触媒層とを、第1触媒層又は第2触媒層と導電性多孔質基材とが対向するように配置し、接合する工程
    を備える、燃料電池用電極の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法により得られた燃料電池用電極から第1基材又は第2基材を剥離する工程、及び
    電解質膜の片面又は両面に、前記第1基材又は第2基材を剥離した燃料電池用電極を、電解質膜と第1触媒層又は第2触媒層とが対向するように配置し、積層する工程
    を備える、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
  9. 少なくとも、第1基材、第1触媒層、第2触媒層、及び第2基材がこの順に形成された燃料電池用触媒層。
  10. 第1基材上に触媒層を有する第1基材付触媒層と、第2基材上にマイクロポーラスレイヤーを有する第2基材付マイクロポーラスレイヤーとを、触媒層とマイクロポーラスレイヤーとが対向するように配置し、接合する工程
    を備える、燃料電池用電極の製造方法。
  11. 前記第1基材と前記第2基材とが異なる、請求項10に記載の製造方法。
  12. 第1基材付触媒層中の触媒層、及び/又は第2基材付マイクロポーラスレイヤー中のマイクロポーラスレイヤーの上に接着層を有する、請求項10又は11に記載の製造方法。
  13. 第1基材付触媒層中の触媒層、及び/又は第2基材付マイクロポーラスレイヤー中のマイクロポーラスレイヤーの上に少なくとも一層の触媒層を有する、請求項10〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 請求項10〜13のいずれかに記載の製造方法により得られた燃料電池用電極から、第1基材を剥離する工程、及び
    電解質膜の片面又は両面に、前記第1基材を剥離した燃料電池用電極を、触媒層と電解質膜とが対向するように配置し、接合する工程
    を備える、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
  15. 請求項14に記載の製造方法により得られた燃料電池用膜−電極接合体から第2基材を剥離する工程、及び
    前記第2基材を剥離した燃料電池用膜−電極接合体のマイクロポーラスレイヤーの上に、導電性多孔質基材を形成する工程
    を備える、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
  16. 請求項10〜13のいずれかに記載の製造方法により得られた燃料電池用電極から、第2基材を剥離する工程、及び
    導電性多孔質基材の上に、前記第2基材を剥離した燃料電池用電極を、マイクロポーラスレイヤーと導電性多孔質基材とが対向するように配置し、接合する工程
    を備える、燃料電池用電極の製造方法。
  17. 請求項16に記載の製造方法により得られた燃料電池用電極から第1基材を剥離する工程、及び
    電解質膜の片面又は両面に、前記第1基材を剥離した燃料電池用電極を、電解質膜と触媒層とが対向するように配置し、形成する工程
    を備える、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。
  18. 少なくとも、第1基材、触媒層、マイクロポーラスレイヤー、及び第2基材がこの順に形成された燃料電池用電極。
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