JP2016189243A - 燃料電池用インターコネクタ及びこれを用いたセルスタック - Google Patents

燃料電池用インターコネクタ及びこれを用いたセルスタック Download PDF

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Abstract

【課題】 Fe−Cr系合金からなる金属基材の表面に、同程度の線熱膨張係数を有すると共に固体酸化物電解質型の燃料電池(SOFC)用として好ましい諸特性を有するコーティング層を備えた、SOFC用のインターコネクタ及びこれを用いたセルスタックを提供する。
【解決手段】 Fe−Cr系合金からなる金属基材と、この金属基材の表面に形成されたコーティング層を有する固体酸化物電解質型の燃料電池用インターコネクタにおいて、
前記コーティング層は、スピネル型の酸化物であって、該酸化物を構成する金属元素は、Mn1.5±xCo1.5−yCu(但し、xはx≦0.1、yは0.2≦y≦0.6)で表されることを特徴とする燃料電池用インターコネクタ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固体酸化物電解質型の燃料電池用インターコネクタ及びこれを用いたセルスタックに関する。
固体酸化物電解質型燃料電池(SOFC)は、電解質として安定化ジルコニア等のセラミックスを用いており、近年では700〜800℃と言う中高温で運転する用途も開発されている。このSOFC用のインターコネクタは、セルスタックとなす為に電気的に直列接続する導電板であると共に、燃料ガスと酸化ガスを分離するセパレータ板であり、電解質、燃料極、空気極の三層を支持し、前記ガス流路を形成すると共に電流を流す役目を持っている。
従って、インターコネクタには中高温での優れた電気導電性、耐酸化性、電解質との熱膨張差が小さいこと、また低コスト、加工容易性等の特性が求められる。これらのことから、インターコネクタの材質としては、フェライト系ステンレス鋼、例えばFe−Cr系合金からなる金属基材が好適に用いられている。
例えば、特許文献1は、金属基材として、質量%でC:0.1%以下、Al:0.2%以下、Si:0.2%以下、Mn:0.05〜0.4%、Cr:16.0〜28.0%、Ni:1.5%以下、REM(Yを含む希土類元素)またはZrの何れか1種以上:合計で1.0%以下、W:1.0〜3.0%、Cu:0.2%を超えて4.0%以下、残部はFe及び不純物からなることを特徴とする耐酸化性に優れた金属基材を開示している。また、この金属基材は、インターコネクタに使用できることが記載されている。
しかしながら、Fe−Cr系合金をインターコネクタに使用した場合、燃料電池の稼動に伴い、高温酸化雰囲気下におかれることで、金属基材のカソード(空気極)側の表面で酸化が進行してCrの酸化皮膜(以下、Cr酸化被膜という)が成長し、これにより集電特性が劣化し、セルスタックの発電性能が劣化する問題がある。またCr酸化被膜からCr蒸気が発生し、カソードの性能を徐々に低下させる、いわゆるクロム被毒の問題がある。
この問題を解決するために、インターコネクタは、金属基材の表面に耐酸化性と導電性を兼ね備えたコーティング層が設けられたものが用いられている。
例えば、特許文献2には、Fe−Cr系合金からなる導電部材と、化学式AB(ただし、A:Mn,Cuから選択される少なくとも1種類の金属元素、B:Co,Mnから選択される少なくとも1種類の金属元素)で表されるスピネル型結晶構造を有する遷移金属酸化物を含んで構成され、前記導電部材の表面を覆うコーティング層と、を備えたインターコネクタが開示されている。
国際公開第2011/034002号公報 特開2011−99159号公報
特許文献2に記載されるように、Fe−Cr系合金からなる金属基材の表面にスピネル系のコーティング層を形成してインターコネクタとして用いることは知られている。しかしながら、どのような組成のスピネル系のコーティング層を形成すべきか、未だ十分明らかになったとは言えない。
コーティング層は、金属基材とコーティング層の線熱膨張係数を同程度とすることで、変形や層間剥離が防げることが知られている。しかし線熱膨張係数を考慮するだけでは、SOFC用のインターコネクタに用いるコーティング層として不十分である。
以上より、本発明は、Fe−Cr系合金からなる金属基材の表面に、同程度の線熱膨張係数を有すると共にSOFC用のインターコネクタとして好ましい諸特性を有するコーティング層を備えた、SOFC用のインターコネクタ及びこれを用いたセルスタックを提供することを目的とする。
本発明は、Fe−Cr系合金からなる金属基材と、この金属基材の表面に形成されたコーティング層を有する固体酸化物電解質型の燃料電池用インターコネクタにおいて、前記コーティング層は、スピネル型の酸化物であって、該酸化物を構成する金属元素は、Mn1.5±xCo1.5−yCu(但し、xはx≦0.1、yは0.2≦y≦0.6)で表されることを特徴とする燃料電池用インターコネクタである。
この金属基材は、質量%で、Cr:16.0〜28.0%、Mn:0.05%以上0.4%以下、Ni:1.5%以下(無添加を含む)、REM(Yを含む希土類元素)またはZrの何れか1種以上:合計で1.0%以下(無添加は含まず)、W:1.0%以上3.0%以下、Cu:4.0%以下(無添加を含む)、残部はFe及び不可避的不純物からなるFe−Cr系合金であることが好ましい。
このコーティング層の800℃での電気伝導率は60(S/cm)以上とすることができる。
前記コーティング層の組成分解温度が1000℃以上とすることができる。
また本発明は、固体電解質層の一方の表面に燃料極が形成され、他方の表面に空気極が形成されたセルを上記の燃料電池用インターコネクタにより挟むことで単位セルとなし、この単位セルを板厚方向に積層してなることを特徴とするセルスタックである。
本発明によれば、電気伝導度が高く、長時間の繰り返し運転においてもクロム被毒の問題を抑制した信頼性の高いSOFC用インターコネクタ及びこれを用いたセルスタックを提供することができる。
Mn1.5Co1.5-yCu4とMnCo2−yCu4のCu置換量yと線熱膨張係数の関係を示す図である。 Mn1.5Co1.5-yCu4とMnCo2−yCu4のCu置換量yと電気伝導率(S/cm)の関係を示す図である。 Mn1.5Co1.5-yCu4とMnCo2−yCu4のCu置換量yと組成分解温度(℃)の関係を示す図である。 Mn1.5Co1.5-yCu4とMnCo2−yCu4のCu置換量yとコーティング層の気孔率の関係を示す図である。 Mn1.5Co1.5-yCu4におけるCu置換量yとコーティング層中のCr量の関係を示す図である。 実施例1のMn1.5Co1.5-yCu4(y=0.2、0.4、0.6)のコーティング層の断面観察写真である。 実施例2のMn1.5Co1.5-yCu4(y=0.2、0.4、0.6)のコーティング層の断面観察写真である。 焼結温度とCr酸化被膜の厚さの関係を示す図である。 Mn1.5Co1.5-yCu4におけるCu置換量yと線性収縮率との関係を示す図である。 実施例で用いた金属基材の温度に対する線膨張量を示す図である。 SOFC用のインターコネクタの断面模式図である。 セルスタックの一例を示す斜視図である。
本発明は、Fe−Cr系合金からなる金属基材の表面に形成する、コーティング層として、金属基材と同程度の線熱膨張係数を有すると共に、それに加え、電気伝導率、組成分解温度、さらには金属基材からのCrの拡散を極力抑制することができる点も考慮して検討したものである。スピネル型の酸化物であって、この酸化物を構成する金属元素は、Mn1.5±xCo1.5−yCu(但し、xはx≦0.1、yは0.2≦y≦0.6)で表されるコーティング層としたものである。
まず、SOFCの一般的な技術から説明する。
図11はSOFC用のインターコネクタ(以下、インターコネクタという)1の断面模式図であり、金属基材1aとコーティング層1bを示すものである。図12はセルスタックの一例を示す斜視図である。
このセルスタック10は、それぞれが板状の、インターコネクタ1、空気極3、固体電解質層4、燃料極5により主に構成される。
インターコネクタ1は、空気極3と燃料極5側の間に配置され、かつ、両者を電気的に接合する。インターコネクタ1は、その両面に溝が形成されており、空気極3側の溝は空気の流路6として使用され、燃料極5側の溝は燃料ガスの流路7として使用される。燃料ガスとして、例えば水素Hが用いられる。
空気極3と燃料極5の間は、固体電解質層4を介して酸素イオン(O2−)が伝達可能である。また、燃料極5と空気極3は、外部の導体(図示せず)を介して電気的に接合される。
このように、インターコネクタ1、空気極3、固体電解質層4、燃料極5が積層されたものを単位セルとし、この単位セルを板厚方向に積層して、セルスタック10となる。
このセルスタックを用いたSOFCの発電の原理について説明する。
セルスタックが稼動する際において、空気極3側と燃料極5側では、次の反応が同時に起こる。
燃料極5側では、水素が燃料極5と触れる事で電子を奪われ、燃料極5はその電子を出す。水素は水素イオンに変化する。つまり燃料極5側において、(H→2H+2e)の反応が起こる。燃料極5から出された電子は、燃料極5と空気極3の間に配置される固体電解質層4は通過できないため、外部の導体を介して空気極3に流れる。
一方、空気極3側では、燃料極5側で電子を奪われた水素イオンが、電気的に安定するために、電子を受け取れる空気極3側に固体電解質層4を介して移動してくる。水素イオンは、電子を受け取ると同時に酸素と結合し、水になる。つまり空気極3側において、(2H+2e+1/2O→HO)の反応が起こる。
以上のように、SOFCは、水素と酸素の化学反応で水ができる過程から電気を産むことができる。
本発明のインターコネクタ1は、図11に示すように、金属基材1aとその表面を覆うコーティング層1bからなる。
金属基材1aの材質は、上記のように、電気導電性、耐酸化性、電解質との熱膨張差が小さいこと、低コスト、加工容易性等の特性が求められる。
そこで本発明では、インターコネクタの金属基材1aとして、Fe−Cr系合金を採用した。
さらに、本発明のインターコネクタは、上記の金属基材1aの表面に、コーティング層1bとして、スピネル型の酸化物であって、この酸化物を構成する金属元素は、Mn1.5±xCo1.5−yCu(但し、xはx≦0.1、yは0.2≦y≦0.6)で表される被膜を形成した。その理由は、このスピネル型の酸化物が、Fe−Cr系合金の金属基材1aに対して同等の線熱膨張係数を有し、両者の線熱膨張係数の差が室温〜950℃において±1.2ppm/℃以下となることを知見したからである。また、このコーティング層を形成することで、金属基材1aの表面に形成されるCr酸化被膜が覆われるので、Crが空気極側に流れる空気中に揮発することを抑制できる。それにより空気極の表面にCr化合物が形成されることが防止される。その結果、空気極表面の電気伝導率の低下は抑えられ、SOFCとして、高い電気変換効率が維持できる。
また、このコーティング層は、電気伝導率及び組成分解温度が高く、SOFC用のインターコネクタとして適することが分った。
以下に、このコーティング層の組成を選定した理由を述べる。
本発明では、コーティング層1bとして、スピネル型の酸化物であって、この酸化物を構成する金属元素は、Mn1.5±xCo1.5−yCu(但し、xはx≦0.1、yは0.2≦y≦0.6)で表される被膜を採用した。以後、この被膜をMn1.5±xCo1.5−yCuと示すことがある。但し、[O]の4は必ずしも正確な原子数を示すものではなく、±0.5の範囲でずれることもある。
先ず今回の検討を行うにあたり、本発明者は、MnCoのスピネル層と、Mn1.5Co1.5のスピネル層によるコーティング層を形成して比較したところ、上記の金属基材に対して線熱膨張係数が近いのは、Mn1.5Co1.5のスピネル層であることを確認した。
そしてCoの一部をCuで置換したとき、Cuの置換量xを0.2〜0.6の範囲で置換することで、さらに上記の金属基材に対して線熱膨張係数がほぼ同じで、その差は、室温〜950℃において±1.2ppm/℃以下の材質となる。コーティング層の材質の線熱膨張係数が、金属基材のものに対して±1.2ppm/℃以下程度であれば、両者の線熱膨張係数の差から生じる応力の発生を抑制できるので、反り等の変形を抑制できる。また、コーティング層が金属基材から剥がれることも抑制できる。
さらにこのコーティング層は、セルスタックとして燃料電池に組み込み、長時間使用しても、膜中のCr量が少ない状態を維持できる。この理由は不明だが、以下の理由と推察される。コーティング層の焼結過程にて基板から拡散してきたCrは基板と膜の界面部分にて、CoとMnとの酸化物層およびCr主体の酸化物層の2層を形成成することが多い。界面部分におけるCr濃度は拡散によりコーティング層直下の基板中Cr濃度より高くなる。このコーティングと基板間のCo、Mn、Cr酸化物層にCuが添加されることで、基板から膜へCrの拡散を抑えると推察される。緻密なコーティング層であれば、膜中のCr量が少なければ、Cr蒸気が発生してカソードの性能が徐々に低下するという、いわゆるクロム被毒の問題を抑制できる。
またこのコーティング層は、膜内の気孔率が低いものである。そのため、気孔の内部でCr蒸気が揮発してコーティング層の表面側にCrが濃化することを抑制でき、クロム被毒の問題を抑制できる。
さらにこのコーティング層は、Cuが添加されることで焼結性が向上する。よって、焼結温度を下げることができる。金属基材は高温かつ酸化環境下で内部酸化が進むため、焼結温度が高いほどCrの拡散が進行し、Cr酸化被膜が厚くなる。Cu添加で焼結温度を下げることで、金属基材に形成されるCr酸化被膜が薄くなる。このCr酸化被膜が水蒸気と反応しCr蒸発源となるが、Cr蒸発源が減ることで、クロム被毒の問題を抑制できる。
さらにこのコーティング層は、クラックが発生しづらいという性質を有する。そのため、金属基材からコーティング層が剥がれることを抑制できる。また、揮発したCrがクラック内を移動することを抑制できるので、クロム被毒の問題を抑制できる。
またそれと同時に、このコーティング層の組成は、電気伝導率が800℃で60S/cm以上と高く、発電効率の良いSOFCを提供することに役立つ。
このコーティング層の組成は、Mn1.5±xCo1.5-yCu(但し、x≦0.1、yは0.2≦y≦0.6)である。ここでMnの量は、x≦0.1を許容している。xが0.1を超えてしまうと、金属基材の線熱膨張係数との差が、室温〜950℃において±1.2ppm/℃を超えてしまう。
また、Coに対するCuの置換量yが、0.2未満であると、上記の金属基材に対して線熱膨張係数が小さくなり、金属基材の線熱膨張係数との差が、室温〜950℃において±1.2ppm/℃を超えてしまう。一方、yが0.6を超えると、コーティング層中のCr量が増大し、クロム被毒の問題が発生しやすい。また、組成分解温度が1000℃以下になり、SOFCの稼働中にコーティング層が変質する可能性がある。
前記コーティング層は、5μm以上50μm以下の厚さとすることが好ましい。5μm以上であれば、Crがインターコネクタの外部へ揮発することを抑制できる。但し、厚さが20μmを超えるように形成するには、スプレー塗布の場合は塗布を繰り返す工数が増えすぎて製造工程が長くなる。また、コーティング層の表面粗さが大きくなる傾向がある。そのため、厚さは50μm以下とすることが好ましい。
コーティング層の形成方法として、セラミック粉末と有機溶媒とバインダを含むスラリーを、スプレー塗付やディップコーティング等の既知の手段で塗布し、被覆された塗膜を乾燥、脱バインダ処理後、焼結して前記コーティング層を形成する手段を採用できる。
以下に、スプレー塗付により塗膜を形成する方法を説明する。
スプレー塗布は、エアースプレーを用いたハンドガンやスプレーコーターによる塗布方法、超音波スプレーや静電スプレーによる方法を用いることができる。これらの中でも膜厚を均一にしやすく、量産性に優れるという点からエアースプレー方式によるスプレーコーター塗布が好ましい。
また塗布条件として、100〜300mm/sの条件でスプレーノズルを走査し、数回(2−5回)程度で5μm〜50μmの膜厚が得られる条件で塗布することが好ましい。塗布回数が多いと量産性に問題があり、かつ、乾燥した後の塗膜(以下、乾燥塗膜という)の平滑性が悪くなる。
スラリーは、セラミック粉末、有機溶媒、バインダを含み、その他にも分散剤や可塑剤を含むものでもよい。これら各含有物の説明は後述する。
塗布された塗膜から有機溶媒を除去することで乾燥塗膜が得られる。
塗膜の乾燥は、有機溶媒が十分に揮発する温度で加熱することが好ましい。加熱方法はホットプレートによる直接加熱や、熱風吹き付け、誘導加熱等による乾燥がある。例えば、有機溶媒を用いた場合、50℃〜350℃で乾燥することができる。乾燥時間は用いる有機溶媒の混合量により適宜変化させることが好ましい。
乾燥塗膜に含まれるバインダ等の有機物を焼結前に脱バインダ処理により除去をする。有機物中に含まれるCが乾燥塗膜内に残存すると、焼結を阻害する要因となり緻密な膜が得られない。脱バインダ処理は使用するバインダにより分解温度が異なるため、バインダに合わせた温度で処理する。また粉末の酸化を防止する必要がある場合には、窒素等不活性ガス気流中で脱バインダ処理を行う必要がある。
脱バインダ処理を行った乾燥塗膜を焼結することでコーティング層となる。
焼結は、セラミックス粉末が分解しない雰囲気および温度以下で行うことが好ましい。例えば、Mn(Co・Cu)、Mn1.5(Co・Cu)1.5等のスピネル系のコーティング層とする場合、大気雰囲気中で焼結温度は800℃以上1000℃以下とすることが好ましい。大気中での焼結もできるが、密度を向上させるために、還元雰囲気中で焼結した後に、再酸化が可能な酸素を含む雰囲気で加熱処理する2段熱処理による焼結でも良い。これにより、コーティング層の密度が向上することとなり、金属基材中のCrがコーティング層の外部へ揮発することを抑制できる。
以下に、スラリー中の含有物である、セラミック粉末、バインダ、有機溶媒等の説明を行う。
セラミック粉末は、平均粒径が、0.1μm以上2μm以下のものを用いることが好ましい。粒径が0.1μmを下回る様な粉末は凝集しやすく、また2μmを超えると塗布時の平坦化(レベリング)が起こりにくい。上記の平均粒径のセラミック粉末を使用することで塗膜中での分散性を向上できる。セラミックス粉末は、セラミック粉末の元素がそれぞれ化合物となる温度で加熱することが好ましい。例えば、Mn(Co・Cu)、Mn1.5(Co・Cu)1.5等のスピネル系のコーティング層とする場合Mn、Co、CuO等の原料粉末をボールミル等の手法で均一になる様に混合し、その後、固溶可能な条件(例えば700℃以上で2時間以上)で熱処理をおこなうことで、所望の組成のセラミックス粉末を得ることができる。またMn、Co等の塩化物溶液を用い、水酸化ナトリウム溶液を加え、攪拌、洗浄後粉末を得る共沈法により所定の組成のセラミック粉末を得る方法もある。
バインダは、ポリアクリル酸(PAA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレンオキシド(PEO)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)スチレン−ブタジエンゴム(SBR)及びこれらのポリマーの塩又は誘導体等の既知のものを用いることができる。
セラミック粉末に対して、0.5mass%以上30mass%以下の量を添加することが好ましい。0.5mass%以上であれば、金属基材の表面にセラミック粉末を保持することができる。しかし、0.5mass%未満であると、セラミック粉末を保持する効力が不十分で焼成前のコーティング膜が剥がれる可能性がある。但し、バインダが30mass%を超えると、有機溶媒乾燥時に塗膜の降伏応力を超えて割れが発生しやすくなる。
有機溶媒は、トルエン、キシレン、エタノール、メタノール等の既知のものを用いることができる。セラミック粉末に対して、100mass%以上の量を用いることでスプレー塗布によるセラミック粉末の均一塗布が容易になる。100mass%未満では、スラリーの粘性が高くなるので形成した塗膜の表面粗さが大きくなってコーティング層の表面粗さが大きくなり、インターコネクタと、それに隣接する空気極や燃料極との電気的な接触抵抗が増大し、インターコネクタの集電特性が悪くなりやすい。但し、有機溶媒が2000mass%を超えると、有機溶媒を乾燥させる時間が長くなり、量産には適さないため、2000mass%以下が好ましい。さらに好ましい有機溶媒の量は、200mass%以上1000mass%以下である。
スラリーには分散剤を添加することが好ましい。分散剤は、例えば、非水系用途の高分子型ポリカルボン酸系材料や界面活性剤型の多価アルコールエステル系材料等の既知のものを用いることができる。
用いる粉末の比表面積により異なるが、セラミック粉末に対して、0.1mass%以上10mass%以下の分散剤を用いることが好ましい。0.1mass%以上を添加することでセラミック粉末の分散性を向上し、スラリーの粘度を低減することができる。但し、10mass%を超えても分散剤としてのさらなる効果は得られず、逆に増粘現象が起こってスプレー塗布の妨げとなり、また塗膜内に残存有機物として残りやすい。
またスラリーには、可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤は、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)等のフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸エステル等の既知のものを用いることができる。
添加バインダ100重量部に対して、10mass%以上100mass%以下の可塑剤を用いることが好ましい。10mass%以上を添加することで、塗布塗膜を乾燥する際に、バインダの柔軟性を向上しクラックの発生を抑制できる。また塗膜乾燥時のレベリングを促進する。但し、100mass%を超えると乾燥時ににじみが発生し塗膜のムラが起きることがある。
次に、金属基材について説明する。
金属基材1aとして従来のFe−Cr系合金が使用できる。
このFe−Cr系合金は、質量%で、Cr:16.0〜28.0%、Mn:0.05%以上0.4%以下(無添加は含まず)、Ni:1.5%以下(無添加を含む)、REM(Yを含む希土類元素)またはZrの何れか1種以上:合計で1.0%以下(無添加は含まず)、W:1.0%以上3.0%以下、Cu:4.0%以下(無添加を含む)、残部はFe及び不可避的不純物からなるフェライト系金属材料を用いることができる。
この組成のFe−Cr合金は、不純物元素量を低いレベルに制限し、Crの外方拡散を抑制する目的でWを添加し、更に、Cuを添加することで、耐酸化性を飛躍的に向上させ、燃料電池の性能の低下を抑制することができる。
以下に、各元素量(質量%)の限定理由を述べる。
[Cr:16.0%以上28.0%以下]
金属基材1aに含まれるCrは、SOFCの作動温度において、緻密なCrに代表されるCr酸化被膜の生成により、優れた耐酸化性を実現するために必要な元素である。また、電気伝導性を維持するために重要な元素である。そのため16.0%以上を添加することが好ましい。しかしながら、過度の添加は耐酸化性向上にさほど効果がないばかりか加工性の劣化を招くので上限を28.0%とすることが好ましい。更に好ましいCrの範囲は18.0以上26.0%以下、更に好ましくは、20.0以上25.0%以下である。
[Mn:0.05%以上0.4%以下]
Mnは、Crと共にスピネル型酸化物を形成する元素である。Mnを含むスピネル型酸化物層は、Cr酸化被膜の外側(表面側)に形成される。このスピネル型酸化物層は、SOFCの電解質・電極等のセラミックス部品に蒸着して燃料電池の性能を劣化させる複合酸化物を形成するCrが、金属基材から蒸発するのを防ぐ保護効果を有する。また、このスピネル型酸化物は、通常Crに比べると酸化速度が大きいので、耐酸化性そのものに対しては不利に働く一方で、Cr酸化被膜の平滑さを維持して、接触抵抗の低下や電解質に対して有害なCrの蒸発を防ぐ効果を有している。このため、0.05%以上添加することが好ましい。更に好ましいMnの下限は0.1%である。一方、過度に添加するとCr酸化被膜の成長速度を速めるために耐酸化性が悪くなる。従って、Mnは0.4%を上限とすることが好ましい。更に好ましいMnの上限は0.35%である。
[Ni:1.5%以下(無添加を含む)]
Niは、オーステナイト生成元素であり、過度に含有した場合、フェライト−オーステナイトの二相組織となり易く、熱膨張係数を増加させる。また製造する際に、例えば、リサイクル材の溶解原料を用いたりすると、不可避的に混入する場合もある。Niの含有量が多くなり過ぎると、セラミックス系の部品との接合性が低下することが懸念されるため、多量の添加または混入は好ましくない。
但し後述のCuを含む場合は、赤熱脆性により熱間加工性が低下することが心配される。これを抑制するために少量のNiを添加することが好ましい。その場合、1.5%を上限としてNiを添加することができる。Niの好ましい上限は1.0%以下であり、更に好ましい上限としては0.8%が良い。なお、上記のNiの効果は、無添加レベル(0%)を超える範囲で得ることができるが、より確実に上記効果を得るには、Niの下限は0.1%が良く、更に好ましい下限は0.2%が良い。
[REM(Yを含む希土類元素)またはZrの何れか1種以上:1.0%以下(無添加は含まず)]
REM、Zrは、少量添加によりCr酸化被膜を緻密化させたり、酸化被膜の密着性を向上させることで、耐酸化性、及びCr酸化被膜の電気伝導度を大幅に改善する効果を有する。主として緻密なCr酸化被膜を形成させることによって、良好な耐酸化性を発揮させているが、このCr酸化被膜の密着性を向上させるためにREM、Zrの単独または複合添加を行うことが好ましい。しかしながら過度の添加は熱間加工性を劣化させるので、REMまたはZrの何れか1種以上を合計で1.0%以下とすることが好ましい。更に好ましくは、0.01%以上0.85%以下の範囲であり、更に好ましくは、希土類元素:0.005%以上0.10%以下、Zr:0.01%以上0.85%以下の範囲で単独で添加するか、或いは複合で添加すると良い。希土類元素としては、La、Ce、Y、Ndやこれらの混合物を用いるのが良い。
[W:1.0%以上3.0%以下]
一般に、固溶強化等に対してWと同じ作用効果を発揮する元素としてMoが知られている。しかし、WはMoと比較して、固体酸化物形燃料電池の作動温度で酸化したときのCrの拡散を抑制する効果が高い。そのため、Wが単独で添加されることが好ましい。Wの添加によりCrの拡散を抑制することができ、Cr酸化被膜を形成した後の、合金内部のCr量の減少を抑制することができる。また、Wは合金の異常酸化も防止して、優れた耐酸化性を維持することができる。この効果を発揮するためには下限を1.0%とすることが好ましい。しかし、Wが3.0%を超えて添加されると熱間加工性が劣化するため、Wは3.0%を上限とすることが好ましい。更に好ましくは1.0%以上2.5%以下である。
[Cu:4.0%以下(無添加を含む)]
インターコネクタは、700〜900℃程度の作動温度では、金属基材1aの表面にCr酸化被膜が形成され、さらにその上に、MnCo系のスピネル型酸化物からなるコーティング層が形成される。
Cuは、Cr酸化被膜上に形成されるMnを含むスピネル型酸化物を緻密化することで、Cr酸化被膜からのCrの蒸発を抑制する効果がある。そのため、Cuを4.0%を上限として添加することができる。添加する場合、Cuを4.0%より多く添加しても向上効果が薄れ、熱間加工性が低下したりフェライト組織が不安定となる可能性があるので、Cuを4.0%以下とすることが好ましい。更に好ましくは2.0%以下の範囲である。なおCuは、0.2%を超えて添加することでより顕著な上記効果を得ることができる。さらに確実に上記効果を得るには、Cuの下限を0.4%以上の範囲とすると良い。
次に、本発明で評価した、線熱膨張係数、電気伝導率、組成分解温度、気孔率、コーティング層中のCr量、の測定方法を記載する。
[線熱膨張係数]
線熱膨張係数は、熱機械分析装置TMA(RIGAKU社製、ThermPlus TMA8311)を用い、室温から950℃の範囲で測定した。測定用サンプルのサイズは約2.5×5×11tmmとした。
[電気伝導率]
電気伝導率は、真空中、800℃で、直流四端子法(東陽テクニカ社製、Resi Test8300)で測定した。
[組成分解温度]
組成分解温度は、熱重量−示差熱(TG-DTA)分析装置(RIGAKU社製、Thermoflex TAS200 TG8110D)を用い、室温から1200℃の範囲で測定した。
[気孔率]
気孔率は、バルク体のSEM像(2000倍)を利用し、画像解析ソフト(Image J)により算出した。
[コーティング層中のCr量]
コーティング層中のCr量は、電子線マイクロアナライザEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による点分析で測定した。測定箇所はコーティング層の厚さの中央部とし、3箇所の測定値の平均値とした。測定に際し、ビーム径は1μmとした。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
まず、Fe―Cr系合金の金属基材を以下のように作製した。
原料を真空誘導炉にて溶製し10kgのインゴットを作製した。真空溶解時には、不純物元素を規定内に低く抑えるために、純度の高い原料を選定するとともに炉内雰囲気等操業条件を制御してS、O、P、N等の混入、残存を抑制した。
得られたインゴットは、質量%で、Cr:23.7%、Mn:0.27%、Zr:0.28、La:0.07%、W:1.8%、Cu:0.94%、残部Fe及び不可避的不純物であり、不可避的不純物中のC、Si、Alは、それぞれC:0.03%、Si:0.01%、Al:0.01%であった。
その後、1100℃に加熱して30mm角の棒材に鍛伸し、780℃で1時間の焼鈍を行った。その後、熱間加工、冷間加工により、厚さ1mm×100mm×100mmの金属基材を作製した。
図10はこの金属基材の線膨張量を示す図である、この金属基材の線熱膨張係数を計算したところ、12.3ppm/℃であることが確認できた。
次にコーティング層の物性評価(線熱膨張係数、電気伝導率)を行うため、バルク体の焼結体を作製した。
原料として、Mn、Co、CuOを用い、Mn1.5Co1.5―yCu(y=0、0.1、0.15.0.2、0.3、0.4、0.6、0.8、1)の各組成比となるようにMn、Co、Cu量を調整した。
混合した原料は、エタノールを溶媒とするボールミルで20h混合してスラリーを得た。その後、ホットプレートでスラリーを乾燥し、解砕後、大気雰囲気中850℃×4hで仮焼した。仮焼時の反応は、1/2Mn+(1/2−y/3)Co+yCuO→Mn1.5Co1.5―yCuで表される。
仮焼後の原料を、ボールミルで20h粉砕し、ホットプレートでスラリーを乾燥した。
乾燥した粉砕粉に0.7%PVA水溶液を、仮焼粉に対して質量%で10%添加し、造粒した。
この粉を成形圧100MPaで、15mm×15mm×2.5mmに成形した。
この成形体を大気中で焼結した。
y=0〜0.3の組成では、1100℃×15hで焼結した。y=0.4〜1の組成では、1000℃×15hで焼結した。
上記の製造工程により、スピネル型の酸化物を構成する金属元素が、Mn:Co:Cuで、1.5:1.5:0、1.5:1.4:0.1、1.5:1.35:0.15、1.5:1.3:0.2、1.5:1.2:0.3、1.5:1.1:0.4、1.5:0.9:0.6、1.5:0.7:0.8、1.5:0.5:1.0となる焼結体を得た。
得られた焼結体の線熱膨張係数を図1に示す。
また、比較のため、同じ製造方法で得たMnCo2−yCu(y=0、0.3、0.5)の焼結体で同様に測定した線熱膨張係数も併記する。
金属基材の線熱膨張係数は12.3ppm/℃(図中の破線の値)である。Mn1.5Co1.5―yCuの組成で表される焼結体の線熱膨張係数は、MnCo2−yCuで表されるものと比較して、金属基材の線熱膨張係数と近いものである。
また、Mn1.5Co1.5―yCuの組成で表される焼結体において、図1より金属基材の線熱膨張係数との差を1.2ppm/℃以下とするためには、Cu置換量yは0.2以上とする必要がある。
この線熱膨張係数は、Cu置換量のyを0.2〜0.6の範囲で変えることで、11.1ppm/℃以上13.1ppm/℃以下の範囲で変更可能である。
次に、得られた焼結体の電気伝導率を図2に示す。
Mn1.5Co1.5―yCuの組成において、電気伝導率は、y=0が最も低く、y=0.6付近が最も高い。y=0.2以上であれば、SOFC用インターコネクタのコーティング層として十分実用的である、60S/cm以上の電気伝導率が得られる。また、y=0.3以上であれば、80S/cm以上の電気伝導率が得られる。
但し、図3に示すように、y=0.6を超えると、組成分解温度が1000℃以下になるので、SOFC用インターコネクタとして適用した際に組成が変質してコーティング層としての役割を果たさない可能性がある。
次に、焼結体の気孔率を図4に示す。
焼結体の組成が、Mn1.5Co1.5―yCuの組成において、y=0.2以上であれば、焼結体中の気孔率が10%以下となる。この範囲の気孔率であれば、クロム被毒を十分に抑制できる。さらに、y=0.3以上であれば、焼結体中の気孔率が5%以下とさらに減らせる。
次に、金属基材の表面にコーティング層を形成し、本発明のインターコネクタを得た。
先ず金属基材の表面に形成するコーティング層形成用のスラリーを作製した。
先ず、Mn、Co、CuOを用い、Mn1.5Co1.5―yCu(y=0、0.2、0.4、0.6、0.8、1)の各組成比となるようにMn、Co、Cu量を調整した。
混合した原料は、エタノールを溶媒とするボールミルで20h混合してスラリーを得た。その後、ホットプレートでスラリーを乾燥し、解砕後、大気雰囲気中で850℃×4hで仮焼した。
仮焼後の原料を、ボールミルで20h混合し、ホットプレートでスラリーを乾燥し、造粒して、仮焼粉を得た。
この仮焼粉と、重量で仮焼粉の3倍のエタノールと、分散剤とを混合し、コーティング層形成用のスラリーを作製した。
得られたスラリーを用い、金属基材の表面に、スプレー塗布にて、厚さが20〜30μmの塗膜になるように塗布した。
スラリーの塗膜が形成された金属基材を、100℃×2hで乾燥後、500℃×10hで脱バインダ処理し、さらにその後、大気中、965℃×15hで焼結し、スピネル型のMn1.5Co1.5―yCu(y=0、0.2、0.4、0.6、0.8、1)の各組成からなり、厚さが10〜20μmのコーティング層が形成されたインターコネクタを作製した。
このコーティング層中のCr量を図5に示す。
コーティング層の組成が、Mn1.5Co1.5―yCuの組成において、y=0.6以下であれば、コーティング層中のCr量が5.0%以下となる。コーティング層中のCr量が少ない物ほどCr蒸気の発生量も少なくなることは別の実験で確認されており、この範囲のCr量であれば、クロム被毒を十分に抑制できる。
図6は、実施例1の、y=0.2、0.4、0.6の組成における、インターコネクタの断面観察写真(2000倍)である。いずれのコーティング層も気孔はあるものの、クラックの発生は確認できない。
(実施例2)
実施例1に対しコーティング層の焼結の工程を変えて実験を行った。
実施例1と同様に、スラリー塗膜が形成された金属基材を得た。
この金属基材に、還元雰囲気(2%のHを含む窒素ガス:加湿30℃)中、950℃×10hで焼結し、その後、大気中、850℃×20hで熱処理し、スピネル型のMn1.5Co1.5―yCu(y=0、0.2、0.4、0.6、0.8、1)の各組成からなり、厚さが10〜20μmのコーティング層が形成されたインターコネクタを作製した。
このコーティング層中のCr量を図5に併記する。
大気中で焼結した実施例1のコーティング層よりも内部のCr量が低減していることがわかる。この焼結方法を適用した場合、コーティング層の組成が、Mn1.5Co1.5―yCuの組成において、y=0.6以下であれば、コーティング層中のCr量が1.0%以下となり、クロム被毒を十分に抑制できる。
図7は、実施例2の、y=0.2、0.4、0.6の組成における、インターコネクタの断面観察写真(2000倍)である。いずれのコーティング層もクラックの発生は確認できなかった。実施例1よりも気孔率は減少していた。
なお、実施例2のインターコネクタにおいて、金属基材とコーティング層の間では、に形成されるCr酸化被膜の層は実施例1と比べて薄くなっており、かつ、Coを含むCr酸化被膜になっていた。
(実施例3)
図8は、焼結温度とCr酸化被膜の厚さを示す図である。焼結温度が低いほどCr酸化被膜が薄くなる。Cr酸化被膜が薄いほど金属基材中のCrが表面に析出しておらず、Crがコーティング層に拡散しにくく、クロム被毒を抑制しやすい状態である。
図9は、焼結温度を950℃とした時の、Mn1.5Co1.5―yCuにおけるCu置換量yと線収縮率との関係を示す図である。線収縮率は熱機械分析装置TMA(RIGAKU ThermPlus TMA8311)で測定した。Cu量が増えるほど、線収縮率が大きくなる。つまり、低い焼結温度で焼結が可能になることが判る。
このように、Mn1.5Co1.5にCuを添加することで焼結温度を下げることができ、それによりCr酸化被膜を薄くできるので、Crがコーティング層へ拡散することを抑制でき、その結果、クロム被毒を抑制できる。
具体的には、Cu量をy=0.3以上にすれば線収縮率が4%以上になり、950℃以下の温度でも十分焼結ができるので、Cr酸化被膜の厚さを2μm以下にすることができる。
1:インターコネクタ、1a:金属基材、1b:コーティング層、3:燃料極、4:固体電解質層、5:燃料極、6:酸素を含むガスの流路6、7:燃料ガスの流路、10:セルスタック

Claims (5)

  1. Fe−Cr系合金からなる金属基材と、この金属基材の表面に形成されたコーティング層を有する固体酸化物電解質型の燃料電池用インターコネクタにおいて、
    前記コーティング層は、スピネル型の酸化物であって、該酸化物を構成する金属元素は、Mn1.5±xCo1.5−yCu(但し、xはx≦0.1、yは0.2≦y≦0.6)で表されることを特徴とする燃料電池用インターコネクタ。
  2. 前記金属基材は、質量%で、Cr:16.0〜28.0%、Mn:0.05%以上0.4%以下、Ni:1.5%以下(無添加を含む)、REM(Yを含む希土類元素)またはZrの何れか1種以上:合計で1.0%以下(無添加は含まず)、W:1.0%以上3.0%以下、Cu:4.0%以下(無添加を含む)、残部はFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用インターコネクタ。
  3. 前記コーティング層の800℃での電気伝導率が60(S/cm)以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用インターコネクタ。
  4. 前記コーティング層の組成分解温度が1000℃以上であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の燃料電池用インターコネクタ。
  5. 固体電解質層の一方の表面に燃料極が形成され、他方の表面に空気極が形成されたセルを請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池用インターコネクタにより挟むことで単位セルとなし、この単位セルを板厚方向に積層してなることを特徴とするセルスタック。

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