自動注射装置は、治療薬を投与するため、および患者が治療薬を自己投与できるようにするための、従来型手動シリンジの代替品を提供する。例示的実施形態は、患者の身体または衣服に取り付けられてもよく、たとえば単回高速ボーラスでなど、高速制御投与速度で患者に治療薬を投与できる、装着型自動注射装置を提供する。例示的実施形態はまた、高速の制御された治療薬投与のために装着型自動注射装置を使用する方法も提供する。
一例示的実施形態において、約0.1ミリリットルから約1ミリリットル以上の量の治療薬が、約1秒から約12時間の投与時間にわたって投与されてもよい。一例示的実施形態において、同じ範囲の量の投与時間は、約1秒から約30秒の範囲であってもよいが、この例示的範囲に限定されるものではない。特定の例示的実施形態において、約0.1ミリリットルから約1ミリリットルの治療薬量が、約3秒から約5秒の範囲の持続時間にわたって投与されてもよい。特定の例示的実施形態において、約0.1ミリリットルから約1ミリリットルの治療薬量が、約20秒以下の持続時間にわたって投与されてもよい。
例示的な装着型自動注射装置は、使い捨てで、使いやすく、予備充填可能であり、装着型自動注射装置を使用する患者によって頻繁に経験される灼熱感を実質的にまたは完全に解消してもよい。例示的装置によって達成される高速制御投与速度は、患者の組織内に侵入する治療薬の量に関連する痛覚を、最小限に抑えるであろう。例示的装置によって達成される高速投与の例示的な持続時間は、約1秒から約30秒の範囲であってもよいが、この例示的範囲に限定されるものではない。上記時間範囲内に例示的装置によって投与され得る治療薬の例示的な量は、約0.1ミリリットルから約1ミリリットルの範囲であってもよいが、この例示的範囲に限定されるものではない。特定の例示的実施形態において、約0.1ミリリットルから約1ミリリットルの治療薬量が、約3秒から約5秒の範囲の持続時間にわたって投与されてもよい。特定の例示的実施形態において、約0.1ミリリットルから約1ミリリットルの治療薬量が、約20秒以下の持続時間にわたって投与されてもよい。加えて、例示的装置は有利なことに、線形投与プロファイル、すなわち実質的に一定の投与速度でのプロファイルを提供してもよく、治療薬の時間に対する投与プロファイルの変曲および急激な変化を最小限に抑えることができる。
例示的実施形態は、例示的自動注射装置のサイズエンベロープを最小化し、治療薬粘度範囲に使用されてもよい、構成可能投与時間および投与プロファイルを用いる、拡張可能な解決策を提供する。
例示的実施形態は、動作するための電流または充電を必要とする、バッテリ電源またはその他の構成要素を必要とすることなく、患者に治療薬を投与することができる。
例示的実施形態によって提供される装着型自動注射装置は、患者への投与に先立って予備充填可能および/または予備充填済みであり、無菌組み立ての必要性を回避するために、治療薬の無菌性、全ての治療薬接触面および患者接触面(すなわち、治療薬を収容する容器、装置内の1つ以上の流体導管、投与インターフェースの1つ以上の皮膚貫通表面、流体導管内に設けられた1つ以上の隔壁など)の無菌性、および患者への投与中に治療薬が通る投与通路の無菌性を維持し、従来の手持ち式自動注射装置による注射起因の、患者が感知する痛みに対処する。例示的な装着型自動注射装置は、無菌性を維持し、したがって無菌組み立てを必要としない、主要な治療バレル部分を含む。
例示的自動注射装置は、たとえば皮下注射、皮内注射、筋肉注射、局所投与などによって、いずれか適切な送達注入深度で治療薬を投与するために、使用されてもよい。例示的実施形態によって提供される装着型自動注射装置は、抗体、小分子、インスリンなどを含むがこれらに限定されない、いずれかの治療薬を投与するために使用されてもよい。例示的自動注射装置のシリンジアセンブリは、1回投与量のTNFα阻害薬を収容してもよい。一例示的実施形態において、TNFα阻害薬は、ヒトTNFα抗体またはその抗原結合部分であってもよい。一例示的実施形態において、ヒトTNFα抗体またはその抗原結合部分は、アダリムマブまたはゴリムマブであってもよい。
例示的実施形態は、特定の説明的実施形態を参照して、以下に記載される。例示的実施形態は、1回投与量の液剤を投与するための装着型自動注射装置の使用に関連して記載されるものの、当業者は、例示的実施形態が説明的実施形態に限定されないこと、および自動注射装置がいずれの適切な物質を患者に投与するためにも使用されてよいことを、認識するであろう。加えて、例示的自動注射装置の構成要素、ならびに例示的自動注射装置を作成および使用する方法は、以下に記載される説明的実施形態に限定されるものではない。
I.定義
例示的実施形態の理解を容易にするために、ここで特定の用語が定義される。
例示的実施形態の装着型自動注射装置は、「治療的有効量」または「予防的有効量」の本発明の抗体または抗体部分を含んでもよい。「治療的有効量」とは、必要な用量および期間における、望ましい治療結果を達成するために有効な量を指す。抗体、抗体部分、またはその他のTNFα阻害薬の治療的有効量は、患者の病状、年齢、性別、および体重、ならびに患者から望ましい反応を引き出すための抗体、抗体部分、またはその他のTNFα阻害薬の能力などの因子に応じて、異なり得る。治療的有効量はまた、抗体、抗体部分、またはその他のTNFα阻害薬のいかなる毒性または有害作用よりも治療的に有益な効果が上回るものでもある。「予防的有効量」とは、必要な用量および期間における、望ましい予防結果を達成するために有効な量を指す。通常、予防投与量は病気の前、または初期段階において患者に使用されるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少なくなる。
「物質」および「治療薬」という用語は、例示的自動注射装置を採用する患者に対して治療的有効量で投与されることが可能な、いずれかのタイプの薬物、生理活性物質、生体物質、化学物質、または生化学物質を指す。例示的な物質は、液状の薬剤を含むが、これに限定されるものではない。このような薬剤は、小分子治療薬を含んでもよいが、これに限定されるものではない。(1つまたは複数の)治療薬は、たとえば疼痛、癌、パーキンソン病など、1つ以上の病気または健康状態の治療のために使用されてもよい。このような薬剤はまた、アダリムマブ(ヒュミラ(Humira)(R))、ならびにたとえば融合タンパク質および酵素などの溶液中のタンパク質も含んでもよいが、これらに限定されるものではない。溶液中タンパク質の例は、プルモザイム(Pulmozyme)(ドルナーゼアルファ(Dornase alfa))、レグラネクス(Regranex)(ベカプレルミン(Becaplermin))、アクチバーゼ(Activase)(アルテプラーゼ(Atleplase))、アルドラザイム(Aldurazyme)(ラロニダーゼ(Laronidase))、アメビブ(Amevive)(アレファセプト(Alefacept))、アラネスプ(Aranesp)(ダルベポエチンアルファ(Darbepoetin alfa))、ベカプレルミン濃縮物、ベタセロン(Betaseron)(インターフェロンベータ−1b(Interferon beta−1b))、ボトックス(BOTOX)(A型ボツリヌス毒素(Botulinum Toxin Type A))、エリテック(Elitek)(ラスブリカーゼ(Rasburicase))、エルスパ(Elspar)(アスパラギナーゼ(Asparaginase))、エポジェン(Epogen)(エポエチンアルファ(Epoetin alfa))、エンブレル(Enbrel)(エタネルセプト(Etanercept))、ファブラザイム(Fabrazyme)(アガルシダーゼベータ(Agalsidase beta))、インファージェン(Infergen)(インターフェロンアルファコン−1(Interferon alfacon−1))、イントロンA(Intron A)(インターフェロンアルファ−2a(Interferon alfa−2a))、キネレット(Kineret)(アナキンラ(Anakinra))、マイオブロック(MYOBLOC)(B型ボツリヌス毒素(Botulinum toxin type B))、ニューラスタ(Neulasta)(ペグフィルグラスチム(Pegfilgrastim))、ニューメガ(Neumega)(オプレルベキン(Oprelvekin))、ニューポジェン(Neupogen)(フィルグラスチム(Filgrastim))、オンタック(Ontak)(デニロイキンディフチトクス(Denileukin diftitox))、ペガシス(PEGASYS)(ペグインターフェロンアルファ−2a(Peginterferon alfa−2a))、プロロイキン(Proleukin)(アルデスロイキン(Aldesleukin))、プルモザイム(Pulmozyme)(ドルナーゼアルファ(Dornase alfa))、レビフ(Rebif)(インターフェロンベータ−1a(Interferon beta−1a))、レグラネクス(Regranex)(ベカプレルミン(Becaplermin))、レタバーゼ(Retavase)(レテプラーゼ(Reteplase))、ロフェロン−A(Roferon−A)(インターフェロンアルファ−2(Interferon alfa−2))、TNKアーゼ(TNKase)(テネクテプラーゼ(Tenecteplase))、ならびにザイグリス(Xigris)(ドロトレコギンアルファ(Drotrecogin alfa))、アーカリスト(Arcalyst)(リロナセプト(Rilonacept))、エヌプレート(NPlate)(ロミプロスチム(Romiplostim))、ミルセラ(Mircera)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、シンライズ(Cinryze)(C1エステラーゼ阻害剤)、エラプラーゼ(Elaprase)(イデュルスルファーゼ(idursulfase))、ミオザイム(Myozyme)(アルグルコシダーゼアルファ)、オレンシア(Orencia)(アバタセプト(abatacept))、ナグラザイム(Naglazyme)(ガルスルファーゼ)、ケピバンス(Kepivance)(パリフェルミン(palifermin))、およびアクティミューン(Actimmune)(インターフェロンガンマ−1b)を含むが、これらに限定されるものではない。
溶液中タンパク質はまた、抗体またはその抗原結合部分など、免疫グロブリンまたはその抗原結合断片であってもよい。例示的自動注射装置において使用されてもよい抗体の例は、キメラ抗体、非ヒト抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、およびドメイン抗体(dAbs)を含むが、これらに限定されるものではない。一例示的実施形態において、免疫グロブリンまたはその抗原結合断片は、抗TNFαおよび/または抗IL−12抗体である(たとえば、二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD)IgTMであってもよい)。例示的実施形態の方法および構成において使用されてもよい、免疫グロブリンまたはその抗原結合断片のその他の例は、1D4.7(抗IL−12/IL−23抗体、Abbott Laboratories)、2.5(E)mg1(抗IL−18;Abbott Laboratories)、13C5.5(抗IL−13抗体;Abbott Laboratories)、J695(抗IL−12;Abbott Laboratories)、アフェリモマブ(Afelimomab)(Fab2抗TNF;Abbott Laboratories)、ヒュミラ(R)(アダリムマブ)Abbott Laboratories)、キャンパス(Campath)(アレムツズマブ(Alemtuzumab))、CEA−Scanアルシツモマブ(Arcitumomab)(fab断片)、アービタックスErbitux(セツキシマブ(Cetuximab))、ハーセプチン(Herceptin)(トラスツズマブ(Trastuzumab))、ミオシント(Myoscint)(イムシロマブペンテテート(Imciromab Pentetate))、プロスタシント(ProstaScint)(カプロマブペンデチド(Capromab Pendetide))、レミケード(Remicade)(インフリキシマブ(Infliximab))、レオプロ(ReoPro)(アブシキシマブ(Abciximab))、リツキサン(Rituxan)(リツキシマブ(Rituximab))、シムレクト(Simulect)(バシリキシマブ(Basiliximab))、シナジス(Synagis)(パリビズマブ(Palivizumab))、ベルルマ(Verluma)(ノフェツモマブ(Nofetumomab))、ゾレア(Xolair)(オマリズマブ(Omalizumab))、ゼナパックス(Zenapax)(ダクリズマブ(Daclizumab))、ゼヴァリン(Zevalin)(イブリツモマブチウキセタン(Ibritumomab Tiuxetan))、オルソクローンOKT3(Orthoclone OKT3)(ムロモナブ(Muromonab)−CD3)、パノレックス(Panorex)(エドレコロマブ(Edrecolomab))、マイロターグ(Mylotarg)(ゲムツズマブオゾガマイシン(Gemtuzumab ozogamicin))、ゴリムマブ(golimumab)(Centocor)、シムジア(Cimzia)(セルトリズマブペゴール(Certolizumab pegol))、ソリリス(Soliris)(エクリズマブ(Eculizumab))、CNTO1275(ウステキヌマブ(ustekinumab))、ベクチビックス(Vectibix)(パニツムマブ(panitumumab))、ベクサー(Bexxar)(トシツモマブ(tositumomab)およびI131トシツモマブ)、およびアバスチン(Avastin)(ベバシズマブ(bevacizumab))を含むが、これらに限定されるものではない。
例示的実施形態の方法および構成において使用されてもよい、免疫グロブリンまたはその抗原結合断片の追加例は、D2E7軽鎖可変領域(配列番号1)、D2E7重鎖可変領域(配列番号2)、D2E7軽鎖可変領域CDR3(配列番号3)、D2E7重鎖可変領域CDR3(配列番号4)、D2E7軽鎖可変領域CDR2(配列番号5)、D2E7重鎖可変領域CDR2(配列番号6)、D2E7軽鎖可変領域CDR1(配列番号7)、D2E7重鎖可変領域CDR1(配列番号8)、2SD4軽鎖可変領域(配列番号9)、2SD4重鎖可変領域(配列番号10)、2SD4軽鎖可変CDR3(配列番号11)、EP B12軽鎖可変CDR3(配列番号12)、VL10E4軽鎖可変CDR3(配列番号13)、VL100A9軽鎖可変CDR3(配列番号14)、VLL100D2軽鎖可変CDR3(配列番号15)、VLL0F4軽鎖可変CDR3(配列番号16)、LOE5軽鎖可変CDR3(配列番号17)、VLLOG7軽鎖可変CDR3(配列番号18)、VLLOG9軽鎖可変CDR3(配列番号19)、VLLOH1軽鎖可変CDR3(配列番号20)、VLLOH10軽鎖可変CDR3(配列番号21)、VL1B7軽鎖可変CDR3(配列番号22)、VL1C1軽鎖可変CDR3(配列番号23)、VL0.1F4軽鎖可変CDR3(配列番号24)、VL0.1H8軽鎖可変CDR3(配列番号25)、LOE7.A軽鎖可変CDR3(配列番号26)、2SD4重鎖可変領域CDR(配列番号27)、VH1B11重鎖可変領域CDR(配列番号28)、VH1D8重鎖可変領域CDR(配列番号29)、VH1A11重鎖可変領域CDR(配列番号30)、VH1B12重鎖可変領域CDR(配列番号31)、VH1E4重鎖可変領域CDR(配列番号32)、VH1F6重鎖可変領域CDR(配列番号33)、3C−H2重鎖可変領域CDR(配列番号34)、およびVH1−D2.N重鎖可変領域CDR(配列番号35)のうちの1つ以上を含むタンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。
「ヒトTNFα」という用語(本明細書では、hTNFαまたは単にhTNFと略される)は、その生物学的活性型が非共有結合17kD分子の三量体からなる、17kD分泌型および26kD膜関連型として存在する、ヒトサイトカインを指す。hTNFαの構造は、たとえばPennica,Dら(1984)Nature312:724−729;Davis,J.M.ら(1987)Biochem.26:1322−1326;およびJones,E.Y.ら(1989)Nature338:225−228に、さらに記載されている。ヒトTNFαという用語は、標準的な遺伝子発現方法によって準備可能な、または商業的に購入可能な(ミネソタ州ミネアポリス、R&D Systems、カタログ番号210−TA)、遺伝子組換えヒトTNFα(rhTNFα)を含むように意図される。TNFαはまた、TNFとも称される。
「TNFα阻害薬」という用語は、TNFα活性を阻害する薬剤を指す。この用語はまた、本明細書に記載される抗TNFαヒト抗体(本明細書においてTNFα抗体と同義に用いられる)および抗体部分、ならびに米国特許第6,090,382号明細書、米国特許第6,258,562号明細書、米国特許第6,509,015号明細書、米国特許第7,223,394号明細書、および米国特許第6,509,015号明細書に記載されるものの、各々も含む。一実施形態において、本発明で使用されるTNFα阻害薬は、インフリキシマブ(レミケード(Remicade)(R)、Johnson and Johnson;米国特許第5,656,272号明細書に記載)、CDP571(ヒト化モノクローナル抗TNFαIgG4抗体)、CDP870(ヒト化モノクローナル抗TNFα抗体断片)、抗TNF dAb(Peptech)、CNTO148(ゴリムマブ;Centocor、国際公開第02/12502号および米国特許第7,521,206号明細書および米国特許第7,250,165号明細書参照)、およびアダリムマブ(ヒュミラ(HUMIRA)(R)、Abbott Laboratories、ヒト抗TNF mAb、米国特許第6,090,382号明細書においてD2E7として記載)を含む、抗TNFα抗体、またはその断片である。本発明において使用されてもよいさらなるTNF抗体は、米国特許第6,593,458号明細書、米国特許第6,498,237号明細書、米国特許第6,451,983号明細書、および米国特許第6,448,380号明細書に記載されている。別の実施形態において、TNFα阻害薬は、たとえばエタネルセプト(エンブレル(Embrel)(R)、Amgen;国際公開第91/03553号および国際公開第09/406476号に記載)などのTNF融合タンパク質である。別の実施形態において、TNFα阻害薬は、遺伝子組換えTNF結合タンパク質(r−TBP−I)(Serono)である。
一実施形態において、「TNFα阻害薬」という用語は、インフリキシマブを除外する。一実施形態において、「TNFα阻害薬」という用語は、アダリムマブを除外する。別の実施形態において、「TNFα阻害薬」という用語は、アダリムマブおよびインフリキシマブを除外する。
一実施形態において、「TNFα阻害薬」という用語は、エタネルセプト、ならびに場合により、アダリムマブ、インフリキシマブ、およびアダリムマブとインフリキシマブとを除外する。
一実施形態において、「TNFα阻害薬」という用語は、インフリキシマブを除隊する。一実施形態において、「TNFα阻害薬」という用語は、アダリムマブを除外する。別の実施形態において、「TNFα阻害薬」という用語は、アダリムマブおよびインフリキシマブを除外する。
「抗体」という用語は、通常、ジスルフィド結合によって相互接続された2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖の4つのポリペプチド鎖からなる、免疫グロブリン分子を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(HCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびCH3の3つのドメインからなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLからなる。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存性の高い領域が組み込まれた、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域に、さらに細分化されることが可能である。各VHおよびVLは、以下の順でアミノ末端からカルボキシ末端まで配置された、3つのCDRおよび4つのFRからなる:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。本発明の抗体は、米国特許第6,090,382号明細書、米国特許第6,258,562号明細書、および米国特許第6,509,015号明細書に、さらに詳細に記載されている。
抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)という用語は、抗原(たとえば、hTNFα)に特異的に結合する能力を保持する抗体の、1つ以上の断片を指す。完全長抗体の断片は、抗体の抗原結合機能を実行することができる。抗体の「抗原結合部分」という用語内に包含される結合断片の例は、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価断片である、Fab断片、(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab’)2断片、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHまたはVLドメインからなる、dAb断片(Wardら(1989)Nature,341:544−546)、(vi)単離相補性決定領域(CDR)、および(vii)二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD−Ig)を含む。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLおよびVHは個別の遺伝子によってコードされるものの、VLおよびVH領域が対になって一価分子を形成する単一のタンパク質鎖としてこれらが作られることを可能にする合成リンカによって、遺伝子組換え方法を用いてこれらが接合されることが可能である(単一鎖Fv(scFv)として知られる;たとえば、Birdら(1988)Schience242:423−426、およびHustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:5879−5883参照)。このような単一鎖抗体はまた、抗体の「抗原結合部分」という用語にも包含される。二重特異性抗体などの単一鎖抗体のその他の型もまた包含される。二重特異性抗体は、VHおよびVLドメインが単一ポリペプチド鎖上に発現される二価の二重特異性抗体であるが、ただし同じ鎖上の2つのドメインの間に対を形成するには短すぎるリンカを使用することにより、これらのドメインを別の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、2つの抗原結合部位を形成する(たとえば、Holligerら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.90:6444−6448、Poljakら(1994)Structure,2:1121−1123参照)。本発明の抗体部分は、米国特許第6,090,382号明細書、米国特許第6,258,562号明細書、および米国特許第6,509,015号明細書に、さらに詳細に記載されている。
「遺伝子組換えヒト抗体」という用語は、宿主細胞(後にさらに記載される)内にトランスフェクトされた組換え発現ベクタを用いて発現される抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリ(後にさらに記載される)から単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子に導入される動物(たとえばマウス)から単離された抗体(たとえばTaylorら(1992)Nucl.Acids Res.20:6287参照)、または他のDNA配列とのヒト免疫グロブリン遺伝子配列の接合を伴うその他いずれかの手段によって準備、発現、形成、または単離された抗体など、遺伝子組換え手段によって準備、発現、形成、または単離された、全てのヒト抗体を指す。このような遺伝子組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する、可変および定常領域を有する。しかしながら、特定の実施形態において、このような遺伝子組換えヒト抗体はインビトロ突然変異誘発(またはヒトIg配列に導入される動物が使用されるときはインビボ体細胞突然変異誘発)を受け、したがって遺伝子組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列に由来し、これに関連しながら、インビボのヒト抗体生殖細胞系レパートリ中に自然には存在しない配列である。
このようなキメラの、ヒト化された、ヒトの、および二重特異性の抗体は、たとえばPCT国際出願第PCT/US86/02269号明細書、欧州特許出願第184,187号明細書、欧州特許出願第171,496号明細書、欧州特許出願第173,494号明細書、PCT国際公開第86/01533号、米国特許第4,816,567号明細書、欧州特許出願第125,023号明細書、Betterら(1988)Science,240:1041−1043、Liur(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:3439−3443;Liur(1987)J.Immunol.139:3521−3526、Sunr(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:214−218、Nishimuraら(1987)Cancer Res.47:999−1005、Woodら(1985)Nature,314:446−449、Shawら(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559、Morrison(1985)Science,229:1202−1207、Oiら(1986)BioTechniques,4:214;米国特許第5,225,539号明細書、Jonesら(1986)Nature,321:552−525、Verhoeyanら(1988)Science,239:1534、およびBeidlerら(1988)J.Immunol.141:4053−4060、Queenら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:10029−10033(1989)、米国特許第5,530,101号明細書、米国特許第5,585,089号明細書、米国特許第5,693,761号明細書、米国特許第5,693,762号明細書、国際公開第90/07861号、および米国特許第5,225,539号明細書に記載される方法を用いて、当該技術分野において周知の組換えDNA技術によって、生成されることが可能である。
「投与量」または「用量」という用語は、好ましくは本発明の装着型自動注射装置を用いて患者に投与される、TNFα阻害薬などの物質の量を指す。一実施形態において、投与量は、たとえば20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、および160mgのTNFα阻害剤アダリムマブを含むがこれらに限定されない、有効量を含む。
「投薬」という用語は、治療目的(たとえばリウマチ性関節炎の治療)を達成するための、物質(たとえば、抗TNFα抗体)の投与を指す。
「投薬計画」という用語は、たとえばTNFα阻害薬などの物質の処置計画、長期間にわたるおよび/または処置経過全体にわたる処置計画を記載するものであり、たとえば0週目に第一投与量のTNFα阻害薬を投与し、その後隔週投薬計画に基づいて第二投与量のTNFα阻害薬を投与する。
「処置」という用語は、治療的処置、ならびに、たとえばリウマチ性関節炎など、TNFαが有害となる疾患などの疾患の処置のための、予防または抑制手段を指す。
「患者」または「ユーザ」という用語は、例示的自動注射装置を用いて物質の投与を受けてもよい、動物(ヒト、または非ヒト)のいずれかのタイプを指す。
「装着型自動注射装置」および「装着型自動注射器」という用語は、装着型装置を患者の皮膚に直接固定することにより、または装置を患者の身体に接触されることが可能な衣類に装着型装置を固定することにより、治療的有効投与量の治療薬を患者が自己投与できるようにする、患者によって装着される装置を指し、装着型装置は、機構が係合したときに患者の身体に治療薬を自動的に投与する機構を含む点において、従来型シリンジとは異なっている。
「シリンジ」および「カートリッジ」という用語は、患者、または患者に治療薬を投与するためのその他の非医療専門家への流通または販売に先立って、1回投与量の治療薬が充填された無菌バレル部分を包含する。バレル部分がシリンジを形成する例示的実施形態において、バレル部分の遠位末端は、1つの無菌針または複数の無菌針に結合されてもよい。バレル部分がカートリッジを形成する別の例示的実施形態において、バレル部分は1つの無菌針または複数の無菌針に結合されなくてもよい。いくつかの例示的実施形態において、シリンジは、1つの事前取り付け針、またはそのバレル部分位結合された複数の針を備える、カートリッジであってもよい。
シリンジまたはカートリッジの例示的なバレル部分は、ポリマー材(たとえば、医療グレードポリマー)、金属、ガラス、シリコーン結晶などを含むがこれらに限定されない、いずれの適切な材料で形成されてもよい。一例示的実施形態において、バレル部分は硬質であってもよく、あるいは治療薬を保持するための1つ以上の軟質パウチの形態を取ってもよい。
シリンジアセンブリを参照して本明細書に記載される例示的実施形態はまた、カートリッジアセンブリを用いて実現されてもよい。同様に、カートリッジアセンブリを参照して本明細書に記載される例示的実施形態もまた、シリンジアセンブリを用いて実現されてもよい。
「容器」という用語は、1回投与量の治療薬を保持するために例示的な装着型自動注射装置において使用されてもよい、シリンジもしくはカートリッジを指す。
「付勢機構」という用語は、プランジャおよび/または栓に直接的または間接的に力を供給する、自動注射装置内の1つ以上の構成要素を指す。一例示的実施形態において、付勢機構は1つ以上のバネを含んでもよい(たとえばコイルバネ、圧縮バネ)。付勢機構は、治療薬の投与の前には後退状態にあってもよく、バレル部分の内部で栓を前方に作動するために、投与中に解放されてもよい。別の例示的実施形態において、付勢機構は、治療薬の投与前には非膨張段階にあり、投与中にバレル部分の内部で栓を前方に作動するために膨張する、たとえば膨張フォームなどの、化学ガス発生器を含んでもよい。別の例示的実施形態において、付勢機構は、作動流体の液圧、圧縮ガスのガス圧、浸透圧、ヒドロゲル膨張などを利用してもよい。
「投与」という用語は、患者の身体に対する治療薬の送達または投与のいずれかの機構を指す。投与の例示的な機構または技術は、皮下、皮内、筋肉内、局所などを含むが、これらに限定されるものではない。
「投与部位」という用語は、そこでまたはその付近で例示的自動注射装置が治療薬を投与するために患者に接触してもよい、患者の体表または体内の場所を指す。
「投与インターフェース」という用語は、患者に1回投与量の治療薬を投与するために患者の身体に挿入される、塗布される、または別途接触する、装着型自動注射装置内の1つ以上の構成要素を指す。一例示的実施形態において、投与インターフェースは、1回投与量の治療薬を保持するシリンジまたはカートリッジアセンブリに直接連結されるか、またはこれと接触していてもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェースは、たとえば穿通針を介して、シリンジまたはカートリッジアセンブリに、間接的に結合されてもよい。一例示的実施形態において、搬送機構は、穿通針と投与インターフェースとの間に流体連通を提供してもよい。例示的投与インターフェースは、単一の針、複数の針、管材に結合された1つの針、管材に結合された複数の針、溶解性微小針を含む複数の微小針、無針パッド、無針パッチなどを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
「微小針」および「ミニ針」という用語は、患者に治療薬を投与する所望の手法に適したいずれかの寸法を有する、微小注射針を指す。例示的な微小針は、約1ミクロンから約5mmの長さの範囲であってもよいが、この例示的範囲に限定されるものではない。
「穿通針」および「穿通針」という用語は、シリンジまたはカートリッジアセンブリから後に患者に治療薬を投与する投与インターフェースまで1回投与量の治療薬を搬送するために、シリンジまたはカートリッジアセンブリと結合または接触している、装着型自動注射装置内の1つ以上の尖った部品(たとえば、1つ以上の針および/または1つ以上のトゲ)を指す。一例示的実施形態において、穿通針は、患者に挿入または適用されない。別の例示的実施形態において、穿通針は患者の身体に挿入または適用されてもよい。
シリンジアセンブリを含む例示的な装着型自動注射装置において、穿通針は、シリンジのバレル部分と直接結合されてもよく、バレルと流体連通していてもよい。カートリッジアセンブリを含む例示的な装着型自動注射装置において、穿通針は、たとえば投与インターフェースボタンまたは搬送機構の内部で、カートリッジのバレル部分から個別に提供されてもよい。投与段階の間、穿通針は、穿通針とバレル部分との間に流体連通を確立するために、カートリッジのバレル部分の遠位末端に挿入されてもよい。
「投与前状態」という用語は、装置に収容された治療薬の投与の開始前の、装着型自動注射装置の状態を指す。
「投与状態」という用語は、装置に収容された治療薬の投与中の、装着型自動注射装置の1つ以上の状態を指す。
「投与後状態」という用語は、装置に収容された治療的有効投与量の治療薬の投与の完了、および治療的有効投与量の治療薬の投与の完了前の、患者からの装置の抜去を指す。
「高速(fast)」という用語は、ある量の治療薬の投与速度を指す。一例示的実施形態において、約0.1ミリリットルから約1ミリリットル以上の量の治療薬が、約1秒から約12時間の投与時間で投与されてもよい。一例示的実施形態において、同じ範囲の量の投与時間は、約1秒から約30秒の範囲であってもよいが、この例示的範囲に限定されるものではない。特定の例示的実施形態において、約0.1ミリリットルから約1ミリリットルの治療薬量が、約3秒から約5秒の範囲の持続時間にわたって投与されてもよい。特定の例示的実施形態において、約0.1ミリリットルから約1ミリリットルの治療薬量が、約20秒以下の持続時間にわたって投与されてもよい。
特定の例示的実施形態において、約1秒から約30秒の範囲の持続時間内で1ミリリットルを超える量を投与するために、2つ以上の自動注射装置が結合または同時に使用されてもよい。
特定の例示的実施形態において、約1秒から約30秒の範囲の持続時間内で1ミリリットルを超える量を同時に投与するために、2つ以上のカートリッジが自動注射装置内に設けられてもよい。
特定の例示的実施形態において、約1秒から約30秒の範囲の持続時間内で1ミリリットルを超える量を同時に投与するために、2つ以上のシリンジが自動注射装置内に設けられてもよい。
「衣服」という用語は、例示的な装着型自動注射装置が結合または取り付けされてもよい、患者の皮膚上のいずれか適切な被覆を指す。したがって衣類は、装置と患者の皮膚との間に中間層を形成してもよく、装置を患者の皮膚に間接的に結合するために使用されてもよい。一例示的実施形態において、衣類はたとえばナイロンストッキングなど、患者の皮膚上のぴったりした衣服であってもよい。別の例示的実施形態において、衣類は医療用テープ、包帯などを含むがこれらに限定されない、患者の皮膚上の被覆であってもよい。別の例示的実施形態において、衣類は、患者の身体の一部の周りに適合できる袖、ベルト、ストラップ(たとえばベルクロ(R)ストラップ)などを含むがこれらに限定されない、患者の皮膚の近傍に装置を取り付ける、結合機構であってもよい。
「近位」という用語は、本明細書で使用される際、装置が注射のためまたは注射を模倣するために患者に対して保持されるときに、患者の身体の注射部位から最も遠い、例示的自動注射装置の部分、末端、または部品を指す。
「遠位」という用語は、本明細書で使用される際、装置が注射のためまたは注射を模倣するために患者に対して保持されるときに、患者の身体の注射部位から最も近い、例示的自動注射装置の部分、末端、または部品を指す。
「等しい」という用語は本明細書において、正確に等しいこと、またはある程度の公差の範囲内でほぼ等しいことを意味するために、広範な意味において使用される。
II.例示的自動注射装置
図1から図14を参照して、特定の例示的な装着型自動注射装置が記載される。治療薬を搬送するために例示的な装着型自動注射装置において使用されてもよい特定の例示的な針システムは、図15から図21を参照して記載される。シリンジまたはカートリッジから治療薬を放出するために例示的な装着型自動注射装置において使用されてもよい特定の例示的なプランジャ作動システムおよび投与インターフェース後退システムは、図22から図31を参照して記載される。投与後状態において投与後の後退位置に投与インターフェースを保持するために例示的な装着型自動注射装置において使用されてもよい特定の例示的投与インターフェース保護システムは、図32から図35を参照して記載される。
例示的な装着型自動注射装置は、投与インターフェースを通じて患者に投与されてもよい1回投与量の治療薬を保持するために、カートリッジアセンブリ(図1Aから図1Fに示される)またはシリンジアセンブリ(図2Aから図2Fに示される)を採用してもよい。図1Aから図1Fおよび図2Aから図2Fのうちのいくつかにおいて、投与インターフェースは単一の注射針として示されている。しかしながら、例示的投与インターフェースは、図1Aから図1Fおよび図2Aから図2Fに示される説明的実施形態に限定されるものではない。
図1Aから図1Fは、患者に1回投与量の治療薬を投与するために使用されてもよいカートリッジアセンブリを含む、装着型自動注射装置100の例示的実施形態を示す。図1Aは、包装済み投与前状態の例示的な装着型装置100の第一端面図および第一側面図を示す。図1Bは、患者に治療薬を投与する準備のために投与インターフェースを被覆するカバーが外されている、投与前状態にある例示的装置100の第一端面図および第一側面図を示す。図1Cは、投与インターフェースが、患者の身体と接触するために装置の筐体から突起している、投与状態にある投与中の例示的装置100の第一端面図および第一側面図を示す。図1Dは、1回投与量の治療薬を収容するバレル部分が装置100の筐体内で前方に展開されている、投与状態にある投与中の例示的装置100の第一端面図および第一側面図を示す。図1Eは、バレル部分から投与量の治療薬を放出するために栓がプランジャアクチュエータによって作動されている、投与状態にある投与中の例示的装置100の第一端面図および第一側面図を示す。図1Fは、投与インターフェースが装置100の筐体内で後退させられている、投与後状態にある投与後の例示的装置100の第一端面図および第一側面図を示す。
装着型自動注射装置100は、カートリッジアセンブリを適合させるための内部または空洞をその中に画定するために複数の壁を含む、筐体102を含んでもよい。一例示的実施形態において、1つ以上の開口部または開口端が、筐体102の側壁に設けられてもよく、例示的なカートリッジアセンブリを受容するように構成されてもよい。一例示的実施形態において、自動注射装置の組み立て中に、カートリッジアセンブリは開口部または開口端を通じて筐体102の空洞内に摺動させられてもよい。一例示的実施形態において、開口部または開口端を被覆するために、カバー部が設けられてもよい。
一例示的実施形態において、筐体102は長尺構成を有してもよいが、ただし筐体102が、患者に投与される1回投与量の治療薬を含むバレル部分を収容するためのいずれの適切なサイズ、形状、および構成を有してもよいことを、当業者は認識するであろう。一例示的実施形態において、筐体102は、患者接触部分を形成する基部に結合された単一カバーとして、提供されてもよい。一例示的実施形態において、筐体102は、プラスチックおよびその他の周知の材料を含むがこれらに限定されない、いずれの適切な材料で形成されてもよい。
装着型自動注射装置100の筐体102は、患者の皮膚または患者の衣類の近傍に配置された筐体102の底部の患者接触部分に沿って設けられた、接着層124を含んでもよい。いくつかの例示的実施形態において、接着層124は、投与量の治療薬を投与するために筐体102を患者に取り付けるため、患者の身体上に配置されるように構成されてもよい。接着層124は、接着性ではない、たとえばタブなどの非接着抜去機構126を含んでもよい。非接着抜去機構126は、患者の皮膚または衣服から装着型自動注射装置100を取り外すために、患者によって握持されて引っ張られてもよい。
装着型自動注射装置100が、たとえば図1Aに示される包装状態で使用される前に、接着層124は、接着層124の接着性を保存する保護フィルム128によって被覆されてもよい。保護フィルム128は、接着層124から保護フィルム128を剥がすために患者によって握持されて引っ張られてもよい、抜去機構130を含んでもよい。これにより接着層124を露出し、皮膚または衣類の上に接着層124の側を配置することによって、患者が患者の皮膚または衣類に筐体102を取り付けられるようにする。
筐体102は、近位末端(投与インターフェースから最も遠い)と遠位末端(投与インターフェースから最も近い)との間で実質的に長手軸Lに沿って延在する、治療薬カートリッジアセンブリを収容してもよい。カートリッジアセンブリは、患者に投与される1回投与量108の治療薬を保持するためのバレル部分106を含んでもよい。バレル部分106は、近位末端(投与インターフェースから最も遠い)と遠位末端(投与インターフェースから最も近い)との間で実質的に長手軸に沿って延在してもよい。一例示的実施形態において、バレル部分106は、円形断面を有する実質的円筒形部材であってもよいが、ただしバレル部分106がいずれの適切な形状または構成を有してもよいことを、当業者は認識するであろう。
一例示的実施形態において、投与プロセスが筐体102の内部でこれに対するバレル部分106の運動を結果的に生じないように、バレル部分106は筐体102の内部で静止していてもよい。別の例示的実施形態において、バレル部分106は最初に、すなわち治療薬の投与の前の投与前状態において、装置100の近位末端に向かう後退位置にあってもよく(図1Aから図1Cに示される)、治療薬の投与中の投与状態において、装置100の遠位末端に向かって伸長位置まで作動されてもよい。バレル部分106の内部に投与量の治療薬を封止するため、およびバレル部分106から投与量を放出するために投与量に力を印加するために、バレル部分106の近位末端に、またはその付近に、栓110が設けられてもよい。栓110は、治療薬の投与中の投与状態において、バレル部分106から投与量を放出するために、バレル部分106の内部でバレル部分106の遠位末端に向かって移動可能であってもよい。一例示的実施形態において、栓110は、投与量を封止してバレル部分106から投与量を押し出す機能の両方を実行するように、構成されてもよい。別の例示的実施形態において、栓はバレル部分106の内部に投与量を封止するために設けられてもよく、バレル部分106から投与量を押し出すために栓に力を付与するため、別にピストンまたはプランジャロッドが設けられてもよい。
カートリッジアセンブリは、近位末端に、またはその付近に、バレル部分106内に収容された治療的有効投与量を患者に投与するために、バレル部分106の内部で遠位末端に向かって前方に栓110を選択的に作動させるための、プランジャアクチュエータを含んでもよい。プランジャアクチュエータ112は、栓110を作動するためのエネルギー貯蔵および制御エネルギー解放機構を採用してもよい。例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ112は、バレル部分106の外側に、あるいは部分的にまたは完全にバレル部分106の内部に、位置してもよい。一例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ112は、直接的に、または栓110とプランジャアクチュエータ112との間に設けられたプランジャの使用を通じて間接的に、栓110を駆動してもよい。
一例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ112は、投与前に後退させられて、投与中にバレル部分106の内部で栓110を前方に作動するために解放される、たとえばバネなどの付勢機構を含んでもよい。別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ112は、投与前には非膨張段階にあり、投与中にバレル部分106の内部で栓110を前方に作動するために膨張する、たとえば膨張フォームなどの、化学ガス発生器を含んでもよい。別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ112は、作動流体の液圧、圧縮ガスのガス圧、浸透圧、ヒドロゲル膨張などを利用してもよい。
一例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ112は、実質的に線形に、すなわち実質的に一定の速度で、バレル部分106の内部で前方に移動させられてもよい。これにより、投与量は実質的に一定の投与速度で患者に投与され得るようになる。プランジャアクチュエータ112は、たとえばエネルギーの初期解放など、エネルギーを吸収するため、およびプランジャアクチュエータ112によるエネルギーの解放中により制御されたエネルギーの解放を提供するために使用されてもよい、減衰機構を含んでもよく、あるいはこれに結合されてもよい。エネルギーの制御解放は、実質的に線形の投与プロファイル、すなわち時間に対する投与量の実質的に一定の投与速度を生じてもよく、投与速度の急激な変化を防止してもよい。
一例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ112は、作動流体の液圧がカートリッジのバレル部分の内部で栓を移動させるために栓に力を印加する、作動流体を含む1つ以上の流体回路を採用してもよい。減衰機構は、作動流体源と栓との間の流体回路に配置された、流量制限器を採用してもよい。
別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ112は、たとえばらせんバネまたは圧縮コイルバネなどの、付勢機構を採用してもよい。減衰機構は、粘性ダンパ、スイスレバー脱進機、ランナウェイ脱進機などを採用してもよい。
別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ112は、定常線形投与プロファイルを提供するために、歯車駆動システムに接続されたステッピングモータを採用してもよい。
カートリッジアセンブリは、その遠位末端に、またはその付近に、隔壁および隔壁用のカバー115を含んでもよい、カートリッジストッパ114を含んでもよい。隔壁は、バレル部分106の内部に投与量を封止するために、バレル部分106の遠位末端に隣接して設けられた材料の穿通可能な層であってもよい。無傷であれば、隔壁はバレル部分106の内部に投与量を封止できる。たとえば穿通針などの尖った部品によって穿通されると、隔壁は投与量をバレル部分106から離して穿通針に侵入させてもよい。隔壁は、穿通針によって穿通されてもよい材料で形成されてもよい。図1Aに示されるように装置100が包装済み投与前状態にあるときに、穿通針による偶発的な穿通から隔壁を保護的に被覆するために、カバーが設けられてもよい。一例示的実施形態において、カートリッジストッパ114もまた、カートリッジストッパ114の近傍に設けられた穿通針を保護的に被覆するためのカバーを含んでもよく、これにより、図1Aに示されるように装置100が包装済み投与前状態にあるときに、穿通針による隔壁の偶発的な穿通を防止する。
装着型自動注射装置100の筐体102はまた、患者の皮膚を穿通するように構成された投与インターフェース118を担持する、投与インターフェースボタン116も収容してもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェース118は、装置100の長手軸Lに対して直角に位置合わせされてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェース118は、投与インターフェースボタン116内に、または投与インターフェースボタン116とは別に設けられた、投与インターフェースキャリア(図示せず)によって、所定位置に保持されてもよい。
いくつかの例示的実施形態において、投与インターフェース118は、治療薬を投与するために患者の皮膚を穿通するのに適したいずれかのサイズ、形状、および構成を有する、1つ以上の注射針を含んでもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェース118は、単一の注射針(図1Aから図1Fにおいて実線として示される)を含んでもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース118は2つ以上の注射針を含んでもよい(追加針は図1Aから図1Fにおいて破線として示される)。その他いくつかの例示的実施形態において、投与インターフェース118は、治療薬の局所投与を実行するための、無針パッドおよび/または無針パッチを含んでもよい。
例示的投与インターフェースにおいて使用されてもよい適切な注射針は、所望の治療に適した投与深さを提供するように構成または選択された長さを有してもよい。皮下注射は一般的に、皮膚内に約6から10ミリメートル貫入する。一例示的実施形態において、例示的注射針は、約12mmの長さを有してもよく、皮膚内に約7mmの深さまで投与されてもよい。別の例示的実施形態において、例示的注射針は、皮内、筋肉内治療などに適した長さを有してもよい。適切な注射針は、十分な機構強度を提供するのに適した壁厚、患者の感覚を最小限に抑えながら物質の所望の流量を許容するのに適した直径、および患者の感覚を最小限に抑えながら所望の治療に適した先端形状を、有してもよい。
例示的注射針は、治療によって許容される程度に患者の感覚を最小化する必要に応じて被覆されてもよい。投与インターフェース118は、たとえば硬質針シールド、軟質針シールド、またはその両方など、投与インターフェースカバー122によって被覆され、機械的損傷から保護され、無菌または腐敗状態で維持されてもよい。投与インターフェースカバー122はまた、投与インターフェース118によって形成されてこれに結合された、流体導管の無菌性も維持してよい。
投与インターフェースボタン116はまた、隔壁を穿通してバレル部分106との流体連通を確立するように構成された、穿通針120も担持してよい。一例示的実施形態において、穿通針120は、装置100の長手軸Lと平行に位置合わせされてもよい。穿通針120は、隔壁を穿通するのに適したサイズ、形状、および構成を有してもよく、説明的実施形態に限定されるものではない。
一例示的実施形態において、投与インターフェース118および穿通針120は、投与インターフェースボタン116の本体を介して、互いに結合されて流体連通してもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース118および穿通針120は、1つ以上の流体導管(図示せず)を介して、互いに結合されて流体連通してもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース118および穿通針120は、互いに直接的に結合されて流体連通してもよい。
一例示的実施形態において、治療薬の投与の前の投与前状態で、投与インターフェースボタン116は、図1Aおよび図1Bに示されるように、投与インターフェースボタン116が筐体102の上部から突起するように、筐体102に対して垂直上昇位置にあってもよい。この位置において、投与インターフェース118は、筐体102の内部で後退させられてもよく、患者の身体に適用されなくてもよい。この位置において、穿通針120は、カートリッジストッパ114内の隔壁の上方で垂直に位置合わせされてもよく、隔壁を穿通しなくてよい。投与プロセスの初めに、投与インターフェースボタン116は、たとえば装置のユーザによって、または自動的に、下方に押されてもよい。これにより、図1Cから図1Eに示されるように、投与インターフェースボタン116がもはや筐体102の上部から突起しないように、患者の身体により近い筐体102に対する垂直押下位置まで、投与インターフェースボタン116を押してもよい。この位置において、投与インターフェース118は、筐体102の底部から突起してもよく、患者の身体に挿入または適用されてもよい。この位置において、穿通針120は、カートリッジストッパ114内の隔壁と位置合わせされていてもよく、隔壁を穿通してもよい。
一例示的実施形態において、隔壁は最初に投与インターフェースボタン116から離間していてもよい。この実施形態において、穿通針120は、隔壁を担持しているカートリッジストッパ114が筐体102の内部で投与インターフェースボタン116に向かって前進させられるときに、隔壁を穿通してもよい。つまり、治療薬の投与の前の投与前状態において、穿通針120は、バレル部分と投与インターフェースボタン116に結合された投与インターフェース118との間に流体連通がないように、隔壁から離間していてもよい。投与状態において、穿通針120が隔壁を穿通して、バレル部分106と投与インターフェースボタン116に結合された投与インターフェース118との間に流体連通を確立するように、バレル部分106は装置100の遠位末端に向かって筐体102の内部で前進してもよい。この流体連通は、治療薬の投与中の投与状態において栓110によって投与量に圧力が印加されたときに、投与量の治療薬をバレル部分106から穿通針120および投与インターフェース118を通じて患者まで流すことを可能にしてもよい。
ここで図1Fを参照すると、一例示的実施形態において、装着型自動注射装置100の筐体102は皮膚センサ足132を含んでもよく、これは患者の身体の投与部位の近傍の筐体102の部分の下または内部に収容された構造である。治療薬の投与の前および最中に、皮膚センサ足132は、筐体102の下面の部分の中に保持されるか、またはこれを形成する。装着型自動注射装置100が患者の身体の投与部位に取り付けられて、始動されるとき、皮膚センサ足132は自由に動いてもよいが、しかし投与部位によって拘束されてもよい。治療薬の投与が完了したか否かに関わらず、装着型自動注射装置100が投与部位から取り外されるとき、皮膚センサ足132はもはや拘束されておらず、筐体102の周辺の外側に伸長および突起する。これは翻って後退トリガを始動させる。後退トリガが始動すると、投与インターフェースボタン116が筐体102の上部から突起して、投与インターフェース118が筐体102の内部で後退させられるように、後退機構は投与インターフェース120を後退させて、やはり垂直下降位置から垂直上昇位置まで投与インターフェースボタン116も上昇させてもよい。
図1Aは、バレル部分106が投与量108の治療薬で予備充填済みおよび/または予備充填可能、かつ使用準備が整った後退位置にある、たとえば包装済みの、投与前状態にある装着型自動注射装置100を示す。バレル部分106は、バレル部分106の1つまたは複数の壁と栓110との間に画定された内部空間に、投与量108の治療薬を収容してもよい。一実施形態において、プランジャアクチュエータ112は、解放されたときに栓110を作動させてもよいエネルギーを貯蔵してもよい。投与インターフェースボタン116は、投与部位の上方の垂直上昇位置において筐体102の内部に部分的に配置されてもよく、投与インターフェース118は筐体102の内部で後退させられてもよい。筐体102の上部からの投与インターフェースボタン116の突起は、装着型自動注射装置100が動作していないという視覚的指標を患者に提供してもよい。
図1Bは、投与インターフェースカバー122および隔壁カバーが取り外されている、投与前状態にある装着型自動注射装置100を示す。例示的実施形態において、保護フィルム128は、投与インターフェースカバー122およびカートリッジストッパ114内の隔壁および穿通針カバーに接続された、連結部材を含んでもよい。連結部材は、テザー、タブ、またはその他の連結機構を含んでもよい。保護フィルム128が取り外されると、保護フィルム128の連結部材は投与インターフェースカバー122およびカートリッジストッパ114内の隔壁および穿通針カバーを取り外してもよい。
図1Cは、投与インターフェースボタン116が筐体102の内部の垂直下降位置にある、治療薬の投与中の投与状態における装着型自動注射装置100を示す。垂直下降位置において、投与インターフェースボタン116は、投与部位の上方の押下または垂直下降位置で筐体102の内部に配置されていてもよく、投与インターフェース118は、投与部位において患者の身体と接触できるように、筐体102の1つ以上の開口部または開口端を通じて筐体102から突起してもよい。一例示的実施形態において、開口部または開口端を被覆するためにカバー部が設けられてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェースボタン116が治療薬を投与するために垂直に下降できるように、筐体の開口部または開口端は筐体の患者接触部分の反対側にあってもよい。垂直下降状態において、投与インターフェースボタン116は筐体102の上部から突起しなくてもよく、これにより装着型自動注射装置100が動作しているという視覚的指標を患者に提供してもよい。別の例示的実施形態において、筐体102の開口部または開口端は、患者接触部分の反対側に配置されなくてもよく、代わりに筐体の側壁に設けられてもよい。投与インターフェースボタン116はいくつかの例示的実施形態において、治療薬を投与するために横方向または水平方向に移動させられてもよい。
図1Dは、投与量108の治療薬を含むバレル部分106が装置100の筐体の内部で後退位置から伸長位置まで前方に展開されている、治療薬の投与中の投与状態にある、装着型自動注射装置100を示す。バレル部分106の前進は、バレル部分106の遠位末端またはカートリッジストッパ114を、投与インターフェースボタン116の近傍にまたはこれと接触するように持って行ってもよい。一例示的実施形態において、バレル部分106と投与インターフェース118との間に流体連通を確立するために、穿通針120はカートリッジストッパ114内に保持された隔壁を穿通してもよい。
図1Eは、プランジャアクチュエータ112が栓110を移動させるために起動されている、治療薬の投与中の投与状態にある、装着型自動注射装置100を示す。プランジャアクチュエータ112の起動は、バレル部分106の内部の栓110を装置100の遠位末端に向かって移動させるために、プランジャアクチュエータ112内に貯蔵されたエネルギーを解放してもよい。栓110の移動は、バレル部分106の遠位末端を通じてバレル部分106から投与量の治療薬を吐出してもよい。投与インターフェースボタン116の押下によって、または投与インターフェースカバー122の除去によって、連結されて作動させられる連結部材、患者によって作動されてもよいトリガボタンなどを含むがこれらに限定されない、いずれか適切な機構が、プランジャアクチュエータ112を起動するために使用されてよい。
図1Fは、投与インターフェースボタン116が垂直上昇位置にある、たとえば治療的有効投与量の治療薬の投与の後、または治療的有効投与量の治療薬の投与前の患者からの装着型自動注射装置100の抜去の後の、投与後状態にある装着型自動注射装置100を示す。垂直上昇位置において、投与インターフェースボタン116は、投与部位の上方の上昇または垂直上昇位置で部分的に筐体102の内部に配置されてもよく、投与インターフェース118は筐体102の内部で後退させられてもよい。装着型自動注射装置アセンブリ100が動作していない(すなわち投与後状態にある)という視覚的指標を患者に提供するために、投与インターフェースボタン116の一部が筐体102の上部から突起していてもよい。バレル部分106には治療薬が入っていなくてもよく、プランジャアクチュエータ112はもはやエネルギーを貯蔵していなくてもよい。皮膚センサ足132は、投与部位からの装置100の抜去の直後に筐体102の底部から伸長してもよい。
筐体102は、投与インターフェースボタン116を垂直下降投与状態(図1Cから図1Eに示される)から垂直上昇投与後状態(図1Fに示される)まで自動的に引き上げる、後退機構を含んでもよい。一例示的実施形態において、後退機構は、後退機構が起動されたときにカートリッジアセンブリを投与部位から離れた方へ付勢する、たとえばバネなどの付勢機構を含んでもよい。
後退トリガは、始動されると、投与インターフェースボタン116を垂直下降状態から垂直上昇状態まで持ち上げるために、後退機構を起動してもよい。一例示的実施形態において、栓110および/またはプランジャアクチュエータ112は、後退トリガに接続された連結部材を含んでもよい。連結部材は、テザー、タブ、またはその他の連結機構を含んでもよい。連結部材は、(1回投与量の治療薬を投与するために)栓110がバレル部分106の末端まで移動してしまっているときに、後退トリガを始動させるラッチを連結部材が起動するように、適切な長さであってもよい。別の例示的実施形態において、筐体102の底部からの皮膚センサ足132の伸長が、後退トリガを始動してもよい。
一例示的実施形態において、後退機構は、始動したときに後退機構を起動する、投与終了後退トリガを含んでもよい。投与終了後退トリガは、装着型自動注射装置100内の治療的有効投与量の治療薬が投与されたときに、始動されてもよい。一例示的実施形態において、投与終了後退トリガは、治療薬の投与完了時に解放される、たとえば可撓性プラスチックフックなどのラッチを含んでもよい。後退機構はまた、始動されたときに後退機構を起動する、早期抜去後退トリガも含んでよい。早期抜去後退トリガは、治療的有効投与量の治療薬が完全に投与される前に装着型自動注射装置100が投与部位から抜去されたときに、始動されてもよい。一例示的実施形態において、早期抜去後退トリガは、投与部位からの装着型自動注射装置100の抜去時に解放される、たとえば可撓性プラスチックフックなどのラッチを含んでもよい。後退機構は、カートリッジアセンブリを投与部位から自動的に後退させるために、投与終了後退トリガに反応し、早期抜去後退トリガに反応する。
一例示的実施形態において、投与インターフェースボタン116を垂直上昇位置まで持ち上げることで、穿通針120を上方に曲げさせてもよく、こうして穿通針および装着型自動注射装置の望ましくない再利用を防止する。
図2Aから図2Fは、患者に1回投与量の治療薬を投与するために使用されてもよいシリンジアセンブリを含む、装着型自動注射装置200の例示的実施形態を示す。図2Aは、包装済み投与前状態の例示的な装着型装置200の第一端面図および第一側面図を示す。図2Bは、治療薬投与の準備のために投与インターフェースを被覆するカバ−が外されている、投与前状態にある例示的装置200の第一端面図および第一側面図を示す。図2Cは、投与インターフェースが、患者の身体と接触するために装置の筐体から突起している、治療薬投与中の投与状態にある例示的装置200の第一端面図および第一側面図を示す。図2Dは、投与量の治療薬を収容するバレル部分が装置200の筐体内で前方に展開されている、治療薬の投与中の投与状態にある例示的装置200の第一端面図および第一側面図を示す。図2Eは、バレル部分から投与量の治療薬を放出するために栓がプランジャアクチュエータによって作動されている、治療薬の投与中の投与状態にある例示的装置200の第一端面図および第一側面図を示す。図2Fは、投与インターフェースが装置200の筐体内で後退させられている、治療薬の投与の後の投与後状態にある例示的装置200の第一端面図および第一側面図を示す。
装着型自動注射装置200は、例示的なシリンジアセンブリを適合させるための筐体202を含んでもよい。装着型自動注射装置200は、シリンジアセンブリを適合させるための内部または空洞をその中に画定するために複数の壁を含む、筐体202を含んでもよい。一例示的実施形態において、1つ以上の開口部または開口端が筐体202の側壁に設けられてもよく、例示的なシリンジアセンブリを受容するように構成されてもよい。一例示的実施形態において、自動注射装置の組み立て中に、シリンジアセンブリは開口部または開口端を通じて筐体202の空洞内に摺動させられてもよい。一例示的実施形態において、開口部または開口端を被覆するために、カバー部が設けられてもよい。
一例示的実施形態において、筐体202は長尺構成を有してもよいが、ただし筐体202が、患者に投与される1回投与量の治療薬を含むバレル部分を収容するためのいずれの適切なサイズ、形状、および構成を有してもよいことを、当業者は認識するであろう。一例示的実施形態において、筐体202は、患者接触部分を形成する基部に結合された単一カバーとして、提供されてもよい。一例示的実施形態において、筐体202は、プラスチックおよびその他の周知の材料を含むがこれらに限定されない、いずれの適切な材料で形成されてもよい。
装着型自動注射装置200の筐体202は、患者の皮膚または患者の衣類の近傍に配置された筐体202の底部の患者接触部分に沿って設けられた、接着層224を含んでもよい。いくつかの例示的実施形態において、接着層224は、投与量の治療薬を投与するために筐体202を患者に取り付けるため、患者の皮膚上に配置されるように構成されてもよい。接着層224は、接着性ではない、たとえばタブなどの非接着抜去機構226を含んでもよい。非接着抜去機構226は、患者の皮膚または衣服から装着型自動注射装置200を取り外すために、患者によって握持されて引っ張られてもよい。
装着型自動注射装置200が、たとえば図2Aに示される包装状態で使用される前に、接着層224は、接着層224の接着性を保存する保護フィルム228によって被覆されてもよい。保護フィルム228は、接着層224から保護フィルム228を剥がすために患者によって握持されて引っ張られてもよい、たとえばタブなどの抜去機構230を含んでもよい。これにより接着層224を露出し、皮膚または衣類の上に接着層224の側を配置することによって、患者の皮膚または衣類に筐体202を患者が取り付けられるようにする。
筐体202は、近位末端(投与インターフェースから最も遠い)と遠位末端(投与インターフェースから最も近い)との間で実質的に長手軸Lに沿って延在する、シリンジアセンブリを収容してもよい。シリンジアセンブリは、患者に投与される1回投与量208の治療薬を保持するためのバレル部分206を含んでもよい。バレル部分206は、近位末端(投与インターフェースから最も遠い)と遠位末端(投与インターフェースから最も近い)との間で実質的に長手軸に沿って延在してもよい。一例示的実施形態において、バレル部分206は、円形断面を有する実質的円筒形部材であってもよいが、ただしバレル部分206がいずれの適切な形状または構成を有してもよいことを、当業者は認識するであろう。
一例示的実施形態において、投与プロセスが筐体202の内部でこれに対するバレル部分206の運動を結果的に生じないように、バレル部分206は筐体202の内部で静止していてもよい。別の例示的実施形態において、バレル部分206は最初に、すなわち治療薬の投与の前の投与前状態において、装置200の近位末端に向かう後退位置にあってもよく(図2Aから図2Cに示される)、治療薬の投与中の投与状態において、装置200の遠位末端に向かって伸長位置まで作動されてもよい。
バレル部分206の内部に投与量の治療薬を封止するため、およびバレル部分206から投与量を放出するために投与量に力を印加するため、バレル部分206の近位末端に、またはその付近に、栓210が設けられてもよい。栓210は、治療薬の投与中の投与状態において、バレル部分206から投与量を放出するために、バレル部分206の内部でバレル部分206の遠位末端に向かって移動可能であってもよい。一例示的実施形態において、栓210は、投与量を封止してバレル部分206から投与量を押し出す機能の両方を実行するように、構成されてもよい。別の例示的実施形態において、栓はバレル部分206の内部に投与量を封止するために設けられてもよく、バレル部分206から投与量を押し出すために栓に力を付与するため、別にピストンが設けられてもよい。
シリンジアセンブリは、遠位末端に、またはその付近に、穿通針220を含んでもよいシリンジ214のシリンジストッパまたは遠位部分を含んでもよい。穿通針220は、たとえば硬質針シールド、軟質針シールド、またはその両方など、穿通針カバー234によって、被覆され、機械的損傷から保護され、無菌状態などの滅菌状態で維持されてもよい。穿通針カバー234はまた、穿通針220によって形成されてこれに結合された、流体導管の無菌性も維持してよい。一例示的実施形態において、穿通針220は、装置200の長手軸Lと平行に位置合わせされてもよい。穿通針220は、隔壁を穿通するのに適したいずれのサイズ、形状、および構成を有してもよく、説明的実施形態に限定されるものではない。
シリンジアセンブリは、近位末端に、またはその付近に、バレル部分206内に収容された治療的有効投与量を患者に投与するために、バレル部分206の内部で遠位末端に向かって前方に栓210を選択的に作動させるための、プランジャアクチュエータ212を含んでもよい。プランジャアクチュエータ212は、栓210を作動するためのエネルギー貯蔵および制御エネルギー解放機構を採用してもよい。例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ212は、バレル部分206の外側に、あるいは部分的にまたは完全にバレル部分206の内部に、位置してもよい。例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ212は、直接的に、または栓210とプランジャアクチュエータ212との間に設けられたプランジャの使用を通じて間接的に、栓210を駆動してもよい。
一例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ212は、治療薬の投与前に後退させられて、投与中にバレル部分206の内部で栓210を前方に作動するために解放される、たとえばバネなどの付勢機構を含んでもよい。別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ212は、治療薬の投与前には非膨張段階にあり、投与中にバレル部分206の内部で栓210を前方に作動するために膨張する、たとえば膨張フォームなどの、化学ガス発生器を含んでもよい。別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ212は、作動流体の液圧、圧縮ガスのガス圧、浸透圧、ヒドロゲル膨張などを利用してもよい。
一例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ212は、実質的に線形に、すなわち実質的に一定の速度で、バレル部分206の内部で前方に移動させられてもよい。これにより、投与量は実質的に一定の投与速度で患者に投与され得るようになる。プランジャアクチュエータ212は、たとえばエネルギーの初期解放など、エネルギーを吸収するため、およびプランジャアクチュエータ212によるエネルギーの解放中により制御されたエネルギーの解放を提供するために使用されてもよい、減衰機構を含んでもよく、あるいはこれに結合されてもよい。エネルギーの制御解放は、実質的に線形の投与プロファイル、すなわち時間に対する投与量の実質的に一定の投与速度を生じてもよく、投与速度の急激な変化を防止してもよい。一例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ212は、作動流体の液圧を利用してもよく、減衰機構は作動流体と栓210との間の流体通路に配置された流量制限器を採用してもよい。別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ212は付勢機構を採用してもよく、減衰機構は粘性ダンパ、スイスレバー脱進機、ランナウェイ脱進機などを採用してもよい。別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ212は、定常線形投与プロファイルを提供するために、歯車駆動システムに接続されたステッピングモータを採用してもよい。
装着型自動注射装置200の筐体202はまた、いずれか所望の深さまで患者の皮膚の上に、中に、またはこれを通じて治療薬を投与するように構成された投与インターフェース218を担持する、投与インターフェースボタン216も収容してもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェース218は、装置200の長手軸Lに対して直角に位置合わせされてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェース218は、投与インターフェースボタン216内に、または投与インターフェースボタン216とは別に設けられた、投与インターフェースキャリア(図示せず)によって、所定位置に保持されてもよい。
いくつかの例示的実施形態において、投与インターフェース218は、治療薬を投与するために患者の皮膚を穿通するのに適したいずれかのサイズ、形状、および構成を有する、1つ以上の注射針を含んでもよいが、説明的実施形態に限定されるものではない。一例示的実施形態において、投与インターフェース218は、単一の注射針(図2Aから図2Fにおいて実線として示される)を含んでもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース218は、2つ以上の注射針を含んでもよい(追加針は図2Aから図2Fにおいて破線として示される)。その他いくつかの例示的実施形態において、投与インターフェース218は、治療薬の局所投与を実行するための、無針パッドおよび/または無針パッチを含んでもよい。
例示的投与インターフェースにおいて使用されてもよい適切な注射針は、所望の治療に適した投与深さを提供するように構成または選択された長さを有してもよい。皮下注射は一般的に、皮膚内に約6から10ミリメートル貫入する。一例示的実施形態において、例示的注射針は、約12mmの長さを有してもよく、皮膚内に約7mmの深さまで投与されてもよい。別の例示的実施形態において、例示的注射針は、皮内、筋肉内治療などに適した長さを有してもよい。適切な注射針は、十分な機構強度を提供するのに適した壁厚、患者の感覚を最小限に抑えながら物質の所望の流量を許容するのに適した直径、および患者の感覚を最小限に抑えながら所望の治療に適した先端形状を、有してもよい。
例示的注射針は、治療によって許容される程度に患者の感覚を最小化する必要に応じて被覆されてもよい。投与インターフェース218は、たとえば硬質針シールド、軟質針シールド、またはその両方など、投与インターフェースカバー222によって被覆され、機械的損傷から保護され、滅菌状態、すなわち無菌状態に維持されてもよい。投与インターフェースカバー222はまた、投与インターフェース218によって形成されてこれに結合された、流体導管の無菌性も維持してよい。
投与インターフェースボタン216はまた、穿通針220の近傍に設けられた穿通可能な隔壁も含んでもよい。投与前状態において、穿通針220は隔壁を穿通せず、こうしてバレル部分206と穿通針220との間の流体連通を防止する。投与状態において、たとえば穿通針220などの尖った部品によって穿通されると、隔壁は投与量をバレル部分206から離れさせて穿通針220に侵入させてもよい。一例示的実施形態において、1つ以上のカバー215が隔壁を無菌バリア内に閉じ込めてもよい。カバー215は、穿通針220が隔壁を穿通するときに穿通されてもよい。
一例示的実施形態において、投与インターフェース218および穿通針220は、投与インターフェースボタン216の本体を介して互いに結合されて流体連通してもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース218および穿通針220は、1つ以上の流体導管(図示せず)を介して、互いに結合されて流体連通してもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース218および穿通針220は、互いに直接的に結合されて流体連通してもよい。
一例示的実施形態において、投与前状態で投与の前に、投与インターフェースボタン216は、図2Aおよび図2Bに示されるように、投与インターフェースボタン216が筐体202の上部から突起するように、筐体202に対して垂直上昇位置にあってもよい。この位置において、投与インターフェース218は、筐体202の内部で後退させられてもよく、患者の身体と接触していなくてもよい。この位置において、穿通針220は、シリンジストッパ214内の隔壁の下方で垂直に位置合わせされてもよく、隔壁を穿通しなくてよい。投与プロセスの初めに、投与インターフェースボタン216は、たとえば装置のユーザによって、または自動的に、下方に押されてもよい。これにより、図2Cから図2Eに示されるように、投与インターフェースボタン216がもはや筐体202の上部から突起しないように、患者の身体により近い筐体202に対する垂直押下位置まで、投与インターフェースボタン216を押してもよい。この位置において、投与インターフェース218は、筐体202の底部から突起してもよく、たとえば患者の身体に貫入することによって、患者の身体に接触してもよい。この位置において、穿通針220は、シリンジストッパ214内の隔壁と位置合わせされてもよく、隔壁を穿通してもよい。
一例示的実施形態において、隔壁は最初に投与インターフェースボタン216から離間していてもよい。この実施形態において、穿通針220は、穿通針を担持しているシリンジストッパ214が隔壁に向かって筐体202の内部で前進させられるときに、隔壁を穿通してもよい。つまり、投与前状態で投与の前に、穿通針220は、バレル部分206と投与インターフェースボタン216に結合された投与インターフェース218との間に流体連通がないように、隔壁から離間していてもよい。投与状態において、穿通針220が隔壁を穿通して、バレル部分206と投与インターフェースボタン216に結合された投与インターフェース218との間に流体連通を確立するように、バレル部分206は装置200の遠位末端に向かって筐体202の内部で前進してもよい。この流体連通は、投与状態における投与中に栓210によって投与量に圧力が印加されたときに、投与量の治療薬をバレル部分206から穿通針220および投与インターフェース218を通じて患者まで流すことを可能にしてもよい。
ここで図2Fを参照すると、一例示的実施形態において、装着型自動注射装置200の筐体202は皮膚センサ足232を含んでもよく、これは投与部位の近傍の筐体202の部分の下または内部に収容された構造である。治療薬の投与の前および投与中に、皮膚センサ足232は、筐体202の下面の部分の中に保持されるか、またはこれを形成する。装着型自動注射装置200が投与部位に取り付けられて始動されるとき、皮膚センサ足232は自由に動いてもよいが、しかし投与部位によって拘束されてもよい。治療薬の投与が完了したか否かに関わらず、装着型自動注射装置200が投与部位から取り外されるとき、皮膚センサ足232はもはや拘束されておらず、筐体202の周辺の外側に伸長および突起する。これは翻って後退トリガを始動させる。後退トリガが始動すると、投与インターフェースボタン216が筐体202の上部から突起して、投与インターフェース218が筐体202の内部で後退させられるように、後退機構は投与インターフェース220を後退させて、やはり垂直下降位置から垂直上昇位置まで投与インターフェースボタン216も上昇させてもよい。
図2Aは、バレル部分206が投与量208の治療薬で予備充填済み、かつ使用準備が整った後退位置にある、たとえば包装済みの、投与前状態にある装着型自動注射装置200を示す。バレル部分206は、バレル部分206の1つまたは複数の壁と栓210との間に画定された内部空間に、投与量208の治療薬を収容してもよい。一実施形態において、プランジャアクチュエータ212は、解放されたときに栓210を作動させてもよいエネルギーを貯蔵してもよい。投与インターフェースボタン216は、投与部位の上方の垂直上昇位置において筐体202の内部に部分的に配置されてもよく、投与インターフェース218は筐体202の内部で後退させられてもよい。筐体202の上部からの投与インターフェースボタン216の突起は、装着型自動注射装置200が動作していないという視覚的指標を患者に提供してもよい。
図2Bは、投与インターフェースカバー222および隔壁カバーが取り外されている、治療薬の投与の前の投与前状態にある装着型自動注射装置200を示す。例示的実施形態において、保護フィルム228は、投与インターフェースカバー222、シリンジストッパ224内の隔壁カバーおよび穿通針カバーに接続された、連結部材を含んでもよい。連結部材は、テザー、タブ、またはその他の連結機構を含んでもよい。保護フィルム228が取り外されると、保護フィルム228の連結部材は、投与インターフェースカバー222、シリンジストッパ214内の隔壁カバーおよび穿通針カバーを、自動的に取り外してもよい。
図2Cは、投与インターフェースボタン216が筐体202の内部の垂直下降位置にある、治療薬の投与中の投与状態における装着型自動注射装置200を示す。垂直下降位置において、投与インターフェースボタン216は、投与部位の上方の押下または垂直下降位置で筐体202の内部に配置されていてもよく、投与インターフェース218は、投与部位において患者の身体と接触できるように、筐体202の1つ以上の開口部または開口端を通じて筐体202から突起してもよい。一例示的実施形態において、開口部または開口端を被覆するためにカバー部が設けられてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェースボタン216が治療薬を投与するために垂直に下降できるように、筐体の開口部または開口端は筐体の患者接触部分の反対側にあってもよい。垂直下降状態において、投与インターフェースボタン216は筐体202の上部から突起しなくてもよく、これにより装着型自動注射装置200が動作しているという視覚的指標を患者に提供してもよい。別の例示的実施形態において、筐体202の開口部または開口端は、患者接触部分の反対側に配置されなくてもよく、代わりに筐体の側壁に設けられてもよい。投与インターフェースボタン216はいくつかの例示的実施形態において、治療薬を投与するために横方向または水平方向に移動させられてもよい。
図2Dは、投与量208の治療薬を含むバレル部分206が装置200の筐体の内部で後退位置から伸長位置まで前方に展開されている、治療薬の投与中の投与状態にある、装着型自動注射装置200を示す。バレル部分206の前進は、バレル部分206の遠位末端またはシリンジストッパ214を、投与インターフェースボタン216の近傍にまたはこれと接触するように持って行ってもよい。一例示的実施形態において、バレル部分206と投与インターフェース218との間に流体連通を確立するために、穿通針220はシリンジストッパ214内に保持された隔壁を穿通してもよい。
図2Eは、プランジャアクチュエータ212が栓210を移動させるために起動されている、治療薬の投与中の投与状態にある、装着型自動注射装置200を示す。プランジャアクチュエータ212の起動は、バレル部分206の内部の栓210を装置200の遠位末端に向かって移動させるために、プランジャアクチュエータ212内に貯蔵されたエネルギーを解放してもよい。栓210の移動は、バレル部分206の遠位末端を通じてバレル部分206から投与量の治療薬を吐出してもよい。投与インターフェースボタン216の押下によって、または投与インターフェースカバー222の除去によって、連結されて作動させられる連結部材、患者によって作動されてもよいトリガボタンなどを含むがこれらに限定されない、いずれか適切な機構が、プランジャアクチュエータ212を起動するために使用されてよい。
図2Fは、投与インターフェースボタン216が垂直上昇位置にある、たとえば治療的有効投与量の治療薬の投与の後、または治療的有効投与量の治療薬の投与前の患者からの装着型自動注射装置200の抜去の後の、投与後状態にある装着型自動注射装置200を示す。垂直上昇位置において、投与インターフェースボタン216は、投与部位の上方の上昇または垂直上昇位置で部分的に筐体202の内部に配置されてもよく、投与インターフェース218は筐体202の内部で後退させられてもよい。装着型自動注射装置アセンブリ200が動作していない(すなわち投与後状態にある)という視覚的指標を患者に提供するために、投与インターフェースボタン216の一部が筐体202の上部から突起していてもよい。バレル部分206には治療薬が入っていなくてもよく、プランジャアクチュエータ212はもはやエネルギーを貯蔵していなくてもよい。皮膚センサ足232は、投与部位からの装置200の抜去の直後に筐体202の底部から伸長してもよい。
筐体202は、投与インターフェースボタン216を垂直下降投与状態(図2Cから図2Eに示される)から垂直上昇投与後状態(図2Fに示される)まで自動的に引き上げる、後退機構を含んでもよい。一例示的実施形態において、後退機構は、後退機構が起動されたときにシリンジアセンブリを投与部位から離れた方へ付勢する、たとえばバネなどの付勢機構を含んでもよい。
後退トリガは、始動されると、投与インターフェースボタン216を垂直下降状態から垂直上昇状態まで持ち上げるために、後退機構を起動してもよい。一例示的実施形態において、栓210および/またはプランジャアクチュエータ212は、後退トリガに接続された連結部材を含んでもよい。連結部材は、テザー、タブ、またはその他の連結機構を含んでもよい。連結部材は、(1回投与量の治療薬を投与するために)栓210がバレル部分206の末端まで移動してしまっているときに、後退トリガを始動させるラッチを連結部材が起動するように、適切な長さであってもよい。別の例示的実施形態において、筐体202の底部からの皮膚センサ足232の伸長が、後退トリガを始動してもよい。
一例示的実施形態において、後退機構は、始動したときに後退機構を起動する、投与終了後退トリガを含んでもよい。投与終了後退トリガは、装着型自動注射装置200内の治療的有効投与量の治療薬が投与されたときに、始動されてもよい。一例示的実施形態において、投与終了後退トリガは、治療薬の投与完了時に解放される、たとえば可撓性プラスチックフックなどのラッチを含んでもよい。後退機構はまた、始動されたときに後退機構を起動する、早期抜去後退トリガも含んでよい。早期抜去後退トリガは、治療的有効投与量の治療薬が完全に投与される前に装着型自動注射装置200が投与部位から抜去されたときに、始動されてもよい。一例示的実施形態において、早期抜去後退トリガは、投与部位からの装着型自動注射装置200の抜去時に解放される、たとえば可撓性プラスチックフックなどのラッチを含んでもよい。後退機構は、シリンジアセンブリを投与部位から自動的に後退させるために、投与終了後退トリガに反応し、早期抜去後退トリガに反応する。
一例示的実施形態において、投与インターフェースボタン216を垂直上昇位置まで持ち上げることで、穿通針220を上方に曲げさせてもよく、こうして穿通針および装着型自動注射装置の望ましくない再利用を防止する。
一例示的実施形態において、装着型自動注射装置100(図1)/200(図2)のバレル部分は、いずれか適切な量の治療薬で予備充填されていてもよい。一例示的実施形態において、バレル部分106は、約0.1ミリリットルから約3.0ミリリットルの量で予備充填されていてもよいが、ただし例示的装置は治療薬量のこの例示的範囲に限定されるものではない。投与される量が装置のバレル部分の容量よりも大きい例示的実施形態において、全量の治療薬を保持するために、2つ以上のバレル部分が装置内に設けられてもよい。装置内のその他の構成要素が、患者への投与のために投与インターフェースを通じて複数のバレル部分から治療薬を吐出するように構成されていてもよい。別の例示的実施形態において、全長の治療薬を投与するために、各々がバレル部分を含む2つ以上の自動注射装置が設けられてもよい。
例示的実施形態において、約20秒から約12時間の範囲の時間にわたって治療的有効投与量の治療薬を投与するために、装着型自動注射装置100(図1)/200(図2)が使用されてもよい。特定のその他の例示的実施形態は、高速で患者に治療薬を投与するために、高速でシリンジプランジャの作動を引き起こす、作動装置およびシステムを提供する。例示的な高速実施形態は、約0.5ミリリットルから約1ミリリットルの治療薬量を約1秒から約20秒で投与するが、ただし例示的投与速度はこの例示的範囲に限定されるものではない。
例示的実施形態は、投与速度が経時的に実質的に一定となるように、治療薬の線形投与プロファイルを提供してもよい。場合により、線形投与プロファイルは、患者によって経験される不快感を低減する可能性がある。一例示的実施形態において、治療薬は単回高速ボーラスで投与されてもよい。
治療薬の投与速度は、周囲温度に依存してもよい。室温、すなわち約72°Fでは、投与時間の精度は約3パーセントから約10パーセントの範囲であってもよい。
例示的装置の例示的寸法は、表1から表6を参照して記載される。しかしながら当業者は、例示的な寸法が説明目的で提供されること、ならびに例示的自動注射装置は記載される寸法に限定されないことを、認識するであろう。
一例示的実施形態において、装着型自動注射装置は、約4.37インチの例示的長さ、約2.12インチの例示的幅、および約1.25インチの例示的高さを有してもよい。一例示的実施形態において、バレル部分の直径は約1.470インチであり、バレル部分の長さは約2.520インチである。表1から表3は、2つの例示的タイプの例示的装置について、長さ、幅、および高さの成分をそれぞれまとめている。
一例示的実施形態において、製造中のバレル部分の直径は、約1.470インチから約0.125インチだけ増加してもよく、バレル部分の長さは製造中に約2.520インチから約0.732インチだけ減少してもよい。表4から表6は、2つの例示的タイプの例示的装置について、長さ、幅、および高さの成分をそれぞれまとめている。
図3は、例示的自動注射装置100を組み立てる例示的な方法300のフローチャートである。
ステップ302において、シリンジアセンブリまたはカートリッジアセンブリが滅菌されて組み立てられてもよい。
ステップ304において、投与インターフェースボタンが滅菌されて組み立てられてもよい。治療薬がカートリッジアセンブリに収容されている一例示的実施形態において、投与インターフェースボタンは、投与インターフェース、穿通針、および穿通針と投与インターフェースとの間に設けられた流体通路を含んでもよく、および/または保持してもよい。この例示的実施形態において、投与インターフェースボタンの投与インターフェース、穿通針、および流体通路は、組み立ての前に滅菌されてもよい。一例示的実施形態において、穿通針を被覆して穿通針を無菌状態で維持するために、たとえば箔、軟質または硬質針カバーなどの、無菌穿通針カバーが使用されてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェースを被覆して投与インターフェースを無菌状態で維持するために、たとえば箔、軟質または硬質針カバーなどの無菌カバーが使用されてもよい。無菌穿通針、無菌穿通針カバー、無菌投与インターフェース、および無菌投与インターフェースカバーは、自動注射装置の組み立ての最中および後に投与インターフェースボタンの内部の流体通路の無菌性を維持するために、無菌バリアを提供してもよい。こうして、無菌の治療薬が無菌のまま投与され得るように、投与インターフェースボタンの内部表面および流体通路は、自動注射装置の組み立ての最中および後に無菌状態で維持されてもよい。
治療薬がシリンジアセンブリに収容されている別の例示的実施形態において、投与インターフェースボタンは、投与インターフェース、およびシリンジアセンブリを投与インターフェースに結合するための流体連通を含んでもよく、および/または保持してもよい。この例示的実施形態において、投与インターフェースボタンの投与インターフェースおよび流体通路は、組み立ての前に滅菌されてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェースを被覆して投与インターフェースを無菌状態で維持するために、たとえば箔、軟質または硬質針カバーなどの無菌カバーが使用されてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェースはまた、隔壁を被覆してその無菌性を維持するための無菌隔壁カバーによって被覆された、無菌隔壁も含んでもよい。無菌投与インターフェース、無菌投与インターフェースカバー、無菌隔壁、および無菌隔壁カバーは、自動注射装置の組み立ての最中および後に投与インターフェースボタンの内部の流体通路の無菌性を維持するために、無菌バリアを提供してもよい。こうして、無菌の治療薬が無菌のまま投与され得るように、投与インターフェースボタンの内部表面および流体通路は、自動注射装置の組み立ての最中および後に無菌状態で維持されてもよい。
ステップ306において、シリンジアセンブリまたはカートリッジアセンブリの無菌バレル部分は、患者に投与されることになる無菌投与量の治療薬で満たされてもよい。ステップ308において、投与量の治療薬をバレル部分の内部に封止するために、シリンジまたはカートリッジアセンブリのバレル部分の内部の近位部分(投与インターフェースから遠い方)に、無菌栓が配置されてもよい。
治療薬がカートリッジアセンブリに収容されている例示的実施形態において、無菌隔壁カバーによって被覆された無菌隔壁が、カートリッジアセンブリのバレル部分の遠位部分(投与インターフェースに近い方)に設けられてもよい。無菌栓および無菌隔壁は、無菌バレル部分の中の無菌投与量の治療薬をまとめて封止してもよい。無菌バレル部分、無菌栓、無菌隔壁、および無菌隔壁カバーは、自動注射装置の組み立ての最中および後にカートリッジアセンブリの内部の流体通路の無菌性を維持するために無菌バリアを提供してもよい。こうして、無菌栓および無菌隔壁カバーによって被覆された無菌隔壁による無菌バレル部分の中の治療薬の封じ込めは、自動注射装置の組み立ての最中および後に、治療薬の無菌性を維持する。
治療薬がシリンジアセンブリに収容されている別の例示的実施形態において、無菌穿通針がシリンジアセンブリのバレル部分の遠位部分に取り付けられてもよい。一例示的実施形態において、穿通針を被覆して穿通針を無菌状態で維持するために、たとえば箔、軟質または硬質針カバーなどの無菌穿通針カバーが使用されてもよい。穿通針カバーはまた、穿通針によって形成されてこれに結合された、流体導管の無菌性も維持してよい。無菌バレル部分、無菌栓、無菌穿通針、および無菌穿通針カバーは、シリンジアセンブリの内部の流体通路の無菌性を維持するために、無菌バリアを提供してもよい。こうして、無菌栓および無菌穿通針カバーによって被覆された無菌穿通針による無菌バレル部分の内部の治療薬の封じ込めは、自動注射装置の組み立ての最中および後に、治療薬の無菌性を維持する。
上述の例示的実施形態を用いると、シリンジまたはカートリッジアセンブリのバレル部分と投与インターフェースボタンとの間に延在する内部の流体通路内に、無菌性が維持される。治療薬の無菌投与を実行するために装置が使用されてもよいように、自動注射装置の組み立ての最中および後に、無菌性が維持される。このようにして、例示的実施形態は、無菌治療薬の投与中に、シリンジまたはカートリッジアセンブリから投与インターフェースボタンを通じて患者までの無菌流体通路を治療薬が通る、または辿ることを保証する。
一例示的実施形態において、装置内の流体通路の無菌性を維持しながら、装着型自動注射装置の残りの構成要素は非無菌環境で組み立てられてもよい。別の例示的実施形態において、残りの構成要素は組み立て前に滅菌されてもよい。
ステップ310において、たとえば付勢機構等の非無菌プランジャアクチュエータは、バレル部分から治療薬を吐出するために、投与状態において栓を作動するために栓の後に挿入されてもよい。
ステップ312において、シリンジまたはカートリッジアセンブリは、非無菌筐体内に挿入されてもよい。筐体は、たとえば接着層、保護フィルム、皮膚センサ足など、1つ以上のその他の非無菌構成要素とともに事前組み立てされてもよい。
ステップ314において、投与インターフェースボタンは(例示的実施形態において閉じ込められた無菌流体通路および無菌投与インターフェースとともに)非無菌筐体内に挿入されてもよい。
ステップ316において、組み立てられた自動注射装置は、必要であれば外装上に配置されてもよく、その後販売のために商用包装されてもよい。一例示的実施形態において、装置の一部が包装の内部表面の一部に取り付けられてもよい。
図4は、例示的自動注射装置を使用する例示的な方法400のフローチャートである。包装されて治療薬が予備充填された装着型自動注射装置は通常、使用前に冷蔵保管庫に貯蔵されるであろう。ステップ402において、包装済み自動注射装置は保管庫から取り出されてもよい。ステップ404において、装着型自動注射装置は、その包装およびいかなる上包からも取り出されてもよく、たとえば室温で包装の外に装着型装置を放置することによって、または装着型装置を暖めることによって、室温まで暖められてもよい。ステップ406において、患者は、装置筐体に設けられた治療薬検査窓を通じてバレル部分が所定量の治療薬を収容していることを確認してもよく、また必要であれば治療薬の透明度も確認してもよい。
ステップ408において、患者の身体の投与部位が選択され、治療薬の投与のために準備されてもよい。ステップ410において、投与部位において治療薬を患者に投与するために、患者は装着型自動注射装置を使用する。ステップ410に一般的に包含されるステップは、図5に関連して後述される。ステップ412において、治療薬の投与後に、装着型自動注射装置は患者から取り外されて、適切な方法で廃棄されてもよい。
図5は、治療的有効投与量の治療薬を患者に投与するために例示的自動注射装置を使用する例示的な方法500のフローチャートである。例示的な方法500は、図4のステップ410の詳細な概要である。
ステップ502において、患者は、装着型自動注射装置の接着層を被覆および保護している保護フィルムを剥がしてもよい。一例示的実施形態において、保護フィルムの一部は装置の包装の内部表面に取り付けられていてもよく、装置の包装からの取り外しにより自動的に保護フィルムを取り除いてもよい。いくつかの例示的実施形態において、保護フィルムの除去は、投与インターフェースカバー、穿通針カバー、およびシリンジまたはカートリッジストッパの隔壁カバーも除去する。
ステップ504において、治療的有効投与量の治療薬の投与中に装置が投与部位上に確実に保持されるように、患者は患者の身体上の投与部位(または投与部位の周辺の衣類)に、接着層を備える装着型自動注射装置の患者接触部分を適用する。
ステップ506において、装着型自動注射装置が投与部位に一旦取り付けられると、患者は筐体内の投与前状態における垂直上昇位置から投与状態にある垂直下降位置まで投与インターフェースボタンを押下してもよい。垂直上昇位置において、投与インターフェースを担持している投与インターフェースボタンの末端は、筐体内で後退させられて、筐体の外側に露出しない。押下されると、投与インターフェースを担持している投与インターフェースボタンの末端は、投与インターフェースが筐体の開口部から現れて筐体の外側に露出するように、筐体内で線形的または回転的に、下方に移動させられる。これにより、治療薬の投与のために、たとえば適切な深さまで患者の身体に貫入することによって、投与インターフェースを患者の身体に接触させることができる。筐体内の投与インターフェースボタンの下方移動は、線形(すなわち、垂直下方移動)または回転(すなわち、枢動点を中心に円形運動しながら)であってもよい。
一例示的実施形態において、投与インターフェースボタンは、患者が投与インターフェースボタンを手で押し下げることによって、筐体内に押し込まれる。別の例示的実施形態において、患者は、たとえば筐体の上部などのアクセスしやすい場所に位置するトリガボタンなど、投与トリガを始動してもよく、これは投与トリガに投与インターフェースボタンを自動的に筐体内に押下させ、そしてたとえば患者の身体を穿通することによって、投与インターフェースを患者の身体に接触させてもよい。一例示的実施形態において、トリガボタンの押下は、バネに投与インターフェースボタンを筐体内で下方に付勢させる、投与トリガ内のラッチを解放してもよい。投与インターフェースボタンの同じ動作は、投与インターフェースを患者の身体上の投与部位に適切な深さまで挿入または適用させてもよい。
ステップ508において、投与インターフェースボタンの押下は、シリンジまたはカートリッジアセンブリ、より具体的にはバレル部分を筐体内でこれに対して、後退位置(シリンジまたはカートリッジアセンブリの遠位末端が投与インターフェースボタンから離間している)から伸長位置(シリンジまたはカートリッジアセンブリの遠位末端が投与インターフェースボタンと隣接および/または接触している)まで前方に移動させる、シリンジまたはカートリッジアクチュエータを起動してもよい。別の例示的実施形態において、シリンジまたはカートリッジアクチュエータは、投与インターフェースボタンの押下によってではなく、たとえばトリガボタンの形態のトリガを患者が始動することによって、起動される。一例示的実施形態において、投与インターフェースボタンに向かうシリンジまたはカートリッジアセンブリの移動は、穿通針を隔壁に穿通させてもよい。
ステップ510において、プランジャアクチュエータは、栓とバレル部分の内側壁(複数可)との間の静止摩擦(すなわち静摩擦)を打ち破ってもよく、投与インターフェースを介して治療薬を投与するために、投与インターフェースボタン内で穿通針に向かって栓を前方に移動させてもよい。プランジャアクチュエータは、ワンステップで栓静摩擦を克服して、続くステップにおいて栓を作動してもよく、あるいはプランジャアクチュエータは、同時に栓静摩擦を克服して栓を作動してもよい。栓の移動は、穿通針を通じて投与インターフェース内に投与量を解放させてもよく、投与量はこれにより患者に投与されてもよい。
一例示的実施形態において、筐体内のシリンジまたはカートリッジアセンブリの前方前進およびバレル部分内の栓の前方前進は、異なるステップにおいて行われてもよい。別の例示的実施形態において、筐体内のシリンジまたはカートリッジアセンブリの前方前進およびバレル部分内の栓の前方前進は、たとえば同時に、同じステップにおいて行われてもよい。
治療薬投与の速度は、プランジャアクチュエータの特性に依存してもよい。プランジャアクチュエータは、いくつかの例示的実施形態の形態を取ってもよい。いくつかの例示的実施形態において、プランジャアクチュエータは、たとえば付勢機構(たとえばらせんバネまたはヘリカル圧縮コイルバネなどの1つ以上のバネを含むがこれらに限定されない)、圧縮ガス、化学ガス発生器(膨張フォームなど)、浸透圧、ヒドロゲル膨張など、エネルギー貯蔵および解放手段を採用してもよい。たとえばエネルギーの初期解放など、エネルギーを吸収するために、およびプランジャアクチュエータによるエネルギー解放中のより制御されたエネルギーの解放を提供するために、減衰または制御機構(粘性ダンパまたは脱進機を含むがこれらに限定されない)が使用されてもよい。投与インターフェースと栓との間の流体通路に配置された流量制限器は、たとえばプランジャアクチュエータが作動流体を介して非拘束バネ力を管理する場合に、治療薬投与の速度をさらに調整するために使用されてもよい。こうして、たとえば単回高速ボーラスでなど、制御された速度でまったくまたはほとんど灼熱感を伴わずに投与量を患者に投与するために、適切なプランジャアクチュエータおよび適切な制御機構が選択されてもよい。
一例示的実施形態において、投与インターフェースボタンの押下は、起動されると、投与後状態において投与の後に投与インターフェースボタンを筐体102内に後退させる、後退機構の準備を整えてもよい。
ステップ512において、治療的有効投与量の投与時に、栓および/またはプランジャアクチュエータは、後退機構の投与終了後退トリガを始動してもよい。栓および/またはプランジャアクチュエータは、投与終了後退トリガに接続された連結部材を含んでもよい。連結部材は、テザー、タブ、またはその他の連結機構を含んでもよい。連結部材は、(1回投与量の治療薬を投与するために)栓がシリンジまたはカートリッジアセンブリの末端まで移動してしまっているときに、後退トリガを始動させるラッチを連結部材が起動するように、適切な長さであってもよい。
ステップ514において、投与終了後退トリガが一旦始動されると、シリンジまたはカートリッジアセンブリが投与後状態になるように、後退機構は投与インターフェースボタンを筐体の内部で上方に、および患者接触部分から離れる方に、後退させてもよい。一例示的実施形態において、投与状態から投与後状態への投与インターフェースボタンの移動は、治療薬投与の完了の聴覚的指標を提供する、たとえば「クリック」音などの可聴音を生じる。一旦後退させられると、投与インターフェースボタンは筐体の外側に突起して、たとえば治療薬投与の完了などの装着型自動注射装置の状態の視覚的指標、または投与後状態にある装置の視覚的指標を提供する。
しかしながら、治療的有効投与量の治療薬の完了前に装着型装置が患者の身体から取り外された場合、皮膚センサ足が筐体の外側に伸長して、後退機構の早期抜去後退トリガを始動してもよい。早期抜去後退トリガが一旦始動されると、シリンジまたはカートリッジアセンブリが投与後状態になるように、後退機構は患者接触部分から離れる方に筐体内で投与インターフェースボタンを上方に展開する。一例示的実施形態において、治療的有効投与量の治療薬の投与完了前に装置が患者から取り外されたとき、プランジャアクチュエータは穿通針に向かってバレル部分の中を前方に移動し続けてもよい。
ステップ516において、後退すると、針刺し保護を提供するために、治療薬の投与後に投与インターフェースの展開を防止するため、投与インターフェースロッキング機構は投与インターフェースと係合する。投与インターフェースロックは、一旦係合したら投与インターフェースが筐体の外側に突起するのを防止する部材であってもよく、投与インターフェースの付近で筐体内に位置してもよい。例示的投与インターフェースロックとしては、プラスチック板、金属板、クリップなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
図6Aから図6Cは、患者に対する投与インターフェースの線形挿入または適用に適した装着型自動注射装置600の例示的実施形態を示す。線形挿入によって、投与インターフェースを担持しているカートリッジアセンブリの末端は、投与インターフェースが患者に挿入または適用されるように、装着型自動注射装置の筐体の内部で直線的に降下する。より具体的には、図6Aは、たとえば包装された、投与前状態の例示的な装着型装置を示し、図6Bは、患者に治療薬を投与する直前、最中、または直後の、投与状態にある例示的な装着型装置を示し、図6Cは、患者への治療薬の投与を完了した後、または治療薬の投与の完了に先立って患者から取り外された後の、投与後状態にある例示的な装着型装置を示す。図6Aから図6Cのうちのいくつかにおいて、投与インターフェースは、単一の注射針として提示されている。しかしながら、例示的投与インターフェースは、図6Aから図6Cに示される説明的実施形態に限定されるものではない。
装着型自動注射装置600は、患者に投与するための1回投与量の治療薬を含む治療薬カートリッジアセンブリ610を収容するための筐体635を含む。一例示的実施形態において、治療薬カートリッジアセンブリ610の外側には1つ以上の隆起が設けられてもよく、筐体635の内側には、カートリッジアセンブリが筐体635内を移動する際にカートリッジアセンブリ610の隆起に平滑な通路を提供する、1つ以上の溝またはチャネルが設けられてもよい。カートリッジアセンブリ610の外側の1つ以上の隆起は、カートリッジアセンブリ610上のせり上がった線の形態を取ってもよい。筐体635の内側の1つ以上の溝またはチャネルは、U字型陥凹または谷状線の形態を取ってもよい。溝またはチャネルの上部は、隆起が摺動して溝またはチャネルの上部に出入りできるように、開放していてもよい。図6Aから図6Cに示される線形挿入実施形態において、隆起および溝/チャネルは直線であってもよい。図7Aから図7Cに示される回転挿入実施形態において、隆起および溝/チャネルは、回転中心、すなわちカートリッジアセンブリ610の枢動点を中心に湾曲している線であってもよい。
別の例示的実施形態において、カートリッジアセンブリ610の外側は隆起を有していなくてもよく、筐体635の内側はいかなる溝またはチャネルも有していなくてもよい。
筐体635は好ましくは長尺構成を有するが、ただし筐体635が、1回投与量の治療薬を収容するための、治療薬を患者に投与するために投与インターフェースに結合可能な、バレル部分を収容するのに適したいずれのサイズ、形状、および構成を有してもよいことを、当業者は認識するであろう。筐体635は、プラスチックおよびその他の周知の材料を含むがこれらに限定されない、いずれの適切な材料で形成されてもよい。別の実施形態において、治療薬カートリッジ610は、ガラスおよびその他の周知の材料を含むがこれらに限定されない、滅菌に適したいずれの適合性材料で形成されてもよい。
筐体635は、患者の皮膚または患者の衣類の近傍に配置された筐体635の患者接触部分に沿っても配置された、接着層640を含む。いくつかの実施形態において、接着層640は、治療薬を投与するために筐体635を患者に取り付けるため、患者の皮膚上に配置されるように構成されている。接着層640は、接着性ではない、たとえばタブなどの非接着抜去機構645を含む。非接着抜去機構645は、患者の皮膚または衣服から接着層640およびしたがって装着型自動注射装置600を取り外すために、患者によって握持されて引っ張られてもよい。
装着型自動注射装置600が、たとえば投与前状態において使用される前に、接着層640は、接着層640の接着性を保存する保護フィルム650によって被覆されてもよい。保護フィルム650は、接着層640から保護フィルム650を剥がすために患者によって握持されて引っ張られてもよい、たとえばタブなどの抜去機構655を含んでもよい。これにより接着層640を露出し、皮膚または衣類の上に接着層640の側を配置することによって、患者の皮膚または衣類に筐体635を患者が取り付けられるようにする。
例示的実施形態において、保護フィルム650(図6A)/750(図7A)は、プランジャアクチュエータ630(図6A)/730(図7A)に接続された連結部材を含んでもよい。連結部材は、テザー、タブ、またはその他の連結機構を含んでもよい。保護フィルム650(図6A)/750(図7A)が取り外されると、保護フィルム650(図6A)/750(図7A)の連結部材は、線615(図6A)/715(図6A)およびバレル605(図6A)/705(図7A)の内壁の間の静止摩擦を解放し、プランジャアクチュエータ630(図6A)/730(図7A)を起動する。
治療薬カートリッジアセンブリ610は、患者に投与するために、治療的有効投与量の治療薬を保持するための中空バレル部分605を含んでもよい。図示されるバレル部分605は実質的に円筒形の形状であるが、ただしバレル部分605がいずれの適切な形状または構成を有してもよいことを、当業者は認識するであろう。栓615は、投与量の治療薬をバレル部分605の内部に封止する。治療薬カートリッジアセンブリ610は、バレル部分605に結合可能または結合されており、これと流体連通している、投与インターフェース625も含んでよく、これを通じて投与量が、栓615に圧力を印加することによって吐出されることが可能である。
いくつかの実施形態において、投与インターフェース625は、治療薬を投与するために患者の皮膚を穿通するのに適したいずれか適切なサイズ、形状、および構成を有する1つ以上の注射針を含んでもよいが、説明的実施形態に限定されるものではない。一例示的実施形態において、投与インターフェース625は、単一の注射針(図6Aから図6Cにおいて実線として示される)を含んでもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース625は2つ以上の注射針を含んでもよい(追加針は図6Aから図6Cにおいて破線として示される)。その他いくつかの例示的実施形態において、投与インターフェース625は、治療薬の局所投与を実行するための、無針パッドおよび/または無針パッチを含んでもよい。
例示的投与インターフェースにおいて使用されてもよい適切な注射針は、所望の治療に適した投与深さを提供するように構成または選択された長さを有してもよい。皮下注射は一般的に、皮膚内に約6から10ミリメートル貫入する。一例示的実施形態において、例示的注射針は、約12mmの長さを有してもよく、皮膚内に約7mmの深さまで投与されてもよい。別の例示的実施形態において、例示的注射針は、皮内、その他皮下、または筋肉内治療に適した長さを有してもよい。適切な針は、十分な機構強度を提供するのに適した壁厚、患者の感覚を最小限に抑えながら物質の所望の流量を許容するのに適した直径、および患者の感覚を最小限に抑えながら所望の治療に適した先端形状を、有してもよい。
例示的注射針は、治療によって許容される程度に患者の感覚を最小化する必要に応じて被覆されてもよい。投与インターフェース625は、たとえば軟質針シールド、硬質針シールド、またはその両方など、投与インターフェースカバー620によって被覆され、滅菌状態で維持されてもよい。
図6Aから図6Cに示される例示的実施形態において、投与インターフェース625は、装着型装置600の長手軸に対して実質的に直角に突起する。この例示的実施形態において、バレル部分605は、装置600の長手軸に対して実質的に直角に延在する、エルボー607を含む。この実施形態において、投与インターフェース625はエルボー607に接続されている。
装着型自動注射装置600は、バレル部分605内に主要された治療的有効投与量を患者に投与するために、治療薬カートリッジアセンブリ610の遠位末端に向かって前方に栓615を選択的に作動させるための、プランジャアクチュエータ630を含んでもよい。プランジャアクチュエータ630は、栓615を作動するためのエネルギー貯蔵および制御エネルギー解放機構を採用してもよい。一例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ630は、投与前に後退させられて、投与中にバレル部分605内で栓615を前方に作動するために解放される、たとえばバネなどの付勢機構を含んでもよい。別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ630は、投与前には非膨張段階にあり、投与中に治療薬カートリッジアセンブリ610の遠位末端に向かってバレル部分605内で栓615を前方に作動させるために膨張する、たとえば膨張フォームなどの、化学ガス発生器を含んでもよい。別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ630は、圧縮ガス、浸透圧、ヒドロゲル膨張などを利用してもよい。たとえばエネルギーの初期解放など、エネルギーを吸収するため、およびプランジャアクチュエータ630(図6A)/730(図7A)によるエネルギーの解放中にエネルギーの制御解放を提供するために、減衰機構が使用されてもよい。たとえばプランジャアクチュエータ630(図6A)/730(図7A)が非拘束バネ力を管理する場合に、治療薬投与の速度をさらに調整するために、投与インターフェースと栓615(図6A)/715(図7A)との間の流体通路に配置された流量制限器が使用されてもよい。
一例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ630は、等速直線運動でバレル部分605の内部で前方に前進させられてもよい。等速直線運動を提供するために、歯車駆動システムに接続されたステッピングモータを含むがこれに限定されない、装着型自動注射装置600の内部または外部の機構が、いくつ使用されてもよい。
栓615(図6A)/715(図7A)および/またはプランジャアクチュエータ630(図6A)/730(図7A)は、後退トリガに接続された連結部材を含んでもよい。連結部材は、テザー、タブ、またはその他の連結機構を含んでもよい。連結部材は、(1回投与量の治療薬を投与するために)栓615(図6A)/715(図7A)がカートリッジアセンブリ610(図6A)/710(図7A)の末端まで移動してしまっているときに、後退トリガを始動させるラッチを連結部材が起動するように、適切な長さであってもよい。
ここで図6Cを参照すると、一例示的実施形態において、筐体635は皮膚センサ足660を含んでもよく、これは投与部位の近傍の筐体635の部分の下または内部に収容された構造である。治療薬の投与の前および投与中に、皮膚センサ足660は筐体635の下面の部分の中に保持されるか、またはこれを形成する。装着型自動注射装置600が投与部位に取り付けられて始動されるとき、皮膚センサ足660は自由に動いてもよいが、しかし投与部位によって拘束されてもよい。治療薬の投与が完了したか否かに関わらず、装着型自動注射装置600が投与部位から取り外されるとき、皮膚センサ足660はもはや拘束されておらず、筐体635の周辺の外側に伸長および突起する。これは翻って後退トリガを始動させる。
図6Aは、たとえば包装済みで使用準備が整った、または包装準備が整った、投与前状態の装着型自動注射装置600を示す。装置600は、予備充填可能および/または予備充填済みのシリンジまたはカートリッジアセンブリを含んでもよい。一例示的実施形態において、投与前状態で、シリンジまたはカートリッジアセンブリは、使用準備が整った後退位置にあってもよい。投与前状態において、治療薬カートリッジアセンブリ610は、投与部位から遠位の上昇位置で、部分的に筐体635の内部に配置され、投与インターフェース625は筐体635の内部で後退させられる。装着型自動注射装置600が動作していないという患者に対する視覚的指標は、投与前状態において筐体635の外側に治療薬カートリッジアセンブリ610の一部が突起していることを含んでもよい。バレル部分605は、バレル部分605の1つまたは複数の壁と栓615との間に画定された内部空間によって収容された、1回投与量の治療薬を収容してもよい。一実施形態において、プランジャアクチュエータ630はエネルギーを貯蔵する。
図6Bは、治療薬カートリッジアセンブリ610が押下位置にある、投与プロセス中または治療的有効投与量の治療薬の投与直後の、投与準備が整った投与状態における装着型自動注射装置600を示す。押下位置において、治療薬カートリッジアセンブリ610は、投与部位の近位の押下位置で筐体635の内部に配置されており、投与インターフェース625は、投与部位で身体に貫入できるように、筐体635の開口部を通じて筐体635の外側に突起している。投与状態において、装着型自動注射装置600が動作しているという視覚的指標を患者に提供するために、治療薬カートリッジアセンブリ610は筐体635の外側に突起していない。プランジャアクチュエータ630は、栓615を作動するために、貯蔵されたエネルギーを解放する。プランジャアクチュエータ630および栓615のこの協働運動は、投与インターフェース625を通じてバレル部分605内の治療薬を吐出する。
図6Cは、治療薬カートリッジアセンブリ610が後退位置にある、たとえば治療的有効投与量の治療薬の投与後の、または治療的有効投与量の治療薬の投与前に装着型自動注射装置600を患者から抜去された後の、投与後状態における装着型自動注射装置600を示す。後退位置において、治療薬カートリッジアセンブリ610は投与部位から遠位の上昇位置で筐体635の内部に配置され、投与インターフェース625は筐体635の内部で後退させられる。治療薬カートリッジアセンブリ610の一部は、装着型自動注射装置600が動作していない(すなわち投与後状態にある)という視覚的指標を患者に提供するために、筐体635の外側に突起している。バレル部分605には治療薬が入っていなくてもよく、プランジャアクチュエータ630はもはやエネルギーを貯蔵していなくてもよい。
筐体635は、治療薬カートリッジアセンブリ610を投与状態(図6Bに示される押下位置)から投与後状態(図6Cに示される後退位置)まで自動的に引き上げる、後退機構を含む。一例示的実施形態において、後退機構は、後退機構が起動されたときにカートリッジアセンブリを投与部位から離れた方へ付勢する、たとえばバネなどの付勢機構を含んでもよい。
後退機構は、始動されたときに後退機構を起動する、投与終了後退トリガを含む。投与終了後退トリガは、装着型自動注射装置内の治療的有効投与量の治療薬が投与されたときに始動される。一例示的実施形態において、投与終了後退トリガは、治療薬の投与が完了すると解放される、たとえば可撓性プラスチックフックなどのラッチを含んでもよい。後退機構はまた、始動されたときに後退機構を起動する、早期抜去後退トリガも含んでよい。早期抜去後退トリガは、治療的有効投与量の治療薬が完全に投与される前に装着型自動注射装置が投与部位から抜去されたときに、始動されてもよい。一例示的実施形態において、早期抜去後退トリガは、投与部位からの装着型自動注射装置600の抜去時に解放される、たとえば可撓性プラスチックフックなどのラッチを含んでもよい。後退機構は、カートリッジアセンブリを投与部位から自動的に後退させるために、投与終了後退トリガに反応し、早期抜去後退トリガに反応する。
図7Aから図7Cは、患者に対する投与インターフェースの回転挿入または適用に適した装着型自動注射装置700の例示的実施形態を示す。回転挿入において、投与インターフェース725を担持している治療薬カートリッジアセンブリ710の末端は、投与インターフェース725を患者に挿入または適用するために、枢動点を中心に回転的に降下する。投与インターフェース725は、いずれか所望の深さまで患者の皮膚の上に、中に、またはこれを通じて治療薬を投与するように、構成されてもよい。より具体的には、図7Aは、たとえば予備充填済みまたは湾曲投与インターフェースおよび治療薬を保持するバレル部分とともに包装された、投与前状態の例示的な装着型装置を示し、図7Bは、患者に治療薬を投与する直前、最中、または直後の、投与状態にある例示的な装着型装置を示し、図7Cは、患者への治療薬の投与後、または患者への治療薬の投与を完了する前に患者から装着型装置を取り外した後の、投与後状態にある例示的な装着型装置を示す。図7Aから図7Cのうちのいくつかにおいて、投与インターフェースは、単一の注射針として提示されている。しかしながら、例示的投与インターフェースは、図7Aから図7Cに示される説明的実施形態に限定されるものではない。
治療薬カートリッジアセンブリ710は、筐体内の枢動点765を中心に筐体735の内部を回転的に移動可能である。一例示的実施形態において、治療薬カートリッジアセンブリ710の外側には1つ以上の隆起が設けられてもよく、筐体735の内側には、様々な状態の間でカートリッジが筐体735の内部を移動する際にカートリッジ710の隆起に通路を提供する、1つ以上の溝またはチャネルが設けられてもよい。別の例示的実施形態において、カートリッジアセンブリ710の外側には隆起はなく、筐体735の内側には溝またはチャネルがない。
治療薬カートリッジアセンブリ710が筐体735内に押し込まれると、治療薬カートリッジアセンブリ710は、投与インターフェース725が露出されて患者の皮膚に貫入するように、枢動点765を中心に回転的に下方に向かって移動する。一例示的実施形態において、投与インターフェース725は、単一の注射針(図7Aから図7Cにおいて実線として示される)を含んでもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース725は2つ以上の注射針を含んでもよい(追加針は図7Aから図7Cにおいて破線として示される)。その他いくつかの例示的実施形態において、投与インターフェース725は、治療薬の局所投与を実行するための、無針パッドおよび/または無針パッチを含んでもよい。
図7Aから図7Cに示される例示的実施形態において、投与インターフェース725は、90°からずれた角度で患者の皮膚に貫入する。同様に、治療薬カートリッジアセンブリ710が後退させられると、治療薬カートリッジアセンブリ710は、投与インターフェース725が筐体735の内部で後退させられるように、枢動点765を中心に回転的に上方に移動する。治療薬カートリッジアセンブリ710のこの回転運動を実行するための機構は、図6Aから図6Cの線形挿入のために必要とされる機構よりも、単純かつ堅牢であってもよい。
一例示的実施形態において、投与インターフェース725は、枢動点765と、筐体735の長手軸に沿った投与インターフェース725から枢動点765までの距離とによって定義される半径で、湾曲している。投与インターフェース725の曲率は、投与インターフェースの適用中の患者の快適性を増加させる。たとえば、一例示的実施形態において、投与インターフェース725の曲率は、患者の身体中への例示的投与インターフェースの1つ以上の注射針の挿入中の、患者の快適性を増加させる。投与インターフェース725が1つ以上の注射針を含む例示的実施形態において、投与インターフェース725は好ましくは、枢動点765に最も近い尖った針先端に合わせて配向されてもよい。
図6Aから図6Cに示されるものと類似の図7Aから図7Cの特徴は、図6Aから図6Cに関連して、先に記載されている。
例示的実施形態において、図6Aから図6Cおよび図7Aから図7Cの治療薬カートリッジアセンブリ610および720はそれぞれ、いずれかの量の治療薬、たとえば治療抗体で、予備充填されている。一例示的実施形態において、カートリッジアセンブリ610および720は、約0.1から約3.0ミリリットルの量で予備充填されていてもよいが、ただし例示的カートリッジアセンブリはこれらの例示的な量に限定されるものではない。別の例示的実施形態において、カートリッジアセンブリ610および720は、最大約1ミリリットルの量で予備充填されてもよい。
例示的実施形態において、装着型自動注射装置600(図6A)/700(図7A)は、約20秒から約12時間の範囲の期間にわたって治療的有効量の治療薬を投与するために使用されてもよい。一例示的実施形態において、治療薬は、約5分から約30分の間の投与時間にわたって、一定速度で投与されてもよい。装着型自動注射装置600(図6A)/700(図7A)は、単回高速ボーラスにおいて所定量の治療薬を投与するために使用されてもよい。
治療薬の投与速度は、周囲温度に依存してもよい。室温、すなわち約72°Fでは、投与時間の精度は約3パーセントから約10パーセントの範囲であってもよい。
図8は、例示的な装着型装置600または700を組み立てる例示的な方法800のフローチャートである。
ステップ805において、カートリッジアセンブリのバレル部分605/705、投与インターフェース625/725、および投与インターフェースカバー620/720が、滅菌される。ステップ810において、バレル部分605/705は、患者に投与されることになる無菌投与量の治療薬で満たされる。ステップ815において、バレル部分605/705の内部に治療薬を封止するために、無菌栓615/715がバレル部分605/705内に配置される。無菌バレル部分605/705、無菌栓615/715、投与インターフェース625/725、およびカバーアセンブリ620/720による装着型自動注射装置600または700の中の治療薬の封じ込めは、装置の組み立ての最中および後に、治療薬の流体通路の無菌性を維持するための無菌バリアを提供する。
一例示的実施形態において、装置内の流体通路の無菌性を維持しながら、装着型自動注射装置の残りの構成要素は、バレル部分605/705が治療薬で予備充填された後に非無菌環境で組み立てられてもよい。別の例示的実施形態において、装着型自動注射装置の残りの構成要素は、無菌環境で組み立てられてもよい。
ステップ820において、非無菌プランジャアクチュエータ630/730は、バレル部分から治療薬を吐出するために投与状態で栓を作動するため、治療薬カートリッジアセンブリ610/710内の栓615/715の後に挿入される。
ステップ825において、治療薬カートリッジアセンブリ610/710は、非無菌筐体635/735内に挿入される。筐体635/735は、たとえば接着層640/740、保護フィルム650/750、皮膚センサ足660/760などの1つ以上のその他の非無菌構成要素とともに、事前組み立てされてもよい。
ステップ830において、組み立てられた装着型自動注射装置600/700は、必要であれば外装内に配置されてもよく、その後販売のために商用包装される。一例示的実施形態において、装置の一部が包装の内部表面の一部に取り付けられてもよい。
図9は、例示的な装着型自動注射装置600または700を使用する例示的な方法900のフローチャートである。包装されて治療薬が予備充填された装着型自動注射装置600/700は通常、使用前に冷蔵保管庫に貯蔵される。ステップ905において、包装済み自動注射装置600/700は保管庫から取り出される。ステップ910において、装着型自動注射装置600/700は、その包装およびいかなる上包からも取り出され、たとえば室温で包装の外に装着型装置を放置することによって、または装着型装置を暖めることによって、室温まで暖められる。ステップ915において、患者は、装着型装置に設けられた治療薬検査窓を通じて治療薬カートリッジアセンブリ610/710が装着型装置600/700内に所定量の治療薬を含むことを確認し、また必要であれば治療薬の透明度も確認してもよい。ステップ920において、患者の身体の投与部位が選択され、治療薬の投与のために準備される。ステップ925において、患者の投与部位に治療薬を投与するために、患者は装着型自動注射装置600/700を使用する。ステップ920に一般的に包含されるステップは、図10に関連して後述される。ステップ930において、装着型自動注射装置600/700が患者から取り外された後、取り外された装着型自動注射装置600/700は適切な方法で廃棄される。
図10は、治療的有効投与量の治療薬を患者に投与するために例示的自動注射装置600または700を使用する例示的な方法1000のフローチャートである。例示的な方法1000は、図9のステップ920の詳細な概要である。ステップ1005において、患者は、装着型自動注射装置600/700の接着層640/740を被覆および保護している保護フィルム650/750を剥がす。一例示的実施形態において、保護フィルムの一部は包装の内部表面に取り付けられていてもよく、装置の包装からの取り外しが保護フィルムを自動的に取り除いてもよい。いくつかの例示的実施形態において、保護フィルム650/750の除去はまた、カバーアセンブリ620/720も取り外し、治療薬を患者に投与するための投与インターフェース625/725を露出する。いくつかの例示的実施形態において、保護フィルム650/750の除去はまた、栓615/715とバレル605/705の内壁との間の静止摩擦(すなわち静摩擦)を打ち破り、プランジャアクチュエータ630/730を起動する。例示的実施形態において、保護フィルム650/750は、プランジャアクチュエータ630/730に接続された連結部材を含んでもよい。連結部材は、テザー、タブ、またはその他の連結機構を含んでもよい。保護フィルム650/750が剥がされると、保護フィルム650/750の連結部材は、栓615/715とバレル605/705の内壁との間の静止摩擦を解放し、プランジャアクチュエータ630/730を起動する。
ステップ1010において、治療的有効投与量の治療薬の投与中に装着型装置が投与部位上に確実に保持されるように、患者は投与部位(または投与部位の周辺の衣類)に、接着層640/740を備える装着型自動注射装置600/700の患者接触部分を適用する。
ステップ1015において、装着型自動注射装置600/700が投与部位に一旦取り付けられると、治療薬カートリッジアセンブリ610/710は、筐体635/735の内部で投与前状態の準備位置から投与状態の押下位置まで押下される。準備位置において、投与インターフェース625/725を担持している治療薬カートリッジアセンブリ610/710の末端は、筐体635/735の内部で後退させられて、筐体の外側に露出しない。押下されると、投与インターフェース625/725を担持している治療薬カートリッジアセンブリ610/710の末端は、投与インターフェース625/725が筐体635/735の開口部から現れて露出するように、筐体635/735の内部で線形的または回転的に、下方に移動させられる。これにより、投与インターフェース625/725は、治療薬の投与のために適切な深さまで、患者の身体に貫入できるようになる。筐体635/735内の治療薬カートリッジアセンブリ610/710の下方移動は、線形(すなわち、垂直下方移動)または回転(すなわち、枢動点を中心に円形運動しながら)であってもよい。図6Bおよび図7Bは、ステップ1015が実行された後の、筐体635/735内に押下された治療薬カートリッジ610/710を備える、投与状態になる装着型自動注射装置600および700の例示的実施形態を示す。
一例示的実施形態において、患者が手で押し下げることによって、治療薬カートリッジアセンブリ610/710は筐体635/735内に押し込まれる。別の例示的実施形態において、患者は、たとえば筐体635/735の上部などのアクセスしやすい場所に位置するトリガボタンなどの挿入トリガを始動してもよく、これは挿入トリガに治療薬カートリッジアセンブリ610/710を自動的に筐体635/735内に押下させ、そして投与インターフェース625/725を患者の身体を穿通させる。一例示的実施形態において、トリガボタンの押下は、バネにカートリッジアセンブリ610/710を筐体635/735内で下方に付勢させる、トリガ内のラッチを解放してもよい。カートリッジアセンブリ610/710の同じ動作は、投与インターフェース625/725を患者の投与部位に適切な深さまで挿入または適用させてもよい。
一例示的実施形態において、治療薬カートリッジアセンブリ610/710の押下は、プランジャアクチュエータ630/730を起動して、患者に治療的有効投与量を協働で投与する栓615/715の運動を開始させる。治療薬カートリッジアセンブリ610/710の押下は、プランジャアクチュエータ630/730に、栓615/715とバレル部分605/705の内壁(複数可)との間の静止摩擦(すなわち静摩擦)を打ち破らせ、投与インターフェース625/725を介して治療薬を投与するために、治療薬カートリッジアセンブリ610/710内で投与インターフェース625/725に向かって栓615/715を前方に移動させる。プランジャアクチュエータ630/730は、ワンステップで栓静摩擦を克服して、続くステップにおいて栓を作動してもよく、あるいはプランジャアクチュエータ630/730は、同時に栓静摩擦を克服して栓を作動してもよい。別の例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ630/730は、治療薬カートリッジの押下によってではなく、たとえばトリガボタンの形態の投与トリガを患者が始動することによって、起動される。
治療薬投与の速度は、プランジャアクチュエータ630/730の特性に依存してもよい。プランジャアクチュエータ630/730は、いくつかの例示的実施形態の形態を取ってもよい。いくつかの例示的実施形態において、プランジャアクチュエータ630/730は、たとえば付勢機構(バネなど)、圧縮ガス、化学ガス発生器(膨張フォームなど)、浸透圧、ヒドロゲル膨張など、エネルギー貯蔵および解放手段を採用してもよい。たとえばエネルギーの初期解放など、エネルギーを吸収するために、およびプランジャアクチュエータ630/730によるエネルギー解放中のより制御されたエネルギーの解放を提供するために、減衰機構が使用されてもよい。投与インターフェースと栓615/715との間の流体通路に配置された流量制限器は、たとえばプランジャアクチュエータ630/730が非拘束バネ力を管理する場合に、治療薬投与の速度をさらに調整するために使用されてもよい。こうして、たとえば単回高速ボーラスでなど、制御された速度でまったくまたはほとんど灼熱感を伴わずに投与量を患者に投与するために、適切なプランジャアクチュエータ630/730および適切な流量制限器が選択されてもよい。
一例示的実施形態において、治療薬カートリッジアセンブリ610/710の押下はまた、起動されると筐体635/735内に治療薬カートリッジアセンブリ610/710を後退させる、後退機構の準備も整える。
ステップ1020において、これが筐体635/735の外側に突起して投与インターフェース625/725が筐体635/735の内部で後退させられるかまたは皮膚センサ足660/760によって保護されるかまたはその両方となるように、治療薬カートリッジアセンブリ610/710は投与後状態において押下位置から後退位置まで後退させられる。図6Cおよび図7Cは、ステップ1020の後で後退位置にある、自動注射装置600および700の例示的実施形態をそれぞれ示す。ステップ1020は、治療的有効投与量の治療薬が投与されたとき、または治療的有効投与量が完全に投与される前に装着型自動注射装置600/700が投与部位から取り外されたときのいずれかに、実行される。
治療的有効投与量の投与時に、栓615/715および/またはプランジャアクチュエータ630/730は、後退機構の投与終了後退トリガを始動する。栓615/715および/またはプランジャアクチュエータ630/730は、投与終了後退トリガに接続された連結部材を含んでもよい。連結部材は、テザー、タブ、またはその他の連結機構を含んでもよい。連結部材は、(1回投与量の治療薬を投与するために)栓615/715がカートリッジアセンブリ610/710の末端まで移動してしまっているときに、後退トリガを始動させるラッチを連結部材が起動するように、適切な長さであってもよい。
投与終了後退トリガが一旦始動されると、治療薬カートリッジアセンブリ610/710が投与後状態になるように、後退機構は治療薬カートリッジアセンブリ610/710を筐体635/735の内部で上方に、および患者接触部分から離れる方に、展開する。一例示的実施形態において、投与状態から投与後状態への治療薬カートリッジアセンブリ610/710の移動は、治療薬投与の完了の聴覚的指標を提供する、たとえば「クリック」音などの可聴音を生じる。一旦後退させられると、治療薬カートリッジアセンブリ610/710は(図6Cおよび図7Cに示されるように)筐体635/735の外側に突起して、たとえば治療薬投与の完了などの装着型自動注射装置600/700の状態の視覚的指標、または投与後状態にある装置の視覚的指標を提供する。
しかしながら、治療的有効投与量の治療薬の完了前に装着型装置600/700が患者の身体から取り外された場合、皮膚センサ足660/760が筐体635/735の外側に伸長して、後退機構の早期抜去後退トリガを始動する。早期抜去後退トリガが一旦始動されると、治療薬カートリッジアセンブリ610/710が後退位置に戻されるように、後退機構は患者接触部分から離れる方に筐体635/735内で治療薬カートリッジアセンブリ610/710を上方に展開する。一例示的実施形態において、治療的有効投与量の治療薬の投与完了前に装着型装置600/700が患者から取り外されたとき、プランジャアクチュエータ630/730は投与インターフェース625/725に向かって治療薬カートリッジ610/710を前方に移動し続けてもよい。
ステップ1025において、後退すると、針刺し保護を提供するために再展開を防止するため、自動投与インターフェースロックは投与インターフェース625/725と係合する。投与インターフェースロックは、一旦係合したら投与インターフェース625/725が筐体635/735から脱出するのを防止する部材であってもよく、投与インターフェース625/725の付近で筐体635/735内に位置してもよい。例示的投与インターフェースロックは、プラスチック板、金属板、クリップなどを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
図11Aおよび図11Bは、シリンジおよび例示的な搬送機構を含む、例示的な装着型自動注射装置を示す。図11Aは、装置の斜視図を示す。図11Bは、装置の構成要素を示す、分解図を示す。自動注射装置1100は、患者の身体または衣服に装置を取り付けるために使用されてもよい患者接触部分に設けられた接着層1104を含む、筐体部分1102を含む。
筐体部分1102は、装置1100内で固定的にまたは移動可能に、シリンジ1106を保持する。シリンジ1106は、1回投与量の治療薬を保持し、その遠位末端で穿通針1108に結合されている。穿通針1108は、実質的にシリンジ1106の長手軸に沿って延在してもよい。包装済み投与前状態において、穿通針1108は穿通針カバー1105によって被覆されていてもよく、これは投与状態において穿通針1108が露出するように、投与前に患者によって取り外されてもよい。穿通針カバー1105は、穿通針、および穿通針1108によって形成されこれに結合された流体導管の無菌性を維持してもよい。例示的実施形態において、接着層1104の除去もまた、穿通針カバー1105を取り外してもよい。
穿通針1108の近傍には、投与インターフェースボタン1110が設けられている。投与インターフェースボタン1110は、いずれか所望の深さまで患者の皮膚の上に、中に、またはこれを通じて治療薬を投与するように構成された、投与インターフェース1112を保持している。投与インターフェース1112は、穿通針1108に対してほぼ90度に構成されてもよく、穿通針1108と投与インターフェース1112との間に流体導管を提供する搬送機構を含んでもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェース1112は、単一の注射針(図11Bにおいて実線として示される)を含んでもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース1112は、2つ以上の注射針を含んでもよい(追加針は図11Bにおいて破線として示される)。その他の例示的実施形態において、投与インターフェース1112は、治療薬の局所投与を実行するための、無針パッドおよび/または無針パッチを含んでもよい。
包装済み投与前状態において、投与インターフェース1112は投与インターフェースカバー1113によって被覆されていてもよく、これは治療薬の投与前に患者によって取り外されてもよい。投与状態において、投与インターフェース1112は露出されてもよい。一例示的実施形態において、接着層1104の除去もまた、投与インターフェースカバー1113を取り外してもよい。
投与インターフェースボタン1110は、穿通針1108が投与インターフェースボタン1110内の流体導管との流体連通を確立するのを防止する、隔壁1111も含んでよい。投与前状態において隔壁1111を被覆するためにカバー1115が設けられてもよいが、これは投与前に患者によって取り外されてもよい。一例示的実施形態において、隔壁カバー1115および穿通針カバー1105は、一方の除去により他方も除去されるように、結合されていてもよい。
一例示的実施形態において、投与前および投与後状態において、穿通針カバー1105は穿通針1108を被覆してもよく、投与インターフェースボタン1110は、投与インターフェース1112が筐体1102の内部で後退させられるように、穿通針カバー1105によって移動させられた垂直上昇位置にあってもよい。この状態において、投与インターフェースボタン1110の隔壁1111は、穿通針1108の垂直上方に配置されてもよい。加えて、シリンジ1106は、投与インターフェースボタン1110の隔壁1111から離間して、アセンブリ1106の長手軸に沿った後退位置にあってもよい。
穿通針カバー1105が穿通針1108から取り外されると、投与インターフェースボタン1110は、投与インターフェース1112が投与部位において筐体1102の外側に突起するように、垂直下降位置まで降下させられる。一例示的実施形態において、投与インターフェースボタン1110は、穿通針カバー1105の除去によって自動的に降下させられてもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェースボタン1110は、患者が投与インターフェースボタン1110を下方に押すことによって、降下させられてもよい。
一例示的実施形態において、投与インターフェースボタン1110の降下は、穿通針1108を投与インターフェースボタン1110の隔壁1111と位置合わせする。投与インターフェースボタン1110の降下はまた、投与インターフェースボタン1110の隔壁1111に向かってその長手軸に沿ってシリンジ1106を前進させる、シリンジアクチュエータも起動する。これにより、穿通針1108は隔壁1111を穿通して、投与インターフェース1112との流体連通を確立する。
図12Aおよび図12Bは、例示的な装着型自動注射装置を示す。図12Aは装置の側面図を示す。図12Bは装置の構成要素を示す斜視図を示す。自動注射装置1200は、筐体1202に対して固定的または移動可能にシリンジ1204を保持する、筐体1202を含む。投与インターフェースボタン1206は、シリンジ1204の近傍で筐体1202内に設けられ、投与インターフェース(図示せず)を保持する。筐体1202は、投与部位における、またはその付近の取り付けのための、接着層1208を含む。
装置1200の構成要素と類似の装置1200のその他の構成要素は、図11Aおよび図11Bを参照して記載されている。
図13Aから図13Cは、例示的な装着型自動注射装置を示す。図13Aは装置の斜視図を示す。図13Bは装置の上面図を示す。図13Cは装置の搬送機構の側面図を示す。自動注射装置1300は、投与部位における、またはその付近の取り付けのための接着層1303を有する、筐体1302を含む。筐体1302は、筐体1302に対して固定的または移動可能にカートリッジ1304を保持する。カートリッジ1304は、1回投与量の治療薬を保持するように構成されている。
投与インターフェースボタン1306は、カートリッジ1304の近傍で筐体1302内に設けられている。投与インターフェースボタン1306は、いずれか所望の深さまで患者の皮膚の上に、中に、またはこれを通じて治療薬を投与するように構成された1つ以上の投与インターフェース1308を保持してもよく、あるいはこれに結合されてもよい。投与インターフェース1308は、カートリッジ1304の長手軸に対してほぼ90度で延在してもよく、穿通針1310はカートリッジ1304の長手軸と実質的に平行に延在してもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェース1308は、単一の注射針(図13Cにおいて実線として示される)を含んでもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース1308は、2つ以上の注射針を含んでもよい(追加針は図13Cにおいて破線として示される)。その他の例示的実施形態において、投与インターフェース1308は、治療薬の局所投与を実行するための、無針パッドおよび/または無針パッチを含んでもよい。投与インターフェースボタン1306は、穿通針1310を通じてカートリッジ1304から投与インターフェース1308までの間の流体連通を確立する、搬送機構を形成してもよく、あるいはこれを含んでもよい。
投与インターフェースボタン1306は、投与状態において投与中に投与インターフェースボタン1306が押下されたときに筐体1302の筐体部分1314と係合する、筐体係合部1312を含んでもよい。図13Cに示される例示的実施形態において、筐体係合部1312と筐体部分1314との係合は、筐体部分1314をカートリッジ1304の遠位末端に向かってカートリッジ1304の長手軸に対して平行に移動させ、これにより、穿通針1310がカートリッジ2004のバレル部分との流体連通を確立できるようにする。別の例示的実施形態において、筐体係合部1312と筐体部分1314との係合は、カートリッジ1304を穿通針1310に向かって、カートリッジ1304の長手軸に平行に移動させ、これにより穿通針1310がカートリッジ1304のバレル部分と流体連通を確立できるようにする。別の例示的実施形態において、筐体係合部1312と筐体部分1314との係合は、カートリッジ1304および投与インターフェースボタン1306を互いに向かって移動させ、これにより、穿通針1310がカートリッジ2004のバレル部分との流体連通を確立できるようにする。
装置1100の構成要素と類似の装置1300のその他の構成要素は、図11Aおよび図11Bを参照して記載されている。
図14Aから図14Cは、例示的なカートリッジアセンブリを含む、例示的な装着型自動注射装置を示す。図14Aは装置の斜視図を示す。図14Bは、長手軸に沿ったカートリッジアセンブリの側面断面図を示す。図14Cは装置の透視上面図を示す。自動注射装置1400は、投与部位における、またはその付近の取り付けのための接着層1403を有する、筐体1402を含む。筐体1402は、筐体1402に対して固定的または移動可能にカートリッジ1404を保持する。カートリッジ1404は、1回投与量の治療薬を保持するように構成されている。カートリッジ1404の近位末端は栓1406を含み、カートリッジ1404は、カートリッジ1404の内部に投与量を協働で封止する隔壁1408を含む。
投与インターフェースボタン1410は、カートリッジ1404の近傍で筐体1402内に設けられている。投与インターフェースボタン1410は、カートリッジ1404の長手軸に対してほぼ90度で延在する投与インターフェースを、遠位末端に保持する。投与インターフェースボタン1410は、カートリッジ1404の近傍に穿通針1412を保持する搬送機構1411に結合されている。穿通針1412は、カートリッジ1404の長手軸と実質的に平行に延在する。搬送機構1411は、穿通針1412を通じてカートリッジ1404と投与インターフェースとの間に流体連通を隔離するために、流体導管を含む。投与前状態において、穿通針1412は、カートリッジ1404の遠位末端内に部分的に延在してもよいが、しかし隔壁1408からは離間していてもよい。投与状態において、栓1406は、カートリッジ1404内の流体圧力が隔壁1408を穿通針1412に向かって前方へ移動させるように、カートリッジ1404の内部で移動させられてもよい。これにより、穿通針1412は隔壁1408を穿通して、穿通針1412を通じてカートリッジ1404と投与インターフェースとの間に流体連通を確立する。
装置1100の構成要素と類似の装置1400のその他の構成要素は、図11Aおよび図11Bを参照して記載されている。
III.例示的投与システム
例示的実施形態は、1回投与量の治療薬を患者に投与するための、異なる例示的投与システムおよびアセンブリを提供する。いくつかの例示的実施形態において、(投与量を収容する例示的自動注射装置のバレル部分に結合された)投与インターフェースは、投与量を患者に投与するために、患者の身体に挿入または適用されてもよい。別の例示的実施形態において、投与量をバレル部分から導き出すために、投与量を収容しているバレル部分に穿通針が結合されてもよく、穿通針に結合された投与インターフェースは投与量を患者に投与するために患者の身体に挿入または適用されてもよい。
いくつかの例示的実施形態において、図15および図16に示されるように、シリンジは、バレル部分と、バレル部分の遠位末端に結合された投与インターフェースとを含んでもよい。投与インターフェースは、シリンジのバレル部分に収容された治療薬を投与するために、たとえば患者への挿入または適用によって、患者の身体と接触してもよい。投与インターフェースは、約0度から約180度の範囲でバレル部分の長手軸に対していずれか適切な角度で位置合わせされてもよいが、この例示的範囲に限定されるものではない。
図15は、例示的自動注射装置での使用に適した例示的シリンジ1500を示す。シリンジ1500は、1回投与量の治療薬を保持するように構成され、長手軸Lに沿って近位末端と遠位末端との間に延在する。バレル部分1502の遠位末端は、長手軸Lに沿って延在する1つ以上の投与インターフェース1504に結合されている。一例示的実施形態において、投与インターフェース1504は、単一の注射針(図15において実線として示される)を含んでもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース1504は、2つ以上の注射針を含んでもよい(追加針は図15において破線として示される)。その他の例示的実施形態において、投与インターフェース1504は、治療薬の局所投与を実行するための、無針パッドおよび/または無針パッチを含んでもよい。
図16は、例示的自動注射装置での使用に適した例示的なシリンジ1600を示す。シリンジ1600は、1回投与量の治療薬を保持するように構成され、長手軸Lに沿って近位末端と遠位末端との間に延在する、バレル部分1602を含む。バレル部分1602の遠位末端は、長手軸Lに対してほぼ90度で延在するエルボー部分1604を含んでもよい。エルボー部分1604の遠位末端は、長手軸Lからほぼ90°で延在する投与インターフェース1606に結合されている。投与インターフェース1606は、いずれか所望の深さまで患者の皮膚の上に、中に、またはこれを通じて治療薬を投与するように構成されていてもよい。例示的自動注射装置が、シリンジの長手軸Lに沿って延在するかまたはシリンジの長手軸Lに対していずれか適切な角度で延在する投与インターフェースを含んでもよいことを、当業者は認識するであろう。例示的な角度は約70度から約110度を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。一例示的実施形態において、投与インターフェース1606は、単一の注射針(図16において実線として示される)を含んでもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース1606は、2つ以上の注射針を含んでもよい(追加針は図16において破線として示される)。その他の例示的実施形態において、投与インターフェース1606は、治療薬の局所投与を実行するための、無針パッドおよび/または無針パッチを含んでもよい。
いくつかの例示的実施形態において、図17および図18に示されるように、シリンジは、バレル部分と、バレル部分の遠位末端に結合された投与インターフェースとを含んでもよい。投与インターフェースは、シリンジのバレル部分に収容された治療薬を投与するために、たとえば患者の身体への挿入または適用によって、患者の身体と接触してもよい。投与インターフェースは、約0度から約180度の範囲でバレル部分の長手軸に対していずれか適切な角度で位置合わせされてもよいが、この例示的範囲に限定されるものではない。
いくつかの例示的実施形態において、図17および図18に示されるように、シリンジは、バレル部分と、バレル部分の遠位末端に直接的または間接的に結合された投与インターフェースとを含んでもよい。穿通針は、シリンジのバレル部分に収容された治療薬を投与インターフェースまで運搬してもよく、投与インターフェースは患者に治療薬を投与してもよい。穿通針と投与インターフェースとの間の結合は、1つ以上の中間部品によって提供されてもよい。例示的な結合部品は、バレル部分の遠位末端と投与インターフェースとの間に設けられた、たとえばアダプタを含んでもよい。
図17は、例示的自動注射装置での使用に適した例示的なシリンジ1700を示す。シリンジ1700は、長手軸Lに沿って近位末端から遠位末端まで延在するように構成され、1回投与量の治療薬を保持するように構成された、バレル部分1702を含む。バレル部分1702の遠位末端は穿通針1704に結合されている。そして穿通針1704は、例示的な中間アダプタ1708を通じて1つ以上の投与インターフェース1706に結合されている。投与インターフェース1706は、いずれか所望の深さまで患者の皮膚の上に、中に、またはこれを通じて治療薬を投与するように構成されていてもよい。より具体的には、アダプタ1708の近位部分は穿通針1704に結合されており、アダプタ1708の遠位部分は投与インターフェース1706に結合されている。アダプタ1708は、バレル部分1702の長手軸Lと投与インターフェース1706との間でほぼ90度のアライメントを確立してもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェース1706は、単一の注射針(図17において実線として示される)を含んでもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース1706は、2つ以上の注射針を含んでもよい(追加針は図17において破線として示される)。その他の例示的実施形態において、投与インターフェース1706は、治療薬の局所投与を実行するための、無針パッドおよび/または無針パッチを含んでもよい。
例示的なアダプタ1708は、長手軸Lと実質的に平行にバレル部分1702から延在する第一部分1710と、長手軸Lに対して実質的に直角に第一部分1710から延在する第二部分1712とを含む構成要素である。より具体的には、第一部分1710の近位末端は、バレル部分1702の遠位末端に結合されている。一例示的実施形態において、第一部分1710の近位末端は、バレル部分1702の遠位末端を包んでもよい。第一部分1710の遠位末端は、第二部分1712の近位末端に結合されている。第二部分1712の遠位末端は、投与インターフェース1706の近位末端に結合されている。一例示的実施形態において、アダプタ1708の第一部分1710および第二部分1712は、一体に形成されてもよい。
例示的なアダプタは、プラスチック材料、鋼などを含むがこれらに限定されない、硬質材料で形成されてもよい。あるいは例示的なアダプタは、ゴムなどを含むがこれに限定されない、可撓性材料で形成されてもよい。
投与インターフェース1706に結合されたアダプタ1708の構成は、投与インターフェース1706がシリンジの長手軸Lに対して約90度で延在できるようにする。この構成は、湾曲投与インターフェースの必要性を排除するので、装着型自動注射装置の製造を簡素化する。例示的投与インターフェース1706は、患者の身体への適切な挿入または適用を可能にしながら、患者に対する低プロファイルを維持する。当業者は、例示的投与インターフェースがシリンジの長手軸から、約90度に限定されずたとえば約70度から約110度のいずれか適切な角度まで曲げられてもよいことを、認識するであろう。
いくつかの例示的実施形態において、穿通針を通じてバレル部分から投与針への治療薬の流れを可能にするために、穿通針と投与インターフェースとの間に1つ以上の流体導管が設けられてもよい。穿通針と投与インターフェースとの間に1つ以上の流体導管を確立するために、いずれの適切な流体導管または流体搬送機構が使用されてもよい。一例示的実施形態において、無傷の状態の穿通可能な隔壁は、投与インターフェースからの流体連通から穿通針を隔離してもよい。投与状態における投与中に穿通針が隔壁を穿通すると、穿通針と投与インターフェースとの間で流体導管を通じて流体連通が確立されるであろう。
図18は、搬送機構内の流体導管が穿通針および投与インターフェースを結合している、例示的自動注射装置の一部を示す。装置は、1回投与量の治療薬を保持するバレル部分1800を有するシリンジまたはカートリッジアセンブリを含む。バレル部分1800の遠位末端は、穿通針1802に結合されている。搬送機構1804は、穿通針1802と接触するかまたはその近傍に設けられており、また投与インターフェース(図示せず)にも接触するかまたはその近傍に設けられている。搬送機構1804は、穿通針1802と投与インターフェースとの間に流体連通を確立する、流体導管または通路1806を含む。別の例示的実施形態において、穿通針および投与インターフェースは、搬送機構を介在させずに直接結合されてもよい。
一例示的実施形態において、搬送機構1804は、投与前状態において投与の前に搬送機構1804内の流体導管1806から穿通針1802を隔離する、穿通可能な隔壁1808を含む。一例示的実施形態において、投与状態における投与中に、シリンジまたはカートリッジは、バレル部分1800、流体導管1806、搬送機構1804、および投与インターフェースの間に流体連通通路を形成するために穿通針1802が隔壁1808を穿通するように、搬送機構1804に向かって移動させられてもよい。これにより治療薬は、バレル部分1800を出て穿通針1802を通じて流体導管1806内に流入してもよい。治療薬はその後、患者への治療薬の投与のために流体導管1806を通じて投与インターフェース内に搬送されてもよい。
図19は、穿通針(図示せず)と投与インターフェース(図示せず)との間に流体導管1902を提供するための、例示的な搬送機構1900を示す。流体導管1902は、穿通針から投与インターフェースまで治療薬がその中を流れる、中央に延在するチャネル1904と、流体をチャネル1904に拘束するためにチャネル1904の縁に沿って延在する隆起壁部1906とを含んでもよい。流体導管1902は、いずれの適切な形状および寸法を取ってもよい。説明的実施形態において、流体導管1902は、第二略直線部1910から約90度に位置合わせされた、第一略直線部1908を有する。
流体導管1902は、穿通針からの治療薬の侵入のための流体入り口1912と、投与インターフェースへの治療薬の吐出のための流体出口1914とを含んでもよい。流体入り口1912は、穿通針の遠位末端に直接的または間接的に結合されてもよい。一例示的実施形態において、隔壁が無傷のときに穿通針からの流体の流れを抑制し、隔壁が穿通針によって穿通されたときに流体を穿通針から流すために、穿通可能な隔壁(図示せず)が流体入り口1912に設けられてもよい。流体出口1914は、流体導管1902と投与インターフェースとの間に流体流路を確立するために、投与インターフェースの近位末端に直接的または間接的に結合されてもよい。
あるいは、1912が流体出口として使用されてもよく、1914が流体入り口として使用されてもよい。この例示的実施形態において、流体入り口1914は穿通針と直接的または間接的に結合されてもよく、流体出口1912は投与インターフェースと直接的または間接的に結合されてもよい。
搬送機構1900は、積み重ねられた2つの筐体部分1916および1918で形成されてもよい。一例示的実施形態において、流体導管1902は部分1916の表面上に形成されてもよく、部分1918は、流体導管からの流体漏れを防止するために流体導管1902の縁を封止するように、流体導管1902の上に重ねられてもよい。2つの筐体部分1916および1918の間の圧縮は、たとえば1つ以上の締め具、スナップ、化学結合、超音波溶接など、1つ以上の機械的連結機構によって提供されてもよい。
流体導管1902は、いずれか適切な技術を用いて筐体部分1916の表面上に形成されてもよい。一例示的実施形態において、流体導管1902の隆起壁部1906は、治療薬の流路を封止するために、ガスケットとして成型された低デュロメータ材料で形成されてもよい。別の例示的実施形態において、チャネル1904の周りの封止を形成し、同時に2つの筐体部分1916および1918を互いに接合するために、チャネル1904の外周の周りの通路を辿るため、レーザ溶接が使用されてもよい。
別の例示的実施形態において、穿通針および投与インターフェースは、搬送機構を介在させずに直接結合されてもよい。
図20は、バレル部分2006に結合された穿通針2004を備えるシリンジと投与インターフェース(図示せず)との間に流体導管2002を提供するための、例示的な搬送機構2000を示す。搬送機構2000は、穿通針2004の近傍に設けられた隔壁2010を有する第一部分2008を含んでもよい。
搬送機構2000の第一部分2008は、治療薬を収容するための内部中空空間と、中空管2014の一方の末端に結合された流入ポート2012とを含んでもよい。中空管2014の他方の末端は、投与インターフェースに直接的または間接的に(たとえば、第一部分2008と類似の第二部分を通じて)結合されてもよい。中空管2014は、穿通針2004から投与インターフェースまでの流体路を提供する。中空管2014は、いずれの適切な形状、アライメント、および寸法を取ってもよい。説明的実施形態において、中空管2014は、バレル部分2006の長手軸に対してほぼ直角に延在する。
一例示的実施形態において、搬送機構2000は、垂直軸に沿って上方および/または下方に移動可能であってもよい。この実施形態において、投与前状態において投与の前に(たとえば、穿通針が針カバーで被覆されているとき)、穿通針2004が搬送機構2000内の隔壁2010と位置合わせされず、それによって穿通針2004と搬送機構2000との間の流体連通を妨げるように、搬送機構2000は穿通針2004の上方の垂直上昇位置にあってもよい。投与の初めに(たとえば、穿通針2004からシリンジカバーを外したときに)、穿通針2004が搬送機構2000内の隔壁2010と位置合わせされ、そうして穿通針2004を隔壁2010に穿通させるように、搬送機構2000は垂直下降位置まで自動的に降下させられてもよい。例示的実施形態は、投与の初めに搬送機構2000を垂直上昇位置から垂直下降位置まで降下させるための、いずれか適切な作動機構を提供してもよい。
一例示的実施形態において、穿通針2004は、最初から第一部分2008に結合されていてもよく、あるいはそのすぐ隣に設けられていてもよい。別の実施形態において、シリンジは装着型自動注射装置の中の後退位置にあってもよく、穿通針2004は最初に搬送機構2000の第一部分2008から分離されていてもよい。この実施形態において、投与前状態において投与の前に、穿通針2004は第一部分2008内の隔壁2010から隔離されていてもよく、搬送機構2000と流体連通していなくてもよい。投与の初めに、シリンジは、カートリッジまたはシリンジアクチュエータによって装置内の伸長位置まで前方に移動させられてもよく、穿通針2004は隔壁2010を穿通してもよく、こうしてバレル部分2006から搬送機構2000まで治療薬を流す。例示的実施形態は、隔壁を穿通して投与インターフェースを通じて患者の身体まで治療薬を搬送するために、後退位置と伸長位置との間で筐体の内部のバレル部分および/またはカートリッジアセンブリを前進させるための、いずれか適切なシリンジまたはカートリッジ作動機構を提供してもよい。
例示的な搬送機構2000の利点は、穿通針2004および投与インターフェースの動きが分離していて互いに独立していることである。たとえば、穿通針2004を流入ポート2012に結合する機構は、投与インターフェースに結合された搬送機構2000の出口に対してこの結合がどのように影響するかを考慮に入れる必要がない。
図21は、バレル部分2106に結合された穿通針2104を有するシリンジと投与インターフェース(図示せず)との間に流体導管を提供するための、例示的な搬送機構2100を示す。搬送機構2100は、穿通針2104に結合可能な流入部(図示せず)と投与インターフェースに結合可能な流出部(図示せず)を含んでもよい。搬送機構の流入部を搬送機構の流出部に結合するために、たとえばジャンプ管などの中空管2108が使用されてもよい。中空管2108は、穿通針2104から投与インターフェースまでの流体路を提供する。中空管2108は、いずれの適切な形状、アライメント、および寸法を取ってもよい。説明的実施形態において、中空管2108は、バレル部分2106の長手軸に対してほぼ直角に延在する。
一例示的実施形態において、搬送機構2100の流入部は、穿通針2104の近傍に設けられた隔壁(図示せず)を含んでもよい。穿通針2104による隔壁の穿通は、バレル部分2106と搬送機構2100との間に流体連通を確立してもよい。一例示的実施形態において、搬送機構の流出部は、投与インターフェースの近傍に設けられた隔壁(図示せず)を含んでもよい。投与インターフェースによる隔壁の穿通は、搬送機構2100と患者の身体との間に流体連通を確立してもよい。
一例示的実施形態において、搬送機構2100は、垂直軸に沿って上方および/または下方に移動可能であってもよい。この実施形態において、投与前状態において投与の前に(たとえば、穿通針が針カバーで被覆されているとき)、穿通針2104が搬送機構2100内の隔壁と位置合わせされず、それによって穿通針2104と搬送機構2100との間の流体連通を妨げるように、搬送機構2100は穿通針2104の上方の垂直上昇位置にあってもよい。投与の初めに(たとえば、穿通針2104からシリンジカバーを外したときに)、穿通針2104が搬送機構2100の隔壁と位置合わせされ、そうして穿通針2104を隔壁に穿通させるように、搬送機構2100は垂直下降位置まで自動的に降下させられてもよい。例示的実施形態は、投与の初めに搬送機構2100を垂直上昇位置から垂直下降位置まで降下させるための、いずれか適切な作動機構を提供してもよい。
一例示的実施形態において、穿通針2104は、最初から第一部分2108に結合されていてもよく、あるいはそのすぐ隣に設けられていてもよい。別の実施形態において、シリンジは装着型自動注射装置の中の後退位置にあってもよく、穿通針2104は最初に搬送機構2100から分離されていてもよい。この実施形態において、投与前状態において投与の前に、穿通針2104は隔壁から隔離されていてもよく、搬送機構2100と流体連通していなくてもよい。投与の初めに、シリンジは、カートリッジまたはシリンジアクチュエータによって装置内の伸長位置まで前方に移動させられてもよく、穿通針2104は隔壁を穿通してもよく、こうしてバレル部分2106から搬送機構2100まで治療薬を流す。例示的実施形態は、隔壁を穿通して投与インターフェースを通じて患者の身体まで治療薬を搬送するために、後退位置と伸長位置との間で筐体の内部のバレル部分および/またはカートリッジアセンブリを前進させるための、いずれか適切なシリンジまたはカートリッジ作動機構を提供してもよい。
別の例示的実施形態において、穿通針および投与インターフェースは、搬送機構を介在させずに直接結合されてもよい。
図17から図21に示される例示的実施形態において、緊密で信頼できる流体路は、シリンジまたはカートリッジのバレル部分から、穿通された隔壁および搬送機構の管またはチャネルを通じて、最終的に投与インターフェースまで、治療薬を搬送する。この構成は、穿通針アセンブリおよび投与インターフェースアセンブリが互いに独立して移動できるようにし、これにより、隔壁を穿通する位置に穿通針を残しながら、投与が実行された後の投与後状態において筐体内への投与インターフェースの後退を容易にする。
図22は、装着型自動注射装置の筐体の内部でシリンジ2202またはカートリッジアセンブリを後退位置から伸長位置まで投与インターフェースに向かって前進させるために使用されてもよい、例示的なシリンジまたはカートリッジアクチュエータ2200を示す。シリンジまたはカートリッジアセンブリの近位末端は、シリンジまたはカートリッジアセンブリを搬送機構(図示せず)内の隔壁に向かって移動させるためにシリンジまたはカートリッジアセンブリに力を印加する、たとえば駆動バネなどの付勢部材2204に結合されてもよい。シリンジまたはカートリッジアクチュエータ2200は、付勢部材の付勢力に対抗してもよく、安定した信頼できるやり方でバレル部分および/またはカートリッジアセンブリを後退位置に保持および係止してもよい。シリンジが設けられた例示的実施形態において、シリンジは、隔壁を穿通する穿通針に結合されてもよい。カートリッジが設けられた別の例示的実施形態において、搬送機構には隔壁を穿通する穿通針が設けられてもよい。
投与状態において適切なトリガ機構によって起動されると、シリンジまたはカートリッジアクチュエータ2200は、付勢部材の力の下でシリンジまたはカートリッジアセンブリを隔壁に向かって前方に移動させてもよい。一例示的実施形態において、シリンジまたはカートリッジアクチュエータ2200は、シリンジまたはカートリッジアセンブリを後退位置から伸長位置まで前進させるために必要とされる力を起動するレベルを制御するために、特定の距離に構成および/または設定されてもよい。
シリンジまたはカートリッジ作動システムを起動するために、いずれの適切なトリガ機構が使用されてもよい。一例示的実施形態において、トリガ機構は、装着型自動注射装置が投与前状態から投与状態に移動したときに、シリンジまたはカートリッジ作動システムを自動的に起動してもよい。一例示的実施形態において、シリンジまたはカートリッジアセンブリと投与インターフェースとの間に流体路を提供するための、筐体の内部における投与インターフェースボタンの下方垂直移動は、プランジャ作動システムを起動するための起動力を提供してもよい。別の例示的実施形態において、シリンジまたはカートリッジアセンブリと投与インターフェースとの間に流体路を確立するための筐体の内部におけるシリンジまたはカートリッジアセンブリの前方移動は、シリンジまたはカートリッジシステムを起動するための起動力を提供してもよい。別の例示的実施形態において、シリンジまたはカートリッジシステムは、患者によって手動で起動されてもよい。
投与前状態において投与の前に、シリンジ2202の遠位末端に設けられた、たとえば硬質針カバー(図示せず)などの穿通針カバーが、穿通針を保護的に被覆してもよい。穿通針カバーは、穿通針、および穿通針によって形成されてこれに結合された流体導管の無菌性を維持してもよい。この段階において、穿通針は針カバーで被覆されているので、シリンジ2202の遠位末端は第一の大径を有している。したがって、隔壁を含む投与インターフェースボタンは穿通針カバーの上方の垂直上昇位置に維持されており、隔壁は穿通針と位置合わせされていない。(たとえば、患者によって手動でまたは自動的な機構によって)投与の準備が整ったシリンジから穿通針カバーが取り外されるとき、投与インターフェースボタンはもはや硬質穿通針カバーによってずらされたままではないので垂直下降位置まで降下させられ、投与インターフェースボタンの隔壁は穿通針と位置合わせされる。こうして穿通針カバーの取り外しにより、投与インターフェースボタンをその垂直上昇位置からその垂直下降位置まで降下させる。翻って投与インターフェースボタンの降下は、シリンジまたはカートリッジアクチュエータ2200に起動力を印加し、シリンジまたはカートリッジアクチュエータ2200のためにトリガ機構として動作する。
図23は、第一部分2302、第二部分2304、および第一部分と第二部分との間に設けられたヒンジ部分2306を含む、例示的なシリンジまたはカートリッジアクチュエータ2300を示す。ヒンジ部分2306は、第一および第二部分をヒンジを中心に相互に回転させる。異なる回転構成において、第一および第二部分は、互いの間に約0度から約180度の間の例示的角度を有してもよい。アクチュエータ2300は、シリンジおよび/または投与インターフェースボタンに結合されてもよい。隔壁および/または投与インターフェースボタンが垂直上昇位置にあるとき、アクチュエータ2300はシリンジをその後退位置の所定位置に保持してもよい。隔壁および/または投与インターフェースボタンが垂直下降位置にあるとき、アクチュエータ2300は、隔壁を穿通するために付勢部材がシリンジをその伸長位置まで前方に押すように、シリンジを解放してもよい。
IV.例示的なプランジャ作動システムおよび投与インターフェース後退システム
例示的実施形態は、栓がバレル部分の内部で前方に移動してバレル部分に収容された1回投与量の治療薬を放出するように、装着型自動注射装置のバレル部分内の栓を作動させるための、プランジャ作動システムを提供する。プランジャ作動システムを起動するために、いずれの適切なトリガ機構が使用されてもよい。一例示的実施形態において、トリガ機構は、装着型自動注射装置が投与前状態から投与状態に移動したときに、プランジャ作動システムを自動的に起動してもよい。一例示的実施形態において、シリンジまたはカートリッジアセンブリと投与インターフェースとの間に流体路を提供するための、筐体の内部における投与インターフェースボタンの下方垂直移動が、プランジャ作動システムを起動する起動力を提供してもよい。別の例示的実施形態において、シリンジまたはカートリッジアセンブリと投与インターフェースとの間に流体路を確立するための、筐体の内部におけるシリンジまたはカートリッジアセンブリの前方移動が、プランジャ作動システムを起動するための起動力を提供してもよい。別の例示的実施形態において、プランジャ作動システムは、患者によって手動で起動されてもよい。
特定の例示的実施形態は、高速で患者に治療薬を投与するために、高速でシリンジプランジャの作動を生じる、プランジャ作動システムを提供する。例示的な高速実施形態は、約0.1ミリリットルから約1ミリリットルの治療薬量を約1秒から約30秒で投与してもよいが、ただし例示的な投与速度はこの例示的範囲に限定されるものではない。特定の例示的実施形態において、約0.1ミリリットルから約1ミリリットルの治療薬量が、約3秒から約5秒の範囲の持続時間にわたって投与されてもよい。特定の例示的実施形態において、約0.1ミリリットルから約1ミリリットルの治療薬量が、約20秒以下の持続時間にわたって投与されてもよい。例示的実施形態は、投与速度が経時的に実質的に一定となるように、治療薬に線形投与プロファイルを提供してもよい。場合により、線形投与プロファイルは、患者によって経験される不快感を低減するかも知れない。
図24は、シリンジまたはカートリッジのバレル部分の内部で栓を移動させるために作動流体の流体圧力および/または作動流体の運動が使用される、流体に基づくプランジャ作動機構を採用する例示的自動注射装置2400を示す。プランジャ作動機構は、シリンジまたはカートリッジのバレル部分2404から1回投与量の治療薬を押し出すための作動流体の力を栓に提供するための、1つ以上の流体回路を含む。装着型自動注射装置2400は、流体圧力を提供する非圧縮性作動流体を貯蔵するかまたはその源に結合された、圧力要素2406を含んでもよい。例示的な作動流体は、水、空気、油などを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。例示的な圧力要素は、弾性ブラダ、マスタシリンダ、バネ荷重シリンダなどを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
圧力要素2406は、管材を介して流量制限器2408に結合されてもよい。流量制限器2408は、流量制限器の上流の流体圧力が流量制限器の下流の流体圧力よりも大きくなるように、作動流体の流れを制限してもよい。流量制限器2408は、約0.001インチから約0.01インチの範囲の直径のオリフィスを含んでもよいが、例示的流量制限器オリフィスの直径はこの例示的範囲に限定されるものではない。流量制限器2408のオリフィスは、約10mmから約50mmの範囲の長さを有してもよいが、例示的流量制限器オリフィスの長さはこの例示的範囲に限定されるものではない。
例示的実施形態は、治療薬の総投与時間を制御するための、投与システムの多数の特徴を構成する。例示的実施形態はまた、作動流体および/または治療薬の粘度に基づく、投与システムの多数の特徴も構成する。例示的な特徴は、オリフィスの直径、オリフィスの長さ、作動流体の粘度などを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。たとえば、総投与時間を増加させるために、流量制限器のオリフィスの直径が縮小されてもよい。
流量制限器2408は、管材2412を介して栓に結合されてもよい。作動流体が流量制限器2408を介して圧力要素2406から解放されると、作動流体の流体圧力は、投与量の治療薬をバレル部分2404から放出するために、バレル部分2404の内部で栓を前方に駆動する。
一例示的実施形態において、投与前状態において投与の前に、作動流体は圧力要素2406から解放されなくてもよい。この例示的実施形態において、投与トリガの始動時に、作動流体が圧力要素4106から、圧力要素を栓に結合する管材の中に向かって解放されるように、投与トリガ(図示せず)が圧力要素2406に結合されてもよい。作動流体の流体圧力は引き続きバレル部分2404の内部で栓を前進させ、こうして投与量を患者に投与する。これにより、作動流体の流れによって確立された流体回路および流量制限器は、調整された力を栓に付与する。
一例示的実施形態において、投与量は線形投与プロファイルで、すなわち実質的に一定の投与速度で、投与される。投与プロファイルの直線性は、流量制限器2408の上流の圧力要素2406によって提供される作動流体の高圧、および流量制限器2408によって提供される減衰効果によって、達成されてもよい。流量制限器2408の上流の圧力は、高減衰システムが実現されるように、突出したスティックスリップ力に対して高いレベルで維持されてもよい。栓がバレル部分2404の内部で前方に移動させられるために、栓は流量制限器2408とバレル部分2404との間の作動流体に真空を引く必要が出てくるが、作動流体は基本的に非圧縮性なので、これを相当程度に実現することは困難である。
例示的な減衰液圧投与回路は、力の直接的な印加によってではなく、むしろ容積測定を介して栓の移動を可能にし、これによって治療薬の投与プロファイルにおけるスティックスリップ減少を最小限に抑える。
図25は、約0.008インチの例示的直径および約34.3mmの例示的長さを有する第一の例示的流量制限器を含む図24の例示的投与システムによって投与されたときの、時間(秒)に対する治療薬の累積体積(ミリリットル)のグラフを示す。約1ミリリットルの治療薬を投与するための総投与時間は、約20秒であった。図中のグラフにおいて、投与プロファイルはほぼ線形、すなわち経時的に実質的に一定であり、一貫性のない投与速度を表す初期ボーラスまたは急激な変化または変曲を示していない。
図26は、カートリッジアセンブリから治療薬を押し出す力を提供するために1つ以上の流体回路を採用する、例示的自動注射装置2600の模式図を示す。図27は、例示的装置2600の上面図である。例示的自動注射装置2600は、1回投与量の治療薬を収容するバレル部分2602を含む。バレル部分2602の遠位末端は、穿通針カバー2604によって保護的に被覆された穿通針(穿通針カバー2604によって隠れている)の近傍に設けられるか、またはこれに結合されている。穿通針カバー2604は、穿通針、および穿通針によって形成されてこれに結合された流体導管の、無菌性を維持してもよい。装置2600は、隔壁を含み投与インターフェース(図示せず)を担持する、投与インターフェースボタンを含む。一例示的実施形態において、装置2600は、投与インターフェースを保持するための投与インターフェースキャリア2606を含んでもよい。別の例示的実施形態において、穿通針は、投与インターフェースのための中間キャリア部品を用いずに、投与インターフェースに直接結合されてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェースは、図示されるように装置の平面に対して実質的に直角に延在してもよく、投与インターフェースキャリア2606によって所定位置に保持されてもよい。投与インターフェースロック2608は、一旦係合したら後退位置にある投与インターフェースが筐体の外側に突起するのを防止するために設けられてもよく、投与インターフェースの付近で筐体内に位置してもよい。
一例示的実施形態において、シリンジまたはカートリッジアクチュエータ2610は、隔壁に向かって筐体の内部でバレル部分2602を前進させるために設けられてもよい。トリガは、たとえば投与インターフェースボタンが押下されたとき、または穿通針カバー2604が取り外されたときに、シリンジまたはカートリッジアクチュエータ2610を起動するために、設けられてもよい。
この例示的実施形態において、バレル部分2602の内部で栓2614を作動するための流体圧力を提供するために、作動流体を収容するマスタシリンダ2612が設けられる。マスタシリンダ2612は、作動されると作動流体を解放して栓2614と流体連通し、流体圧力にバレル部分2602の内部で栓2614を前進させる、投与トリガ2616に結合されてもよい。
例示的実施形態はまた、患者接触領域における装置の筐体の外側の垂直下降位置(または伸長または展開位置)から装置の筐体の内部の垂直上昇位置(または後退位置)まで投与インターフェースを後退させるための、投与インターフェース後退システムも提供する。装着型自動注射装置2600は、投与状態において投与中の筐体の内部の伸長または展開位置から投与の後の投与後状態の筐体の内部の後退位置まで投与インターフェースボタンを自動的に持ち上げる、後退機構を含む。一例示的実施形態において、後退機構は入れ子式要素であってもよい。マスタシリンダ2612は、作動されると作動流体を解放して後退機構と流体連通し、流体圧力に後退機構を始動させる、後退トリガに結合されてもよい。
図28は、マスタシリンダ2612を流量制限器2804に結合する導管2802と、流量制限器2804を装置のバレル部分2602内の栓に結合する導管2806と、たとえば逆止弁などの弁2812を介してマスタシリンダ2612を後退機構2810に結合する導管2808とを示す、装置2600の上面図を示す。図28は、装置2600の模式図を示す。
逆止弁2812は、それ以上の圧力で後退機構2810に結合された導管2808に逆止弁2812が流体を流入させる、適切なクラッキング圧力を有してもよい。一例示的実施形態において、クラッキング圧力は、投与状態における投与中に栓を駆動するために必要とされる導管2806内の最大流体圧力よりも高い。あるいは、望ましくないが、投与インターフェース後退プロセスは、投与の最中または前に開始してもよい。一例示的実施形態において、投与状態における投与中の栓の移動の終わりの導管2806の圧力は、クラッキング圧力よりも高い。あるいは、栓の移動の終わりに、導管2808の圧力は、後退機構2810を始動するのに十分ではないかも知れない。マスタシリンダ2612内の作動流体の量は、全投与量の治療薬を投与して後退機構2810を始動するのに十分である。
一例示的実施形態において、後退機構2810および逆止弁2812は個別に設けられてもよい。別の例示的実施形態において、後退機構2810および逆止弁2812は単一要素として、たとえば反転隔膜として、設けられてもよい。
図30は、一例示的実施形態における、逆止弁の後の栓の裏の圧力(psi)対時間(秒)のグラフを示す。一例示的実施形態において、逆止弁のクラッキング圧力は約7.5psiであってもよく、流量制限器オリフィスの直径は約0.008インチであってもよい。
投与状態における投与中、流量制限器2804は、導管2802内の圧力を約10から約15psiにしてもよく、その一方で導管2806内の圧力は約5から約6psiであってもよい。逆止弁2812はこのように、投与中に栓が移動している間、作動流体のいかなる流れも導管2808に侵入するのを防止する。投与の終わりに栓が移動を一旦停止すると、すなわち投与量がバレル部分2602から放出されてしまうと、導管2806内の圧力は7.5psiを超えて上昇する。これにより逆止弁2812が開放し、作動流体を導管2808に流入させて後退機構2810を始動する。翻って後退機構2810は、投与インターフェースロックを解除して、投与インターフェースを担持する投与インターフェースボタン/キャリア2606を後退させる。これは液圧回路内の均圧に基づくので、投与インターフェース後退プロセスは、投与インターフェースが後退させられる前に全投与量が投与されることを保証し、治療薬の利用率を最大化し、バレル部分2602において必要とされる過剰充填を最小化する。
投与インターフェース後退システムを起動するために、いずれの適切なトリガ機構が使用されてもよい。一例示的実施形態において、トリガ機構は、装着型自動注射装置が投与状態から投与後状態に移動したときに、投与インターフェース後退システムを自動的に起動してもよい。一例示的実施形態において、治療的有効投与量の治療薬の投与の完了が、投与インターフェース後退システムを起動してもよい。別の例示的実施形態において、治療的有効投与量の治療薬の投与の完了前の患者からの装置の抜去が、投与インターフェース後退システムを起動してもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース後退システムは、患者によって手動で起動されてもよい。
図31は、装着型自動注射装置3100の筐体3102が、投与部位の近傍の筐体3102の部分の下または中に収容された例示的実施形態の構造である皮膚センサ足3104を含む、例示的自動注射装置3100の側面図を示す。一例示的実施形態において、治療薬の投与に先立って、および投与中に、皮膚センサ足3104は、筐体3102の下面の内部に保持されるか、またはその一部を形成する。装着型自動注射装置3100が投与部位に取り付けられて始動されると、皮膚センサ足3104は自由に動いてもよいが、しかし投与部位によって拘束されてもよい。一例示的実施形態において、治療薬の投与が完了したか否かに関わらず、装着型自動注射装置3100が投与部位から取り外されるとき、皮膚センサ足3104はもはや拘束されておらず、筐体3102の周辺の外側に伸長および突起する。これは翻って後退トリガを始動させる。後退トリガが始動すると、投与インターフェースボタンが筐体3102の上部から突起して、投与インターフェースが筐体3102の内部で後退させられるように、後退機構は投与インターフェースを後退させて、やはり垂直下降位置から垂直上昇位置まで投与インターフェースボタンを上昇させてもよい。
V.例示的投与インターフェース保護システム
例示的実施形態は、治療薬の投与の前の投与前状態および投与の後の投与後状態において装着型自動注射装置の内部の後退位置に投与インターフェースを保持するための、異なる例示的投与インターフェース保護システムを提供する。装置の筐体の内部における投与インターフェースの後退および保護は、偶発的な針刺しによって患者または装着型自動注射装置の近傍にいるその他の人間が負傷するのを防止する。
図32Aおよび図32Bは、自動注射装置の筐体3204内の後退位置に投与インターフェース3202を保持する、例示的投与インターフェース保護システムを示す。例示的投与インターフェースは、単一の注射針、複数の注射針、無針パッド、無針パッチなどを含んでもよい。
一例示的実施形態において、投与インターフェース3202は患者の身体から離れる方へ、またはこれに向かって、筐体3204に対して移動可能である。投与インターフェース3202が患者の身体からより遠い筐体3204内の位置にあるとき、投与インターフェース3202は後退位置にあり、筐体3204の外側に突起していない。投与インターフェース3202は、装置が投与前または投与後状態にあるときに、後退位置にある。投与インターフェース3202が患者の身体により近い筐体3204内の位置にあるとき、投与インターフェース3202は伸長または展開位置にあり、筐体3204から完全にまたは部分的に突起している。筐体3204には、それを通じて投与インターフェース3202が筐体3204の外側に突起する、開口部3206が設けられてもよい。投与インターフェース3202は、装置が投与状態にあるときに、伸長または展開位置にある。
投与インターフェース保護システム3200は、投与インターフェース3202が後退位置にあるとき、投与の前の投与前状態および投与の後の投与後状態において投与インターフェース3202が筐体3204から突起するのを防止する、障壁機構3208を採用する。図32Aは、たとえば投与状態における投与中に、投与インターフェース3202が伸長または展開位置にあって筐体3204の外側に開口部3206を通じて完全にまたは部分的に突起している、システム3200を示す。この場合、開口部3206が筐体3204の外側に向かって開放して、投与インターフェース3202が開口部3206を通じて筐体3204の外側に自由に突起できるように、障壁機構3208は開口部3206からずらされている。図32Bは、たとえば投与前状態および投与後状態において、投与インターフェース3202が後退位置にあって筐体3204から突起していない、システム3200を示す。この場合、開口部3206がもはや開口部3206の外側に向かって開放せず、投与インターフェース3202が開口部3206を通じて筐体3204の外側に自由に突起できないように、障壁機構3208は開口部3206と位置合わせされてこれを被覆している。一例示的実施形態において、障壁機構3208は、開口部3206を露出する第一位置(図32A)から開口部3206を被覆する第二位置(図32B)まで、回転点を中心に回転的に移動させられてもよい。
図33Aおよび図33Bは、自動注射装置の筐体3302内に設けられた、別の例示的投与インターフェース保護システム3300を示す。筐体3302には、それを通じて投与インターフェースが筐体3302から突起する、開口部が設けられてもよい。例示的投与インターフェースは、1つの注射針、複数の注射針、無針パッチまたはポンプなどを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。一例示的実施形態において、自動注射装置は、垂直軸Vに沿って患者の身体から離れる方へ、またはこれに向かって、筐体3302に対して移動可能な、投与インターフェースを含む。例示的投与インターフェースは、単一の注射針、複数の注射針、無針パッド、無針パッチなどを含んでもよい。装置が投与前または投与後状態にあるとき、投与インターフェースは患者の身体からより離れた後退位置にあり、筐体3302の外側に突起していない。装置が投与状態にあるとき、投与インターフェースは患者の身体により近い伸長または展開位置にあり、筐体3302の外側に完全にまたは部分的に突起している。一例示的実施形態において、投与インターフェースは、タブまたはピン3308に直接的または間接的に結合されてもよい。タブ3308は、装置が投与位置にあるときに投与インターフェースを伸長させることができるように投与インターフェースに結合され、装置が投与前または投与後状態にあるときに投与インターフェースを後退位置に係止する、機械的部材である。
投与インターフェース保護システム3300は、投与前状態および投与後状態において投与インターフェースを後退位置に係止するための、投与インターフェースの近傍に設けられたロックアウトスリーブ3306を含む。例示的なロックアウトスリーブ3306は、部材内に延在する回転中心軸を中心に回転可能な、実質的に管状または円筒形の部材である。ロックアウトスリーブ3306は、垂直軸Vに沿って延在する第一部分3304と、垂直軸Vに対して直角に延在する第二部分3310とを含む、L字型のスロットまたは溝を含んでもよい。タブ3308は、内部に収容されてスロットを通じてロックアウトスリーブ3306の外側まで延在するように、設けられている。
投与インターフェース保護システム3300はまた、くさび形インターフェース3314においてロックアウトスリーブ3306と接触する皮膚センサ足3312も含む。皮膚センサ足3312は、装着型自動注射装置3300が投与部位から取り外されたときに始動されてもよい。始動されると、皮膚センサ足3312は、インターフェース3314に対して移動して、筐体3302の外側に突起してもよい。インターフェース3314に対する皮膚センサ足3312の移動は、ロックアウトスリーブ3306をその回転軸を中心に回転させる。皮膚センサ足3312が始動される前に、タブ3308は、スロットの第一および第二部分の間の接続部に位置してもよい(図33Aに示される)。この位置において、タブ3308は、垂直軸Vに沿って延在するスロットの第一部分3304に沿って、下方に摺動することができる。これは翻って、後退位置から患者に治療薬を投与するために投与インターフェースが使用されてもよい伸長位置まで、タブ3308とともに投与インターフェースが移動できるようにする。皮膚センサ足3312の始動がロックアウトスリーブ3306の回転を生じるとき、スロットの第二部分3310は、タブ3308がスロットの第二部分3310の終端部に位置するように、水平に移動させられる(図33Bに示される)。この位置において、タブ3308はもはや垂直軸Vに沿って下方に自由に摺動することはできない。これは翻って、投与インターフェースが後退位置から伸長位置までタブ3308とともに移動することを防止し、筐体3302内の後退位置に投与インターフェースを効果的に係止する。
図34は、自動注射装置の筐体3404内の後退位置に、投与インターフェースを投与インターフェースキャリア3402によって保持されたまま維持する、例示的投与インターフェース保護システム3400を示す。一例示的実施形態において、投与インターフェースは、垂直軸Vに沿って患者の身体から離れる方へ、またはこれに向かって、筐体3404に対して移動可能である。投与インターフェースが患者の身体からより遠い筐体3404内の位置にあるとき、投与インターフェースは後退位置にあってもよく、筐体3404の外側に突起していなくてもよい。一例示的実施形態において、装置が投与前または投与後状態にあるときに、投与インターフェースは後退位置にある。投与インターフェースが患者の身体により近い筐体3404内の位置にあるとき、投与インターフェースは伸長または展開位置にあってもよく、筐体3404の外側に完全にまたは部分的に突起してもよい。筐体3404には、それを通じて投与インターフェースが筐体3404の外側に突起してもよい、開口部が設けられてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェースは、装置が投与状態にあるときに、伸長または展開位置にある。
投与インターフェース保護システム3400は、投与インターフェースキャリア3402に結合された投与インターフェースロック3408を含んでもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェースロック3408は、枢動点またはインターフェースを中心に枢動または回転してもよい、枢動または回転部材であってもよい。投与インターフェースロック解除機構3410は、投与インターフェースロック3408の近傍に、またはこれと接触して、設けられてもよい。投与インターフェース保護システム3400はまた、皮膚センサ足(図示せず)に対して付勢される、付勢機構3412も含んでよい。
装置が投与部位に配置されているとき、皮膚センサ足は始動されず、投与インターフェースロック解除機構3410は解除位置にある。これは投与インターフェースロック解除機構3410と投与インターフェースロック3408との間の相互係止作用を防止し、これにより投与インターフェースキャリア3402は、筐体3404の外側に突起するために、後退位置から伸長位置まで垂直軸Vに沿って下方に移動することができる。投与部位からの装置の抜去によって皮膚センサ足が始動されると、付勢機構3412は、投与インターフェースロック3408と相互作用して投与インターフェースロック3408を係止するように、投与インターフェースロック解除機構3410を起動して線形または回転的に移動させる。投与インターフェースロック3408のこの位置において、投与インターフェースキャリア3402は、投与インターフェースが筐体3404の内部で後退させられる上昇位置に係止される。
一例示的実施形態において、穿通針は、投与インターフェースのための中間キャリア部品を用いずに、投与インターフェースに直接結合されてもよい。別の例示的実施形態において、穿通針は、投与インターフェースのための中間キャリア部品を通じて投与インターフェースに結合されてもよい。
図35Aから図35Eは、自動注射装置の筐体3504の内部の後退位置に、投与インターフェースキャリア3502によって保持されたまま投与インターフェースを維持する、別の例示的投与インターフェース保護システム3500を示す。図35Aはシステム3500の斜視図を示し、図35Bはシステム3500の上面図を示し、図35Cはシステム3500の第一側面図を示し、図35Dは装置が投与状態にあるシステム3500の第二側面図を示し、図35Eは装置が投与前または投与後状態にあるシステム3500の第二側面図を示す。
装置は、筐体3504と、垂直軸Vに沿って位置合わせされた状態で投与インターフェースを保持するために筐体3504内に設けられた投与インターフェースキャリア3502と、を含んでもよい。筐体3504は、投与インターフェースを筐体3504の外側に突起させて患者に治療薬を投与させるための、開口部を含んでもよい。投与インターフェースキャリア3502の垂直運動は、投与インターフェースが筐体3504の外側に突起しない(装置の投与前または投与後状態の)後退位置と、投与インターフェースが患者の身体上の投与位置で筐体3504の外側に完全にまたは部分的に突起する(装置の投与状態の)伸長位置との間の、投与インターフェースの垂直運動を可能にする。
投与インターフェースキャリア3502は、キャリア3502から半径方向外向きに延在するタブまたはピン3516を含む。タブ3516は、投与インターフェースキャリア3502を垂直上昇後退位置に係止するために、装置が投与前または投与後状態にあるときに投与インターフェースロック機構3508と相互作用するように構成されている。投与インターフェース保護システム3500は、投与インターフェースキャリア3502の近傍に設けられるかまたはこれと接触している、投与インターフェースロック機構3508を含んでもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェースロック3508は、枢動点またはインターフェース3520を中心に枢動または回転する、枢動または回転部材であってもよい。
投与インターフェース保護システム3500は、たとえば金属バーまたはロッドなど、長尺機械的部材である付勢機構キャリア3512の周りに設けられた、付勢機構3506を含んでもよい。付勢機構キャリア3512は皮膚センサ足3518に結合されてもよい。付勢機構キャリア3512はまた、付勢機構3506の付勢の下の付勢機構キャリア3512の回転が枢動点3514を中心にした投与インターフェース解放機構3510の回転を生じるように、投与インターフェース解放機構3510の枢動点351に結合されてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェース解放機構3510は、皮膚センサ足3518とは別の構成要素であってもよい。別の例示的実施形態において、投与インターフェース解放機構3510は、皮膚センサ足3518の構成要素であってもよい。
投与部位に対する装置の配置は、皮膚センサ足3518を筐体3504に向かって上昇させてもよく、これにより、投与インターフェース解放機構3510が枢動させられて機構3510が係止的に投与インターフェースロック機構3508と相互作用しないように、付勢機構3506(および付勢機構キャリア3512)を第一方向に回転させる。この結果、治療薬を投与するために投与インターフェースを筐体3502の外側に延在させるために投与インターフェースキャリア3502が下方に自由に移動できるように、投与インターフェースロック機構3508は「下方」位置に維持されることになる。
投与部位からの装置の抜去は、皮膚センサ足3518を筐体3504の外側に伸長または突起させ、これによって、投与インターフェース解放機構3510もまた回転して投与インターフェースロック機構3508と係止的に相互作用する位置になるように、付勢機構3506(および付勢機構キャリア3512)を第二方向に回転させる。この結果、投与インターフェースが後退位置にあって治療薬を投与するために使用され得ないように、投与インターフェースキャリア3502が投与部位から離れる方へ移動させられて垂直上昇位置で所定位置に係止されるように、投与インターフェースロック機構3508は「上方」位置に向かって回転させられ、そこで維持されることになる。
VI.例示的構成要素、および自動注射装置内の無菌性を維持する方法
例示的実施形態は、無菌組み立ての必要性を回避するために、装置内の治療薬および治療薬投与通路の無菌性を維持するために自動注射装置内で使用するための、例示的構成要素を提供する。例示的実施形態はまた、無菌性を維持するために例示的構成要素を使用する自動注射装置、ならびに装置の無菌性を維持するようにこのような構成要素を含む自動注射装置を使用する方法も、提供する。
無菌バリアは、患者への投与の前、およびその最中に、例示的自動注射装置に収容された治療薬、および治療薬が通る投与通路を中心に維持される。例示的実施形態において、治療薬を保持するためのシリンジまたはカートリッジのバレル部分は、治療薬の充填に先立って滅菌されてもよい。無菌栓は、バレル部分の内部の治療薬を封止するために、シリンジまたはカートリッジアセンブリのバレル部分内に配置されてもよい。無菌バレル部分および無菌栓による装着型自動注射装置の中の治療薬の封じ込めは、装置の組み立ての後に治療薬の無菌性を維持する。
投与インターフェースボタンは、バレル部分と、治療薬を患者に投与するための投与インターフェースとの間に設けられてもよい。投与インターフェースボタンは、無菌流体路、および穿通針の近傍に設けられた無菌の穿通可能な隔壁を含んでもよい。滅菌された穿通針(たとえば、単一の針、複数の針、無針パッド、無針パッチなど)は、隔壁を穿通してバレル部分との流体連通を確立するため、投与インターフェースボタン内の無菌隔壁の近傍に設けられてもよい。1つ以上の無菌カバーが、投与インターフェースボタン内の隔壁を無菌バリア内に包囲してもよい。つまり、例示的実施形態において、無菌バレル部分、無菌穿通針、無菌隔壁および隔壁カバー、無菌投与インターフェース、および投与インターフェースカバーは協働で、患者への投与の前および最中に、治療薬の周りに無菌バリアを形成するように構成されていてもよい。無菌バリアは、従来行われていたように、治療薬の投与中に隔壁を穿通する前に、患者がアルコールを用いて隔壁を拭く必要性を排除してもよい。
自動注射装置に無菌バリアを提供する例示的な構成要素は、図1A、図2A、図6A、および図7Aに示されており、図1Aおよび図2Aに関連してここで記載される。図1Aおよび図2Aの構成要素と類似の図6Aおよび図8Aの構成要素は、ここで図1Aおよび図2Aに関連して記載される。
たとえば、図1A/2Aの例示的装置100/200は、無菌バレル部分106/206、無菌穿通針120/220、無菌隔壁カバー115/215、無菌投与インターフェース118/218(注射針として図示される)、および投与インターフェースカバー122/222(針カバーとして図示される)を含む。装置100/200の筐体102/202は、筐体102/202を患者に取り付けるための接着層126/226と、接着層126/226を保護するための保護フィルム128/228とを含んでもよい。保護フィルム128/228は、例示的実施形態において無菌であってもよい。保護フィルム128/228の剥離によって接着層126/226を露出し、身体または衣類の上に接着層126/226の側を配置することによって、患者が筐体102/202を患者の身体または衣類に取り付けられるようにする。
例示的自動注射装置には、投与の前に隔壁カバーおよび投与インターフェースカバーの取り外しを容易にする構成要素が設けられてもよい。いくつかの例示的実施形態において、保護フィルム128/228は、一操作またはワンステップで隔壁カバーおよび投与インターフェースカバーを取り外すための機構を提供してもよい。保護フィルムは、投与インターフェースカバー122/222および隔壁カバー115/215に接続された連結部材を含んでもよい。連結部材は、テザー、タブ、またはその他の連結機構を含んでもよい。保護フィルム128/228が取り外されると、保護フィルム128/228の連結部材は、投与インターフェースカバー122/222および隔壁カバー115/215も取り外してもよい。
例示的装置は、装置の筐体から保護フィルムを取り外し、それによって投与インターフェースカバーおよび隔壁カバーも同時に取り除く、異なる機構を提供してもよい。図1Aおよび図2Aに示される例示的実施形態において、たとえばタブなどの抜去機構130/230が、接着層126/226から保護フィルム128/228を剥がすために保護フィルム128/228上に設けられてもよい。抜去機構130/230は、装置が包装から取り外されたときに保護フィルム128/228がまだ接着層126/226に取り付けられているように、装置の包装(たとえば、上包、ブリスタ包装、エアキャップ、またはその他の商用包装)のいずれかの部分に結合されていなくてもよい。抜去機構130/230は、接着層126/226から保護フィルム128/228を剥がすために、患者によって握持されて引っ張られてもよい。例示的実施形態において、抜去機構130/230の握持および引っ張りを容易にするために、抜去機構130/230に1つ以上の握持要素(たとえば、リングまたはテクスチャ表面)が設けられてもよい。治療薬を投与するために、患者は自動注射装置をその包装から取り外して抜去機構130/230を引っ張り、保護フィルム128/228を剥がして接着層126/226を露出してもよい。保護フィルム128/228を剥がすために抜去機構130/230が引っ張られると、フィルム128/228の連結部材は、投与インターフェースカバー122/222および隔壁カバー115/215も取り外し、こうして装置に、投与のために患者または患者の衣服上への配置の準備をさせる。
図36は、装置100の筐体102から保護フィルム128を剥がし、それによって投与インターフェースカバー122および隔壁カバー115を取り外すための、別の例示的な機構を示す。図36は、外装3600の中で投与前状態にある、図1Aの例示的装置100を示す。接着層126から保護フィルム128を剥がすために、保護フィルム128上に抜去機構130が設けられてもよい。抜去機構130は、装置が包装から取り外されたときに、抜去機構130が内側部分3602に取り付けられたままとなり、部分3602において抜去機構130にかかる牽引力が接着層126から保護フィルム128を剥がすように、装置の外装3600(たとえば、上包、ブリスタ包装、エアキャップ、またはその他の商用包装)の内側部分3602に取り付けられてもよい。つまり、装置が完全に包装の外側にあるとき、保護フィルム128はすでに接着層126から剥がされており、接着層は投与のために患者または患者の衣服に適用される準備が整っている。治療薬を投与するために、患者は自動注射装置をその包装から取り外してもよく、これは接着層126を露出して、フィルム128の連結部材に投与インターフェースカバー122、穿通針カバー、および隔壁カバー115を自動的に取り外させ、こうして装置に、投与のために患者または患者の衣服上への配置の準備をさせる。治療薬を投与するために装置を準備するこの方法は、患者によって実行されるステップの数を削減することができ、それによりユーザエラーを低減する。
図37は、装置200の筐体202から保護フィルム228を剥がし、それによって投与インターフェースカバー222および隔壁カバー215を取り外すための、別の例示的機構を示す。図37は、外装3700の中で投与前状態にある、図2Aの例示的装置200を示す。接着層226から保護フィルム228を剥がすために、保護フィルム228上に抜去機構230が設けられてもよい。抜去機構230は、装置が包装から取り外されたときに、抜去機構230が部分3702に取り付けられたままとなり、部分3702において抜去機構230にかかる牽引力が接着層226から保護フィルム228を剥がすように、装置の外装3700(たとえば、上包、ブリスタ包装、エアキャップ、またはその他の商用包装)の内側部分3702に取り付けられてもよい。つまり、装置が完全に包装の外側にあるとき、保護フィルム228はすでに接着層226から剥がされており、接着層は投与のために患者または患者の衣服に適用される準備が整っている。治療薬を投与するために、患者は自動注射装置をその包装から取り外してもよく、これは接着層を露出して、フィルム228の連結部材に投与インターフェースカバー222、穿通針カバー、および隔壁カバー215を自動的に取り外させ、こうして装置に、投与のために患者または患者の衣服上への配置の準備をさせる。治療薬を投与するために装置を準備するこの方法は、患者によって実行されるステップの数を削減することができ、それによりユーザエラーを低減する。
VII.例示的投与インターフェース
例示的実施形態は、患者に投与量の治療薬を投与するための、図1から図37に関連して上述された例示的自動注射装置との使用に適した、例示的投与インターフェースを提供する。例示的実施形態はまた、患者に1回投与量の治療薬を投与するために例示的投与インターフェースを使用する、自動注射装置も提供する。例示的投与インターフェースは、自動注射装置に組み込まれて、または自動注射装置と結合可能な、たとえば無針パッチまたは取付具などの個別の部品として、提供されてもよい。例示的投与インターフェースは、皮下、皮内、筋肉内、局所などを含むがこれらに限定されない、異なるタイプの投与向けに構成されてもよい。例示的装置によって達成される治療薬の流量は、適用のタイプ、治療薬などを含むがこれらに限定されない、1つ以上の要因に基づいて、変動してもよい。たとえば、皮下および筋肉内投与は、局所および皮内投与よりも高速で行われてもよい。一例示的実施形態において、投与インターフェースは、所望の流量に基づいて構成されてもよい。たとえば、より多くの治療薬の流量を実現するために、投与インターフェースの内径が拡大されてもよい。
例示的投与インターフェースは、皮膚(またはその一部)、血液脳関門、粘膜組織(たとえば口腔、鼻腔、膣、尿道、胃腸、呼吸粘膜)、血管、リンパ管、細胞膜などを含むがこれらに限定されない生物学的障壁内に、またはこれらを越えて治療薬を搬送するために、使用されてもよい。生物学的障壁は、ヒトまたはその他のタイプの動物、ならびに植物、昆虫、または細菌、酵母、菌類、胚などを含むその他の有機体であってもよい。標的となる生物学的障壁は、正常な、無傷の組織内に位置してもよい。標的となる生物学的障壁は、創傷または病変など、損傷または罹患した組織内に位置してもよい。例示的投与インターフェースは、外部から、またはカテーテルまたは腹腔鏡を利用して、内部から、組織に適用されてもよい。内部組織への治療薬の投与など、特定の用途において、例示的投与インターフェースは外科的に埋め込まれてもよい。例示的実施形態は、微小針装置を用いて生物学的障壁を越えて治療薬を投与するための投与インターフェースを提供してもよい。
例示的投与インターフェースは、単一の針/ミニ針/微小針、複数の針/ミニ針/微小針、管材に結合された単一の針/ミニ針/微小針、管材に結合された複数の針/ミニ針/微小針などを含むがこれらに限定されない、治療薬を投与するように構成された1つ以上の皮膚穿通部品を含んでもよい。例示的投与インターフェースに使用される針/ミニ針/微小針は、いくつかの例示的実施形態において溶解性であってもよい。
例示的投与インターフェースはまた、治療薬の局所投与を実行するために患者に取り付けられてもよい、たとえば無針パッドおよび/または無針パッチなどの、1つ以上の構成要素も含んでよい。このような適用のための例示的な構成要素は、治療薬を収容しているバレル部分と流体連通しているリザーバ、および膜を通過して皮膚表面までリザーバからの治療薬を拡散させる薬物透過性膜を含んでもよい。その他の例示的な構成要素は、皮膚がパウチの表面を形成するように、皮膚と接触しているときにパウチを形成する、軟質または硬質構造を含んでもよい。パウチはリザーバからの治療薬を充填して、長期間にわたって治療薬を皮膚に吸収または皮膚を通じて拡散させてもよい。いくつかの例示的実施形態において、局所的適用のために例示的投与インターフェースが皮膚に適用される前に、皮膚は前処理されてもよい。
例示的投与インターフェースは、ポリマー材(たとえば、医療グレードポリマー)、金属、ガラス、シリコーン結晶などを含むがこれらに限定されない、いずれの適切な材料で形成されてもよい。例示的投与インターフェースは、中空の、および/または流体チャネルを有する、1つ以上の注射針を含んでもよい。
例示的投与インターフェースは、筋肉内、局所、皮下、皮内などを含むがこれらに限定されないいずれか適切な方法によって投与量を患者に投与するのに適した、いずれか適切な寸法、形状、および構成を有してもよい。適切な投与インターフェースは、所望の治療に適した投与深さを提供するように構成または選択された長さを有してもよい。たとえば、皮下注射は一般的に、皮膚内に約6から10ミリメートル貫入する。一例示的実施形態において、投与インターフェースは、約12mmの長さを有してもよく、皮膚内に約7mmの深さまで投与されてもよい。
適切な投与インターフェースは、十分な機構強度を提供するのに適した壁厚、高さ、患者の感覚を最小限に抑えながら治療薬の所望の流量を許容するのに適した直径、および患者の感覚を最小限に抑えながら所望の治療に適した先端形状を、有してもよい。適切な投与インターフェースは、治療によって許容される程度に患者の感覚を最小化する必要に応じて構成されてもよい。注射針の長さおよび厚み(ゲージ)は、投与のタイプ(たとえば皮下、筋肉内など)、患者の年齢、患者の体質量、治療薬などを含むがこれらに限定されない1つ以上の要因に基づいて、構成されてもよい。いくつかの例示的実施形態において、皮下注射用の注射針は、約23ゲージから約25ゲージの間の例示的厚みと、約7mmから約15mmの間の例示的長さとを有してもよいが、これらの例示的範囲に限定されるものではない。いくつかの例示的実施形態において、筋肉注射用の注射針は、約22ゲージから約25ゲージの間の例示的厚みと、約10mmから約50mmの間の例示的長さとを有してもよい。いくつかの例示的実施形態において、注射針は微小針、すなわち表面から突起する高さが500マイクロメートル以下の構造であってもよい。いくつかの例において、例示的な微小針は、約250マイクロメートル以下の高さを有してもよい。
いくつかの例示的実施形態において、図1Aから図1F、図2Aから図2F、図6Aから図6C、図7Aから図7C、図15から図17、図36、および図37に示されるように、投与インターフェースは単一の注射針を含んでもよい。その他のいくつかの例示的実施形態において、投与インターフェースは、1つ以上のダクトに結合され、これと流体連通している、単一の注射針を含んでもよい。
例示的実施形態において、投与インターフェースのタイプおよび寸法は、筐体、投与部位に装置を適用するための機構、内部流体路、および装置内の幾何形状を含むがこれらに限定されない、自動注射装置の1つ以上の局面を構成するために使用されてもよい。
VIII.参照による組み込み
本願を通じて引用された、特許および特許出願を含む全ての参考文献の全内容は、これによってその全内容が参照により本願に組み込まれる。これら参考文献の適切な構成要素および方法は、本発明およびその実施形態のために選択されてもよい。さらに、背景技術で指定された構成要素および方法は、本開示に不可欠であり、本発明の範囲内で本開示のいずれか別の箇所に記載された構成要素および方法とともに、またはその代わりに、使用されてもよい。
IX.同等物
例示的実施形態の記述において、明確化のために特定の術語が使用されている。記述目的のため、特定の用語は、類似の目的を達成するために類似のやり方で動作する全ての技術的および機能的同等物を少なくとも含むように意図される。加えて、具体的な例示的実施形態が複数のシステム要素または方法ステップを含むいくつかの例において、これらの要素またはステップは、単一の要素またはステップに置き換えられてもよい。同様に、単一の要素またはステップは、同じ目的に寄与する複数の要素またはステップに置き換えられてもよい。さらに、様々な特性のパラメータが例示的実施形態のためにここで指定されている場合、これらのパラメータは、別途指定されない限り、上下1/20、1/10、1/5、1/3、1/2などまで調整されるか、あるいはその近似値に丸められてもよい。また、例示的実施形態は、その特定の実施形態を参照して提示および記載されてきたものの、本発明の範囲を逸脱することなく、その形態および詳細の様々な代替および変更がなされ得ることを、当業者は理解するであろう。さらに加えて、その他の態様、機能、および利点もまた、本発明の範囲に含まれる。
例示的なフローチャートは、説明目的のために提供されており、方法の非限定例である。例示的な方法は、例示的フローチャートに記載されるよりも多くのまたは少ないステップを含んでもよいこと、ならびに例示的フローチャートのステップは図示されるものとは異なる順番で実行されてもよいことを、当業者は認識するであろう。