JP2016184700A - ヒートスプレッダ - Google Patents

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Abstract

【課題】ボイドの発生を現状よりもさらに良好に抑制でき、熱伝導性、接合強度、ならびに信頼性に優れた半田接合が可能なヒートスプレッダを提供する。【解決手段】 高熱伝導金属と低熱膨張粒子を含む複合材料からなり、上記多数の前記低熱膨張粒子が各々その一面を同一平面上に一致させて配列された接合面を備えるとともに、当該接合面に配列された多数の低熱膨張粒子間には、上記接合面から8.0μm以上、25.0μm以下の範囲で凹入された段差が設けられた基材の、前記接合面を被覆層で被覆してなり、前記被覆層の露出された表面の中心線平均粗さRaは2.0μm以上、9.0μm以下であるヒートスプレッダである。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばパワー半導体素子等の、動作時に大きな発熱を伴う素子からの熱除去用等として使用されるヒートスプレッダに関するものである。
上記パワー半導体素子等の、動作時に大きな発熱を伴う素子においては、発生した熱を除去しないと素子自体が過熱して誤動作(熱暴走)したり、破損したり、あるいは動作の効率が低下したりするおそれがあるため、かかる熱をできるだけ速やかに除去することが求められる。
上記素子としては、例えば電気自動車やハイブリッド自動車、鉄道車両等において誘導モータを駆動させる際に直流から交流への電力変換をするためのインバータ回路などに組み込まれる、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等のパワー半導体素子の他、プラズマディスプレイパネル等の画像表示素子、コンピュータのマイクロプロセッサユニット、レーザダイオード等が挙げられる。
近年、これらの素子を使用する各種装置類の、より一層の高性能化や高出力化の進展に伴って、当該素子を、一般的なケイ素(Si)系、ガリウム−砒素(GaAs)系、インジウム−燐(InP)系の素子から、炭化ケイ素(SiC)系、窒化ガリウム(GaN)系の素子へと移行することが検討されている。
この場合、素子の動作可能温度を例えばSi系の素子等の120℃前後から、SiC系の素子等の200℃前後まで引き上げることが可能となり、過熱による誤動作や破損、動作効率の低下等をこれまでよりも起こりにくくできると考えられる。
しかしこれらの素子においても、熱をできるだけ速やかに除去する必要があることには変わりはない。のみならず、素子からの発熱量はますます増加する傾向にあることから、かかる熱をいかに速やかに、そして効率よく除去するかが重要な課題となっている。
素子からの熱を除去する手段としては、例えば互いに背向する一対の面が他部材との接合面とされた、平板状のヒートスプレッダを用いるのが一般的である。
すなわち素子を、上記ヒートスプレッダの一方の接合面に直接に、あるいはセラミック基板等を介して半田接合によって接合するとともに、他方の接合面には冷却器やヒートシンク、もしくはこれらの部材への伝熱部材(以下これらを「冷却部材」と総称する場合がある。)を接触させた状態で、例えばネジ止め等によって固定する。
そうすると、素子で発生した熱を、ヒートスプレッダを介して速やかに冷却部材に熱伝導させて除去することができる。
ヒートスプレッダには、上記の効果を得るために高い熱伝導性を有することが求められる。またヒートスプレッダには、素子の動作による発熱と停止後の冷却とを繰り返した際に、熱膨張率の違いに基づいて素子に過剰な応力が加わって素子自体が破損したり、基材との半田接合が破壊されたりするのを抑制するために、先に説明した各種材料からなる素子や、あるいは窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)等からなるセラミック基板等とできるだけ熱膨張率が近いことも求められる。
そこでヒートスプレッダのもとになる基材を、例えばSiC等の熱膨張率の小さい材料からなる粒子(以下「低熱膨張粒子」と略記する場合がある。)、およびMg等の熱伝導率の高い金属または合金(以下「高熱伝導金属」と総称する場合がある。)を含む複合材料によって形成する場合がある(特許文献1、2等)。
基材を上記の複合材料によって形成すると、当該基材ならびにヒートスプレッダの、素子やセラミック基板等に対する熱膨張率の差を、低熱膨張粒子によってできるだけ小さくしながら、素子からの熱を、高熱伝導金属を介して冷却部材に速やかに熱伝導できる。
基材の接合面は、例えば特許文献1に記載されているように素子等を半田接合等し易くするために、例えばCuメッキ層やNiメッキ層等の被覆層で被覆するのが一般的である。
また特許文献1には、上記被覆層で被覆する前の接合面に、基材に含まれるのと同じ高熱伝導金属からなる下地層を形成して、当該接合面の凹凸や欠陥をできるだけ小さくすることも記載されている。
かかる構成によれば、接合面の凹部や欠陥内まで十分に被覆層を形成しきれないことに伴い形成後の被覆層の下に気体が残存したり、残存した気体がその後の工程で吹き出して被覆層が破損したり剥離したりするのを抑制できると考えられる。
また発明者の検討によると、上記下地層を形成して接合面の凹凸や欠陥をできるだけ小さくすることにより、形成した被覆層の表面に素子やセラミック基板等を半田によって接合する際に、未接合部分を生じ接合強度を低下させて接合の信頼性を低下させる原因となったり、接合後に熱伝導の妨げとなったりするボイドが発生するのを抑制することもできる。
しかし近年の、半導体素子の発熱量のさらなる増加に伴い、単に下地層を介在させるだけでは上記ボイドの発生と、それによる熱伝導性、接合強度、ならびに信頼性の低下の問題が生じるのを十分に防止できなくなりつつあるのが現状である。
特開2012−144767号公報 特開2010−090436号公報
本発明の目的は、ボイドの発生を現状よりもさらに良好に抑制でき、熱伝導性、接合強度、ならびに信頼性に優れた半田接合が可能なヒートスプレッダを提供することにある。
本発明は、Mg、Al、AgおよびCuからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属またはこれら金属の少なくとも1種を含む合金、ならびにSiC粒子、ダイヤモンド粒子、W粒子およびMo粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種の低熱膨張粒子を含む複合材料からなり、多数の前記低熱膨張粒子が各々その一面を同一平面上に一致させた状態で配列されてなる他部材との接合面を備え、前記接合面に配列された前記多数の低熱膨張粒子間には、前記接合面から8.0μm以上、25.0μm以下の範囲で凹入された段差が設けられた基材、および前記接合面に被覆された被覆層を含み、前記被覆層の露出された表面の中心線平均粗さRaは2.0μm以上、9.0μm以下であるヒートスプレッダである。
本発明によれば、ボイドの発生を現状よりもさらに良好に抑制でき、熱伝導性、接合強度、ならびに信頼性に優れた半田接合が可能なヒートスプレッダを提供できる。
本発明の実施例1で作製したヒートスプレッダの、接合面の近傍の断面を拡大して示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
《ヒートスプレッダ》
本発明は、Mg、Al、AgおよびCuからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属またはこれら金属の少なくとも1種を含む合金(高熱伝導金属)、ならびにSiC粒子、ダイヤモンド粒子、W粒子およびMo粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種の低熱膨張粒子を含む複合材料からなり、多数の前記低熱膨張粒子が各々その一面を同一平面上に一致させた状態で配列されてなる他部材との接合面を備え、前記接合面に配列された前記多数の低熱膨張粒子間には、前記接合面から8.0μm以上、25.0μm以下の範囲で凹入された段差が設けられた基材、および前記接合面に被覆された被覆層を含み、前記被覆層の露出された表面の中心線平均粗さRaは2.0μm以上、9.0μm以下であるヒートスプレッダである。
本発明によれば、基材の接合面に配列されて当該接合面を形成する多数の低熱膨張粒子間に上記段差を設けることにより、次いで上記接合面に被覆される被覆層の露出した表面に、上記段差に基づく微細な凹凸を形成して、当該表面に対する、溶融した半田の濡れ性を現状よりも大きく向上でき、半田接合時にボイドが発生するのを現状よりもさらに良好に抑制できる。
また基材の接合面と被覆層との接触面積、および被覆層の表面と当該表面に濡れ拡がった状態で冷却固化された半田層との接触面積を増加させるとともにいわゆるアンカー効果を発現させて、各層間をより強固に一体化することもできる。
そのため本発明によれば、熱伝導性、接合強度、ならびに信頼性に優れた半田接合が可能なヒートスプレッダを提供できる。
なお本発明において、上記被覆層の表面の中心線平均粗さRaが2.0μm以上、9.0μm以下に限定されるのは、下記の理由による。
すなわち中心線平均粗さRaがこの範囲未満では、被覆層の表面の凹凸が小さすぎて、当該表面に対する、溶融した半田の濡れ性を向上する効果が十分に得られないためボイドが発生しやすくなる。
一方、中心線平均粗さRaが上記の範囲を超える場合には、被覆層の表面の凹凸が大きすぎて、溶融した半田を、上記凹凸を形成する凹部内に隙間なく十分に充填させることができず、かかる凹部内にボイドのもとになる空隙を生じやすいため却ってボイドが発生しやすくなる。
これに対し、被覆層の表面の中心線平均粗さRaを2.0μm以上、9.0μm以下とすることにより、当該表面に適度の凹凸を形成して、ボイドのもとになる空隙を生じさせることなしに半田の濡れ性を向上でき、ボイドの発生を現状よりもさらに良好に抑制できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、被覆層の表面の中心線平均粗さRaは、上記の範囲でも3.0μm以上であるのが好ましく、6.5μm以下であるのが好ましい。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaを、本発明では触針式表面粗さ形状測定機を用いて、上記被覆層上の任意の10か所で測定した結果から、日本工業規格JIS B0601:2013「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」の規定に則って求めた値の平均値でもって表すこととする。
後述する接合面の中心線平均粗さRaについても同様である。
また本発明において、基材の接合面からの段差の凹入高さ(以下「段差高さ」と略記する場合がある。)が8.0μm以上、25.0μm以下に限定されるのは、下記の理由による。
すなわち基材の接合面の段差高さがこの範囲未満では、当該接合面に被覆される被覆層の厚みにもよるものの、当該被覆層の表面の凹凸が小さくなりすぎてその中心線平均粗さRaが2.0μmを下回ってしまい、当該表面に対する、溶融した半田の濡れ性を向上する効果が十分に得られずボイドが発生しやすくなる。
一方、基材の接合面の段差高さが上記の範囲を超える場合には、やはり上記接合面に被覆される被覆層の厚みにもよるものの、当該被覆層の表面の凹凸が大きくなりすぎてその中心線平均粗さRaが9.0μmを超えてしまい、溶融した半田を、上記凹凸を形成する凹部内に隙間なく十分に充填させることができないため、かかる凹部内にボイドのもとになる空隙を生じやすくなって却ってボイドが発生しやすくなる。
これに対し、基材の接合面の段差高さを8.0μm以上、25.0μm以下とすることにより、次いで上記接合面に被覆される被覆層の表面に適度の凹凸を形成して、ボイドのもとになる空隙を生じさせることなしに半田の濡れ性を向上でき、当該ボイドの発生を抑制できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、基材の接合面の段差高さは、上記の範囲でも11.0μm以上、特に12.0μm以上であるのが好ましく、19.0μm以下、特に17.0μm以下であるのが好ましい。
基材の接合面の段差高さを、本発明では下記の測定方法で測定した値でもって表すこととする。
(段差高さの測定方法)
作製したヒートスプレッダを接合面と直交方向に切断し、研磨して断面を露出させ、さらに必要に応じて上記断面を仕上げた状態で、当該断面の、接合面の近傍の任意の位置でSEM(倍率300倍)を用いて、縦(厚み方向)330μm×横(厚み方向と直交方向)360μmの範囲を1視野として、当該1視野内における、多数の低熱膨張粒子が各々その一面を同一平面上に一致させた状態で配列されて形成された基材の接合面から、最も凹入した段差の底までの、上記基材の厚み方向の凹入高さを求める。
この操作を、上記断面上の10視野について実施し、平均値を求めて段差高さとする。
〈基材〉
上記本発明のヒートスプレッダのもとになる基材としては、例えば
(i) 高熱伝導金属の粉末と低熱膨張粒子とを混合し、型押ししたのち焼結させる、
(ii) 基材の形状に対応した型内に低熱膨張粒子を充填したのち、当該型内に、溶融させた高熱伝導金属を流し込む、
(iii) あらかじめ基材の形状に形成した低熱膨張粒子からなる焼結体(スケルトン)に、溶融させた高熱伝導金属を溶浸させる、
等の種々の方法によって作製される基材が使用可能である。
(段差の形成)
上記(i)〜(iii)のいずれかの方法等で作製した基材の接合面に、先述した所定の段差高さを有する段差を形成するには、まず当該基材の接合面を研磨等の任意の方法で平坦化して、多数の低熱膨張粒子を当該接合面に露出させるとともに、露出させた低熱膨張粒子の露出したそれぞれ一面を、同一平面である上記接合面と一致させて配列された状態とする。
次いで上記接合面を必要に応じて洗浄し、脱脂したのち、低熱膨張粒子は溶解せずに高熱伝導金属のみを選択的に溶解しうるエッチング液に浸漬する等して、当該接合面に配列された低熱膨張粒子間に露出した高熱伝導金属を選択的にエッチング除去する。
そうすると上記低熱膨張粒子間に、接合面から所定の段差高さで凹入された段差が形成される。
エッチング液としては、前述した高熱伝導金属と低熱膨張粒子の組み合わせにおいて高熱伝導金属のみを選択的にエッチングしうる種々のエッチング液が使用可能である。
例えばMg用のエッチング液としては、リンゴ酸、クエン酸またはピロリン酸ナトリウム等のエチレングリコール溶液(濃度70質量%程度)や、あるいは希硝酸(濃度1.5〜10質量%程度)等が挙げられる。
またAl用のエッチング液としては、例えば水酸化ナトリウム水溶液(濃度1〜20質量%程度)や、リン酸−硝酸系、リン酸−硝酸−酢酸系等の混酸水溶液、濃塩酸の水溶液、塩化第二鉄−濃塩酸系の水溶液等が挙げられる。
Ag用のエッチング液としては、例えばリン酸−酢酸−硝酸系、無水クロム酸−濃硫酸系等の混酸水溶液、硝酸第二鉄水溶液等が挙げられる。
さらにCu用のエッチング液としては、例えば塩化第二鉄系、塩化第二銅系、加硫酸アンモニウム系、硫酸+過酸化水素系、アンモニアアルカリ系等の水溶液が挙げられる。
上記エッチング液を使用したエッチングによって形成する段差の段差高さを前述した範囲とするためには、使用するエッチング液の種類、濃度等を調整したり、エッチングの時間や温度等を調整したりすればよい。
またエッチング後の接続面は、必要に応じて洗浄したり、エッチング残渣(スマット)を除去するためのいわゆるデスマット処理をしたのちさらに洗浄したりすればよい。
なお段差の形成方法としては、上記エッチング法以外にも例えばブラスト法等を採用することもできる。
ただし機械的な研磨法は、接合面にボイドの原因となる研磨跡が残るため好ましくない。
(高熱伝導金属)
高熱伝導金属としては、Mg、Al、AgおよびCuからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属、またはこれら金属の少なくとも1種を含む合金が用いられる。
具体的にはMg、Al、Ag、またはCuのそれぞれ金属単体の他、Mg−Al合金、Al−Si合金等も使用可能である。
特に熱伝導性や構造体としての強度、そして軽量である点等でMg単体、またはMg−Al合金が好ましい。
かかる高熱伝導金属を低熱膨張粒子と組み合わせて基材を形成することにより、当該基材を含むヒートスプレッダに高い熱伝導性を付与できる。
(低熱膨張粒子)
低熱膨張粒子としては、SiC粒子、ダイヤモンド粒子、W粒子およびMo粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
かかる低熱膨張粒子を高熱伝導金属と組み合わせて基材を形成することにより、当該基材ならびにヒートスプレッダの、素子やセラミック基板等に対する熱膨張率の差をできるだけ小さくして、熱膨張率の違いに基づいて素子に過剰な応力が加わって素子自体が破損したり、基材との半田接合等が破壊されたりするのを抑制できる。
特に、上記熱膨張率の差を小さくする効果の点でSiC粒子および/またはダイヤモンド粒子が好ましく、生産性や製造コスト等の点でSiC粒子がさらに好ましい。
また低熱膨張粒子としては、平均粒径の異なる2種の原料粒子の混合粒子を用いるのが好ましい。
上記混合粒子を低熱膨張粒子として用いて、前述した(i)〜(iii)等の方法によって基材を作製すると、当該基材は、混合粒子中の比較的粒径の大きい粒子(以下「大粒子」と略記する場合がある。)間に、高熱伝導金属とともに比較的粒径の小さい粒子(以下「小粒子」と略記する場合がある。)が充填された構造となる。
そして前述したエッチング等により、接合面の、大粒子間に露出した高熱伝導金属と小粒子とが除去されることで、上記接合面に、前述した所定の段差高さを有するとともに、接合面の面方向にも比較的大きな開口を有する凹部(段差)を形成できる。
そのため接合面に被覆層を形成した際に、当該被覆層の表面に、上記段差に基づく凹凸を形成して、その中心線平均粗さRaを前述した所定の範囲とすることができる。
また小粒子は、基材内部で大粒子間に介在して粒子同士の接触点数を増加させ、それによって基材の強度を高めるとともに、高熱伝導金属の膨張収縮を抑制して当該基材ならびにヒートスプレッダの、素子やセラミック基板等に対する熱膨張率の差をできるだけ小さくするために機能する。
上記混合粒子の例としては、当該混合粒子の全量中に占める、上記小粒子としての粒径3μm以上、30μm以下の粒子の割合が30質量%以上、50質量%以下で、かつ上記大粒子としての粒径80μm以上、270μm以下の粒子の割合が50質量%以上、70質量%以下であるもの等を用いるのが好ましい。
粒径3μm以上、30μm以下の小粒子の割合が上記の範囲未満であるか、または粒径80μm以上、270μm以下の大粒子の割合が上記の範囲を超える場合には、このいずれにおいても、上述した粒子同士の接触点数を増加させて基材の強度を高める効果や、基材ならびにヒートスプレッダの、素子やセラミック基板等に対する熱膨張率の差を小さくする効果が十分に得られないおそれがある。
また、例えば前述した各種の方法で基材を作製する際に低熱膨張粒子の充てん率が低下して、低熱膨張粒子と高熱伝導金属が所定の組成比で配合された基材を形成できなかったり、基材の密度が低下して熱伝導率が低下したりするおそれもある。
一方、粒径3μm以上、30μm以下の小粒子の割合が上記の範囲を超えるか、または粒径80μm以上、270μm以下の大粒子の割合が上記の範囲未満である場合には、このいずれにおいても、上述した比較的大きな開口を有する段差を接合面に形成できないおそれがある。
なお上記混合粒子は、上記以外の粒径範囲の粒子の割合ができるだけ小さいことが好ましい。
すなわち粒径3μm未満の粒子の割合は質量%以下、粒径30μmを超え、80μm未満の粒子の割合は質量%以下で、かつ粒径270μmを超える粒子の割合は質量%以下であるのが好ましい。
なおこれら3種の粒径の粒子の下限値は0質量%、すなわち混合粒子は、上記3種の粒径の粒子を含まないのが最も理想的である。ただし、粒子の分級の手間等を併せ考慮すると混合粒子は、上記3種の粒径の粒子を上記の割合で含んでいても構わない。
上記粒径分布を有する混合粒子は、例えば平均粒径が80μm以上、270μm以下の範囲の中央値付近にある第一原料粒子と、平均粒径が3μm以上、30μm以下の範囲の中央値付近にある第二原料粒子とを、粒径分布に考慮しながら所定の割合で配合することで調製できる。
上記粒径分布や第一、第二原料粒子の平均粒径等を、本発明では日本工業規格JIS Z8825:2013「粒子径解析−レーザ回折・散乱法」において規定されたレーザ回折法によって測定した値でもって表すこととする。
また、例えば高熱伝導金属としてMg、低熱膨張粒子としてSiC粒子を組み合わせる場合には、前述した(i)〜(iii)等の方法によって基材を作製するに際し、SiC粒子の表面を、例えば特許文献1に記載されているように溶融したMgと接触させる前の任意の時点で酸化処理して、当該溶融したMgの濡れ性の良いSiO膜を形成してもよい。
これにより、溶融させたMgをSiC粒子と良好に一体化させて、内部の気孔率の低い、すなわち内部に残存する気体の少ない基材を形成できる。
(含有割合)
作製した基材を構成する高熱伝導金属と低熱膨張粒子の含有割合は、組み合わせる高熱伝導金属と低熱膨張粒子の種類や低熱膨張粒子の粒径分布等に応じて、例えば基材の熱膨張率や熱伝導率が次項で説明する好適範囲に入るように適宜調整すればよい。
(熱膨張率、熱伝導率、その他)
基材の熱膨張率は、前述した各種の材料からなる素子やセラミック基板等との熱膨張率のマッチングを図る、すなわち熱膨張率の差をできるだけ小さくすることを考慮すると、温度200℃で3×10−6/K以上であるのが好ましく、12×10−6/K以下であるのが好ましい。
また室温での基材の熱伝導率は180W/mK以上であるのが好ましい。熱伝導率がこの範囲未満では、素子からの熱を速やかに逃がすことができないおそれがある。
なお熱伝導率は、上記の範囲でも700W/mK以下であるのが好ましい。本発明の構成を採用しても、これより熱伝導率を大きくすることは困難である。
さらに平板状の基材の厚み、すなわち互いに背向する一対の接合面間の距離は、ヒートスプレッダや素子のサイズ等に応じて適宜設定できるものの、基材およびヒートスプレッダを単体で取り扱うことができる強度を維持しながら、一対の接合面間でできるだけ速やかに熱伝導させること等を考慮すると1mm以上であるのが好ましく、8mm以下であるのが好ましい。
また平坦化処理後でかつ段差形成前の基材の接合面の中心線平均粗さRaは、当該接合面にエッチング等によって均一な段差を形成することを考慮すると1.0μm以下であるのが好ましい。
また中心線平均粗さRaは、上記の範囲であればいくら小さくても構わないが、平坦化に要する手間と時間等とを考慮すると0.1μm以上であるのが好ましい。
〈ジンケート処理〉
基材の接合面を被覆層で被覆するためには、それに先立って当該接合面をまずジンケート処理液で処理して、その全面に薄いZn膜を形成しておくのが好ましい。
接合面の全面にZn膜を形成すると、本来的にメッキの条件等が大きく異なる高熱伝導金属と低熱膨張粒子が共に露出した接合面の表面状態を一定化して、その上にメッキによって被覆層を形成しやすくできる。
Zn膜の厚みはナノオーダー程度、具体的には1〜100nm程度であればよい。
〈被覆層〉
基材の接合面を被覆する被覆層としては、例えば無電解Ni−Pメッキ層、無電解Ni−Bメッキ層、電気Niメッキ層、無電解Cuメッキ層、電気Cuメッキ層その他の1種または2種以上からなる、単層または複層の種々の被覆層が採用可能である。
ただしその最表層は、溶融した半田の濡れ性の良いNiメッキ層とするのが好ましく、中でも半田の濡れ性に特に優れた無電解Ni−Bメッキ層とするのが好ましい。
かかる無電解Ni−Bメッキ層は、例えば下地として他のメッキ層を形成した上に形成するのが好ましい。
各メッキ層の形成に先立って、接合面の表面やZn膜の表面、あるいは先に形成したメッキ層の表面には、従来同様に任意の触媒付与や活性化処理を施してもよい。
各メッキ層の厚みは任意に設定できるものの、最表層の無電解Ni−Bメッキ層の厚みは、上述した半田の濡れ性を向上する効果等を考慮すると0.1μm以上であるのが好ましい。また他のメッキ層と積層する場合、当該Ni−Bメッキ層はあまり厚くなくてもよく、その厚みは3.0μm以下程度であればよい。
被覆層は、先述したように段差高さが8.0μm以上、25.0μm以下である段差が形成された接合面を被覆した際に、その表面の中心線平均粗さRaが2.0μm以上、9.0μm以下となるように、全体の厚みを設定すればよい。
ただし被覆層の全体の厚みは2.0μm以上、特に5.0μm以上であるのが好ましく、9.0μm以下、特に8.0μm以下であるのが好ましい。
被覆層の全体の厚みがこの範囲未満では、当該被覆層の本来の機能である、溶融した半田の濡れ性を向上したり、ヒートスプレッダに耐食性を付与したりする効果が十分に得られないおそれがある。
一方、被覆層の全体の厚みが上記の範囲を超える場合には、接合面の段差が被覆層で埋められて当該被覆層の表面の中心線平均粗さRaが2.0μm未満になり、溶融した半田の濡れ性を向上する効果が十分に得られずにボイドが発生しやすくなるおそれがある。
また熱伝導率の低いNi層を主体とする場合は、ヒートスプレッダの熱伝導率が低下するおそれもある。
上記本発明のヒートスプレッダは、例えば先に説明したように、互いに背向する一対の面が他部材との接合面とされた平板状に形成される。
そして一方の接合面を被覆した被覆層上に、パワー半導体素子等の素子を直接に、あるいはセラミック基板等を介して半田接合によって接合するとともに、他方の接合面には冷却部材を接触させた状態で固定する等して使用される。
かかる使用形態のヒートスプレッダにおいては、素子またはセラミック基板が半田接合される一方の接合面が本発明の構成とされる。
すなわち上記接合面に、段差高さ8.0μm以上、25.0μm以下の段差が形成されるとともに被覆層で被覆されて、当該被覆層の表面の中心線平均粗さRaが2.0μm以上、9.0μm以下の範囲とされる。
他方の接合面は、冷却部材を半田接合によって固定する場合は上記と同じ構成とするのが好ましい。また冷却部材をネジ止め等によって固定する場合は、段差のない従来同様の構成とすることができる。
〈実施例1〉
(高熱伝導金属、低熱膨張粒子)
高熱伝導金属としてはMgの粉末を用いた。
また低熱膨張粒子としては、平均粒径132μmのSiC粒子(第一原料粒子)と、平均粒径16μmのSiC粒子(第二原料粒子)とを質量比(第一原料粒子)/(第二原料粒子)=70/30で配合した混合粒子を用いた。
上記混合粒子の粒径分布は下記のとおりであった。
・ 粒径3μm未満の粒子:1質量%
・ 粒径3μm以上、30μm以下の小粒子:32質量%
・ 粒径30μmを超え、80μm未満の粒子:3質量%
・ 粒径80μm以上、270μm以下の大粒子:63質量%
・ 粒径270μmを超える粒子:1質量%
(基材の作製)
上記混合粒子を、互いに背向する一対の面が他部材との接合面とされた、縦45mm×横45mm×厚み5.2mmの平板状の基材の形状に対応した型内に供給し、振動を与えてタップ充填した。
次いでAr雰囲気中で、溶融させたMgを上記型内に流し込み、温度700℃に保持して1時間静置したのち冷却し、さらに型から取り出して基材を作製した。
作製した基材を構成するMg(高熱伝導金属M)とSiC粒子(低熱膨張粒子L)の体積比M/L=30/70であった。
なお体積比M/Lは、MgとSiCの密度、用いたSiC粒子の質量、ならびに作製した基材の密度(質量/体積)から算出できる。他の高熱伝導金属Mと低熱膨張粒子Lからなる複合材料についても同様とする。
また200℃での熱膨張率は7.7×10−6/K、室温(23±2℃)での熱伝導率は230W/mKであった。
(平坦化)
上記基材の一対の接合面を平面研削盤によって研磨して平坦化した。
平坦化後の中心線平均粗さRaは、両接合面とも0.3μmであった。また厚みは5.0μmであった。
(段差形成)
上記基材の全面を洗浄し、脱脂し、次いで平坦化した一方の接合面のみを露出させて他の面はマスキングした状態で、エッチング液としてのクエン酸のエチレングリコール溶液(濃度70質量%)に一定時間浸漬したのち引き上げて、デスマット処理をしたのち再び洗浄した。
(ジンケート処理)
上記基材の全面を、ジンケート処理液で処理してZn膜を形成した。
(被覆層形成)
ジンケート処理した基材の全面に、まず厚み4.0μmの無電解Ni−Pメッキ層を形成し、次いでその上に厚み1.5μmの無電解Ni−Bメッキ層を積層して、全体の厚みが5.5μmの2層構造の被覆層を形成し、ヒートスプレッダを製造した。
製造したヒートスプレッダの、段差を形成した側の接合面上の、被覆層の表面の中心線平均粗さRaを前述した測定方法によって測定したところ4.6μmであった。
(断面観察)
製造した実施例1のヒートスプレッダを接合面と直交方向に切断し、研磨して断面を露出させたのち、さらにArプラズマでドライエッチングするクロスセクションポリッシュ(CP)をして断面を仕上げて、SEMによって観察をした。
図1は、上記断面の、接合面の近傍を拡大して示すSEM写真である。図1中、濃いグレーの領域はSiC粒子、薄いグレーの領域はMg、白い領域は被覆層を示している。
図1より、実施例1のヒートスプレッダは、SiCの大粒子間にMgとともにSiCの小粒子が充填された構造を有していること、図の上側の接合面では、上記SiCの特に大粒子が、それぞれその一面を同一平面である上記接合面と一致させた状態で配列されていること、そしてエッチングにより、上記接合面の、大粒子間に露出した高熱伝導金属と小粒子とが除去されて段差が形成されていることが確認された。
そこで上記段差の段差高さを前述した測定方法によって測定したところ15.6μmであった。
〈実施例2〜6〉
エッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを8.7μm(実施例2)、12.4μm(実施例3)、16.2μm(実施例4)、20.6μm(実施例5)、および24.0μm(実施例6)としたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは、それぞれ2.2μm(実施例2)、3.8μm(実施例3)、5.4μm(実施例4)、7.5μm(実施例5)、および7.8μm(実施例6)であった。
〈実施例7、8、比較例1、2〉
エッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを3.0μm(比較例1)、7.8μm(比較例2)、16.1μm(実施例7)、および19.8μm(実施例8)とし、なおかつ無電解Ni−Pメッキ層の厚みを1.0μm、無電解Ni−Bメッキ層の厚みを1.0μm、被覆層の全体の厚みを2.0μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは0.6μm(比較例1)、1.8μm(比較例2)、7.6μm(実施例7)、および9.0μm(実施例8)であった。
〈実施例9、比較例3〉
エッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを15.7μm(実施例9)、および27.0μm(比較例3)とし、なおかつ無電解Ni−Pメッキ層の厚みを6.0μm、無電解Ni−Bメッキ層の厚みを2.0μm、被覆層の全体の厚みを8.0μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは3.4μm(実施例9)、および9.1μm(比較例3)であった。
〈実施例10、比較例4〉
エッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを9.4μm(比較例4)、および18.5μm(実施例10)とし、なおかつ無電解Ni−Pメッキ層の厚みを7.0μm、無電解Ni−Bメッキ層の厚みを3.0μm、被覆層の全体の厚みを10.0μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは0.5μm(比較例4)、および2.0μm(実施例10)であった。
〈比較例5〉
エッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを18.2μmとし、なおかつ無電解Ni−Pメッキ層の厚みを0.8μm、無電解Ni−Bメッキ層の厚みを0.2μm、被覆層の全体の厚みを1.0μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは10.0μmであった。
〈実施例11〉
低熱膨張粒子としての2種のSiC粒子(第一、第二原料粒子)の質量比を変更して調製した、下記の粒径分布を有する混合粒子を使用したこと以外は実施例1と同様にして基材を作製した。
・ 粒径3μm未満の粒子:1質量%
・ 粒径3μm以上、30μm以下の小粒子:42質量%
・ 粒径30μmを超え、80μm未満の粒子:4質量%
・ 粒径80μm以上、270μm以下の大粒子:52質量%
・ 粒径270μmを超える粒子:1質量%
作製した基材を構成するMg(高熱伝導金属M)とSiC粒子(低熱膨張粒子L)の体積比M/L=30/70であった。
また200℃での熱膨張率は8.2×10−6/K、室温(23±2℃)での熱伝導率は210W/mKであった。
次いで上記基材に対するエッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを10.5μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは2.1μmであった。
〈実施例12〉
低熱膨張粒子としての2種のSiC粒子(第一、第二原料粒子)の質量比を変更して調製した、下記の粒径分布を有する混合粒子を使用したこと以外は実施例1と同様にして基材を作製した。
・ 粒径3μm未満の粒子:0.5質量%
・ 粒径3μm以上、30μm以下の小粒子:30質量%
・ 粒径30μmを超え、80μm未満の粒子:1質量%
・ 粒径80μm以上、270μm以下の大粒子:68質量%
・ 粒径270μmを超える粒子:0.5質量%
作製した基材を構成するMg(高熱伝導金属M)とSiC粒子(低熱膨張粒子L)の体積比M/L=30/70であった。
また200℃での熱膨張率は7.8×10−6/K、室温(23±2℃)での熱伝導率は225W/mKであった。
次いで上記基材に対するエッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを19.4μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは6.8μmであった。
〈比較例6〉
低熱膨張粒子としての2種のSiC粒子(第一、第二原料粒子)の質量比を変更して調製した、下記の粒径分布を有する混合粒子を使用したこと以外は実施例1と同様にして基材を作製した。
・ 粒径3μm未満の粒子:1質量%
・ 粒径3μm以上、30μm以下の小粒子:48質量%
・ 粒径30μmを超え、80μm未満の粒子:8質量%
・ 粒径80μm以上、270μm以下の大粒子:42質量%
・ 粒径270μmを超える粒子:1質量%
作製した基材を構成するMg(高熱伝導金属M)とSiC粒子(低熱膨張粒子L)の体積比M/L=30/70であった。
また200℃での熱膨張率は9.2×10−6/K、室温(23±2℃)での熱伝導率は165W/mKであった。
次いで上記基材に対するエッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを6.9μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは0.9μmであった。
〈比較例7〉
低熱膨張粒子としての2種のSiC粒子(第一、第二原料粒子)の質量比を変更して調製した、下記の粒径分布を有する混合粒子を使用したこと以外は実施例1と同様にして基材を作製した。
・ 粒径3μm未満の粒子:0.5質量%
・ 粒径3μm以上、30μm以下の小粒子:8質量%
・ 粒径30μmを超え、80μm未満の粒子:5.5質量%
・ 粒径80μm以上、270μm以下の大粒子:84質量%
・ 粒径270μmを超える粒子:2質量%
作製した基材を構成するMg(高熱伝導金属M)とSiC粒子(低熱膨張粒子L)の体積比M/L=30/70であった。
また200℃での熱膨張率は10.5×10−6/K、室温(23±2℃)での熱伝導率は160W/mKであった。
次いで上記基材に対するエッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを27.2μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは9.7μmであった。
〈実施例13〉
高熱伝導金属としてAlの粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして基材を作製した。
作製した基材を構成するAl(高熱伝導金属M)とSiC粒子(低熱膨張粒子L)の体積比M/L=30/70であった。
また200℃での熱膨張率は7.7×10−6/K、室温(23±2℃)での熱伝導率は180W/mKであった。
次いで、エッチング液として水酸化ナトリウム水溶液(濃度20質量%)を使用するとともにエッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを15.5μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは4.3μmであった。
〈実施例14〉
低熱膨張粒子として、平均粒径180μmのダイヤモンド粒子(第一原料粒子)と、平均粒径16μmのダイヤモンド粒子(第二原料粒子)とを質量比(第一原料粒子)/(第二原料粒子)=70/30で配合して調製した、下記の粒径分布を有する混合粒子を使用したこと以外は実施例1と同様にして基材を作製した。
・ 粒径3μm未満の粒子:0質量%
・ 粒径3μm以上、30μm以下の小粒子:35質量%
・ 粒径30μmを超え、80μm未満の粒子:3質量%
・ 粒径80μm以上、270μm以下の大粒子:62質量%
・ 粒径270μmを超える粒子:0質量%
作製した基材を構成するMg(高熱伝導金属M)とダイヤモンド粒子(低熱膨張粒子L)の体積比M/L=40/60であった。
また200℃での熱膨張率は8.0×10−6/K、室温(23±2℃)での熱伝導率は520W/mKであった。
次いで上記基材に対するエッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを18.7μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは6.1μmであった。
〈実施例15〉
高熱伝導金属としてCuの粉末を用いたこと以外は実施例14と同様にして基材を作製した。
作製した基材を構成するCu(高熱伝導金属M)とダイヤモンド粒子(低熱膨張粒子L)の体積比M/L=40/60であった。
また200℃での熱膨張率は8.5×10−6/K、室温(23±2℃)での熱伝導率は490W/mKであった。
次いで、エッチング液として塩化第二鉄水溶液(濃度5〜20質量%)を使用するとともにエッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを13.5μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは4.1μmであった。
〈実施例16〉
高熱伝導金属としてAgの粉末を用いたこと以外は実施例14と同様にして基材を作製した。
作製した基材を構成するAg(高熱伝導金属M)とダイヤモンド粒子(低熱膨張粒子L)の体積比M/L=40/60であった。
また200℃での熱膨張率は9.0×10−6/K、室温(23±2℃)での熱伝導率は550W/mKであった。
次いで、エッチング液としてリン酸50質量%−酢酸40質量%−硝酸4質量%の混酸水溶液を使用するとともにエッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを16.5μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは4.6μmであった。
〈実施例17〉
高熱伝導金属としてAlの粉末を用いたこと以外は実施例14と同様にして基材を作製した。
作製した基材を構成するAl(高熱伝導金属M)とダイヤモンド粒子(低熱膨張粒子L)の体積比M/L=40/60であった。
また200℃での熱膨張率は8.0×10−6/K、室温(23±2℃)での熱伝導率は510W/mKであった。
次いで、エッチング液として水酸化ナトリウム水溶液(濃度20質量%)を使用するとともにエッチングの時間を変更して、接合面の段差の段差高さを12.9μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートスプレッダを製造した。
被覆層の表面の中心線平均粗さRaは4.2μmであった。
〈半田の濡れ性評価〉
直径5φ×長さ10mmの円柱状のPb−Sn半田〔Pb:60質量%、Sn:40質量%〕を、実施例、比較例で製造したヒートスプレッダの、段差を形成した側の接合面を被覆した被覆層の上に、上記円柱の一端を当該接合面と接触させ、長さ方向を上記接合面と直交させた状態で載置し、窒素雰囲気中で、リフロー炉を用いて280℃×180秒間加熱して溶融させた。
そして冷却後のヒートスプレッダを、溶融して被覆層の表面に付着した半田の塊の中央部を通る位置で、当該半田の塊ごと接合面と直交方向に切断して断面を露出させ、当該断面における、被覆層の表面と半田の塊の端とのなす接触角(°)を測定して半田の濡れ性を評価した。
すなわち接触角が小さいほど、被覆層の表面は半田の濡れ性に優れていると評価することができる。
例えば上記Pb−Sn半田の場合、良好な半田接合のためには接触角が50°以下であるのが好ましい。ただし過剰な半田流れを抑制するためには接触角が25°以上であるのが好ましい。
〈ボイド率の測定〉
接合面にNiメッキ層を形成した、縦20mm×横50mmのDBA(Direct Bond Aluminum)基板〔三菱マテリアル(株)製〕を用意した。
次いで上記DBA基板を、実施例、比較例で製造したヒートスプレッダの、段差を形成した側の接合面を被覆した被覆層の上に、上記Niメッキ層を形成した側を被覆層に向けた状態で、縦20mm×横50mm×厚み0.25mmのシート状のPb−Sn半田〔Pb:60質量%、Sn:40質量%〕を介して載置した。
そしてN+4体積%H混合ガス雰囲気中で、リフロー炉を用いて280℃×600秒間加熱して半田を溶融させて、ヒートスプレッダとDBA基板とを半田接合した。
次いで、上記ヒートスプレッダとDBA基板の半田接合部分を、マイクロフォーカスX線検査装置〔日立建機ファインテック(株)製のMF100C〕を用いて観察し、画像処理して、被覆層とDBAの界面を平面視した際に、半田接合面に発生したボイドの面積の、当該半田接合面の全面積中に占める面積比率をボイド率として求めた。
ボイド率は、良好な半田接合のために0.5%以下であるのが好ましい。
以上の結果を表1、表2に示す
なお表1、表2中、低熱膨張粒子Lの種類の欄の「Dia」はダイヤモンド粒子を示す。また「小粒子(wt%)」は粒径3μm以上、30μm以下の粒子の質量%、「大粒子(wt%)」は粒径80μm以上、270μm以下の粒子の質量%を示す。
Figure 2016184700
Figure 2016184700
表1、表2の実施例1〜17、比較例1〜7の結果より、高熱伝導金属と低熱膨張粒子の複合材料からなる基材の接合面に、段差高さ8.0μm以上、25.0μm以下段差を形成するとともに、その上に被覆する被覆層の厚みを調整して、当該被覆層の表面の中心線平均粗さRaを2.0μm以上とすることにより、半田の濡れ性を向上してボイドの発生を抑制できることが判った。
ただし中心線平均粗さRaが9.0μmを超える場合には却ってボイドが発生しやすくなるため、当該中心線平均粗さRaは9.0μm以下である必要があることも判った。
また実施例1〜17の結果より、上記効果をより一層向上することを考慮すると、接合面の段差の段差高さは、上記の範囲でも11.0μm以上、特に12.0μm以上であるのが好ましく、19.0μm以下、特に17.0μm以下であるのが好ましいこと、被覆層の表面の中心線平均粗さRaは、上記の範囲でも3.0μm以上であるのが好ましく、6.5μm以下であるのが好ましいことが判った。

Claims (3)

  1. Mg、Al、AgおよびCuからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属またはこれら金属の少なくとも1種を含む合金、ならびにSiC粒子、ダイヤモンド粒子、W粒子およびMo粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種の低熱膨張粒子を含む複合材料からなり、多数の前記低熱膨張粒子が各々その一面を同一平面上に一致させた状態で配列されてなる他部材との接合面を備え、前記接合面に配列された前記多数の低熱膨張粒子間には、前記接合面から8.0μm以上、25.0μm以下の範囲で凹入された段差が設けられた基材、および前記接合面に被覆された被覆層を含み、前記被覆層の露出された表面の中心線平均粗さRaは2.0μm以上、9.0μm以下であるヒートスプレッダ。
  2. 前記低熱膨張粒子は、平均粒径の異なる2種の粒子の混合粒子からなり、前記混合粒子の全量中に占める、粒径3μm以上、30μm以下の粒子の割合は30質量%以上、50質量%以下で、かつ粒径80μm以上、270μm以下の粒子の割合は50質量%以上、70質量%以下である請求項1に記載のヒートスプレッダ。
  3. 前記混合粒子の全量中に占める、粒径3μm未満の粒子の割合は2質量%以下、粒径30μmを超え、80μm未満の粒子の割合は8質量%以下で、かつ粒径270μmを超える粒子の割合は2質量%以下である請求項2に記載のヒートスプレッダ。
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