JP2004168561A - アルミニウム−セラミックス複合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミックス多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる複合体であって、表面に金属めっきをしてなる前記の複合体であって、金属めっき面の表面粗さ(Ra)が0.7〜3.0μmであり、且つ表面の光沢度が5〜20、前記金属めっきのピール強度が5kN/m以上であることを特徴とするアルミニウム−セラミックス複合体。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス基板やICパッケージなどの半導体部品のヒートシンクなどの放熱体として好適な、熱伝導特性に優れ、且つ軽量な高熱伝導性の複合材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体素子を搭載するための回路基板として、セラミックス回路基板や樹脂回路基板等の種々の絶縁性回路基板が用いられている。近年、回路基板の小型化、半導体素子の高集積化が進むに従い、これらの回路基板の放熱特性の向上が望まれている。
【0003】
前記セラミックス回路基板の基板材料としては、アルミナ(Al2O3)、ベレリア(BeO)を添加した炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)等が公知である。
【0004】
セラミックス基板を回路基板、パッケージ用基体等として用いる場合、半導体素子からの発熱は回路基板裏面等に設けられるヒートシンクと呼ばれる放熱部品を介して外部に発散させ、半導体素子の過熱を防止し、その動作特性を確保している。しかし、ヒートシンクとして比較的軽量で放熱性に優れるCuやAl等をヒートシンクとして用いる場合、セラミックス基板との熱膨張差が大きく、両者を加熱接合する時、或いは得られた回路基板が実使用される際に受ける熱サイクルの負荷を受けて、セラミックス基板にクラックや割れ等が生じることがある。
【0005】
前記問題を解決し、信頼性の高いモジュールを得るために接合構造自体を工夫する試みもされているが、接合構造が非常に複雑になってしまい、製造コストの増加や放熱部品としての熱抵抗の増加等を招くといった問題があった。
【0006】
上記事情から、セラミックス基板を信頼性が要求される分野に放熱部品として用いる場合には、セラミックス基板と熱膨張差の小さいMoやW等の低熱膨張材料をヒートシンクとして用いているのが現状である。
【0007】
しかしながら、この様な低熱膨張材料としては、MoやW等の重金属が中心であり、ヒートシンクの質量が重く、放熱部品の軽量化が望まれる用途には好ましくないばかりでなく、高価であるという欠点がある。
【0008】
上述した通りに、セラミックス基板とヒートシンクの接合構造を有する放熱部品において、質量の低減や接合構造の簡略化を図り、且つ信頼性や放熱性の向上を図ることが課題とされている。
【0009】
このため、近年、銅やアルミニウム合金を無機質繊維または粒子で強化したMMC(Metal Matrix Composite)と略称される金属−セラミックス複合体が注目されている(特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】特開平1−52040号公報
【0011】
上記文献に記載された複合体において、ヒートシンクに適用するべく熱伝導率の向上を図ろうとするとき、強化材並びに金属又は合金として高熱伝導率を有する物質が選択され、炭化珪素−アルミニウム(合金)の複合体が主に研究されている。
【0012】
しかし、強化材である炭化珪素とマトリックスであるアルミニウム合金の濡れ性、界面の反応層の形成等、いろいろな要因が絡み、高熱伝導率の炭化珪素−アルミニウム複合体(以下、炭化珪素質複合体という)を容易に得ることができないという問題がある。
【0013】
また、この様な放熱部品を実際に使用する場合、表面にニッケル(Ni)めっき等の金属めっきが施される。しかし、アルミニウム合金のめっきは、一般に耐食性に問題があり、実使用環境での耐食性の向上が要望されている(非特許文献1参照)。
【0014】
【非特許文献1】「愛鋼技報」第11巻第1号68−71頁(1991年)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
MMCにおいては、セラミックス基板に近い熱膨張係数を得ようとすると、熱膨張係数の低い強化材であるセラミックスの体積比率を上げる必要がある。しかし、セラミックスの体積比率を上げるためには、高い成形圧力でプリフォームを成形する必要があり、コストアップになると共に、その後のアルミ合金の十分な含浸が難しくなるという問題がある。このため、熱膨張係数がセラミックス基板に近く、しかも高い熱伝導率を有する金属−セラミックス複合体を安価に提供できることが課題としてある。
【0016】
また、MMCに関して、複合体表面の状態は、接合される回路基板との半田付け性や放熱フィン等にネジ止めする際の放熱グリスとの密着性に大きく関与しており、且つ使用環境での耐食性も放熱特性に大きく影響する。このことより、複合体自体の熱伝導性と合わせてその表面状態の制御が重要な課題である。
【0017】
本発明は、上記公知技術の事情に鑑みなされたものであって、高い熱伝導性を有し、セラミックス基板に近い線熱膨張係数を有する複合体であって、しかも金属めっき面の半田濡れ性、耐熱特性、耐食性が改良された半導体素子等の電気部品搭載用回路基板の放熱部品として好適な金属−セラミックス複合体を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、アルミニウム合金とセラミックスの組成を調整することにより、複合体の熱膨張係数、熱伝導率を制御できること、また、得られた複合体の表面状態を調整することにより、金属めっき面の半田濡れ性、耐熱特性、耐食性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0019】
即ち、本発明は、セラミックス多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる複合体であって、5mol/lのNaOH溶液中での質量変化速度が1mg/cm2min以上であるように、表面を粗化してなることを特徴とするアルミニウム−セラミックス複合体である。
【0020】
又、本発明は、セラミックス多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸し、表面に金属めっきをしてなる複合体であって、金属めっき面の表面粗さ(Ra)が0.7〜3.0μmであり、且つ表面の光沢度が5〜20、前記金属めっきのピール強度が5kN/m以上であることを特徴とするアルミニウム−セラミックス複合体である。
【0021】
本発明は、金属めっき層の厚みが3〜30μmであり、前記金属めっき層中に幅0.5μm以下のマイクロクラックが存在することを特徴とするアルミニウム−セラミックス複合体である。
【0022】
又、本発明は、熱伝導率が150W/mK以上であり、しかも25℃の線熱膨張係数が12×10−6K−1以下であることを特徴とするアルミニウム−セラミックス複合体である。
【0023】
更に、本発明は、セラミックスが炭化珪素であって、その体
積含有率が50〜80%であることを特徴とするアルミニウム−セラミックス複合体である。
【0024】
【発明の実施の形態】
前記した通りに、MMCの線熱膨張係数は、強化材であるセラミックスと基材である金属の線熱膨張係数とその配合比率に支配されている。セラミックスの線熱膨張係数は金属の線熱膨張係数に比べかなり小さく、複合体の線熱膨張係数を下げるためには、セラミックスの比率を増やすことが効果である。
【0025】
一方、MMCの熱伝導率も、基本的には、強化材であるセラミックスと基材である金属の熱伝導率とその配合比率で支配されているが、熱伝導率の場合には、強化材と基材との界面の結合状態も大きな要因となる。
【0026】
セラミックスと金属では、一般に金属の方が熱伝導率が高いが、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化硼素(BN)等は、金属と同等以上(300W/mK以上)の理論熱伝導率を有して、強化材として非常に有望である。
【0027】
本発明者らは、MMCのマトリックスとなる金属について種々検討した結果、アルミニウムを主成分とする金属を用いることにより、良好な複合体を製造できることを見いだした。すなわち、本発明の複合体は、セラミックス多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなるものである。
【0028】
本発明の複合体中の金属は、アルミニウムを主成分とする金属であり、好ましくはシリコンを20質量%以下、マグネシウムを5質量%以下含有する。金属中のアルミニウム、シリコン、マグネシウム以外の成分に関しては、極端に金属の特性が変化しない範囲であれば銅等も含有することができる。尚、金属中のアルミニウム以外の成分を調整することにより、金属自体の熱伝導率や線熱膨張係数を変えることができ、その結果として、得られる複合体の線熱膨張係数や熱伝導率も調整することができる。
【0029】
また、本発明者らは、強化材についても種々検討した結果、炭化珪素を主成分とする多孔体を用いることが、高熱伝導率と低熱膨張を兼ね備えたMMCを製造するのに適していることを見出した。
【0030】
更に、高熱伝導率と低熱膨張係数を兼ね備えたMMCを製造する場合、強化材と金属との濡れ性が緻密なMMCを得るためには重要である。このため、一般に、強化材であるセラミックスを所定形状に成形した多孔体に、マトリックスとなる金属を高温高圧下で含浸させる高圧鋳造法で緻密なMMCを製造しているのが実状である。
【0031】
本発明の複合体中のセラミックス多孔体の体積含有率は、50〜80%であることが好ましく、更に好ましくは60〜70%であることが一層好ましい。セラミックス多孔体の体積含有率が50%未満では、得られる複合体の線熱膨張係数が高くなり、本発明が目的とする信頼性の高い放熱部品が得られなくなることがある。一方、セラミックス多孔体の体積含有率を高くすることは、複合体の高熱伝導率、低熱膨張といった点では有効であるが、体積含有率が80%を越える多孔体を製造するには、非常に高い成形圧力を必要とする等の問題があり、得られる金属−セラミックス複合体のコストが極端に高くなってしまう。
【0032】
本発明の複合体は、複合体表面を均一に、且つ所定の粗さに粗化することにより、複合体表面に金属めっきを施した際のめっき密着性、半田濡れ性、耐熱性、耐食性等の向上を達成することが出来る特徴がある。具体的には、5mol/lのNaOH溶液中での質量変化速度が1mg/cm2min以上である。本発明者は、MMCの表面状態と金属めっき性状との関係を詳細に調べ、理由は不明であるが、上記条件の表面性状を有するMMCにおいて金属めっき性状に優れ、密着性、半田濡れ性、耐熱性、耐食性等において優れた金属めっき表面を有するMMCが得ることができ、いろいろな回路基板用の放熱部材として好適であることを見出し、本発明に至ったものである。
【0033】
本発明に於いて、質量変化速度が1mg/cm2min以下では、表面の粗化が不十分であり、金属めっきを施した場合のめっき密着強度、半田濡れ性、耐熱性、耐食性の向上が不十分となる。質量変化速度の上限に関しては、本発明の目的を達成できれば良い。
【0034】
質量変化速度が1mg/cm2min以下となる表面粗化の手法としては、MMCの表面に所定粒度のセラミックス砥粒を加圧気流下で噴霧する方法や水等の溶媒中に分散させて同様に噴霧する方法等が採用できる。また、複合体表面を酸又はアルカリにてエッチングすることによっても達成することができる。
【0035】
又、本発明は、複合体表面に金属めっきをしてなる複合体であって、金属めっき面の表面粗さ(Ra)が0.7〜3.0μmであり、表面の光沢度が5〜20、めっきのピール強度が5kN/m以上であることを特徴とする。
【0036】
本発明に於いて、金属めっき面の表面粗さ(Ra)が0.7〜3.0μmである。表面粗さが0.7μm未満では、複合体表面の粗化が不十分であり、得られるめっきの特性が不十分となるからである。一方、表面粗さが3.0μmを超えるとめっき面の凹凸が顕著になり過ぎて半田付け時の半田厚みが不均一になる等の問題や、放熱フィン等にネジ止めする場合の放熱グリス厚等が不均一となり十分な放熱特性が得られなくなる問題がある。上記と同じ理由から、0.8〜2.0μmがより好ましい範囲である。
【0037】
本発明において、金属めっき面の光沢度が5〜20である。光沢度が5未満では、めっき面の粗さが粗くなりすぎ実使用に適用した際に放熱特性の劣化してしまうことがある。一方、光沢度が20を超えるとめっき面の粗さが小さく、めっき密着性等のめっき特性の向上効果が不十分となる。尚、光沢度については、日本電色社製の光沢度計PG−1Mにて測定することができる。
【0038】
又、本発明において、金属めっきのピール強度が5kN/m以上である。複合体表面の粗化により、金属めっきの密着性の改善効果がある。金属めっきのピール強度が5kN/m未満では、めっき膜の密着性が低く、放熱部品として使用する際にめっき面に加わる応力によりめっき剥離等が発生して放熱特性の劣化が起こることがある。
【0039】
本発明の複合体の金属めっき層の厚みは、3〜30μmであることが好ましい。金属めっき層の厚みが3μm未満では、めっき膜が薄くなることにより、めっきピンホール等が発生することがあり、そのためめっき膜の耐食性が低下する問題が生じることがある。一方、金属めっき層の厚みが30μmを超えると、めっき層と複合体の熱膨張差による発生応力が大きくなりすぎて、外部からの応力及び熱応力が加わった際にめっき剥離が発生したり、めっきにクラックが発生する等の問題が生じることがある。
【0040】
更に、本発明の複合体は、理由は不明であるが、めっきに幅0.5μm以下のマイクロクラックが存在しているとき、本発明の効果が際立つことから、好ましい。図1に本発明の複合体表面部の断面の走査型電子顕微鏡像を示す。めっき部の凹凸の境界部に幅0.1μm程度の微細なマイクロクラックが存在している。
【0041】
一般に、複合体を半田付けする際等に加熱処理すると、複合体と表面の金属めっきの熱膨張差によりめっきにクラックが発生することがある。本発明の複合体においては、金属めっき層中に幅0.5μm以下のマイクロクラックが存在することにより、加熱時に発生する応力を、このマクロクラックが吸収することにより、クラック発生を抑制する効果があり、この結果として、本発明の複合体表面の金属めっきは、加熱処理後もめっきの密着性、耐食性の低下が殆どないといった特徴を示すと推察されている。
【0042】
本発明の金属めっきについては、複合体表面を所定の粗度に処理した後に、無電解めっき又は電気めっきすることによってめっき膜を形成することができる。
【0043】
また、本発明の複合体は、半導体回路基板のヒートシンク等の放熱部品に用いられことから、25℃での熱伝導率が150W/mK以上であり、しかも25℃の線熱膨張係数が12×10−6K−1以下であることが好ましい。
【0044】
熱伝導率が150W/mK未満では、半導体回路基板のヒートシンク等の放熱部品として用いる場合に、十分な放熱特性が得られない問題がある。熱伝導率の上限に関しては、用途上の制限はなく、より高い方が好ましい。
【0045】
また、25℃の線熱膨張係数が12×10−6K−1を越えると、セラミックス回路基板のヒートシンク等の放熱部品として用いる場合に、セラミックス回路基板との熱膨張係数の差が大きくなり過ぎて、加熱接合時や熱サイクル負荷等により、セラミックス回路基板にクラックや割れ等が生じることがあり、信頼性が要求される放熱部品として用いる場合の用途が限定されてしまうという問題があるからである。
【0046】
本発明の複合体は、熱伝導特性に優れ、低熱膨張係数が低く、ヒートシンク等の放熱部品として用いる場合、従来の銅等を用いた場合に比べて、放熱部品と接合されるセラミックス回路基板との熱膨張差が小さく、環境温度の変化や基板上の半導体素子の作動時に発生する熱サイクル等によるセラミックス回路基板のクラックや割れ等を抑えることができる上に、更に、密着性、半田濡れ性、耐熱性、耐食性等において優れた金属めっき表面が強いピール強さをもって形成されているので、高い信頼性が要求される自動車等のいろいろな分野に用いられる電気、電子機器に用いる放熱部品として好適である。
【0047】
加えて、本発明の複合体は、密度が3g/cm3程度であり、銅等の金属に比べ軽く、放熱部品等として用いる場合に、部品の軽量化に有効である。また、本発明の複合体は、曲げ強度が300MPa以上と高く、放熱部品等として用いるに十分な機械的特性を有しているので、高比強度を要求される自動車や電鉄等の移動機器搭載用の部品、材料として用いても好適である。
【0048】
尚、本発明の複合体は、上述した通りに、セラミックス多孔体を含有しているが、前記セラミックス多孔体を作製する場合、高温で焼結を利用して製造する方法と、シリカやアルミナ等の前駆体をバインダーとして添加し加熱処理して製造する方法等がある。後者の場合、コスト的には有利であるが、得られる複合体中にアルミナやシリカといった熱伝導率の低い物質が存在し、複合体自体の熱伝導率を低下させてしまう。特に、これらの酸化物がセラミックスと金属の界面に存在する場合、熱伝導率の低下が顕著であることから、前者によることが好ましい。
【0049】
また、高圧鋳造法等で複合体を製造する場合、セラミックスの成形体または粉末を高温に予熱して、アルミニウムを主成分とする溶融金属を加圧含浸して複合体を製造するのが一般的である。複合体の製造方法に関しては、この他にガス圧を介してセラミックス多孔体に溶融金属を含浸する方法等が知られている。本発明に於いては、高圧鋳造法が安価に、安定して本発明の複合体を得られることから好ましい方法ではあるが、本発明の効果を損なわない限り、他の方法を採用できる。
【0050】
【実施例】
(実施例1〜9、比較例1〜5)
炭化珪素粉末A(大平洋ランダム社製:NG−220、平均粒径:60μm)65質量%、炭化珪素粉末B(屋久島電工社製:GC−1000F、平均粒径:10μm)35質量%及びシリカゾル(日産化学社製:スノーテックス)を固形分換算量で4質量%を配合し、攪拌混合機で30分間混合した後、99mm×99mm×5mmの形状に10MPaの圧力でプレス成形した。得られた成形体は、大気雰囲気中乾燥後、温度900℃で2時間加熱して、炭化珪素質多孔体とした。得られた炭化珪素質多孔体は、20mmφ×5mmの形状に加工して、その寸法と質量より相対密度(嵩密度)を算出した結果、相対密度65%であった。
【0051】
次に、得られた炭化珪素質多孔体10枚を、各試料間に離型剤を塗布した0.8mm厚の鉄板で区切り、両端に12mm厚の鉄板を配した後、10mmφのボルト、ナットで固定して、一つのブロックを形成した。得られたブロックを電気炉で温度700℃に予備加熱し、予め加熱しておいた内寸250mmφ×300mmの空隙を有するプレス型内に載置した後、温度850℃に加熱してある、AC4Cアルミニウム合金の溶湯を流し込み、100MPaの圧力で10分間プレスして、炭化珪素質多孔体にアルミニウム金属を含浸させた。得られた複合体を含む金属塊は、室温まで冷却したのち、湿式バンドソーにて切断して、炭化珪素質複合体を離型した。得られた複合体は、外周部を機械加工して、100mm×100mm×5mmの形状とした。更に、得られた複合体は、大気中、温度500℃で1時間加熱処理し徐冷して複合体の歪み除去を行った。
【0052】
また、得られた複合体は、ダイヤモンド加工治具を用いて、熱膨張率測定用試験体(3×4×10mm)、熱伝導率測定用試験体(10mmφ×3mm)、3点曲げ強さ評価用試験体(3mm×4mm×40mm)に研削加工し評価した。その結果、複合体の密度は2.98g/cm3であり、熱伝導率は205W/mK、熱膨張係数は7.1×10−6/K、曲げ強さは400MPaであった。
【0053】
尚、実施例9は炭化珪素粉末の代わりに平均粒径10μmの窒化アルミニウム粉末100質量部を用い実施例1と同様の手法で複合体を作製したものであり、比較例5は、プリフォームを作製せず、炭化珪素粉末Bを含有量が30体積%なるように鉄製の金型に充填して、実施例1と同じ操作で含浸操作を行い、複合体を作製したもので、得られた複合体の特性を評価した結果、実施例9の複合体の密度は2.96g/cm3であり、熱伝導率は180W/mK、熱膨張係数は7.0×10−6/K、曲げ強さは420MPaであり、比較例5の複合体の密度は2.76g/cm3であり、熱伝導率は170W/mK、熱膨張係数は13.5×10−6/K、曲げ強さは270MPaであった。
【0054】
次に、得られた複合体を用いて、表1に示す条件にて乾式ブラスト装置にて表面処理をおこなった。尚、比較例4は、バフ研磨機にて#180のバフロールを用いて表面処理を行った。また、実施例1〜7、比較例1〜4で得られた複合体を5mol/lのNaOH溶液に浸漬し、質量変化速度を評価した。その結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
更に、実施例1〜7、比較例1〜4の複合体について、めっき前処理を行い表2に示す厚さになる様に無電解ニッケル(Ni)−リン(P)めっき及び無電解Ni−硼素(B)めっきを施した。実施例8、実施例9は、実施例1の複合体を用いてめっき厚を変更した。得られためっき品について、表面粗さ(Ra)及び光沢度、ピール強度の測定を行った。その結果を表2に示す。また、実施例1について表面部の断面を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を図1に示す。表面のめっき層中に、幅0.1μm程度の微細なマイクロクラックが観察された。
【0057】
また、実施例1及び比較例1、比較例4を温度300℃に加熱したホットプレート上で10分間加熱処理を行い冷却後、表面を倍率400倍の光学顕微鏡にて観察した結果、実施例1は、めっき面にクラックの発生は認められず、比較例1は、めっき面に幅1μmのクラック(一般に云うヘアークラック)が観察され、比較例4は、加熱中にめっき剥離が発生した。また、実施例1〜9、比較例1〜4のめっき品を0.5質量%NaCl水溶液中に50時間浸積し、その表面状態を観察した。その結果、実施例1〜9については、めっき剥離、腐食等のめっき面の異常は認められなかった。一方、比較例1〜4は、部分的にめっきの剥離が発生し、剥離部の周辺に白色の生成物が観察された。
これらの結果を表2に一覧した。
【0058】
【表2】
【0059】
(実施例10)
実施例1の複合体を用い、湿式ホーニング装置で#220のアルミナ砥粒を使用し、噴霧圧力0.4MPaで表面処理を行った。得られた複合体は5mol/lのNaOH溶液中での質量変化速度が1.5mg/cm2minであった。また、実施例1と同一条件にてめっき処理を行ったところ、得られためっき品は、めっき厚みが8μm、表面粗さ(Ra)が1.4μm、光沢度が10.5、ピール強度が11.0kN/mであった。更に、0.5質量%NaCl水溶液中に50h浸積後もめっき面に腐食等の異常発生は認められなかった。
【0060】
(実施例11)
実施例1の複合体を用い、めっき処理を電気めっきにて厚さ8μmのNiめっきを施した。得られためっき品は、表面粗さ(Ra)が1.2μm、光沢度が15、ピール強度が10.5kN/mであった。更に、0.5質量%NaCl水溶液中に50h浸積後もめっき面に腐食等の異常発生は認められなかった。
【0061】
【発明の効果】
本発明の複合体は、複合体表面を所定性状に粗化されており、当該複合体表面に金属めっきをした際には、めっきの密着性、耐熱性、耐食性等を向上させることができ、しかも熱伝導率が高く、線熱膨張係数がセラミックス回路基板に近く、かつ軽量であるという特徴を有するので、半導体搭載用セラミックス回路基板と接合して用いる放熱部品として好適であり、ことに信頼性に優れかつ自動車や電鉄等の移動機器等に好適であり、産業上非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る複合体の表面断面を走査型電子顕微鏡にて観察した写真。
Claims (5)
- セラミックス多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる複合体であって、5mol/lのNaOH溶液中での質量変化速度が1mg/cm2min以上であるように、表面を粗化してなることを特徴とするアルミニウム−セラミックス複合体。
- セラミックス多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸し、表面に金属めっきをしてなる複合体であって、金属めっき面の表面粗さ(Ra)が0.7〜3.0μmであり、且つ表面の光沢度が5〜20、前記金属めっきのピール強度が5kN/m以上であることを特徴とするアルミニウム−セラミックス複合体。
- 金属めっき層の厚みが3〜30μmであり、前記金属めっき層中に幅0.5μm以下のマイクロクラックが存在することを特徴とする請求項2記載のアルミニウム−セラミックス複合体。
- 熱伝導率が150W/mK以上であり、しかも25℃の線熱膨張係数が12×10−6K−1以下であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のアルミニウム−セラミックス複合体。
- セラミックスが炭化珪素であって、その体積含有率が50〜80%であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のアルミニウム−セラミックス複合体。
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