本発明の第1実施形態にかかる太陽電池パネル支持架台を図1〜図11を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる太陽電池パネル支持架台を示す図である。図2は、図1に示されている太陽電池パネル支持架台を、図1中の矢印V1方向に見た側面図である。
この太陽電池パネル支持架台1は、所定の設置場所2において、複数行×複数列に配列して複数枚の太陽電池パネル3を支持する。また、各太陽電池パネル3は、設置場所2に対して所定角度に傾斜した状態で支持される。図1(A)には、受光面31を見下ろした上面図が示されている。また、図1(B)には、傾斜における低い側から見たときの正面図が示されている。図1(A)及び図1(B)では、太陽電池パネル3の一部がカットされて、その下方に位置する太陽電池パネル支持架台1が示されている。図1(A)、図1(B)、及び図2の各図には、X軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸は、太陽電池パネル3の傾斜方向と直交する軸であり、Y軸は、太陽電池パネル3の傾斜方向に沿ってX軸と直行する軸である。また、Z軸は、設置場所2に打ち込まれた杭110の長さ方向に沿った軸である。また、これ以降に参照する他の図3〜図11にも、同様のX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。
太陽電池パネル支持架台1は、設置場所2に立設される金属製で複数本の杭110と、太陽電池パネル3を支持する支持部材120と、複数本の杭110それぞれの頭部に支持部材120を接続する接続手段130と、を備えている。支持部材120は、X軸に沿って延びる金属製の横桟121と、Y軸に沿って延びる金属製の縦桟122と、が格子状に組まれたものである。各杭110の頭部には、接続手段130によって横桟121が接続されており、この横桟121の上に縦桟122が載せられて固定されている。複数枚の太陽電池パネル3は、縦桟122の上に配列されて支持される。
図3は、図1(B)に示されている接続手段の拡大図である。また、図4は、図3に示されている接続手段を、図3中の矢印V2方向に見た側面図である。
接続手段130は、金属製の第1接続部材131と金属製の第2接続部材132とを備えている。第1接続部材131は、杭110の頭部に、杭110の長さ方向(Z方向)について位置決め可能で、且つ、杭110と交差する第1軸としての第1貫通ボルト133回りに回動可能に連結される。第2接続部材132は、第1接続部材131に、第1貫通ボルト133と交差する第2軸としての第2貫通ボルト134の回りに回動可能に連結されるとともに、支持部材120における横桟121が固定される。
図5は、図3に示されている杭の頭部を示す図である。図5(A)には、杭110の上面図が示されており、図5(B)には、杭110の頭部を、図5(A)中の矢印V3方向から見た図が示されている。尚、図1及び図3は、杭110について、図5(A)中の矢印V4方向から見た図となっている。
この図5に示されているように、杭110は、その断面がC字状に形成されている。そして、互いに対向する一対の側壁111それぞれにおける、上記のC字における開口110a側の縁が外側に折れ曲がっており、C字の開口110aが広口に形成されている。
杭110の頭部における一対の側壁111それぞれには、平面視で、杭110の長さ方向(Z方向)に長い長方形状に凹んだ溝112が、プレス加工等により形成されている。そして、この溝112の底に、杭110の長さ方向(Z方向)に延びる第1長孔113が設けられている。一対の側壁111それぞれの溝112は互いに対向し、また、それぞれの第1長孔113も互いに対向している。さらに、各溝112においてこの杭110の長さ方向(Z方向)に延びて互いに対向する一対の内壁114それぞれに、第1長孔113の長さ以上の長さに亘って、第1長孔113の縁に沿って杭110の長さ方向(Z方向)に配列された鋸歯状の凹凸114aが形成されている。また、この溝112は、杭110の長さ方向(Z方向)と直交する断面の形状が、底へ向かうほどに一対の内壁114の相互間隔が狭まるテーパ形状を有している。
図6は、図5に示されている杭の頭部と第1接続部材との連結構造を示す分解斜視図である。
この図6に示されているように、第1接続部材131は、上記の第1貫通ボルト133と、一対の軸受部材135とを介して杭110の頭部に連結される。軸受部材135は、凹凸114aにおける杭110の長さ方向(Z方向)の何れかの位置に係止するとともに、その位置において、第1貫通ボルト133が第1長孔113を貫通するように第1貫通ボルト133を回動可能に軸支する。
軸受部材135は、杭110の長さ方向(Z方向)について溝112の長さよりは短く形成され、溝112に嵌め込まれる矩形板形状を有している。そして、溝112における一対の内壁114に接する一対の外側縁135aそれぞれが、上記の凹凸114aに係止する鋸歯状の係止形状に形成されている。また、軸受部材135の中央には、第1貫通ボルト133が回動自在に貫通する貫通孔135bが設けられている。また、軸受部材135は、杭110の長さ方向(Z方向)と直交する断面の形状が、溝112に嵌め込まれたときにその底へ向かうほどに一対の外側縁135aの相互間隔が狭まるテーパ形状を有している。
軸受部材135は、係止形状の外側縁135aを溝112の内壁114の凹凸114aにおける杭110の長さ方向(Z方向)の何れかの位置に係止するように嵌め込まれる。この嵌め込みにより、軸受部材135は、杭110の長さ方向(Z方向)の位置が決まる。また、一対の軸受部材135は、互いに対向するように溝112に嵌め込まれる。これにより、第1貫通ボルト133が、杭110の長さ方向(Z方向)について位置決めされた状態で、軸受部材135の貫通孔135a及び第1長孔113を通ることとなる。
第1接続部材131は、杭110の頭部における一対の側壁111の間に位置して、上記のように位置決めされた第1貫通ボルト133が回動自在に貫通する筒部131aを備えている。この筒部131aを第1貫通ボルト133が貫通することで、第1接続部材131が、第1貫通ボルト133回りに回動可能に杭110の頭部に連結される。
一対の軸受部材135の貫通孔135aと、一対の第1長孔113と、第1接続部材131の筒部131aと、を貫通した第1貫通ボルト133の先端に、ナット136が締結される。このナット136の締結がある程度緩い状態では、第1接続部材131が回動可能となっており、ナット136が所定トルクで締結されると、第1接続部材131が回動不能に固定される。
筒部131aの外周面からは、一対の腕板131bが、上方に延出しており、この腕板131bに支えられて、第1貫通ボルト133回りの回動端側に、第2接続部材132との連結部131cが設けられている。連結部131cは、一対の腕板131bが支える矩形状の底板131c−1と、この底板131c−1において第1貫通ボルト133に沿った一対の端縁に立設された一対の側板131c−2と、を備えている。そして、これら一対の側板131c−2それぞれに、第1貫通ボルト133に沿う方向に延びる第2長孔131c−3が設けられている。一対の第2長孔131c−3は、互いに対向する位置に設けられている。
図3や図4に示されている第2接続部材132は、一対の第2長孔131c−3を貫通するように第1接続部材131に軸支される第2貫通ボルト134を介して、この第1接続部材131に連結される。
図7は、第2接続部材と第1接続部材との連結構造を示す三面図である。図7(A)には、この連結構造の上面図が示され、図7(B)には、この連結構造を、図7(A)中の矢印V5方向から見た正面図が示され、図7(C)には、この連結構造を、図7(B)中の矢印V6方向から見た側面図が示されている。尚、図7(A)では、横桟121が二点鎖線で示されている。図7(B)には、横桟121、杭110、及び第1貫通ボルト133が同様に示されている。また、図7(C)には、横桟121及び杭110が同様に示されている。
第2接続部材132は、上記の第2貫通ボルト134が回動自在に貫通する筒部132aを備えている。この筒部132aを第2貫通ボルト134が貫通することで、第2接続部材132が、第2貫通ボルト134回りに回動可能に第1接続部材131に連結される。第1接続部材131における一対の第2長孔131c−3及び筒部132aを貫通した第2貫通ボルト134の先端に、ナット137が締結される。このナット137の締結がある程度緩い状態では、第2接続部材132が回動可能となっており、ナット137が所定トルクで締結されると、第2接続部材132が回動不能に固定される。
筒部132aの外周面からは、一対の腕板132bが、上方に延出しており、この腕板132bに支えられて、横桟121との連結部132cが設けられている。連結部132cには、横桟121が、第2貫通ボルト134に沿う方向に延びるように載置される平坦な載置面132c−1が形成されている。そして、この載置面132c−1を、第2貫通ボルト134と直交する方向に挟んだ位置に、横桟121を第2接続部材132に固定するための一対の固定構造が設けられている。
図8は、横桟を第2接続部材に固定するための固定構造を示す拡大図である。この図8には、図7(B)において載置面132c−1を挟んだ位置に設けられた左右一対の固定構造のうち、図7(B)中の右側の固定構造が示されている。図8(A)には、この固定構造を、図7(B)と同方向から見た図が示されており、図8(B)には、この固定構造を、図8(A)中の矢印V7方向から見た図が示されている。
図8(A)に示されているように、横桟121における第2接続部材132の載置面132c−1側の左右の角からは、この載置面132c−1に沿ってフランジ121aが張り出している。フランジ121aにおける先端縁は、載置面132c−1と直交する上方に折れ曲がった係止片121a−1となっている。
そして、横桟121は、上記のフランジ121aを第2接続部材132との間に挟む横桟固定金具138と、この横桟固定金具138を第2接続部材132に固定する横桟固定ボルト139と、を介して第2接続部材132に次のように固定される。
まず、第2接続部材132には、載置面132c−1に隣接して、横桟固定ボルト139のボルト頭部139aが嵌め込まれて支持される支持溝132c−2が形成されている。このとき横桟固定ボルト139では、ボルト頭部139aにおけるボルト部139b側が張り出して、支持溝132c−2の内面に接することでボルト軸回りの回転を規制する回り止めフランジ139cとなっている。このように、横桟固定ボルト139は、その回転が規制された状態で、そのボルト頭部139aが第2接続部材132の支持溝132c−2に嵌め込まれる。図8(A)に示されているように、支持溝132c−2は、深さ方向の途中の幅が、開口幅よりも広がっている。回り止めフランジ139cは、概ね長方形状となっており、短辺が開口幅よりも短く、かつ、長辺が開口幅よりも長い。ボルト頭部139aは、長辺が支持溝132c−2に沿う向きに支持溝132c−2に収められ、90°回転される。これにより、図8(B)に示されているように、回り止めフランジ139cの短辺が、支持溝132c−2における深さ方向の途中で幅広となった部分の内面に接する。これにより、ボルト軸回りの回転が規制される。
横桟固定金具138には、横桟固定ボルト139のボルト部139bが貫通する貫通孔が設けられている。この横桟固定金具138における横桟121側の端縁近傍が、横桟121のフランジ121aを第2接続部材132との間に挟むようになっており、更に、この端縁近傍には、フランジ121aの係止片121a−1が嵌まり込む係止溝138aが形成されている。横桟固定金具138の端縁は、この係止溝138aに係止片121a−1が進入するように横桟121のフランジ121aに重ねられ、横桟固定ボルト139のボルト部139bが横桟固定金具138の貫通孔を貫通する。
そして、横桟固定金具138の貫通孔を貫通したボルト部139bにナット141が締結される。このナット141の締結により、横桟固定金具138が第2接続部材132に固定される。
このように第2接続部材132に固定される横桟121に、縦桟122が固定される。横桟121に縦桟122を固定する固定構造は、第2接続部材132に横桟121を固定する上述した固定構造と略同等である。図3には、この固定構造も図示されているが、縦桟122を、第2貫通ボルト134に沿った方向に挟んだ位置に、縦桟122を横桟121に固定するための一対の固定構造が設けられている。
図9は、縦桟を横桟に固定するための固定構造を示す拡大図である。この図9には、図3において縦桟122を挟んだ位置に設けられた左右一対の固定構造のうち、図3中の右側の固定構造が、拡大されて示されている。図9(A)には、この固定構造を、図3中の右側方から見た図が示されている。図9(B)には、図3中の右側の固定構造が示され、図9(C)には、この固定構造を、図9(B)中の矢印V8方向から見た図が示されている。
図9(B)に示されているように、縦桟122における横桟121側の左右の角からは、この横桟121の上面に沿ってフランジ122aが張り出しており、その先端が上方に折れ曲がって係止片122a−1となっている。
そして、縦桟122は、上記のフランジ122aを横桟121との間に挟む縦桟固定金具142と、この縦桟固定金具142を横桟121に固定する縦桟固定ボルト143と、を介して横桟121に固定される。横桟121の上面には、縦桟122の両側に隣接する位置に、縦桟固定ボルト143のボルト頭部143aを支持する支持溝121bが形成されている。また、縦桟固定ボルト143には、回り止めフランジ143cが設けられており、縦桟固定ボルト143は、この支持溝121bに、ボルト軸回りの回転が規制された状態でボルト頭部143aが嵌め込まれて支持される。支持溝121bへの縦桟固定ボルト143のボルト頭部143aの取り付け方は、図8に示されている支持溝132c−2への横桟固定ボルト139のボルト頭部139aの取り付け方と同じである。
縦桟固定金具142の端縁が、この端縁に設けられた係止溝142aに係止片122a−1が進入するように縦桟122のフランジ122aに重ねられ、縦桟固定ボルト143のボルト部142bが縦桟固定金具142の貫通孔を貫通する。そして、縦桟固定金具142の貫通孔を貫通したボルト部143bにナット145が締結される。このナット145の締結により、縦桟固定金具142が横桟121に固定される。
このように横桟121に固定される縦桟122に、太陽電池パネル3が固定される。縦桟122に太陽電池パネル3を固定する固定構造も、その基本的な構造は、ここまでに説明した固定構造と略同等である。この固定構造は、太陽電池パネル3における縦桟122と交差する端縁を縦桟122に固定する構造である。そして、この固定構造は、縦桟122に沿う方向の複数枚の太陽電池パネル3の配列における、太陽電池パネル3の相互間や、配列端の太陽電池パネル3の端縁に対応する位置に設けられる。
図10は、太陽電池パネルの相互間に設けられて太陽電池パネルの端縁を縦桟に固定する固定構造を示す図である。図10(A)には、この固定構造を、図2と同じ側方から見た側面図が示されており、図10(B)には、この固定構造を、図10(A)中の矢印V9方向から見た図が示されている。
この図10に示されているように、太陽電池パネル3の相互間には、2枚の太陽電池パネル3の隣り合う端縁3aを縦桟122との間に挟む中間用パネル固定金具146が配置される。この中間用パネル固定金具146は、パネル固定ボルト147によって縦桟122に固定される。
縦桟122の上面には、その幅方向の中央に、パネル固定ボルト147のボルト頭部147aを支持する支持溝122bが形成されている。また、パネル固定ボルト147には、回り止めフランジ147cが設けられており、パネル固定ボルト147は、この支持溝122bに、ボルト軸回りの回転が規制された状態でボルト頭部147aが嵌め込まれて支持される。支持溝122bへのパネル固定ボルト147のボルト頭部147aの取り付け方も、図8に示されている支持溝132c−2への横桟固定ボルト139のボルト頭部139aの取り付け方と同じである。
中間用パネル固定金具146における太陽電池パネル3側には、太陽電池パネル3の端縁3aにおける受光面31側の角が当接する当接リブ146aが、各太陽電池パネル3について一条ずつ、合計で2条に設けられている。各太陽電池パネル3の端縁3aの角がこの当接リブ146aに当接するように、中間用パネル固定金具146が太陽電池パネル3の相互間に配置され、パネル固定ボルト147のボルト部147bが、中間用パネル固定金具146に設けられた貫通孔を貫通する。また、中間用パネル固定金具146と縦桟122との間にはコイルバネ148が配置される。そして、中間用パネル固定金具146の貫通孔を貫通したボルト部147bにナット149が締結される。このナット149の締結により、中間用パネル固定金具146が縦桟122に固定される。また、このときには、コイルバネ148により、中間用パネル固定金具146が、縦桟122にから離される方向に付勢された状態となる。太陽電池パネル3は、その端縁3aが中間用パネル固定金具146と縦桟122とで挟み付けられることで、縦桟122に固定される。
図11は、図2に示されている縦桟の傾斜方向下流側の配列端の太陽電池パネルの端縁を縦桟に固定する固定構造を示す図である。図11(A)には、この固定構造を、図2と同じ側方から見た側面図が示されており、図11(B)には、この固定構造を、図11(A)中の矢印V10方向から見た図が示されている。この図11に示されている固定構造は、固定金具以外の構成要素は、図10に示されている固定構造と同等であり、図11では、この同等な構成要素については、図10と同じ符号が付されている。
この固定構造では、配列端の太陽電池パネル3の端縁3aを縦桟122との間に挟む配列端用パネル固定金具150が用いられる。この配列端用パネル固定金具150には、太陽電池パネル3の端縁3aにおける受光面31側の角が当接する当接リブ150aが1条に設けられている。また、この配列端用パネル固定金具150において、当接リブ150aとの間にパネル固定ボルト147を挟んだ端部からは、端部壁150bが縦桟122の上面へと延出している。
配列端の太陽電池パネル3の端縁3aの角が当接リブ150aに当接するように、配列端用パネル固定金具150が配置される。また、ボルト頭部147aが回り止めフランジ147cとともに縦桟122の支持溝122bに嵌め込まれることで、パネル固定ボルト147は回転が規制された状態で縦桟122に支持されている。そして、パネル固定ボルト147のボルト部147bが、配列端用パネル固定金具150の貫通孔を貫通する。また、配列端用パネル固定金具150と縦桟122との間にはコイルバネ148が配置される。そして、配列端用パネル固定金具150の貫通孔を貫通したボルト部147bにナット149が締結される。このナット149の締結により、配列端用パネル固定金具150が縦桟122に固定される。また、このときには、コイルバネ148により、配列端用パネル固定金具150が、縦桟122にから離される方向に付勢された状態となる。太陽電池パネル3は、その端縁3aが配列端用パネル固定金具150と縦桟122とで挟み付けられることで、縦桟122に固定される。
以上、図1〜図11を参照して説明した太陽電池パネル支持架台1では、まず、図1や図2に示されている設置場所2に複数本の杭110が立設される。その後、各杭110の頭部に第1接続部材131が連結され、その第1接続部材131に第2接続部材132が連結される。この段階では、溝112の凹凸114aにおける軸受部材135の係止位置が、杭110の頭部の高さ等基づいて決められて、その位置に軸受部材135(延いては、第1貫通ボルト133)が取り付けられる。さらに、第1接続部材131における第1貫通ボルト133回りの姿勢の調節や、第2接続部材132における第2貫通ボルト134回りの姿勢の調節が粗く行われる。さらに、第1貫通ボルト133や第2貫通ボルト134へのナット136,137の締結が、第1接続部材131や第2接続部材132の回動が可能な程度に緩めに行われる。
この状態で、横桟121及び縦桟122の設置が行われる。この段階で、第1接続部材131や第2接続部材132の姿勢が、横桟121と縦桟122とで構成される支持部材120に馴染ませられる。これにより、第1接続部材131における第1貫通ボルト133回りの姿勢の調節や、第2接続部材132における第2貫通ボルト134回りの姿勢の調節の精度が高められる。また、上記の精密調整のときには、横桟固定ボルト139へのナット141の締結や、縦桟固定ボルト143へのナット145の締結が適宜に緩められて、横桟121や縦桟122の位置の微調整等も行われる。これらの調節の後に、各ナット136,137,141,145の締結が所定のトルクで行われ、各接続部材131,132が回動不能に固定され、横桟121及び縦桟122も不動の状態に固定される。
そして、上記のように組み上げられた太陽電池パネル支持架台1における縦桟122に複数枚の太陽電池パネル3が、縦桟122の傾斜方向下流側から順次に固定される。このときは、まず、配列端用パネル固定金具150が、縦桟122との間に、太陽電池パネル3の端縁3aの挿入が可能で、且つ、当接リブ150aへの端縁3aの当接が可能な程度の空間が開くようにナット149が緩めに締結されて仮止めされる。太陽電池パネル3の端縁3aの挿入の後に、ナット149が所定のトルクで締結される。その後、太陽電池パネル3における反対側の端縁を、縦桟122との間に挟むように中間用パネル固定金具146が仮止めされる。そして、中間用パネル固定金具146と縦桟122との間に、上流側の太陽電池パネル3の端縁3aが挿入され、その挿入後に、ナット149が所定のトルクで締結される。以後、このような作業が繰り返されて、太陽電池パネル支持架台1の縦桟122に太陽電池パネル3が順次に固定されることとなる。
以上に説明した太陽電池パネル支持架台1によれば、第1接続部材131の、杭110の長さ方向の位置決めにより、杭110の高さのバラつきを吸収して、第2接続部材132の高さを所望の高さに調節することができる。また、第1軸としての第1貫通ボルト133回りの第1接続部材131の回動と、第2軸としての第2貫通ボルト134回りの第2接続部材132の回動と、によって、第2接続部材132の姿勢を2軸調節することができる。この2軸調節により、杭110の傾きを吸収して、第2接続部材132の、横桟121に対する姿勢を所望の姿勢に調節することができる。このように、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1によれば、横桟121が固定される第2接続部材132の高さや姿勢を調節することができることから、設置場所2の形状や施工誤差によらず、太陽電池パネル3を安定して支持することができる。
また、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1によれば、第1貫通ボルト133を軸支する軸受部材135が、杭110の頭部における第1長孔113の縁に沿って杭110の長さ方向(Z方向)に配列された凹凸114aに係止するように構成されている。この軸受部材135の、凹凸114aにおける係止位置を調節するという簡単な作業により、第1貫通ボルト133の杭110の長さ方向(Z方向)の位置決め、即ち、第1接続部材131の杭110の長さ方向(Z方向)の位置決めを行うことができる。また、軸受部材135が凹凸114aに係止することから、杭110の頭部と第1接続部材131との連結部における、杭110の長さ方向(Z方向)の荷重に対する強度が増しており、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1は、この点においても好適である。
また、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1によれば、軸受部材135が杭110の溝112に嵌め込まれるとともに、その外側縁135aが、溝112の内壁114に形成された凹凸114aに係止する係止形状に形成されている。これにより、杭110からの軸受部材135の突出量が抑えられることから、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1は、外観の点において好適なものとなっている。
また、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1によれば、杭110の溝112の断面の形状がテーパ形状を有し、軸受部材135の断面の形状が、そのテーパ形状に合致するようなテーパ形状を有している。これにより、溝112に軸受部材135を嵌め込み易いことから作業性が向上している。このように、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1は、溝112への軸受部材135の嵌め込みにおける作業性の点で一層好適なものとなっている。
また、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1によれば、第2接続部材132が、第1貫通ボルト133に沿う方向に延びる第2長孔131c−3を貫通するように第1接続部材131に軸支される第2貫通ボルト134を介して第1接続部材131に連結されている。これにより、第2接続部材132について、第1接続部材131に対する上述した2軸の調整に加え、第1貫通ボルト133に沿う方向への位置調整も可能となる。このように、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1は、第2接続部材132について調整の自由度が増しており好適なものとなっている。
また、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1によれば、横桟121の第2接続部材132への固定が、横桟121の一部(フランジ121a)を第2接続部材132との間に挟む横桟固定金具138を第2接続部材132に固定することで行われる。また、縦桟122の横桟121への固定も、縦桟122の一部(フランジ122a)を横桟121との間に挟む縦桟固定金具142を横桟121に固定することで行われる。そして、太陽電池パネル3の縦桟122への固定も、太陽電池パネル3の端縁3aを縦桟122との間に挟む中間用パネル固定金具146や配列端用パネル固定金具150を縦桟122に固定することで行われる。このような固定構造は、各固定金具138,142,146,150の固定を緩めた状態での横桟121や縦桟122の位置の微調整や、太陽電池パネル3の位置の微調整を行うことができるので好適なものとなっている。
また、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1によれば、横桟固定金具138の第2接続部材132への固定が、回転が規制された横桟固定ボルト139へのナット141の締結により行われる。また、縦桟固定金具142の横桟121への固定が、回転が規制された縦桟固定ボルト143へのナット145の締結により行われる。また、中間用パネル固定金具146や配列端用パネル固定金具150の縦桟122への固定も、回転が規制されたパネル固定ボルト147へのナット149の締結により行われる。回転が規制された各ボルト139,143,146,147へのナット141,145,149の締結は、容易に行うことができることから、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1は、作業性の点で好適なものとなっている。
また、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1によれば、例えば、ナット149を緩めて太陽電池パネル3の位置の微調整を行うこともできる。このようなときには、コイルバネ148の付勢により、中間用パネル固定金具146や配列端用パネル固定金具150が縦桟122から離される。このため、各固定金具146,150が微調整の邪魔にならないので作業性が向上している。このように、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1は、作業性の点で一層好適なものとなっている。
また、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1によれば、第2接続部材132の姿勢についての2軸調節を粗く行っておき、その後に、この調節の精度を高める、といった2段階の作業が可能となっている。調節の精度を高める作業は、例えば次のような手順で行われる。まず、上記の第2接続部材132に支持部材120の横桟121を載せて太陽電池パネル支持架台1の仮組みが行われる。そして、太陽電池パネル支持架台1の各所に軽く衝撃等を与えて、第2接続部材132の姿勢を支持部材120に馴染ませることで、調節の精度が高められる。このとき、支持部材120の横桟121が載る載置面132c−1が平坦であることから、第2接続部材132の姿勢を支持部材120に高精度に馴染ませることができる。このように、本実施形態の太陽電池パネル支持架台1は、第2接続部材132に対する調節の精度の点において好適なものとなっている。
次に、本発明の第2実施形態にかかる太陽電池パネル支持架台を図12〜図14を参照して説明する。第2実施形態は、上述した第1実施形態とは、杭の頭部に連結される接続手段及びその周辺構成が異なっている。一方、太陽電池パネル支持架台の概略構成等は、第1実施形態と同等である。以下では、第2実施形態について、第1実施形態との相違点に注目して説明する。
図12は、第2実施形態にかかる太陽電池パネル支持架台を、杭の頭部に連結される接続手段に注目して示す図である。また、図13は、図12に示されている太陽電池パネル支持架台を、図12中の矢印V21方向に見た側面図である。これらの図12及び図13には、第1実施形態と同様のX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。また、後で参照する図14にも、同様のX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。
第2実施形態の太陽電池パネル支持架台5における接続手段230は、金属製の第1接続部材231と金属製の第2接続部材232とを備えている。第1接続部材231は、杭210の頭部に、杭210の長さ方向(Z方向)について位置決め可能で、且つ、杭210と交差する第1軸としての第1貫通ボルト233回りに回動可能に連結される。第2接続部材232は、第1接続部材231に、第1貫通ボルト233と交差する第2軸としての第2貫通ボルト234の回りに回動可能に連結されるとともに、支持部材220における横桟221が固定される。
図14は、図12に示されている杭の頭部を示す図である。図14(A)には、杭210の上面図が示されており、図14(B)には、杭210の頭部を、図14(A)中の矢印V22方向から見た図が示されている。尚、図12は、杭210について、図14(A)中の矢印V23方向から見た図となっている。
本実施形態の杭210は、図5を参照して説明した第1実施形態の杭110と略同等な形状を有し、その断面がC字状で開口210aが広口に形成されている。ここで、この杭210の頭部における一対の側壁211それぞれには、第1実施形態の杭110のような溝は設けられておらず、平面視で、杭210の長さ方向(Z方向)に延びる長方形状の第1長孔212が設けられている。第1長孔212は、互いに対向している。さらに、各第1長孔における杭210の長さ方向(Z方向)に沿った一対の内縁213それぞれに、この内縁213の長さいっぱいに亘って、その長さ方向(Z方向)に配列された鋸歯状の凹凸213aが形成されている。また、第1長孔212は、杭210の長さ方向(Z方向)と直交する断面の形状が、その中途までは、杭210の内側へ向かうほどに一対の内縁213の相互間隔が狭まるテーパ形状を有している。
第1接続部材231は、上記の第1貫通ボルト233と、一対の軸受部材235とを介して杭210の頭部に連結される。軸受部材235は、凹凸213aにおける杭210の長さ方向(Z方向)の何れかの位置に係止するとともに、その位置において、第1貫通ボルト233が第1長孔212を貫通するように第1貫通ボルト233を回動可能に軸支する。
軸受部材235は、図6を参照して説明した第1実施形態の軸受部材135と略同等な部材である。軸受部材235は、杭210の長さ方向(Z方向)について第1長孔212の長さよりは短く形成され、第1長孔212に嵌め込まれる矩形板形状を有している。そして、第1長孔212における一対の内縁213に接する一対の外側縁235aそれぞれが、上記の凹凸213aに係止する鋸歯状の係止形状に形成されている。また、軸受部材235の中央には、第1貫通ボルト233が回動自在に貫通する貫通孔235bが設けられている。また、軸受部材235は、杭210の長さ方向(Z方向)と直交する断面の形状が、第1長孔212の断面形状に応じたテーパ形状を有している。
軸受部材235は、係止形状の外側縁235aを第1長孔212の内縁213の凹凸213aにおける杭210の長さ方向(Z方向)の何れかの位置に係止するように嵌め込まれる。この嵌め込みにより、軸受部材235は、杭210の長さ方向(Z方向)の位置が決まる。また、一対の軸受部材235は、互いに対向するように第1長孔212に嵌め込まれる。これにより、第1貫通ボルト233が、杭210の長さ方向(Z方向)について位置決めされた状態で、軸受部材235の貫通孔235b及び第1長孔212を通ることとなる。
第1接続部材231は、図6を参照して説明した第1実施形態の第1接続部材131と略同等な部材であり、筒部231a、一対の腕板231b、及び、第2接続部材232との連結部231c、を備えている。筒部231aには、第1貫通ボルト233が回動自在に貫通する。この第1貫通ボルト233の先端に、ナット236が所定トルクで締結されると、第1接続部材231が回動不能に固定される。
筒部231aの外周面からは、一対の腕板231bが、上方に延出しており、この腕板231bに支えられて、第1貫通ボルト233回りの回動端側に、第2接続部材232との連結部231cが設けられている。連結部231cは、底板231c−1と、一対の側板231c−2と、を備えている。一対の側板231c−2それぞれに、第2貫通ボルト234が通る貫通孔231c−3が、互いに対向する位置に設けられている。
第2接続部材232は、一対の貫通孔231c−3を貫通するように第1接続部材231に軸支される第2貫通ボルト234を介して、この第1接続部材231に連結される。
第2接続部材232は、2つの四角筒が並んだ多穴管形状を有している。そして、その下壁の略中央に第2貫通ボルト234が回動自在に貫通する筒部232aが設けられている。この第2貫通ボルト234の先端にナット237が所定トルクで締結されると、第2接続部材232が回動不能に固定される。
第2接続部材232の上面に、横桟221の載置面232bが形成されている。そして、この載置面232bを、挟んだ位置に、横桟221の固定構造が一対設けられている。本実施形態における横桟221の固定構造は、図8を参照して説明した第1実施形態における横桟121の固定構造と略同等である。即ち、この固定構造は、横桟221の下側の左右の角から張り出して先端が上方に折れ曲がったフランジ221aを、第2接続部材232と横桟固定金具238とで挟み、横桟固定ボルト239とナット241とで締結する構造となっている。ただし、本実施形態では、横桟固定ボルト239は、ボルト頭部239aが直方体形状を有する単純な四角ボルトとなっている。横桟固定ボルト239のボルト頭部239aは、載置面232bに隣接して形成された支持溝232cに嵌め込まれて支持されている。ボルト頭部239aの側面が、支持溝232cの内壁面に当接することで横桟固定ボルト239が回り止めされた状態となる。また、本実施形態では、横桟固定ボルト239は、そのボルト頭部239aが、支持溝232cの長さ方向一端側から嵌め込まれて所望の位置までスライドされて用いられる。
このように第2接続部材232に固定される横桟221に、縦桟222が固定される。本実施形態における縦桟222の固定構造は、図9を参照して説明した第1実施形態における縦桟122の固定構造と略同等である。即ち、この固定構造は、縦桟222の下側の左右の角から張り出して先端が上方に折れ曲がったフランジ222aを、横桟221と縦桟固定金具242とで挟み、縦桟固定ボルト243とナット245とで締結する構造となっている。縦桟固定ボルト243では、ボルト頭部243a側に、図9(C)等に示されているものと同等な回り止めフランジ243cが設けられている。
横桟221の上面には、縦桟固定ボルト243のボルト頭部243aを支持する支持溝221bが形成されている。また、縦桟固定ボルト243には、回り止めフランジ243cが設けられており、縦桟固定ボルト243は、この支持溝221bに、ボルト軸回りの回転が規制された状態でボルト頭部243aが嵌め込まれて支持される。支持溝221bへの縦桟固定ボルト243のボルト頭部243aの取り付け方は、図8や図9に示されている支持溝132c−2,121bへのボルト頭部139a,143aの取り付け方と同じである。
このように横桟221に固定される縦桟222に、太陽電池パネルが固定される。この太陽電池パネルの固定構造については、図10及び図11に示されている太陽電池パネル3の固定構造と同じなので、ここでは図示及び説明を割愛する。
以上に説明した第2実施形態の太陽電池パネル支持架台5によっても、第1実施形態の太陽電池パネル支持架台1と同様に、設置場所の形状や施工誤差によらず、太陽電池パネルを安定して支持できることはいうまでもない。
さらに、第2実施形態の太陽電池パネル支持架台5では、軸受部材235が杭210の第1長孔212に嵌め込まれるとともに、その外側縁235aが、第1長孔212の内縁213に形成された凹凸213aに係止する係止形状に形成されている。これにより、杭210からの軸受部材235の突出量が抑えられることから、第2実施形態の太陽電池パネル支持架台5は、外観の点において好適なものとなっている。
尚、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の太陽電池パネル支持架台の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
例えば、上記の実施形態では、本発明にいう太陽電池パネル支持架台の一例として、太陽電池パネルを固定するための中間用パネル固定金具146や配列端用パネル固定金具150用にバネを備えた太陽電池パネル支持架台1,5が例示されている。しかしながら、本発明にいう太陽電池パネル支持架台は、これに限るものではなく、例えば、支持部材を固定するための固定金具用にもバネを備えたものであってもよい。
また、例えば、上記の実施形態では、本発明にいうバネの一例として、コイルバネ148が例示されている。しかしながら、本発明にいうバネは、これに限るものではなく、上記方向に付勢力を発揮できるものであれば、板バネ等といった他の種類のバネであってもよい。