以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る吸気装置を備えたエンジン1の吸気系及び排気系を含む全体の概略構成を示す。このエンジン1は、車両に横置きに搭載される過給機付き多気筒ガソリンエンジンであって、図2に示すように複数の気筒2(本実施形態では、4つ)が直列に設けられたシリンダブロック3と、このシリンダブロック3上に配設されたシリンダヘッド4とを有している。このエンジン1の各気筒2内には、シリンダヘッド4との間に燃焼室6を区画するピストン5が往復動可能にそれぞれ嵌挿されている。このピストン5の頂面における気筒2の中心軸C(図2〜図5参照)上には、燃焼キャビティ5aが形成されている(詳しくは、図3参照)。ピストン5は、コンロッド7を介して、図1の紙面に垂直な方向(つまり、気筒列方向(図2の左右方向))に延びるクランク軸8と連結されている。エンジン1が車両に搭載された状態では、クランク軸8は、車幅方向に延びることになる。
シリンダブロック3及びシリンダヘッド4は、アルミニウム合金製であって、鋳型により鋳造されたものである。
シリンダヘッド4には、各気筒2毎に2つの吸気ポート12と2つの排気ポート13とが形成されている。シリンダヘッド4における各吸気ポート12の燃焼室6への開口部は、吸気弁14によって開閉され、シリンダヘッド4における各排気ポート13の燃焼室6への開口部は、排気弁15によって開閉される。
各吸気弁14は吸気弁駆動機構16により、各排気弁15は排気弁駆動機構17により、それぞれ駆動される。各吸気弁14及び各排気弁15は、それぞれ吸気弁駆動機構16及び排気弁駆動機構17により所定のタイミングで往復動して、それぞれ各吸気ポート12及び各排気ポート13を開閉し、気筒2内のガス交換を行う。吸気弁駆動機構16及び排気弁駆動機構17は、それぞれ、上記クランク軸8に駆動連結された吸気カムシャフト16a及び排気カムシャフト17aを有し、これらのカムシャフト16a,17aはクランク軸8の回転と同期して回転する。また、吸気弁駆動機構16は、吸気カムシャフト16aの位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な、液圧式又は機械式の位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)を含んで構成されている。
エンジン1には、各気筒2毎に、燃焼室6内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁18と、燃料と吸気(吸入空気)との混合気を点火する点火プラグ19とが設けられている。図1では、便宜上、燃料噴射弁18を、シリンダブロック3の上側(シリンダヘッド4側)端部に設けたように描いているが、実際には、図3に示すように、シリンダヘッド4に設けられており、より詳細には、シリンダヘッド4における各気筒2の2つの吸気ポート12の気筒列方向の略中央に設けられている。燃料噴射弁18は、その燃料噴射口が燃焼室6に臨むように配設されていて、圧縮行程上死点付近で燃焼室6内に燃料を直接噴射するようになっている。
点火プラグ19は、シリンダヘッド4における気筒2の中心軸C上に配設され(図3参照)、点火プラグ19の先端部(電極)は、燃焼室6の天井面近傍に位置している。そして、点火プラグ19は、所望の点火タイミングで火花を発生するようになされており、この火花により、燃焼キャビティ5a内の混合気が爆発燃焼することになる。
シリンダヘッド4の一側(図1では左側)の面には、各気筒2の2つの吸気ポート12に連通するように吸気通路30が接続されている。この吸気通路30の上流端部には、吸気を濾過するエアクリーナ31が配設されており、このエアクリーナ31で濾過した吸気が吸気通路30及び吸気ポート12を介して各気筒2の燃焼室6に吸入される。吸気通路30における下流端近傍には、サージタンク34が配設されている。このサージタンク34よりも下流側の吸気通路30は、各気筒2毎に分岐する独立通路とされ、これら各独立通路の下流端が各気筒2の2つの吸気ポート12にそれぞれ接続されている。
また、吸気通路30におけるエアクリーナ31とサージタンク34との間には、ターボ過給機50のコンプレッサ50aが配設されている。このコンプレッサ50aの作動により吸気の過給を行う。
さらに、吸気通路30におけるターボ過給機50のコンプレッサ50aとサージタンク34との間には、上流側から順に、コンプレッサ50aにより圧縮された空気を冷却するインタークーラ36と、スロットルバルブ37とが配設されている。このスロットルバルブ37は、駆動モータ37aにより駆動されて、該スロットルバルブ37の配設部分における吸気通路30の断面積を変更することによって、上記各気筒2の燃焼室6への吸気量を調節する。
シリンダヘッド4の他側(図1では右側)の面には、各気筒2の燃焼室6からの排気ガスを排出する排気通路40が接続されている。この排気通路40の上流側の部分は、各気筒2毎に分岐して各気筒2の2つの排気ポート13にそれぞれ接続された独立通路と、該各独立通路が集合する集合部とを有する排気マニホールドによって構成されている。この排気マニホールドよりも下流側の排気通路40に、上記ターボ過給機50のタービン50bが配設されている。このタービン50bが排気ガス流により回転し、このタービン50bの回転により、該タービン50bと連結された上記コンプレッサ50aが作動する。尚、ターボ過給機50に代えて、電動過給機により吸気の過給を行うようにしてもよい。また、ターボ過給機50や電動過給機をなくしてもよい。
上記排気通路40には、エンジン1の排気ガスを、タービン50bをバイパスして流すための排気バイパス通路46が設けられている。この排気バイパス通路46の排気ガス流入側の端部には、駆動モータ47aにより駆動されるウエストゲートバルブ47が設けられている。このウエストゲートバルブ47は、エンジン1の運転状態に応じて制御される。ウエストゲートバルブ47が全閉であるときには、排気ガスの全量がタービン50bへと流れ、それ以外の開度であるときには、その開度に応じて、排気バイパス通路46に流れる流量(つまりタービン50bへ流れる流量)が変化する。ウエストゲートバルブ47の全開時においては、ターボ過給機50は実質的に作動しないことになる。
排気通路40におけるタービン50bよりも下流側(排気バイパス通路46の下流側の端部が接続される部分よりも下流側)には、酸化触媒等で構成されて排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化触媒52,53が配設されている。本実施形態では、上流側排気浄化触媒52と下流側排気浄化触媒53との2つの排気浄化触媒が設けられているが、上流側排気浄化触媒52及び下流側排気浄化触媒53のうちのいずれか一方のみが配設されていてもよい。
また、エンジン1は、その排気ガスの一部が排気通路40から吸気通路30に還流されるように、EGR通路60を備えている。このEGR通路60は、排気通路40における排気マニホールドよりも下流側部分と、吸気通路30におけるサージタンク34よりも下流側の各独立通路とを接続する。EGR通路60には、内部を通過する排気ガスを冷却するためのEGRクーラ61と、EGR通路60による排気ガスの還流量を調節するためのEGRバルブ62とが配設されている。
図3は、図2のIII−III線断面図であって、上記気筒2の中心軸Cを含むクランク軸8に垂直な平面(以下、第1平面という)に沿って切断した断面図である。図4は、図2のIV−IV線断面図であって、上記第1平面に平行でかつ該第1平面の片側に位置する吸気弁14及び排気弁15の中心軸線L1,L3を含む第2平面に沿って切断した断面図である。図5は、図2のV−V線断面図であって、上記第1平面に平行でかつ該第1平面に対して上記第2平面とは反対側に位置する吸気弁14及び排気弁15の中心軸線L2,L4を含む第3平面に沿って切断した断面図である。尚、図3〜図5では、図1と左右の関係が逆になっており、図3〜図5では、右側(車両前側に相当)に吸気ポート12が位置し、左側(車両後側に相当)に排気ポート13が位置する。
図3に示すように、エンジン1は、車両後側(図3の左側)に向かって下側に僅かに傾斜するようにスラントした状態で車両に搭載される。尚、図3のみ、エンジン1を、そのスラントした状態(気筒2の中心軸Cが上下方向に対して傾斜した状態)で描いており、図4〜図9、図11及び図12では、気筒2の中心軸Cが上下方向に延びている状態で描いている。また、図3に記載の符号3aは、シリンダブロック3のウォータジャケットであり、符号10は、そのウォータジャケット3a内に配設されたウォータジャケットスペーサである。
図2、図4及び図5に示すように、各気筒2毎の2つの吸気ポート12は、気筒2の中心軸C方向から見て、所定方向(本実施形態では、クランク軸8に垂直な方向(図4及び図5の左右方向))の一側から他側にある燃焼室6に向かって延び、かつ、気筒2の中心軸C方向及び上記所定方向に垂直な方向から見て(つまり、クランク軸8方向から見て(図4及び図5で見て))、上記所定方向の上記他側に向かって、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6側に傾斜するように延びていて、シリンダヘッド4の燃焼室6に面する面(燃焼室6の天井面)における上記所定方向の上記一側(図4及び図5の右側)の部分に開口している。
各気筒2毎の上記2つの吸気ポート12は、当該気筒2の中心軸Cを含む所定の平面の両側に位置する。上記所定の平面は、本実施形態では、上記気筒2の中心軸Cを含みかつ上記所定方向に延びる上記第1平面である。各気筒2毎の上記2つの吸気ポート12は、上記第1平面に沿って延びることになる。
各気筒2毎の2つの排気ポート13は、上記所定方向の上記他側から上記一側にある燃焼室6に向かって延び、かつ、クランク軸8方向から見て(図4及び図5で見て)、上記所定方向の上記一側に向かって、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6側に傾斜するように延びていて、シリンダヘッド4の燃焼室6に面する面(燃焼室6の天井面)における上記所定方向の上記他側(図4及び図5の左側)の部分に開口している。
図4及び図5に示すように、シリンダヘッド4における各吸気ポート12の燃焼室6への開口部には、略リング状の吸気バルブシート21が装着固定されている。この吸気バルブシート21の内周面に位置するシール面に、吸気弁14の傘部14aの周縁部近傍に位置するシール面が当接することにより、吸気ポート12が閉状態になる。また、同様に、シリンダヘッド4における各排気ポート13の燃焼室6への開口部には、略リング状の排気バルブシート22が装着固定され、この排気バルブシート22の内周面に位置するシール面に、排気弁15の傘部15aの周縁部近傍に位置するシール面が当接することにより、排気ポート13が閉状態になる。
吸気弁14は、上記傘部14aと、該傘部14aから吸気ポート12のスロート部25(吸気バルブシート21に対して上流側に隣接する部分)を通って燃焼室6とは反対側へと延びる円柱状の軸部14bとを有する。シリンダヘッド4において、クランク軸8方向から見て(図4及び図5で見て)、吸気ポート12のスロート部25の上流側近傍における、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6とは反対側の壁部には、ガイド部材支持部4aが形成されており、このガイド部材支持部4aにガイド部材用孔4bが形成されている。このガイド部材用孔4bに、円筒状の吸気弁ガイド部材71が挿入されて固定されている。吸気弁ガイド部材71の中心部を貫通するガイド孔71aの中心軸線は、クランク軸8方向から見て(図4及び図5で見て)、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6とは反対側に向かって、気筒2の中心軸Cから離れる側へ傾斜している。そして、吸気弁14の軸部14bが、吸気弁ガイド部材71のガイド孔71aに下側から挿通されて、吸気弁駆動機構16が配設されている側(上側)へと延びる。吸気弁14は、吸気弁ガイド部材71のガイド孔71aによって、該ガイド孔71aの中心軸線方向(つまり、吸気弁14の中心軸線方向(図4では中心軸線L1方向、図5では中心軸線L2方向))に移動可能にガイドされることになる。吸気弁14が、吸気弁駆動機構16によって押圧されて下側に移動すると、吸気ポート12が開状態になり(図4及び図5参照)、吸気弁駆動機構16による押圧がなくなると、圧縮コイルスプリング73により上側へ移動して、吸気ポート12が閉状態になる。
排気弁15は、吸気弁14と同様に、上記傘部15aと、該傘部15aから排気ポート13の上流側部分を通って燃焼室6とは反対側へと延びる円柱状の軸部15bとを有する。シリンダヘッド4において、クランク軸8方向から見て(図4及び図5で見て)、排気ポート13における、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6とは反対側の壁部には、ガイド部材支持部4cが形成されており、このガイド部材支持部4cにガイド部材用孔4dが形成されている。このガイド部材用孔4dに、円筒状の排気弁ガイド部材72が挿入されて固定されている。排気弁ガイド部材72の中心部を貫通するガイド孔72aの中心軸線は、クランク軸8方向から見て、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6とは反対側に向かって、気筒2の中心軸Cから離れる側へ傾斜している。そして、排気弁15の軸部15bが、排気弁ガイド部材72のガイド孔72aに下側から挿通されて、排気弁駆動機構17が配設されている側(上側)へと延びる。排気弁15は、排気弁ガイド部材72のガイド孔72aによって、該ガイド孔72aの中心軸線方向(つまり、排気弁15の中心軸線方向(図4では中心軸線L3方向、図5では中心軸線L4方向))に移動可能にガイドされることになる。排気弁15が、排気弁駆動機構17によって押圧されて下側に移動すると、排気ポート13が開状態になり、排気弁駆動機構17による押圧がなくなると、圧縮コイルスプリング74により上側へ移動して、排気ポート13が閉状態になる(図4及び図5参照)。
各気筒2毎の2つの吸気ポート12のうち一方の吸気ポート12(図2で各気筒2の右側の吸気ポート12(図4に記載されている吸気ポート12))は、他方の吸気ポート12(図2で各気筒2の左側の吸気ポート12(図5に記載されている吸気ポート12))に比べて、吸気ポート12のスロート部25の径が小さく、かつ、上記一方の吸気ポート12のみから吸気が燃焼室6に流入したと仮定したときの該燃焼室6における該吸気のタンブル流の強さが、上記他方の吸気ポート12のみから吸気が燃焼室6に流入したと仮定したときの該燃焼室6における該吸気のタンブル流の強さよりも強くなるように形成されている。尚、図2で各気筒2の左側の吸気ポート12を上記一方の吸気ポート12とし、右側の吸気ポート12を上記他方の吸気ポート12としてもよい。
以下、上記2つの吸気ポート12を区別する場合には、上記一方の吸気ポート12を第1の吸気ポート12Aといい、上記他方の吸気ポート12を第2の吸気ポート12Bという。両者を区別する必要がないときには、単に吸気ポート12ということもある。また、第1の吸気ポート12Aのスロート部25を、スロート部25Aといい、第2の吸気ポート12Bのスロート部25を、スロート部25Bという。これらスロート部25A,25Bを区別する必要がないときには、単にスロート部25ということもある。
本実施形態では、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aの径が第2の吸気ポート12Bのスロート部25Bの径よりも小さいだけでなく、気筒2の中心軸C方向及び上記所定方向に垂直な方向から見て(クランク軸8方向から見て)、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6とは反対側(上側)に位置する反燃焼室側壁面(後述の第1加工部82)の形状が、第2の吸気ポート12Bのスロート部25Bにおける、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6とは反対側(上側)に位置する反燃焼室側壁面の形状と異なっており、これにより、第1の吸気ポート12Aからの吸気のタンブル流が、第2の吸気ポート12Bからの吸気のタンブル流よりもかなり強くなる。
ここで、気筒2毎の2つの吸気ポート12は、シリンダヘッド4の鋳造時に、1つの吸気ポート12毎に1つの吸気ポート用中子を用いて形成される。その鋳造の後、気筒2毎の2つの吸気ポート12のスロート部25が、工具(後述の工具91、第1工具92及び第2工具93)により加工される。
第2の吸気ポート12Bのスロート部25Bの加工は、図6に示すように、1つの工具91により行われる。この工具91は、回転工具であって、該工具91の回転中心軸R1と、シリンダヘッド4における当該第2の吸気ポート12Bの燃焼室6への開口部を開閉する吸気弁14の中心軸線L2とを一致させた状態で、その開口部から吸気弁14の中心軸線L2に沿って挿入することで、第2の吸気ポート12Bのスロート部25Bを加工する。この加工により、クランク軸8方向から見て(図5〜図7で見て)、第2の吸気ポート12Bのスロート部25Bにおける、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6側(下側)に位置する燃焼室側壁面に、第2の吸気ポート12Bのスロート部25Bにおける該燃焼室側壁面の近傍を流れる吸気を、シリンダヘッド4における当該第2の吸気ポート12Bの燃焼室6への開口部を開閉する吸気弁14の中心軸線L2へ指向させるエッジ76を形成する。
このエッジ76は、第2の吸気ポート12Bのスロート部25Bを急激に拡径させるようなエッジであって、クランク軸8方向から見て、該スロート部25Bにおける上記燃焼室側壁面が燃焼室6側に急激に折れ曲がった形状をなし、その折れ曲がり角度θ(図7参照)が、例えば80°〜90°とされる。クランク軸8方向から見て、図7に二点鎖線で示すように、折れ曲がりの角度がθ′のように鈍角である折れ曲がりの場合には、スロート部25Bにおける上記燃焼室側壁面の近傍を流れる吸気の一部が、その折れ曲がりに沿うようにして、上記吸気弁14の傘部14aにおける上記所定方向の上記一側の部分に向かおうとする(図7の破線の矢印86′参照)。この吸気の一部の流れは、燃焼室6に生成しようとするタンブル流とは、逆向きの流れとなる。これに対し、クランク軸8方向から見て、上記折れ曲がり角度θが鋭角(上記の角度範囲又はそれ以下)であれば、スロート部25Bにおける上記燃焼室側壁面の近傍を流れる吸気が、上記吸気弁14の傘部14aにおける上記所定方向の上記一側の部分に向かうことなく、上記吸気弁14の中心軸線L2側へ指向することになる(矢印86参照)。これにより、上記エッジ76は、第2の吸気ポート12Bからの吸気のタンブル流を強くする働きを有する。
上記のような1つの工具91によりスロート部25Bを加工すれば、スロート部25Bにおける上記燃焼室側壁面に上記のようなエッジ76を形成することができるが、スロート部25Bにおける上記反燃焼室側壁面も工具91により加工されて、該反燃焼室側壁面には、図5〜図7に示すように、比較的大きな凹部77が形成される。このような凹部77があると、クランク軸8方向から見て、スロート部25Bにおける上記反燃焼室側壁面の近傍を流れる吸気が、その凹部77に沿うように流れ(図7の矢印87参照)、この結果、スロート部25Bから、燃焼室6の上側(シリンダヘッド4側)端部における上記所定方向の上記他側の部分に向けて流れようとする吸気の流れが僅かに下向きに変化する。これにより、上記凹部77は、第2の吸気ポート12Bからの吸気のタンブル流を弱くする働きを有する。この凹部77のタンブル流への影響は、上記エッジ76のタンブル流への影響よりも強く、結果として、第2の吸気ポート12Bからの吸気のタンブル流は、基本的に弱くなる。
これに対し、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aは、図8に示すように、互いに形状が異なる第1及び第2工具92,93により加工される。二点鎖線で示す第1工具92は、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける上記反燃焼室側壁面を加工する回転工具であり、第2工具93は、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6側(下側)に位置する燃焼室側壁面を加工する回転工具であって、該燃焼室側壁面に、第2の吸気ポート12Bのスロート部25Bに形成したエッジ76と同様のエッジ78を形成するための工具である。この第2工具93により形成されたエッジ78により、クランク軸8方向から見て、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける上記燃焼室側壁面の近傍を流れる吸気が、シリンダヘッド4における当該第1の吸気ポート12Aの燃焼室6への開口部を開閉する吸気弁14の中心軸線L1側へ指向する(図9の矢印88参照)。
第2工具93は、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける上記反燃焼室側壁面を加工しないように、クランク軸8方向から見て、第2工具93の回転中心軸R3が、吸気弁14の中心軸線L1に対して、スロート部25Aにおける上記燃焼室側壁面の側にずれており(図8参照)、第2工具93がスロート部25Aにおける上記反燃焼室側壁面に接触しない。そして、第2工具93を、上記吸気弁14の中心軸線L1に対してずらした状態で、該中心軸線L1に沿って移動しながら第1の吸気ポート12Aの燃焼室6への開口部から挿入して、該第2工具93により、該第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける上記燃焼室側壁面を加工する。
上記第1工具92の回転中心軸R2は、本実施形態では、上記吸気弁14の中心軸線L1と一致しており、第1工具92を、その一致状態で、上記吸気弁14の中心軸線L1に沿って移動しながら第1の吸気ポート12Aの燃焼室6への開口部から挿入して、該第1工具92により、該第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける上記反燃焼室側壁面を加工する。尚、クランク軸8方向から見て、第1工具92の回転中心軸R2を、吸気弁14の中心軸線L1に対して、スロート部25Aにおける上記反燃焼室側壁面の側にずらすようにしてもよい。
以下、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおいて第1工具92により加工された上記反燃焼室側壁面を第1加工部82と呼ぶ場合があり、第2工具93により加工された上記燃焼室側壁面を第2加工部83と呼ぶ場合がある。
第2工具93による第2加工部83の加工は、第1工具92による第1加工部82の加工前又は加工後のいずれであってもよい。第1工具92による第1加工部82の加工が先である場合には、第1工具92により第2加工部83とされる部分が多少加工されるが、その後の第2工具93による加工により、第2加工部83が最終的な形状に加工される。第2工具93による第2加工部83の加工が先である場合には、第1工具92により、既に第2工具93により加工された第2加工部83が加工されることはない。
第1工具92による第1加工部82の加工により、クランク軸8方向から見て(図4、図8及び図9で見て)、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける上記反燃焼室側壁面は、シリンダヘッド4における当該第1の吸気ポート12Aの燃焼室6への開口部に装着された吸気バルブシート21のシール面における上記所定方向の上記他側の部分に向かって略真っ直ぐに延びる形状をなす。但し、図4、図8及び図9に示すように、この反燃焼室側壁面には、小さい凹部79が生じる。この凹部79は、第2の吸気ポート12Bのスロート部25Bにおける上記反燃焼室側壁面に生じる凹部77とは異なり、吸気流に影響を与えないような、開口面積が小さくかつ深さが小さい凹部である。したがって、このような凹部79があっても、クランク軸8方向から見て、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける上記反燃焼室側壁面の近傍を流れる吸気は、シリンダヘッド4における当該第1の吸気ポート12Aの燃焼室6への開口部に装着された吸気バルブシート21のシール面における上記所定方向の上記他側の部分(図9の左側の部分)の径方向内側近傍に向かって略真っ直ぐに流れる(図9の矢印89参照)。すなわち、クランク軸8方向から見て、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける反燃焼室側壁面(第1加工部82)が、該第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける該反燃焼室側壁面の近傍を流れる吸気を、シリンダヘッド4における該第1の吸気ポート12Aの燃焼室6への開口部に装着された吸気バルブシート21のシール面における上記所定方向の上記他側の部分の径方向内側近傍に向かって略真っ直ぐに流すような形状をなす。こうして、クランク軸8方向から見て、上記吸気バルブシート21のシール面における上記所定方向の上記他側の部分の径方向内側近傍に流れた吸気は、上記開口部から、燃焼室6の上側端部における上記所定方向の上記他側の部分に向けてスムーズに流れ、その部分から燃焼室6の下側へと流れて、図9で見て反時計回りの強いタンブル流(図11参照)が形成されることになる。
本実施形態では、上記のように、第1の吸気ポート12Aのみから吸気が燃焼室6に流入したと仮定したときの該燃焼室6における該吸気のタンブル流を強くすることで、エンジン1の過給領域でターボ過給機50により過給された吸気が第1及び第2の吸気ポート12A,12Bから燃焼室6に流入したときの該燃焼室6内の吸気流動のタンブル比が所定値以上となるようにしている。上記所定値は、2であることが好ましい。
上記タンブル比は、燃焼室6の重心(該重心の位置は燃焼室6の容積の変化に応じて変化する)を通るクランク軸8に平行な軸回りの吸気の角速度ωを、クランク軸8の角速度ωcで割った値である。上記吸気の角速度ωは、以下のようにして求める。すなわち、吸気行程の開始から圧縮行程の終了までの微少クランク角毎に、燃焼室6内を多数の微少部分に区画して、上記軸回りの該各微少部分の質点(空気)の角運動量Lと、該各微少部分の質点の慣性モーメントIとを求め、その角運動量Lの全微少部分の合計値を全微少クランク角にわたって積算した値を、慣性モーメントIの全微少部分の合計値を全微少クランク角にわたって積算した値で割ることで、上記吸気の角速度ωを求める。
上記のように、気筒2毎の2つの吸気ポート12は、シリンダヘッド4の鋳造時に、1つの吸気ポート12毎に1つの吸気ポート用中子を用いて形成される。この吸気ポート用中子の鋳型内の設置位置には、ばらつきが生じる。この設置位置のばらつき(つまり、吸気ポート12の位置の製造誤差によるばらつき)は、タンブル流の強さに影響を及ぼす。すなわち、上記設置位置のばらつきにより、第1の吸気ポート12A(特にスロート部25A又はその近傍部)の、シリンダヘッド4に対する気筒2の中心軸C方向の位置がばらつき、この位置のばらつきにより、燃焼室6内に流入する吸気流の向きが変化して、タンブル流の強さが変化する。
そこで、本実施形態では、第1工具92による第1加工部82の加工前に、シリンダヘッド4の所定の基準面(本実施形態では、後述の如く、ヘッドカバー取付面4e)と、第1工具92により加工する第1の吸気ポート12Aの長さ方向中間部に設けた所定部位との間の、気筒2の中心軸C方向の距離d(図4参照)を測定する。
シリンダヘッド4の上記所定の基準面は、本実施形態では、シリンダヘッド4の鋳造後に最初に切削加工する、ヘッドカバー取付面4e(燃焼室6とは反対側の端面)とする。ヘッドカバー取付面4eは、気筒2の中心軸Cに対して垂直な平面である。上記所定の基準面は、シリンダヘッド4のどこであってもよいが、切削加工されかつ気筒2の中心軸Cに対して垂直な平面であることが好ましい。このような平面に該当する、シリンダヘッド4におけるシリンダブロック3との合わせ面100(図13参照)を、上記所定の基準面とすることも可能であり、後に詳細に説明するように、素材基準面101(図13参照)を、上記所定の基準面としてもよい。
上記所定部位としては、シリンダヘッド4において第1の吸気ポート12Aのスロート部25A若しくはその近傍の壁面を構成する壁部又はその壁部の近傍部であることが好ましい。本実施形態では、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aの上流側近傍における、気筒2の中心軸C方向の燃焼室6とは反対側の壁部に形成されたガイド部材支持部4aの燃焼室6側の端面を、上記所定部位とする。この所定部位は、鋳造直後においては、上記距離dを測定し易いように、上記所定の基準面(ヘッドカバー取付面4e)と略平行である(図4の破線参照)。そして、上記距離dの測定後に、切削加工により、吸気弁14の軸部14bに対して垂直な面とされる。
上記距離dを測定した第1の吸気ポート12Aについての上記距離dの測定結果に基づいて、当該第1吸気ポート12Aのスロート部25Aの第1加工部82における第1工具挿入方向の加工深さを調整する。すなわち、第1加工部82の第1工具挿入方向の加工深さが、上記距離dに基づいて調整された深さとされる。具体的には、図10に示すように、上記距離dが小さいほど、上記加工深さを大きくする。すなわち、上記距離dが小さいということは、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aが、シリンダヘッド4において燃焼室6から遠い側に位置するので、第1工具92をより深く挿入して加工深さを大きくする。
ここで、上記距離dがそのばらつきの下限(最小値)にある場合に、上記調整を行った場合と、上記調整を行わなかった場合との、第1の吸気ポート12Aから燃焼室6に流入した吸気の流れを解析した結果を、それぞれ図11及び図12に示す。これらの図において、矢印の濃さが濃いほど、吸気流の流速が速いことを示す。
上記調整を行わなかった場合(図12参照)には、吸気流が、上記調整を行った場合よりも燃焼室の上側に流れすぎて、これにより、吸気流が燃焼室6における上記所定方向の上記他側の側壁(図12の左側の側壁)に当接して、タンブル流が形成され難くなる。これに対し、上記調整を行った場合(図11参照)には、吸気流が燃焼室6の上側端部における適切な位置に流れて、燃焼室6における上記所定方向の上記他側の側壁に当接する前に下側に向かい、これにより、強いタンブル流が形成されるようになる。したがって、上記調整により、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける上記反燃焼室側壁面を、上記距離dに応じて適切な形状に加工して、吸気ポート用中子の鋳型内の設置位置のばらつきに関係なく、安定した強いタンブル流が得られるようにすることができる。
本実施形態では、各気筒2毎に、第1の吸気ポート12Aについての上記距離dを測定し、その距離dに基づいて、当該第1の吸気ポート12Aの第1加工部82における第1工具挿入方向の加工深さを調整する。一方、第1の吸気ポート12Aの第2加工部83における第2工具挿入方向の加工深さ、及び、第2の吸気ポート12Bの、工具91により加工される部分(スロート部25Bの周方向の全周)である全周加工部81における工具挿入方向の加工深さは、調整されない。
尚、各気筒2毎に、第1の吸気ポート12Aについての上記距離dに基づいて、第1の吸気ポート12Aの第2加工部83における第2工具挿入方向の加工深さを調整してもよい。
また、第2の吸気ポート12Bの全周加工部81における工具挿入方向の加工深さを調整するようにしてもよい。その際、第1の吸気ポート12Aについての上記距離dに基づいて、その加工深さを調整してもよい。或いは、第2の吸気ポート12Bについての上記距離dを測定し、その距離dに基づいて、全周加工部81における工具挿入方向の加工深さを調整してもよい。逆に、第2の吸気ポート12Bについての上記距離dに基づいて、第1の吸気ポート12Aの第1加工部82における第1工具挿入方向の加工深さを調整するようにしてもよい。
次に、上記シリンダヘッド4の製造方法を説明する。
最初に、鋳型によりシリンダヘッド4を鋳造する。この鋳造時、各吸気ポート12を、各吸気ポート用中子によりそれぞれ形成するとともに、各排気ポート13を、各排気ポート用中子によりそれぞれ形成する。また、シリンダヘッド4におけるシリンダブロック3との合わせ面100(図13参照)を、金属製の型の成形面により形成する。この合わせ面100には、その金属製の型の成形面により、素材基準面101(図13参照)を複数(図13では、4つ)形成しておく。複数の素材基準面101は、合わせ面100から所定量(数mm程度の小さい値)だけ凹んだ複数の凹部の平坦な底面でそれぞれ構成されていて、気筒2の中心軸Cに対して垂直な1つの平面上に位置する。
上記鋳造により得られたシリンダヘッド4のヘッドカバー取付面4e(燃焼室6とは反対側の端面)を切削加工する。具体的には、上記合わせ面100に形成した上記素材基準面101を基準にして上記ヘッドカバー取付面4eを切削加工する。
続いて、シリンダヘッド4の上記所定の基準面(上記ヘッドカバー取付面4e)と、各気筒2の第1の吸気ポート12Aの長さ方向中間部に設けた所定部位(ガイド部材支持部4aの燃焼室6側の端面)との間の、気筒2の中心軸C方向の距離dを測定する。
次いで、上記のように、第1吸気ポート12Aのスロート部25Aの第1加工部82を第1工具92により加工するとともに、該スロート部25Aの第2加工部83を第2工具93により加工する。第1加工部82の加工の際、第1加工部82の第1工具挿入方向の加工深さを、上記距離dに基づいて調整する。また、第2吸気ポート12Bのスロート部25Bの全周加工部81を、工具91により加工する。
その後、ガイド部材支持部4aの燃焼室6側の端面を、切削加工により、吸気弁14の軸部14bに対して垂直な面となるように切削加工するとともに、ガイド部材支持部4aにガイド部材用孔4bを形成する。また、ガイド部材支持部4cにも、ガイド部材用孔4dを形成する。
続いて、そのガイド部材用孔4bに吸気弁ガイド部材71を挿入するとともに、ガイド部材用孔4dに排気弁ガイド部材72を挿入する。また、吸気ポート12の燃焼室6への開口部に吸気バルブシート21を装着固定するとともに、排気ポート13の燃焼室6への開口部に排気バルブシート22を装着固定する。
次いで、シリンダヘッド4におけるシリンダブロック3との合わせ面100を上記素材基準面101に基づいて切削加工し、こうしてシリンダヘッド4が完成する。尚、その他に加工が必要な箇所の加工は、必要に応じて随時行われる。
尚、本実施形態では、第1加工部82の第1工具挿入方向の加工深さを調整するために、シリンダヘッド4の所定の基準面としてのヘッドカバー取付面4eと、第1工具92により加工する第1の吸気ポート12Aの長さ方向中間部に設けた所定部位(ガイド部材支持部4aの燃焼室6側の端面)との間の、気筒2の中心軸C方向の距離dを測定するようにしたが、これに代えて、シリンダヘッド4におけるシリンダブロック3との合わせ面100に形成される上記素材基準面101(図13参照)を上記所定の基準面として、該所定の基準面としての素材基準面101と、第1工具92により加工する第1の吸気ポート12Aの長さ方向中間部に設けた所定部位(ガイド部材支持部4aの燃焼室6側の端面)との間の、気筒2の中心軸C方向の距離hを測定し、この距離hに基づいて、第1加工部82の第1工具挿入方向の加工深さを調整するようにしてもよい。この場合、上記距離hと第1加工部82の第1工具挿入方向の加工深さとの関係は、図14のようになる。すなわち、上記距離hが大きいということは、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aが、シリンダヘッド4において燃焼室6から遠い側に位置するので、第1工具92をより深く挿入して加工深さを大きくする。ヘッドカバー取付面4eを切削加工する際の加工公差のばらつきが大きい場合には、上記距離hに基づいて上記加工深さを調整することで、上記ばらつきの影響を少なくすることができて好ましい。
ここで、図13において、105は、燃料噴射弁18を設置するための孔であり、106は、点火プラグ19を設置するための孔であり、107は、シリンダブロック3のウォータジャケット3aと、シリンダヘッド4のウォータジャケットとを連通する連通孔である。
したがって、本実施形態では、気筒2毎の2つの吸気ポート12うち第1の吸気ポート12Aが、第2の吸気ポート12Bに比べて、吸気ポート12のスロート部25の径が小さく、かつ、第1の吸気ポート12Aのみから吸気が燃焼室6に流入したと仮定したときの該燃焼室6における該吸気のタンブル流の強さが、第2の吸気ポート12Bのみから吸気が燃焼室6に流入したと仮定したときの該燃焼室6における該吸気のタンブル流の強さよりも強くなるように形成されているので、2つの吸気ポート12から吸気が燃焼室6に流入したときにおいて、第1の吸気ポート12Aから燃焼室6に流入した吸気の強いタンブル流が、第2の吸気ポート12Bから燃焼室6に流入した吸気の弱いタンブル流の側へ流れ易くなり、これにより、両方の吸気のミキシング性が向上して、燃料とそれら吸気とのミキシング性も向上する。
すなわち、上記両方の吸気のタンブル流の強さが略同じである場合、第1の吸気ポート12Aから燃焼室6に流入した吸気と、第2の吸気ポート12Bから燃焼室6に流入した吸気とが、上記第1平面の両側で、それぞれ別々に流れ、両方の吸気はミキシングし難くなる。特に上記両方の吸気が過給されて該吸気のタンブル流がかなり強い場合には、両方の吸気のミキシング性はかなり低下する。この結果、ピストン5の頂面における気筒2の中心軸C上に形成された燃焼キャビティ5a内での燃料と吸気とのミキシング性が低下し、これにより、シリンダヘッド4における気筒2の中心軸C上に配設された点火プラグ19により、燃料と吸気との混合気を点火したときの該混合気の燃焼性が低下する。
これに対し、本実施形態では、上記のように2つの吸気ポート12からの吸気のタンブル流の強さを異ならせることで、吸気の強いタンブル流が吸気の弱いタンブル流の側へ流れ易くなり、燃焼キャビティ5a内での燃料と吸気とのミキシング性が向上し、点火プラグ19により混合気を点火したときの該混合気の燃焼性が向上する。
また、第1の吸気ポート12Aのスロート部25Aにおける該スロート部25Aにおける上記反燃焼室側壁面及び上記燃焼室側壁面を、第1の吸気ポート12Aから燃焼室6に流入した吸気の強いタンブル流が得られる形状にすることができ、これにより、2つの吸気ポート12から吸気が燃焼室6に流入したときの該燃焼室6内の吸気流動のタンブル比を高い値(例えば2以上)にすることができる。よって、燃費を向上させることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。