JP2012246885A - 内燃機関のポート - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関のポートを構成する各々の部分がばらつきを有する場合であっても、意図されたポートの特性を出来る限り得ることができる内燃機関のポートを提供する。
【解決手段】ポート31は、内燃機関の燃焼室25の内部と燃焼室25の外部とを連通させる。ポート31は、円錐台の形状の少なくとも一部を有するスロート部31bと、スロート部31bと燃焼室25の内部とを連通させるようにスロート部31bの一の端部に接続されるバルブシート部31aと、スロート部31bと燃焼室25の外部とを連通させるようにスロート部31bの他の端部に接続される通路部31cと、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】ポート31は、内燃機関の燃焼室25の内部と燃焼室25の外部とを連通させる。ポート31は、円錐台の形状の少なくとも一部を有するスロート部31bと、スロート部31bと燃焼室25の内部とを連通させるようにスロート部31bの一の端部に接続されるバルブシート部31aと、スロート部31bと燃焼室25の外部とを連通させるようにスロート部31bの他の端部に接続される通路部31cと、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関のポートに関する。
内燃機関の燃焼室は、一般に、燃焼する前のガス(空気、混合気など)が燃焼室の内部に導入されるように吸気ポートによって燃焼室の外部と連通されるとともに、燃焼した後のガス(排ガス)が燃焼室の外部に放出されるように排気ポートによって燃焼室の外部と連通されている。これらガスの導入および放出の態様は、周知のように、内燃機関の特性に種々の影響を与え得る。なかでも、吸気ポートにつき、従来から、燃焼室の内部へガスを円滑に導入し得るとともに導入されたガスによる旋回流(タンブルなど)を燃焼室の内部において形成し得る吸気ポート、が提案されている。
例えば、従来の吸気ポート(以下、「従来ポート」とも称呼される。)の一つは、スロート部と、スロート部の一端に接続されるバルブシート部と、スロート部の他端に接続される通路部と、を備える。従来ポートのバルブシート部は、複数の環状の面を有する。従来ポートにおいては、これら複数の環状の面が仮想的な湾曲面を構成するとともに、この湾曲面の曲率半径がポートの周方向における位置によって異なる。従来ポートは、この湾曲面の曲率半径を上記位置に応じて適切に設定することにより、燃焼室の内部へ導入されるガスの量を増大させるとともに、燃焼室の内部において形成される旋回流(タンブル)の程度を増大させる(例えば、特許文献1を参照。)。このように、従来から、燃焼室におけるガスの流動を適切に制御することが望まれている。
ところで、内燃機関のポートは、一般に、ポートを構成する各々の部分(例えば、従来ポートにおけるスロート部、バルブシート部および通路部)を順次に個別に形成することによって作成される。例えば、従来ポートにおいては、まず、通路部が形成されるように所定の部材(シリンダヘッドなど)が鋳造される。次いで、スロート部が通路部の端部に形成されるように上記鋳造された部材が切削加工される。その後、バルブシート部がスロート部の端部に形成されるように上記鋳造された部材がさらに切削加工される。これら工程を経て、バルブシート部、スロート部および通路部が接続された従来ポートがが作成される。
しかしながら、ポートを構成する各々の部分は、周知のように、製造上のばらつき(製造の際に生じ得る同一種の部分間における寸法などの差。以下、単に「ばらつき」とも称呼される。)を有する場合がある。このばらつきがポートの特性に与える影響は、ばらつきの程度が十分に小さい場合、燃焼室におけるガスの流動を適切に制御するという観点において無視できる程度に小さいと考えられる。これに対し、ばらつきの程度が相当に大きい場合、意図されたポートの特性が十分に得られず、燃焼室におけるガスの流動が適切に制御されない場合があると考えられる。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、内燃機関のポートを構成する各々の部分がばらつきを有する場合であっても、意図されたポートの特性を出来る限り得ることができる内燃機関のポートを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明による内燃機関のポートは、スロート部と、バルブシート部と、通路部と、を備える。
上記ポートは、内燃機関の燃焼室の内部と前記燃焼室の外部とを連通させる。例えば、ポートは、内燃機関の吸気通路(例えば、インテークマニホールド)と燃焼室との間、または、内燃機関の排気通路(例えば、エキゾーストマニホールド)と燃焼室との間、に設けられ得る。さらに、例えば、ポートは、吸気通路または排気通路の一部として、吸気通路の端部であって吸気通路と燃焼室とが接続される端部、または、排気通路の端部であって排気通路と燃焼室とが接続される端部、に設けられ得る。すなわち、ポートは、吸気通路または排気通路の一部であってもよく、それらとは異なる部分であってもよい。
別の言い方をすると、ポートは、燃焼室の外部から燃焼室の内部へ導入されるガス(例えば、空気、および、空気と燃料との混合気など)、または、燃焼室の内部から燃焼室の外部へ放出されるガス(例えば、排ガス)、が通過する流路の一部を構成し得る。より具体的に述べると、ポートは、それらガスが通過する流路そのもの(空間・空洞)であってもよく、その流路(空間・空洞)を画成する部材であってもよい。
ところで、上記説明から理解されるように、ガスが通過する流路そのものの外周面(すなわち、流路という空間を規定する仮想の面)と、その流路を画成する部材の内周面(すなわち、流路を提供するために部材内部に形成された空間を画成する内周壁面)と、は互いに対応する形状を有するとともに、互いに接触している。そのため、ポートの形状を検討する観点においては、それらは一致すると考えられ得る。そこで、以下、ポートに関して、ガスが通過する流路そのものの外周面および同流路を画成する部材の内周面は、単に「ポートの周面」とも総称される。さらに、スロート部、バルブシート部および通路部(これら部分の詳細は後述される。)に関しても、上記同様、ガスが通過する流路そのものの外周面および同流路を画成する部材の内周面は、単に「スロート部の周面」、「バルブシート部の周面」および「通路部の周面」とも総称される。
上記スロート部は、円錐台の形状(別の言い方をすると、切頭円錐の形状)の少なくとも一部を有する。別の言い方をすると、上記スロート部を構成する空間は、円錐台の形状の空間の少なくとも一部の空間であり得る。スロート部とは、後述されるバルブシート部と通路部との間に存在するとともにそれら双方が接続される部分である。
上述したように、ポートは、流路そのものであってもよく、流路を画成する部材であってもよい。よって、本発明において、「スロート部が円錐台の形状である」とは、(a)流路のうちのスロート部と称呼される部分そのもの(空間・空洞)が円錐台の形状であること、または、(b)流路のうちのスロート部と称呼される部分(空間・空洞)が円錐台の形状であるようにその部分を画成する部材が構成されていること、を表し得る。
さらに、本発明において、スロート部が円錐台の形状の「少なくとも一部」であるとは、(c)スロート部が完全な円錐台(すなわち、円形の底面および上面、ならびに、帯状の側面、によって囲まれる立体)の形状であること、または、(d)スロート部が完全な円錐台からその一部を取り除くことによって得られる形状であること、を表し得る(例えば、図3を参照。)。
なお、スロート部が円錐台の形状の少なくとも一部を「有する」とは、スロート部が上記(a)〜(d)から理解される形状を含むこと(すなわち、スロート部の一部または全部が円錐台の形状であること)を表し得る。よって、例えば、スロート部は、円錐台の形状と他の形状とが組み合わされて得られる形状であってもよい。
上記バルブシート部は、前記スロート部と前記燃焼室の内部とを連通させるように、前記スロート部の一の端部に接続される。別の言い方をすると、バルブシート部は、ポートのうちの燃焼室の内部に面する位置に設けられる。バルブシート部は、上記同様、流路そのものであってもよく、流路を画成する部材であってもよい。なお、周知のように、バルブシート部と所定の部材(例えば、バルブ)とが接触または隔離されることにより、ポートを通過するガスの量が調整され得る。
バルブシート部の形状については、特に制限されない。バルブシート部の形状の詳細は、後述される。
上記通路部は、前記スロート部と前記燃焼室の外部とを連通させるように、前記スロート部の他の端部に接続される。通路部は、上記同様、流路そのものであってもよく、流路を画成する部材であってもよい。
通路部の形状は、特に制限されない。例えば、通路部として、円柱の形状の少なくとも一部を有する部分、および、角柱の形状の少なくとも一部を有する部分などが採用され得る。別の言い方をすると、通路部として、円柱の形状の空間の少なくとも一部の空間によって構成される通路部、および、角柱の形状の空間の少なくとも一部の空間によって構成される通路部などが採用され得る。
以下、スロート部とバルブシート部とが接続される位置は「スロート部およびバルブシート部の接続位置」とも称呼され、スロート部と通路部とが接続される位置は「スロート部および通路部の接続位置」とも称呼される。
上述したように構成される本発明のポートにおいて、ポートを通過するガスの流れ方向は、スロート部およびバルブシート部の接続位置、および、スロート部および通路部の接続位置、において変化する場合がある。例えば、スロート部および通路部の接続位置にてスロート部の周面に対して通路部の周面が特定の角度(以下、「接続角度」とも称呼される。)だけ傾いている場合、ガスが接続位置を通過するとき、それら周面の近傍を流れるガスの流れ方向は、接続角度に応じて(すなわち、スロート部の周面および通路部の周面に沿うように)変化すると考えられる。
そこで、燃焼室におけるガスの流動を適切に制御するためには、ポートを構成する部材(スロート部、バルブシート部および通路部)が「ばらつき」を有する場合であっても、上記接続角度が出来る限り変化しないことが望ましいと考えられる。
ところが、例えば、スロート部が「半球」の形状(別の言い方をすると、「ドーム型」の形状。本発明における「円錐台」の形状とは異なる形状。)を有する場合、その半球の形状の球面の部分に通路部が接続されると、スロート部および通路部の接続角度は、スロート部および通路部の接続位置によって異なると考えられる。これは、スロート部および通路部の接続角度は「接続位置における半球の接平面と、通路部の周面と、によって定義される角度(すなわち、接続位置において半球の接平面と通路部の周面とがそれらの間に形成する角度)」に相当するとともに、「半球の接平面の傾き」は一般に接続位置によって異なるためである。よって、この場合、ポートを構成する部材が「ばらつき」を有すると、ばらつきに起因してスロート部および通路部の接続位置が変化し、接続角度が変化すると考えられる。(例えば、図4を参照。)。
一方、本発明のポートのスロート部は、「円錐台」の形状の少なくとも一部を有する。そのため、例えば、円錐台の形状の側面の部分に通路部が接続されると、スロート部および通路部の接続角度は、スロート部および通路部の接続位置にかかわらず同一であり得ると考えられる。これは、スロート部および通路部の接続角度は「接続位置における円錐台の側面と、通路部の周面と、によって定義される角度(すなわち、接続位置において円錐台の側面と通路部の周面とがそれらの間に形成する角度)」に相当するとともに、「円錐台の側面の傾き」は接続位置が異なっても同接続位置が円錐台の同一の母線上に存在すれば同一であるからである。よって、本発明のポートにおいては、ポートを構成する部材が「ばらつき」を有する場合であっても、ばらつきに起因してスロート部および通路部の接続位置が同一の母線上において変化する限り、接続角度が変化しないと考えられる。さらに、本発明のポートにおいては、スロート部および通路部の接続位置が同一の母線上において変化しない場合、または、通路部の周面の傾きが変化する場合であっても、一般に、上述した半球の形状を有するスロート部に比べ、接続角度が変化することが抑制され得ると考えられる。
さらに、本発明のポートにおいては、スロート部の円錐台の形状の「上面」または「底面」の部分に通路部が接続される場合においても、スロート部の円錐台の形状の上面または側面は平面であるので、半球の形状を有するスロート部に比べ、ポートを構成する部材が「ばらつき」を有する場合に接続角度が変化することが抑制され得ると考えられる。
加えて、上記説明から理解されるように、スロート部およびバルブシート部の接続角度に関しても、上記同様、ポートを構成する部材が「ばらつき」を有する場合であってもその接続角度が変化することが抑制され得ると考えられる。
なお、スロート部の円錐台の形状の側面の部分に通路部が接続されることは、「スロート部と通路部との境界線の少なくとも一部が、スロート部の円錐台の形状の側面上に存在すること」とも表現され得る。
このように、本発明のポートは、ポートを構成する部材(スロート部、バルブシート部および通路部)のばらつきがポートの特性に及ぼす影響が出来る限り小さくなるように(例えば、接続角度が意図されたポートの特性が得られる範囲内の角度に維持されるように)、構成されている。したがって、本発明のポートは、ポートを構成する各々の部材がばらつきを有する場合であっても、意図されたポートの特性を出来る限り得ることができる。
以下、本発明のポートのいくつかの態様が説明される。
まず、本発明のポートの一の態様において、
前記バルブシート部は、3つ以上の環状の面であって、これら環状の面のうちの隣接する2つの面によって定義される角度(すなわち、これら環状の面のうちの隣接する2つの面がそれらの間に形成する角度。以下、「隣接する面の接続角度」とも称呼される。)のそれぞれが同一である環状の面を有する、ように構成され得る(例えば、図7を参照。)。別の言い方をすると、前記バルブシート部を構成する空間が3つ以上の環状の面(例えば、上面の直径と底面の直径とが異なる円筒の形状の面)によって画成されており、これら環状の面のうちの隣接する2つの面によって定義される角度のそれぞれが同一である、ようにこれら環状の面が構成され得る。なお、隣接する面の接続角度は、隣接する2つの面の間の角度とも表現され得る。
前記バルブシート部は、3つ以上の環状の面であって、これら環状の面のうちの隣接する2つの面によって定義される角度(すなわち、これら環状の面のうちの隣接する2つの面がそれらの間に形成する角度。以下、「隣接する面の接続角度」とも称呼される。)のそれぞれが同一である環状の面を有する、ように構成され得る(例えば、図7を参照。)。別の言い方をすると、前記バルブシート部を構成する空間が3つ以上の環状の面(例えば、上面の直径と底面の直径とが異なる円筒の形状の面)によって画成されており、これら環状の面のうちの隣接する2つの面によって定義される角度のそれぞれが同一である、ようにこれら環状の面が構成され得る。なお、隣接する面の接続角度は、隣接する2つの面の間の角度とも表現され得る。
上述したように、バルブシート部は、燃焼室の内部に面する位置に設けられる。そのため、バルブシート部をガスが通過するときの同ガスの状態は、燃焼室におけるガスの流動に影響を与え得ると考えられる。例えば、通路部、スロート部およびバルブシート部をこの順に通過したガスが燃焼室の内部に導入(吸気)されるとき、ガスが燃焼室の内部の所定の方向に円滑に導入されれば、燃焼室の内部に導入されるガスの量が増大されるとともに、燃焼室の内部において旋回流(タンブルなど)が適切に形成され得ると考えられる。
バルブシート部の周面の近傍を流れるガスは、一般に、その周面に沿うように流れると考えられる。ところが、内燃機関におけるガス(例えば、空気、混合気および排ガスなど)は一般に特定の質量および粘性などを有するので、周面の状態(例えば、一の周面と他の周面との間の角度の大きさ、ガスの流れ方向と周面との間の角度の大きさ、および、それら角度の変化率など)が急激に変化すると、ガスが周面に十分に沿うように流れない場合がある。別の言い方をすると、ガスが周面に沿わない方向に向かって(例えば、周面から離れるように)流れる場合がある。以下、ガスが周面に沿わない方向に向かって流れることは、ガスが周面から「剥離する」とも称呼される。
ガスが周面から剥離すると、その剥離したガスによってそのガスの周辺を流れるガスの流れが妨げられるとともに、ガスが周面から剥離した箇所の周辺においてガスが円滑に流れない場合がある。よって、バルブシート部の周面からガスが剥離すると、燃焼室におけるガスの流動が適切に制御されない場合があると考えられる。
そこで、本態様のバルブシート部は、上述した3つ以上の環状の面を有するように構成される。本態様において、隣接する面の接続角度のそれぞれは同一であるので、ガスがバルブシート部を通過するとき、その周面の近傍を流れるガスの流れ方向は、隣接する面の接続位置を通過する毎に同一の角度ずつ変更され得る。そのため、周面の状態が急激に変化する(例えば、隣接する面の接続角度が同一でない)バルブシート部に比べ、ガスがバルブシート部の周面から剥離する可能性が小さいと考えられる。その結果、本態様のポートは、燃焼室におけるガスの流動をより適切に制御し得ると考えられる。
本態様において、隣接する面の接続角度のそれぞれが「同一」であるとは、接続角度のそれぞれが実際に同一であること、または、接続角度のそれぞれが実質的に同一であることを表す。ここで、接続角度のそれぞれが実質的に同一であるとは、接続角度のそれぞれが「バルブシート部の周面からガスが剥離する可能性が燃焼室におけるガスの流動を制御する観点において許容できない程度に大きい」と判断し得るほど不均一でないこと、を表す。
本態様において、前記バルブシート部の前記環状の面は、その幅のそれぞれが同一である、ように構成され得る。別の言い方をすると、前記バルブシート部を構成する空間を画成する環状の面は、その中心軸線方向の長さのそれぞれが同一である、ように構成され得る。
本態様のポートは後述される理由から燃焼室におけるガスの流動をより適切に制御し得ると考えられる。
なお、本態様において、各々の環状の面は、環状の面の幅がその周方向の位置において均一であるように(すなわち、幅が均一な帯が閉じた環であるように)構成され得る。別の言い方をすると、本態様において、各々の環状の面は、その中心軸方向の長さがその周方向の位置において均一であるように構成され得る。
次いで、本発明のポートの他の態様において、
前記バルブシート部は、複数の環状の面であって、該複数の環状の面の幅のそれぞれが同一である複数の環状の面を有する、ように構成され得る。なお、環状の面の「幅」とは、環状の面の周方向に垂直な方向における環状の面の一端と他端との間の距離を表す(例えば、図8を参照。)。
前記バルブシート部は、複数の環状の面であって、該複数の環状の面の幅のそれぞれが同一である複数の環状の面を有する、ように構成され得る。なお、環状の面の「幅」とは、環状の面の周方向に垂直な方向における環状の面の一端と他端との間の距離を表す(例えば、図8を参照。)。
本態様において、複数の環状の面の幅のそれぞれは同一であるので、ガスがバルブシート部を通過するとき、その周面の近傍を流れるガスの流れ方向は、同一の距離(環状の面の幅)を進む毎に変更される。そのため、周面の状態が急激に変化する(例えば、環状の面の幅が同一でない)バルブシート部に比べ、ガスがバルブシート部の周面から剥離する可能性が小さいと考えられる。その結果、本態様のポートは、燃焼室におけるガスの流動をより適切に制御し得ると考えられる。
本態様において、複数の環状の面の幅のそれぞれが「同一」であるとは、複数の環状の面の幅のそれぞれが実際に同一であること、または、複数の環状の面の幅のそれぞれが実質的に同一であることを表す。ここで、複数の環状の面の幅のそれぞれが実質的に同一であるとは、複数の環状の面の幅のそれぞれが「バルブシート部の周面からガスが剥離する可能性が燃焼室におけるガスの流動を制御する観点において許容できない程度に大きい」と判断し得るほど不均一でないこと、を表す。
なお、本態様において、各々の環状の面は、環状の面の幅がその周方向の位置において均一であるように(すなわち、幅が均一な帯が閉じた環であるように)構成され得る。
ところで、上述した各々の態様のバルブシート部において、バルブシート部が有する環状の面の数は、特に制限されない。環状の面の数は、例えば、バルブシート部を形成するためのコスト、バルブシート部に所定のバルブが接触するときのガスの遮断性、および、バルブシート部を形成するときに起こり得るばらつきの程度などを考慮し、定められ得る。
例えば、上記の点を考慮し、前記バルブシート部として、4つの環状の面を有するバルブシート部が採用され得る。別の言い方をすると、前記バルブシート部として、4つの環状の面によって画成される空間によって構成されるバルブシート部が採用され得る。
上記各態様にて述べたように、「バルブシート部」をガスが通過するときの同ガスの状態は、燃焼室におけるガスの流動に影響を与え得ると考えられる。そこで、上記各々の態様において、バルブシート部は、バルブシート部の周面からガスが剥離する可能性が小さくなるように構成されている。
さらに、バルブシート部をガスが通過するときの同ガスの状態に加え、「スロート部」をガスが通過するときの同ガスの状態も、燃焼室におけるガスの流動に影響を与え得ると考えられる。例えば、通路部、スロート部およびバルブシート部をこの順に通過したガスが燃焼室の内部に導入(吸気)されるとき、燃焼室の内部におけるガスの流れ方向は、バルブシート部を通過する前(すなわち、スロート部をガスが通過するとき)のガスの流れ方向にも関連すると考えられる。
そこで、本発明のポートのさらに他の態様において、
前記スロート部をガスが通過するときに前記スロート部の周面に沿って流れるガスの流れ方向が前記スロート部の前記円錐台の形状の母線と平行であるように、前記スロート部と前記通路部とが接続され得る。なお、円錐台の形状の母線とは、円錐台の側面上の線分であって、円錐台の上面の周と底面の周との間を最短距離にて結ぶ線分を表す。
前記スロート部をガスが通過するときに前記スロート部の周面に沿って流れるガスの流れ方向が前記スロート部の前記円錐台の形状の母線と平行であるように、前記スロート部と前記通路部とが接続され得る。なお、円錐台の形状の母線とは、円錐台の側面上の線分であって、円錐台の上面の周と底面の周との間を最短距離にて結ぶ線分を表す。
円錐台の形状の母線は、周知のように、曲線ではない線分である。そのため、スロート部と通路部とが上述したように接続されると、スロート部の周面に沿って流れるガスの流れ方向は、同ガスがスロート部を通過するときに変化しない。換言すると、スロート部の周面に沿って流れるガスは、上記母線の向きに応じた方向に(母線と平行な向きに)流れることになる。
よって、本態様のポートは、スロート部の母線の向きを調整することにより、スロート部をガスが通過するときの同ガスの流れ方向を調整し得る。その結果、本態様のポートは、燃焼室におけるガスの流動をより適切に制御し得ると考えられる。例えば、通路部、スロート部およびバルブシート部をこの順に通過したガスが燃焼室の内部に導入(吸気)される場合、スロート部および通路部の接続位置にて同ガスの剥離が生じないように、同ガスの流れ方向が調整され得る。
なお、上記「ガス」は、例えば、燃焼する前のガス(空気、混合気など)または燃焼した後のガス(排ガス)などを表す。
上記態様のポートの一の具体例として、例えば、
前記スロート部の軸線と前記通路部の軸線とが同一の平面に含まれるように、前記スロート部と前記通路部とが接続され得る。
前記スロート部の軸線と前記通路部の軸線とが同一の平面に含まれるように、前記スロート部と前記通路部とが接続され得る。
上記各態様にて述べたように、「バルブシート部」および「スロート部」をガスが通過するときの同ガスの状態は、燃焼室におけるガスの流動に影響を与え得ると考えられる。さらに、それらに加え、「スロート部および通路部の接続位置」をガスが通過するときの同ガスの状態も、燃焼室におけるガスの流動に影響を与え得ると考えられる。例えば、通路部、スロート部およびバルブシート部をこの順に通過したガスが燃焼室の内部に導入(吸気)されるときスロート部および通路部の接続位置においてガスの流れ方向が急激に変化すると、燃焼室の内部にガスが円滑に導入されない場合があると考えられる。
そこで、本発明のポートのさらに他の態様において、
前記スロート部の前記円錐台の形状の母線が延長された直線の少なくとも一部(以下、「母線の延長線」とも称呼される。)が、前記通路部の周面であって前記通路部と前記スロート部との境界線を含む周面(以下、「接続位置の近傍の周面」とも称呼される。)に含まれるように、前記スロート部と前記通路部とが接続され得る(例えば、図9を参照。)。
前記スロート部の前記円錐台の形状の母線が延長された直線の少なくとも一部(以下、「母線の延長線」とも称呼される。)が、前記通路部の周面であって前記通路部と前記スロート部との境界線を含む周面(以下、「接続位置の近傍の周面」とも称呼される。)に含まれるように、前記スロート部と前記通路部とが接続され得る(例えば、図9を参照。)。
別の言い方をすると、本態様において、母線の延長線上における「スロート部の円錐台の形状の側面」と「接続位置の近傍の周面」との接続角度がゼロ(または180度)であるように、スロート部と通路部とが接続され得る。
スロート部と通路部とが上述したように接続されると、スロート部および通路部の周面であって母線の延長線に対応する周面の近傍を流れるガス(以下、「スロート部通過ガス」とも称呼される。)が通路部およびスロート部の接続位置(上記境界線に相当。)を通過するとき、スロート部通過ガスの流れ方向は変化しない。換言すると、スロート部通過ガスは、通路部およびスロート部を一直線に通過する。
よって、本態様のポートにおいては、スロート部および通路部の接続位置においてスロート部通過ガスの流れ方向が変化するポートに比べ、スロート部通過ガスがポートをより円滑に通過し得る。その結果、本態様のポートは、燃焼室におけるガスの流動をより適切に制御し得ると考えられる。例えば、通路部、スロート部およびバルブシート部をこの順に通過したガスが燃焼室の内部に導入(吸気)される場合、ポートを通過するときのガスのエネルギの損失が低減され、燃焼室の内部において旋回流(タンブルなど)がより適切に形成され得ると考えられる。
以下、本発明による内燃機関のポートの各実施形態(第1実施形態〜第4実施形態)が、図面を参照しながら説明される。
(第1実施形態)
<装置の概要>
図1は、本発明の第1実施形態に係るポート(吸気ポートおよび排気ポート)が内燃機関10に適用されたシステムの概略構成を示している。内燃機関10は、4サイクル火花点火式多気筒(4気筒)機関である。図1は、複数の気筒のうちの一の気筒の断面のみを示している。なお、他の気筒も、この一の気筒と同様の構成を備えている。以下、「内燃機関10」は、単に「機関10」とも称呼される。
<装置の概要>
図1は、本発明の第1実施形態に係るポート(吸気ポートおよび排気ポート)が内燃機関10に適用されたシステムの概略構成を示している。内燃機関10は、4サイクル火花点火式多気筒(4気筒)機関である。図1は、複数の気筒のうちの一の気筒の断面のみを示している。なお、他の気筒も、この一の気筒と同様の構成を備えている。以下、「内燃機関10」は、単に「機関10」とも称呼される。
この機関10は、シリンダブロック部20、シリンダブロック部20の上部に固定されるシリンダヘッド部30、シリンダブロック部20に空気と燃料とが混合されたガス(混合気)を導入するための吸気系統40、シリンダブロック部20から排出されるガス(排ガス)を機関10の外部に放出するための排気系統50、アクセルペダル61、各種のセンサ71〜78、および、電子制御装置80、を備えている。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23、および、クランクシャフト24、を有している。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランクシャフト24に伝達され、これにより同クランクシャフト24が回転するように構成されている。シリンダ21の内周面、ピストン22の上面およびシリンダヘッド部30の下面により、燃焼室25が画成されている。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気バルブ32、吸気バルブ32を駆動するインテークカムシャフト33、燃料を吸気ポート31内に噴射するインジェクタ34、燃焼室25に連通した排気ポート35、排気ポート35を開閉する排気ポート36、排気ポート36を駆動するエキゾーストカムシャフト37、点火プラグ38、および、点火プラグ38に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ39、を有している。
図2は、燃焼室25、吸気ポート31および排気ポート35を含む領域が燃焼室25の軸線に平行な平面によって切断されたときの同燃焼室25、同吸気ポート31および同排気ポート35の断面の概略を示す図である。なお、理解が容易になるように、本実施形態のポートの構成を説明するために必ずしも必要ではない部材(例えば、点火プラグ38など)は、図2に示されていない。
以下、第1実施形態に係るポートのうちの吸気ポート31が、より具体的に説明される。図2に示すように、吸気ポート31は、バルブシート部31a、スロート部31b、および、通路部31cを有する。
なお、本例において、吸気ポート31とは、燃焼室25と後述するインテークマニホールド41との間において混合気が通過する流路そのもの、または、その流路を画成する部材、を表す。
バルブシート部31aは、スロート部31bと燃焼室25の内部とを連通させるように、スロート部31bの一の端部(後述する他の端部よりも燃焼室25に近い端部。以下、「燃焼室側端部」とも称呼される。)に接続されている。一方、通路部31cは、スロート部31bと燃焼室25の外部とを連通させるように、スロート部31bの他の端部(上述した一の端部よりも吸気系統40に近い端部。以下、「吸気側端部」とも称呼される。)に接続されている。スロート部31bは、バルブシート部31aと通路部31cとの間に存在するとともに、バルブシート部31aおよび通路部31cの双方と接続されている。
図3は、吸気ポート31の概略を示す拡大斜視図である。図3に示すように、スロート部31bは、円錐台の形状の一部(以下、便宜上、「円錐台部分」と称呼される。)31b1と、他の形状(本例においては、円柱の形状)の部分31b2と、を有する。円錐台部分31b1は、網掛け部分として示されるように、完全な円錐台からその一部(破線にて示される領域31b3)を取り除くことによって得られる形状を有している。このように、スロート部31bは、「円錐台の形状の少なくとも一部」を有している。
なお、本例において、スロート部31bが円錐台の形状の少なくとも一部を有するとは、混合気が通過する流路のうちのスロート部と称呼される部分が円錐台の形状の少なくとも一部を有すること、または、同部分が円錐台の形状の少なくとも一部を有するように同部分を画成する部材が構成されていること、を表す。
通路部31cは、スロート部31bの円錐台の形状(円錐台部分)31b1の「側面」の部分に接続されている。別の言い方をすると、スロート部31bと通路部31cとの境界線の少なくとも一部(本例においては、全部)が、スロート部31bの円錐台の形状の側面上に存在する。なお、通路部31cは、円柱の形状を有している。
バルブシート部31aは、スロート部31bの他の形状(円柱の形状)の部分31b2に接続されている。なお、バルブシート部31aは、(他の形状の部分31b2を介さずに)円錐台部分31b1の「底面」の部分に接続されてもよい。別の言い方をすると、スロート部31bとバルブシート部31aとの境界線の少なくとも一部が、スロート部31bの円錐台の形状の底面上に存在するように、スロート部31bとバルブシート部31aとが接続されてもよい。
混合気が吸気ポート31を通過して燃焼室25に導入されるとき、混合気は、通路部31c、スロート部31bおよびバルブシート部31aをこの順に通過する(図中の矢印INを参照。)。このように、吸気ポート31は、燃焼室25の外部から燃焼室25の内部へ導入される混合気が通過する流路の一部を構成している。
以下、吸気ポート31に関して、混合気が通過する流路そのものの外周面およびその流路を画成する部材の内周面は、「吸気ポート31の周面」とも称呼される。同様に、バルブシート部31a、スロート部31bおよび通路部31cに関して、以下、混合気が通過する流路そのものの外周面およびその流路を画成する部材の内周面は、「バルブシート部31aの周面」、「スロート部31bの周面」および「通路部31cの周面」とも称呼される。
再び図2を参照すると、排気ポート35は、吸気ポート31と同様の構成(すなわち、スロート部、バルブシート部および通路部)を有する。そこで、排気ポート35の構成についての具体的な説明は、省略される。排ガスが排気ポート35を通過して燃焼室25から放出されるとき、排ガスは、バルブシート部、スロート部および通路部をこの順に通過する(図中の矢印EXを参照。)。なお、本例において、排気ポート35とは、燃焼室25と後述するエキゾーストマニホールド51との間において混合気が通過する流路そのもの、または、その流路を画成する部材、を表す。
上述したように構成された吸気ポート31のバルブシート部31aに吸気バルブ32が接触することによって混合気が通過する通路が遮断され、バルブシート部31aから吸気バルブ32が離れることによって混合気が通過する通路が開放される。すなわち、吸気バルブ32により、吸気ポート31が開閉される。同様に、排気バルブ36により、排気ポート35が開閉される。
再び図1を参照すると、吸気系統40は、上述した吸気ポート31を介してそれぞれの気筒に連通されたインテークマニホールド41、インテークマニホールド41の上流側の集合部に接続された吸気管42、吸気管42の端部に設けられたエアクリーナ43、吸気管42の開口面積(開口断面積)を変更することができるスロットル弁(吸気絞り弁)44、および、指示信号に応じてスロットル弁44を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ44a、を有している。吸気ポート31、インテークマニホールド41および吸気管42により、吸気通路が構成されている。
排気系統50は、上述した排気ポート35を介してそれぞれの気筒に連通されたエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51の下流側の集合部に接続された排気管52、および、排気管52に設けられた排ガス浄化用触媒53、を有している。排気ポート35、エキゾーストマニホールド51および排気管52により、排気通路が構成されている。
再び図1を参照すると、機関10の外部には、機関10に加速要求および要求トルクなどを入力するためのアクセルペダル61が設けられている。アクセルペダル61は、機関10の操作者によって操作される。
機関10は、各種のセンサとして、吸入空気量センサ71、スロットル弁開度センサ72、クランクポジションセンサ73、水温センサ74、空燃比センサ75,76、および、アクセル開度センサ77、を備えている。
これらセンサのうち、クランクポジションセンサ73は、クランクシャフト24の近傍に設けられている。クランクポジションセンサ73は、クランクシャフト24が10°回転する毎に幅の狭いパルスを有する信号を出力するとともに、クランクシャフト24が360°回転する毎に幅の広いパルスを有する信号を出力するように構成されている。これら信号に基づき、クランクシャフト24の単位時間あたりの回転数(以下、単に「機関回転速度NE」とも称呼される。)が取得される。
さらに、機関10は、電子制御装置80を備えている。
電子制御装置80は、CPU81、CPU81が実行するプログラム、テーブル(マップ)および定数などをあらかじめ記憶したROM82、CPU81が必要に応じて一時的にデータを格納するRAM83、電源が投入された状態でデータを格納すると共に格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM84、ならびに、ADコンバータを含むインターフェース85を有する。CPU81、ROM82、RAM83、RAM84およびインターフェース85は、互いにバスで接続されている。
電子制御装置80は、CPU81、CPU81が実行するプログラム、テーブル(マップ)および定数などをあらかじめ記憶したROM82、CPU81が必要に応じて一時的にデータを格納するRAM83、電源が投入された状態でデータを格納すると共に格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM84、ならびに、ADコンバータを含むインターフェース85を有する。CPU81、ROM82、RAM83、RAM84およびインターフェース85は、互いにバスで接続されている。
インターフェース85は、上記各センサと接続され、CPU81にそれらセンサから出力される信号を伝えるように構成されている。さらに、インターフェース85は、インジェクタ34、イグナイタ39およびスロットル弁アクチュエータ44aなどと接続され、CPU81の指示に応じてそれらに指示信号を送るように構成されている。
以上が、本発明の第1実施形態に係るポートが機関10に適用されたシステムの概要である。
以上が、本発明の第1実施形態に係るポートが機関10に適用されたシステムの概要である。
<ばらつきと混合気の流動との関係>
上述したように、吸気ポート31を構成する部材は、ばらつきを有する場合がある。以下、吸気ポート31を構成する部材のばらつきと、吸気ポート31を通過する混合気の流動と、の関係が説明される。
上述したように、吸気ポート31を構成する部材は、ばらつきを有する場合がある。以下、吸気ポート31を構成する部材のばらつきと、吸気ポート31を通過する混合気の流動と、の関係が説明される。
まず、第1実施形態に係る吸気ポート31における上記関係が説明される前に、「参考例」としての吸気ポートにおける上記関係が説明される。図4は、参考例としての吸気ポート91を混合気が通過する様子を示す概略図である。図4に示すように、参考例の吸気ポート91は、スロート部が「楕円体」の形状の一部(別の言い方をすると、「ドーム型」の形状)を有している点において、本発明の第1実施形態に係る吸気ポート31と相違している。
図4における符号Aは、吸気ポート91を構成する部材がばらつきを「有さない」場合における通路部の周面を表す。この場合、通路部の周面Aとスロート部とが接続される位置において、通路部の周面Aとスロート部の接平面(図中の一点鎖線)とによって定義される角度の大きさは、角度αである。
通路部の周面Aの近傍を流れる混合気が吸気ポート91を通過するとき、混合気は、図中の「実線の矢印」に示すように、通路部の周面Aおよびスロート部の周面に沿うように流れると仮定する。
一方、図4における符号Bは、吸気ポート91を構成する部材がばらつきを「有する」場合における通路部の周面Bを表す。具体的に述べると、この場合、通路部の周面とスロート部とが接続される位置が通路部の中心(軸線)にδだけ近づくような(図中の上方向に移動するような)ばらつきが生じている。以下、このばらつきは、「ばらつきδ」とも称呼される。楕円体の接平面の傾きは一般にスロート部と通路部とが接続される位置によって異なるので、この場合、通路部の周面Bとスロート部の接平面(図中の一点鎖線)とによって定義される角度の大きさは、角度αとは異なる角度βであることになる。本例において、角度βは、角度αよりも小さい。
通路部の周面Bの近傍を流れる混合気が吸気ポート91を通過するとき、角度βが角度αよりも小さいので、混合気は、通路部の周面Bおよびスロート部の周面に沿うように流れない場合があると考えられる。例えば、図中の「破線の矢印」に示すように、通路部の周面Bとスロート部が接続される位置において混合気がそれら周面から剥離することに起因し、混合気が、上記「実線の矢印」とは異なる方向に向かって流れる場合がある。
すなわち、吸気ポート91を構成する部材がばらつきを「有さない」場合における吸気ポート91を通過した混合気の流れ方向と、同部材がばらつきを「有する」場合における同混合気の流れ方向と、が異なる場合がある。吸気ポート91を通過した混合気の流れ方向が変化すると、意図された吸気ポートの特性(例えば、図13を参照しながら後述されるタンブル比など)が得られない可能性がある。
これに対し、図5は、本発明の第1実施形態に係る吸気ポート31を混合気が通過する様子を示す模式図である。上記同様、図5における符号Aは吸気ポート31を構成する部材がばらつきを「有さない」場合における通路部の周面を表し、符号Bは同部材が上記同様のばらつきδを「有する」場合における通路部の周面を表す。
円錐台の側面の傾きは、一般に、通路部とスロート部とが接続される位置が同一の母線上において変化する限り、変化しない考えられる。そのため、通路部と周面Aとスロート部の側面とによって定義される角度の大きさ、および、通路部と周面Bとスロート部の側面とによって定義される角度の大きさ、は同一の角度γである。よって、通路部の周面Aの近傍を流れる混合気(図中の実線の矢印)および通路部の周面Bの近傍を流れる混合気(図中の破線の矢印)は、実質的に同一の方向に向かって流れると考えられる。
すなわち、吸気ポート31を構成する部材がばらつきを「有さない」場合における吸気ポート31を通過する混合気の流れ方向と、同部材がばらつきを「有する」場合における同混合気の流れ方向と、が実質的に同一であると考えられる。
このように、本発明の第1実施形態に係る吸気ポート31は、吸気ポート31を構成する部材がばらつきを有する場合であっても、参考例の吸気ポート91に比べ、吸気ポートを通過する混合気の流れ方向がそのばらつきに起因して変化することを抑制し得る。これにより、吸気ポート31は、意図されたポートの特性を出来る限り得ることができる。
以上が、本発明の第1実施形態に係るポートについての説明である。
以上が、本発明の第1実施形態に係るポートについての説明である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るポートが説明される。
次に、本発明の第2実施形態に係るポートが説明される。
<装置の概要>
本発明の第2実施形態に係るポートは、バルブシート部が特定の形態を有する点においてのみ、上述した第1実施形態に係るポートと相違する。そこで、以下、この相違点を中心として、第2実施形態に係るポートが具体的に説明される。なお、以下の図6および図7において、第1実施形態に係るポートを構成する部材と同一の部材には、第1実施形態における部材に付された符号と同一の符号が付されている。
本発明の第2実施形態に係るポートは、バルブシート部が特定の形態を有する点においてのみ、上述した第1実施形態に係るポートと相違する。そこで、以下、この相違点を中心として、第2実施形態に係るポートが具体的に説明される。なお、以下の図6および図7において、第1実施形態に係るポートを構成する部材と同一の部材には、第1実施形態における部材に付された符号と同一の符号が付されている。
図6は、第2実施形態に係るポートである吸気ポート31の概略を示す拡大斜視図である。バルブシート部31aは、第1実施形態に係る吸気ポートと同様、スロート部31bと燃焼室25の内部とを連通させるように、スロート部31bの燃焼室側端部に接続されている。さらに、バルブシート部31aは、網掛け部分として示されるように、複数の(本例においては、4つの)環状の面を有している。これら4つの環状の面のうちの一の面と、その一の面に隣接する他の面と、は接続されている。なお、4つの環状の面のそれぞれは、平面の形状の帯が閉じた環であるように構成されている。
図7は、燃焼室25、吸気ポート31および排気ポート35を含む領域が燃焼室25の軸線に平行な平面によって切断されたときの同燃焼室25、同吸気ポート31および同排気ポート35の断面の概略を示す図である。さらに、図7においては、吸気ポート31のバルブシート部31aと燃焼室25との境界の近傍(図中のC部)の拡大図が示されている。
C部の拡大図に示すように、「4つの環状の面のうちの第1の面31a1と、第1の面31a1に隣接する第2の面31a2と、によって定義される角度」の大きさは、角度θである。さらに、「第2の面31a2と、第2の面31a2に隣接する第3の面31a3と、によって定義される角度」の大きさも、角度θである。加えて、「第3の面31a3と、第3の面31a3に隣接する第4の面31a4と、によって定義される角度」の大きさも、角度θである。すなわち、4つの環状の面のうちの隣接する2つの面によって定義される角度のそれぞれは、同一(角度θ)である。
上述した構成を有する第2実施形態に係る吸気ポート31は、上述した機関10と同様の構成を有する内燃機関(図1を参照。以下、便宜上、「機関10」と称呼される。)に適用される。
<バルブシート部を通過する混合気の流動>
混合気がバルブシート部31aを通過するとき、バルブシート部31aの周面の近傍を流れる混合気の流れ方向は、4つの環状の面の接続位置を通過する毎に同一の角度θずつ変更されると考えられる。そのため、上記角度が同一ではないバルブシート部に比べ、混合気がバルブシート部31aから剥離する可能性が小さいと考えられる。
混合気がバルブシート部31aを通過するとき、バルブシート部31aの周面の近傍を流れる混合気の流れ方向は、4つの環状の面の接続位置を通過する毎に同一の角度θずつ変更されると考えられる。そのため、上記角度が同一ではないバルブシート部に比べ、混合気がバルブシート部31aから剥離する可能性が小さいと考えられる。
したがって、吸気ポート31は、燃焼室25におけるガスの流動をより適切に制御することができる。
なお、4つの環状の面のうちの隣接する2つの面によって定義される角度は、混合気の特性などを考慮して剥離が生じることが抑制され得ると考えられる角度であればよく、特に制限されない。例えば、同角度として、15度が採用され得る。
以上が、本発明の第2実施形態に係るポートについての説明である。
以上が、本発明の第2実施形態に係るポートについての説明である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るポートが説明される。
次に、本発明の第3実施形態に係るポートが説明される。
<装置の概要>
本発明の第3実施形態に係るポートは、バルブシート部が特定の形態を有する点においてのみ、上述した第1実施形態に係るポートと相違する。そこで、以下、この相違点を中心として、第3実施形態に係るポートが具体的に説明される。なお、以下の図8において、第1実施形態に係るポートを構成する部材と同一の部材には、第1実施形態における部材に付された符号と同一の符号が付されている。
本発明の第3実施形態に係るポートは、バルブシート部が特定の形態を有する点においてのみ、上述した第1実施形態に係るポートと相違する。そこで、以下、この相違点を中心として、第3実施形態に係るポートが具体的に説明される。なお、以下の図8において、第1実施形態に係るポートを構成する部材と同一の部材には、第1実施形態における部材に付された符号と同一の符号が付されている。
図8は、燃焼室25、吸気ポート31および排気ポート35を含む領域が燃焼室25の軸線に平行な平面によって切断されたときの同燃焼室25、同吸気ポート31および同排気ポート35の断面の概略を示す図である。さらに、図8においては、吸気ポート31のバルブシート部31aと燃焼室25との境界の近傍(図中のD部)の拡大図が示されている。
吸気ポート31は、上述した第2実施形態に係る吸気ポートと同様、互いに接続された複数の(本例においては、4つの)環状の面を有している。D部の拡大図に示すように、「4つの環状の面のうちの第1の面31a1の幅」の大きさは、幅wである。さらに、「第2の面31a2の幅」の大きさも、幅wである。加えて、「第3の面31a3の幅」の大きさも幅wであり、「第4の面31a4の幅」の大きさも幅wである。すなわち、4つの環状の面の幅のそれぞれは、同一(幅w)である。
上述した構成を有する第3実施形態に係る吸気ポート31は、上述した機関10と同様の構成を有する内燃機関(図1を参照。以下、便宜上、「機関10」と称呼される。)に適用される。
<バルブシート部を通過する混合気の流動>
混合気がバルブシート部31aを通過するとき、バルブシート部31aの周面の近傍を流れる混合気の流れ方向は、同一の距離(幅w)を進む毎に変更されると考えられる。そのため、上記幅が同一ではないバルブシート部に比べ、混合気がバルブシート部31aから剥離する可能性が小さいと考えられる。
混合気がバルブシート部31aを通過するとき、バルブシート部31aの周面の近傍を流れる混合気の流れ方向は、同一の距離(幅w)を進む毎に変更されると考えられる。そのため、上記幅が同一ではないバルブシート部に比べ、混合気がバルブシート部31aから剥離する可能性が小さいと考えられる。
したがって、吸気ポート31は、燃焼室25におけるガスの流動をより適切に制御することができる。
以上が、本発明の第3実施形態に係るポートについての説明である。
以上が、本発明の第3実施形態に係るポートについての説明である。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るポートが説明される。
次に、本発明の第4実施形態に係るポートが説明される。
<装置の概要>
本発明の第4実施形態に係るポートは、スロート部と通路部とが特定の考え方に従って接続される点においてのみ、上述した第1実施形態に係るポートと相違する。そこで、以下、この相違点を中心として、第4実施形態に係るポートが具体的に説明される。なお、以下の図9〜14において、第1実施形態に係るポートを構成する部材と同一の部材には、第1実施形態における部材に付された符号と同一の符号が付されている。
本発明の第4実施形態に係るポートは、スロート部と通路部とが特定の考え方に従って接続される点においてのみ、上述した第1実施形態に係るポートと相違する。そこで、以下、この相違点を中心として、第4実施形態に係るポートが具体的に説明される。なお、以下の図9〜14において、第1実施形態に係るポートを構成する部材と同一の部材には、第1実施形態における部材に付された符号と同一の符号が付されている。
図9は、第4実施形態に係るポートである吸気ポート31の概略を示す拡大斜視図である。通路部31cは、第1実施形態に係る吸気ポートと同様、スロート部31bと燃焼室25の外部とを連通させるように、スロート部31bの吸気側端部に接続されている。
より具体的に述べると、スロート部31bと通路部31cとは、スロート部31bの軸線Eと通路部31cの軸線Fとが同一の平面に含まれるように、接続されている。
さらに、スロート部31bと通路部31cとは、「スロート部31bの円錐台の形状31b1の母線31bgenが延長された直線(以下、「母線の延長線」とも称呼される。)31bextの少なくとも一部」が、「通路部31cの周面であって、通路部31cとスロート部31bとの境界線31bcboを含む周面(以下、「接続位置の近傍の周面」とも称呼される。)31cper」に含まれるように、接続されている。
別の言い方をすると、母線の延長線31bextの上において、スロート部31bの円錐台の形状31b1の側面と、接続位置の近傍の周面31cperと、によって定義される角度がゼロ(または180度)であるように、スロート部31bと通路部31cとが接続されている。
上述した構成を有する第4実施形態に係る吸気ポート31は、上述した機関10と同様の構成を有する内燃機関(図1を参照。以下、便宜上、「機関10」と称呼される。)に適用される。
<燃焼室の内部におけるガスの流動>
以下、吸気ポート31を通過した混合気の燃焼室25の内部における流動が、説明される。
以下、吸気ポート31を通過した混合気の燃焼室25の内部における流動が、説明される。
まず、第4実施形態に係る吸気ポート31における上記流動が説明される前に、「参考例」としての吸気ポートを通過した混合気の燃焼室25の内部における流動が説明される。図10は、「参考例」としての吸気ポート101および排気ポート102が適用された機関10について、燃焼室25、吸気ポート101および排気ポート102を含む領域が燃焼室25の軸線に平行な平面によって切断されたときの同燃焼室25、同吸気ポート101および同排気ポート102の断面の概略を示す図である。なお、図2と同様、本実施形態のポートの構成を説明するために必ずしも必要ではない部材は、図4において表示されていない。
参考例の吸気ポート101は、スロート部101bが「楕円体」の形状の少なくとも一部(別の言い方をすると、「ドーム型」の形状)を有している点においてのみ、本発明の第4実施形態に係る吸気ポート31と相違している。すなわち、参考例におけるバルブシート部101aおよび通路部101cは、本発明の第4実施形態に係る吸気ポート31におけるバルブシート部31aおよび通路部31cと同様の形状を有しており、同吸気ポート91と同様にスロート部101bに接続されている。
図11は、吸気バルブ32が開いており且つ排気バルブ36が閉じているとき(すなわち、吸気行程において)、参考例の吸気ポート101を通過した混合気の燃焼室25の内部における流動の一例を示す概略図である。
図11に示すように、燃焼室25に導入される混合気のうち「吸気ポート101から最も離れた燃焼室25の側面25a(以下、「排気側周面25a」とも称呼される。)に向かって流れる混合気INdir」は、スロート部の周面のうちの排気側周面25aに近い周面101bus(以下、「上側の周面101bus」とも称呼される。)に沿うように流れ、吸気ポート101を通過する。混合気INdirは、図中の実線によって示される。
参考例におけるスロート部は「ドーム型」の形状を有するので、混合気INdirがスロート部を通過するとき、混合気INdirの流れ方向は、スロート部の上側の周面101busに沿うように(図中の吸気バルブ32に向かう方向に。別の言い方をすると、バルブシート部の周面101ausから離れる方向に)変更される。その結果、図11に示すように、混合気INdirが、スロート部の上側の周面101busとバルブシート部の周面101ausとが接続される位置の近傍において吸気ポート101の周面から剥離する場合がある。
一方、燃焼室25に導入される混合気のうち「吸気ポート101に最も近い燃焼室25の周面25b(以下、「吸気側周面25b」とも称呼される。)に向かって流れる混合気INinv」は、通路部の周面101cls、および、スロート部の周面のうちの吸気側周面25bに近い周面101bls(以下、「下側の周面101bls」とも称呼される。)に沿うように流れ、吸気ポート101を通過する。混合気INinvは、図中の破線によって示される。
この混合気INdirは、スロート部の下側の周面101blsと通路部の周面101clsとの接続角度、および、スロート部の下側の周面101blsとバルブシート部の周面101alsとの接続角度が適切であれば、図11に示すように、吸気ポート101の周面から剥離することなく燃焼室25に導入され得る。
このように、参考例の吸気ポート101においては、スロート部の上側の周面101busの近傍を流れる混合気INdirが吸気ポート101の周面から剥離する場合がある。この場合、混合気INdirが適切に燃焼室25に導入されないので、燃焼室25の内部における混合気の流動が適切に制御されない。例えば、タンブル比および燃焼室25に導入される混合気の流量が十分に増大されない(後述される図13も参照。)。
ところで、混合気INdirが吸気ポート101から剥離することを防ぐために、スロート部の上側の周面101busとバルブシート部の周面101ausとが接続される位置の近傍において混合気INdirが吸気ポート101の側面から剥離しない程度に、吸気ポート101が傾けられることが考えられる。例えば、図12に示すように、吸気ポート101の軸線が図11における吸気ポート101の軸線Gに対して角度εだけ傾けられた軸線Hに一致するように、吸気ポート101が傾けられることが考えられる。
上述したように吸気ポート101が傾けられると、排気側周面25aに向かって流れる混合気INdirは、図11に示す場合よりもバルブシート部の周面101ausに近い方向に向かって流れる。そのため、混合気INdirは、吸気ポート101の周面から剥離することなく燃焼室25に導入され得る。
ところが、上述したように吸気ポート101が傾けられると、スロート部の下側の周面101blsと通路部の周面101clsとの接続角度、または、スロート部の下側の周面101blsとバルブシート部の周面101alsとの接続角度、がが変化する。そのため、混合気INinvは、例えば、スロート部の下側の周面101blsとバルブシート部の周面101alsとが接続される位置の近傍において吸気ポート101の周面から剥離する場合がある。
このように、参考例の吸気ポート101が傾けられると、スロート部の上側の周面101busの近傍を流れる混合気INdirが吸気ポート31から剥離することが防がれ得るものの、スロート部の下側の周面101blsの近傍を流れる混合気INinvが吸気ポート101の周面から剥離する場合がある。この場合、上記同様、燃焼室25の内部における混合気の流動が適切に制御されない。
これに対し、図13は、本発明の第4実施形態に係る吸気ポート31を通過した混合気の燃焼室25の内部における流動の一例を示す模式図である。上記同様、本実施形態のポートの構成を説明するために必ずしも必要ではない部材は、図13において表示されていない。
図13に示すように、本発明の吸気ポート31においては、混合気INdirおよび混合気INinvの双方が吸気ポート31から剥離せず、かつ、混合気INdirが燃焼室25の内部において旋回流(タンブル)を形成する。
より具体的に述べると、まず、排気側周面25aに向かって流れる混合気INdirは、吸気ポート31の上側の周面31busに沿うように流れて吸気ポート31を通過する。吸気ポート31においては、上述したように、スロート部31bの軸線Eと通路部31cの軸線Fとが同一の平面に含まれるように、スロート部31bと通路部31cとが接続されている。そのため、スロート部31bを混合気が通過するときにスロート部31bの周面に沿って流れる混合気の流れ方向は、スロート部31bの円錐台の形状の母線31bgenと平行であることになる。
よって、混合気INdirは、上記参考例の場合(スロート部101bを通過するときに混合気の流れ方向が変化する。図11を参照。)とは異なり、スロート部の上側の周面31busとバルブシート部の周面31ausとが接続される位置の近傍において吸気ポート31から剥離することなく、吸気ポート31を通過し得る。
さらに、吸気ポート31においては、スロート部31bの円錐台の形状31b1の母線の延長線31bextの少なくとも一部が通路部31cの接続位置の近傍の周面31cperに含まれるように、スロート部31bと通路部31cとが接続されている(図9を参照。)。そのため、混合気INdirが通路部およびスロート部を通過するとき、混合気INdirの流れ方向は変更されない。
よって、混合気INdirが通路部およびスロート部を通過するときに混合気INdirの流れ方向が変更されないので、上記参考例の場合に比べ、吸気ポート31を通過するときの混合気INdirのエネルギの損失が低減され得ると考えられる。
本例においては、スロート部31bの母線の延長線31bextの向き(図9を参照。図13における吸気ポート31の軸線Fの向きに相当。)は、「混合気INdirによって燃焼室25の内部に形成される旋回流(タンブル)の角速度ωが出来る限り大きい」ように調整されている。例えば、スロート部31bの母線の延長線31bextの向きは、混合気INdirが燃焼室25の排気側周面25aに到達するときの同混合気INdirの流速が出来る限り大きいように(簡便に述べると、排気側周面25aに一直線に向かうように)調整されている。
具体的に述べると、燃焼室25に導入された混合気INdirは、排気バルブ36、排気側周面25a、ピストン22、および、吸気側周面25bにこの順に沿うように流れる。その結果、混合気INdirは、燃焼室25の内部において、燃焼室25の軸線に垂直な軸周りに回転する旋回流(いわゆる、タンブル)を形成する。
ここで、一般に、機関10の機関回転速度NEに対する燃焼室25の内部における旋回流(タンブル)の角速度ωの比(ω/NE)は、「タンブル比」と称呼される。本説明から理解されるように、機関回転速度NEの単位値に対するタンブルの角速度ωが大きいほど(すなわち、燃焼室25の内部に強いタンブルが形成されるほど)、タンブル比の値は大きいことになる。なお、タンブル比の算出方法として、例えば、機関10と同様の構成を備える実験用の機関を用いてあらかじめ行われる測定の結果、または、燃焼室25の内部の混合気の流動を推定するシミュレーションの結果、などに基づいてタンブル比を算出する方法などが採用され得る。
上述したように、本例においては、スロート部31bの母線の延長線31bextの向き(換言すると、燃焼室25に導入される混合気の流れ方向)が調整されることにより、旋回流(タンブル)の角速度ωが増大され得る。したがって、本例の吸気ポート31が採用された機関10は、参考例の吸気ポート101が採用された機関10よりも、タンブル比を増大せしめ得る。
タンブル比が増大された場合、混合気が燃焼する際の火炎伝播がより円滑に進行され、混合気がより効率良く燃焼され得る。その結果、例えば、燃費が向上され得ると考えられる。
さらに、吸気側周面25bに向かって流れる混合気INinvは、通路部の周面31cls、スロート部の下側の周面31bls、および、バルブシート部の周面31alsに沿うように流れて吸気ポート31を通過する。本例の吸気ポート31においては、上述したように、参考例(図12)のように吸気ポートを傾けることなくスロート部の上側の周面31busの近傍を流れる混合気INdirが吸気ポート31から剥離することが防がれ得る。そのため、スロート部の下側の周面31blsと通路部の周面31clsとの接続角度、および、スロート部の下側の周面31blsとバルブシート部の周面31alsとの接続角度を、混合気INdirの剥離が生じない適切な角度に設定し得る。よって、混合気INdirは、吸気ポート31の周面から剥離することなく燃焼室25に導入され得る。
上述したように、本例においては、吸気ポート31を通過する混合気(混合気INdirおよび混合気INdirの双方)が吸気ポート31から剥離することが防がれ得る。したがって、本例の吸気ポート31が採用された機関10は、参考例の吸気ポート31が採用された機関10よりも、燃焼室25に導入される混合気の流量を増大せしめ得る。
燃焼室25に導入される混合気の流量が増大された場合、混合気が燃焼するときに生じるエネルギが増大されるので、機関10の出力が向上され得ると考えられる。
なお、本例においては、燃焼室25に導入される混合気の流れ方向が調整されることによってタンブル比が増大され得るので、タンブル比を増大させるために混合気の流速が高められる(例えば、ポートの口径が小さくされる)必要がない。そのため、混合気の流速が高められることによる混合気の温度の上昇、および、その混合気の温度の上昇に起因するノッキングの増大、が抑制され得る。また、ポートの口径が小さくされることによる混合気の流量の低下、および、混合気の流量の低下に起因する機関10の出力の低下、も抑制され得る。
以上に述べたように、第4実施形態に係る吸気ポート31は、燃焼室25の内部における混合気の流動を適切に制御し得る。これにより、意図されたポートの特性がより確実に得られる。
以上が、本発明の第4実施形態に係るポートについての説明である。
以上が、本発明の第4実施形態に係るポートについての説明である。
ところで、上記説明から理解されるように、第1実施形態に係る吸気ポート31(ばらつきの影響を抑制)と、上述した第2実施形態または第3実施形態に係る吸気ポート31(バルブシート部の形状)と、第4実施形態に係る吸気ポート31(スロート部と通路部との接続についての考え方)と、が組み合わせられると、吸気ポート31を構成する部材のばらつきの影響が抑制されながら、タンブル比および燃焼室25に導入される混合気の流量がさらに向上され得る。例えば、図14におけるタンブル比と流量との関係の概略を示すグラフに示されるように、本発明のポートは、ばらつきがタンブル比および流量に与える影響を参考例(図10を参照。)のポートよりも低減させながら、タンブル比および流量の双方を参考例(図10を参照。)のポートよりも増大させ得ると考えられる。
<実施形態の総括>
以上、説明したように、本発明の各実施形態(第1実施形態〜第4実施形態)に係るポートは、円錐台の形状の少なくとも一部(図3における円錐台部分31b1)を有するスロート部31bと、スロート部31bと燃焼室25の内部とを連通させるようにスロート部31bの一の端部(燃焼室側端部)に接続されるバルブシート部31aと、スロート部31bと燃焼室25の外部とを連通させるようにスロート部31bの他の端部(吸気側端部)に接続される通路部31cと、を備える(例えば、図2および図3を参照。)。
以上、説明したように、本発明の各実施形態(第1実施形態〜第4実施形態)に係るポートは、円錐台の形状の少なくとも一部(図3における円錐台部分31b1)を有するスロート部31bと、スロート部31bと燃焼室25の内部とを連通させるようにスロート部31bの一の端部(燃焼室側端部)に接続されるバルブシート部31aと、スロート部31bと燃焼室25の外部とを連通させるようにスロート部31bの他の端部(吸気側端部)に接続される通路部31cと、を備える(例えば、図2および図3を参照。)。
本発明のポートにおいて、
バルブシート部31aは、3つ以上の環状の面(例えば、4つの環状の面。図6を参照。)であってこれら環状の面のうちの隣接する2つの面によって定義される角度のそれぞれが同一(図7における角度θ)である環状の面を有する、ように構成され得る。
バルブシート部31aは、3つ以上の環状の面(例えば、4つの環状の面。図6を参照。)であってこれら環状の面のうちの隣接する2つの面によって定義される角度のそれぞれが同一(図7における角度θ)である環状の面を有する、ように構成され得る。
さらに、本発明のポートにおいて、
バルブシート部31aは、複数の環状の面(3つ以上の環状の面。例えば、4つの環状の面)であって該複数の環状の面の幅のそれぞれが同一(図8の幅w)である複数の環状の面を有する、ように構成され得る。
バルブシート部31aは、複数の環状の面(3つ以上の環状の面。例えば、4つの環状の面)であって該複数の環状の面の幅のそれぞれが同一(図8の幅w)である複数の環状の面を有する、ように構成され得る。
ところで、本発明のポートにおいて、
バルブシート部31aは、4つの環状の面を有するように構成され得る(図6を参照。)。
バルブシート部31aは、4つの環状の面を有するように構成され得る(図6を参照。)。
さらに、本発明のポートは、
スロート部31bをガスが通過するときにスロート部31bの周面に沿って流れるガスの流れ方向がスロート部31bの円錐台の形状の母線31bgenと平行であるように、スロート部31bと通路部31cとが接続される、ように構成され得る。
スロート部31bをガスが通過するときにスロート部31bの周面に沿って流れるガスの流れ方向がスロート部31bの円錐台の形状の母線31bgenと平行であるように、スロート部31bと通路部31cとが接続される、ように構成され得る。
すなわち、例えば、本発明のポートは、
スロート部31bの軸線Eと通路部31cの軸線Fとが同一の平面に含まれるように、スロート部31bと通路部31cとが接続される、ように構成され得る。
スロート部31bの軸線Eと通路部31cの軸線Fとが同一の平面に含まれるように、スロート部31bと通路部31cとが接続される、ように構成され得る。
さらに、本発明のポートにおいて、
スロート部31bの円錐台の形状31b1の母線31bgenが延長された直線31bextの少なくとも一部が、通路部31cの周面であって通路部31cとスロート部31bとの境界線31bcboを含む周面31cperに含まれるように、スロート部31bと通路部31cとが接続され得る。
スロート部31bの円錐台の形状31b1の母線31bgenが延長された直線31bextの少なくとも一部が、通路部31cの周面であって通路部31cとスロート部31bとの境界線31bcboを含む周面31cperに含まれるように、スロート部31bと通路部31cとが接続され得る。
<その他の態様>
本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、上記各実施形態に係るポートは、火花点火式機関10に適用されている。しかし、本発明のポートは、火花点火式機関以外の機関(例えば、ディーゼル機関)にも適用され得る。
さらに、上記各実施形態においては、本発明のポートが吸気ポート31に適用されている。しかし、本発明のポートは、排気ポートにも適用され得る。
加えて、上記各実施形態においては、吸気ポート31のバルブシート部31aは、4つの環状の面を有している。しかし、バルブシート部の環状の面の数は、バルブシート部を形成するためのコストおよびポートにおけるガスの遮断性などを考慮した適値に設定されればよく、特に制限されない。
さらに、上記各実施形態においては、通路部31cは、円柱の形状を有している。しかし、通路部31cは、角柱の形状、または、楕円柱の形状などを有し得る。
さらに、上記各実施形態においては、スロート部31bは、円錐台の形状の一部31b1を有している。しかし、スロート部は、完全な円錐台の形状を有するように構成され得る。
さらに、上記各実施形態においては、バルブシート部31aを構成する複数の環状の面(31a1〜31a4)は、平面の形状の帯が閉じた環であるように構成されている。しかし、複数の環状の面として、曲面の形状の帯が閉じた環であるように構成され得る。さらに、環状の面として曲面の形状の帯が閉じた環が採用される場合、複数の環状の面の一部または全部によって他の一つの曲面が形成されるように、各々の曲面の曲率半径が設定されてもよい。
10…内燃機関、25…燃焼室、31…吸気ポート、31a…バルブシート部、31b…スロート部、31c…通路部、32…吸気バルブ、35…排気ポート、36…排気バルブ
Claims (8)
- 内燃機関の燃焼室の内部と前記燃焼室の外部とを連通させるためのポートであって、円錐台の形状の少なくとも一部を有するスロート部と、前記スロート部と前記燃焼室の内部とを連通させるように前記スロート部の一の端部に接続されるバルブシート部と、前記スロート部と前記燃焼室の外部とを連通させるように前記スロート部の他の端部に接続される通路部と、を備えた内燃機関のポート。
- 請求項1に記載のポートにおいて、
前記バルブシート部が、3つ以上の環状の面であってこれら環状の面のうちの隣接する2つの面によって定義される角度のそれぞれが同一である環状の面を有する、内燃機関のポート。 - 請求項2に記載のポートにおいて、
前記3つ以上の環状の面の幅のそれぞれが同一である、内燃機関のポート。 - 請求項1に記載のポートにおいて、
前記バルブシート部が、複数の環状の面であって該複数の環状の面の幅のそれぞれが同一である複数の環状の面を有する、内燃機関のポート。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のポートにおいて、
前記バルブシート部が4つの環状の面を有する、内燃機関のポート。 - 請求項1〜請求項5に記載のいずれか一項に記載のポートにおいて、
前記スロート部をガスが通過するときに前記スロート部の周面に沿って流れるガスの流れ方向が前記スロート部の前記円錐台の形状の母線と平行であるように、前記スロート部と前記通路部とが接続される、内燃機関のポート。 - 請求項7に記載のポートにおいて、
前記スロート部の軸線と前記通路部の軸線とが同一の平面に含まれるように、前記スロート部と前記通路部とが接続される、内燃機関のポート。 - 請求項1〜請求項7に記載のポートにおいて、
前記スロート部の前記円錐台の形状の母線が延長された直線の少なくとも一部が、前記通路部の周面であって前記通路部と前記スロート部との境界線を含む周面に含まれるように、前記スロート部と前記通路部とが接続される、内燃機関のポート。
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