JP2016179925A - ガラス製造用の白金構造体、ガラス製造装置、およびガラスの製造方法 - Google Patents

ガラス製造用の白金構造体、ガラス製造装置、およびガラスの製造方法 Download PDF

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翔子 山崎
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Abstract

【課題】ガラスの製造において、白金構造体に接触する溶融ガラス中に気泡が発生するのを抑制する。【解決手段】溶融ガラスと接して使用されるガラス製造用の白金構造体であって、白金または白金合金からなる母材1の、溶融ガラス5と接しない表面の少なくとも一部の表層部分に、酸化されていないアルミニウムを含むアルミニウム含有部2を有し、かつアルミニウム含有部2が存在する領域の母材表面上に酸化アルミニウム層3を有することを特徴とする白金構造体10。【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス製造用の白金構造体、該白金構造体を用いたガラス製造装置およびガラスの製造方法に関する。
ガラス製造においては、たとえば溶融ガラスの清澄槽、撹拌槽、これら槽を繋ぐ導管等のガラス製造装置が、溶融ガラスと接した状態で使用される。
ガラス製造装置の材質には、白金、または白金と他の貴金属(金、ロジウム等)との合金(白金合金)が多用されている。
ガラス製造装置に白金または白金合金が使用される理由としては、これらの物質の融点が高いことに加えて、酸化物を主体とする溶融ガラスに対する反応性が他の耐熱金属に比べて低いことが挙げられる。これにより、ガラス製造装置に起因する介在物の溶融ガラスへの混入または溶融ガラスの不均質化を防止する効果が得られる。
また、白金または白金合金は高温での耐酸化性に優れるため、ガラス製造を、特に雰囲気制御を行う必要のない酸化性雰囲気で実施できることが挙げられる。さらに、ガラス製造装置自体の高温での強度をある程度確保できることも挙げられる。
しかし、ガラスの組成によって、白金または白金合金からなる白金材料に溶融ガラスが接すると、多くの気泡が発生する問題もある。
該気泡は、溶融ガラスに含まれる水分が、白金材料と接触して解離し、またはガラスを介して流れる電流によって誘起される電気分解に基づいて解離し、生成する酸素に起因して形成されるものと考えられている。製造されるガラス製品に該気泡が残留すると、ガラス製品の品質の低下に繋がるおそれがある。
かかる気泡の発生を防止する方法として、特許文献1には、従来の白金材料(白金または白金合金)よりも容易に酸化される金属元素の1種以上を含む白金合金を用いる方法が記載されている(請求項1)。
この方法によれば、白金材料と溶融ガラスとの界面に存在する酸素が、該白金材料中の酸化されやすい金属と反応(酸化還元反応)することにより、溶融ガラス中の酸素が低減し気泡の生成が抑制されると記載されている(段落[0019]等)。
特許文献1において、該酸化されやすい金属として、多数の金属(Sn、Fe、Cu、Ni、Al、Mo、W、C、S、P、Ir、Au)が挙げられている。実施例は白金−ロジウム−スズ(Sn)合金である。
特許文献2には、白金構造体の使用中に白金酸化物が揮散するのを防止する方法として、白金構造体の、溶融ガラスと接触しない領域(例えば坩堝の外側面)に特定の金属元素(Ti、Cr、Fe、Ni)を含む酸化物粉末を接触させながら、非酸化雰囲気中で加熱処理して複合酸化物の層(表面改質層)を形成する方法が記載されている。また、実施例において、かかる表面改質層を設けることにより、白金構造体と接触する溶融ガラス中に気泡が生じるのが抑制されたことも記載されている。
特表2012−505149号公報 特開2009−249215号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、金属元素によっては合金化が難しいなど、実現が困難な場合がある。また特許文献2の方法では、溶融ガラス中の気泡発生を防止する効果が必ずしも十分とは言えない場合があった。
本発明は、ガラスの製造において、白金構造体に接触する溶融ガラス中に気泡が発生するのを抑制することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[6]を要旨とする。
[1] 溶融ガラスと接して使用されるガラス製造用の白金構造体であって、白金または白金合金からなる母材の、溶融ガラスと接しない表面の少なくとも一部の表層部分、酸化されていないアルミニウムを含むアルミニウム含有部を有し、かつ該アルミニウム含有部が存在する領域の母材表面上に酸化アルミニウム層を有することを特徴とする白金構造体。
[2] 前記アルミニウム含有部の厚みが5〜1200μmである、[1]記載の白金構造体。
[3] 前記アルミニウム含有部の厚みが母材に対して5〜40%である、[1]または[2]に記載の白金構造体。
[4] 溶融ガラスと接して使用されるガラス製造用の白金構造体であって、白金または白金合金からなる母材の、溶融ガラスと接しない表面の少なくとも一部に、アルミニウム供給源を接触させた状態で、非酸化性雰囲気中で加熱処理する方法で形成されたアルミニウム含有部を有し、該アルミニウム含有部が存在する領域の母材表面上に酸化アルミニウム層を有する白金構造体。
[5] ガラスの製造に用いられる装置であって、溶融ガラスと接する白金製または白金合金製の部材を有し、該部材の少なくとも一部が[1]〜[4]のいずれか一項に記載の白金構造体である、ガラス製造装置。
[6] [5]に記載のガラス製造装置を用いたガラスの製造方法。
本発明の白金構造体によれば、ガラスの製造において、該白金構造体に接触する溶融ガラス中に気泡が発生するのが抑制される。
本発明のガラス製造装置によれば、白金構造体に接触する溶融ガラス中に気泡が発生するのが抑制される。
本発明のガラスの製造方法によれば、白金構造体に接触する溶融ガラス中に気泡が発生するのが抑制される。
本発明に係る白金構造体の一実施形態を示す概略縦断面図である。 本発明に係る白金構造体の他の実施形態を示す概略縦断面図である。 本発明に係る白金構造体の他の実施形態を示す概略縦断面図である。 本発明に係るガラス製造装置の第1の実施形態を示した模式図である。 本発明に係るガラス製造装置の第2の実施形態を示した模式図である。
≪白金構造体≫
本発明の白金構造体は、ガラスの製造工程において溶融ガラスと接して使用される、ガラス製造用の構造体である。ガラス製造用の構造体としては、例えばガラス原料を溶融させる容器(溶融槽)、溶融ガラスを清澄する容器(清澄槽)、溶融ガラスを撹拌する容器(撹拌槽)、溶融ガラスを搬送する導管、溶融ガラスを成形する装置のセル(桶)やオリフィス、スリット等が挙げられる。
本発明の白金構造体は、母材の内部にアルミニウム含有部を有し、母材の表面上に酸化アルミニウム層(本明細書では外部酸化アルミニウム層ともいう。)を有する。アルミニウム含有部は母材の一部において材質が変化した部分である。
本明細書において母材または白金構造体の厚さ方向とは、母材または白金構造体の外側の表面に対して垂直な方向を意味する。
アルミニウム含有部は、母材の表面(外側の表面および内側の表面)のうち、溶融ガラスと接しない領域の少なくとも一部に設けられる。
本発明において「溶融ガラスと接しない領域」とは、溶融ガラスの液面変動等を考慮して、常に溶融ガラスと接しない領域を意味する。
アルミニウム含有部を溶融ガラスと接しない領域に設けることは以下の点で好ましい。アルミニウム含有部の表面上に形成される酸化アルミニウム層(外部酸化アルミニウム層)が溶融ガラス中へ溶出することを防止できる。白金構造体にアルミニウム含有部を形成する際の作業性がよい。また、白金構造体の使用中に気泡抑制のために消費されて減少した、酸化されていないアルミニウムを、拡散熱処理によって再度供給することが容易になる。
アルミニウム含有部は、溶融ガラスと接しない表面の一部に設けてもよく、全部に設けてもよい。特に、溶融ガラスと接している内側面の裏面である外側面の、少なくとも一部にアルミニウム含有部を設けると、気泡抑制効果が得られやすい点で好ましい。
アルミニウム含有部は、母材の表層部分に設けられる。表層部分とは、表面および該表面に隣接する内部を意味する。母材の厚さ方向において、表層部分は母材の一部である。
図1は、白金構造体の一実施形態を示す概略縦断面図である。本実施形態の白金構造体10は、中空の容器であり、例えばガラス原料を溶融させる溶融槽である。図中符号1は母材、2はアルミニウム含有部、3は外部酸化アルミニウム層、5は溶融ガラスを示す。
本実施形態の白金構造体10において、「母材1の表面の、溶融ガラス5と接しない領域」とは、母材1の外側の表面全体、および母材1の溶融ガラス5と接する側の面(内側の表面)であって、溶融ガラス5の液面(液面が変動する場合は最も高くなる液面、以下同じ。)より高い領域全体を意味する。
<母材>
母材1は白金または白金合金からなる。
本発明において「白金合金」とは、ロジウム、金、イリジウムおよびルテニウムからなる群から選択される少なくとも1種と、白金との合金を意味する。特に、強度を確保しやすい、耐酸化性が高い、溶融ガラスと反応し難い、溶融ガラス中に溶出し難いなどの点で白金とロジウムの合金(以下、白金−ロジウム合金ともいう。)が好ましい。
白金合金に含まれる白金の割合は、75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。白金の割合が75質量%以上であると、母材1の高温での耐熱性および耐酸化性が特に優れる。
本実施形態の白金構造体10は、母材1の外側面であって、底面から溶融ガラス5の液面よりも高い位置までの側面全体の表層部分と、底面全体の表層部分にアルミニウム含有部2が設けられている。
製造直後の白金構造体10は、厚さ方向においてアルミニウム含有部2と内側の表面との間にはアルミニウムを含有しない層が存在する。
<アルミニウム含有部>
アルミニウム含有部2は、母材1に含まれる成分の他に、酸化されていないアルミニウムを含有する。アルミニウム含有部2は、表面に近いほど、アルミニウム含有量が高い。
アルミニウム含有部2が、母材1に含まれる成分の他に、酸化されたアルミニウムと酸化されていないアルミニウムを含有してもよい。アルミニウム含有部2が酸化されたアルミニウムと酸化されていないアルミニウムを含有するとは、SEM−EDS法(検出限界0.1%)で定性分析を行ったときに、母材内部にAl(アルミニウム)およびO(酸素原子)の両方が検出される領域と、Alが検出されOが検出されない領域とが存在することを意味する。
本発明におけるアルミニウム含有部2の厚みとは、母材1の厚さ方向において、上記SEM−EDS法によりアルミニウムが検出される範囲の厚みをいう。
アルミニウム含有部2の厚みの値は、製造直後(使用前)において、5〜1200μmであることが好ましく、15〜1000μmであることがより好ましく、40〜320μmであることがさらに好ましい。またはアルミニウム含有部2の厚みの割合が、製造直後(使用前)において、母材の厚みに対して5〜40%であることが好ましく、10〜30%であることがより好ましく、15〜25%であることがさらに好ましい。上記厚みの値または厚みの割合のいずれか一方を満たすことが好ましく、両方を満たすことがより好ましい。
アルミニウム含有部2の厚みが上記範囲の下限値以上であると、アルミニウムが母材1の内部を通過するのが容易になり、母材1と溶融ガラスとが接触する表面へアルミニウムが十分に供給される。上限値以下であるとアルミニウム含有部2の形成時間が効率化できる。
なお、アルミニウム含有部2の厚みが一定でない場合は、最も厚い部分が前記範囲であればよい。
このように母材1の、溶融ガラスを接触しない表面の表層部分にアルミニウム含有部2を設けると、後述の実施例に示されるように、該母材1に接触する溶融ガラス中における気泡の発生が抑制される。
これは、アルミニウム含有部2内の、酸化されていないアルミニウムが、母材1を通過し、溶融ガラス5中の酸素と結合して、該酸素が気泡となるのを抑制しているためと推定される。したがって、アルミニウム含有部2内のアルミニウムは経時的に消費されて減少し、溶融ガラス5中の酸化アルミニウムの量は僅かに増える。溶融ガラス5には、一般的に、ガラス成分として酸化アルミニウムが含まれているため、アルミニウム含有部2に由来する酸化アルミニウムが微量生成する程度は差し支えない。
(外部酸化アルミニウム層)
本実施形態の白金構造体10は、母材1の表面のうち、アルミニウム含有部2が存在する領域の表面上に外部酸化アルミニウム層3を有する。すなわちアルミニウム含有部2に隣接して酸化アルミニウム層(本明細書では外部酸化アルミニウム層という。)3が存在している。
例えば後述の、母材1の表面にアルミニウム供給源を接触させた状態で、非酸化性雰囲気で加熱処理する方法でアルミニウム含有部2を形成すると、母材1の、アルミニウム供給源と接触していた表面上に酸化アルミニウムの皮膜が形成される。この酸化アルミニウムの皮膜を除去せずに、母材1の表面上に残しておくことで、アルミニウム含有部2が存在する領域の表面上に外部酸化アルミニウム層3を有する白金構造体が得られる。
上述したようにアルミニウム含有部2内の、酸化されていないアルミニウムは、経時的に消費される。外部酸化アルミニウム層3を有する白金構造体10によれば、アルミニウム含有部2が減少または消滅しても、白金構造体10を還元雰囲気で加熱処理することにより、外部酸化アルミニウム層3から母材1内へ、酸化されていないアルミニウムが供給され、アルミニウム含有部2を再生することができる。
外部酸化アルミニウム層3の厚みは特に限定されず、所望の厚みのアルミニウム含有部2を得る工程で形成された外部酸化アルミニウム層3の厚みでよい。
外部酸化アルミニウム層3は、後述する熱処理によって形成されたものでもよく、アルミニウム表面などの不可避の酸化によって形成されたものでもよい。
(変形例)
本発明の白金構造体は、図1に示す白金構造体10に限定されず、たとえば、図2、3に示すように、種々の場所にアルミニウム含有部2が設けられたものであってもよい。
図2に示す白金構造体は、母材1の底面全体と側面下部の周方向全体に、アルミニウム含有部2aを有し、該アルミニウム含有部2aに隣接する外部酸化アルミニウム層3aを有する。
図3に示す白金構造体は、母材1の側面上部の周方向の一部に、アルミニウム含有部2bを有する。母材1の側面の全周のうちアルミニウム含有部2bが設けられているのは約4分の1である。また該アルミニウム含有部2bに隣接する外部酸化アルミニウム層3bを有する。
本発明の白金構造体は、図1〜3に示すような形状の容器以外に、ガラス製造装置の種々の用途に応じた形状とすることができる。該形状としては、たとえば板形状のもの、樋状のもの、管状のもの、楔形のものなどが挙げられる。
母材1の表面におけるアルミニウム含有部2の形状は、連続した面状でもよく、ドット状、縞状、格子状等の不連続状でもよい。
また、アルミニウム含有部2は、溶融ガラスと接しない表面の一部に設けられれば良いが一定の面積以上に設けられることが望ましく、溶融ガラスと接しない表面の総面積の1/10以上が好ましく、1/5以上より好ましく、1/4以上がさらに好ましい。
≪白金構造体の製造方法≫
本発明の白金構造体は、アルミニウム供給源を接触させた状態で、非酸化性雰囲気で加熱処理する方法で、アルミニウム含有部を形成する工程を経て製造できる。アルミニウム供給源は金属状態にあるアルミニウムを含む。
以下、白金構造体の製造方法の好ましい実施形態として、アルミニウム供給源としてアルミニウム(Al)を含む粉体組成物を用いる方法を説明する。
アルミニウム供給源である粉体組成物は、アルミニウム(Al)を含む合金の粉末を含有することが好ましい。さらに活性剤の粉末を含有することが好ましい。
該合金としては、NiAl、NiAl、NiAl、NiAl、NiAl等が挙げられる。該合金は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、Alの比率が高い方が活性が高く、NiAlまたはNiAlが好ましい。
活性剤としては、NHCl、NHF、NHBr、NHI、CrF、CrCl等が挙げられる。該活性剤は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、後述するアルミニウム含有部2の形成方法との適合性がよく、価格も安価であることからNHClが好ましい。
粉体組成物は、さらに酸化アルミニウム(Al)の粉末を含んでもよい。粉体組成物が酸化アルミニウムを含むと、発熱やアルミニウム含有層2の厚さを制御しやすい点で好ましい。
粉体組成物の平均粒子径は、0.5〜50μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
該平均粒子径は、レーザー回折・散乱式の粒度分析測定装置(マイクロトラック)を用いて測定される体積平均粒子径を示す。
該平均粒子径が上記範囲の下限値以上であると、粉体組成物の流動性が良好となり、たとえば容器内で、母材1の周囲に粉体組成物を充填した際、ブリッジ現象による空隙ができにくくなる。また、上限値以下であると、母材1の周囲に粉体組成物を充填した際、粉体組成物と母材1とが充分に接触し合い、両者の接触面積が大きくなって、アルミニウム含有部2の生成反応が進行しやすくなる。
図1に示す白金構造体10は、たとえば以下のようにして製造できる。
まず、母材1に、アルミニウム供給源である粉体組成物を接触させる。例えば、母材1を収容できる容器に、粉体組成物を充填し、その中に母材1を埋設することにより、母材1の表面に粉体組成物が接触した状態とすることができる。
次に、粉体組成物を接触させた母材1を、非酸化性雰囲気で過度の酸化を抑えつつ加熱処理(第1の加熱処理ともいう。)する。これにより母材1の、粉体組成物と接触している面上に外部酸化アルミニウム層3が形成されるとともに、母材1の表層部分に、酸化されていないアルミニウムを含むアルミニウム含有部2が形成される。
こうして外部酸化アルミニウム層3およびアルミニウム含有部2が形成された白金構造体10が得られる。
さらに、外部酸化アルミニウム層3およびアルミニウム含有部2が形成された白金構造体10を、粉体組成物を接触させずに、さらに非酸化性雰囲気で加熱処理(第2の加熱処理または拡散加熱処理ともいう。)すると、アルミニウム含有部2中の、酸化されていないアルミニウムが拡散し、アルミニウム含有部2の厚みが増す。
このようにして、外部酸化アルミニウム層3中、およびそれに隣接する母材1の内部の表面近傍ではAlとOが検出され、それより内方にAlが検出されOが検出されない領域が存在する白金構造体を製造できる。
第2の加熱処理は必須ではないが、アルミニウムが母材1の内部に深く拡散することができ、アルミニウム含有部2に含まれるアルミニウムの内部酸化を抑制できる点でこれを行うことが好ましい。
加熱処理の方法としては、たとえば、母材1を電気炉内に設置し、炉内を非酸化性雰囲気に置換した後、加熱を行う方法が挙げられる。
本発明における「非酸化性雰囲気」とは、雰囲気中における酸化性ガスの分圧が1.33×10Pa以下であることをいう。該酸化性ガスとは、加熱処理において白金に酸素を与え得る気体を意味し、具体例としてはO、O、NO、NO、HO等が挙げられる。雰囲気中に酸化性ガスが2種以上含まれる場合は、それらの分圧の合計が前記の範囲内であればよい。非酸化性雰囲気中における酸化性ガスの分圧は、20Pa以下が好ましく、10Pa以下がより好ましい。酸化性ガスの分圧の値が上記範囲の上限値以下であるとアルミニウム含有部2に含まれるアルミニウムの内部酸化を抑制でき、母材1内部へのアルミニウムの拡散が安定して進行しやすい。該分圧は1Pa程度が最も好ましい。
非酸化性雰囲気を構成するガスとしては、N、Ar等の不活性ガス;H、CO等の還元性ガスが挙げられる。
また、酸化アルミニウム皮膜およびアルミニウム含有部2の生成反応を速く進め、より緻密なアルミニウム含有部2を形成するうえで、雰囲気を一旦真空状態にした後、水素(H)を導入して加熱処理を行うことが好ましい。または、加熱処理を行う非酸化性雰囲気を真空状態とすることも好ましい。
本明細書において、真空状態の雰囲気圧力は10−1〜10−3Paの範囲が好ましく、10〜10−2Paの範囲がより好ましい。
第1の加熱処理における加熱温度は、600〜1300℃が好ましく、800〜1300℃がより好ましく、900〜1100℃がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、アルミニウム含有部2の生成反応がより進行しやすくなり、上記範囲の上限値以下であると、該反応の速度を制御することが容易となる。
第1の加熱処理における加熱時間は、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜5時間がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、アルミニウム含有部2の生成反応がより進行しやすくなる。該加熱処理の時間の上限値以下であると、アルミニウム含有部2が厚くなりすぎることが防止される。
また、前記温度範囲に調整する際、昇温または降温速度は、50〜500℃/hrとすることが好ましく、100〜400℃/hrとすることがより好ましい。該昇温または降温速度の下限値以上であると、アルミニウム含有部2の厚みの制御が容易となる。該昇温または降温速度の上限値以下であると、アルミニウム含有部2の組織が粗になりにくい。
前記加熱処理は、粉体組成物に母材1を接触させた後、直ちに行ってもよく、少し時間が経過した後で行ってもよい。
第2の加熱処理における加熱温度の下限は、アルミニウムが拡散可能な温度以上が好ましく、上限は、白金及び白金合金の融点以下の温度が好ましく、1200〜1500℃がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、母材1内部へのアルミニウムの拡散が促進され、上限値以下であると、母材1やアルミニウム含有部2が溶融するのを防止できる。
第2の加熱処理における加熱時間は、0.2〜10時間が好ましく、0.5〜5時間がより好ましく1〜3時間がさらに好ましい。上記範囲の下限値以下であるとアルミニウム含有部2が十分形成されない。上限値以下であるとアルミニウム含有部2と母材1内部との界面部での相互拡散によりアルミニウムの緩やかな濃度勾配が形成されるとともに、母材1の内部全体までアルミニウムが拡散しすぎることを防止できる。
なお、母材1にアルミニウム供給源を接触させる方法としては、本実施形態の方法に限定されない。例えばCVD法、スラリー・コーティング法、スパッタリング法、電気めっき等により、母材1の表面上に、金属状態にあるアルミニウムを含む層を形成することで、母材1にアルミニウム供給源を接触させた状態とすることができる。
また、上記の製造方法を用いて、板形状の白金構造体を製造し、それをガラス製造装置の種々の用途に応じた形状に成型してもよい。
≪ガラス製造装置およびガラスの製造方法≫
[第1の実施形態]
図4は、ガラス製造装置の第1の実施形態を示した模式図である。本実施形態のガラス製造装置11は、溶融槽12と、該溶融槽12の下流側に設けられた清澄槽13と、清澄槽13の下流側に設けられた攪拌槽14と、攪拌槽14の下流側に設けられた成形装置15とを有し、溶融槽12、清澄槽13、攪拌槽14および成形装置15は、それぞれ、溶融ガラスを流通させるための導管(連絡流路)16,17,18によって接続されている。
溶融槽12は、バーナー、電極等が設けられ、ガラス原料を溶解することができる。溶融槽12の下流側には溶融ガラスの流出口が形成されており、該流出口を上流端とする導管16を介して溶融槽12と清澄槽13とが連通している。本実施形態の溶融槽12は連続式であり、例えばシーメンス型のガラス溶融炉等を用いることができる。
清澄槽13は、主としてガラスの清澄が行われる部位であり、溶融ガラス中に含まれる微細な泡が清澄剤から放出される清澄ガスにより浮上され、溶融ガラスから除去される。
清澄槽13の下流側には溶融ガラスの流出口が形成されており、該流出口を上流端とする導管17を介して清澄槽13と攪拌槽14とが連通している。
攪拌槽14は、主としてスターラー等により溶融ガラスを攪拌し、均質化する部位である。攪拌槽14の下流側には流出口が形成されており、流出口を上流端とする導管18を介して攪拌槽14と成形装置15とが連通している。
成形装置15は、主としてガラスを所望の形状に成形する部位であり、製造するガラス製品の形状に応じて適宜選択される。例えば、ガラス製品がフラットパネルディスプレイ用のガラス基板である場合、フロート成形装置、ダウンドロー成形装置等が使用される。
溶融槽12〜導管18は溶融ガラスと接する部材であり、高温環境に耐えうる耐熱性、および溶融ガラスに対する耐食性が要求されるため、白金材料(すなわち、白金または白金合金)が好適に用いられる。該溶融槽12〜導管18の一部または全部に、本発明の白金構造体を適用することが好ましい。
本実施形態のガラス製造装置を用いたガラスの製造方法は、該ガラス製造装置を用いる点以外は公知の手法で行うことができる。具体的には、溶融槽12に所望のガラス組成になるよう調合した原料を投入し、加熱溶解して得られた溶融ガラスを導管16、清澄槽13、導管17、攪拌槽14、導管18および成形装置15の順に通過させて所望の形状のガラス製品を得る。
溶融槽12〜導管18の一部または全部が、本発明の白金構造体であるため、該白金構造体を適用した工程において、溶融ガラス中に気泡が発生するのが抑制される。
[第2の実施形態]
図5は、ガラス製造装置の第2の実施形態を示したものであり、バッチ式の溶融装置の模式図である。図中符号21はガラス溶融容器、22は溶融ガラス、23は排出管、24a、24bは通電フランジ、25は加熱ヒーター、26は断熱レンガ、27は外部酸化アルミニウム層をそれぞれ示す。通電フランジとは排出管部に通電し、排出管部の抵抗発熱によって温度を制御するためのものであり、これによって排出管23の開閉を制御できる。
ガラス溶融容器21および排出管23は溶融ガラスと接する部材であり、これらの一部または全部に、本発明の白金構造体を適用することが好ましい。
本実施形態では、ガラス溶融容器21の外側面であって、底面から溶融ガラス5の液面よりも高い位置までの外側の表面上、および底面に設けられた排出管23の外側の表面上に外部酸化アルミニウム層27が形成され、該外部酸化アルミニウム層27に隣接するガラス溶融容器21の表層部分にアルミニウム含有部(図示略)が形成されている。
本実施形態のガラス溶融装置を用いたガラスの製造方法は、該ガラス溶融装置を用いる点以外は公知の手法で行うことができる。具体的には、ガラス溶融容器21に所望のガラス組成になるよう調合した原料を投入し、加熱溶解して得られた溶融ガラスを排出管23から取り出して次工程に供給する。
ガラス溶融容器21および排出管23の一部または全部が、本発明の白金構造体であるため、溶融ガラス中に気泡が発生するのが抑制される。
また本実施形態の溶融装置は、特にバッチ式であるため取扱いが容易である。このため、例えば白金構造体中に存在するアルミニウムが経時的に消費されて減少したときに、白金構造体を還元雰囲気で加熱処理する方法で、アルミニウム含有部を再生する操作を行いやすい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例1〜8で使用した母材、アルミニウム供給源は下記の通りである。アルミニウム含有部の厚みを測定するために母材は板状とした。
(母材)
母材(A):縦10mm×横15mm×厚み0.8mmの白金−ロジウム合金(白金90質量%、ロジウム10質量%)からなる板形状の小片。
(アルミニウム供給源:アルミニウム含有粉体組成物)
アルミニウム含有粉体組成物(1):NiAl粉末(平均粒子径15μm)49.5質量部と、Al粉末(平均粒子径10μm)49.5質量部と、活性剤であるNHCl粉末(平均粒子径30μm)1質量部との混合粉末。
アルミニウム含有粉体組成物(2):NiAl粉末(平均粒子径15μm)99質量部と活性剤であるNHCl粉末(平均粒子径30μm)1質量部との混合粉末。
アルミニウム含有粉体組成物(3):NiAl粉末(平均粒子径15μm)99質量部と活性剤であるNHCl粉末(平均粒子径30μm)1質量部との混合粉末。
[アルミニウム含有部および外部酸化アルミニウム層の厚みの測定方法]
走査電子顕微鏡(SEM、製品名:SU1510、日立ハイテクロノジーズ社製)、およびエネルギー分散型X線分析装置(製品名:EMAX ENERGY X−act、HORIBA社製)を用いたSEM−EDS法により測定を行った。測定条件は、加速電圧15keV、観察倍率50〜1000倍とした。
白金構造体を、縦方向に沿う面で切断し、その切断面について、SEM−EDS法により定性分析を行った。厚さ方向において、母材(A)の表面から、母材内部のAl(アルミニウム)が検出される領域の外縁までの距離をアルミニウム含有部の厚みとした。また母材(A)の表面上の皮膜の厚みを測定し、外部酸化アルミニウム層の厚みとした。
(実施例1)
母材(A)を、その一面がアルミニウム含有粉体組成物(2)に埋設された状態で電気炉内に設置した。電気炉内を十分減圧したのち大気圧になるまでArガスを導入して雰囲気を置換した後、950℃で5時間の加熱処理(第1の加熱処理)を行った。第1の加熱処理後、室温まで冷却して取り出し、第2の加熱処理は行わなかった。
こうして得られた白金構造体について、上記の方法で第1の加熱処理後(表には第2の加熱処理前と記載する)におけるアルミニウム含有部の厚み、および外部酸化アルミニウム層の厚みを測定した。結果を表1に示す。
表1において、厚みの測定結果を表す30−50(単位:μm)は、厚みが30〜50μmの範囲で不均一であったことを意味する(以下、同様)。
(実施例2)
アルミニウム含有粉体組成物を(3)に変更した他は、実施例1と同様に、白金構造体を製造し、測定を行った。測定結果を表1に示す。
(実施例3)
本例では、実施例2において、第1の加熱処理における温度と時間を表1に示す通りに変更し、さらに表1に示す条件で第2の加熱処理を行った。
すなわち、母材(A)に対して、表1に示す条件で第1の加熱処理を行った後、アルミニウム含有粉体組成物(3)中から取り出し、Ar−Hガス(0.1MPa)雰囲気中において、1400℃で5時間加熱して第2の熱処理(拡散熱処理)を行った。こうして母材(A)の、アルミニウム含有粉体組成物(3)と接触していた一面上に外部酸化アルミニウム層が形成された白金構造体を得た。
得られた白金構造体について、上記の方法で、第2の加熱処理前と第2の加熱処理後のアルミニウム含有部の厚みおよび外部酸化アルミニウム層の厚みをそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
(実施例4〜8)
実施例3において、アルミニウム含有粉体組成物、第1の加熱処理における温度と時間、第2の加熱処理における時間を表1に示す通りに変更した。その他は実施例3と同様にして、白金構造体を製造し、測定を行った。測定結果を表1に示す。
Figure 2016179925
表1の結果に示されるように、実施例3〜8において、母材の表面にアルミニウム含有粉体組成物を接触させた状態で第1の加熱処理を行い、その後に第2の加熱処理を行うか、または大気と接触することにより、母材の表面上に酸化アルミ皮膜(外部酸化アルミニウム層)が形成されるとともに、母材の表層部分には、酸化アルミニウムと酸化されていないアルミニウムを含むアルミニウム含有部が形成されたことが確認できた。
また、第2の加熱処理を行うことにより、アルミニウム含有部の厚みが増すことが確認できた。
実施例1〜8と同様の手法で、白金坩堝にアルミニウム含有部を形成し、気泡の発生抑制効果を調べた。以下の実施例11〜13および比較例1〜3で使用した母材およびアルミニウム供給源は下記の通りである。
(母材)
母材(B):内容積10mL、開口部の外径25mm、高さ25mm、側面の厚み0.1mm、底面の厚み0.5mmの白金からなる坩堝。
(アルミニウム供給源:アルミニウム含有粉体組成物)
アルミニウム含有粉体組成物(1):上記実施例5で用いたものと同じNiAl粉末、Al粉末、およびNHCl粉末の混合粉末。
気泡の発生抑制の評価は以下の方法で行った。
[気泡の発生抑制の評価方法]
各例で得られた白金構造体(坩堝)にブロック状のアルミノ珪酸ガラスを入れ、電気炉内に設置した。電気炉内を225℃/hrの昇温速度で、湿度を絶対湿度で2g/mに管理した大気中で1350℃まで加熱し、2時間保持した。通常、酸素泡は1100℃前後から発生し始める。その後、225℃/hrの降温速度で室温まで冷却して取り出し、溶融したガラスの状態を目視により観察し、気泡の発生の有無を判定した。
(実施例11)
母材(B)の外側の底面および側面の高さ22mmの位置までアルミニウム含有粉体組成物(1)に埋設された状態で電気炉内に設置した。電気炉内を、十分減圧したのち大気圧になるまでArガスを導入して雰囲気を置換した後、300℃/hrの昇温速度で900℃まで加熱し、900℃で時間の加熱処理(第1の加熱処理)を行った。この加熱処理により母材(B)のアルミニウム含有粉体組成物(1)と接触していた表面上に皮膜が形成された。
次いで、母材(B)をアルミニウム含有粉体組成物(1)中から取り出し、Arに5容積%のHを混合した混合ガス(0.1MPa)雰囲気中において、1400℃で2時間の加熱処理(第2の加熱処理、拡散熱処理)を行った。
こうして母材(B)の外側の表面の、アルミニウム含有粉体組成物(1)と接触していた領域に外部酸化アルミニウム層(酸化アルミニウム皮膜)が形成された白金構造体を得た。
得られた白金構造体について、上記の方法で気泡の発生抑制効果を評価したところ、気泡の発生は無かった。
(実施例12)
実施例11において、母材(B)のアルミニウム含有粉体組成物(1)に接触させる部位を、母材(B)の外側の底面および側面の高さ10mmの位置までに変更した。
その他は実施例11と同様にして、母材(B)の外側の表面の、アルミニウム含有粉体組成物(1)と接触していた領域に外部酸化アルミニウム層が形成された白金構造体を得た。
得られた白金構造体について、上記の方法で気泡の発生抑制効果を評価したところ、気泡の発生は無かった。
(実施例13)
実施例11において、母材(B)のアルミニウム含有粉体組成物(1)に接触させる部位を、母材(B)の外側の側面上部(高さ12〜22mmの部分)であって、全周の1/4の領域に変更した。その他は実施例11と同様にして、母材(B)の外側の表面の、アルミニウム含有粉体組成物(1)と接触していた領域に外部酸化アルミニウム層が形成された白金構造体を得た。
得られた白金構造体について、上記の方法で気泡の発生抑制効果を評価したところ、気泡の発生は無かった。
(比較例1:母材(B)のみ)
母材(B)について、上記の方法で気泡の発生抑制効果を評価したところ、気泡の発生が認められた。
(比較例2:アルミニウムをTiに変更)
母材(B)の外側の底面および側面の高さ15mmの位置まで、酸化チタン粉末(TiO、平均粒子径5μm)に埋設された状態で電気炉内に設置した。電気炉内を、十分減圧したのち大気圧になるまで、Arに5容積%のHを混合した混合ガスに置換した後、1400℃で5時間の加熱処理を行った。
次いで、母材(B)を酸化チタン粉末中から取り出し、大気中で1400℃で2時間の加熱処理を行った。
こうして母材(B)の外側の表面の、酸化チタン粉末と接触していた領域に酸化チタン皮膜が形成された白金構造体を得た。
得られた白金構造体について、上記の方法で気泡の発生抑制効果を評価したところ、気泡の発生が認められた。
(比較例3:アルミニウムをMnに変更)
比較例2において、酸化チタン粉末を酸化マンガン粉末(MnO、平均粒子径5μm)に変更した。
その他は比較例2と同様にして、母材(B)の外側の表面の、酸化マンガン粉末と接触していた領域に酸化マンガン皮膜が形成された白金構造体を得た。
得られた白金構造体について、上記の方法で気泡の発生抑制効果を評価したところ、気泡の発生が認められた。
このように、実施例1〜8と同様の方法で、白金坩堝にアルミニウム含有部を形成した実施例11〜13では、気泡の発生抑制効果が良好に得られた。
これに対して、アルミニウム含有部を形成しない比較例1、アルミニウムの代わりにチタンを用いた比較例2、またはマンガンを用いた比較例3では、充分な気泡の発生抑制効果が得られなかった。
(参考例1:母材(B)にアルミニウム供給源を接触)
縦10mm×横2mm×厚み0.8mmの白金−ロジウム合金(白金90質量%、ロジウム10質量%)からなる板形状の小片に、実施例5と同様の方法でアルミニウム含有部を形成して得られた白金構造体0.35gをアルミニウム供給源とした。
母材(B)である白金坩堝内に、アルミニウム供給源を入れ、該アルミニウム供給源と坩堝の底面とを接触させた。この接触状態を保ったまま、上記の方法で気泡の発生抑制効果を評価したところ気泡の発生は認められなかった。
このように、白金または白金合金からなる構造体の、溶融ガラスと接する表面の少なくとも一部に、アルミニウム供給源を接触させた状態で該構造体を使用する方法でも、該構造体に接触する溶融ガラス中に気泡が発生するのを抑制できた。
1 母材
2、2a、2b アルミニウム含有部
3、3a、3b 外部酸化アルミニウム層
5 溶融ガラス
10 白金構造体
11 ガラス製造装置
12 溶融槽
13 清澄槽
14 攪拌槽
15 成形装置
16、17、18 導管
21 ガラス溶融容器
22 溶融ガラス
23 排出管
24a、24b 通電フランジ
25 加熱ヒーター
26 断熱レンガ
27 外部酸化アルミニウム層

Claims (6)

  1. 溶融ガラスと接して使用されるガラス製造用の白金構造体であって、
    白金または白金合金からなる母材の、溶融ガラスと接しない表面の少なくとも一部の表層部分に、酸化されていないアルミニウムを含むアルミニウム含有部を有し、かつ該アルミニウム含有部が存在する領域の母材表面上に酸化アルミニウム層を有することを特徴とする白金構造体。
  2. 前記アルミニウム含有部の厚みが5〜1200μmである、請求項1記載の白金構造体。
  3. 前記アルミニウム含有部の厚みが母材に対して5〜40%である、請求項1または2に記載の白金構造体。
  4. 溶融ガラスと接して使用されるガラス製造用の白金構造体であって、
    白金または白金合金からなる母材の、溶融ガラスと接しない表面の少なくとも一部に、アルミニウム供給源を接触させた状態で、非酸化性雰囲気中で加熱処理する方法で形成されたアルミニウム含有部を有し、該アルミニウム含有部が存在する領域の母材表面上に酸化アルミニウム層を有する白金構造体。
  5. ガラスの製造に用いられる装置であって、溶融ガラスと接する白金製または白金合金製の部材を有し、該部材の少なくとも一部が請求項1〜4のいずれか一項に記載の白金構造体である、ガラス製造装置。
  6. 請求項5に記載のガラス製造装置を用いたガラスの製造方法。
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