JP2016176525A - 車両のオイルポンプ駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この車両において、オイルポンプのポンプ駆動を制御するコントローラを設ける。
コントローラは、停車中、作動油温度が低いほど、オイルポンプを駆動するポンプ駆動エネルギーを下げる制御を行う。
即ち、作動油温度が低いときは作動油粘度が高くなることで、油圧作動ユニットの油圧回路からの作動油リーク量が少なくなり、一定の油圧を出力する場合に必要なオイルポンプ吐出量を少なくすることができる。この点に着目し、油圧変動が小さい停車中、作動油温度が低いほど、ポンプ駆動エネルギーを下げる制御を行うと、油圧作動ユニットの油圧回路からの作動油リーク量がオイルポンプ吐出量により賄われる。このように、停車中、油圧回路からの作動油リーク量に着目したオイルポンプ駆動制御を行うことにより、ポンプ駆動エネルギーとして使われる消費エネルギーが削減される。
この結果、停車中、消費エネルギーの削減を達成することができる。
実施例1におけるオイルポンプ駆動制御装置は、左右前輪を駆動輪とし、変速機としてベルト式無段変速機を搭載したFFハイブリッド車両(車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1のFFハイブリッド車両のオイルポンプ駆動制御装置の構成を、「全体システム構成」、「オイルポンプ駆動制御処理構成」に分けて説明する。
図1は、実施例1の制御装置が適用されたFFハイブリッド車両の全体システムを示す。以下、図1に基づいて、FFハイブリッド車両の全体システム構成を説明する。
図2は、実施例1のハイブリッドコントロールモジュール81(コントローラ)にて実行されるオイルポンプ駆動制御処理の流れを示す。以下、EV停車中に行われるオイルポンプ駆動制御処理構成をあらわす図2の各ステップについて説明する。
ここで、「車両停止条件」としては、下記に列挙する条件が与えられる。
(a) 車速<停車閾値
(b) Dレンジの選択
(c) EVモードの選択
(d) ブレーキON
(e) アクセルOFF
なお、「EVモードの選択」には、モード遷移制御によりEVモードが選択されている場合と、アイドルストップ制御によるエンジン自動停止によりEVモードが選択されている場合とを含む。
ここで、「目標値」は、入力トルクに応じた必要油圧よりも低圧であり、油圧・油量に過渡的な変化が起こらないEV停車中における下限圧レベルの油圧値で与える。
ここで、「車両停止条件」としては、ステップS1と同じ条件を与える。
ここで、「許可条件」としては、上記「車両停止条件」として与えた(a)〜(e)の条件に、下記に列挙する条件(f)〜(h)を加え、これらの条件(a)〜(h)の全てが成立したとき、許可条件が成立と判断される。
(f) クリープカット条件成立
(g) CL2スタンバイ学習完了&CL2低トルク学習完了
(h) センサ等の異常判定していない
なお、「クリープトルク」とは、アクセルペダルを踏むことなく、モータアイドリング状態で車両が動き出すトルクをいい、勾配路停車時において、車両のずり下がりを防止するために必要なトルクである。「クリープカット条件」は、停車状態で、かつ、フィードフォワード制御(FF制御)により取得される第2クラッチ目標トルク(TTCL2)が、所定値以下であり、平坦路でのクリープトルク相当のとき条件成立と判定する。
ここで、「必要O/P回転数」は、モータ回転数制御での目標O/P回転数であり、ATF油温センサ97からのATF油温(ATF Temp)により決められるもので、図3に示すように、ATF油温が低いほど低回転数とされる。なお、図3に示すATF油温に対する必要O/P回転数の関係特性は、駆動力伝達経路に有する第1クラッチ3、第2クラッチ5及びベルト式無段変速機6(油圧作動ユニットの一例)の油圧回路での作動油リーク量(以下、「リーク量」という。)を補填するように設定される。なお、「O/P」は、オイルポンプをあらわす。
ここで、「許可条件」としては、ステップS5で与えた条件と同じとする。
ここで、O/P出力低下制御は、メインオイルポンプ14の回転数を制御開始時の回転数から緩やかな勾配αにて低下させ、O/P回転数が必要O/P回転数に到達すると、その後、必要O/P回転数をそのまま保つことで継続する。
ここで、「許可条件」としては、ステップS5及びステップS7で与えた条件と同じとする。
例えば、ステップS9で許可条件不成立と判断された場合は、CVT油圧下げ許可フラグからCVT通常油圧指示フラグへの切り替えに基づき、目標値まで低下させたCVT油圧をCVT通常油圧まで上昇させる指示をソレノイドバルブに出力する。同時に、O/P出力下げ許可フラグからO/P出力下げ禁止フラグへの切り替えに基づき、必要O/P回転数まで低下させたメインオイルポンプ14の回転数を、O/P通常回転数まで急激な勾配β(>勾配α)にて上昇させるモータジェネレータ4への出力上昇指示を出力する。なお、勾配βは、例えば、モータ回転数制御での目標O/P回転数をステップ的に与えることで、O/Pポテンシャルで可能な最速の回転上昇勾配とする。
ここで、油圧復帰ディレー時間は、目標値まで低下させたCVT油圧をCVT通常油圧まで上昇させる指示に対する油圧応答遅れ時間に基づき設定する。
実施例1のFFハイブリッド車両のオイルポンプ駆動制御装置における作用を、「オイルポンプ駆動制御処理作用」、「オイルポンプ駆動制御作用」、「オイルポンプ駆動制御の特徴作用」に分けて説明する。
以下、図2のフローチャートに基づき、オイルポンプ駆動制御処理作用を説明する。
実施例1のオイルポンプ駆動制御は、変速機作動油(ATF)のリーク量に基づき、オイルポンプ吐出量を最適化(図3)した制御である。まず、実施例1のオイルポンプ駆動制御への道のりである背景技術を説明する。
この従来のO/P必要駆動力の考え方に対し、発明者等は、更なる消費エネルギーの削減ができないかと検討したところ、油圧・油量に過渡的な変化が起こらないEV停車中であれば、油圧が一定で安定している。このときのO/P必要駆動力は、油圧回路からのリーク量に比例したもので良いことを知見した。但し、油圧回路からのリーク量を測定することは難しい。
しかし、リーク量は、作動油粘度(ATF粘度)に対して感度を持っている。このため、従来の入力トルクに応じたO/P必要駆動力に設定するという考え方を、ATF粘度に応じたO/P必要駆動力に設定するという考え方に変更することで、更なる消費エネルギーの削減ができることが判明した。但し、ATF粘度も、量産車では、直接計測できないため、既に計測しているATF油温に対してATF粘度が予測可能であるかを調査した。
その結果、非線形ではあるが、ATF油温に対してATF粘度の値には推定値として、ATF油温-粘度感度のバラツキとATF劣化を考慮して推定すれば、車両に搭載できる技術としての精度が保証できることが確認された。また、その結果より、さらにリーク量のバラツキを考慮することで、リーク量も必要精度で推定できることが確認された。
そこで、更なる消費エネルギーの削減を図るため、ATF油温をパラメータにしたO/P必要駆動力を設定する手法を提案し、これを実用化したものが実施例1のオイルポンプ駆動制御である。
図5において、時刻t1は停車時刻である。時刻t2はオイルポンプ駆動制御の開始時刻である。時刻t3はO/P回転数下げ終了時刻である。
図6において、時刻t4は許可条件不成立時刻である。時刻t5はオイルポンプ回転数復帰時刻である。時刻t6は通常油圧制御への復帰開始時刻である。
実施例1では、ハイブリッドコントロールモジュール81は、停車中、ATF油温が低いほど、メインオイルポンプ14を駆動するポンプ駆動エネルギーを下げる制御を行う構成とした。
即ち、ATF油温が低いときはATF粘度が高くなることで、第1クラッチ3、第2クラッチ5及びベルト式無段変速機6の油圧回路からのリーク量が少なくなり、一定の油圧を出力する場合に必要なオイルポンプ吐出量を少なくすることができる。この点に着目し、油圧の過渡的な変動が無い停車中、ATF油温が低いほどポンプ駆動エネルギーを下げる制御を行うと、第1クラッチ3、第2クラッチ5及びベルト式無段変速機6の油圧回路からのリーク量がオイルポンプ吐出量により賄われる。
従って、停車中、油圧回路からのリーク量に着目したオイルポンプ駆動制御を行うことにより、ポンプ駆動エネルギーとして使われる消費エネルギーが削減される。
即ち、モータジェネレータ4の駆動出力(=モータトルク)を下げる制御を行うことで、強電バッテリ21からモータジェネレータ4への放電量が小さく抑えられ、強電バッテリ21のバッテリ容量の低下が防止される。
従って、モータジェネレータ4の駆動出力の下げ制御によって、停車中におけるモータジェネレータ4が使う消費エネルギーが削減される。
即ち、ポンプ仕様により1回転当たりの単位吐出油量が決まっているため、オイルポンプ回転数はオイルポンプ吐出油量に比例する。したがって、油圧回路でのリーク量をオイルポンプ吐出油量で補填する場合は、オイルポンプ回転数を用いて管理すると、精度良く管理される。そして、モータ回転数制御を行うと、目標O/P回転数への一致方向に実O/P回転数を低下させるように、モータトルクを下げる制御が行われる。
従って、油圧回路でのリーク量に対して精度良く管理されたモータジェネレータ4の駆動出力下げ制御により、停車中の消費エネルギーの最小化(最適化)が図られる。
即ち、クリープカット条件と非学習制御条件を加えることで、外部の駆動力変化が少ない停車シーンを対象としてポンプ駆動エネルギーの低下制御が許可される。また、異常無し判定条件を加えることで、想定外の作動油リークなどに対応できる。
従って、許可条件として、油圧・油量の変動が抑えられた停車シーンを対象とする条件を加えたことで、ポンプ駆動エネルギーの低下制御の安全性が確保される。
例えば、ポンプ駆動エネルギーの低下制御と油圧低下制御とを同時に開始すると、メインオイルポンプ14からのポンプ吐出量が急減し、油量低下により実セカンダリ圧にアンダーシュートが生じるおそれがある。そして、大きくアンダーシュートが生じると、実セカンダリ圧が上昇と下降を繰り返すハンチングを生じ、油振の原因になる。
これに対し、ポンプ駆動エネルギーの低下制御を開始する入り制御のとき、ポンプ駆動エネルギーの低下制御の開始に先行して油圧低下制御を行うことで、アンダーシュートや油振の防止が図られる。
例えば、バッテリ容量低下を原因とするシステム要求によりEVモードからエンジン始動制御を介してHEVモードへモード遷移する場合がある。このモード遷移要求がポンプ駆動エネルギーの低下制御の継続中に生じたとき、ポンプ駆動エネルギーの低下制御をそのまま継続していたら、油量不足や油圧のオーバーシュート・アンダーシュートや油振や油圧作動ユニットの耐久劣化、等の影響がある。
これに対し、ポンプ駆動エネルギーの低下制御継続中に許可条件が不成立になったとき、直ちに制御を停止することで、制御継続により受ける様々な影響が排除される。
例えば、ポンプ駆動エネルギーの上昇指示を先に行い、油圧作動ユニットへの油圧上昇指示を後に行うと、油量収支として油量過剰となる。逆に、油圧作動ユニットへの油圧上昇指示を先に行い、ポンプ駆動エネルギーの上昇指示を後に行うと、油量収支として油量不足となる。また、油圧応答性の遅れを考慮することなく、通常油圧制御に移行すると、油量収支に過不足が生じる。これらの場合、油量不足や油圧のオーバーシュート・アンダーシュートや油振や油圧作動ユニットの耐久劣化、等の影響がある。
これに対し、ポンプ駆動エネルギー低下制御からの抜け制御のとき、2つの低下制御を同時に行い、ディレー時間の経過を待って通常油圧制御に移行することで、様々な影響が排除される。
例えば、ドライバが発進を意図するブレーキ足離し操作等により許可条件が不成立になったときは、その後の発進に備えて、応答良く油圧を発生して通常油圧制御を開始する必要がある。
これに対し、ドライバが発進を意図して許可条件が不成立になったとき、応答良く油圧を発生することで駆動力伝達体制が早期に整い、ドライバの発進要求に応えられる。
実施例1のFFハイブリッド車両のオイルポンプ駆動制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
オイルポンプ(メインオイルポンプ14)のポンプ駆動を制御するコントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール81)を設け、
コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、停車中、作動油温度(ATF油温)が低いほど、オイルポンプ(メインオイルポンプ14)を駆動するポンプ駆動エネルギーを下げる制御を行う。
このため、停車中、消費エネルギーの削減を達成することができる。
このため、(1)の効果に加え、車載動力源(モータジェネレータ4)の駆動出力の下げ制御によって、停車中において車載動力源(モータジェネレータ4)が使う消費エネルギーを削減することができる。
このため、(2)の効果に加え、油圧回路でのリーク量に対して精度良く管理された車載動力源(モータジェネレータ4)の駆動出力下げ制御により、停車中の消費エネルギーの最小化(最適化)を図ることができる。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、許可条件として、油圧・油量の変動が抑えられた停車シーンを対象とする条件を加えたことで、ポンプ駆動エネルギーの低下制御の安全性を確保することができる。
このため、(4)の効果に加え、ポンプ駆動エネルギーの低下制御を開始する入り制御のとき、ポンプ駆動エネルギーの低下制御の開始に先行して油圧低下制御を行うことで、アンダーシュートや油振の防止を図ることができる。
このため、(5)の効果に加え、ポンプ駆動エネルギーの低下制御継続中に許可条件が不成立になったとき、直ちに制御を停止することで、制御継続により受ける様々な影響を排除することができる。
このため、(5)又は(6)の効果に加え、ポンプ駆動エネルギー低下制御からの抜け制御のとき、2つの低下制御を同時に行い、油圧復帰遅れ時間(ディレー時間)の経過を待って通常油圧制御に移行することで、様々な影響を排除することができる。
このため、(7)の効果に加え、ドライバが発進を意図して許可条件が不成立になったとき、応答良く油圧を発生することで駆動力伝達体制が早期に整い、ドライバの発進要求に応えることができる。
3 第1クラッチ(油圧作動ユニット)
4 モータジェネレータ(車載動力源)
5 第2クラッチ(油圧作動ユニット)
6 ベルト式無段変速機(油圧作動ユニット)
10L,10R 駆動輪
14 メインオイルポンプ(オイルポンプ)
81 ハイブリッドコントロールモジュール(コントローラ)
82 エンジンコントロールモジュール
83 モータコントローラ
84 CVTコントロールユニット
85 ブレーキコントロールユニット
86 リチウムバッテリコントローラ
Claims (8)
- 車載動力源により駆動され、駆動力伝達経路に有する油圧作動ユニットへのポンプ吐出油を作り出すオイルポンプを備えた車両において、
前記オイルポンプのポンプ駆動を制御するコントローラを設け、
前記コントローラは、停車中、作動油温度が低いほど、前記オイルポンプを駆動するポンプ駆動エネルギーを下げる制御を行う
ことを特徴とする車両のオイルポンプ駆動制御装置。 - 請求項1に記載された車両のオイルポンプ駆動制御装置において、
前記コントローラは、ポンプ駆動エネルギーを下げる制御として、前記オイルポンプを駆動する前記車載動力源の駆動出力を下げる制御を行う
ことを特徴とする車両のオイルポンプ駆動制御装置。 - 請求項2に記載された車両のオイルポンプ駆動制御装置において、
前記コントローラは、前記油圧作動ユニットの油圧回路での作動油のリーク量を補填する必要オイルポンプ回転数を作動油温度に応じて設定し、前記車載動力源の駆動出力を下げる制御として、設定した前記必要オイルポンプ回転数を目標オイルポンプ回転数とする回転数制御を行う
ことを特徴とする車両のオイルポンプ駆動制御装置。 - 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載された車両のオイルポンプ駆動制御装置において、
前記コントローラは、ポンプ駆動エネルギー低下制御の許可条件として、車両停止条件に、クリープカット条件と非学習制御条件と異常無し判定条件を加える
ことを特徴とする車両のオイルポンプ駆動制御装置。 - 請求項4に記載された車両のオイルポンプ駆動制御装置において、
前記コントローラは、前記許可条件が成立であるとの判断に基づいてポンプ駆動エネルギーの低下制御を開始するとき、制御開始に先行して前記油圧作動ユニットの油圧を低下させる制御を行う
ことを特徴とする車両のオイルポンプ駆動制御装置。 - 請求項5に記載された車両のオイルポンプ駆動制御装置において、
前記コントローラは、前記許可条件の成立/不成立の判断を、ポンプ駆動エネルギーの低下制御の継続中に行い、前記許可条件が不成立になったらポンプ駆動エネルギーの低下制御を停止する
ことを特徴とする車両のオイルポンプ駆動制御装置。 - 請求項5又は請求項6に記載された車両のオイルポンプ駆動制御装置において、
前記コントローラは、前記許可条件が不成立と判断されると、ポンプ駆動エネルギーの上昇指示と前記油圧作動ユニットの油圧上昇指示を同時に出力し、油圧復帰遅れ時間を経過すると、通常油圧制御に移行する
ことを特徴とする車両のオイルポンプ駆動制御装置。 - 請求項7に記載された車両のオイルポンプ駆動制御装置において、
前記コントローラは、前記ポンプ駆動エネルギーの上昇指示をするとき、前記ポンプ駆動エネルギーの低下勾配よりも急な上昇勾配を持たせてポンプ駆動エネルギーを復帰する
ことを特徴とする車両のオイルポンプ駆動制御装置。
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