JP6488798B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン始動要求があると、モータと駆動輪の間に介装された摩擦クラッチをスリップさせるスリップイン制御を行うハイブリッド車両の制御装置に関する。
従来、エンジン始動要求があると、第2クラッチのスリップを開始させるCL2スリップイン制御を、モータトルクを上昇させて行うハイブリッド車両のエンジン始動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−69817号公報
しかしながら、従来装置は、CL2スリップイン制御を行う際、モータトルクのトルク上昇勾配として、予め設定した一定の傾き勾配を与えて行うようにしている。このため、スリップインレスポンス向上要求に応えるようにモータトルクの上昇勾配を大きく設定すると、例えば、アクセル一定時や緩加速時等において、ドライバーが感じるスリップインショックが発生する。一方、スリップインショックの低減要求に応えるようにモータトルクの上昇勾配を小さく設定すると、例えば、アクセル踏込始動時等において、スリップイン制御の完了が遅れてしまう、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、摩擦クラッチのスリップイン制御時、スリップインショック低減とスリップインレスポンス向上との両立を図るハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、エンジンとモータを駆動源とし、モータと駆動輪との間に摩擦クラッチを介装した駆動系を備える。
このハイブリッド車両において、エンジン始動要求があると、摩擦クラッチのスリップイン制御を、ドライバー要求駆動トルクに対しモータトルクを加算し、モータトルクとクラッチ容量に差分を生じさせることで行うコントローラを設ける。
コントローラは、ドライバーショック感度の判定に、車速とアクセル開度変化速度を用い、車速が低車速側であるほど、且つ、アクセル開度変化速度が小さいほど、ドライバーショック感度が高いと判定する。スリップイン制御時、加算したモータトルクの上昇傾きを、ドライバーショック感度が高いほど小さくし、ドライバーショック感度が低いほど大きくする。
よって、スリップイン制御時、加算したモータトルクの上昇傾きが、ドライバーショック感度が高いほど小さくされ、ドライバーショック感度が低いほど大きくされる。
即ち、スリップイン制御時、ドライバーショック感度の高低により、モータトルクの上昇傾きの大小を切り分けるようにしている。よって、アクセル一定時や緩加速時等のようにドライバーショック感度が高いときは、モータトルクの上昇傾きが小さくされることで、スリップインショックの発生が低く抑えられる。一方、アクセル踏込始動時等のようにドライバーショック感度が低いときは、モータトルクの上昇傾きが大きくされることで、早期にスリップイン制御が完了する。
この結果、摩擦クラッチのスリップイン制御時、スリップインショック低減とスリップインレスポンス向上との両立を図ることができる。
ドライバーショック感度の判定に、車速とアクセル開度変化速度が用いられ、車速が低車速側であるほど、且つ、アクセル開度変化速度が小さいほど、ドライバーショック感度が高いと判定される。このため、ドライバーショック感度の高低判定に、アクセル操作によるショック感度の違いに加え、車速の高低に対するスリップインショック感度の違いを反映することができる。
実施例1の制御装置が適用されたFFハイブリッド車両を示す全体システム図である。 実施例1のハイブリッドコントロールモジュールにおいて実行されるCL2スリップイン制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のCL2スリップイン制御処理においてドライバーショック感度の高低を切り分ける運転点(VSP,APO)の様々な動きの具体例を示すEV-HEVモード遷移マップ図である。 EV走行中のデフガタ詰め判定領域であってエンジン始動要求の介入が無いときのCL2トルク・モータトルク・前後Gの各特性を示すタイムチャートである。 EV走行中であってデフガタ詰め判定領域の途中で出されたエンジン始動要求に基づき実施例1のCL2スリップイン制御が介入したときのCL2トルク指令・CL2実トルク・モータトルク・前後Gの各特性を示すタイムチャートである。 アクセル一定・緩加速によるEV走行中に出されたエンジン始動要求に基づき実施例1のCL2スリップイン制御が行われるときのCL2トルク指令・CL2実トルク・モータトルク・前後Gの各特性を示すタイムチャートである。 アクセル踏み込み操作によるEV走行中に出されたエンジン始動要求に基づき実施例1のCL2スリップイン制御が行われるときのCL2トルク指令・CL2実トルク・モータトルク・前後Gの各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1における制御装置は、左右前輪を駆動輪とし、変速機としてベルト式無段変速機を搭載したFFハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1のFFハイブリッド車両の制御装置の構成を、「全体システム構成」、「CL2スリップイン制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の制御装置が適用されたFFハイブリッド車両の全体システムを示す。以下、図1に基づいて、FFハイブリッド車両の全体システム構成を説明する。
FFハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、横置きエンジン2と、第1クラッチ3(略称「CL1」)と、モータジェネレータ4(略称「MG」)と、第2クラッチ5(略称「CL2」)と、ベルト式無段変速機6(略称「CVT」)と、を備えている。ベルト式無段変速機6の出力軸は、終減速ギアトレイン7と差動ギア8と左右のドライブシャフト9R,9Lを介し、左右の前輪10R,10Lに駆動連結される。なお、左右の後輪11R,11Lは、従動輪としている。
前記横置きエンジン2は、スタータモータ1と、クランク軸方向を車幅方向としてフロントルームに配置したエンジンであり、電動ウォータポンプ12と、横置きエンジン2の逆転を検知するクランク軸回転センサ13と、を有する。この横置きエンジン2は、エンジン始動方式として、第1クラッチ3を滑り締結しながらモータジェネレータ4によりクランキングする「MG始動モード」と、12Vバッテリ22を電源とするスタータモータ1によりクランキングする「スタータ始動モード」と、を有する。なお、「スタータ始動モード」は、極低温時条件等の限られた条件の成立時にのみに選択される。
前記モータジェネレータ4は、第1クラッチ3を介して横置きエンジン2に連結された三相交流の永久磁石型同期モータである。このモータジェネレータ4は、後述する強電バッテリ21を電源とし、ステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換するインバータ26が、ACハーネス27を介して接続される。なお、横置きエンジン2とモータジェネレータ4の間に介装された第1クラッチ3は、油圧作動による乾式又は湿式の多板クラッチであり、第1クラッチ油圧により完全締結/スリップ締結/開放が制御される。
前記第2クラッチ5は、モータジェネレータ4と駆動輪である左右の前輪10R,10Lとの間に介装された油圧作動による湿式多板摩擦クラッチであり、第2クラッチ油圧により完全締結/スリップ締結/開放が制御される。実施例1における第2クラッチ5は、遊星ギアによる前後進切替機構に設けられた前進クラッチ5aと後退ブレーキ5bを流用している。つまり、前進走行時には、前進クラッチ5aが第2クラッチ5とされ、後退走行時には、後退ブレーキ5bが第2クラッチ5とされる。
前記ベルト式無段変速機6は、プライマリプーリ6aと、セカンダリプーリ6bと、両プーリ6a,6bに掛け渡されたベルト6cと、を有する。そして、プライマリ油室とセカンダリ油室へ供給されるプライマリ圧とセカンダリ圧により、ベルト6cの巻き付き径を変えることで無段階の変速比を得る変速機である。ベルト式無段変速機6には、油圧源として、モータジェネレータ4のモータ軸(=変速機入力軸)により回転駆動されるメインオイルポンプ14(メカ駆動)と、補助ポンプとして用いられるサブオイルポンプ15(モータ駆動)と、を有する。そして、油圧源からのポンプ吐出圧を調圧することで生成したライン圧PLを元圧とし、第1クラッチ圧、第2クラッチ圧及びベルト式無段変速機6のプライマリ圧とセカンダリ圧を作り出すコントロールバルブユニット6dを備えている。
前記第1クラッチ3とモータジェネレータ4と第2クラッチ5により、1モータ・2クラッチと呼ばれるハイブリッド駆動システムが構成され、主な駆動態様として、「EVモード」、「HEVモード」、「WSCモード」を有する。「EVモード」は、第1クラッチ3を開放し、第2クラッチ5を締結してモータジェネレータ4のみを駆動源に有する電気自動車モードであり、「EVモード」による走行を「EV走行」という。「HEVモード」は、両クラッチ3,5を締結して横置きエンジン2とモータジェネレータ4を駆動源に有するハイブリッド車モードであり、「HEVモード」による走行を「HEV走行」という。「WSCモード」は、「HEVモード」又は「EVモード」において、モータジェネレータ4をモータ回転数制御とし、第2クラッチ5をドライバー要求駆動トルク相当の締結トルク容量にしてスリップ締結するCL2スリップ締結モードである。
FFハイブリッド車両の制動系は、図1に示すように、ブレーキ操作ユニット16と、ブレーキ液圧制御ユニット17と、左右前輪ブレーキユニット18R,18Lと、左右後輪ブレーキユニット19R,19Lと、を備えている。この制動系では、ブレーキ操作時にモータジェネレータ4により回生を行うとき、ペダル操作に基づく要求制動力に対し、要求制動力から回生制動力を差し引いた分を、液圧制動力で分担する回生協調制御が行われる。
前記ブレーキ操作ユニット16は、ブレーキペダル16a、横置きエンジン2の吸気負圧を用いる負圧ブースタ16b、マスタシリンダ16c、等を有する。この回生協調ブレーキユニット16は、ブレーキペダル16aへ加えられるドライバーからのブレーキ踏力に応じ、所定のマスタシリンダ圧を発生するもので、電動ブースタを用いない簡易構成によるユニットとされる。
前記ブレーキ液圧制御ユニット17は、図示していないが、電動オイルポンプ、増圧ソレノイドバルブ、減圧ソレノイドバルブ、油路切り替えバルブ、等を有して構成される。ブレーキコントロールユニット85によるブレーキ液圧制御ユニット17の制御により、ブレーキ非操作時にホイールシリンダ液圧を発生する機能と、ブレーキ操作時にホイールシリンダ液圧を調圧する機能と、を発揮する。ブレーキ非操作時の液圧発生機能を用いる制御が、トラクション制御(TCS制御)や車両挙動制御(VDC制御)やエマージェンシーブレーキ制御(自動ブレーキ制御)、等である。ブレーキ操作時の液圧調整機能を用いる制御が、回生協調ブレーキ制御、アンチロックブレーキ制御(ABS制御)、等である。
前記左右前輪ブレーキユニット18R,18Lは、左右前輪10R,10Lのそれぞれに設けられ、左右後輪ブレーキユニット19R,19Lは、左右後輪11R,11Lのそれぞれに設けられ、各輪に液圧制動力を付与する。これらのブレーキユニット18R,18L,19R,19Lには、ブレーキ液圧制御ユニット17で作り出されたブレーキ液圧が供給される図外のホイールシリンダを有する。
FFハイブリッド車両の電源系は、図1に示すように、モータジェネレータ4の電源としての強電バッテリ21と、12V系負荷の電源としての12Vバッテリ22と、を備えている。
前記強電バッテリ21は、モータジェネレータ4の電源として搭載された二次電池であり、例えば、多数のセルにより構成したセルモジュールを、バッテリパックケース内に設定したリチウムイオンバッテリが用いられる。この強電バッテリ21には、強電の供給/遮断/分配を行うリレー回路を集約させたジャンクションボックスが内蔵され、さらに、バッテリ冷却機能を持つ冷却ファンユニット24と、バッテリ充電容量(バッテリSOC)やバッテリ温度を監視するリチウムバッテリコントローラ86と、が付設される。
前記強電バッテリ21とモータジェネレータ4は、DCハーネス25とインバータ26とACハーネス27を介して接続される。インバータ26には、力行/回生制御を行うモータコントローラ83が付設される。つまり、インバータ26は、強電バッテリ21の放電によりモータジェネレータ4を駆動する力行時、DCハーネス25からの直流をACハーネス27への三相交流に変換する。また、モータジェネレータ4での発電により強電バッテリ21を充電する回生時、ACハーネス27からの三相交流をDCハーネス25への直流に変換する。
前記12Vバッテリ22は、スタータモータ1及び補機類である12V系負荷の電源として搭載された二次電池であり、例えば、エンジン車等に搭載されている鉛バッテリが用いられる。強電バッテリ21と12Vバッテリ22は、DC分岐ハーネス25aとDC/DCコンバータ37とバッテリハーネス38を介して接続される。DC/DCコンバータ37は、強電バッテリ21からの数百ボルト電圧を12Vに変換するものであり、このDC/DCコンバータ37を、ハイブリッドコントロールモジュール81により制御することで、12Vバッテリ22の充電量を管理する構成としている。
FFハイブリッド車両の電子制御系は、図1に示すように、車両全体の消費エネルギーを適切に管理する統合制御機能を担う電子制御ユニットとして、ハイブリッドコントロールモジュール81(略称:「HCM」)を備えている。他の電子制御ユニットとして、エンジンコントロールモジュール82(略称:「ECM」)と、モータコントローラ83(略称:「MC」)と、CVTコントロールユニット84(略称:「CVTCU」)と、を有する。さらに、ブレーキコントロールユニット85(略称:「BCU」)と、リチウムバッテリコントローラ86(略称:「LBC」)と、を有する。これらの電子制御ユニット81,82,83,84,85,86は、CAN通信線90(CANは「Controller Area Network」の略称)により双方向情報交換可能に接続され、互いに情報を共有する。
前記ハイブリッドコントロールモジュール81は、他の電子制御ユニット82,83,84,85,86、イグニッションスイッチ91等からの入力情報に基づき、様々な統合制御を行う。
前記エンジンコントロールモジュール82は、ハイブリッドコントロールモジュール81、エンジン回転数センサ92等からの入力情報に基づき、横置きエンジン2の始動制御や燃料噴射制御や点火制御や燃料カット制御、エンジンアイドル回転制御、等を行う。
前記モータコントローラ83は、ハイブリッドコントロールモジュール81、モータ回転数センサ93等からの入力情報に基づき、インバータ26に対する制御指令によりモータジェネレータ4の力行制御や回生制御、モータクリープ制御、モータアイドル制御、等を行う。
前記CVTコントロールユニット84は、ハイブリッドコントロールモジュール81、アクセル開度センサ94、車速センサ95、インヒビタースイッチ96、ATF油温センサ97等からの入力情報に基づき、コントロールバルブユニット6dへ制御指令を出力する。このCVTコントロールユニット84では、第1クラッチ3の締結油圧制御、第2クラッチ5の締結油圧制御、ベルト式無段変速機6のプライマリ圧とセカンダリ圧による変速油圧制御、等を行う。
前記ブレーキコントロールユニット85は、ハイブリッドコントロールモジュール81、ブレーキスイッチ98、ブレーキストロークセンサ99等からの入力情報に基づき、ブレーキ液圧制御ユニット17へ制御指令を出力する。このブレーキコントロールユニット85では、TCS制御、VDC制御、自動ブレーキ制御、回生協調ブレーキ制御、ABS制御、等を行う。
前記リチウムバッテリコントローラ86は、バッテリ電圧センサ100、バッテリ温度センサ101等からの入力情報に基づき、強電バッテリ21のバッテリSOCやバッテリ温度等を管理する。
[CL2スリップイン制御処理構成]
図2は、実施例1のハイブリッドコントロールモジュール81(コントローラ)にて実行されるCL2スリップイン制御処理の流れを示す。以下、エンジン始動要求の出力に基づいて制御を開始し、CL2スリップ判定により制御を終了するCL2スリップイン制御処理構成をあらわす図2の各ステップについて説明する。
ステップS1では、第2クラッチCL2へのトルク指令を、モータトルクに対して第2クラッチCL2が滑らない容量を持たせる指令から、ドライバー要求駆動トルク相当の容量を持たせる指令に低下させ、ステップS2へ進む。
ここで、「第2クラッチCL2が滑らない容量」とは、モータトルクの変動があっても第2クラッチCL2が滑らず完全締結を維持するように、モータトルクに付加トルクを加算したトルク容量をいう。「ドライバー要求駆動トルク」は、アクセル開度APOと車速VSPに基づいて、アクセル開度APOが大きいほど、車速VSPが高いほど大きなトルク値に決められる。
ステップS2では、ステップS1でのCL2トルク指令低下に続き、デフガタ詰め判定ONであるか否かを判断する。YES(デフガタ詰め判定ON)の場合はステップS3へ進み、NO(デフガタ詰め判定OFF)の場合はステップS6へ進む。
ここで、「デフガタ詰め判定ON」は、CL2スリップイン制御処理とは独立に判断されるもので、ドライバー要求駆動トルクが負から正に切り替わりでON判定を開始し、ドライバー要求駆動トルクが正の所定値以下で終了(デフガタ詰め判定OFF)を判定する。
ステップS3では、ステップS2でのデフガタ詰め判定ONであるとの判断に続き、モータトルクの上昇傾きを第1勾配α1に設定し、ステップS4へ進む。
ここで、第1勾配α1は、アクセル足離し操作時であって、ドライバーショック感度が高いデファレンシャルギアのガタショックを小さく抑える勾配として設定され、後述する第2勾配α2よりも小さな勾配値とする。
ステップS4では、ステップS3での第1勾配α1の設定、或いは、ステップS5でのデフガタ詰め判定ONであるとの判断に続き、ステップS3で設定された第1勾配α1により上昇するモータトルク指令を出力し、ステップS5へ進む。
ステップS5では、ステップS4での第1勾配α1によるモータトルク指令に続き、デフガタ詰め判定OFFであるか否かを判断する。YES(デフガタ詰め判定OFF)の場合はステップS6へ進み、NO(デフガタ詰め判定ON)の場合はステップS4へ戻る。
ステップS6では、ステップS2又はステップS5でのデフガタ詰め判定OFFであるとの判断に続き、ドライバーショック感度の判定に、車速VSPとアクセル開度変化速度ΔAPOを用い、車速VSPが規定値以下で、且つ、アクセル開度変化速度ΔAPOが規定値以下という条件が成立するか否かを判断する。YES(車速VSP≦規定値、且つ、アクセル開度変化速度ΔAPO≦規定値)の場合はステップS7へ進み、NO(車速VSP>規定値、又は、アクセル開度変化速度ΔAPO>規定値)の場合はステップS8へ進む。
つまり、ドライバーショック感度は、車速VSPが低車速側(低ギア比側)であるほど、且つ、アクセル緩踏み操作によるアクセル開度変化速度ΔAPOが小さいほど、ドライバーショック感度が高いと判定する。逆に、車速VSPが高車速側(高ギア比側)であるとき、又は、アクセル急踏み操作によるアクセル開度変化速度ΔAPOが大きいとき、ドライバーショック感度が低いと判定する。
ステップS7では、ステップS6での車速VSP≦規定値、且つ、アクセル開度変化速度ΔAPO≦規定値であるとの判断に続き、ドライバーショック感度が高いと判定し、モータトルクの上昇傾きを第2勾配α2に設定し、ステップS9へ進む。
即ち、図3において、車速VSP≦規定値である運転点Aからの緩加速走行シーンや車速VSP≦規定値である運転点Bからのアクセル一定始動走行シーンの場合は、ドライバーショック感度が高いと判定される。さらに、車速VSP≦規定値である運転点Cからのコースト走行シーンでのシステム始動(バッテリSOC低下等によるエンジン始動要求時)の場合もドライバーショック感度が高いと判定される。
ステップS8では、ステップS6での車速VSP>規定値、又は、アクセル開度変化速度ΔAPO>規定値であるとの判断に続き、ドライバーショック感度が低いと判定し、モータトルクの上昇傾きを第3勾配α3(>第2勾配α2)に設定し、ステップS9へ進む。
即ち、図3において、アクセル開度変化速度ΔAPO>規定値である運転点Dや運転点Eからの踏み込み始動走行シーンの場合は、ドライバーショック感度が低いと判定される。さらに、車速VSP>規定値である運転点Fからの緩加速走行シーン、運転点Gからのアクセル一定始動走行シーン、運転点Hからのコースト走行シーンでのシステム始動の場合は、ドライバーショック感度が低いと判定される。
ステップS9では、ステップS7及びステップS8での勾配設定、或いは、ステップS10でのCL2スリップ判定無しの判断に続き、選択された勾配(第2勾配α2、又は、第3勾配α3)により上昇するモータトルク指令を出力し、ステップS10へ進む。
ステップS10では、ステップS9で選択された第2勾配α2又は第3勾配α3によるモータトルク指令に続き、第2クラッチCL2がスリップを開始し、スリップ判定がなされたか否かを判断する。YES(CL2スリップ判定有り)の場合はエンドへ進み、NO(CL2スリップ判定無し)の場合はステップS9へ戻る。
ここで、「CL2スリップ判定」は、第2クラッチCL2のスリップ量を監視し、スリップ量がスリップ判定閾値以上になるとCL2スリップ判定有りとする。
次に、作用を説明する。
実施例1のFFハイブリッド車両の制御装置における作用を、「CL2スリップイン制御処理作用」、「CL2スリップイン制御作用」、「CL2スリップイン制御の特徴作用」に分けて説明する。
[CL2スリップイン制御処理作用]
以下、図2のフローチャートに基づき、CL2スリップイン制御処理作用を説明する。
デフガタ詰め判定ONの状態でエンジン始動要求が出されたときは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進む。そして、ステップS5でデフガタ詰め判定ONと判断されている間は、ステップS4→ステップS5へと進む流れが繰り返される。ステップS1では、第2クラッチCL2へのトルク指令を、モータトルクに対して第2クラッチCL2が滑らない容量を持たせる指令から、ドライバー要求駆動トルク相当の容量を持たせる指令に低下させる。なお、CL2実トルクは、油圧の応答遅れを持って低下する(図5、図6、図7参照)。ステップS3では、モータトルクの上昇傾きが第1勾配α1(<第2勾配α2)に設定される。ステップS4では、ステップS3で設定された第1勾配α1により上昇するモータトルク指令が出力される。
そして、ステップS5でデフガタ詰め判定OFFと判断されると、図2のフローチャートにおいて、ステップS5からステップS6へと進み、ステップS6では、車速VSPが規定値以下で、且つ、アクセル開度変化速度ΔAPOが規定値以下という条件が成立するか否かが判断される。このステップS6において、車速VSP≦規定値、且つ、アクセル開度変化速度ΔAPO≦規定値と判断されると、ステップS7へ進み、ステップS7では、ドライバーショック感度が高いとの判定に基づき、モータトルクの上昇傾きが第2勾配α2に設定される。一方、ステップS6において、車速VSP>規定値、又は、アクセル開度変化速度ΔAPO>規定値と判断されると、ステップS8へ進み、ステップS8では、ドライバーショック感度が低いとの判定に基づき、モータトルクの上昇傾きが第3勾配α3(>第2勾配α2)に設定される。
そして、ステップS7又はステップS8からはステップS9→ステップS10へ進み、ステップS10でCL2スリップ判定有りと判断されるまでは、ステップS9→ステップS10へと進む流れが繰り返される。ステップS9では、選択された勾配(第2勾配α2、又は、第3勾配α3)により上昇するモータトルク指令が出力される。ステップS10でCL2スリップ判定有りと判断されると、ステップS10からエンドへ進み、CL2スリップイン制御を終了する。
一方、デフガタ詰め判定OFFの状態でエンジン始動要求が出されたときは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS6へと進む。そして、ステップS6以降の処理流れは、上記同様に、ステップS6にて車速VSP≦規定値、且つ、アクセル開度変化速度ΔAPO≦規定値と判断されると、ステップS6からステップS7→ステップS9→ステップS10へと進む。そして、CL2スリップイン制御を終了するまで第2勾配α2により上昇するモータトルク指令が出力される。又、ステップS6にて車速VSP>規定値、又は、アクセル開度変化速度ΔAPO>規定値と判断されると、ステップS6からステップS8→ステップS9→ステップS10へと進む。そして、CL2スリップイン制御を終了するまで第3勾配α3により上昇するモータトルク指令が出力される。
[CL2スリップイン制御作用]
以下、実施例1のCL2スリップイン制御作用を、「技術背景」、「デフガタ詰め領域でのCL2スリップイン制御作用(図4、図5)」、「アクセル一定・緩加速時のCL2スリップイン制御作用(図6)」、「アクセル踏み込み時のCL2スリップイン制御作用(図7)」に分けて説明する。
(技術背景)
実施例1のように、1モータ・2クラッチの駆動システムでは、MG始動モードによるエンジン始動時に第2クラッチCL2をスリップさせて駆動輪へ伝達されるトルク変動を遮断することをコンセプトとしている。
よって、エンジン始動要求があると、エンジン始動時のトルク急変によるエンジン始動ショックを防止するため、第2クラッチCL2のスリップを開始させるCL2スリップイン制御が行われる。このCL2スリップイン制御は、ドライバー要求駆動トルクに対してモータトルクを加算して第2クラッチCL2への入力トルクを増加させ、モータトルクとCL2クラッチ容量(≒ドライバー要求駆動トルク)に差分を生じさせ、トルク差により第2クラッチCL2の滑りを促すことで行う。
上記CL2スリップイン制御においては、加算したモータトルクの上昇勾配をどのように設定するかが重要になる。そこで、本発明者等は、モータトルク上昇勾配とスリップイン時間とスリップインショックとの関係について実験による解析を行った。その結果、モータトルク上昇勾配が大きいほどスリップイン時間が短く、スリップインレスポンスが向上する。又、モータトルク上昇勾配が大きいほどスリップインショックが大きくなる。この結果にしたがって、ドライバーによるアクセル操作情報に基づきレスポンス要求を判定し、レスポンス要求が高いときにモータトルク上昇勾配を大きくし、それ以外のときにモータトルク上昇勾配を小さくすることを考えた。
しかし、同じモータトルク上昇勾配としたとき、低車速側(低ギア比側)ではスリップインショックが悪化するが、高車速側(高ギア比側)ではスリップインショックの悪化がないことを知見した。このように、ドライバーによるアクセル操作情報のみを用いると、高車速領域はギア比がハイになるため、スリップインショック感度が低く、スリップインレスポンス側に寄せたいが、切り分けができない。
以上の知見に基づき、ドライバーショック感度に着目し、アクセル操作情報に車速情報を加えてドライバーショック感度を判定し、ドライバーショック感度に応じてモータトルク上昇勾配を切り分けるという考えに至った。このドライバーショック感度に応じたモータトルク上昇勾配の切り分けにより、スリップインショック低減とスリップインレスポンス向上を両立できることが判明した。但し、デフガタ詰め領域は、急なトルクの向き反転により発生するガタショック感度が大きいため、ドライバー操作に因らず、別設定によりモータトルク上昇勾配を小さくする必要がある。
上記考え方に基づき、デフガタ領域を別設定にしつつ、ドライバーショック感度に応じてモータトルク上昇勾配の切り分けを行う構成を採用したのが、実施例1のCL2スリップイン制御である。
(デフガタ詰め領域でのCL2スリップイン制御作用)
図4は、エンジン始動要求の介入がないEV走行中にデフガタ詰め判定がなされたときのタイムチャートを示す。時刻t1〜時刻t3までのデフガタ詰め判定領域では、CL2トルクを第2クラッチCL2の完全締結を保つレベルで低下させ、モータトルクを所定の勾配にて上昇した後、一定トルクを保つ。これにより、時刻t3の前後で発生するガタショックを低減するようにしている。
図5は、EV走行中であってデフガタ詰め判定領域の途中で出されたエンジン始動要求に基づき実施例1のCL2スリップイン制御が介入したときのタイムチャートである。
図5において、時刻t1はデフガタ詰め判定開始時刻、時刻t2は始動開始時刻(CL2スリップイン制御開始時刻)、時刻t3はデフガタ詰め判定終了時刻である。
デフガタ詰め判定開始時刻t1から始動開始時刻t2までは、エンジン始動要求の介入がない図4と同様である。そして、時刻t2にてCL2スリップイン制御が開始されると、第2クラッチCL2へのトルク指令がドライバー要求駆動トルク相当の容量を持たせる指令まで低下させる。同時に、デフガタ詰め判定領域であるため、モータトルク上昇傾きが第1勾配α1に設定され、時刻t2からデフガタ詰め判定終了時刻t3までモータトルクが緩やかな傾きにて上昇する。そして、デフガタ詰め判定終了時刻t3以降は、図6又は図7と同じように、モータトルク上昇傾きが第2勾配α2又は第3上昇勾配α3に設定され、設定された勾配によりモータトルクが上昇する。
このように、デフガタ詰め判定領域でのモータトルク上昇傾きを、ガタショック低減を狙った第1勾配α1に設定することで、エンジン始動要求の介入があっても、時刻t3の前後で発生するガタショックが低減される。
(アクセル一定・緩加速時のCL2スリップイン制御作用)
図6は、アクセル一定・緩加速によるEV走行中に出されたエンジン始動要求に基づき実施例1のCL2スリップイン制御が行われるときのタイムチャートである。
図6において、時刻t1は始動開始時刻(CL2スリップイン制御開始時刻)、時刻t2はCL2スリップ判定時刻である。
時刻t1にてCL2スリップイン制御が開始されると、第2クラッチCL2へのトルク指令がドライバー要求駆動トルク相当の容量を持たせる指令まで低下させる。同時に、アクセル一定・緩加速時であることでドライバーショック感度が高いとの判定に基づき、モータトルク上昇傾きが第2勾配α2(>α1)に設定され、時刻t1から時刻t2に向かってモータトルクが第2勾配α2の傾きにて上昇する。そして、時刻t2にてCL2スリップが判定されると、CL2スリップイン制御が終了し、エンジンクランキングによるエンジン始動制御が開始される。
このように、ドライバーショック感度が高いときのモータトルク上昇傾きを、第2勾配α2に設定することで、図7との対比から明らかなように、CL2スリップインショックが小さく抑えられる。
(アクセル踏み込み時のCL2スリップイン制御作用)
図7は、アクセル踏み込み操作によるEV走行中に出されたエンジン始動要求に基づき実施例1のCL2スリップイン制御が行われるときのタイムチャートである。
図7において、時刻t1は始動開始時刻(CL2スリップイン制御開始時刻)、時刻t2はCL2スリップ判定時刻である。
時刻t1にてCL2スリップイン制御が開始されると、第2クラッチCL2へのトルク指令がドライバー要求駆動トルク相当の容量を持たせる指令まで低下させる。同時に、アクセル踏み込み時であることでドライバーショック感度が低いとの判定に基づき、モータトルク上昇傾きが第3勾配α3(>α2)に設定され、時刻t1から時刻t2に向かってモータトルクが第3勾配α3の傾きにて上昇する。そして、時刻t2にてCL2スリップが判定されると、CL2スリップイン制御が終了し、エンジンクランキングによるエンジン始動制御が開始される。
このように、ドライバーショック感度が低いときのモータトルク上昇傾きを、第3勾配α3に設定することで、図6との対比から明らかなように、CL2スリップイン時間(時刻t1〜時刻t2)が短く抑えられる。
[CL2スリップイン制御の特徴作用]
実施例1では、CL2スリップイン制御時、加算したモータトルクの上昇傾きを、ドライバーショック感度が高いほど小さくし、ドライバーショック感度が低いほど大きくする構成とした。
即ち、CL2スリップイン制御時、ドライバーショック感度の高低により、モータトルクの上昇傾きの大小を切り分けるようにしている。よって、アクセル一定時や緩加速時等のようにドライバーショック感度が高いときは、モータトルクの上昇傾きが小さくされることで、スリップインショックの発生が低く抑えられる。一方、アクセル踏込始動時等のようにドライバーショック感度が低いときは、モータトルクの上昇傾きが大きくされることで、早期にスリップイン制御が完了する。
この結果、第2クラッチCL2のCL2スリップイン制御時、スリップインショック低減とスリップインレスポンス向上との両立が図られる。
実施例1では、ドライバーショック感度の判定に、車速VSPとアクセル開度変化速度ΔAPOを用い、車速VSPが低車速側であるほど、且つ、アクセル開度変化速度ΔAPOが小さいほど、ドライバーショック感度が高いと判定する構成とした。
即ち、車速VSPをドライバーショック感度の判定に加えることで、例えば、アクセル開度変化速度ΔAPOが一定や緩加速域で同じとき、低車速領域ではスリップインショックが悪化するが、高車速領域ではスリップインショックを感じない。このとき低車速領域であればドライバーショック感度が高いと判定され、高車速領域であればドライバーショック感度が低いと判定される。
従って、ドライバーショック感度の高低判定に、アクセル操作によるショック感度の違いに加え、車速の高低に対するスリップインショック感度の違いが反映される。
実施例1では、車速VSPが規定値以下で、且つ、アクセル開度変化速度ΔAPOが規定値以下という条件が成立するとドライバーショック感度が高いと判定し、モータトルクの上昇傾きを第2勾配α2で与える。そして、車速条件とアクセル開度変化速度条件が成立しないとドライバーショック感度が低いと判定し、モータトルクの上昇傾きを第2勾配α2より大きな第3勾配α3で与える構成とした。
即ち、スリップインショック低減要求がある緩加速走行シーンやアクセル一定走行シーンやシステム始動走行シーン等において、モータトルク上昇傾きとして第2勾配α2が与えられ、スリップインショック低減要求に応えることができる。一方、スリップインショック感度が低くスリップインレスポンスが要求されるアクセル踏み込み始動の走行シーン等において、モータトルク上昇傾きとして第3勾配α3(>α2)が与えられ、スリップインレスポンス要求に応えることができる。
従って、ドライバーショック感度の的確な高低判定に基づき、スリップインショック低減要求とスリップインレスポンス要求に応えられる。
実施例1では、ドライバーショック感度の判定とは別に、ドライバー要求駆動トルクが負から正へと切り替わるデフガタ詰め領域を判定し、デフガタ詰め領域であるとの判定中、モータトルクの上昇傾きを第2勾配α2より小さな第1勾配α1で与える構成とした。
即ち、デフガタ詰め領域は、急なトルクの向き反転により発生するガタショック感度が大きい。これに対し、ドライバーショック感度の判定とは別設定により、モータトルク上昇勾配を小さくした(第1勾配α1)。
従って、デフガタ詰め領域を別設定とすることで、エンジン始動のレスポンスを損なうことなく、差動ギア8のガタショックが防止される。
実施例1では、ドライバー要求駆動トルクが負から正に切り替わりでデフガタ詰め領域の開始を判定し、且つ、ドライバー要求駆動トルクが正の所定値以下になるとデフガタ詰め領域の終了を判定する構成とした。
従って、ドライバー要求駆動トルクを監視することで、精度の良いデフガタ詰め領域の開始判定と終了判定が行われる。
実施例1では、エンジン始動要求に基づきCL2スリップイン制御が開始されると、第2クラッチCL2の締結容量を、ドライバー要求駆動トルク相当まで低下させるクラッチトルク指令を出力する構成とした。
例えば、モータトルク上昇だけにより第2クラッチCL2のスリップを開始させることは可能である。しかし、この場合、第2クラッチCL2の締結容量を超えるモータトルクになるまで待つ必要があり、CL2スリップイン時間が長くなる。
これに対し、CL2締結容量低下とモータトルク上昇とを併用することにより、CL2スリップイン時間が短縮される。
次に、効果を説明する。
実施例1のFFハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) エンジン(横置きエンジン2)とモータ(モータジェネレータ4)を駆動源とし、モータ(モータジェネレータ4)と駆動輪(左右の前輪10R,10L)との間に摩擦クラッチ(第2クラッチCL2)を介装した駆動系を備えるハイブリッド車両(FFハイブリッド車両)において、
エンジン始動要求があると、摩擦クラッチ(第2クラッチCL2)のスリップイン制御(CL2スリップイン制御)を、ドライバー要求駆動トルクに対しモータトルクを加算し、モータトルクとクラッチ容量(CL2クラッチ容量)に差分を生じさせることで行うコントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール81)を設け、
コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、スリップイン制御時(CL2スリップイン制御時)、加算したモータトルクの上昇傾きを、ドライバーショック感度が高いほど小さくし、ドライバーショック感度が低いほど大きくする。
このため、摩擦クラッチ(第2クラッチCL2)のスリップイン制御時(CL2スリップイン制御時)、スリップインショック低減とスリップインレスポンス向上との両立を図ることができる。
(2) コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、ドライバーショック感度の判定に、車速VSPとアクセル開度変化速度ΔAPOを用い、車速VSPが低車速側であるほど、且つ、アクセル開度変化速度ΔAPOが小さいほど、ドライバーショック感度が高いと判定する。
このため、(1)の効果に加え、ドライバーショック感度の高低判定に、アクセル操作によるショック感度の違いに加え、車速の高低に対するスリップインショック感度の違いを反映することができる。
(3) コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、車速VSPが規定値以下で、且つ、アクセル開度変化速度ΔAPOが規定値以下という条件が成立するとドライバーショック感度が高いと判定し、モータトルクの上昇傾きを第2勾配α2で与え、前記条件が成立しないとドライバーショック感度が低いと判定し、モータトルクの上昇傾きを第2勾配α2より大きな第3勾配α3で与える。
このため、(2)の効果に加え、ドライバーショック感度の的確な高低判定に基づき、スリップインショック低減要求とスリップインレスポンス要求に応えることができる。
(4) コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、ドライバーショック感度の判定とは別に、ドライバー要求駆動トルクが負から正へと切り替わるデフガタ詰め領域を判定し、デフガタ詰め領域であるとの判定中、モータトルクの上昇傾きを第2勾配α2より小さな第1勾配α1で与える。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、デフガタ詰め領域を別設定とすることで、エンジン始動のレスポンスを損なうことなく、デフ(差動ギア8)のガタショックを防止することができる。
(5) コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、ドライバー要求駆動トルクが負から正に切り替わることでデフガタ詰め領域の開始を判定し、且つ、ドライバー要求駆動トルクが正の所定値以下になるとデフガタ詰め領域の終了を判定する。
このため、(4)の効果に加え、ドライバー要求駆動トルクを監視することで、精度の良いデフガタ詰め領域の開始判定と終了判定を行うことができる。
(6) コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、エンジン始動要求に基づきスリップイン制御(CL2スリップイン制御)が開始されると、摩擦クラッチ(第2クラッチCL2)の締結容量を、ドライバー要求駆動トルク相当まで低下させるクラッチトルク指令を出力する。
このため、(1)〜(5)の効果に加え、第2クラッチCL2の締結容量低下とモータトルク上昇とを併用することにより、第2クラッチCL2のスリップイン時間を短縮することができる。
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、変速機として、プライマリプーリ6aとセカンダリプーリ6bにベルト6cを掛け渡し、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecを変速油圧とするベルト式無段変速機6を用いる例を示した。しかし、変速機としては、ステップATと呼ばれる自動変速機、手動変速機構造で変速を自動化したAMT、2つのクラッチを持ち手動変速機構造で変速を自動化したDCT、等を用いる例であっても良い。
実施例1では、本発明の制御装置を、1モータ・2クラッチの駆動形式によるFFハイブリッド車両に適用する例を示した。しかし、本発明の制御装置は、FRハイブリッド車両や1モータ・2クラッチの駆動形式以外のハイブリッド車両に対しても適用することができる。要するに、エンジンとモータを駆動源とし、モータと駆動輪との間に摩擦クラッチを介装した駆動系を備えたハイブリッド車両に適用することができる。
2 横置きエンジン(エンジン)
3 第1クラッチ
4 モータジェネレータ(モータ)
5 第2クラッチ(摩擦クラッチ)
6 ベルト式無段変速機
10L,10R 左右の前輪(駆動輪)
14 メインオイルポンプ
81 ハイブリッドコントロールモジュール(コントローラ)
82 エンジンコントロールモジュール
83 モータコントローラ
84 CVTコントロールユニット
85 ブレーキコントロールユニット
86 リチウムバッテリコントローラ

Claims (5)

  1. エンジンとモータを駆動源とし、前記モータと駆動輪との間に摩擦クラッチを介装した駆動系を備えるハイブリッド車両において、
    エンジン始動要求があると、前記摩擦クラッチのスリップイン制御を、ドライバー要求駆動トルクに対しモータトルクを加算し、モータトルクとクラッチ容量に差分を生じさせることで行うコントローラを設け、
    前記コントローラは、
    ドライバーショック感度の判定に、車速とアクセル開度変化速度を用い、車速が低車速側であるほど、且つ、アクセル開度変化速度が小さいほど、前記ドライバーショック感度が高いと判定し、
    スリップイン制御時、前記加算したモータトルクの上昇傾きを、前記ドライバーショック感度が高いほど小さくし、前記ドライバーショック感度が低いほど大きくする
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記コントローラは、車速が規定値以下で、且つ、アクセル開度変化速度が規定値以下という条件が成立すると前記ドライバーショック感度が高いと判定し、前記モータトルクの上昇傾きを第2勾配で与え、前記条件が成立しないと前記ドライバーショック感度が低いと判定し、前記モータトルクの上昇傾きを前記第2勾配より大きな第3勾配で与える
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記コントローラは、ドライバー要求駆動トルクが負から正へと切り替わるデフガタ詰め領域の開始を判定し、デフガタ詰め領域であるとの判定中、前記モータトルクの上昇傾きを前記第2勾配より小さな第1勾配で与え
    前記デフガタ詰め領域の終了が判定されると、前記ドライバーショック感度が高いか低いかを判定す
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項3に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記コントローラは、ドライバー要求駆動トルクが負から正に切り替わりでデフガタ詰め領域の開始を判定し、且つ、ドライバー要求駆動トルクが正の所定値以下になるとデフガタ詰め領域の終了を判定する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  5. 請求項1から請求項4までの何れか一項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記コントローラは、エンジン始動要求に基づきスリップイン制御が開始されると、前記摩擦クラッチの締結容量を、ドライバー要求駆動トルク相当まで低下させるクラッチトルク指令を出力する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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