JP6286972B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Description
そして、第1クラッチを介してエンジンにモータが連結されているため、エンジンストールするとモータ回転数も低下する。ここで、モータによってライン圧を生成するオイルポンプを回転駆動している場合では、オイルポンプの回転数が低下し、十分なポンプ吐出量を得られずにライン圧の確保が困難になる。
そのため、第1クラッチや第2クラッチにおけるトルク容量を意図通りに制御することができず、システム的に第1クラッチのストロークから第1クラッチトルク容量を推定することができなくなる。その結果、第1クラッチの再締結が困難になり、エンジン再始動を速やかに行うことができないという問題が発生する。
そして、前記エンスト対応制御手段は、エンスト判定部と、クラッチ開放制御部と、を有している。
前記エンスト判定部は、前記エンジン回転数が低下して前記エンジンがライン圧を確保できない回転数になったことを判定する。
前記クラッチ開放制御部は、前記エンジンがライン圧を確保できない回転数になったことが判定されたら、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチに開放指令を出力する。
さらに、前記エンスト対応制御手段は、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチへの開放指令出力後、前記モータをライン圧が確保できる回転数に制御する。
すなわち、エンジンとモータを駆動源とするハイブリッド車モード時では、エンジン回転数の低下に伴ってモータ回転数が低下する。これに対し、第1クラッチ及び第2クラッチに開放指令が出力されることで、エンジンとモータの間の動力伝達が切り離され、モータ回転数をエンジン回転数に拘わらず上昇させることができる。そして、モータ回転数が上昇し、ライン圧を確保できる回転数になったら、ライン圧が生成され、第1クラッチや第2クラッチの制御を行うことが可能となる。
しかも、第1クラッチが開放したことで、第1クラッチのトルク容量が0Nmになったとして、クラッチ状態を把握することが可能になる。そして、クラッチ状態を把握した状態でライン圧が生成されれば、クラッチトルク容量の制御を意図通りに行うことができる。この結果、速やかなエンジン再始動を可能にすることができる。
まず、実施例1のハイブリッド車両の制御装置の構成を、「FFハイブリッド車両の全体システム構成」、「エンスト時車両制御処理の詳細構成」に分けて説明する。
図1は、実施例1の制御装置が適用されたFFハイブリッド車両を示す全体システム図である。以下、図1に基づいて、実施例1のハイブリッド車両の制御装置が適用されたFFハイブリッド車両の全体システム構成を説明する。
なお、このモータ/ジェネレータ4とインバータ26は、ACハーネス27を介して接続される。
前記「EVモード」は、第1クラッチ3を開放し、第2クラッチ5を締結してモータ/ジェネレータ4のみを駆動源とする電気自動車モードであり、この「EVモード」による走行を「EV走行」という。
前記「HEVモード」は、第1,第2クラッチ3,5を締結して横置きエンジン2とモータ/ジェネレータ4を駆動源とするハイブリッド車モードであり、この「HEVモード」による走行を「HEV走行」という。この「HEVモード」を、モータ/ジェネレータ4の使い方によって細分化すると、エンジン車モード(モータ/ジェネレータ4に0トルク指令)・モータアシストモード(モータ/ジェネレータ4に正トルク指令)・エンジン発電モード(モータ/ジェネレータ4に負トルク指令)を有する。
前記「WSCモード」は、横置きエンジン2を作動させた状態で、第1クラッチ3を締結すると共に第2クラッチ5を要求駆動力に応じた伝達トルク容量でスリップ締結し、横置きエンジン2を動力源に含みながら走行するエンジン使用スリップモードである。
図2は、ハイブリッドコントロールモジュールにて実行されるエンスト時車両制御処理(エンスト対応制御手段)の流れを示すフローチャートである。以下、エンスト時車両制御処理の詳細構成を表す図2の各ステップについて説明する。
ここで、走行モード(駆動態様)は、図3に示すモード選択マップにおけるアクセル開度と車速で決まる運転点(APO,VSP)の位置によって決まる。つまり、図3のモード選択マップにおいて、運転点(APO,VSP)が「HEV領域」に存在すれば、現在の走行モードは「HEVモード」になる。
ここで、「エンスト判定閾値」とは、横置きエンジン2が自立運転できる回転数(アイドル回転数)及びライン圧生成可能閾値を下回る値であり、任意に設定することができる。また、「エンスト判定時間」とは、エンジン回転数の低下状態が継続したことで横置きエンジン2が完全に自立運転できなくなる時間である。
また、「ライン圧生成可能閾値」とは、モータ/ジェネレータ4によって回転駆動されるメインオイルポンプ14によって、ライン圧PLを確保(生成)することが可能な回転数である。
なお、このステップS2は、エンジン回転数が低下して横置きエンジン2がライン圧PLを確保できない回転数になったことを判定するエンスト判定部に相当する。
ここで、「トルク容量を0Nmにさせる油圧制御指令」とは、クラッチ伝達トルクは0Nmの状態であるものの、プリチャージ油圧は保持した状態にする指令であり、実質的にクラッチ開放を行う指令である。
また、このステップS3が、横置きエンジン2がライン圧PLを確保できない回転数になったことが判定されたら、第1クラッチ3及び第2クラッチ5に開放指令を出力するクラッチ開放制御部に相当する。
ここで、「CL1開放判定時間」とは、第1クラッチ3が開放し、横置きエンジン2とモータ/ジェネレータ4の間の動力伝達が遮断されたと判断できる時間である。
ここで、「ライン圧生成判定時間」とは、メインオイルポンプ14によってライン圧PLの生成を可能とする時間である。
これにより、ステップS3において強制的に取り下げた走行モードを「HEVモード」にするHEV要求が再び出力されることとなる。また、第1クラッチ3の締結制御が可能となり、モータ回転数を横置きエンジン2に伝達してのエンジン始動が可能になる。また、第2クラッチ5の締結制御が可能となり、この第2クラッチ5を介してのトルク伝達が可能となる。
なお、ステップS4〜ステップS6は、第1クラッチ3及び第2クラッチ5への開放指令出力後、第1クラッチ3が開放していることと、メインオイルポンプ14によりライン圧PLが生成されたことを確認したら、横置きエンジン2の再始動を許可するエンジン再始動許可部に相当する。
ここで、「エンジン始動制御」とは、第1クラッチ3を締結して、モータ/ジェネレータ4の回転によって横置きエンジン2を自立運転可能回転数で回転させた後、燃料噴射及び点火してエンジン完爆状態にすることである。
なお、このステップS8及びステップS3,ステップS6は、横置きエンジン2がストール状態になったことが判定されたら、HEV要求を取り下げ、横置きエンジン2の再始動が許可されたら、HEV要求を復帰し、直ちに横置きエンジン2の再始動制御を開始するエンジン再始動制御部に相当する。
なお、「レート処理」とは、油圧制御指令値を徐々に変化させて目標に一致させる処理であり、指令値の急変を抑制する処理である。
図4は、実施例1の制御装置において、HEVモード時にエンスト時車両制御処理を行った際のブレーキ、アクセル開度、車速、エンジン回転数、モータ回転数、目標モータ回転数、エンスト判定、HEV要求、要求駆動トルク、CL2指令トルク、CL1指令油圧の各特性を示すタイムチャートである。以下、図4に基づき、実施例1のエンスト対応制御作用を説明する。
ここで、モータ/ジェネレータ4のモータ軸によってメインオイルポンプ14を回転駆動しているので、モータ回転数が低下するとメインオイルポンプ14からのポンプ吐出圧が低下してしまう。そのため、目標モータ回転数はオイル吐出圧を確保できる回転数に維持される。しかしながら、実際のモータ回転数は、エンジン回転数と同期して低下し続ける。
このため、時刻t4時点において、第2クラッチ5の指令トルクは0Nmになり、第1クラッチ3の指令油圧は0kPaになる。また、HEV要求はONからOFFへと変更になる。なお、目標モータ回転数は、第2クラッチ5のトルク容量が0Nmにされたことで、アイドル回転数に引き下げられるが、このアイドル回転数を維持するので、ライン圧PLを確保できる回転数に制御されることとなる。
そして、時刻t5時点からモータ回転数が上昇を開始し、メインオイルポンプ14からのポンプ吐出圧が上昇する。そして、時刻t6時点でモータ回転数がライン圧生成可能閾値に達することにより、メインオイルポンプ14によりライン圧PLが生成され、クラッチ油圧制御が可能になる。
なおこのとき、横置きエンジン2はストール状態に陥っているため、エンジン回転数は0rpmのままである。しかし、第1クラッチ3が遮断されているので、横置きエンジン2がモータ負荷になることはない。また、第2クラッチ5も遮断されているので、駆動輪やベルト式無段変速機6がモータ/ジェネレータ4の負荷になることはない。
これにより、ステップS9→ステップS10へと進み、第2クラッチ5の指令トルクを要求駆動トルクに合わせるように変化させる。さらに、このとき、第2クラッチ5の指令トルクにはレート処理が施されるので、指令トルクの急変が抑制され、指令トルクは時間とともに徐々に増大変化していく。
その後、時刻t12時点で、第2クラッチ5の指令トルクが要求駆動トルクに達したら、次第に車速が上昇を開始する。
ここで、第1,第2クラッチ3,5に開放指令を出力しているので、ストール状態の横置きエンジン2に引きずられて回転数が0rpmになったモータ/ジェネレータ4を独立して回動可能とし、メインオイルポンプ14によってライン圧PLの生成を行うことができる。
そして、第2クラッチ5に対しても開放指令が出力されていると共に、ライン圧PLが生成されていることから、この第2クラッチ5も開放していると判断できる。そのため、第2クラッチ5の状態も適切に把握することができ、クラッチ油圧制御を意図通りに行うことができる。そのため、意図しないショックの発生を防止することができる。
すなわち、第1クラッチ3が開放したことを時間によって判断しているので、第1クラッチ3のストロークを検出するストロークセンサ等が不要となり、第1クラッチ3の開放を容易且つ精度よく把握することができる。
そのため、ライン圧PLが生成されたことをエンジン回転数及びモータ回転数と時間に基づいて判断するため、圧力センサが不要となり、ライン圧PLの生成を簡易な構成で精度よく確認することができる。
そのため、エンジン回転数と時間に基づいてエンスト状態を判定することができ、容易且つ精度よく判定することができる。
そのため、横置きエンジン2の再始動制御を簡易な制御で速やかに行うことができる。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記第1クラッチ3を締結し、前記エンジン2と前記モータ4を駆動源とするハイブリッド車モード(HEVモード)時、エンジン回転数が所定回転数以下になったとき、エンジンストール対応制御を行うエンスト対応制御手段(図2)を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンスト対応制御手段(図2)は、前記エンジン回転数が低下して前記エンジン2がライン圧PLを確保できない回転数になったことを判定するエンスト判定部(ステップS2)と、
前記エンジン2がライン圧PLを確保できない回転数になったことが判定されたら、前記第1クラッチ3及び前記第2クラッチ5に開放指令を出力するクラッチ開放制御部(ステップS3)と、を有し、
前記第1クラッチ3及び前記第2クラッチ5への開放指令出力後、前記モータ4をライン圧PLが確保できる回転数に制御する構成とした。
これにより、ハイブリッド車モード時にエンジンがライン圧PLを確保できない回転数になった際、クラッチ状態を適切に把握し、速やかなエンジン再始動を可能にすることができる。
これにより、上記(1)の効果に加え、モータ回転数がライン圧PLを確保できる回転数に達したと判定することができる上、ライン圧PLを確保することができ、速やかなエンジン再始動の実現性を向上することができる。
前記エンジン再始動許可部(ステップS4〜ステップS6)は、前記第1クラッチ3への開放指令の出力から第1所定時間(CL1開放判定時間)が経過したら、前記第1クラッチ3が開放したと確認する構成とした。
これにより、上記(1)の効果に加え、第1クラッチ3の開放状態を容易に精度よく確認することができる。
これにより、上記(3)の効果に加え、ライン圧PLの生成を容易に精度よく確認することができる。
これにより、上記(1)から(4)のいずれかの効果に加え、エンジン2がライン圧PLを確保できない回転数になったことを容易に精度よく判定することができる。
これにより、上記(1)から(5)のいずれかの効果に加え、横置きエンジン2の再始動を簡易な制御で速やかに行うことができる。
さらに、実施例1では、横置きエンジン2とモータ/ジェネレータ4の間に第1クラッチ3を介装し、この第1クラッチ3によって横置きエンジン2とモータ/ジェネレータ4の間を断接可能とする例を示したが、これに限らない。例えば、エンジンとモータが常時直結している駆動源や、エンジンとモータとジェネレータを、作動歯車を介して連結した駆動源であってもよい。
2 横置きエンジン(エンジン)
3 第1クラッチ
4 モータ/ジェネレータ(モータ)
5 第2クラッチ
6 ベルト式無段変速機
10L,10R 左右前輪
11L,11R 左右後輪
21 強電バッテリ
22 12Vバッテリ
81 ハイブリッドコントロールモジュール
82 エンジンコントロールモジュール
83 モータコントローラ
84 CVTコントロールユニット
86 リチウムバッテリコントローラ
92 アクセル開度センサ
93 車速センサ
Claims (6)
- エンジンと、第1クラッチと、モータと、第2クラッチと、前記モータにより駆動してライン圧を生成するオイルポンプと、を駆動系に備え、
前記第1クラッチ及び前記第2クラッチを締結し、前記エンジンと前記モータを駆動源とするハイブリッド車モード時、エンジン回転数が所定回転数以下になったとき、エンジンストール対応制御を行うエンスト対応制御手段を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンスト対応制御手段は、前記エンジン回転数が低下して前記エンジンがライン圧を確保できない回転数になったことを判定するエンスト判定部と、
前記ハイブリッド車モード時、前記エンジンがライン圧を確保できない回転数になったことが判定されたとき、締結している前記第1クラッチ及び前記第2クラッチに対し同時に開放指令を出力するクラッチ開放制御部と、を有し、
前記第1クラッチ及び前記第2クラッチへの開放指令出力後、前記モータをライン圧が確保できる回転数に制御する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンスト対応制御手段は、前記エンジン回転数とモータ回転数が同期していないことを判定したら、前記第2クラッチに対する開放指令を解除して前記第2クラッチにおけるトルク伝達を可能にする
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンスト対応制御手段は、前記第1クラッチが開放したことと、前記オイルポンプによりライン圧が生成されたことを確認したら、前記エンジンの再始動を許可するエンジン再始動許可部を有し、
前記エンジン再始動許可部は、前記第1クラッチへの開放指令の出力から第1所定時間が経過したら、前記第1クラッチが開放したと確認する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項3に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジン再始動許可部は、前記エンジン回転数がライン圧生成可能閾値未満であって、前記モータ回転数が前記ライン圧生成可能閾値以上になった状態が、第2所定時間の間継続したら、前記オイルポンプによりライン圧が生成されたと確認する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンスト判定部は、前記エンジン回転数がエンスト判定閾値以下になった状態が、第3所定時間の間継続したら、前記エンジンがライン圧を確保できない回転数になったと判定する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンスト対応制御手段は、前記エンジンがライン圧を確保できない回転数になったと判定されたら、前記ハイブリッド車モード要求を取り下げ、前記エンジンの再始動が許可されたら、前記ハイブリッド車モード要求を復帰し、直ちに前記エンジンの再始動制御を開始するエンジン再始動制御部を有する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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