JP2016176506A - 電動式自動二輪車のブリーザ機構 - Google Patents

電動式自動二輪車のブリーザ機構 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動ユニットの車幅方向寸法を増加させることなく、ブリーザ機構の気液分離の機能の向上を図る。
【解決手段】電動式自動二輪車1は、モーター22と、このモーター22に隣接して配置される変速機3を有し、変速機3は、モーター出力軸222に設けられる太陽歯車41に噛み合う遊星歯車42と、遊星歯車42を支持する遊星キャリア44と、太陽歯車41と遊星歯車42と遊星キャリア44とが収容される変速機室301と、変速機室301の内部の空気を気液分離して外部に逃がすブリーザ機構6とを有し、ブリーザ機構6は、気液分離するブリーザ室61と、変速機室301とブリーザ室61とを連通する第1の経路62とを有し、ブリーザ室61は変速機室301よりも上側に設けられ、第1の経路入口621は軸線方向視において遊星キャリア44の外形線の内側に設けられる。
【選択図】図6

Description

本発明は、電動式自動二輪車のブリーザ機構に関する。特には、電動式自動二輪車の変速ハウジングの内部の空気を気液分離して外部に逃がすブリーザ機構に関する。
電動式自動二輪車の駆動ユニットは、駆動力源であるモーターが出力する回転動力の回転数を調整して駆動輪に伝達する変速機を有する。変速機の筐体の内部には変速機室が設けられ、この変速機室には、変速のための歯車が収容配置されるとともに、これらの歯車を潤滑するための潤滑油やグリスなどの潤滑剤が注入されている。さらに、変速機には、温度変化などにより変速機室内の気圧が変動しないように、変速機室内の空気を潤滑剤と分離して外部に逃がすブリーザ機構が設けられる。例えば、特許文献1には、変速機の筐体(変速機ケース)とこれに隣接する差動機構の筐体との間にブリーザ機構を設ける構成が開示されている。
ところで、自動二輪車は、コーナリングの際に車体を傾斜させて走行する。このため、駆動ユニットの車幅方向寸法が大きいと、車体を傾斜させた際に駆動ユニットが路面に接触するおそれがある。このように、駆動ユニットの車幅方向寸法は、コーナリングにおける車体の傾斜角に影響を与えることから、できるだけ小さいことが好ましい。しかしながら、特許文献1に記載のように、変速機とこれに隣接する差動機構の筐体との間にブリーザ機構を設ける構成であると、変速機室と作動機構との距離を大きくしなければならず、ブリーザ機構の分だけ駆動ユニットの車幅方向寸法が大きくなる。このため、コーナリングにおける車体の傾斜角を大きくできない。一方、このような構成では、駆動ユニットの車幅方向寸法を小さくすると、ブリーザ機構のブリーザ室の容量が小さくなり、ブリーザ機構が十分に気液分離の機能が十分に確保できない。
また、特許文献1に記載される構成では、ブリーザ室の入口が変速機の入力軸から半径方向に離れた位置に設けられるため、歯車の回転によって飛散した潤滑剤がブリーザ室に侵入しやすい。そして、ブリーザ室に多量の潤滑剤が侵入すると、侵入した潤滑剤は外部に漏出しやすくなる。このように、特許文献1に記載の構成では、ブリーザ機構の気液分離の機能が十分に確保できないおそれがある。
特開2014−222088号公報
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、駆動ユニットの車幅方向寸法を増加させることなく、気液分離の機能の向上を図ることができる電動式自動二輪車のブリーザ機構を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明は、駆動力源のモーターと、前記モーターの回転出力の回転速度を調整する遊星歯車機構が収容された変速機室を有し、前記モーターに隣接して配置される変速機と、を有する電動式自動二輪車に設けられるブリーザ機構であって、気液分離するブリーザ室と、前記変速機室と前記ブリーザ室とを連通する第1の経路と、を有し、前記ブリーザ室は、前記変速機室よりも上側に設けられ、前記第1の経路の前記変速機室の側の入口は、前記変速機室の内周面の、前記変速機の出力軸の軸線方向視において前記遊星歯車機構の遊星キャリアの外形線の内側に設けられることを特徴とする。
前記入口は、前記変速機室の内周面から突出した位置に設けられる構成が適用できる。
前記第1の経路および前記ブリーザ室は、前記変速機の筐体の前記モーターの筐体に接する外面に溝状に形成され、前記変速機の筐体と前記モーターの筐体により形成する構成が適用できる。
前記ブリーザ室の底面は水平方向に対して傾斜し、前記ブリーザ室から外部に至る出口は、前記第1の経路のブリーザ室の側の入口よりも高い位置に設けられ、前記第1の経路の前記ブリーザ室の側の入口と前記ブリーザ室から外部に至る出口との間には、前記底面から上側に突出する堰部が設けられる構成が適用できる。
前記ブリーザ室の底面は水平方向に対して傾斜し、前記底面の最も低い位置と前記変速機室または前記第1の経路の中間部とを連通する第2の経路がさらに設けられる構成が適用できる。
前記ブリーザ室の底面は水平方向に対して傾斜し、前記第1の経路の前記ブリーザ室の側の入口は、前記ブリーザ室の底面の最も低い位置に設けられる構成が適用できる。
本発明によれば、ブリーザ機構のブリーザ室が変速機室よりも上側に配置されるから、ブリーザ室が変速機の車幅方向寸法に影響を与えない。したがって、駆動ユニットの車幅方向寸法を増加させることなく、ブリーザ機構のブリーザ室の容量を大きくできるから、気液分離の機能の向上を図ることができる。また、変速機室の潤滑剤は、遊星キャリアや遊星歯車の回転により、第1の経路の入口よりも半径方向外側に多く飛散する。このため、第1の経路の入口が遊星キャリアの外形線の内側に設けられる構成であると、第1の経路に潤滑剤が侵入することが抑制されるから、ブリーザ機構の気液分離の機能の向上を図ることができる。
図1は、電動式自動二輪車の全体構成の例を模式的に示す左側面図である。 図2は、駆動ユニットの構成例を模式的に示す斜視図である。 図3は、駆動ユニットの構成例を模式的に示す断面図である。 図4は、駆動ユニットの変速機の構成を示す断面図である。 図5は、ブリーザ機構の構成例を模式的に示す図である。 図6は、ブリーザ機構の構成例を模式的に示す図である。 図7は、ブリーザ機構の第1の経路の入口の近傍を拡大して示す断面図である。 図8は、ブリーザ機構が第2の経路を有さない構成の例を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明においては、電動式自動二輪車1の向きを、この電動式自動二輪車1に搭乗する運転者の向きを基準として示す。各図においては、適宜、電動式自動二輪車1の前側を矢印Frで、後側を矢印Rrで、上側を矢印Tpで、下側を矢印Dnで、右側を矢印Rで、左側を矢印Lで示す。また、「軸線方向」とは、特に断らない限りは、電動式自動二輪車1の駆動力源であるモーター22および変速機3の出力軸の軸線に平行な方向であって、車両の左右方向をいうものとする。
まず、本発明の実施形態に係る電動式自動二輪車1の全体構成の例について、図1を参照して説明する。図1は、電動式自動二輪車1の全体構成の例を模式的に示す左側面図である。本発明の実施形態では、スクーター型の電動式自動二輪車を示す。
電動式自動二輪車1の車体フレーム11は、ステアリングヘッドパイプ111と、ダウンチューブ112と、補助フレーム113と、左右一対のリヤフレーム114とを有する。ステアリングヘッドパイプ111は、後傾する管状の構成を有する。ダウンチューブ112は、ステアリングヘッドパイプ111から下方に向かって延伸する部分と、この部分の下端部から略水平方向後方に向かって延伸する部分とを有する。補助フレーム113は、ダウンチューブ112の後端部から、水平方向斜め後方で、かつ、車幅方向両外側に向かって延伸する。左右一対のリヤフレーム114は、車幅方向に互いに所定の距離をおいて離れており、それぞれ補助フレーム113の後端部から後方斜め上側に向かって延伸する。また、左右一対のリヤフレーム114の下端部の近傍には、後述する駆動ユニット2を連結するためのブラケット115が設けられる。車体フレーム11の各部は、アルミニウム合金や鋼などの金属材料により形成され、溶接などによって一体に接合される。
電動式自動二輪車1の前部には、前輪123と、この前輪123を回転可能に支持して操舵する前輪操舵機構とが設けられる。前輪操舵機構は、ステアリングシャフト121と、左右一対のフロントフォーク122と、ハンドルユニット124とを有する。ステアリングシャフト121は、ステアリングヘッドパイプ111に挿通されており、このステアリングヘッドパイプ111によって車体フレーム11に回転可能に支持される。左右一対のフロントフォーク122は、トップブリッジとアンダーブラケットによりステアリングシャフト121に結合されており、ステアリングシャフト121と一体に回転する。左右一対のフロントフォーク122の下端部には、前輪123が回転可能に支持される。ハンドルユニット124は、ステアリングシャフト121および左右一対のフロントフォーク122の上側に設けられ、これらと一体に回転する。ハンドルユニット124には、左右のハンドルバー125とブレーキレバーが設けられる。このほか、ハンドルユニット124には、前照灯や方向指示器などの灯火類や、スピードメータなどを有するメーターユニットや、電動式自動二輪車1を操作するための各種操作部材が設けられる。
左右一対のリヤフレーム114に設けられるブラケット115には、ピボット軸147(図3参照)が取付けられる。そして、スイングアーム146の前端部と駆動ユニット2の前端部とが、ピボット軸147を介して、車体フレーム11に上下方向(ピッチング方向)に揺動可能に連結される。駆動ユニット2の後部およびスイングアーム146の後端部には、駆動輪である後輪144が、駆動ユニット2とスイングアーム146とにより両持ち支持される。駆動ユニット2と左側のリヤフレーム114の間と、スイングアーム146と右側のリヤフレーム114とには、それぞれ、リヤサスペンション143が設けられる。これらのリヤサスペンション143により、後輪144から車体フレーム11に伝達される振動や衝撃が緩和や吸収される。
左右一対のリヤフレーム114の上側には、搭乗者が着座するシート141が設けられる。左右一対のリヤフレーム114およびシート141に囲まれる領域には、駆動ユニット2に駆動用の電力を供給するバッテリー142と、駆動ユニット2を含め電動式自動二輪車1の各部を制御する制御ユニット148とが配置される。さらに、この領域には、物品収納スペースが設けられてもよい。
車体フレーム11は、電動式自動二輪車1の外観を構成する樹脂製の車体カバー13に覆われる。車体カバー13には、フロントレッグシールド131と、リヤレッグシールド132と、ロアカバー134と、リヤフレームカバー133とが含まれる。フロントレッグシールド131は、電動式自動二輪車1の前部を覆うように配置される。リヤレッグシールド132は、フロントレッグシールド131の後側を覆うように配置される。ロアカバー134は、電動式自動二輪車1の下部に、フロントレッグシールド131から連続するように設けられ、ダウンチューブ112の下部(水平方向後方に向かって延伸する部分)および補助フレーム113を覆う。また、ロアカバー134には、搭乗者が足を載せるステップフロア137が設けられる。リヤフレームカバー133は、シート141の下側に左右一対のリヤフレーム114を覆うように設けられる。このほか、電動式自動二輪車1には、前輪123の上側を覆うフロントフェンダー135と、後輪144の上側を覆うリヤフェンダー136とが設けられる。
なお、上述の構成は電動式自動二輪車の構成の一例であり、本発明が適用できる電動式自動二輪車は上述の構成に限定されない。また、説明を省略した部分については、公知の各種電動式自動二輪車と同様の構成が適用できる。
次に、駆動ユニット2の構成例について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、駆動ユニット2の構成例を模式的に示す斜視図であり、後方右側から見た図である。図3は、駆動ユニット2の構成例を模式的に示す断面図であり、図1のIII−III線断面図である。図4は、駆動ユニット2の変速機3の構成を示す断面図であり、図3の部分拡大図である。図2〜図4に示すように、駆動ユニット2は、電動式自動二輪車1の駆動力源であるモーター22(電動機)と、このモーター22が出力する回転動力の回転速度を調整して駆動輪である後輪144に伝達する変速機3とを有する。なお、駆動力源であるモーター22の回転出力軸(説明の便宜上、「モーター出力軸222」と称する)と、変速機3の出力軸(説明の便宜上、「変速機出力軸33」と称する)と、駆動輪である後輪144とは、同軸に配置される。また、変速機3は、モーター22の車幅方向(モーター出力軸222および変速機出力軸33の軸線方向)の中心側に隣接して設けられる。つまり、変速機3は、モーター22と後輪144(詳細には、後輪144のホイール)の間に配置されている。このほか、駆動ユニット2には、バッテリー142からの直流電気を交流電気に変換してモーター22に供給するDC−ACインバーター145が配置される。
駆動ユニット2の筐体(以下、「ユニット筐体21」と称する)は、上方視で略「L」字形状を有する。すなわち、ユニット筐体21は、「L」字の縦線に対応し車両の左右方向に延びる前側部211と、「L」字の横線に対応し車両の前後方向に延びるホルダー部212とを有する。前側部211は、中空の箱状の構成を有しており、リブなどが適宜設けられることによって、所要の強度を確保している。前側部211の前端部(すなわち、ユニット筐体21の前端部)には、ピボット軸受部213が設けられる。ピボット軸受部213は、車体フレーム11のブラケット115に取り付けられたピボット軸147が挿通される部分であり、軸線が左右方向に平行な筒状の構成を有する。ピボット軸受部213にピボット軸147が挿通される構成であるため、ユニット筐体21は、ピボット軸147を中心として車体フレーム11に対して上下方向(ピッチング方向)に揺動可能である。ホルダー部212は、前側部211の車幅方向左寄りの位置から後方に向かって延伸する部分である。ホルダー部212の内部にはインバーター収容部214が設けられており、このインバーター収容部214に、DC−ACインバーター145が配置される。なお、インバーター収容部214は、モーター22よりも前側に配置される。ホルダー部212の車幅方向外側には、ユニット蓋215が、ボルトなどによって着脱可能に装着される。
電動式自動二輪車1の駆動力源であるモーター22は、ホルダー部212の後端部に配置される。このモーター22は交流モーターであり、DC−ACインバーター145により変換された交流電気によって作動して回転動力を出力する。モーター22は、モーター出力軸222の軸線が車幅方向(左右方向)に平行で、かつ、モーター出力軸222が車幅方向中心側に向かって突出する向きで配置される。本発明の実施形態では、ユニット筐体21の後端部およびユニット蓋215の後端部に、モーター22の筐体であるモーターハウジング221が一体に設けられる構成を示す。すなわち、ユニット筐体21のホルダー部212とユニット蓋215とが、モーター22を収納するモーターハウジング221として機能し、右側をホルダー部212にて左側をユニット蓋215にてモーター22を覆っている。そして、ホルダー部212とユニット蓋215で構成されるモーターハウジング221の内部には、ローター(回転子)およびモーター出力軸222が回転可能に配置され、ステータ(固定子)が固定されて配置される。
モーターハウジング221(ホルダー部212)の車幅方向中心側の外面は、変速機3の筐体30が接合される接合面である。説明の便宜上、この接合面を「モーター側接合面223」と称する。なお、変速機3の筐体30の車幅方向外側の外面、すなわち、このモーター側接合面223に接合される面を、「変速機側接合面311」と称する。モーター側接合面223は、モーター出力軸222の軸線方向視で略円形であり、その中心から車幅方向中心側に向かってモーター出力軸222が突出する。また、モーター側接合面223には、後述する変速機3のブリーザ機構6に対向する部分に、略上方に向かって延出する部分が設けられる。説明の便宜上、この部分を、「モーター側延出部224」と称する。モーター側延出部224は、略円形のモーター側接合面223に設けられた局所的に半径が大きい部分、換言すると局所的に半径方向外側に延出する部分である。また、モーター側接合面223は、モーター側延出部224を含め、モーター出力軸222に直角で段差のない平面である。ただし、このモーター側接合面223は、ブリーザ機構6に対向する部分が段差のない平面であればよく、モーター側接合面223の全体が平面ではなくてもよい。例えば、モーター側接合面223のうち、モーター側延出部224およびその半径方向中心側の所定の範囲が、段差のない平面であればよい。
なお、本発明の実施形態では、モーターハウジング221がユニット筐体21に一体に設けられる構成を示したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、モーターハウジング221がユニット筐体21と別体であり、ボルトなどによってユニット筐体21に取り付けられる構成であってもよい。
変速機3は、モーター22の車幅方向中心側に隣接して設けられ、モーター22が配置される側となる変速機3の筐体30の車幅方向外側の外面、すなわち、変速機側接合面311は、モーター側接合面223に接触している。そして、変速機は、遊星歯車機構4によってモーター22が出力する回転動力の回転速度を調整して(本発明の実施形態では減速して)後輪144に伝達する。
遊星歯車機構4は、太陽歯車41と、この太陽歯車41と噛み合う複数の遊星歯車42と、これらの複数の遊星歯車42の公転に伴って回転する遊星キャリア44と、これらの複数の遊星歯車42と噛み合う内歯車43とを有する。本発明の実施形態では、太陽歯車41が変速機3の入力側であり、遊星キャリア44が変速機3の出力側であり、内歯車43は変速機3の筐体30に固定されている。そして、太陽歯車41はモーター出力軸222の端部に設けられる。また、遊星キャリア44は、変速機出力軸33に結合され、変速機出力軸33と同軸で一体に回転する。なお、図3においては、モーター出力軸222の外周面に太陽歯車41の歯が一体に形成される構成を示す。ただし、太陽歯車41はモーター出力軸222と別部材であってもよい。
変速機3の筐体30は、第1の筐体31と第2の筐体32とを有する。第1の筐体31はモーター22の側(車幅方向外側)に位置し、第2の筐体32は後輪144の側(車幅方向中心側)に位置する。そして、第1の筐体31と第2の筐体32との間に遊星歯車機構4の内歯車43の外周面が露出するように配置される。第1の筐体31と第2の筐体32とで挟持されるように、内歯車43は第1の筐体31と第2の筐体32に重ねられボルトなどによって結合されている。すなわち、遊星歯車機構4の内歯車43は、変速機3の筐体30に対して回転しないように固定される。そして、第1の筐体31と第2の筐体32と内歯車43とに囲まれる領域が、変速機3の変速機室301となる。この変速機室301の内部には、遊星歯車機構4の太陽歯車41と遊星歯車42と遊星キャリア44とが回転可能に収容される。さらに、変速機室301の内部には、変速機出力軸33の基端部が収容されており、遊星歯車機構4の遊星キャリア44と同軸で一体に回転するように結合されている。
第1の筐体31は、軸線方向視で略円形の板状の部材である。第1の筐体31は、モーター22の側(車幅方向外側)に位置する。このため、第1の筐体31の車幅方向外側の面が、変速機側接合面311となる。また、第1の筐体31には、上方に向かって延出する変速機側延出部312が設けられる。変速機側延出部312は、略円形の変速機側接合面311に設けられた局所的に半径が大きい部分、換言すると局所的に半径方向外側に延出する部分である。また、変速機側接合面311は、変速機側延出部312を含め、軸線方向に直角で段差のない平面である。ただし、変速機側接合面311は、ブリーザ機構6が設けられる部分がモーターハウジング221(ホルダー部212)のモーター側接合面223と当接可能な段差のない平面であればよく、全体が平面ではなくてもよい。例えば、変速機側接合面311のうち、変速機側延出部312およびその半径方向中心側の所定の範囲が、段差のない平面であればよい。
第1の筐体31には、ブリーザ機構6が設けられる。ブリーザ機構6は、変速機室301の内部の空気を気液分離して外部に逃がす機能を有する。なお、ブリーザ機構6の構成については後述する。第1の筐体31には、ブリーザ機構6のほかに、モーター出力軸222を挿通する軸挿通穴313と、遊星キャリア44を第1の軸受341を介して回転可能に支持する軸受係止部314とが設けられる。軸挿通穴313は、軸線方向に貫通する貫通孔であり、軸線方向視で第1の筐体31の中心に形成される。軸受係止部314は、変速機室301の内側に向かって突出する円筒状の構成を有し、軸挿通穴313と同軸でこの軸挿通穴313を囲むように設けられる。そして、この軸受係止部314の外周に、遊星キャリア44を回転可能に支持する第1の軸受341の内輪(インナーレース)が嵌め込まれて係止する。
第2の筐体32は、軸線方向視で略円形であって、その中央が後輪144(詳細には、後輪144のホイール)側に膨出した底の浅いトレイ状の部材である。第2の筐体32は、遊星歯車機構4に対して後輪144の側(車幅方向中心側)に位置する。第2の筐体32には、変速機出力軸33を挿通する軸挿通部321が設けられる。軸挿通部321は、軸線方向に貫通する貫通孔が形成された円筒状の構成を有し、軸線方向視で第2の筐体32の中心に設けられる。軸挿通部321の内周側には、第2の軸受342が配置される。変速機出力軸33の基端部は、第2の軸受342を介して第2の筐体32に回転可能に支持される。
遊星歯車機構4の遊星キャリア44は、第1の支持体45と第2の支持体46とを有する。そして、遊星キャリア44は、複数の遊星歯車42を、第1の支持体45と第2の支持体46とで挟むようにして第1の支持体45と第2の支持体46とに架設された遊星歯車42の中心軸421にて回転可能に支持する。なお、第1の支持体45は第1の筐体31の側(モーター22の側)に位置し、第2の支持体46は第2の筐体32の側(後輪144の側)に位置する。
遊星キャリア44の第1の支持体45と第2の支持体46の構成は、次のとおりである。第1の支持体45と第2の支持体46は、軸線方向視の外形が略円形の本体部451,461を有する。これらの本体部451,461は、スペーサ441(図6参照)を介して軸線方向に所定の距離をおいて離れて同軸に配置される。複数の遊星歯車42は、これらの本体部451,461の間に配置される。そして、複数の遊星歯車42の中心軸421の両端部は、これらの本体部451,461に支持される。なお、第1の支持体45と第2の支持体46の本体部451,461の外径(半径)は、複数の遊星歯車42の中心軸421を支持できるように、遊星歯車42の中心軸421の公転軌跡の半径よりも大きい寸法に設定される。また、第1の支持体45と第2の支持体46の本体部451,461は略同径である。このほか、第1の支持体45には、軸受係止部452が設けられる。軸受係止部452は、第1の軸受341の外輪(アウターレース)が嵌め込まれて係止する部分であり、第1の筐体31の側に向かって突出する中空円筒状の構成を有する。一方、第2の支持体46には、軸挿入部462が設けられる。軸挿入部462は、変速機出力軸33の基端部が挿入固定される部分であり、第2の筐体32の側に向かって突出する中空円筒状の構成を有する。
図3と図4に示すように、遊星歯車42と遊星キャリア44とは、変速機室301の内部に収容される。そして、第1の軸受341の内輪が第1の筐体31の軸受係止部314の外周に係止し、外輪が第1の支持体45の軸受係止部452の内周に係止する。これにより、遊星キャリア44の第1の支持体45は、第1の軸受341を介して、第1の筐体31に回転可能に支持される。また、第2の支持体46の軸挿入部462には変速機出力軸33の基端部が挿入され、第2の支持体46と変速機出力軸33とは一体に回転するように結合される。第2の筐体32の軸挿通部321の内周側には、第2の軸受342が配置される。これにより、変速機出力軸33と第2の支持体46とは、第2の軸受342によって第2の筐体32に回転可能に支持される。また、モーター出力軸222に設けられる太陽歯車41は、第1の筐体31の側から変速機室301の内部に挿入されており、変速機室301の内部において遊星歯車42と噛み合っている。モーター出力軸222の太陽歯車41よりも先端側の部分は、第2の支持体46の軸挿入部462の内周側に設けられる第3の軸受345に挿入される。以上のような構成により、モーター出力軸222と、遊星キャリア44および変速機出力軸33とは、同軸に維持される。
なお、第1の軸受341と、第2の軸受342と、第3の軸受345とは、いずれも、深溝玉軸受など、公知の各種ラジアル軸受が適用される。また、変速機室301の内部には、潤滑油やグリスなどの潤滑剤(図略)が溜められている。なお、潤滑剤の液面は、後述する第1の経路入口621(図6と図7参照)よりも低いレベルに設定される。そして、潤滑剤が変速機室301の外部に漏出しないように、モーター出力軸222と第1の筐体31との間にはリング状の第1のシール343が配置され、第2の支持体46と第2の筐体32との間にはリング状の第2のシール344が配置される。
モーター出力軸222に設けられた太陽歯車41が回転すると、これと噛み合う複数の遊星歯車42が公転する。そして、これらの複数の遊星歯車42の公転が、遊星キャリア44を介して変速機出力軸33に伝達される。このような構成であると、モーター出力軸222の回転が、遊星歯車機構4によって回転速度が調整されて変速機出力軸33に伝達される。そして、変速機出力軸33に設けられる後輪144が回転する。なお、モーター出力軸222の回転方向と変速機出力軸33の回転方向(後輪144の回転方向)は同じである。また、遊星歯車機構4の変速比は、 変速比=(太陽歯車41の歯数)/(太陽歯車41の歯数+内歯車43の歯数) である。
次に、ブリーザ機構6について、図5〜図7を参照して説明する。図5は、ブリーザ機構6の構成例を模式的に示す図であり、変速機3の第1の筐体31をモーター22に接合される側から見た図である。図6は、ブリーザ機構6の構成例を模式的に示す図であり、後輪144の側(車幅方向中心側)から見た断面図である。図7は、ブリーザ機構6の第1の経路62の近傍を拡大して示す断面図である。ブリーザ機構6は、ブリーザ室61と、変速機室301とブリーザ室61とを連通する第1の経路62と、ブリーザ室61と第1の経路62とを連通する第2の経路63とを有する。ブリーザ機構6のブリーザ室61と第1の経路62と第2の経路63は、いずれも変速機3の第1の筐体31の変速機側接合面311、すなわち、変速機室301の内周側とは反対側の面に設けられる。
また、ブリーザ室61と第1の経路62と第2の経路63は、変速機側接合面311に設けられ、モーター側接合面223に向かって開口する凹状や溝状の構成を有する。変速機3がモーターハウジング221に取り付けられ、モーター側接合面223と変速機側接合面311とが接合すると、変速機側延出部312とモーター側延出部224とが対向して接触する。そして、ブリーザ室61と第1の経路62と第2の経路63とは、モーターハウジング221によって開口が蓋をされて閉じられる。このため、モーター側接合面223が、ブリーザ室61と第1の経路62と第2の経路63の内周面の一部を構成する。なお、変速機側接合面311のブリーザ機構6が設けられる部分(詳細には、凹状や溝状の構成の周縁)と、モーター側接合面223のブリーザ機構6に対向する部分(詳細には、凹状や溝状の構成の周縁に対向する部分)は、それぞれ変速機側延出部312とモーター側延出部224を含め、軸線方向に直角で段差のない略平面に形成される。このため、変速機側接合面311の凹状や溝状の構成の周縁とモーター側接合面223とは面接触する。また、変速機側接合面311とモーター側接合面223との間には、ブリーザ機構6を囲むように、シート状のガスケットを介在させてもよい。
図5と図6に示すように、ブリーザ室61は、第1の筐体31の変速機側延出部312に設けられる。そして、ブリーザ室61は、変速機室301よりも上側で、かつ、軸線方向視で内歯車43の外形線よりも外側に位置する。このように、ブリーザ室61は、軸線方向視で変速機室301および内歯車43と重畳しない位置に設けられる。
ブリーザ室61は、前後方向に長く、後上がり前下がりの形状を有する。そして、ブリーザ室61の後寄りの高さが高い側には、変速機3の外部と連通するブリーザ室出口空間611が設けられる。ブリーザ室出口空間611は、上側が変速機室301の外部に開口する開口部である。そして、ブリーザ室出口空間611の上面壁には、出口部材613とキャップ64とが設けられる。出口部材613はその軸方向に貫通孔を有する筒状の部材であり、ブリーザ室出口空間611の上面壁の孔に取り付けられ、その下部がブリーザ室出口空間611に挿入されており、上部は第1の筐体31の上面(変速機側延出部312の上面)から上方に向かって突出している。キャップ64は出口部材613に装着され、その上部を覆う。なお、出口部材613の上端面および側面とキャップ64との間には隙間が設けられる。そして、ブリーザ室61の内部と変速機3の外部とは、ブリーザ室出口空間611に設けられる出口部材613の内部の貫通孔と、出口部材613の先端部とキャップ64との間の隙間とを通じて連通する。なお、出口部材613の上端の開口部には、気体は通過できるが液体は通過できない多孔質膜が設けられる。そして、多孔質膜によって、ブリーザ室61から潤滑剤が外部に漏出することや、ブリーザ室61に外部から水等が浸入することが防止される。
ブリーザ室61と変速機室301とは、変速機側接合面311に溝状に形成された第1の経路62と第2の経路63とによって連通している。図7に示すように、ブリーザ室61は、モーター側延出部224の軸方向の厚さの大部分を占めるように変速機側接合面311から深く形成され、第1の経路62と第2の経路63は変速機側接合面311から比較的浅く形成されている。その為、後述する第1の経路出口622は、ブリーザ室61の底面の軸方で低位となる変速機側接合面311で連通している。第1の経路62の変速機室301側の端部(以下、「第1の経路入口621」と称する)は、ブリーザ室61よりも低い位置に設けられる。そして、第1の経路62は、第1の経路入口621から上方に向かって延伸してブリーザ室61に至る。より具体的には、第1の経路入口621は、モーター出力軸222および変速機出力軸33よりも上側で、かつ、軸線方向視において、遊星キャリア44の外形線の内側に設けられ、第1の筐体31を変速機室301側からモーター側接合面223が配置される側に貫通して第1の経路62の下端に連通している。第1の経路62のブリーザ室61側の端部(以下、「第1の経路出口622」と称する)は、ブリーザ室61の内周底面に設けられる。より具体的には、第1の経路出口622は、ブリーザ室出口空間611よりも低い位置に設けられる。ブリーザ室61が前後方向に長く、前下がり後上がりの形状であり、ブリーザ室出口空間611がブリーザ室61の後寄りの位置に設けられる構成であれば、第1の経路出口622は、ブリーザ室出口空間611よりも前側で、かつ、ブリーザ室61の前端よりも後側に設けられる。なお、第1の経路62は、図5や図6では、第1の経路62が鉛直方向に対して傾斜する方向に延伸する構成を示すが、鉛直方向に延伸する構成であってもよい。また、第1の経路62は直線でなくてもよい。要は、第1の経路出口622が第1の経路入口621よりも上方に位置し、第1の経路62の中間に潤滑剤が溜まるような部分(排水管のトラップのような部分)が存在しない構成であればよい。このような構成であると、第1の経路入口621から第1の経路62に侵入した潤滑剤は、自重によって流下して第1の経路入口621から変速機室301に戻る。したがって、ブリーザ室61に到達する潤滑剤を少なくできる。
図7に示すように、第1の経路入口621は、その周囲から変速機室301の内側に向かって突出した位置に設けられる。具体的に、変速機室301の内周面には内側に突出する突出部623が設けられ、第1の経路入口621は、この突出部623の先端面に設けられる。この突出部623は、第1の経路入口621を囲むように設けられる筒状の構成が適用できる。このような構成であると、変速機室301の内周面を伝って流れる潤滑剤は、第1の経路入口621から第1の経路62に侵入しにくくなる。
第2の経路63のブリーザ室61の側の端部(以下、「第2の経路入口631」と称する)は、ブリーザ室61の内周底面の最も低い位置に設けられる。ブリーザ室61の内周底面が水平方向に対して前下がりで傾斜しており、ブリーザ室61の前端部において内周底面が最も低い構成であれば、第2の経路入口631は、ブリーザ室61の内周底面の前端部に設けられる。そして、第2の経路63は、第2の経路入口631から下方に向かって延伸し、第1の経路62の中間部において第1の経路62と合流する。このように、第2の経路の他方の端部(以下、「第2の経路出口632」と称する)は、第1の経路62の中間部に設けられる。なお、第2の経路出口632は、第2の経路入口631よりも低い位置に設けられる。また、図5と図6では、第2の経路63が直線状に延伸する構成を示すが、直線でなくてもよい。
このほか、ブリーザ室61には、ブリーザ室出口空間611と第1の経路出口622および第2の経路入口631との間に、潤滑剤をせき止める堰部612が設けられる。堰部612は、例えば、ブリーザ室61の内周底面から上方に向かって突出するリブ状の構成を有する。また、堰部612は、ブリーザ室61の後輪144側の壁からモーター側接合面223に向けて突出するリブ状の構成でもよく、この場合、堰部612のモーター側接合面223側の先端をモーター側接合面223に当接させずに隙間を設け、この隙間をブリーザ室出口空間611からの潤滑剤の戻り通路とすることができる。堰部612の上端部とブリーザ室61の内側天井面との間には、気体が通過できる隙間が設けられる。そして、ブリーザ室61の堰部612と第2の経路入口631との間の内周底面は、堰部612から第2の経路入口631に向かって下り勾配となるように、水平面に対して傾斜している。このため、ブリーザ室61に流入した潤滑剤は、第2の経路入口631に向かって流下し、第2の経路入口631から第2の経路63に流入し、第2の経路63と第1の経路62とを流下して第1の経路入口621から変速機室301の内部に戻る。
温度上昇などによって、変速機室301の内部の空気が膨張すると、膨張した空気は、第1の経路入口621から第1の経路62に流入し、第1の経路62と第2の経路63を通じてブリーザ室61に流入する。そして、ブリーザ室61に流入した空気は、堰部612の上端部とブリーザ室61の内側天井面との間の隙間を通過しブリーザ室出口空間611からブリーザ室61(変速機室301)の外部に流出する。これにより、変速機3が温度上昇して変速機室301の内部の空気が膨張しても、変速機室301の内部気圧の上昇が防止される。この際、第1の経路入口621に侵入した潤滑剤は、膨張した空気とともに第1の経路62や第2の経路63を通じてブリーザ室61に流入することがある。ブリーザ室61は、ブリーザ室出口空間611の側が高く、第1の経路出口622および第2の経路入口631の側が低い。このため、ブリーザ室61に流入した潤滑剤は、ブリーザ室出口空間611の側に向かって流れることがない。さらに、第1の経路出口622および第2の経路入口631と、ブリーザ室出口空間611との間には、上方に向かって突出するリブ状の堰部612が設けられる。このため、多量の潤滑剤がブリーザ室61に流入した場合であっても、この堰部612によって、潤滑剤がブリーザ室出口空間611に到達することが防止される。このように、ブリーザ室61に流入した空気と潤滑剤は、ブリーザ室61において気液分離される。その後、温度の低下によって変速機室301の内部の空気が収縮すると、出口部材613の先端部とキャップ64との間の隙間、出口部材613の内部の貫通孔、ブリーザ室出口空間611、ブリーザ室61、第1の経路62および第2の経路63、第1の経路入口621を通過して外部の空気が変速機室301の内部に流入する。この時、流入する空気は、潤滑剤がある場合は潤滑剤を伴って変速機室301の内部へ流入する。
本発明の実施形態の効果は、次のとおりである。ブリーザ室61が変速機室301よりも上側に設けられる構成であるから、ブリーザ室61が変速機室301の車幅方向外側に設けられる構成に比較して、変速機3の車幅方向寸法を小さくできる。すなわち、ブリーザ室61が変速機室301の車幅方向外側に設けられる構成であると、変速機室301とモーター22の間にブリーザ室61が介在することになるから、ブリーザ室61の分だけ変速機3の車幅方向を大きくしなければならない。その結果、駆動ユニット2の全体の車幅方向寸法が大きくなる。これに対して、本発明の実施形態によれば、ブリーザ室61が変速機室301よりも上側に設けられる構成であるから、変速機3の車幅方向を小さくすることができ、駆動ユニット2の全体の車幅方向寸法を小さくできる(または、大きくなることを防止できる)。前述のとおり、電動式自動二輪車1を含む各種の自動二輪車は、コーナリングなどにおいて車体を傾斜させて走行する。このため、駆動ユニット2の車幅方向寸法が大きくなると、車体を傾斜させた際に駆動ユニット2が地面に接触しやすくなるため、許容される車体の傾斜角度が小さくなる。そこで、駆動ユニット2の車幅方向寸法は、できるだけ小さいことが好ましい。本発明の実施形態によれば、駆動ユニット2の車幅方向寸法を小さくできるから、許容される車体の傾斜角度を大きくできる。このように、本発明の実施形態によれば、ブリーザ機構6の機能の向上を図りつつ、駆動ユニット2の車幅方向寸法の小型化を図ることができる。
なお、変速機3がモーター22に隣接して設けられる構成であると、モーター22が発する熱が変速機3に伝達しやすいため、変速機室301の内部温度が上昇して変速機室301の内部の空気が膨張しやすい。このため、このような構成においては、ブリーザ室61の容量を大きくすることが好ましい。しかしながら、ブリーザ室61の容量を大きくすると、ブリーザ室61が変速機室301とモーター22との間に配置される構成では、変速機3の車幅方向寸法を大きくしなければならない。したがって、駆動ユニット2の全体の車幅方向寸法が大きくなる。これに対して、本発明の実施形態によれば、ブリーザ室61が変速機室301の上側に設けられる構成であるから、変速機3の車幅方向寸法を大きくすることなく、ブリーザ室61の容量を大きくできる。したがって、駆動ユニット2の車幅方向の寸法を大きくすることなく、ブリーザ室61の容量を大きくできる。特に、軸線方向視において、ブリーザ室61が内歯車43の外形線よりも外側に設けられる構成であると、内歯車43と干渉することなく、ブリーザ室61の容量を大きくできる。
第1の経路入口621が、軸線方向視で遊星キャリア44(特に第1の支持体45)の外形線の内側に設けられる構成であると、第1の経路62に流入する潤滑剤の量が少なくなる。すなわち、変速機室301の内部の潤滑剤は、遊星歯車42や遊星キャリア44が回転によって、半径方向外側に向かって飛散する。このため、飛散した潤滑剤は、出力軸から離れた位置に到達しやすい。一方、半径方向中心側は、飛散する潤滑剤が少ない。そこで、本発明の実施形態のように、第1の経路入口621を、変速機室301の外周近傍ではなく、中心寄りの位置に設けることにより、第1の経路62に流入する潤滑剤が少なくなる。
また、第1の経路入口621が、軸線方向視で遊星キャリア44の外形線の内側に設けられる構成であると、図7に示すように、第1の経路入口621は、遊星キャリア44の第1の支持体45によって覆われる構成となる。このような構成であると、遊星キャリア44が第1の経路入口621に向かって飛散する潤滑剤の防壁となるから、第1の経路入口621に到達して流入する潤滑剤を減らすことができる。
さらに、第1の経路入口621が、その周囲よりも変速機室301の内側に突出した位置に設けられる構成であると、潤滑剤が第1の経路入口621に流入することを抑制できる。すなわち、第1の経路入口621が、変速機室301の内周面から突出しない構成では、変速機室301の内周面を伝って流れる潤滑剤が、第1の経路入口621に到達して流入することがある。これに対して、第1の経路入口621がその周囲から突出した位置に設けられる構成であると、突出部623が、変速機室301の内周面を伝って流れる潤滑剤の防壁となる。このため、変速機室301の内周面を伝って流れる潤滑剤が、第1の経路入口621から第1の経路62に流入することを抑制できる。
第1の経路入口621は第1の経路出口622よりも低い位置に設けられる。このような構成であると、潤滑剤が第1の経路入口621から第1の経路62に侵入しても、自重によって第1の経路62を下方に向かって流下して変速機室301に戻る。このため、潤滑剤がブリーザ室61に到達しにくくなり、ブリーザ室61に流入する潤滑剤が少なくなる。
第2の経路63は、ブリーザ室61の内周底面の最も低い位置と第1の経路62を介して変速機室301に連通する。このような第2の経路63が設けられる構成であると、ブリーザ室61に流入した潤滑剤は、第2の経路63を通じて変速機室301に戻る。したがって、ブリーザ室61に潤滑剤が溜まることを防止できるから、ブリーザ室61による気液分離の機能が維持される。
また、本発明の実施形態では、ブリーザ機構6のブリーザ室61と第1の経路62と第2の経路63とは、変速機3の第1の筐体31の変速機側接合面311に設けられる凹状や溝状の構成を有する。そして、モーターハウジング221により蓋をされる。このような構成であると、ブリーザ機構6の構造の単純化を図ることができる。さらに、別個独立して蓋部材を設ける構成に比較すると、部品点数の削減を図ることができるほか、組み立て工数の削減を図ることができる。また、別個独立した蓋部材を設ける構成では、蓋部材の分だけブリーザ室61の容量が減少する。これに対して、本発明の実施形態に係る構成によれば、変速機3の車幅方向寸法を大きくすることなく、ブリーザ室61の容量を大きくできる。
なお、上述の実施形態では、ブリーザ機構6が第1の経路62と第2の経路63とを有する構成を示したが、ブリーザ機構6が第2の経路63を有さない構成であってもよい。ここで、ブリーザ機構6が第1の経路62を有し、第2の経路63を有さない構成について、図8を参照して説明する。図8は、ブリーザ機構6が第2の経路63を有さない構成の例を示す図であり、図5に対応する図である。図8に示すように、ブリーザ機構6は、変速機室301とブリーザ室61とを連通する第1の経路62を有する。第1の経路入口621の位置や構成は、前述の位置や構成と同様である。また、ブリーザ室61の構成も、前述の構成と同じでよい。そして、第1の経路出口622は、ブリーザ室61の内周底面の最も低い位置に設けられる。図8に示すように、ブリーザ室61の内周底面が水平方向に対して前下がりに傾斜する構成であれば、ブリーザ室61の内周底面は、前端部において最も低くなる。そして、このような構成においては、第1の経路出口622は、ブリーザ室61の内周底面の前端部に設けられる。すなわち、第2の経路入口631と同じ位置に設けられる。
このような構成であると、ブリーザ室61に流入した潤滑剤は、第1の経路62を通過して変速機室301に戻る。そして、第1の経路出口622がブリーザ室61の内周底面が最も低い位置に設けられることから、ブリーザ室61に流入した潤滑剤は、ブリーザ室61に残ることなく変速機室301に戻ることになる。
以上、本発明の実施形態および実施例について詳細に説明したが、前述の実施形態および実施例は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前述の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
例えば、前述の実施形態では、電動式自動二輪車としてスクーター型の電動式自動二輪車を示したが、本発明が適用できる電動式自動二輪車は、スクーター型の電動式自動二輪車に限定されない。モーター22と変速機3とが隣接して配置される駆動ユニットを有する電動式自動二輪車であれば、種類を問わずに適用できる。また、第1の経路62と第2の経路63は、変速機側接合面311に設ける実施形態を示したが、モーター側接合面223に形成してもよい。
本発明は、電動式自動二輪車のブリーザ機構に有効な技術である。そして、本発明によれば、駆動ユニットの車幅方向寸法を増加させることなく、気液分離の機能の向上を図ることができる。
1:電動式自動二輪車
2:駆動ユニット
21:ユニット筺体(駆動ユニットの筐体)
22:モーター
3:変速機
301:変速機室
30:筺体
31:第1の筐体
311:変速機側接合面
312:変速機側延出部
313:軸挿通穴
314:軸受係止部
32:第2の筐体
321:軸挿通部
33:変速機出力軸
341:第1の軸受
342:第2の軸受
343:第1のシール
344:第2のシール
345:第3の軸受
4:遊星歯車機構
41:太陽歯車
42:遊星歯車
421:中心軸
43:内歯車
44:遊星キャリア
441:スペーサ
45:第1の支持体
451:本体部
452:軸受係止部
46:第2の支持体
461:本体部
462:軸挿入部
6:ブリーザ機構
61:ブリーザ室
611:ブリーザ室出口空間
612:堰部
613:出口部材
62:第1の経路
621:第1の経路入口
622;第1の経路出口
623:突出部
63:第2の経路
631:第2の経路入口
632:第2の経路出口
64:キャップ

Claims (6)

  1. 駆動力源のモーターと、
    前記モーターの回転出力の回転速度を調整する遊星歯車機構が収容された変速機室を有し、前記モーターに隣接して配置される変速機と、
    を有する電動式自動二輪車に設けられるブリーザ機構であって、
    気液分離するブリーザ室と、
    前記変速機室と前記ブリーザ室とを連通する第1の経路と、
    を有し、
    前記ブリーザ室は、前記変速機室よりも上側に設けられ、
    前記第1の経路の前記変速機室の側の入口は、前記変速機室の内周面の、前記変速機の出力軸の軸線方向視において前記遊星歯車機構の遊星キャリアの外形線の内側に設けられることを特徴とする電動式自動二輪車のブリーザ機構。
  2. 前記入口は、前記変速機室の内周面から突出した位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電動式自動二輪車のブリーザ機構。
  3. 前記第1の経路および前記ブリーザ室は、前記変速機の筐体の前記モーターの筐体に接する外面に溝状に形成され、前記変速機の筐体と前記モーターの筐体により形成することを特徴とする請求項1または2に記載の電動式自動二輪車のブリーザ機構。
  4. 前記ブリーザ室の底面は水平方向に対して傾斜し、
    前記ブリーザ室から外部に至る出口は、前記第1の経路のブリーザ室の側の入口よりも高い位置に設けられ、
    前記第1の経路の前記ブリーザ室の側の入口と前記ブリーザ室から外部に至る出口との間には、前記底面から上側に突出する堰部が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電動式自動二輪車のブリーザ機構。
  5. 前記ブリーザ室の底面は水平方向に対して傾斜し、
    前記底面の最も低い位置と前記変速機室または前記第1の経路の中間部とを連通する第2の経路がさらに設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電動式自動二輪車のブリーザ機構。
  6. 前記ブリーザ室の底面は水平方向に対して傾斜し、
    前記第1の経路の前記ブリーザ室の側の入口は、前記ブリーザ室の底面の最も低い位置に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電動式自動二輪車のブリーザ機構。
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