JP2016174541A - 低油脂乳化調味料 - Google Patents

低油脂乳化調味料 Download PDF

Info

Publication number
JP2016174541A
JP2016174541A JP2015055163A JP2015055163A JP2016174541A JP 2016174541 A JP2016174541 A JP 2016174541A JP 2015055163 A JP2015055163 A JP 2015055163A JP 2015055163 A JP2015055163 A JP 2015055163A JP 2016174541 A JP2016174541 A JP 2016174541A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seasoning
weight
fat
oil
glu
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015055163A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6638199B2 (ja
Inventor
佳嗣 上村
Yoshitsugu Kamimura
佳嗣 上村
一道 神田
Kazumichi Kanda
一道 神田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP2015055163A priority Critical patent/JP6638199B2/ja
Publication of JP2016174541A publication Critical patent/JP2016174541A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6638199B2 publication Critical patent/JP6638199B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Seasonings (AREA)

Abstract

【課題】油脂様のコクに優れた低油脂乳化調味料を提供する。
【解決手段】オクタン酸およびデカン酸を含有する油脂処理物を配合することにより、低油脂乳化調味料の油脂様のコクを増強する。
【選択図】なし

Description

本発明は、低油脂乳化調味料に関する。
近年、健康志向の高まりにより、マヨネーズ等の油脂を主原料とする調味料の低カロリー化が望まれている。そのため、従来品に比べて油脂の配合量を低減した低油脂乳化調味料が開発されている。しかしながら、このような低油脂乳化調味料では、油脂の配合量を低減した結果、油脂に由来するコクが弱くなるという課題があった。
上記課題を解決するため、例えば、低油脂乳化調味料の油脂様のコクを強める技術が開発されている。そのような技術としては、例えば、乳化を二重に行ってW/O/W型の低油脂乳化調味料を製造する方法(特許文献1)や油滴のサイズを微小化して低油脂乳化調味料を製造する方法が知られている。
また、酸素の供給下で油脂を加熱して得られる、オクタン酸およびデカン酸を含有する食品素材を利用して、香気や風味を飲食品に付与できることが知られている(特許文献2)。しかしながら、同素材を、低油脂乳化調味料の製造に利用することは知られていない。
特許第4208939号 WO2013/146129
本発明は、油脂様のコクに優れた低油脂乳化調味料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、酸素供給下で油脂を加熱して得られる油脂処理物を低油脂乳化調味料に配合することにより、油脂様のコクを高めることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおり例示できる。
[1]
オクタン酸および/またはデカン酸を含有する低油脂乳化調味料。
[2]
オクタン酸濃度が0.15〜109重量ppbである、前記調味料。
[3]
デカン酸濃度が0.15〜115重量ppbである、前記調味料。
[4]
さらに、1−オクテン−3−オールを含有する、前記調味料。
[5]
1−オクテン−3−オール濃度が0.09〜69重量ppbである、前記調味料。
[6]
オクタン酸およびデカン酸を含有する油脂処理物が配合された、前記調味料。
[7]
前記油脂処理物におけるオクタン酸濃度が5〜500重量ppmである、前記調味料。[8]
前記油脂処理物におけるデカン酸濃度が10〜4200重量ppmである、前記調味料。
[9]
前記油脂処理物が、さらに、1−オクテン−3−オールを含有する、前記調味料。
[10]
前記油脂処理物における1−オクテン−3−オール濃度が5〜550重量ppmである、前記調味料。
[11]
前記油脂処理物の配合量が1重量ppm〜750重量ppmである、前記調味料。
[12]
前記油脂処理物が、油脂に溶存酸素供給速度0.058mg/L/min以上で酸素を供給しながら、該油脂を加熱することにより得られたものである、前記調味料。
[13]
前記油脂が植物油脂である、前記調味料。
[14]
さらに、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドを含有する、前記調味料。
[15]
前記ペプチドが、γ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Z(Zはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−W−OCH(R)CO2H(Wはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を
表し、RはH又はCH3を表す)から選択される1またはそれ以上のペプチドである、前
記調味料。
[16]
前記ペプチドが、γ−Glu−Val−Gly、γ−Glu−Nva−Gly、γ−Glu−Abu−Gly、およびγ−Glu−Nvaから選択される1またはそれ以上のペプチドである、前記調味料。
[17]
前記ペプチドを1重量ppm以上含有する、前記調味料。
[18]
調味料における油脂含量が40重量%以下である、前記調味料。
[19]
W/O/W型の乳化調味料である、前記調味料。
[20]
オクタン酸および/またはデカン酸を低油脂乳化調味料またはその原料に配合することを含む、低油脂乳化調味料を製造する方法。
[21]
オクタン酸および/またはデカン酸を低油脂乳化調味料またはその原料に配合することを含む、低油脂乳化調味料の油脂様のコクを増強する方法。
本発明により、油脂様のコクに優れた低油脂乳化調味料を提供することができる。
<1>本発明の調味料
本発明の調味料は、オクタン酸および/またはデカン酸を含有する低油脂乳化調味料である。本発明の調味料は、さらに、1−オクテン−3−オール(1−octen−3−o
l)を含有していてもよい。本発明において、オクタン酸、デカン酸、および1−オクテン−3−オール(いずれも含有される場合)、を総称して「有効成分」ともいう。
本発明においては、有効成分を配合することにより、低油脂乳化調味料の油脂様のコクを高める効果が得られる。同効果を「コク増強効果」ともいう。本発明において、「コク」とは、後味に感じる味の厚みをいう。
「乳化調味料」とは、乳化状態で使用される調味料をいう。乳化調味料としては、半固体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、分離液状ドレッシング等のドレッシング類が挙げられる。分離液状ドレッシングは、使用時に乳化して使用すればよい。半固体状ドレッシングとしては、マヨネーズ様調味料が挙げられる。
本発明の調味料の乳化型は、コク増強効果が得られる限り、特に制限されない。乳化型としては、例えば、O/W型(水中油滴型)やW/O/W型(水中油中水型)が挙げられる。中でも、W/O/W型が好ましい。「W」は水相を表し、「O」は油相を表す。本発明において、「W/O/W」は、内水相をW1、外水相をW2として、「W1/O/W2」と記載する場合がある。
「低油脂」とは、調味料における油脂含量が、40重量%以下であることをいう。油脂含量は、例えば、35重量%以下、30重量%以下、または25重量%以下であってもよい。油脂含量は、例えば、5重量%以上、10重量%以上、または15重量%以上であってもよい。油脂含量は、例えば、10重量%〜40重量%であってもよい。
本発明の調味料におけるオクタン酸の含有量は、コク増強効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の調味料におけるオクタン酸の含有量は、本発明の調味料の種類や本発明の調味料における油脂含量等の諸条件に応じて適宜設定できる。本発明の調味料におけるオクタン酸の含有量は、例えば、0.15重量ppb以上、0.73重量ppb以上、1.5重量ppb以上、2.2重量ppb以上、4.4重量ppb以上、7.3重量ppb以上、または15重量ppb以上であってよい。本発明の調味料におけるオクタン酸の含有量は、例えば、109重量ppb以下、73重量ppb以下、または44重量ppb以下であってよい。本発明の調味料におけるオクタン酸の含有量は、例えば、0.15〜109重量ppb、1.5〜73重量ppb、または2.2〜44重量ppbであってもよい。
本発明の調味料におけるデカン酸の含有量は、コク増強効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の調味料におけるデカン酸の含有量は、本発明の調味料の種類や本発明の調味料における油脂含量等の諸条件に応じて適宜設定できる。本発明の調味料におけるデカン酸の含有量は、例えば、0.15重量ppb以上、0.77重量ppb以上、1.5重量ppb以上、2.3重量ppb以上、4.6重量ppb以上、7.7重量ppb以上、または15重量ppb以上であってよい。本発明の調味料におけるデカン酸の含有量は、例えば、115重量ppb以下、77重量ppb以下、または46重量ppb以下であってよい。本発明の調味料におけるデカン酸の含有量は、例えば、0.15〜115重量ppb、1.5〜77重量ppb、または2.3〜46重量ppbであってもよい。
本発明において、オクタン酸およびデカン酸は、特記しない限り、いずれもフリー体、もしくはその塩、またはそれらの混合物である。塩は、経口摂取可能なものであれば特に制限されない。塩としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン等の
塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。塩としては、1種の塩を用いてもよく、2種またはそれ以上の塩を組み合わせて用いてもよい。
本発明の調味料における1−オクテン−3−オールの含有量は、コク増強効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の調味料における1−オクテン−3−オールの含有量は、本発明の調味料の種類や本発明の調味料における油脂含量等の諸条件に応じて適宜設定できる。本発明の調味料における1−オクテン−3−オールの含有量は、例えば、0.09重量ppb以上、0.46重量ppb以上、0.92重量ppb以上、1.4重量ppb以上、2.8重量ppb以上、4.6重量ppb以上、または9.2重量ppb以上であってよい。本発明の調味料における1−オクテン−3−オールの含有量は、例えば、69重量ppb以下、46重量ppb以下、または28重量ppb以下であってよい。本発明の調味料における1−オクテン−3−オールの含有量は、例えば、0.09〜69重量ppb、0.92〜46重量ppb、または1.4〜28重量ppbであってもよい。
有効成分の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
有効成分としては、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。
有効成分の製造方法は特に制限されず、例えば公知の方法を利用できる。例えば、有効成分は、化学合成、酵素反応、またはその組み合わせにより製造することができる。また、例えば、有効成分は、有効成分を含有する素材から回収することで製造することができる。
また、有効成分としては、有効成分を含有する素材を用いてもよい。有効成分を含有する素材は、そのまま、あるいは、適宜、濃縮、希釈、乾燥、分画、抽出、精製等の処理に供してから、有効成分として利用することができる。有効成分を含有する素材は、1種の有効成分を含有していてもよく、2種またはそれ以上の有効成分を含有していてもよい。また、有効成分を含有する素材としては、1種の素材を用いてもよく、2種またはそれ以上の素材を用いてもよい。なお、本発明の調味料における有効成分の含有量は、有効成分を含有する素材を用いる場合にあっては、当該素材中の有効成分そのものの量に基づいて算出されるものとする。
有効成分を含有する素材としては、オクタン酸およびデカン酸を含有する油脂処理物が挙げられる。すなわち、本発明の調味料の一態様は、オクタン酸およびデカン酸を含有する油脂処理物が配合された、低油脂乳化調味料である。当該油脂処理物を、「本発明の油脂処理物」ともいう。
本発明の油脂処理物におけるオクタン酸の含有量は、コク増強効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の油脂処理物におけるオクタン酸の含有量は、本発明の調味料におけるオクタン酸の含有量や本発明の油脂処理物の配合量等の諸条件に応じて適宜設定できる。本発明の油脂処理物におけるオクタン酸の含有量は、例えば、5重量ppm以上、20重量ppm以上、50重量ppm以上、100重量ppm以上、または150重量ppm以上であってよい。本発明の油脂処理物におけるオクタン酸の含有量は、例えば、500重量ppm以下、450重量ppm以下、400重量ppm以下、300重量ppm以下、または200重量ppm以下であってよい。本発明の油脂処理物におけるオクタン酸の含有量は、例えば、5〜500重量ppm、50〜400重量ppm、または100〜200重量ppmであってもよい。
本発明の油脂処理物におけるデカン酸の含有量は、コク増強効果が得られる限り、特に
制限されない。本発明の油脂処理物におけるデカン酸の含有量は、本発明の調味料におけるデカン酸の含有量や本発明の油脂処理物の配合量等の諸条件に応じて適宜設定できる。本発明の油脂処理物におけるデカン酸の含有量は、例えば、10重量ppm以上、20重量ppm以上、50重量ppm以上、100重量ppm以上、または150重量ppm以上であってよい。本発明の油脂処理物におけるデカン酸の含有量は、例えば、4200重量ppm以下、2000重量ppm以下、1000重量ppm以下、500重量ppm以下、または200重量ppm以下であってよい。本発明の油脂処理物におけるデカン酸の含有量は、例えば、10〜4200重量ppm、50〜1000重量ppm、または100〜200重量ppmであってもよい。
本発明の油脂処理物は、さらに、1−オクテン−3−オールを含有していてもよい。本発明の油脂処理物における1−オクテン−3−オールの含有量は、コク増強効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の油脂処理物における1−オクテン−3−オールの含有量は、本発明の調味料における1−オクテン−3−オールの含有量や本発明の油脂処理物の配合量等の諸条件に応じて適宜設定できる。本発明の油脂処理物における1−オクテン−3−オールの含有量は、例えば、5重量ppm以上、20重量ppm以上、50重量ppm以上、100重量ppm以上、または150重量ppm以上であってよい。本発明の油脂処理物における1−オクテン−3−オールの含有量は、例えば、550重量ppm以下、500重量ppm以下、400重量ppm以下、300重量ppm以下、または200重量ppm以下であってよい。本発明の油脂処理物における1−オクテン−3−オールの含有量は、例えば、5〜550重量ppm、20〜400重量ppm、または50〜200重量ppmであってもよい。
本発明の油脂処理物における有効成分の含有量の比率は、コク増強効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の油脂処理物において、1−オクテン−3−オールの含有量をA重量部、オクタン酸の含有量をB重量部、デカン酸の含有量をC重量部とし、且つ、A+B+C=100とした場合、例えば、0≦A≦80、5≦B≦80、且つ10≦C≦90であってもよく、10≦A≦70、10≦B≦60、且つ10≦C≦70であってもよい。なお、これらの比率は、本発明の調味料における有効成分の含有量の比率にも準用できる。
本発明の調味料における本発明の油脂処理物の配合量は、コク増強効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の油脂処理物の配合量は、本発明の調味料における有効成分の含有量や本発明の油脂処理物における有効成分の含有量等の諸条件に応じて適宜設定できる。本発明の油脂処理物の配合量は、例えば、1重量ppm以上、5重量ppm以上、10重量ppm以上、15重量ppm以上、30重量ppm以上、50重量ppm以上、または100重量ppm以上であってよい。本発明の油脂処理物の配合量は、例えば、750重量ppm以下、500重量ppm以下、または300重量ppm以下であってよい。本発明の油脂処理物の配合量は、例えば、1〜750重量ppm、10〜500重量ppm、または15〜300重量ppmであってもよい。
本発明の油脂処理物は、油脂を、オクタン酸およびデカン酸を生ずる処理に供することにより得られる。そのような処理としては、酸素供給下で油脂を加熱する処理が挙げられる(WO2013/0146129)。酸素供給下で油脂を加熱する処理は、WO2013/0146129の記載を参照して実施することができる。
油脂の種類は、オクタン酸およびデカン酸を生ずる限り特に制限されない。油脂としては、動物由来の油脂(動物油脂)や植物由来の油脂(植物油脂)が挙げられる。動物油脂としては、例えば、鶏脂、豚脂、牛脂、羊油、鯨油、魚油、卵油、バターが挙げられる。魚油としては、例えば、マグロ油、カツオ油、イワシ油、サバ油、サケ油、タラ油が挙げ
られる。植物油脂としては、例えば、菜種油、米油、紅花油、ヒマワリ油、オリーブ油、落花生油、パーム油、やし油、大豆油、コーン油、綿実油、ごま油、ぶどう種子油、えごま油が挙げられる。これらの中では、植物油脂が好ましい。油脂としては、1種の油脂を用いてもよく、2種またはそれ以上の油脂を組み合わせて用いてもよい。
酸素の供給速度は、オクタン酸およびデカン酸を生ずる限り特に制限されない。酸素は、例えば、所定の溶存酸素供給速度で油脂に供給することができる。本発明において、「溶存酸素供給速度」とは、酸素を油脂に供給する際の、油脂中の溶存酸素濃度の単位時間あたりの変化量をいい、具体的には下記式(I)により算出される。溶存酸素濃度は、例えば、蛍光式酸素計Model.FOM-1000(株式会社オートマチックシステムリサーチ製)を用いて測定することができる。溶存酸素供給速度の測定は、25℃で行うものとする。
溶存酸素供給速度 = 油脂中の溶存酸素濃度の変化量 / 油脂への酸素の供給時間 ・・・(I)
溶存酸素供給速度は、例えば、0.058mg/L/min以上、0.08mg/L/min以上、0.1mg/L/min以上、0.5mg/L/min以上、1.0mg/L/min以上、または1.5mg/L/min以上であってよい。溶存酸素供給速度は、例えば、100mg/L/min以下、30mg/L/min以下、10mg/L/min以下、または5mg/L/min以下であってよい。溶存酸素供給速度は、例えば、0.058mg/L/min〜100mg/L/minであってもよい。
酸素の供給法は、特に制限されない。酸素の供給法としては、例えば、酸素を含有する気体をスパージャー、マイクロバブル発生装置、またはナノバブル発生装置等により微小気泡化して油脂中に通過させる方法や、酸素を含有する気体と油脂とをホモジナイザー等の撹拌装置で混合する方法が挙げられる。酸素を含有する気体としては、例えば、純酸素、空気、酸素富化空気、酸素と不活性気体との混合気体が挙げられる。不活性気体としては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴンが挙げられる。
加熱温度は、例えば、50〜200℃、60〜200℃、80〜200℃、または130〜180℃であってよい。加熱時間は、例えば、2〜24時間、4〜24時間、または5〜7時間であってよい。
加熱を開始する前に、油脂中の溶存酸素濃度を調整してもよい。加熱開始時の油脂中の溶存酸素濃度は、例えば、6.5mg/L以上、7.0mg/L以上、または8.0mg/L以上であってよい。加熱開始時の油脂中の溶存酸素濃度は、例えば、15mg/L以下、または10mg/L以下であってよい。加熱開始時の油脂中の溶存酸素濃度は、例えば、6.5mg/L〜15mg/Lであってもよい。溶存酸素濃度は、例えば、酸素を油脂に供給することにより、調整することができる。
本発明の調味料は、さらに、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドを含有していてもよい。本発明において、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドを、単に「ペプチド」ともいう。本発明においては、ペプチドを配合することにより、低油脂乳化調味料の油脂様のコクをさらに高める効果が得られ得る。ペプチドは、カルシウム受容体活性化作用を有する限り特に制限されない。「カルシウム受容体」とは、カルシウムセンシング受容体(Calcium Sensing Receptor;CaSR)と呼ばれる、7回膜貫通型受容体(Gタンパク質共役受容体)のクラスCに属する受容体をいう。「カルシウム受容体活性化作用」とは、カルシウム受容体に結合することにより、グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)を活性化してシグナル伝達を引き起こす作用をいう。ペプチドとしては、カルシウム受容体活性化作用を有する1種のペプチドを用いてもよく、カルシウム受容体活性化作用を有する2種またはそれ以上のペプチドを組み合わせて用いてもよい。
ペプチドとしては、カルシウム受容体活性化作用を有する公知のペプチドを用いてもよいし、カルシウム受容体活性化作用を有する新規なペプチドをスクリーニングして用いてもよい。
カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドのスクリーニングは、例えば、WO2008/139945に記載の方法に従い、被検物質(ペプチド)をカルシウム受容体に作用させ、カル
シウム受容体活性化作用の有無を判定することにより、実施できる。好ましい被検物質(ペプチド)としては、例えば、2〜10アミノ酸残基、好ましくは2〜3アミノ酸残基、のペプチドおよびその誘導体が挙げられる。また、被検物質(ペプチド)のN末端残基は、好ましくはGlu残基であってよい。
カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドとしては、γ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Z(Zはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、γ−Glu−γ−Glu−Valが挙げられる。「γ−」とは、グルタミン酸のγ位のカルボキシル基を介してアミノ酸又はアミノ酸誘導体がグルタミン酸に結合していることを意味する。
アミノ酸として、具体的には、例えば、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Cys、Met、Asn、Gln、Pro、Hyp等の中性アミノ酸、Asp、Glu等の酸性アミノ酸、Lys、Arg、His等の塩基性アミノ酸、Phe、Tyr、Trp等の芳香族アミノ酸、Sar、Nva、Nle、Abu、Tau、Hyp、t−Leu、Cle、Aib、Pen、Hseが挙げられる。
なお、本発明において、アミノ基残基の略号は以下のアミノ酸を意味する。
(1)Gly:グリシン
(2)Ala:アラニン
(3)Val:バリン
(4)Leu:ロイシン
(5)Ile:イソロイシン
(6)Met:メチオニン
(7)Phe:フェニルアラニン
(8)Tyr:チロシン
(9)Trp:トリプトファン
(10)His:ヒスチジン
(11)Lys:リジン
(12)Arg:アルギニン
(13)Ser:セリン
(14)Thr:トレオニン
(15)Asp:アスパラギン酸
(16)Glu:グルタミン酸
(17)Asn:アスパラギン
(18)Gln:グルタミン
(19)Cys:システイン
(20)Pro:プロリン
(21)Orn:オルニチン
(22)Sar:サルコシン
(23)Cit:シトルリン
(24)Nva:ノルバリン
(25)Nle:ノルロイシン
(26)Abu:α−アミノ酪酸
(27)Tau:タウリン
(28)Hyp:ヒドロキシプロリン
(29)t−Leu:tert−ロイシン
(30)Cle:シクロロイシン
(31)Aib:α−アミノイソ酪酸(2−メチルアラニン)
(32)Pen:ペニシラミン
(33)Hse:ホモセリン
アミノ酸誘導体とは、上記のようなアミノ酸の各種誘導体をいう。アミノ酸誘導体としては、例えば、特殊アミノ酸、非天然アミノ酸、アミノアルコール、ならびに末端カルボニル基、末端アミノ基、およびシステインのチオール基等の官能基の1またはそれ以上が各種置換基により置換されたアミノ酸が挙げられる。置換基として、具体的には、例えば、アルキル基、アシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、スルフォニル基、および各種保護基が挙げられる。アミノ酸誘導体として、具体的には、例えば、Arg(NO2):N−γ−ニトロアルギニン、Cys(SNO):S−ニトロシステイン
、Cys(S−Me):S−メチルシステイン、Cys(S−allyl):S−アリルシステイン、Val−NH2:バリンアミド、Val−ol:バリノール(2−アミノ−
3−メチル−1−ブタノール)、Met(O):メチオニンスルホキシド、およびCys(S−Me)(O):S−メチルシステインスルホキシドが挙げられる。
γ−Glu−X−Glyの「X」として、具体的には、Gly、Val、Ser、Nva、Abu、tLeu、Cle、Alb、Pen、Cys(SNO)、Cys(S−Me)、Cys(S−allyl)が挙げられる。γ−Glu−Val−Yの「Y」として、具体的には、Gly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、Cys、Glnが挙げられる。γ−Glu−Zの「Z」として、具体的には、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Ser、Thr、Cys、Orn、Nva、Tau、t−Leu、Cys(S−Me)、Val−NH2、Val−ol、Met(O)、Cys(S−Me)(O)が挙げられ
る。
カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドとして、具体的には、例えば、γ−Glu−Val−Gly、γ−Glu−Nva−Gly、γ−Glu−Abu−Gly、γ−Glu−Nvaが挙げられる。γ−Glu−Val−Gly(CAS 38837-70-6;Gluvalicineとも呼ぶ)の構造式を下記式(II)に示す。
Figure 2016174541
カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドとしては、γ−Glu−W−OCH(R)CO2Hの構造を有するペプチド誘導体も挙げられる。ここで、Wはアミノ酸又はアミ
ノ酸誘導体を表し、RはH(水素原子)又はCH3(メチル基)を表す。RがHである場
合、γ−Glu−W−OCH(R)CO2Hはγ−Glu−W−GlyAである。RがC
3である場合、γ−Glu−W−OCH(R)CO2Hはγ−Glu−W−ButAであ
る。GlyAはグリコール酸を表し、ButAは酪酸を表す。ButAは、S体とR体のいずれであってもよいが、好ましくはS体である。γ−Glu−W−OCH(R)CO2
Hの「W」として、具体的には、Val、tLeu、Abuが挙げられる。すなわち、γ−Glu−W−OCH(R)CO2Hとして、具体的には、γ−Glu−Val−Gly
A、γ−Glu−tLeu−GlyA、γ−Glu−Abu−GlyA、γ−Glu−Val−ButA、γ−Glu−tLeu−ButA、およびγ−Glu−Abu−ButAが挙げられる。
本発明において、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドを構成するアミノ酸およびアミノ酸誘導体は、特記しない限り、いずれもL−体である。
本発明において、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドは、特記しない限り、いずれもフリー体、もしくはその塩、またはそれらの混合物である。
塩は、経口摂取可能なものであれば特に制限されない。例えば、カルボキシル基等の酸性基に対する塩としては、具体的には、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。また、例えば、アミノ基等の塩基性基に対する塩としては、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸との塩、酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、酪酸、ヒベンズ酸、パモ酸、エナント酸、デカン酸、テオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸、メチルマロン酸等の有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩が挙げられる。なお、塩としては、1種の塩を用いてもよく、2種またはそれ以上の塩を組み合わせて用いてもよい。
カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドとしては、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。
ペプチドの製造方法は特に制限されず、例えば公知の方法を利用できる。公知の方法としては、例えば、(1)化学的にペプチドを合成する方法や(2)酵素的な反応によりペプチドを合成する方法が挙げられる。アミノ酸残基数が2〜3残基の比較的短いペプチドの合成には、特に、化学的に合成する方法を用いるのが簡便である。
化学的にペプチドを合成する場合、ペプチド合成機を用いてペプチドを合成あるいは半合成することができる。化学的にペプチドを合成する方法としては、例えば、ペプチド固相合成法が挙げられる。合成されたペプチドは通常の手段、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。このようなペプチド固相合成法、およびそれに続くペプチド精製はこの技術分野においてよく知られたものである。
酵素的な反応によりペプチドを合成する場合、例えば、WO2004/011653に記載の方法を
用いることができる。具体的には、例えば、カルボキシル基がエステル化またはアミド化されたアミノ酸またはジペプチドと、アミノ基がフリーの状態であるアミノ酸(例えばカルボキシル基が保護されたアミノ酸)とを、ペプチド生成酵素の存在下で反応させることにより、ジペプチドまたはトリペプチドを合成することができる。合成されたジペプチドまたはトリペプチドは、適宜精製することができる。ペプチド生成酵素としては、例えば、ペプチドを生成する能力を有する微生物の培養物、該培養物から分離した培養上清、該
培養物から分離した菌体、該微生物の菌体処理物、それらから分離したペプチド生成酵素が挙げられる。ペプチド生成酵素としては、必要に応じて適宜精製されたものを用いることができる。
また、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドは、例えば、当該ペプチドの生産能を有する微生物を培養し、培養液または菌体から当該ペプチドを回収することで製造することができる。具体的には、例えば、特開2012-213376に記載の方法により、γ−Gl
u−Abu等のγ−グルタミルペプチドを高濃度に含有する酵母が得られる。
カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドは、精製品であってもよく、そうでなくてもよい。すなわち、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドとしては、当該ペプチドを含有する素材を用いてもよい。カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドを含有する素材は、そのまま、あるいは、適宜、濃縮、希釈、乾燥、分画、抽出、精製等の処理に供してから、利用することができる。カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドを含有する素材として、具体的には、例えば、当該ペプチドの生産能を有する微生物を培養して得られた培養液、菌体、培養上清等の発酵生産物、当該ペプチドを含有する農水畜産物、およびそれらの加工品が挙げられる。そのような加工品としては、例えば、γ−Glu−Abu等のγ−グルタミルペプチドを含有する酵母エキス(特開2012-213376)が
挙げられる。カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドは、所望の程度に精製されていてよい。例えば、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドとしては、純度が50重量%以上、70重量%以上、90重量%以上、または95重量%以上のものを用いてもよい。
本発明の調味料におけるペプチドの含有量は、コク増強効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の調味料におけるペプチドの含有量は、ペプチドの種類、本発明の調味料の種類、本発明の調味料における油脂含量等の諸条件に応じて適宜設定できる。本発明の調味料におけるペプチドの含有量は、例えば、0.05重量ppm以上、0.1重量ppm以上、0.2重量ppm以上、0.5重量ppm以上、1重量ppm以上、2重量ppm以上、3重量ppm以上、5重量ppm以上、10重量ppm以上、15重量ppm以上、または50重量ppm以上であってよい。本発明の調味料におけるペプチドの含有量は、例えば、5000重量ppm以下、2000重量ppm以下、1000重量ppm以下、500重量ppm以下、200重量ppm以下、または100重量ppm以下であってもよい。本発明の調味料におけるペプチドの含有量は、例えば、0.05〜5000重量ppm、1〜1000重量ppm、または5〜100重量ppmであってもよい。
具体的には、ペプチドがγ−Glu−Val−Glyである場合、本発明の調味料におけるその含有量は、例えば、1重量ppm以上、2重量ppm以上、5重量ppm以上、または10重量ppm以上であってもよい。また、ペプチドがγ−Glu−Nva−Glyである場合、本発明の調味料におけるその含有量は、例えば、0.05重量ppm以上、0.1重量ppm以上、0.2重量ppm以上、または0.5重量ppm以上であってもよい。また、ペプチドがγ−Glu−Abu−Glyである場合、本発明の調味料におけるその含有量は、例えば、3重量ppm以上、5重量ppm以上、15重量ppm以上、または50重量ppm以上であってもよい。また、ペプチドがγ−Glu−Nvaである場合、本発明の調味料におけるその含有量は、例えば、0.1重量ppm以上、0.2重量ppm以上、0.5重量ppm以上、または1重量ppm以上であってもよい。
なお、本発明の調味料におけるペプチドの含有量は、ペプチドを含有する素材を用いる場合にあっては、当該素材中のペプチドそのものの量に基づいて算出されるものとする。
本発明の調味料における有効成分およびペプチド以外の成分の種類や配合量は、コク増
強効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の調味料における有効成分およびペプチド以外の成分の種類や配合量は、本発明の調味料の種類等に応じて適宜設定できる。有効成分およびペプチド以外の成分としては、例えば、通常の低油脂乳化調味料と同様の原料を同様の配合量で配合することができる。低油脂乳化調味料の原料としては、例えば、水、油脂、全卵、卵黄、酢、柑橘果汁、調味料、香辛料、香料、着色料、増粘多糖類、乳化剤が挙げられる。これらの原料は、いずれの乳化型の乳化調味料に配合してもよい。
油脂としては、例えば、本発明の油脂処理物の原料として例示したものが挙げられる。油脂としては、植物油脂が好ましい。油脂としては、1種の油脂を用いてもよく、2種またはそれ以上の油脂を組み合わせて用いてもよい。
調味料としては、例えば、砂糖、蜂蜜、メープルシロップ、スクロース、グルコース、フルクトース、異性化糖、オリゴ糖等の糖類;食塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類;グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸類およびその塩;イノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸等の核酸類およびその塩が挙げられる。塩は、経口摂取可能なものであれば特に制限されない。塩については、ペプチドの塩の記載を準用できる。例えば、グルタミン酸の塩としては、グルタミン酸ナトリウム(MSG)が挙げられる。調味料としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
増粘多糖類としては、例えば、ペクチン、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、カードラン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステル、カラギーナン、架橋デンプンが挙げられる。これらの中では、ペクチンが好ましい。ペクチンとしては、ハイメトキシルペクチンが好ましい。「ハイメトキシルペクチン」とは、エステル化度が50%以上であるペクチンをいう。ペクチンの「エステル化度」とは、ペクチンの主鎖を構成する全ガラクツロン酸残基の内、メチルエステル化されているものの比率をいう。ハイメトキシルペクチンとしては、特に、エステル化度が65%〜80%のものが好ましい。ペクチンは、いずれの乳化型の乳化調味料に配合してもよいが、特に、W/O/W型の乳化調味料に好適に配合することができる。増粘多糖類としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。本発明の調味料における増粘多糖類の配合量は、例えば、0.1重量%〜3重量%であってよい。
乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエステルエーテル型乳化剤;グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型乳化剤;レシチン、酵素分解レシチン、サポニン、カゼインナトリウムが挙げられる。グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)が挙げられる。PGPRは、いずれの乳化型の乳化調味料に配合してもよいが、特に、W/O/W型の乳化調味料に好適に配合することができる。乳化剤としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。本発明の調味料における乳化剤、例えばPGPR、の配合量は、例えば、0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.3重量%〜4重量%であってよい。
「ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)」とは、ポリグリセリンの水酸基に縮合リシノレイン酸がエステル結合した化合物である。PGPRにおける、グリセリン重合度、リシノレイン酸縮合度、およびエステル化度は、所望のW/O/W型乳化物を製造できる限り、特に制限されない。PGPRとしては、例えば、特許第4208939号
に記載のPGPRを好適に用いることができる。
PGPRにおける「グリセリン重合度」とは、PGPRのポリグリセリン部分を構成するグリセリン残基数をいう。PGPRのグリセリン重合度は、例えば、4〜10、好ましくは6〜10であってよい。グリセリン重合度(n)は、ポリグリセリンの水酸基価に基づいて下記式(III)により算出されるものとする。下記式(III)におけるポリグリセリンの水酸基価は、日本工業規格JIS K 0070:1992に準拠して測定されるものとする

水酸基価 = 56110(n+2)/(74n+18) ・・・(III)
PGPRにおける「リシノレイン酸縮合度」とは、PGPRの縮合リシノレイン酸部分を構成するリシノレイン酸残基数をいう。PGPRのリシノレイン酸縮合度は、例えば、5以上、好ましくは5.5以上であってよい。また、PGPRのリシノレイン酸縮合度は、例えば、8以下、好ましくは7以下、より好ましくは6.5以下であってよい。
PGPRにおける「エステル化度」とは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの水酸基の内、縮合リシノレイン酸がエステル結合したものの比率をいう。PGPRのエステル化度は、例えば、10%以上、好ましくは15%以上であってよい。また、PGPRのエステル化度は、例えば、30%以下、好ましくは25%以下であってよい。エステル化度は、下記式(IV)により算出されるものとする。下記式(IV)におけるPGPRの水酸基価、ケン化価、および酸価は、いずれも日本工業規格JIS K 0070:1992に準拠して測定されるものとする。
エステル化度(%)=[(ケン化価−酸価)/(水酸基価+ケン化価−酸価)]×100 ・・・(IV)
なお、PGPRは、グリセリン重合度、リシノレイン酸縮合度、および/またはエステル化度等のの異なる複数種のエステルの混合物として提供され得るため、PGPRにおける、「グリセリン重合度」、「リシノレイン酸縮合度」、および「エステル化度」は、いずれも平均値として表される。
<2>本発明の調味料の製造法
本発明の調味料は、有効成分(すなわち、オクタン酸および/またはデカン酸、ならびに任意で1−オクテン−3−オール)を低油脂乳化調味料またはその原料に配合することにより、製造できる。すなわち、本発明の調味料の製造法は、有効成分を低油脂乳化調味料またはその原料に配合することを含む、低油脂乳化調味料を製造する方法である。「有効成分を配合すること」には、有効成分そのものを配合することに限られず、有効成分を含有する素材を配合することも包含される。すなわち、本発明の調味料の製造法の一態様は、例えば、本発明の油脂処理物を低油脂乳化調味料またはその原料に配合することを含む、低油脂乳化調味料を製造する方法である。なお、「配合」を「添加」ともいう。
本発明においては、有効成分を配合することにより、低油脂乳化調味料の油脂様のコクを高める効果が得られる。すなわち、本発明の調味料の製造法は、言い換えると、有効成分を低油脂乳化調味料またはその原料に配合することを含む、低油脂乳化調味料の油脂様のコクを増強する方法であってよい。
本発明の調味料は、有効成分を添加すること以外は、通常の低油脂乳化調味料と同様の原料を用い、同様の方法によって製造することができる。
O/W型の低油脂乳化調味料は、例えば、水相(W)と油相(O)をそれぞれ調製し、それらを混合して乳化することにより製造できる。水相(W)と油相(O)の配合比は、所望のO/W型の低油脂乳化調味料を製造できる限り、特に制限されない。乳化は、例えば、所望の物性(例えば、粒子径や粘度)が得られるように実施することができる。O/
W型の低油脂乳化調味料は、具体的には、例えば、特許第4681692号に記載の方法を参照
して、製造してもよい。
W/O/W型の低油脂乳化調味料は、例えば、第1の水相(W1;内水相)と油相(O)を混合し乳化してW1/O型乳化物を調製し、さらに、W1/O型乳化物と第2の水相(W2;外水相)を混合し乳化してW1/O/W2型乳化物を調製することにより、製造できる。水相(W1)、油相(O)、水相(W2)の配合比は、所望のW/O/W型の低油脂乳化調味料を製造できる限り、特に制限されない。例えば、水相(W1)90〜10質量部、好ましくは70〜30質量部と、油相(O)10〜90質量部、好ましくは30〜70質量部とを乳化し、W1/O型乳化物を調製することができる。また、例えば、W1/O型乳化物100重量部と、水相(W2)25〜150質量部、好ましくは35〜100質量部とを乳化し、W1/O/W2型乳化物を調製することができる。乳化は、例えば、所望の物性(例えば、粒子径や粘度)が得られるように実施することができる。W1/O型乳化物の平均粒子径は、例えば、2.5μm以下、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは1.8μm以下であってよい。W1/O/W2型乳化物の平均粒子径は、例えば、25μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下であってよい。W1/O/W2型乳化物の粘度は、例えば、1000〜30万mPa・s、好ましくは1万〜20万mPa・s、より好ましくは3万〜15万mPa・sであってよい。W1/O/W2型乳化物の粘度は、ハンドリングの点から、例えば、1000〜20万mPa・sであるのも好ましい。W/O/W型の低油脂乳化調味料は、具体的には、例えば、特許第4208939号に記載の方法を参照して、製造してもよい。
水相(W、Wl、W2)は、例えば、水に、必要に応じて他の1またはそれ以上の原料を配合することにより、調製できる。油相(O)は、例えば、油脂に、必要に応じて他の1またはそれ以上の原料を配合することにより、調製できる。O/W型の低油脂乳化調味料の場合、各原料は、例えば、適宜、水相(W1)、油相(O)、またはそれらの組み合わせに配合することができる。W/O/W型の低油脂乳化調味料の場合、各原料は、例えば、適宜、第1の水相(W1)、油相(O)、第2の水相(W2)、またはそれらの組み合わせに配合することができる。W/O/W型の低油脂乳化調味料の場合、増粘多糖類は、例えば、第1の水相(W1)、油相(O)、第2の水相(W2)のいずれに配合されてもよいが、第2の水相(W2)に配合されるのが好ましい。また、W/O/W型の低油脂乳化調味料の場合、乳化剤は、例えば、第1の水相(W1)、油相(O)、第2の水相(W2)のいずれに配合されてもよいが、油相(O)に配合されるのが好ましい。W/O/W型の低油脂乳化調味料の場合、第1の水相(W1)と第2の水相(W2)の組成は、同一であってもよく、なくてもよい。第1の水相(W1)は、水のみであってもよいが、例えば、酢や各種調味料(食塩、ショ糖、グルタミン酸ナトリウム等)を含有するのが好ましい。第1の水相(W1)における酢の含有量は、例えば、水相(W1)全体の1〜10重量%であってよい。また、第1の水相(W1)における食塩の含有量は、例えば、水相(W1)全体の1〜15重量%であってよい。第2の水相(W2)は、水のみであってもよいが、例えば、酢や各種調味料(食塩、ショ糖、グルタミン酸ナトリウム等)を含有するのが好ましい。第2の水相(W2)における酢の含有量は、例えば、水相(W2)全体の1〜10重量%であってよい。また、第2の水相(W2)における食塩の含有量は、例えば、水相(W2)全体の1〜15重量%であってよい。また、第2の水相(W2)は、例えば、卵黄を含有するのが好ましい。第2の水相(W2)における卵黄の含有量は、例えば、水相(W2)全体の5〜50重量%であってよい。
乳化は、ホモミキサーやコロイドミル等の乳化装置を、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることにより、実施できる。例えば、ホモミキサーによる予備乳化の後、コロイドミルによりさらに乳化してもよい。
有効成分の添加は、低油脂調味料の製造工程のいずれの段階で行われてもよい。すなわち、有効成分は、低油脂調味料の原料に添加されてもよく、製造途中の低油脂調味料に添加されてもよく、完成した低油脂調味料に添加されてもよい。O/W型の低油脂乳化調味料の場合、有効成分は、例えば、水相(W)、油相(O)、WとOの混合物、O/W型乳化物、またはそれらの組み合わせのいずれに添加されてもよい。W/O/W型の低油脂乳化調味料の場合、有効成分は、例えば、第1の水相(W1)、油相(O)、第2の水相(W2)、W1とOの混合物、W1/O型乳化物、W2とW1/O型乳化物の混合物、W1/O/W2型乳化物、またはそれらの組み合わせのいずれに添加されてもよい。有効成分は、例えば、油相(O)や完成した乳化物に添加するのが好ましい場合があり得る。有効成分は、1回のみ添加されてもよく、2またはそれ以上の回数に分けて添加されてもよい。有効成分は、全てまとめて低油脂調味料またはその原料に添加されてもよいし、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、低油脂調味料またはその原料に添加されてもよい。例えば、本発明の油脂処理物を添加することにより、オクタン酸およびデカン酸、ならびに一態様においては1−オクテン−3−オールを、まとめて低油脂調味料またはその原料に添加することができる。有効成分を低油脂調味料の原料に添加した場合には、その後、所定の製造工程(例えば乳化工程)を経て、低油脂調味料を製造することができる。また、有効成分を低油脂調味料に添加した場合には、撹拌等により、有効成分を低油脂調味料中に分散させることができる。有効成分の配合量(添加量)は、上記例示したような本発明の調味料における有効成分の含有量に従って設定することができる。すなわち、本発明の調味料における有効成分の含有量は、本発明の調味料の製造法における有効成分の配合量(添加量)として読み替えてよい。
本発明の調味料の製造法は、さらに、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドを低油脂乳化調味料またはその原料に配合することを含んでいてよい。ペプチドの添加については、有効成分の添加についての記載を準用できる。有効成分とペプチドは、全てまとめて低油脂調味料またはその原料に添加されてもよいし、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、低油脂調味料またはその原料に添加されてもよい。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1:油脂処理物の製造
オクタン酸およびデカン酸を含有する油脂処理物を、WO2013/146129に記載の方法に準
じて菜種油を酸素供給下で加熱することにより製造した。この油脂処理物は、オクタン酸を145重量ppm、デカン酸を153重量ppm、1−オクテン−3−オールを92重量ppm含有していた。
参考例2:カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドの製造
γ-Glu-Val-Gly(Gluvalicineとも呼ぶ、CAS登録番号:38837-70-6)を、WO2007/055393に記載の方法に準じて合成した。
実施例1:油脂処理物の添加効果に及ぼす油脂含量および乳化型の影響
本実施例では、参考例1の油脂処理物を、マヨネーズおよび各種低油脂マヨネーズ様調味料に添加し、油脂含量および乳化型が油脂処理物の添加効果に及ぼす影響を検証した。
<製品サンプル>
・サンプル1:ピュアセレクト(登録商標)マヨネーズ
・サンプル2:ピュアセレクト(登録商標)スーパーローカロリーカロリー70%カット
・サンプル3:ピュアセレクト(登録商標)コクうま(登録商標)65%カロリーカット
<評価成分>
・参考例1の油脂処理物
<評価サンプルの調製>
参考例1の油脂処理物 1gに対し、菜種油 99gを添加し、油脂処理物 1%溶液を調製した。プラスチックカップ(150ml容)に油脂処理物 1%溶液 0.1gを計量し、製品サンプルを
足して全量100gに調整した。さらに、成分均質化のため、得られた混合物をスプーンにて約30回撹拌し、評価サンプルを得た。評価サンプルにおける油脂処理物の濃度は0.001
重量%(10重量ppm)である。また、油脂処理物を添加していない製品サンプルを対照サ
ンプルとした。
<官能評価>
以下の内容で、評価サンプルの官能評価を行った。
評価項目:コクの増強度(コクの定義:後味に感じる味の厚み)
評価パネル:開発担当者2名
評価基準:「0点:効果なし(対照サンプルと同等)」、「1点:わずかに効果を感じる」、「2点:効果を感じる」、「3点:効果を強く感じる」、「4点:効果を著しく強く感じ
る」として0.5点刻みで評価した。
<結果>
結果を表1に示す。マヨネーズ(サンプル1)では油脂処理物の添加によるコクの増強効果が認められなかったのに対し、低油脂マヨネーズ様調味料(サンプル2、3)では、いずれも、油脂処理物の添加によるコクの増強効果が認められた。油脂処理物の添加によるコクの増強効果は、特に、W/O/W型であるサンプル3で顕著であった。
Figure 2016174541
なお、別途、参考例1の油脂処理物を、W/O/W型乳化物における濃度が0.001重量
%(10重量ppm)となるように予め油相に添加し、常法(特許第4208939号等)に従い、油脂含量が24重量%であるW/O/W型乳化物を調製し、評価サンプルとした。上記と同様に官能評価を行ったところ、油相に油脂処理物を添加した場合でも、製品サンプルに油脂処理物を添加した場合と同等のコクの増強効果が確認された。このことから、油脂処理物の添加方法の違いによるコクの増強効果の差は認められないことがわかった。
実施例2:油脂処理物の添加効果に及ぼす添加濃度の影響
本実施例では、参考例1の油脂処理物を種々の濃度で低油脂マヨネーズ様調味料に添加し、添加濃度が油脂処理物の添加効果に及ぼす影響を検証した。
<製品サンプル>
・ピュアセレクト(登録商標)コクうま(登録商標)65%カロリーカット
<評価成分>
・参考例1の油脂処理物
<評価サンプルの調製>
参考例1の油脂処理物を菜種油で希釈し、希釈率(倍):1000、100、10、1(原液)の油脂処理物希釈液を調製した。表2に従い、各油脂処理物配合濃度(0〜1000重量ppm)となるよう、油脂処理物希釈液を製品サンプルに配合し、全量100gに調整した。さらに、成分均質化のため、得られた混合物をスプーンにて約30回撹拌し、評価サンプルを得た。油脂処理物配合濃度が0重量ppmの評価サンプルを対照サンプルとした。
Figure 2016174541
<官能評価>
以下の内容で、評価サンプルの官能評価を行った。
評価項目:コクの増強度、および総合的な好ましさ
評価パネル:開発担当者2名
評価基準:コクの増強度については、「0点:効果なし(対照サンプルと同等)」、「1点:わずかに効果を感じる」、「2点:効果を感じる」、「3点:効果を強く感じる」、「4
点:効果を著しく強く感じる」として0.5点刻みで評価した。総合的な好ましさについて
は、「1点:著しく好ましくない」、「2点:より好ましくない」、「3点:差なし(対照
サンプルと同等)」、「4点:より好ましい」、「5点:著しく好ましい」として0.5点刻
みで評価した。
結果を表3に示す。コクの増強度は、油脂処理物配合濃度0〜500ppmまで濃度依存的に
増加した。一方、総合的な好ましさは、油脂処理物配合濃度0〜300重量ppmまで濃度依存
的に増加したが、油脂処理物配合濃度500重量ppm以上では酸化油の風味が強くなることにより低下した。以上より、油脂処理物配合濃度は、1〜750重量ppmであることが好ましく
、10〜500重量ppmであることがより好ましく、50〜300重量ppmであることがさらに好ましいと考えられる。
Figure 2016174541
実施例3:油脂処理物とカルシウム受容体活性化作用を有するペプチドとの併用効果の検証
本実施例では、参考例1の油脂処理物とγ-Glu-Val-Glyを種々の濃度で低油脂マヨネーズ様調味料に添加し、併用効果を検証した。
<製品サンプル>
・ピュアセレクト(登録商標)コクうま(登録商標)65%カロリーカット
<評価成分>
・参考例1の油脂処理物
・γ-Glu-Val-Gly(Gluvalicineとも呼ぶ、CAS登録番号:38837-70-6)
<評価サンプルの調製>
参考例1の油脂処理物を菜種油で希釈し、希釈率(倍):1000、100、10、1(原液)の油脂処理物希釈液を調製した。また、γ-Glu-Val-Glyは水で希釈し、希釈率(倍):100
の希釈液を調製した。表4に従い、各油脂処理物配合濃度(0〜1000重量ppm)、および、各γ-Glu-Val-Gly配合濃度(0〜50重量ppm)となるよう、希釈液を製品サンプルに配合し、全量100gに調整した。さらに、成分均質化のため、得られた混合物をスプーンにて約30回撹拌し、評価サンプルを得た。油脂処理物およびγ-Glu-Val-Glyの配合濃度が共に0
重量ppmの評価サンプルを対照サンプルとした。
Figure 2016174541
<官能評価>
以下の内容で、評価サンプルの官能評価を行った。
評価項目:コクの増強度、および総合的な好ましさ
評価パネル:開発担当者2名
評価基準:コクの増強度については、「0点:効果なし(対照サンプルと同等)」、「1点:わずかに効果を感じる」、「2点:効果を感じる」、「3点:効果を強く感じる」、「4
点:効果を著しく強く感じる」として0.5点刻みで評価した。総合的な好ましさについて
は、「1点:著しく好ましくない」、「2点:より好ましくない」、「3点:差なし(対照
サンプルと同等)」、「4点:より好ましい」、「5点:著しく好ましい」として0.5点刻
みで評価した。
結果を表5に示す。コクの増強度は、油脂処理物とγ-Glu-Val-Glyを併用することで、油脂処理物を単独で配合した場合と比較して、更に向上した。油脂処理物配合濃度500重
量ppm以上では酸化油の風味が強くなることで総合的な好ましさが低下する傾向がみられ
る(表3)が、例えば、油脂処理物配合濃度300重量ppmにγ-Glu-Val-Gly配合濃度50重量ppmを併用することで、コクの増強度は油脂処理物配合濃度500重量ppmの場合と同等に向
上しながら、総合的な好ましさは油脂処理物配合濃度300重量ppmの場合と同等に維持された。以上より、油脂処理物とカルシウム受容体活性化作用を有するペプチドを併用することで、「コクの増強」および「総合的な好ましさ」を高水準に両立することができると考えられる。
Figure 2016174541
実施例4:油脂処理物と植物油脂の添加効果の比較
本実施例では、参考例1の油脂処理物と種々の植物油脂をそれぞれ低油脂マヨネーズ様調味料に添加し、添加効果を比較した。
<製品サンプル>
・ピュアセレクト(登録商標)コクうま(登録商標)65%カロリーカット
<評価成分>
・参考例1の油脂処理物
・菜種油
・コーン油
・大豆油
<評価サンプルの調製>
プラスチックカップ(150ml容)に各評価成分0.001gを計量し、製品サンプルを足して
全量100gに調整した。さらに、成分均質化のため、得られた混合物をスプーンにて約30回撹拌し、評価サンプルを得た。評価サンプルにおける各評価成分の濃度は0.001重量%
(10重量ppm)である。また、いずれの評価成分も添加していない製品サンプルを対照サ
ンプルとした。
<官能評価>
以下の内容で、評価サンプルの官能評価を行った。
評価項目:コクの増強度
評価パネル:開発担当者2名
評価基準:「0点:効果なし(対照サンプルと同等)」、「1点:わずかに効果を感じる」、「2点:効果を感じる」、「3点:効果を強く感じる」、「4点:効果を著しく強く感じ
る」として0.5点刻みで評価した。
結果を表6に示す。油脂処理物を添加した場合のみコクの増強効果が認められた。よって、油脂処理物に含有されるオクタン酸やデカン酸等の有効成分が、コクの増強に寄与しているものと示唆される。
Figure 2016174541

Claims (21)

  1. オクタン酸および/またはデカン酸を含有する低油脂乳化調味料。
  2. オクタン酸濃度が0.15〜109重量ppbである、請求項1に記載の調味料。
  3. デカン酸濃度が0.15〜115重量ppbである、請求項1または2に記載の調味料。
  4. さらに、1−オクテン−3−オールを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の調味料。
  5. 1−オクテン−3−オール濃度が0.09〜69重量ppbである、請求項4に記載の調味料。
  6. オクタン酸およびデカン酸を含有する油脂処理物が配合された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の調味料。
  7. 前記油脂処理物におけるオクタン酸濃度が5〜500重量ppmである、請求項6に記載の調味料。
  8. 前記油脂処理物におけるデカン酸濃度が10〜4200重量ppmである、請求項6または7に記載の調味料。
  9. 前記油脂処理物が、さらに、1−オクテン−3−オールを含有する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の調味料。
  10. 前記油脂処理物における1−オクテン−3−オール濃度が5〜550重量ppmである、請求項9に記載の調味料。
  11. 前記油脂処理物の配合量が1重量ppm〜750重量ppmである、請求項6〜10のいずれか1項に記載の調味料。
  12. 前記油脂処理物が、油脂に溶存酸素供給速度0.058mg/L/min以上で酸素を供給しながら、該油脂を加熱することにより得られたものである、請求項6〜11のいずれか1項に記載の調味料。
  13. 前記油脂が植物油脂である、請求項12に記載の調味料。
  14. さらに、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチドを含有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の調味料。
  15. 前記ペプチドが、γ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Z(Zはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−W−OCH(R)CO2H(Wはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を
    表し、RはH又はCH3を表す)から選択される1またはそれ以上のペプチドである、請
    求項14に記載の調味料。
  16. 前記ペプチドが、γ−Glu−Val−Gly、γ−Glu−Nva−Gly、γ−Glu−Abu−Gly、およびγ−Glu−Nvaから選択される1またはそれ以上のペプチドである、請求項14または15に記載の調味料。
  17. 前記ペプチドを1重量ppm以上含有する、請求項14〜16のいずれか1項に記載の調味料。
  18. 調味料における油脂含量が40重量%以下である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の調味料。
  19. W/O/W型の乳化調味料である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の調味料。
  20. オクタン酸および/またはデカン酸を低油脂乳化調味料またはその原料に配合することを含む、低油脂乳化調味料を製造する方法。
  21. オクタン酸および/またはデカン酸を低油脂乳化調味料またはその原料に配合することを含む、低油脂乳化調味料の油脂様のコクを増強する方法。
JP2015055163A 2015-03-18 2015-03-18 低油脂乳化調味料 Active JP6638199B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015055163A JP6638199B2 (ja) 2015-03-18 2015-03-18 低油脂乳化調味料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015055163A JP6638199B2 (ja) 2015-03-18 2015-03-18 低油脂乳化調味料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016174541A true JP2016174541A (ja) 2016-10-06
JP6638199B2 JP6638199B2 (ja) 2020-01-29

Family

ID=57068605

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015055163A Active JP6638199B2 (ja) 2015-03-18 2015-03-18 低油脂乳化調味料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6638199B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200066607A (ko) 2017-10-13 2020-06-10 제이-오일 밀스, 인코포레이티드 식품용 유지감 증강제 및 그것을 함유하는 식품
KR20210152468A (ko) 2019-04-11 2021-12-15 제이-오일 밀스, 인코포레이티드 식품용 유지감 증강제 및 식품의 유지감 증강방법

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60184366A (ja) * 1984-03-02 1985-09-19 Meiji Milk Prod Co Ltd W/o/w型複合乳化ドレツシング類
WO2008139945A1 (ja) * 2007-05-08 2008-11-20 Ajinomoto Co., Inc. 低脂肪食品
US20090155446A1 (en) * 2007-12-17 2009-06-18 Symrise Gmbh & Co. Kg Process for the preparation of a flavoring concentrate, and a flavoring concentrate
WO2013118740A1 (ja) * 2012-02-06 2013-08-15 味の素株式会社 生乳様の香気及び/又は風味が付与された飲食品及びその製造方法、並びに生乳様の香気及び/又は風味を付与するための組成物
WO2013118742A1 (ja) * 2012-02-06 2013-08-15 味の素株式会社 飲食品にコク味を付与するための組成物
WO2013146129A1 (ja) * 2012-03-29 2013-10-03 味の素株式会社 飲食品用素材の製造方法
JP2014008053A (ja) * 2012-07-03 2014-01-20 Ajinomoto Co Inc W1/o/w2型乳化物
WO2014178138A1 (ja) * 2013-05-01 2014-11-06 キユーピー株式会社 W/o/w型乳化調味料

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60184366A (ja) * 1984-03-02 1985-09-19 Meiji Milk Prod Co Ltd W/o/w型複合乳化ドレツシング類
WO2008139945A1 (ja) * 2007-05-08 2008-11-20 Ajinomoto Co., Inc. 低脂肪食品
US20090155446A1 (en) * 2007-12-17 2009-06-18 Symrise Gmbh & Co. Kg Process for the preparation of a flavoring concentrate, and a flavoring concentrate
WO2013118740A1 (ja) * 2012-02-06 2013-08-15 味の素株式会社 生乳様の香気及び/又は風味が付与された飲食品及びその製造方法、並びに生乳様の香気及び/又は風味を付与するための組成物
WO2013118742A1 (ja) * 2012-02-06 2013-08-15 味の素株式会社 飲食品にコク味を付与するための組成物
WO2013146129A1 (ja) * 2012-03-29 2013-10-03 味の素株式会社 飲食品用素材の製造方法
JP2014008053A (ja) * 2012-07-03 2014-01-20 Ajinomoto Co Inc W1/o/w2型乳化物
WO2014178138A1 (ja) * 2013-05-01 2014-11-06 キユーピー株式会社 W/o/w型乳化調味料

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200066607A (ko) 2017-10-13 2020-06-10 제이-오일 밀스, 인코포레이티드 식품용 유지감 증강제 및 그것을 함유하는 식품
KR20210152468A (ko) 2019-04-11 2021-12-15 제이-오일 밀스, 인코포레이티드 식품용 유지감 증강제 및 식품의 유지감 증강방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP6638199B2 (ja) 2020-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5532920B2 (ja) 低脂肪食品
JP5688687B2 (ja) ペプチドのコク味付与用途
RU2532834C2 (ru) Агент для придания кокуми
JP6766380B2 (ja) コク味付与機能を有する組成物
JP7367747B2 (ja) コク味付与機能を有する組成物
JP6638199B2 (ja) 低油脂乳化調味料
JP6557947B2 (ja) W/o/w型乳化物
JP6801196B2 (ja) コク味付与機能を有する組成物
JP6314841B2 (ja) コク味付与剤
JPH08332053A (ja) マグネシウム塩の苦味低減方法
JP3070923B1 (ja) 気泡入り水中油型乳化調味料
JP2015039371A (ja) 酸性水中油型乳化調味料
JP2010284160A (ja) 液体調味料
JPWO2015137317A1 (ja) コク味付与剤
JP5616598B2 (ja) 液体調味料
JP2020162437A (ja) にんにく由来の口臭の抑制用組成物
JP4397876B2 (ja) 低粘性酸性水中油型乳化食品の製造方法
WO2020149287A1 (ja) 食用油脂組成物およびその製造方法
JP2015039370A (ja) 酸性水中油型乳化調味料
JP2008199944A (ja) 酸性液状調味料
JP5275894B2 (ja) 液体調味料の製造法
JP2000175631A (ja) 乳化性食品組成物
WO2018181382A1 (ja) ショ糖様呈味を付与する機能を有する組成物
JP2008173030A (ja) 酸性液状調味料
JP2003169625A (ja) 水中油型乳化相を含む油脂含有組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171017

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180815

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180828

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181029

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190521

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191209

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6638199

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250