JP2016172821A - 構造色を呈する酸性官能基含有アクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体の製造方法 - Google Patents

構造色を呈する酸性官能基含有アクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】構造色として明確な有彩色を呈する有彩色部材に関し、より詳細には有彩色の染料及び/又は顔料等で着色されていない酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子であって、太陽光もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射光が、乳白色の淡い構造色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、緑(G)及び黄(Y)等の色みの構造色を明確に視感させる有彩色部材の提供。
【解決手段】構造色を呈する酸性官能基含有のアクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体の製造方法であっって、pH調整剤を加えて、pHを7〜11に調整することを特徴とする、分散体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、構造色として明確な有彩色を呈する有彩色部材に関し、より詳細には有彩色の染料及び/又は顔料等で着色されていない酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子であって、太陽光もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射光が、乳白色の淡い構造色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、緑(G)及び黄(Y)等の色みの構造色を明確に視感させる有彩色部材の製造方法に関する。
構造色とは、光の波長あるいはそれ以下の微細構造による発色現象を指し、身近な構造色の例にはコンパクトディスクやシャボン玉、モルフォ蝶、玉虫などが挙げられる。上記例では、それ自身には色がついていないが、その微細な構造によって光が干渉するため、色づいて見える。
そこで、近年、構造色を有するような規則正しい周期的な構造を人工的に作成する開発が進められている。例えば、球状単分散微細粒子が媒体中に分散してなる分散液を用いて、流し込み、噴射、塗布、流動等で粒子を配列・整合・乾燥・固定させて、平坦な下地部材上に分散質の球状微細粒子が、縦・横方向に規則的に配列する粒子状積層体の製造方法が種々提案されている。このように微細球状粒子を規則的に配列させることで、その粒子状積層体は、その構成粒子が有する諸特性等に係わって発揮される各種の表面特性が期待されている。特にその構成粒子サイズがサブミクロン、ナノのような極微細領域になれば、それだけ微細表面に係わって発揮される表面特性より明確になり、また、新しい表面機能を発揮させる機能素材として期待されるからである。特に、近年ではこのような球状単分散微粒子を規則配列したコロイド結晶が知られており、このようなコロイド結晶はBragg反射し構造発色することが知られている。また、これを色材や赤外線反射膜に応用する研究開発がされてきている。
近年、色材として色を視感させるには、染料又は顔料からなる染顔料物質による物体色又はカラーテレビのような光源色の他に、例えば、「特許文献1」に提案されているように、顔料等の着色剤を用いない単分散酸化チタン粒子を基板上に堆積させた薄膜において、その粒子の粒子径に、その外観色調が、赤色系から青色系の干渉色調になる単分散及び多層薄膜が提案されている。また、その単分散酸化チタンの粒子径を制御することでその大きさに応じて、その外観干渉光色調が赤系から青系に自在に調整できる単分散酸化チタンの薄膜であるとも記載されている。
一方、近年ではコロイド結晶を利用した色材において、Bragg回折に起因して発色することから、入射光の入射角と観察角の変化によって、その発色が変化してしまう問題があった。この現象は、オパールの遊色効果として知られているコロイド結晶の特性ではあるが、特定の色を表示するための色材とする場合には問題になってしまう。このような粒子が整然と配列する「長距離秩序型構造色」と呼ばれ、Bragg反射により見る角度により虹色に色が変わって見える。そこで、「特許文献2」では、媒体中に分散してなる単分散微粒子の配列構造を、アモルファス構造にすることで局所的にはある程度秩序があるが全体的には構造が不安定な「短距離秩序型構造色」では、角度に依存しない単色構造色が得られ視野角の広い反射型デバイス開発への応用が期待される。
また、媒体中にシリカ粒子やポリスチレン粒子などの微粒子を利用する系では、その構造により、レイリー散乱やミー散乱などの光の散乱で全体的に乳白色の淡い構造色となるため、「非特許文献1」では、カーボンブラック添加による彩度の向上が行われてきた。しかしながら、シリカ粒子などの粒子間の相互作用の弱い球状粒子では添加剤を加えることで、粒子の規則構造が崩れ、充分な着色力向上には繋がらなかった。
さらに、「特許文献3」、「非特許文献2」では、カーボンブラックなどの余分な添加剤を加えずに単分散な黒色の一種類の粒子のみで、サイズが均一な粒子由来に構造色と、黒色による余分な散乱光の吸収を同時に達成し、添加剤を加えずに構造発色が可能な報告もされている。また、この方法では、粒子の規則性が崩れにくいため、着色力は上記「非特許文献1」よりも向上するが、粒子自体も黒色のため、Bragg反射の原理による干渉光も同時に充分吸収されてしまう。そのため、粒子濃度を充分に増やす必要や、厚膜での構造色塗料組成物になってしまう。また、制御技術や量産化、コスト面においても問題は有る。
以上のような状況下にあって、従来から染料や顔料を用いない粒径が一様な透明材料からなる微粒子すなわち単分散微粒子を規則的に配列させることで、その微粒子配列による光の干渉が起き、このような積層構造体に係わる特有の干渉色調(反射光色)を呈する光色部材が多く報告されている。また、粒子サイズの揃った単分散微粒子分散体に、カーボンブラックを添加することや、添加剤を加えないで、サイズの揃った単分散な黒色の粒子のみで余分な散乱光を吸収し、彩度の向上が行われてきた。しかしながら、有彩色を有する染料や顔料並みの着色力を有する材料を作成することは非常に困難であった。また、例え僅かな着色力を有していたとしても、通常の光照射下では発色はほとんど視感されず、暗視野下の回折光で見られる回折発色として視感される微小な発色レベルであった。
特開2001−206719号公報 特許第5274164号 特許第3995242号
Y.Takeoka:J.Mater.Chem.C,1,6059(2013). J.Jpn.Soc.Colour Master.,87[8],279-283 (2014)
本発明の目的は、構造色として明確な有彩色を呈する有彩色部材に関し、より詳細には有彩色の染料及び/又は顔料等で着色されていない酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子であって、太陽光もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射光が、乳白色の淡い構造色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、緑(G)及び黄(Y)等の色みの構造色を明確に視感させる有彩色部材の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、構造色を呈する酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体の製造方法であって、pH調整剤を加えて、pHを7〜11に調整することを特徴とする分散体の製造方法に関する。
また本発明は、酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体がアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、黒色系無彩物を0.001質量%以上含有することを特徴とする上記分散体の製造方法に関する。
また本発明は、酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子が、黒色系無彩色で着色させたアクリル系有機ポリマー球状微粒子であることを特徴とする上記分散体の製造方法に関する。
また本発明は、上記分散体の製造方法により得られる分散体に関する。
また本発明は、構造色を呈する酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体であって、pHが7〜11であることを特徴とする分散体に関する。
構造色として明確な有彩色を呈する有彩色部材に関し、より詳細には有彩色の染料及び/又は顔料等で着色されていない構造色を呈する酸性官能基含有アクリル系有機ポリマー球状微粒子であって、pH調整剤を加えて、pHを7〜11に調整することで、太陽光もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射光が、乳白色の淡い構造色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、緑(G)及び黄(Y)等の色みの構造色を明確に視感させる有彩色部材の製造方法を構築することができた。
以下に、本発明の有彩色部材の特徴について更に説明する。
既に上述した如く、本発明による構造色を呈する有彩色部材の発色方法では、有彩色の染料及び/又は顔料等で着色されていない構造色を呈する酸性官能基含を有する有機アクリル系有機ポリマー球状微粒子分散液において、前記アクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体に、pH調整剤を加えて、pHを7〜11に調整することで、太陽光もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射光が、乳白色の淡い構造色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、緑(G)及び黄(Y)等の色みの構造色を明確に視感させる有彩色部材の製造方法を構築することができるものである。
また、このような特徴を有する本発明の有彩色部材が発色する有彩光色種が、このアクリル系有機ポリマー球状微粒子の明確な所定の粒子径との係わりを有し、しかも、恰も光源色のように発色する構造色であることが顕著な特徴である。
そこで、本発明において用いる黒色系無彩物は、この反射光色の色みをより鮮明にさせることから、好ましくは、マンセル色標におけるこの明度が5以下、更に好ましくは3以下の色みの無い黒色系無彩物である。
本発明において、黒色系無彩物とは、具体的に、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック)、油煙、黒鉛、黒染料(ニグロシン、アジン他)、イカ墨、墨汁、インスタントコーヒー粉末などが挙げられ、また、黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機ポリマーの粒子なども含む。ただし、本発明で使用する黒色系無彩物は上記例のこれらに限定されるものではない。
また、このような特徴を有する本発明による有彩色部材を形成させている酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子は、体積基準で表される平均粒子径が100〜600nmの範囲にある特定の粒子径を有している。その有彩光色をより鮮明に発色させる観点から、好ましくは、この平均粒子径が150〜350nmの範囲にあることが好適である。
また、既に上述する如く、このような特徴を有する本発明による粒子状分散体もしくは積層物としての有彩色部材は、恰も規則的整合した粒子によって、結晶格子面を形成しているように観察される。従って、その表面に照射される可視光が、この粒子状格子面(粒子状積層物面)に係わって回折干渉して反射される反射効率が、光発色部材の発色する色みに及ぼすことから、好ましくは、この酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状粒子が単分散粒子であることが好適である。
そこで、本発明においては、その単分散性を表す粒子径の均斉度であるCv値が、30%以下であって、反射光色の色みの濃さ、鮮明さから、より好ましくは20%以下の単分散粒子であることが好適である。
また、本発明で用いる黒色無彩色で着色させた酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子は、体積基準で表される平均粒子径が100〜600nmの範囲にあるアクリル系有機ポリマー球状微粒子に、予め黒色染料や顔料等の黒色系無彩物で着色されたアクリル系有機ポリマー球状微粒子であっても良い。
ここで挙げる黒色系無彩物とは、既に上述した如く、マンセル色標におけるこの明度が5以下、更に好ましくは3以下の色みの無い黒色系無彩物である。ただし、本発明で使用する黒色系無彩色はこれらに限定されるものだけではない。
また、本発明においては、この粒子状分散体もしくは積層物は、好ましくは厚さ方向の規則配列が、少なくとも2配列以上であることが、垂直反射光色をより鮮明に、より深みのある色みの構造色を呈するのに有効である。
そこで、本発明による有彩色部材の粒子状分散液もしくは積層物を形成する、例えば、酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー微粒子に係わる表面に、可視光線が照射されて視感されるその垂直反射光色は、例えば、紫色系、青色系、緑色系、黄色系及び赤色系等の色みの垂直反射光色である。既に上述する如く、これらの垂直反射光色は、以下に記載する如く特定の平均粒子径(d)なる係わりを有している。
すなわち、
(イ)d=180〜200nmの範囲においては、発色する有彩光色が紫色系(P)である。
(ロ)d=200〜220nmの範囲においては、発色する有彩光色が青色系(B)である。
(ハ)d=220〜250nmの範囲においては、発色する有彩光色が緑色系(G)である。
(ニ)d=250〜280nmの範囲においては、発色する有彩光色が黄色系(Y)である。
(ホ)d=280〜300nmの範囲においては、発色する有彩光色が赤色系(R)である。
<Cv値:変動係数>
また、本発明においては、その単分散性を表す粒子径の均斉度であるCv値が、30%以下(より好ましくは10%以下、更に詳しくは1〜5%)である必要がある。このような粒子径のCv値が30%を超える微粒子は、粒径のばらつきが大きいため、アモルファス構造を形成した際の短距離秩序構造を形成することが困難となる傾向にある。また、ここにいう「粒子径のCv値」は、下記式で定義される値(単位:%)をいう。

[Cv値]=([粒子径の標準偏差]/[平均粒子径])×100
このような単分散微粒子の平均粒子径及び粒子径の標準偏差は、日機装株式会社の粒度分布測定器Microtrac(ナノトラックWave)を用いて、粒径分布をヒストグラムで表し、粒径分布をCv値で算出して求めることが出来る。Cv値とは粒子径の均一さを表す値で、平均粒径dで標準偏差σを割った値、すなわち、変動係数である。
<平均粒子径>
また、本発明における酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー微粒子の粒子径は、日機装株式会社の粒度分布測定器Microtrac (ナノトラックWave)を用いて、算出した値である。
具体的には、粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径を50%径(μm)とし、その50%径は累積中位径(Median径)として一般的に粒子径分布を評価するパラメータであり、その値を平均粒子径として用いた。
以上のような特徴を発揮する本発明の酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子としては、ポリマー成分として酸性官能基を有するモノマーを含む。
具体的な酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子の酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホ基、リン酸基、チオール基、等を挙げることができる。ただし、上記例のこれらに限定されるものではない。
また、本発明においの酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子の原料モノマーとして、例えば、カルボキシル基(COOH)を有するモノマーでは、(メタ)アクリル酸、クロロヘキサンカルボン酸ビニルテトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸が挙げられ、また、これらの誘導体として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。ただし、上記例のこれらに限定されるものではない。
また、本発明においの酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子の原料モノマーとして、例えば、スルホ基(SO3H)、リン酸基(H2PO4)、チオール基(SH)を有するモノマーとしては、ビニルスルホン酸、アクリルアミドt−ブチルスルホン酸、N−t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸、リン酸エステル、3-メルカプトブチレート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等を挙げることができる。ただし、上記例のこれらに限定されるものではない。
また、本発明においの酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子の原料モノマーとして、例えば、水酸基(OH;ヒドロキシル基)を有するモノマーとしては、1,1,1−トリヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルメチルエタントリ(メタ)アクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート,ヒドロキシビニルエーテル,ヒドロキシプロピルビニルエーテル,ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート挙げることができる。ただし、上記例のこれらに限定されるものではない。
更に、上記例以外で酸性を呈する(飽和水溶液下での解離を含む)モノマーとして、
(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸イソプロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸イソブチル,(メタ)アクリル酸ペンチル,(メタ)アクリル酸ヘキシル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸ノニル,(メタ)アクリル酸デシル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸フェニル,(メタ)アクリル酸メトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシエチル,(メタ)アクリル酸プロポキシエチル,(メタ)アクリル酸ブトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,n−酪酸ビニル,イソ酪酸ビニル,ピバリン酸ビニル,カプロン酸ビニル,パーサティック酸ビニル,ラウリル酸ビニル,ステアリン酸ビニル,安息香酸ビニル,p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル等のビニルエステル類、
(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル,(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロメチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル−2−パ−フルオロブチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル,(メタ)アクリル酸パ−フルオロメチル,(メタ)アクリル酸ジパ−フルオロメチルメチル等のフッ素置換(メタ)アクリル酸モノマー(又はフルオロ(メタ)アルキルアクリレート)、
また、フルオロエチレン、ビニリデンフルオリド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等のフロオロオレフィンが挙げられる。ただし、上記例のこれらに限定されるものではない。
上記例で示すこれらのモノマーは、1種又は2種以上を適宜好適に使用することができる。また、これらのモノマーのみの重合体であっても、他の重合性モノマーとの共重合体であってもよい。ただし、上記例のこれらに限定されるものではない。
また、本発明において、既に上述する如く酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子のモノマー成分以外に含んでも良い、その他モノマー成分としては、例えば、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド及びジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類並びにグリシジル(メタ)アクリレート,エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ジエチルグリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル等の(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。また、更に上述するモノマー以外としては、例えば、スチレン,メチルスチレン,ジメチルスチレン,トリメチルスチレン,エチルスチレン,ジエチルスチレン,トリエチルスチレン,プロピルスチレン,ブチルスチレン,ヘキシルスチレン,ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン,クロルスチレン,ブロモスチレン,ジブロモスチレン,クロルメチルスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン,アセチルスチレン,メトキシスチレン等のスチレン系モノマーを挙げることができる。更に、スチレン系モノマー以外の他のモノマーとして、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;塩化ビニリデン等が挙げられる。ただし、上記例のこれらに限定されるものではない。
必ずしも以下に記載するポリマー種に特定されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、テトラフルオロエチレンン、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリベンジルメタアクリレート、ポリフェニレンメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。本発明においては、既に上述した如く太陽光等の自然光又は白色光の照射下に、その可視光波長領域光に係わる光発色部材の反射光色を視感することから、そのポリマー樹脂は、特に耐候性に優れて樹脂自体が、光劣化変色を起こし難い耐候性に優れていることも重要である。このような観点から、好ましくは、従来から周知の事実である耐候性に優れる(メタ)アクリル系、(メタ)アクリル−スチレン系、フッ素置換(メタ)アクリル系及びフッ素置換(メタ)アクリル−スチレン系から選ばれる何れかのアクリル系の有機ポリマー微粒子が適宜好適に使用される。
また、本発明に用いる酸性官能基を有する有機アクリル系ポリマー球状微粒子は、上述する如く、黒色系無彩物を前記アクリル系有機ポリマー微粒子に対して、0.001質量%以上添加、もしくはアクリル系有機ポリマー球状微粒子に、予め黒色染料や顔料等で着色させた黒色系無彩色粒子以外に、必要に応じて予め他の添加剤として、例えば、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、帯電付与剤、界面活性剤、分散安定剤、消泡剤、安定剤、等を目的用途等に応じて適宜添加させることができる。
そこで、これらの重合性モノマーを用いて本発明による光発色部材を調製させる平均粒子径(d)が100〜600nmの範囲にある酸性官能基を有する有機アクリル系ポリマーの単分散球状微粒子は、通常、一般的に用いられているソープフリー乳化重合、乳化重合、懸濁重合等で適宜調製することができる。
例えば、ソープフリー乳化重合では、通常、用いる重合開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩が重合時に水性媒体に可溶であればよい。通常、重合単量体100重量部に対して、重合開始剤を0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜2重量部の範囲で添加すればよい。また、乳化重合法の場合では、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル等の乳化剤を重合単量体100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部で水性媒体に混合させて乳化状態にし、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩の重合開始剤を、重合単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜2重量部で添加すればよい。また、懸濁重合を含め、上記する乳化剤も特に特定する必要がなく、通常に使用されているアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤又は必要に応じてノニオン系界面活性剤等から選んで、その単独又は組合わせて使用することができる。例えば、アニオン系界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルホネート、ウンデシルベンゼンスルホネート、トリデシルベンゼンスルホネート、ノニルベンゼンスルホネート、これらのナトリウム、カリウム塩等が挙げられ、また、カチオン系界面活性剤としてはセチルトリメチルアンモニウムプロミド、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、また、ノニオン系界面活性剤としては、リピリジニウム等が挙げられる。また、反応性乳化剤(例えば、アクリロイル基、メタクロイル基等の重合性基を有する乳化剤)としては、例えば、アニオン性、カチオン性又はノニオン性の反応性乳化剤が挙げられ、特に限定することなく使用される。また、乳化剤に係わって従来から、分散性や、着色粒子の粒子径が大きくなる傾向からアニオン性の反応性乳化剤が好適に使用され、例えば、スルホン酸(塩)型、カルボン酸(塩)型、リン酸エステル型等が挙げられ、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルの硫酸塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルエーテルの硫酸エステル塩等が挙げられる。
以上から、本発明の構造色を呈する有彩色部材の発色方法では、構造色として明確な有彩色を呈する有彩色部材に関し、より詳細には有彩色の染料及び/又は顔料等で着色されていない構造色を呈する酸性官能基を有する有機アクリル系有機ポリマー球状微粒子分散液において、前記アクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体に、pH調整剤を加えて、pHを7〜11に調整することで、太陽光もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射光が、乳白色の淡い構造色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、緑(G)及び黄(Y)等の色みの構造色を明確に視感させる有彩色部材の製造方法を目的とし、その有彩光色を呈する構造色は、各種の用途に着色材もしくは赤外反射等の光学材料として好適に用いられる。従って、この光発色部材を単独又は二次加工材として、例えば、反射型ディスプレイ、変色センサー、偽造防止剤、電着カラー板、カラーシート、カラーフィルター、偏光フィルム、インクジェット記録用インク、グラビア印刷用インク、ホログラム部材、顔料として用いることができる。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例にいささかも限定されるものではない。
<S−1(分散液);光学発色体の分散液の調整(エマルジョン)>
容量2リットルの四つ口フラスコに、純水300重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.55重量部仕込み、撹拌しながら80℃に加温した。次いで、開始剤として過硫酸カリウム1.2重量部を用い、モノマーとしてスチレン45.8重量部、アクリル酸2-エチルヘキシル142.6重量部、アクリル酸8.6重量部、アクリル酸アミド3.0重量部の混合液を、微粒子を形成する重合性モノマー混合物として100分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間重合反応を行った。この乳化重合で得られた分散液(S−1)中には、体積基準で表す平均粒子径212.5nmの均一な粒子径を有する球状の白色重合体粒子を得た。また、重合終了時の水分散媒のpHは3.8であった。
<S−2(分散液);光学発色体の分散液の調整(エマルジョン)>
容量2リットルの四つ口フラスコに、純水300重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.55重量部仕込み、撹拌しながら80℃に加温した。次いで、開始剤として過硫酸カリウム1.2重量部を用い、モノマーとしてスチレン45.8重量部、アクリル酸2-エチルヘキシル142.6重量部、メタクリル酸8.6重量部、アクリル酸アミド3.0重量部の混合液を、微粒子を形成する重合性モノマー混合物として100分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間重合反応を行った。この乳化重合で得られた分散液(S−2)中には、体積基準で表す平均粒子径148.9nmの均一な粒子径を有する球状の白色重合体粒子を得た。また、重合終了時の水分散媒のpHは5.1であった。
<S−3(分散液)/黒色系無彩色粒子;光学発色体の分散液の調整(エマルジョン)>
容量1リットルの四つ口フラスコに、純水300重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6重量部仕込み、撹拌しながら80℃に加温した。次いで、開始剤として過硫酸カリウム0.5重量部を用い、モノマーとしてスチレン51.0重量部、アクリル酸2-エチルヘキシル91.0重量部、メタクリル酸メチル51.0重量部、
アクリル酸7.0重量部、微粒子を形成する重合性モノマー混合物とし、さらに黒色染料のC.Iソルベントブラック27の8重量部を加えた混合物を100分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間重合反応を行った。この乳化重合で得られた分散液(S−3)中には、体積基準で表す平均粒子径208.4nmの均一な粒子径を有する球状の黒色重合体粒子を得た。また、重合終了時の水分散媒のpHは3.6であった。
<実施例1>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.13ml添加し、pH=7.2の分散体を調整した。その後、10回手振り分散を行うことで実施例1の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例2>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.15ml添加し、pH=9.5の分散体を調整した。その後、10回手振り分散を行うことで実施例2の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例3>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.18ml添加し、pH=11.1の分散体を調整した。その後、10回手振り分散を行うことで実施例3の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例4>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.13ml添加し、pH=7.1の分散体を調整した。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH調整後のpH=7.1のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで実施例4の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例5>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.15ml添加し、pH=9.8の分散体を調整した。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH調整後のpH=9.8のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで実施例5の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例6>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.18ml添加し、pH=11.4の分散体を調整した。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH調整後のpH=11.4のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで実施例6の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例7>
重合終了後のpH=5.1の上記S−2(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.10ml添加し、pH=7.4の分散体を調整した。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH調整後のpH=7.4のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで実施例7の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例8>
重合終了後のpH=5.1の上記S−2(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.13ml添加し、pH=9.6の分散体を調整した。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH調整後のpH=9.6のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで実施例8の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例9>
重合終了後のpH=5.1の上記S−2(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.16ml添加し、pH=11.7の分散体を調整した。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH調整後のpH=11.7のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで実施例9の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例10>
重合終了後のpH=3.6の上記S−3(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.13ml添加し、pH=7.0の分散体を調整した。その後、10回手振り分散を行うことで実施例10の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例11>
重合終了後のpH=3.6の上記S−3(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.16ml添加し、pH=9.4の分散体を調整した。その後、10回手振り分散を行うことで実施例11の有彩色部材である分散体を得た。
<実施例12>
重合終了後のpH=3.6の上記S−3(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.18ml添加し、pH=11.7の分散体を調整した。その後、10回手振り分散を行うことで実施例12の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例1>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)を比較例1の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例2>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.08ml添加し、pH=5.6の分散体を調整した。その後、10回手振り分散を行うことで比較例2の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例3>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(東京化成工業社製)を約0.05ml添加し、pH=12.8の分散体を調整した。その後、10回手振り分散を行うことで比較例3の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例4>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH=3.8のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで比較例4の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例5>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.10ml添加し、pH=5.3の分散体を調整した。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH調整後のpH=5.3のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで比較例5の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例6>
重合終了後のpH=3.8の上記S−1(分散体)50mlに対して1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(東京化成工業社製)を約0.05ml添加し、pH=12.7の分散体を調整した。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH調整後のpH=12.7のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで比較例6の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例7>
重合終了後のpH=5.1の上記S−2(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.08ml添加し、pH=5.1の分散体を調整した。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH調整後のpH=5.1のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで比較例7の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例8>
重合終了後のpH=5.1の上記S−2(分散体)50mlに対して1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(東京化成工業社製)を約0.05ml添加し、pH=12.6の分散体を調整した。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化学工業社製)を表1記載のとおり上記pH調整後のpH=12.6のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0質量%添加した後、10回手振り分散を行うことで比較例8の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例9>
重合終了後のpH=3.6の上記S−3(分散体)を比較例9の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例10>
重合終了後のpH=3.6の上記S−3(分散体)50mlに対して28%アンモニア水溶液(関東化学社製)を約0.08ml添加し、pH=5.4の分散体を調整した。その後、10回手振り分散を行うことで比較例10の有彩色部材である分散体を得た。
<比較例11>
重合終了後のpH=3.6の上記S−3(分散体)50mlに対して1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(東京化成工業社製)を約0.05ml添加し、pH=12.7の分散体を調整した。その後、10回手振り分散を行うことで比較例11の有彩色部材である分散体を得た。
<分散液の発色評価試験>
評価は、上記で調整した実施例1〜12、比較例1〜11の分散液における発色性を分光反射率(%R)スペクトルで評価した。具体的には、各種、調整した分散媒を石英セル(S20曲底標準セル/ジーエルサイエンス社製)に6.0ml加え、所定の分光光度計(日立分光光度計/U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて反射率(%R)スペクトルの測定を行った。
発色評価は、粒子径に応じた目的の最大反射スペクトルの反射率/pH調整剤を加える前の反射率で実施した。結果については、反射率比が30以上を◎、14〜29を○、5〜13を△、4以下を×とした。
分光反射率のベースラインの反射率は、検出器が設置された球の内面に直径30mmの円状、厚さ10mmの硫酸バリウムの白色盤を用いてベースライン補正を行い、粒子径に応じた目的の最大反射スペクトルの反射率をそれとした。
以上の分散液(S−1〜3)のより詳細な組成を以下の表1に示す。
Figure 2016172821
以上の分散液の発色評価試験結果と最大反射スペクトル(λmax)を表2に示した。
(実施例1〜12、比較例1〜11)

Figure 2016172821
[実施例1〜12及び比較例1〜11で得られた分散体の発色評価]
表2の実施例1〜3、比較例1〜3の分散体を比較すると、pH調整剤を加えたpH=7.2、9.5、11.1のpH=7〜11の範囲内で、比較例1のpH調整剤を加える前のpH=3.8、比較例2のpH調整剤を僅かに加えたpH=5.6、比較例3の強塩基下のpH=12.8に比べると、発色評価が良好な結果であることを確認できた。
また、実施例4〜12、比較例4〜11においても上記同様、pH=7〜11の範囲で発色強度が向上する傾向が確認された。
更に、実施例4〜9で発色結果が非常に良好であったのは、黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対してごく少量添加(1.0質量%)したことで、余分な散乱光が低減し、反射光色の色みをより鮮明にさせたと推測される。
それに対して、実施例10〜12、比較例9〜11においては、アクリル系有機ポリマー球状微粒子が、黒色無彩色で着色させたアクリル系有機ポリマー球状微粒子であり、カーボンブラックなどの余分な添加剤を加えずに単分散な黒色の一種類の粒子のみで構成されている。しかし、粒子自体も黒色な為、Bragg反射の原理による干渉光も十分に吸収されてしまうことで、発色評価が上記それと比較すると好ましくなかったと考えられる。
また、表2の実施例2、3、5、6、8,9より、モノマー成分にアクリル酸もしくはメタクリル酸を所定量以上含有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子(分散体S−1、2)では、pH=9〜11あたりの範囲で発色評価がより良好な結果であった。これらのモノマー組成で良好な発色を示す理由としては、上記pH範囲内でよりアクリル酸もしくはメタクリル酸モノマーを含むアクリル系有機ポリマー球状微粒子中のカルボキシル基がpH調整によって乖離し、粒子表面が適切な電荷で帯電したことで、適当な静電反発を受けたため、微粒子の整列が進んだ結果と推測される。
また、実施例1〜12、比較例1〜11で、pH差によって発色度合いが異なるのは、粒子表面の電位差によって微粒子の整列に差が生じた為だと推測される。更に、色相変化の観点では、粒子表面の電位差によって粒子の粒子間距離が変わった為に、Bragg反射原理から最大反射スペクトルが変化した結果と推測される。
以上から、本発明は、構造色を呈する酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体の製造方法であって、pH調整剤を加えて、pHを7〜11に調整することを特徴とする、分散体の製造方法である。また製造工程においても、上記分散体のpHを調整することで構造色として明確な有彩色を呈する有彩色部材の色相コントロール(反射率、分光)を容易かつ簡便に変化させることを可能とすることを特徴とする有彩色部材の製造方法であり、有彩色を有する染料、顔料を用いない明確な色彩材料としてインキや塗料に使用できるという利点がある。
以上から、本発明の構造色を呈する酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体の製造方法では、染料及び/又は顔料等の彩色性顔料で着色されていない構造色を呈する有機アクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体において、前記アクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体にpH調整剤を加えるだけの非常に安価且つ簡便な操作方法で、通常の太陽光もしくは可視光の照射下によって反射される垂直反射光色が構造色として明確な有彩色を有する有彩色部材を提供することができる。また、その有彩光色を呈する構造色は、各種の用途に着色材もしくは赤外反射等の光学材料として好適に用いられる。従って、この光発色部材を単独又は二次加工材として、例えば、反射型ディスプレイ、変色センサー、偽造防止剤、電着カラー板、カラーシート、カラーフィルター、偏光フィルム、インクジェット記録用インク、グラビア印刷用インク、ホログラム部材、顔料として用いることができる
また、特に、本発明の製造方法によって得られる構造色を呈する酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体は、紫外線又は赤外線照射に対する特性反射スペクトルに基づく紫外線又は赤外線反射を発揮させることから、各種の形状の新規な紫外線又は赤外線遮熱材料を提供することができる。

Claims (5)

  1. 構造色を呈する酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体の製造方法であって、pH調整剤を加えて、pHを7〜11に調整することを特徴とする、分散体の製造方法。
  2. 前記、酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体がアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、黒色系無彩物を0.001質量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の分散体の製造方法。
  3. 前記、酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子が、黒色系無彩色で着色させたアクリル系有機ポリマー球状微粒子であることを特徴とする請求項1記載の分散体の製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の分散体の製造方法により得られる分散体。
  5. 構造色を呈する酸性官能基を有するアクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体であって、pHが7〜11であることを特徴とする分散体。
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