JP6668838B2 - 感温性材料およびこれを用いた温度センサー - Google Patents

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Description

本発明は、構造色として明確な有彩色を呈する感温性材料に関し、より詳細には微粒子(A)及び黒色系無彩物(B)及び媒体(C)を含む、太陽光もしくは可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射光色が、紫、赤、青、緑、及び黄等の構造色である感温性材料であって、前記媒体(C)の固体と液体の間の相転移に伴い色が変化する感温性材料とそれを利用した温度センサーに関する。
従来より、温度計測においては多様な方法が考案されている。たとえば、温度による液体の膨張原理を利用し、ガラスの細管の中に感温液を入れ、液柱の位置から温度を測るガラス温度計が挙げられる。しかし、ガラス温度計は液中の位置を目盛から温度を読み取る必要がある。また、熱電対に代表される異なる2つの材料を接続しゼーベック効果による熱起電圧から温度を計測する方法、チタン酸バリウムのキュリー点近傍の電気抵抗変化などの温度による電気抵抗変化を計測する方法などが挙げられるが、これらは電気的な計測器が必須となる。また、被測定物の表面から放出される赤外線放射エネルギーを赤外線センサーによって計測し、被測定物の表面温度を測定する方法が挙げられるが、この方法も電気的な計測器が必要である。
一方、材料の色変化を利用する方法としては、感温液晶(一般にはコレステリック液晶を用いる)を利用する方法や、感温性色素を利用する方法が挙げられる。これらの方法は、色の変化の目視判断から温度を判断可能であり、目盛を読み取る必要が無く、さらに、専用の電気的な計測器を必要としない。感温液晶では、温度特性の異なる複数の液晶材料を任意に混合することで温度に対する応答を調整することが可能であるが、広い温度範囲で発色を維持することは困難である。また、感温性色素では化合物固有の性質を利用するために、温度と色を自由に設計することは困難である。
一方、微粒子が液体媒質に分散された微粒子分散液において、微粒子の単分散性(粒径の均一性)が高く、かつ、粒子体積分率が所定の値を上回ると、微粒子分散液中の微粒子(コロイド粒子)は、自己組織的に周期配列した状態をとることが知られている。このような状態にある微粒子分散液はコロイド結晶と呼ばれる。コロイド結晶は、その結晶格子間隔に対応する波長の電磁波に対するBragg反射能に起因する特異な特性(フォトニックバンドギャップの形成、光群速度の異常分散等)を発現することから、フォトニック結晶の性質を利用した光学素子への応用が期待されている。
コロイド結晶を利用した温度センシング技術が検討されている。例えば、温度変化によるゲルの体積変化を利用して結晶面間隔を制御した報告があるが、この場合にはコロイド結晶の固定化にあたって煩雑な工程が必要であり生産面で課題がある(非特許文献1)。さらに、解離度が温度で変化する弱電解物質を利用して温度変化により可逆的に結晶化するイオン性コロイド系の報告があるが、空気中の炭酸ガスなどによって結晶化温度が変わるため温度センサーとしては使えない課題があった(特許文献1)。また、従来のコロイド結晶は、その結晶構造の欠陥などに起因する散乱光のために発色は淡い乳白色として観察されてしまい、発色性が十分でないという課題がある。
特開平11−319539号公報
J.M.Weissman,H.B.Sunkara,A.S.Tseand S.A.Asher,Science,274,959,(1996)
本発明は、太陽光もしくは可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射光色が、紫、赤、青、緑、及び黄等の色みの構造色を視感させ、その色が温度などによって変わることで、周囲の温度を検知可能な感温性材料と温度センサーの提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の諸問題点を考慮し解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。微粒子(A)、黒色系無彩物(B)、および、媒体(C)を含む感温性材料であって、微粒子(A)が、平均粒子径が100nm〜600nmであり、かつ、粒子径の変動係数Cv値が30%以下であり、黒色系無彩物(B)が、微粒子(A)に対して0.001重量%以上含有されている感温性材料であって、前記媒体(C)が液体状態である温度では、構造色として明確な有彩色を呈し、前記媒体(C)が固体状態である温度では、液体状態である温度での構造色とは、色相または反射率において異なる色であることを特徴とする感温性材料に関する。
また本発明は、黒色系無彩物(B)が、液体状態の媒体(C)に対して不溶であることを特徴とする上記の感温性材料に関する。
また本発明は、媒体(C)の80重量%以上が水であり、さらに、pHが7.5以上である上記の感温性材料に関する。
また本発明は、微粒子(A)が、水溶性モノマー(a)と非水溶性モノマー(b)との共重合物であって、水溶性モノマー(a)の50重量%以上がカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーである、上記の感温性材料に関する。
また本発明は、微粒子(A)が、全モノマー組成中に、屈折率が1.50以上のモノマーを10.0重量%以上含有することを特徴とする上記の感温性材料に関する。
また本発明は、微粒子(A)が、全モノマー組成中に、スチレンを10.0重量%以上含有することを特徴とする上記の感温性材料に関する。
また本発明は、微粒子(A)のガラス転移温度が、40℃以上であることを特徴とする上記の感温性材料に関する。
また本発明は、上記記載の感温性材料と、少なくとも一部が透明である容器とからなり、前記感温性材料が前記容器内に密閉させてなる温度センサーに関する。
本発明の感温性材料は微粒子(A)と黒色系無彩物(B)と媒体(C)を含むことで、容易に優れた有彩色を得ることができる。
以下に、本発明の感温性材料の特徴について更に説明する。
<感温性材料>
本発明の感温性材料は、平均粒子径が100nm〜600nmの範囲にあり、粒子径の変動係数Cv値が30%以下である微粒子(A)及び、微粒子(A)に対して0.001重量%以上の黒色系無彩物(B)及び、媒体(C)を含み、構造色として明確な有彩色を呈し、前記媒体(C)の固体と液体の間の相転移に伴い色が変化することを特徴とする。また、黒色系無彩物(B)を加えることで、構造色とは無関係の散乱光を効率的に吸収し優れた発色性を得ることができる。
本発明において感温性材料は、微粒子(A)と黒色系無彩物(B)を媒体(C)中で分散させた分散体であってもよいし、微粒子同士が互いに接触し固定された粒子積層体状態であってもよい。分散体は、これを微細なカプセルや光学セルなどの容器に封入することにより、温度センサーなどに用いることができる。
<微粒子(A)>
本発明の微粒子(A)は、これの体積基準で表される平均粒子径(d)が100〜600nmの範囲にあることを特徴とする。有彩光色をより鮮明に発色させる観点から、この平均粒子径は150〜350nmの範囲にあることが好ましい。この微粒子(A)の平均粒子径は有彩色材料で観察される発色と相関を有している。
上記のような微粒子の取る構造の規則性により有彩色は得られることから、微粒子の粒子径はなるべく均一であることが望ましい。本発明において、微粒子の粒子径のばらつきの指標である変動係数Cv値が30%以下であり、20%以下であることが好ましい。変動係数Cv値が30%より大きい場合、微粒子の取る構造の規則性を十分に得ることができず、有彩色を得ることができない可能性がある。
なお、本発明における平均粒子径とは、粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたときの、累積カーブが50%となる累積中位径のことを指し、動的光散乱法により測定できる。
動的光散乱法による平均粒子径の測定は、以下のようにして行うことができる。微粒子(A)は、重量が500〜2000倍となるように水に分散しておく。該分散液約5mlを測定装置[(株)日機装製マイクロトラック]のセルに注入し、サンプルに応じた溶剤(本発明では水)およびポリマーの屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた累積中位径の値を平均粒子径とする。
また、本発明においては、粒子径の均斉度を表す変動係数Cv値は下記式で定義される値のことを指し、平均粒子径と同様、動的光散乱法によって測定できる。

[Cv値]=([粒子径の標準偏差]/[平均粒子径])

この粒子径の標準偏差は、上記の平均粒子径の測定時に得られた微粒子の粒子径に対する分布から算出することができる。
本発明における微粒子(A)の材料は無機材料でも有機材料でも良く、更にはそれらの混合物、結合物その他任意である。コア−シェル型の粒子であっても良く、シェルが多層であっても良い。また中空の粒子でも良い。
微粒子(A)の無機材料としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどが挙げられる。
微粒子(A)の有機材料としては、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
また、微粒子(A)は、50重量%以上がカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーである水溶性モノマー(a)と非水溶性モノマー(b)の共重合物からなることが好ましい。この場合と特に、水溶性モノマー(a)に対して50重量%以上のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーが組み込まれていることで、微粒子間の相互作用による規則構造の誘導が起こり、高度な規則構造が得られると考えられる。カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーのうち70重量%以上、100重量%以下であることが、微粒子の規則構造誘導の観点から更に好ましい。また、非水溶性モノマー(b)が組み込まれることで、微粒子(A)を安定に合成することが可能になると考えられる。
尚、本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」から選ばれる少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
また本発明では、微粒子の安定性や分散性の観点から、水溶性モノマー(a)と非水溶性モノマー(b)の重量比(a)/(b)は0.01〜0.5の範囲であることが好ましく、0.01〜0.1の範囲であることが更に好ましい。
本発明では、水溶性モノマー(a)とは25℃の蒸留水に対して、1.0重量%以上溶解するものを指す。また、非水溶性モノマー(b)とは、25℃の蒸留水に対して、1.0重量%以上溶解しないものを指す。
カルボキシルキを有するアクリル酸系モノマーであって、かつ、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーである水溶性モノマー(a)として、例えば(メタ)アクリル酸、こはく酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)などが挙げられる。
それ以外の(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
(メタ)アクリル酸フェニル等の芳香族(メタ)アクリル酸エステル、
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等の置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチルの(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素置換系モノマー;
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル類等の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが挙げられる。
また、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基を有するモノマーや、1,1,1−トリヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーなどの、官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
本発明では、微粒子の屈折率調整の観点から、全モノマー成分として屈折率が1.50以上のモノマーを10.0重量%以上有することが好ましく、10.0重量%以上かつ80重量%以下有することがさらに好ましい。本発明では、モノマーの屈折率として、POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION (J.Brandrup, E.H.Immergut, E.A.Grulke)に記載の値を使用した。
屈折率が1.50以上のモノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン、メトキシスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、クロルメチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、アクリル酸ペンタブロモフェニル、アクリル酸ペンタブロモベンジル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。本発明では、屈折率が1.50以上のモノマーとしてスチレンを有することが好ましく、スチレンをモノマー成分として10重量%以上、90重量%以下有することがさらに好ましく、10重量%以上、80重量%以下有することがさらに好ましい。
本発明では、微粒子(A)は、共重合が可能であれば上記以外のモノマーをモノマー成分として有してもよい。
共重合が可能な上記以外のモノマーとして、例えば、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等のカルボン酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等の無水カルボン酸基を有するモノマー;ヒドロキシビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル等のビニルエーテルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、パーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニリデン、クロロヘキサンカルボン酸ビニル等が挙げられる。
本発明において、微粒子(A)が重合物である場合、ガラス転移温度Tgは40℃以上であることが好ましい。Tgが40℃より小さい場合、媒体(C)が固体と液体の間の相転移を繰り返す際に微粒子(A)が凝集してしまうことがある。
本発明においてガラス転移温度Tgとは、下記FOXの式で算出される設計Tgのことを指す。

FOXの式: 1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・+wN/TgN

Tg:微粒子(A)のガラス転移温度(K)
Tg1、Tg2、・・・、TgN:成分1、2、・・・Nのガラス転移温度(K)
w1、w2、・・・、wN:成分1、2、・・・Nの重量分率

(例えば、モノマー組成が、アクリル酸−2−エチルヘキシル(50重量%、218K)、スチレン(45重量%、373K)、アクリル酸(5重量%、379K)の微粒子(A)の場合は、Tg(K)=275(K)=2(℃)となる。)
本発明において、微粒子(A)自体の吸収により、構造色による反射強度を低下させることを防ぐため、微粒子(A)は無色であることが好ましい。本発明において(A)が無色であるとは、400nm〜800nmにおいて微粒子(A)の反射スペクトルを測定したときに、その反射強度の最小値が20%以上であるものを指す。反射スペクトルの測定は以下の方法で行うことができる。微粒子(A)を臭化カリウム粉末中に10重量%で分散し、脱水、加圧し、膜圧1mmのペレットを得る。このペレットを直径30mmの円状、厚さ10mmの酸化アルミニウムの白色盤の手前に設置し、分光光度計(日立分光光度計/U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、反射スペクトルを測定する。得られた反射スペクトルを、微粒子(A)の反射率とする。各波長における反射率は、上記の白色盤単体で測定したものを100%として計算した。
本発明の微粒子(A)が重合物である場合、一般的に用いられている乳化重合、ソープフリー乳化重合、懸濁重合等で適宜調製することができる。
本発明の微粒子(A)が重合物である場合に、合成に際して用いられる重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができる。
油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリルなどのアゾビス化合物などをあげることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。これら重合開始剤は、モノマー100重量部に対して、0.1〜10.0重量部の量を用いるのが好ましい。
水溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドなど、従来既知のものを好適に使用することができる。また、重合を行うに際して、所望により重合開始剤とともに還元剤を併用することができる。これにより、重合を促進したり、低温において重合を行ったりすることが容易になる。このような還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、エルソルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラートなどの金属塩などの還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元性無機化合物、塩化第一鉄、ロンガリット、二酸化チオ尿素などを例示できる。これら還元剤は、全モノマー100重量部に対して、0.05〜5.0重量部の量を用いるのが好ましい。
本発明の微粒子(A)を乳化重合で得るに際して用いられる界面活性剤としては、特に制限はなく、公知の界面活性剤を使用することができる。例えば、アニオン系界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルホネート、ウンデシルベンゼンスルホネート、トリデシルベンゼンスルホネート、ノニルベンゼンスルホネート、これらのナトリウム、カリウム塩等が挙げられ、また、カチオン系界面活性剤としてはセチルトリメチルアンモニウムプロミド、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、また、ノニオン系界面活性剤としては、リピリジニウム等が挙げられる。また、反応性乳化剤(例えば、アクリロイル基、メタクロイル基等の重合性基を有する乳化剤)としては、例えば、アニオン性、カチオン性又はノニオン性の反応性乳化剤が挙げられ、特に限定することなく使用される。またこれらを併用して用いることもできる。
<黒色系無彩物(B)>
黒色系無彩物(B)は色味がなく低明度の物質のことを指し、微粒子(A)の構造による発色をより鮮明にさせるために使用する。本発明で黒色系無彩物(B)とは、その明度、彩度をCIE1976(L,a,b)色空間で表した時に、明度であるL*が60以下、彩度である(a*の二乗+b*の二乗)の平方根が20以下であるものを指す。L、a、bの算出は、以下のようにして行うことができる。黒色系無彩物(B)を臭化カリウム粉末中に0.1重量%で分散し、脱水、加圧し、膜圧1mmのペレットを得る。分光光度計(日立分光光度計/U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、このペレットの透過スペクトルを測定する。得られた透過スペクトル、光源D50、および2度視感度曲線から算出したL、a、bを本発明におけるL、a、bとする。
黒色系無彩物(B)としては特に限定はされないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、黒鉛などのなどの炭素系黒色色材、酸化鉄、酸化マンガン、硫化亜鉛などの酸化物系黒色色材、ニグロシン類、アジン類、メラミン類などの有機系黒色色材などが挙げられる。
本発明では、黒色系無彩物(B)は微粒子(A)に対して0.001重量%以上含まれる。0.001重量%より少ない場合、黒色系無彩物(B)による効果が不十分になり、明確な有彩色が得られなくなる可能性がある。また、黒色系無彩物(B)は微粒子(A)に対して0.001重量%以上、10重量%以下含まれることが好ましい。黒色系無彩物(B)は微粒子(A)に対して10重量%より多く含まれると、微粒子の取る構造による干渉光も吸収されてしまい、十分な発色が得られない可能性がある。
本発明において黒色系無彩物(B)は媒体(C)に対して不溶であることが好ましい。黒色系無彩物(B)が媒体(C)に不溶であることで、媒体(C)中で偏在し、散乱光などに由来する有彩色に不要な発色を効率的に吸収し取り除くことができる。媒体(C)中で不溶であることは、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡などから確認することが可能である。
本発明において黒色系無彩物(B)は顔料であることが好ましい。黒色系無彩物(B)が染料であった場合、顔料と比較して耐候性に劣るため、有彩色色材中で散乱光などの不要な光の吸収を長期にわたって行うことができない。
<媒体(C)>
本発明で媒体(C)とは、微粒子(A)や、黒色系無彩物(B)の隙間に存在するもののことを指す。媒体(C)としては、固体と液体の相転移をするものであれば、特に限定はされない。
ここで、本発明の媒体(C)の固体状態について説明する。ここで言う固体状態とは、結晶状態、アモルファス状態、ゲル状態、および、それらが混合した状態などが挙げられ、流動性を失った状態、あるいは、固体状態と液体状態のものが混在する状態を示す。
また、本発明の媒体(C)の液体状態について説明する。ここで言う液体とは、流動性を有する状態、あるいは、固体状態であるものを含まない状態である。
たとえば、純粋な水は0℃以下で結晶化し固体となり、0℃以上では液体となる。
また、濃度などによって異なるものの1.5〜3重量%のゼラチンを加えた水であれば、15〜20℃以下の温度でゲル化し、20〜30℃以上の温度でゲルが溶解する。
本発明の媒体(C)として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレなどの極性溶剤や、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、ノルマルヘキサンなどの非極性溶媒が挙げられる。上記の溶媒を混合して用いても良い。また、それらにゲル化剤を加えてもよい。さらには、温度によって固体状態と液体状態の転移を示すものであれば、ホットメルト樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用いることもできる。
媒体(C)としては、少なくとも80重量%以上が水であることが好ましく、さらに、そのpHが7.5以上であることが好ましい。
ここで言う、pHとは、HORIBA社製ポータブルpHメーターD−54にHORIBA社製のpH測定用電極9680型を接続して測定した値である。校正には、和光純薬社製のしゅう酸塩pH標準液(25℃でpH1.68)、フタル酸塩pH標準液(25℃でpH4.01)、および、ほう酸塩pH標準液(25℃でpH9.18)を用いた。水以外の溶媒を含む場合、測定値が安定した時点のpHを用いる。安定な測定の条件の1例は、電極を浸漬して30分間保持し、さらに、測定開始から5分後の値を用いる方法である。
本発明の感温性材料は、媒体(C)が液体状態である温度では、微粒子(A)の構造により構造色として明確な有彩色を呈する。媒体(C)の固体と液体と間の相転移により、微粒子(A)の構造が変化し、構造色が変化する。構造色の変化は、色相変化であっても、反射率の変化であってもよい。媒体(C)が完全に固体となると、温度に関わらず、一定の色相および反射率の色を示すようになり、液体状態である温度での異なる構造色となる。
<その他>
また本発明の感温性材料には、上記の微粒子(A)、黒色系無彩物(B)、媒体(C)のほかに、必要に応じて、例えば、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、帯電付与剤、界面活性剤、分散安定剤、消泡剤、安定剤等の添加剤を加えることもできる。
本発明の感温性材料は、媒体(C)の固体と液体の間の相転移に伴い色が変化する。このメカニズムはいくつかの原因が考えられ、それらが組み合わさる場合もあると考えられる。
媒体(C)が、液体と固体の間の相転移する場合に考えられる変化としては以下のような場合が考えられる。
(1)媒体(C)の膨張や収縮が原因でコロイド結晶の周期距離が変化することで反射波長が変化する場合
(2)媒体(C)が液体状態で微粒子(A)が配列しコロイド結晶構造を有する状態から、媒体(C)が固体化に伴い微粒子(A)が媒体(C)から押し出されてコロイド結晶構造が破壊され消色し、媒体(C)が液体へ戻る際に微粒子(A)は再び均一な分散状態となりコロイド結晶構造が復活し有彩色となる場合
(3)媒体(C)が液体状態で微粒子(A)が配列しコロイド結晶構造を有する状態から、媒体(C)の固体化が不均一に進行し散乱源となる欠陥が多数生じてコロイド結晶のBragg反射が阻害されて消色するが、媒体(C)が液体へ戻ることで再びBragg反射能が復活する場合
また、固体化に伴い微粒子(A)が媒体(C)から押し出されてコロイド結晶構造が破壊される際に、系外へ押し出された微粒子(A)が不可逆に凝集する場合もある。この場合、媒体(C)の固体と液体の間の相転移を繰り返すと発色が著しく低下する。
本発明の感温性材料を、少なくとも一部が透明である容器に密閉することで、温度センサーとして利用することが出来る。ここで言う、透明というのは、容器内部の感温性材料の色の変化が確認可能であることを意味する。したがって、確認可能であればヘイズを有していても着色されていても良いが、好ましいのは、波長が380〜780nmの光において透過率が75%以上あることである。
また、容器に密閉した状態としては、ガラスや樹脂などの容器に入れ蓋がされた状態の他、2枚のフィルムや板を対向させ周囲をシールした構造の内部の薄い空間に封入した状態、および、マイクロカプセルや中空ビーズの内部に封入した状態などが挙げられるが、なんらこれらに限定されるものではない。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例にいささかも限定されるものではない。
<S−1(分散液);微粒子(A)分散液の調整>
容量2リットルの四つ口フラスコに、純水300重量部、乳化剤としてアデカリアソープSR―10を2.0重量部仕込み、撹拌しながら80℃に加温した。次いで、開始剤として過硫酸カリウム1.2重量部を加え、モノマーとしてアクリル酸6部、スルホン酸ビニル4部、スチレン60重量部、メタクリル酸メチル66重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル44重量部、アクリロニトリル20重量部の混合液を100分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間撹拌しながら80℃に保持した。この乳化重合で得られた分散液(S−1)中には、微粒子(A)が含まれ、その平均粒子径は200nmであった。
<S−2〜3、5〜26(分散液);微粒子(A)分散液の調整>
容量2リットルの四つ口フラスコに、純水300重量部、乳化剤としてアデカリアソープSR―10を表1に従って加え、撹拌しながら80℃に加温した。次いで、開始剤として過硫酸カリウム1.2重量部を加え、モノマーを表1に従って各種割合で加えた混合液を100分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間撹拌しながら80℃に保持した。この乳化重合で得られた分散液(S−2〜3、5〜13、15〜26)中には、微粒子(A)が含まれ、その平均粒子径は100nm〜600nmであった。
<S−4(分散液)/コアシェル型微粒子(A)分散液の調整>
容量2リットルの四つ口フラスコに、純水300重量部、乳化剤としてアデカリアソープSR―10を2.0重量部仕込み、撹拌しながら80℃に加温した。次いで、開始剤として過硫酸カリウム0.3重量部を加え、モノマーとして、スチレン90重量部、メタクリル酸メチル40重量部、ジビニルベンゼン10重量部の混合液を100分間かけて滴下し、滴下終了後、さらに30分間撹拌しながら80℃に保持した。上記撹拌後、さらに、メタクリル酸5重量部、メタクリル酸メチル40重量部、アクリル酸ブチル15重量部からなる混合液を、100分間かけて滴下した。滴下終了後、2時間撹拌しながら80℃に保持した。この乳化重合で得られた分散液(S−4)中には、微粒子(A)が含まれ、その平均粒子径は平均粒子径220nmであった。
<S−14(分散液)/黒色粒子型微粒子(A)分散液の調整>
容量1リットルの四つ口フラスコに、純水300重量部、乳化剤としてアデカリアソープSR―10を1.0重量部仕込み、撹拌しながら80℃に加温した。次いで、開始剤として過硫酸カリウム0.5重量部を加え、モノマーとしてアクリル酸6部、スチレン149重量部、アクリル酸ブチル45重量部、さらに黒色染料のC.Iソルベントブラック27の8重量部を加えた混合物を100分間かけて滴下した。滴下終了後、撹拌しながら80℃に保持した。この乳化重合で得られた分散液(S−14)中には、微粒子(A)が含まれ、その平均粒子径は平均粒子径240nmであった。
上述の微粒子(A)のモノマー組成と性状を表2に示す。

表1
Figure 0006668838

AA:アクリル酸(屈折率1.4202)
MAA:メタクリル酸(屈折率1.432)
VSA:スルホン酸ビニル(屈折率1.4493)
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル(屈折率1.4502)
St:スチレン(屈折率1.5470)
BzA:アクリル酸ベンジル(屈折率1.5143)
BzMA:メタクリル酸ベンジル(屈折率1.5120)
MMA:メタクリル酸メチル(屈折率1.4140)
EA:アクリル酸エチル(屈折率1.4060)
BA:アクリル酸ブチル(屈折率1.4180)
2EHA:アクリル酸-2エチルヘキシル(屈折率1.4360)
GMA:メタクリル酸グリシジル(屈折率1.4490)
AN:アクリロニトリル(屈折率1.3911)
ATFE:アクリル酸トリフルオロエチル(屈折率1.3506)
DVB:ジビニルベンゼン(屈折率1.5470)
上記屈折率は、POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION (J.Brandrup, E.H.Immergut, E.A.Grulke)に記載の値を使用した。
<実施例1>
分散液S−1を、アンモニア水(和光純薬社製/28重量%)を用いてpHを8.5に調整した他後に、微粒子(A)に対して0.01重量%となるように、分散液S−1に表1記載の配合物A−1を添加し、十分に撹拌することで実施例1の感温性材料である分散液を得た。
<実施例2〜30、比較例1〜8>
アンモニア水(和光純薬社製/28重量%)を用いてpHを8.5に調整した他後に、微粒子(A)に対して表3記載の重量割合となるように、各分散液に各配合物を添加し、十分撹拌することで実施例2〜30、実施例33〜34、比較例1〜6記載の感温性材料である分散液を得た。
<実施例31>
シリカ微粒子の分散液(日産化学社製/MP−2040)20gに対し、イオン交換樹脂(BIO−RAD社製/AG(登録商標)501−X8)を2g添加して1週間保管したものを用いて、微粒子(A)に対して表3記載の重量割合となるように、各分散液に各配合物を添加し、十分撹拌することで実施例31の感温性材料である分散液を得た。
<実施例32>
分散液S−1を、アンモニア水(和光純薬社製/28重量%)を用いてpHを6.0に調整した他後に、微粒子(A)に対して0.01重量%となるように、分散液S−1に表1記載の配合物A−1を添加し、十分に撹拌することで実施例32の感温性材料である分散液を得た。
上述の感温性材料の調整に用いた、配合物を表2に示す。

表2
Figure 0006668838
<温度センサーの評価試験>
上記で調整した実施例1〜30、比較例1〜8の分散液の感温性材料を温度センサーとして評価した。各種調整した分散体をスクリュー式の蓋付きの石英セル(S15スクリューキャップ付標準セル(石英)/ジーエルサイエンス社製)に6.0ml加えて密栓して温度センサーを作成し、この反射スペクトルを所定の分光光度計(日立分光光度計/U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。各波長における反射率は、検出器が設置された球の内面に直径30mmの円状、厚さ20mmの酸化アルミニウムの白色盤のものを100%として計算した。評価結果においては、構造色による反射率の最大値と構造色によらないベースラインの反射率の差分を反射率のコントラストとしたとき、そのコントラストが30%以上の場合を◎、20%以上かつ30%より小さい場合を○、10%以上かつ20%より小さい場合を○△、5%以上かつ10%より小さい場合を△、5%より小さい場合を×と評価した。この結果を、評価1として表3に示す。
続いて、作成した温度センサーをドライアイスとメタノールを用いて媒体を固体化させた後に、直ちに上記と同じ手法で分光測定を実施して温度センサーとしての発色変化を評価した。この結果を、評価2として表3に示す。
さらに、温度センサーを室温で放置して媒体を液体化させたのちに、上記と同じ手法で分光測定を実施して温度センサーとしての発色変化を評価した。この結果を、評価3として表3に示す。
最後に、ドライアイスとメタノールを用いた温度センサーの冷却と室温での放置によって媒体の固体化と液体化のサイクルを10回繰り返し、最後に媒体が液体状態のセンサーに関して、上記と同じ手法で記と同じ手法で分光測定を実施して温度センサーとしての発色を評価した。この結果を、評価4として評価3に示す。
上述の実施例、比較例の配合処方と、温度センサーの評価結果を表3に示す。
表3
Figure 0006668838
表3の実施例1〜34の結果より、微粒子(A)、黒色系無彩物(B)、および、媒体(C)を含み、構造色として明確な有彩色を呈することを特徴とし、
微粒子(A)が、平均粒子径が100nm〜600nmであり、かつ、粒子径の変動係数Cv値が30%以下であり、黒色系無彩物(B)が、微粒子(A)に対して0.001重量%以上含有されている感温性材料を用いた温度センサーは、媒体(C)の固体と液体の間の相変化によって発色が顕著に変化することが判明した。
特に、実施例1〜28の、微粒子(A)が、水溶性モノマー(a)と非水溶性モノマー(b)との共重合物であって、水溶性モノマー(a)の50重量%以上がカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーである場合、表3中の評価4より繰り返し性に優れることが分かる。
それに対して、50重量%以上がカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーである水溶性モノマー(a)でない実施例33〜34では、評価3中の評価4より繰り返し性が劣ることが分かる。これは、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーの水溶性モノマー(a)に対する割合が不十分であったため、粒子間の相互作用が適切に得られず、媒体の固体化の際に分散状態を安定して維持できなかったためであると考えられる。
また、微粒子(A)がシリカである実施例31でも評価3中の評価4より繰り返し性が劣ることが分かる。これは、シラノール基がカルボキシル基に比べ解離しにくいために、粒子間の相互作用が適切に得られず、媒体の固体化の際に分散状態を安定して維持できなかったためであると考えられる。
また、pHが7.5以下である実施例32では、表3中の評価1〜評価4より、繰り返し性が若干劣ることが分かる。これは、pHが低いためにカルボキシル基の解離が抑制され、粒子間の相互作用が適切に得られず、媒体の固体化の際に分散状態を安定して維持しにくくなったためと考えられる。
微粒子(A)の変動係数Cv値が30%より大きい比較例1では、良好な発色は得られなかった。これは、使用した微粒子の変動係数が大きいため、規則性配列が形成されなかったためであると考えられる。また、黒色系無彩物(B)を微粒子(A)に対して0.001重量%以上含んでいない比較例2〜6は良好な発色は得られなかった。これは黒色系無彩物(B)の量が不十分であったため、散乱光の影響が顕著に現れ、顕著な発色差が得られなかったためであると考えられる。
実施例6と比べると、水溶性の黒色系無彩物(B)を使用した実施例20〜21は評価1の結果が若干劣ることが分かる。これは黒色系無彩物(B)が媒体(C)である水中に不溶であったため、偏在して存在することができ、効率的に散乱光などの不要な発色を吸収できたためであると考えられる。
また、微粒子(A)の全モノマー組成中に屈折率が1.50以上のモノマーを10重量%以上有さない実施例22〜24は評価3中の評価1の結果が劣ることが分かる。
これは、屈折率が1.50以上のモノマーが十分に樹脂に組み込まなかったため、樹脂の屈折率が十分に制御されず、構造発色が低下したためであると推察される。また、微粒子(A)の全モノマー組成中にスチレンを10重量%以上有している実施例1、3〜17、25、28では、10重量%より少なく有する実施例2、26〜27と比較して、さらに良好な発色性が得られることが分かった。
また、微粒子(A)のTgが40℃以下である実施例29〜30では、表3中の評価3〜4より繰り返し性に劣る結果となった。これは、微粒子が柔らかいため、微粒子同士が結着し不可逆に凝集したためであると考えられる。
また、黒色系無彩物(B)を10重量%より多く含有する実施例18では、評価3中の評価1より発色性がやや劣ることが分かる。これは、黒色系無彩物(B)の含有量が過多である為に発色性が低下したと推察される。
本発明の感温性材料は、温度によって明確な色の変化が可能なことから、温度センサーに加え、温度による色変化を利用した意匠性の用途、や表示用途に用いることが可能である。また、本発名の温度センサーは温度変化を目視によって判断可能である。たとえば、ガラス窓を有する冷凍設備を開放することなく、さらに、特別な電気装置を用いることもなく、内部温度の監視が可能であり、温度管理上の省エネルギー化が可能である。

Claims (8)

  1. 微粒子(A)、黒色系無彩物(B)、および、媒体(C)を含む感温性材料であって、微粒子(A)が、平均粒子径が100nm〜600nmであり、かつ、粒子径の変動係数Cv値が30%以下であり、黒色系無彩物(B)が、微粒子(A)に対して0.001重量%以上含有されている感温性材料であって、前記媒体(C)が液体状態である温度では、構造色として明確な有彩色を呈し、前記媒体(C)が固体状態である温度では、液体状態である温度での構造色とは、色相または反射率において異なる色であることを特徴とする感温性材料。
  2. 黒色系無彩物(B)が、液体状態の媒体(C)に対して不溶であることを特徴とする請求項1記載の感温性材料。
  3. 媒体(C)が、水を媒体(C)全体の80重量%以上含み、さらに、媒体(C)のpHが7.5以上である請求項1または2記載の感温性材料。
  4. 微粒子(A)が、水溶性モノマー(a)と非水溶性モノマー(b)とからなるモノマーの共重合物であって、水溶性モノマー(a)の50重量%以上がカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーである、請求項1〜3いずれか記載の感温性材料。
  5. 微粒子(A)が、全モノマー組成中に、屈折率が1.50以上のモノマーを10.0重量%以上含有することを特徴とする請求項4記載の感温性材料。
  6. 微粒子(A)が、全モノマー組成中に、スチレンを10.0重量%以上含有することを特徴とする請求項4または5記載の感温性材料。
  7. 微粒子(A)のガラス転移温度が、40℃以上であることを特徴とする請求項4〜6いずれか記載の感温性材料。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の感温性材料と、少なくとも一部が透明である容器とからなり、前記感温性材料が前記容器内に密閉させてなる温度センサー。
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