JP2016171769A - 青果物の食感改善装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】青果物の食感を向上させることが出来る食感改善装置及び方法を提供しようとするもの。
【解決手段】この装置は、青果物を塩化物イオン含有水に浸漬して水分を滲出させる水分滲出槽1と、前記青果物を温水に浸漬する温水浸漬槽2とを有する。この方法は、青果物を塩化物イオン含有水に浸漬して水分を滲出させる水分滲出工程と、前記青果物を温水に浸漬する温水浸漬工程とを有することを特徴とする。前記水分滲出槽1で塩化物イオン含有水を電気分解するようにしてもよい。
【選択図】図1
Description
すなわち、最近の社会生活及び食生活の変化により、単一種又は複数種の野菜を刻んで袋詰めにしたカット野菜、及びそれらをサラダとしてプラスチック容器に詰めた商品が、スーパーマーケット、コンビニエンスストアー等で販売されるようになった。
また、レストラン等では、調理の手間を省くためにカット野菜を購入し、それらをサラダとして提供するなど、カット野菜の需要が増加してきた。特にレストラン等では、野菜の傷んでいるところを除去したり、皮をむいたり、きざんだりする等の、調理の手間が省けると共に、必要な時に必要な量だけ簡易に入手することができ、野菜屑等の生ゴミの量を減少させ、すばやく客に提供することができるという長所を有しているためである。
しかしながら、生鮮野菜をカット野菜へ加工する際に、野菜表面に付着した微生物により野菜のカット面および野菜内部も汚染される。このような汚染を防止するため、加工前の生鮮野菜の表面に付着する汚れや細菌を十分に除去することは重要な課題である。
前記提案は、レストラン、学校調理室、社員食堂などで用いられ、もしくはスーパーやコンビニエンスストアーまたはデパート等の生鮮食料品売場で販売される生鮮野菜の表面に付着する微生物を、薬品または多量の洗剤などを使用することなく安全かつ十分に生鮮野菜から除去する生鮮野菜の洗浄を目的とし、その具体的な処理方法は、生鮮野菜を35℃〜90℃の温水を用いて、10秒〜15分間接触して加温する加温処理と、加温した生鮮野菜を0℃〜15℃の冷水を用いて、10秒〜15分間接触して冷却する冷却処理により、生鮮野菜を洗浄し、除菌し、かつ鮮度を保持することとし、この洗浄方法により生鮮野菜の表面に付着した微生物および土やごみなどの汚れ、肥料や農薬、環境ホルモンなどの化学物質を、薬品や多量の洗剤などを使用することなく安全かつ十分に生鮮野菜から除去し、同時に生鮮野菜が本来有する味、食感、外観の劣化を防ぐこともできた、というものである。
しかし、青果物が本来有する味、食感、外観の劣化を防ぐのみならず、その食感を向上させることが出来ないかという要望があった。
(1)この発明の青果物の食感改善装置は、青果物を塩化物イオン含有水に浸漬して水分を滲出させる水分滲出槽と、前記青果物を温水に浸漬する温水浸漬槽とを有することを特徴とする。
ここで青果物とは、野菜類、果物、山菜、キノコなどの食用の植物をいう。
この青果物の食感改善装置では、青果物を塩化物イオン含有水(高張液)に浸漬して水分を滲出させる水分滲出槽において(例えば10分間)、浸透圧により青果物の細胞膜(半透膜)を介して内部の水分が滲出せしめられ、原形質(核と細胞質)が収縮して細胞壁(全透膜)から離れ原形質分離し相互間に隙間が生じることとなる。
次いで、青果物の温水浸漬槽において(例えば10分間)、常温よりも分子運動が活発化した温水が前記細胞壁と原形質の隙間に浸入して相互間の空隙が水分で充填されることになるので、青果物を噛んだ際のコシが強くなってしっかりした歯応えが生まれることになる。
ここで、前記塩化物イオン含有水として、食塩水や食品洗浄用次亜塩素酸ナトリウム水を例示することが出来る。前記食塩水として、例えば3%程度の濃度のものを使用することが出来る。前記食品洗浄用次亜塩素酸ナトリウム水(次亜塩素酸の他に塩化物イオン(及びナトリウムイオン)も含有している)として、例えば残留塩素濃度が50ppm程度のものを使用することが出来る。
前記青果物の温水浸漬工程の温水の温度は45〜55℃の範囲が好ましい。
(2)この発明の青果物の食感改善方法は、青果物を塩化物イオン含有水に浸漬して水分を滲出させる水分滲出工程と、前記青果物を温水に浸漬する温水浸漬工程とを有することを特徴とする。
ここで青果物とは、野菜類、果物、山菜、キノコなどの食用の植物をいう。
この青果物の食感改善方法では、青果物を塩化物イオン含有水(高張液)に浸漬して水分を滲出させる水分滲出工程(例えば10分間)において、浸透圧により青果物の細胞膜(半透膜)を介して内部の水分が滲出せしめられ、原形質(核と細胞質)が収縮して細胞壁(全透膜)から離れ原形質分離し相互間に隙間が生じることとなる。
次いで、青果物の温水浸漬工程(例えば10分間)において、常温よりも分子運動が活発化した温水が前記細胞壁と原形質の隙間に浸入して相互間の空隙が水分で充填されることになるので、青果物を噛んだ際のコシが強くなってしっかりした歯応えが生まれることになる。
ここで、前記塩化物イオン含有水として、食塩水や食品洗浄用次亜塩素酸ナトリウム水を例示することが出来る。前記食塩水として、例えば3%程度の濃度のものを使用することが出来る。前記食品洗浄用次亜塩素酸ナトリウム水(次亜塩素酸の他に塩化物イオン(及びナトリウムイオン)も含有している)として、例えば残留塩素濃度が50ppm程度のものを使用することが出来る。
前記青果物の温水浸漬工程の温水の温度は45〜55℃の範囲が好ましい。
このように構成すると、塩化物イオン含有水の電気分解(2Cl−→Cl2+2e−)により生成する電解塩素(Cl2、HOCl、ClO−)や・OHラジカル、活性酸素の作用により、青果物の細胞膜が酸化分解され破壊されて微細な細孔が形成されることとなる。すると、青果物の細胞膜(半透膜)を介した内部の水分の滲出が促進され、細胞壁と原形質の隙間の空間が拡大する。この拡大した隙間にはより多くの温水が浸入できることとなるので、青果物を噛んだ際のコシがより強くなって、更にしっかりした歯応えが得られることとなる。
このように構成すると、電解水洗浄工程(例えば1〜2分間)において念を入れて青果物の表皮を清潔にすることが出来る。ここで、前記電解水の残留塩素濃度は例えば5ppm程度とすることが出来る。
このように構成すると、食べる際に水っぽくなく青果物とマヨネーズやドレッシング、調味料の味が引き立つことになる。ここで、例えば濡れた青果物をバキューム(吸引)することにより脱水することが出来る。
しっかりした歯応えが生まれることになるので、青果物の食感を向上させることが出来る青果物の食感改善装置及び方法を提供することが出来る。
図1及び図2に示すように、この実施形態の青果物の食感改善装置は、青果物としてレタスを塩化物イオン含有水に浸漬して水分を滲出させる水分滲出槽1と、前記青果物(レタス)を温水に浸漬する温水浸漬槽2とを有する。
この実施形態の青果物の食感改善方法は、青果物としてレタスを塩化物イオン含有水に浸漬して水分を滲出させる水分滲出工程(前記水分滲出槽1で行う)と、前記青果物(レタス)を温水に浸漬する温水浸漬工程(前記温水浸漬槽2で行う)とを有する。
前記塩化物イオン含有水として、3%程度の濃度の食塩水を使用した。前記青果物の温水浸漬工程の温水の温度は、50±3℃の範囲とした。
また、前記水分滲出工程で、塩化物イオン含有水を電気分解するようにした。さらに、前記温水浸漬工程の後に青果物を洗浄する電解水洗浄工程(1〜2分間)を有するようにした。前記電解水の残留塩素濃度は5ppm程度とした。
その上、前記温水浸漬工程の後に青果物(レタス)を脱水する脱水工程を有するようにした。具体的には、濡れた青果物をバキューム(吸引)することにより脱水するようにした。
(青果物の食感改善装置)
この青果物の食感改善装置では、青果物(レタス)を塩化物イオン含有水(高張液)に浸漬して水分を滲出させる水分滲出槽1において(約10分間)、浸透圧により青果物の細胞膜(半透膜)を介して内部の水分が滲出せしめられ、原形質(核と細胞質)が収縮して細胞壁(全透膜)から離れ原形質分離し相互間に隙間が生じることとなる。
(青果物の食感改善方法)
この青果物の食感改善方法では、青果物(レタス)を塩化物イオン含有水(高張液)に浸漬して水分を滲出させる水分滲出工程(約10分間)において、浸透圧により青果物の細胞膜(半透膜)を介して内部の水分が滲出せしめられ、原形質(核と細胞質)が収縮して細胞壁(全透膜)から離れ原形質分離し相互間に隙間が生じることとなる。
ついで、青果物の温水浸漬工程(約10分間)において、常温よりも分子運動が活発化した温水が前記細胞壁と原形質の隙間に浸入して相互間の空隙が水分で充填されることになるので、青果物を噛んだ際のコシが強くなってしっかりした歯応えが生まれることになり、青果物(レタス)のしゃきしゃきした食感を向上させることが出来るという利点を有する。
2 温水浸漬槽
3 電解水洗浄槽
4 脱水槽
Claims (6)
- 青果物を塩化物イオン含有水に浸漬して水分を滲出させる水分滲出槽(1)と、前記青果物を温水に浸漬する温水浸漬槽(2)とを有することを特徴とする青果物の食感改善装置。
- 前記水分滲出槽(1)で塩化物イオン含有水を電気分解するようにした請求項1記載の青果物の食感改善装置。
- 前記温水浸漬槽(2)の温水の温度は50±3℃の範囲とした請求項1又は2記載の青果物の食感改善装置。
- 青果物を塩化物イオン含有水に浸漬して水分を滲出させる水分滲出工程と、前記青果物を温水に浸漬する温水浸漬工程とを有することを特徴とする青果物の食感改善方法。
- 前記水分滲出工程で塩化物イオン含有水を電気分解するようにした請求項4記載の青果物の食感改善方法。
- 前記温水浸漬工程の温水の温度は50±3℃の範囲とした請求項4又は5記載の青果物の食感改善方法。
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2015
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