JP2016169301A - サーミスタセンサ注形用樹脂組成物およびサーミスタセンサ - Google Patents
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Abstract
Description
また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、反応性希釈剤、アミン系硬化剤、及びアルミナ粉末を含有するサーミスタセンサ注形用樹脂組成物も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、保護ケースの材料が金属である場合、従来の柔軟なモールド樹脂材料では高温高湿環境下で劣化しやすく、更に、従来の剛直なモールド樹脂では、ヒートサイクルがかかることにより金属製の保護ケースから樹脂が剥離しやすく、それらの影響でサーミスタセンサの寿命が短いという問題があった。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
[1](A)ビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)フィラー、(C)1分子中にアルコキシ基と下記一般式(1)で表される基とを有する有機ケイ素化合物、及び(D)脂肪族ポリアミンを含有し、樹脂組成物全量に対する該成分(C)の含有量が、0.01〜0.60質量%である、サーミスタセンサ注形用樹脂組成物。
[2]前記成分(C)が、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物である、上記[1]に記載のサーミスタセンサ注形用樹脂組成物。
[3]前記成分(C)が、下記一般式(3)又は(4)で表される有機ケイ素化合物である、上記[1]又は[2]に記載のサーミスタセンサ注形用樹脂組成物。
[4]サーミスタ素子と、該サーミスタ素子に接続された絶縁電線と、該サーミスタ素子及び該絶縁電線端部の外周に形成された樹脂部とを備え、該樹脂部が、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のサーミスタセンサ注形用樹脂組成物からなる、サーミスタセンサ。
(サーミスタセンサ注形用樹脂組成物)
まず、本発明のサーミスタセンサ注形用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)の各成分について述べる。
〔成分(A)〕
本発明で用いる成分(A)のビスフェノール型エポキシ樹脂は、一分子中に2個以上のエポキシ基を有するビスフェノール型化合物であれば、特に制限されることなく用いることができる。中でも、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、テトラメチルビスフェノールA型、ジメチルビスフェノールA型、テトラメチルビスフェノールF型、ジメチルビスフェノールF型、テトラメチルビスフェノールS型、ジメチルビスフェノールS型、p−アミノフェノール型等の室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂(ビスフェノール型液状エポキシ樹脂)が好ましく用いられる。上記ビスフェノール型液状エポキシ樹脂としては、通常、エポキシ当量が150〜300程度の範囲のものが用いられる。
本発明で用いる成分(B)のフィラーとしては、有機又は無機のフィラーを用いることができ、中でも、熱伝導率の高い無機フィラーが好ましい。無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコン、タルク、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタンホワイト、クレー、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア等の粉末、これらを球形化したビーズ、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フィラーの平均粒径は、通常、1〜30μm程度、好ましくは5〜20μmである。なお、上記平均粒径は、レーザ回折散乱方式(たとえば、(株)島津製作所製、装置名:SALD-3100)により測定された値である。
また、樹脂組成物中の成分(B)の配合量は、耐クラック性と作業性の両立の観点から、好ましくは40〜70質量%、より好ましくは45〜65質量%、更に好ましくは50〜60質量%である。
本発明で用いる成分(C)の有機ケイ素化合物は、1分子中にアルコキシ基と下記一般式(1)で表される基とを有する化合物であり、該成分(C)を樹脂組成物中に含有させることにより、硬化物の接着力を高め、金属との界面で界面剥離が発生するのを防止することができる。
溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
触媒の使用量は、イソチオシアネートモノマー1molに対して、好ましくは0.00001〜1mol、より好ましくは0.0001〜0.01molである。上記範囲内であれば、十分な触媒効果を得ることができる。
上記mは1〜12の整数であり、好ましくは5〜12、より好ましくは7〜12である。
本発明で用いる成分(D)の脂肪族ポリアミンとしては、エポキシ樹脂の硬化剤として従来より公知のポリアミン化合物を挙げることができる。具体的には、ポリエーテルアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の炭素数2〜80の脂肪族多価アミンが挙げられる。これらの中でも、ロングライフ性の観点から、ポリエーテルアミンが好ましい。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、成分(D)の配合量は、成分(A)のビスフェノール型エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは80〜250質量部、より好ましくは100〜200質量部である。上記範囲内とすることで、硬化物の耐湿性の低下を抑制することができる。
これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤としては、例えば、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、2‐ヘプタデシルイミダゾール、2‐メチルイミダゾール、2‐エチルイミダゾール、2‐フェニルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチルイミダゾール、4‐メチルイミダゾール、4‐エチルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐ヒドロキシメチルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐メチルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチル‐5‐ヒドロキシメチルイミダゾール、2‐フェニル‐4、5‐ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、α‐メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2‐(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類、1,8‐ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン‐7(DBU)、1,5‐ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン‐5等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン等のホスフィン類等が挙げられる。
なお、熱伝導率は、細線加熱法等により測定される。
(サーミスタセンサ)
本発明のサーミスタセンサは、サーミスタセンサ素子やリード線を介して接続された絶縁電線からなる外部リード線を保護ケース内に設置して、上述したサーミスタセンサ注形用樹脂組成物を該保護ケース内に注形して硬化させたものである。保護ケースは、プラスチック製、及び金属製が存在するが、本発明のサーミスタセンサ注形用樹脂組成物は、特に、保護ケースが金属製である場合に、耐候性に優れ好ましい。
図1に、その一実施形態を示す。なお、図1は単に図解のために提供されるものであって、本発明は図1により何ら限定されるものではない。
(合成例1)
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、メチルイソチオシアネート73.1g(1.0mol)、2−エチルヘキセン酸スズ(II)0.9g(0.0023mol)、トルエン316.1g(3.4mol)を投入し、オイルバスにて70℃で1時間加熱攪拌した。次いで、該セパラブルフラスコ内に、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBE−803)243.2g(1.02mol)を滴下し、その後、110℃にて2時間加熱攪拌して、下記一般式(6)で表される有機ケイ素化合物1を得た。
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、メチルイソチオシアネート73.1g(1.0mol)、トルエン316.1g(3.4mol)を投入し、オイルバスにて70℃で1時間加熱攪拌した。次いで、該セパラブルフラスコ内に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBE−903)225.4g(1.02mol)を滴下し、その後、110℃にて2時間加熱攪拌して、下記一般式(7)で表される有機ケイ素化合物2を得た。
表1に記載の種類及び配合量の各成分を真空混練してサーミスタセンサ注形用樹脂組成物、及び比較用の樹脂組成物を調製した。
次に、図1に示すように、予めサーミスタ素子11、リード線12等を配置した銅製の保護ケース14内に、上記で調製した樹脂組成物を注形し、100℃で6時間加熱し硬化させてサーミスタセンサを製造した。
<成分(A)>
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂:三菱化学(株)製、商品名「jER807」、エポキシ当量170
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:三井化学(株)製、商品名「エポミックR140P」、エポキシ当量:190
<成分(B)>
・アルミナ粉末:太平洋ランダム(株)製、商品名「LA1200」、平均粒径12μm
・水酸化アルミニウム粉末:昭和電工(株)製、商品名「ハイジライイトH42M」、平均粒径1.0μm
・水酸化アルミニウム粉末:昭和電工(株)製、商品名「ハイジライイトH31」、平均粒径18μm
<成分(C)>
・合成例1で合成した有機ケイ素化合物1
・合成例2で合成した有機ケイ素化合物2
<成分(D)>
・ポリエーテルアミン(表1では「脂肪族ポリアミン1」と表記):Huntsman Corp.製、商品名「ジェファーミンD−2000」、分子量:2000〔成分(A)のエポキシ基100当量に対して48当量〕
・ポリエーテルアミン(表1では「脂肪族ポリアミン2」と表記):Huntsman Corp.製、商品名:ジェファーミンD−400、分子量:400〔成分(A)のエポキシ基100当量に対して25当量〕
<その他の成分>
・反応性希釈剤(アルキル(C12,14)アルコールグリシジルエーテル):阪本薬品工業(株)製、商品名「SY−40M」
・着色剤(カーボンブラック):三菱化学(株)製、商品名「MA100」、平均粒径0.024μm
・消泡剤:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、商品名「TSA720」
・沈降防止剤:日本有機粘土(株)製、商品名「エスベン」
・硬化促進剤:エアープロダクツジャパン(株)製、商品名「アンカミンK−54」
・カップリング剤1(ビス−(トリメトキシシリルプロピル)アミン):信越化学工業(株)製、商品名「KBM666P」
・カップリング剤2(グリシドキシオクチルトリメトキシシラン):信越化学工業(株)製、商品名「KBM4803」
・カップリング剤3(ビス−(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド):ダイソー(株)製、商品名「カブラス4」
<評価項目>
(1)硬化性(140℃試験管法)
JIS C2105に準じ、各樹脂組成物の硬化性を測定した。具体的には、樹脂組成物を外径18mmの試験管に10g取り、該試験管内に、外径約3mm、該試験管の深さより若干長めのガラス棒を挿入した。次いで、140℃の恒温油槽内に、該試験管内の樹脂組成物の上面が、該恒温油槽の液面よりも下になるように、該試験管を入れ、同時に、ストップウォッチを作動させた。予め把握しておいた該樹脂組成物のゲル化時間の約5分前から1分間ごとに該試験管内のガラス棒を引き上げて観察する。流動性が少なくなるにしたがって、この操作の間隔を短縮して10〜20秒おきに行なった。該試験管がガラス棒と同時に、たやすく持ち上げられた時を終点とし、ストップウォッチを止めて時間(単位:分)を読み取った。
(2)熱伝導率(細線加熱法)
樹脂組成物を100℃で6時間加熱硬化させて作製した硬化物について、京都電子工業(株)製の熱伝導計を用いて細線加熱法により、熱伝導率(単位:W/m・K)を測定した。
(3)ガラス転移温度
JIS K7121に準じ、樹脂組成物を100℃で6時間加熱硬化させて作製した硬化物について、TA Instrument製の示差走査熱量計(DSC)を用いて、ガラス転移温度を測定した。ここで、ガラス転移温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部位の曲線勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とした。
(4)接着力(剥離モード)
JIS K6854−3に準じ、厚さ18μmの銅箔の片面に、樹脂組成物を塗工し、100℃で10時間加熱硬化させて張り合わせ、縦200mm、横40mm、厚さ50μmの試験片を作製した。該試験片を水中に投入し、50時間煮沸した後、(株)島津製作所製オートグラフを用いて、引張り速度10mm/分で銅箔から試験片を引き剥がし、剥離モードが凝集剥離であるか、界面剥離であるかを目視で観察した。
なお、凝集剥離であれば、銅箔と樹脂組成物は十分に接着していた、界面剥離であれば、銅箔と樹脂組成物との接着力は不十分であったと考えられる。
(5)耐湿信頼性試験
内容積が30mlのガラス製の耐圧容器内に、上記で作製したサーミスタセンサ1本と、水0.3mlを入れ、該耐圧容器を125℃の恒温槽中に水蒸気が飽和状態になるように設置し、10日間放置した。その後、サーミスタセンサの保護ケース内で硬化させた樹脂組成物の液化の有無を目視で確認した。
表1から、実施例1〜5では、樹脂組成物中に成分(C)を特定量含有させることにより、その硬化物は、熱伝導率が高く、煮沸後の接着性に優れ、耐湿信頼性に優れていた。このことから、本発明のサーミスタセンサ注形用樹脂組成物は、高性能で、高い信頼性を有するサーミスタセンサを提供することができる。
11 サーミスタ素子
12 リード線
13 外部リード線
13a 導体
13b 絶縁被覆
14 保護ケース
15 樹脂部
Claims (4)
- (A)ビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)フィラー、(C)1分子中にアルコキシ基と下記一般式(1)で表される基とを有する有機ケイ素化合物、及び(D)脂肪族ポリアミンを含有し、樹脂組成物全量に対する該成分(C)の含有量が、0.01〜0.60質量%である、サーミスタセンサ注形用樹脂組成物。
- 前記成分(C)が、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物である、請求項1に記載のサーミスタセンサ注形用樹脂組成物。
- 前記成分(C)が、下記一般式(3)又は(4)で表される有機ケイ素化合物である、請求項1又は2に記載のサーミスタセンサ注形用樹脂組成物。
- サーミスタ素子と、該サーミスタ素子に接続された絶縁電線と、該サーミスタ素子及び該絶縁電線端部の外周に形成された樹脂部とを備え、該樹脂部が、請求項1〜3のいずれか一項に記載のサーミスタセンサ注形用樹脂組成物からなる、サーミスタセンサ。
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