以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1の左向きが車いす2の前向きであり、右向きが車いす2の後向きである。図2の左右方向が車いす2の幅方向であり、図2の右向きが車いす2の右向きであり、図2の左向きが車いす2の左向きである。
図1及び図2に示される様に、この車いす2は、左右一対のサイドフレーム4、クロスメンバー対6、左右一対の車輪8、左右一対のキャスター10、座シート12、背シート14、ガートル16、左右一対のブレーキ装置18、左右一対の操作レバー20、補助操作部22、第一作動伝達部としての左ケーブル24及び第二作動伝達部としての右ケーブル26を備えている。
それぞれのサイドフレーム4は、上側パイプ28、下側パイプ30、前側パイプ32、後側パイプ34及び肘掛けパイプ36を備えている。上側パイプ28は前後方向に延びている。この上側パイプ28には、パイプ受け37が取り付けされている。下側パイプ30は上側パイプ28の下方に位置して、上側パイプ28と略平行に延びている。前側パイプ32は上下方向に延びている。前側パイプ32に、上側パイプ28の前端と下側パイプ30の前端とが固定されている。
後側パイプ34は、上下方向に延びている。後側パイプ34に、上側パイプ28の後端と下側パイプ30の後端とが固定されている。後側パイプ34は、下側パイプ30の後端が固定された下部から、上側パイプ28の後端が固定された部分を越えて、更に上方に向かって延びている。後側パイプ34は、その後端部が上方で後方に屈曲して延びている。この後端部に、グリップ38が固定されている。このグリップ38は、車いす2を押す介助者が握る押手である。
肘掛けパイプ36は、上側パイプ28の上方に位置している。肘掛けパイプ36の後方部は、上側パイプ28と平行に延びており、肘掛けパイプ36の前方部は屈曲して下方に延びている。この肘掛けパイプ36の前端は、前側パイプ32の上部に固定されている。肘掛けパイプ36の後端は後側パイプ34に固定されている。
上側パイプ28、下側パイプ30、前側パイプ32、後側パイプ34及び肘掛けパイプ36は、例えば金属製の中空パイプからなる。これらが例えば溶接で互いに固定されて、一体にされている。肘掛けパイプ36は、前側パイプ32又は後側パイプ34に回動可能に取り付けられてもよい。
図2及び図3に示される様に、クロスメンバー対6は、第一クロスメンバー40、第二クロスメンバー42、第一座パイプ44、第二座パイプ46、第一軸パイプ48及び第二軸パイプ50を備えている。第一クロスメンバー40と第二クロスメンバー42とは、中央部で軸着されている。第一クロスメンバー40と第二クロスメンバー42とは、互いに回動可能に連結されている。第一座パイプ44は、第一クロスメンバー40の上端に固定されている。第一座パイプ44は前後方向に延びている。第一軸パイプ48は、第一クロスメンバー40の下端に固定されている。図示されないが、第一軸パイプ48は、前後方向に延びている。第二座パイプ46は、第二クロスメンバー42の上端に固定されている。第二座パイプ46は、前後方向に延びている。第二軸パイプ50は、第二クロスメンバー42の下端に固定されている。図示されないが、第二軸パイプ50は、前後方向に延びている。
第一軸パイプ48は、右サイドフレーム4の下部に軸着されている。第一軸パイプ48の軸線を回動軸にして、第一クロスメンバー40が右サイドフレーム4に対して回動可能に連結されている。図1に示される様に、第一座パイプ44は、左サイドフレーム4のパイプ受け37に着脱可能に支持されている。図2に示される様に、第二軸パイプ50は、左サイドフレーム4の下部に軸着されている。第二軸パイプ50の軸線を回動軸にして、第二クロスメンバー42が左サイドフレーム4に対して回動可能に連結されている。図示されないが、第二座パイプ46は、右サイドフレーム4のパイプ受け37に着脱可能に支持されている。このクロスメンバー対6では、第一クロスメンバー40及び第二クロスメンバー42は1組とされたが、2組以上にされてもよい。2組以上の第一クロスメンバー40が第一座パイプ44と第一軸パイプ48とを連結して、2組以上の第二クロスメンバー42が第二座パイプ46と第二軸パイプ50とを連結していてもよい。
図1及び図2に示される様に、それぞれの車輪8は、サイドフレーム4に取付されている。この車いす2では、車輪8は、後側パイプ34に取り付けられている。車輪8は、サイドフレーム4の左右方向外側に取付されている。車輪8は、回転可能に取り付けられている。
それぞれのキャスター10は、サイドフレーム4の前方下部に取り付けられている。この車いす2では、キャスター10は、前側パイプ32の下部に取り付けられている。このキャスター10は、上下方向を回転軸して回転可能にされている。キャスター10は、キャスター輪52を備えている。このキャスター輪52は、水平方向を回転軸にして回転可能にされている。
ガートル16は、点滴などに用いられる。上下方向に延びるガートル棒16aと、ガートル棒16aの上端に位置するフック16bとを備えている。このフック16bに薬剤が吊り下げられて、薬剤が使用者に輸液される。ガートル16は、車いす2の前方に取り付けられている。このサイドフレーム4には、ガートル止め具53が固定されている。このガートル止め具53に、ガートル16が取り付けられている。このガートル止め具53は、サイドフレーム4の後方に取り付けられてもよい。ガートル16が車いす2の後方に取り付けられてもよい。図示されないが、サイドフレーム4に、円筒状のフレームからなるボンベ架台が固定されていてもよい。例えば、酸素ボンベ等がボンベ架台に収容される。
図3に示される様に、第一座パイプ44は中空パイプからなっている。第一パイプ44には、スリット54が形成されている。このスリット54は、第一パイプ44の内周面から外周面まで貫通している。このスリット54は、第一座パイプ44の前端から後端まで、第一座パイプ44の軸線に沿って形成されている。第二座パイプ46も、第一座パイプ44と同様に、中空パイプからなっており、スリット54が形成されている。
座シート12は、一対の軸56とシート58とを備えている。一対の軸56の外径は、第一座パイプ44及び第二座パイプ46の内径より小さくされている。シート58の左右端が軸56に固定されている。シート58は、軸56の間に架け渡されている。座シート12が装着された状態で、シート58の表面が着座する使用者の臀部に面する。このシート58は、例えばポリエステル繊維からなる。
一方の軸56は、第一座パイプ44の中空に挿入される。他方の軸56は、第二座パイプ46の中空に挿入される。このとき、シート58左右端はスリット54に通される。このようにして、座シート12は、第一座パイプ44と第二座パイプ46とに架け渡される。第一座パイプ44と第二座パイプ46の前端には、キャップ60が嵌め込まれる。キャップ60は、軸56の抜け止めとして機能する。この座シート12は、工具を用いることなく着脱可能にされている。
図4(a)に示される様に、背シート14は、シート主部62、折り返し部64、一対の上側バンド66、一対の下側バンド68及び帯体70を備えている。背シート14が装着された状態で、シート主部62の表面が着座する使用者の背中に面する。図4(a)に示される様に、シート主部62から上方に連続して折り返し部64が延びている。シート主部62の上部の左右端のそれぞれから上側バンド66が左右方向外向きに延びている。シート主部62の下部の左右端のそれぞれから下側バンド68が左右方向外向きに延びている。左の上側バンド66の左端から、帯体70が更に左方向外向きに延びている。この帯体70は、右の上側バンド66の右端から、右方向外向きに延びていてもよい。
シート主部62の裏面には、ループ状の起毛を備えるループテープ72aが貼り付けられている。折り返し部64の裏面には、フック状の起毛を備えるフックテープ74aが貼り付けられている。上側バンド66の左右外側端部の裏面には、フックテープ74bが貼り付けられている。下側バンド68の左右外側端部の裏面には、フックテープ74cが貼り付けられている。帯体70の左方向外端部の裏面には、フックテープ74dが貼り付けられている。
図4(b)に示される様に、上側バンド66が後側パイプ34の外周面に沿って折り返される。上側バンド66のフックテープ74bがシート主部62のループテープ72aに接着される。下側バンド68が後側パイプ34の外周面に沿って折り返される。下側バンド68のフックテープ74cがシート主部62のループテープ72aに接着される。帯体70のフックテープ74dが、図示されない上側バンド66の表面に貼り付けられたループテープに貼り付けられている。この様にして、図4(b)の状態にされる。
図4(c)に示される様に、折り返し部64が折り返されて、シート主部62の裏面と折り返し部64の裏面とが対向して重ね合わされる。折り返し部64のフックテープ74aが、シート主部62のループテープ72aと、上側バンド66の表面に貼り付けられたループテープ72bと、下側バンド68の表面に貼り付けられたループテープ72cとに接着される。この様にして、図4(c)の状態にされる。これらのループテープ72(72a、72b、72c)とフックテープ74(74a、74b、74c、74d)とは、着脱可能な面ファスナーを構成している。
この背シート14は、面ファスナーのみで取り付け取り外し可能にされている。この背シート14は、工具を用いることなく着脱可能にされている。この背シート14では、クリーニングや交換等の際に、取り付け取り外しが容易にされている。この背シート14の折り返し部64の表面には、ポケット75が形成されている。この背シート14は、例えばポリエステル繊維からなる。この背シート14では、ループテープ72及びフックテープ74により、皺が寄り難くされている。更に、ポケット75により、皺が寄り難くされている。
図5(a)及び図5(b)に示される様に、補助操作部22は、基板76、ケーブル支持具78、支持板80、補助操作レバー支持具としてのペダル支持具82、連結体84及び補助操作レバーとしてのペダル86を備えている。図1及び図2に示される様に、この車いす2では、補助操作部22は、左サイドフレーム4に取り付けられている。サイドフレーム4の後方下部に取り付けられている。基板76が、下側パイプ30の後端部に取り付けられている。この補助操作部22は、介助者が足で操作する。この補助操作部22は、介助者が操作可能な位置で有ればよく、例えば右サイドフレーム4の後方下部に取り付けられてもよい。本発明では、補助操作部22がいずれかのサイドフレーム4に取り付けられているとは、いずれか一方のサイドフレーム4に取り付けられ他方のサイドフレームに取り付けられていないことを意味する。いずれかのサイドフレーム4に取り付けられているとは、いずれかのサイドフレーム4から延びる部材を設け、その部材に補助操作部22が取り付けられた形態を含む。この補助操作部22の取り付け位置は、介助者が車いす2を操作する際に介助者の足が補助操作部22に当たらない位置であればよい。この補助操作部22の取付位置は、介助者の邪魔にならない位置であればよい。
図5(a)及び図5(b)に示される様に、ケーブル支持具78は、基板76の前部に固定されてる。ケーブル支持具78は、基板76から上方に延びている。支持板80は、基板76の上方に且つケーブル支持具78の後方に位置している。支持板80は、前後方向において、ケーブル支持具78とペダル支持具82との間に位置している。支持板80は、基板76と略平行に前後方向に延びている。ペダル支持具82は、基板76の後部に固定されている。
連結体84は、作動伝達部回動軸としての前軸88、補助操作レバー回動軸としての後軸90及び一対の連結板92を備えている。一対の連結板92は、左右方向に間隔を空けて前後方向に延びている。連結板92の前部は、左右方向へ延びる前軸88に軸着されている。連結板92は、前軸88を回転軸として、回動可能にされている。連結板92の後部は、左右方向に延びる後軸90に軸着されている。連結板92は、後軸90を回転軸として、回動可能にされている。
ペダル86の下部は、ペダル支持具82に軸着されている。ペダル86は、ペダル支持具82に支持されて、左右方向を回動軸にして回動可能にされている。ペダル86の前部は、連結体84の後軸90に軸着されている。連結体84とペダル86とは、左右方向を回転軸にして回動可能に連結されている。ペダル86には、後方で上方に面する踏面94と、後方で下方に面する蹴上面96とが形成されている。
図6(a)に示されるブレーキ装置18は、左サイドフレーム4に取り付けられている。このブレーキ装置18は、基板98、レバーアーム100、ブレーキアーム102、連結アーム104及びケーブル支持具106を備えている。レバーアーム100は、基板98に軸着されている。レバーアーム100は、左右方向を回転軸にして回動可能にされている。レバーアーム100の上部と下部とが基板98に対して回動可能にされている。レーバーアーム100の下部は、後方に延びている。
ブレーキアーム102の上部は、基板98に軸着されている。ブレーキアーム102は、基板98の後方且つ下方に軸着されている。ブレーキアーム102は、その下端に押圧部108が形成されている。連結アーム104の上端部は、レバーアーム100の下部に軸着されている。連結アーム104の下端部は、ブレーキアーム102の長手方向中央部に軸着されている。ケーブル支持具106は、基板98の後方且つ上方に固定されている。このブレーキ装置18は、所謂、トグル式ブレーキである。
操作レバー20は、レバーアーム100の上部から上方に延びている。操作レバー20の下部は、レバーアーム100の上部に固定されている。操作レバー20は、レバーアーム100と共に、回動可能にされている。操作レバー20の上端部には、握り部20aが固定されている。この握り部20aが手で握られて、操作レバー20が前後方向に回動させられる。この操作レバー20は、ブレーキ操作レバーとして機能する。
図示されないが、右サイドフレーム4にも、同様にしてブレーキ装置18及び操作レバー20が取り付けられている。左右のブレーキ装置18及び操作レバー20は、車いす2の左右方向に垂直な中心面に対して、対称の構造及び形状を備えている。
図5(b)、図6(a)及び図7(b)に示される様に、ケーブル24は、ワイヤー110、ケーシング112及びブラケット114を備えている。ケーブル24は、例えばプッシュプルケーブルである。ここでいうプッシュプルケーブルとは、押し力と引き力との両方を伝達可能なケーブルである。このプッシュプルケーブルは例示であって、このケーブル24は、屈曲変形可能であり、押し力と引き力との作動力を伝達できる部材であればよい。
ケーシング112は、ワイヤー110の外周を覆う。ケーシング112は、ワイヤー110の長手方向に沿って、ワイヤー110の摺動経路を形成する。このケーシング112は、摺動経路の内面を形成する内側層と、内側層の外周面に積層される補強層と、この補強層の外周面に積層される外側層とからなっている。内側層および外側層は、屈曲可能な樹脂からなる。補強層は、内側層の外周面に螺旋状に巻かれた複数の細い金属線からなる。この補強層により、ケーシング112は小さな曲率半径で屈曲し難くされている。この補強層により、ワイヤー110の摺動経路の断面形状の変形が抑制されている。このケーシング112により、ワイヤー110は、押し力の伝達が容易にされている。
このワイヤー110の両端のそれぞれには、ブラケット114が固定されている。ブラケット114の先端には軸孔が形成されている。
図5(a)及び図5(b)に示す様に、ケーシング112の後端は、ケーブル支持具78に固定されている。ワイヤー110の後端に固定されたブラケット114の軸孔に、連結体84の前軸88が通されている。このブラケット114は、連結体84に回動可能に連結されている。
図6(a)に示される様に、ケーシング112の前端は、ケーブル支持具106に固定されている。レバーアーム100の上部に、左右方向に延びる軸が固定されている。ワイヤー110の前端に固定されたブラケット114の軸孔に、この軸が通されている。このブラケット114は、レバーアーム100に回動可能に連結されている。このブラケット114は、レバーアーム100に連結されていればよく、レバーアーム100に固定されてもよい。
このケーブル24は、左のブレーキ装置18と補助操作部22とを連結している。このケーブル24では、ワイヤー110が引かれることで左のブレーキ装置18と補助操作部22との操作が可能であり、且つこのワイヤー110が押されることでも左のブレーキ装置18と補助操作部22との操作が可能とされている。このワイヤー110は、例えば、太い金属線からなるコアと、コアの外周に螺旋状に巻かれた複数の細い金属線とからなる。コアとコアの周りに螺旋巻きにされた金属線とにより、ワイヤー110は座屈し難くされている。このワイヤー110の外径とケーシング112の内径との差が小さくされている。これらにより、このワイヤー110が押されたときにも、ケーシング112がワイヤー110の座屈を抑制する。
図示されないが、ケーブル26は、ケーブル24と同様に、ブラケット114を備えている。ケーブル26は、ワイヤー110及びケーシング112に代えて、図示されないワイヤー116及びケーシング118を備えている。このケーブル26は、ケーブル24と同様に、例えばプッシュプルケーブルである。このケーブル26は、右のブレーキ装置18と補助操作部22とを連結している。このケーブル26は、右サイドフレーム4と左サイドフレーム4との間を延びている。このため、ワイヤー116及びケーシング118は、ワイヤー110及びケーシング112より長い。ワイヤー116及びケーシング118のその他の構成は、ワイヤー110及びケーシング112と同様にされている。
このケーブル26では、ワイヤー116が引かれることで右のブレーキ装置18と補助操作部22との操作が可能であり、且つこのワイヤー116が押されることでも右のブレーキ装置18と補助操作部22との操作が可能とされている。このケーブル26は、ケーブル24と同様に、例えばプッシュプルケーブルからなる。このケーブル26は、屈曲変形可能であり、押し力と引き力との作動力を伝達できる部材であればよい。
図6(a)は、ブレーキ装置18の解除姿勢を示している。図6(a)には、一点鎖線で車輪8の一部が示されている。解除姿勢では、押圧部108は車輪8に非接触にされている。解除姿勢では、車輪8は制動されていない。ワイヤー110は、補助操作部22側からブレーキ装置18側に引かれている。操作レバー20の握り部20aは、前方に回動させられている。
図6(b)は、ブレーキ装置18の制動姿勢を示している。制動姿勢では、押圧部108は車輪8に押しつけられている。制動姿勢では、押圧部108により、車輪8が制動されている。ワイヤー110は、ブレーキ装置18側から補助操作部22側に引かれている。操作レバー20の握り部20aは、後方に回動させられている。
図6(a)の両矢印Lf1は、ブラケット114の軸孔の中心からケーシング112の端までの長さを表している。この長さLf1は、解除姿勢で測られる。この長さLf1は、ワイヤー110及びブラケット114に沿って測られる。図6(b)の両矢印Lf2は、ブラケット114の軸孔の中心からケーシング112の端までの長さを表している。この長さLf2は、制動姿勢で測られる。この長さLf2は、ワイヤー110及びブラケット114に沿って測られる。この長さLf1と長さLf2との差が長さLsとされるとき、この長さLsは、解除姿勢と制動姿勢との間の、ワイヤー110の摺動ストロークを表している。
図7(a)は、補助操作部22の解除姿勢を示している。ペダル86の踏面94及び蹴上面96は、上方に回動している。連結体84は、前方に位置している。ワイヤー110は、補助操作部22側からブレーキ装置18側に引かれている。
図7(b)は、補助操作部22の制動姿勢を示している。制動姿勢では、ペダル86の踏面94及び蹴上面96は、下方に回動している。連結体84は、後方に位置している。ワイヤー110は、ブレーキ装置18側から補助操作部22側に引かれている。
図7(a)の両矢印Lr1は、ブラケット114の軸孔の中心からケーシング112の端までの長さを表している。この長さLr1は、解除姿勢で測られる。図7(b)の両矢印Lr2は、ブラケット114の軸孔の中心からケーシング112の端までの長さを表している。この長さLr2は、制動姿勢で測られる。この長さLr1と長さLr2との差は、前述の摺動ストロークLsである。この長さLr1及びLr2は、ワイヤー110及びブラケット114に沿って測られる。
このブレーキ装置18及び補助操作部22について、介助者の使用方法が説明される。図1の車いす2では、一対のブレーキ装置18及び補助操作部22は解除姿勢にある。この車いす2は、走行可能にされている。車いす2を押す介助者が、足でペダル86の踏面94を踏み込む。ペダル86が回動して、踏面94が下方に下がる。この様にして、図7(a)の解除姿勢にある補助操作部22が図7(b)の制動姿勢に変化する。
図7(b)の制動姿勢では、ペダル86の回動により、ワイヤー110及びワイヤー116がブレーキ装置18側から補助操作部22側に引かれている。ワイヤー110及びワイヤー116がストロークLsだけ、ブレーキ装置18側から補助操作部22側に摺動する。
ワイヤー110が引かれることで、図6(a)のレバーアーム100が時計回りに回動させられる。レバーアーム100が時計回りに回動することで、図6(a)の解除姿勢にあるブレーキ装置18が図6(b)の制動姿勢に変化する。図示されないが、ワイヤー116が引かれることで、右サイドフレーム4に取り付けられたブレーキ装置18(右のブレーキ装置18)も、同様に解除姿勢から制動姿勢に変化する。この様に、補助操作部22が制動姿勢にされることで、左右一対のブレーキ装置18は制動姿勢に変化する。これにより、左右一対の車輪8が制動される。
図7(b)の制動姿勢にある補助操作部22で、介助者が足の爪先でペダル86の蹴上面96を押し上げる。ペダル86が回動して、蹴上面96が上方に押し上げられる。図7(b)の制動姿勢にある補助操作部22が図7(a)の解除姿勢に変化する。
図7(a)の解除姿勢では、ペダル86の回動により、ワイヤー110及びワイヤー116が補助操作部22側からブレーキ装置18側に押される。ワイヤー110及びワイヤー116がストロークLsだけ、補助操作部22側からブレーキ装置18側に摺動する。
ワイヤー110が押されることで、図6(b)のレバーアーム100が反時計回りに回動させられる。レバーアーム100が反時計回りに回動することで、図6(b)の制動姿勢にあるブレーキ装置18が図6(a)の解除姿勢に変化する。図示されないが、ワイヤー116が押されることで、右のブレーキ装置18も、同様に制動姿勢から解除姿勢に変化する。この様に、補助操作部22が解除姿勢にされることで、左右一対のブレーキ装置18は解除姿勢に変化する。これにより、左右の車輪8の制動が解除される。
図1の車いす2で着座した使用者が操作する場合には、手で操作レバー20の握り部20aを後方に回動させる。レバーアーム100が時計回りに回動して、図6(a)の解除姿勢にあるブレーキ装置18が図6(b)の制動姿勢に変化する。これにより、ワイヤー110がブレーキ装置18側から補助操作部22側に押される。ワイヤー110がストロークLsだけ、ブレーキ装置18側から補助操作部22側に摺動する。
図7(a)の解除姿勢にある補助操作部22側では、ワイヤー110がブレーキ装置18側から補助操作部22側に押し出される。ペダル86が回動して、踏面94が下方に下がる。図7(a)の解除姿勢にある補助操作部22が図7(b)の制動姿勢に変化する。この車いす2では、左右一方及び他方のいずれかのブレーキ装置18が制動姿勢にされることで、この補助操作部22が制動姿勢にされている。
このとき、ペダル86の回動により、ワイヤー116もブレーキ装置18側から補助操作部22側に引かれる。ワイヤー110及びワイヤー116がストロークLsだけ、ブレーキ装置18側から補助操作部22側に摺動する。図示されないが、ワイヤー116が引かれることで、右のブレーキ装置18も、同様に解除姿勢から制動姿勢に変化する。この様にして、左右一方のブレーキ装置18が制動姿勢にされることで、左右のブレーキ装置18及び補助操作部22が制動姿勢にされる。これにより、左右の車輪8が制動される。
図6(b)の制動姿勢にあるブレーキ装置18で、使用者が操作レバー20の握り部20aを前方に回動させる。レバーアーム100が反時計回りに回動して、図6(a)の解除姿勢に変化する。これにより、ワイヤー110が補助操作部22側からブレーキ装置18側に引かれる。ワイヤー110がストロークLsだけ、補助操作部22側からブレーキ装置18側に摺動する。
図7(b)の制動姿勢にある補助操作部22で、ワイヤー110が補助操作部22側からブレーキ装置18側に引かれる。ペダル86が回動して、蹴上面96が上方に押し上げられる。図7(b)の制動姿勢にある補助操作部22が図7(a)の解除姿勢に変化する。この車いす2では、左右一方及び他方のいずれかのブレーキ装置18が解除姿勢にされることで、この補助操作部22が解除姿勢にされている。
このとき、ペダル86の回動により、ワイヤー116も補助操作部22側からブレーキ装置18側に押し出される。ワイヤー110及びワイヤー116がストロークLsだけ、補助操作部22側からブレーキ装置18側に摺動する。図示されないが、ワイヤー116が押し出されることで、右のブレーキ装置18も、同様に解除姿勢から制動姿勢に変化する。この様にして、左右一方のブレーキ装置18が解除姿勢にされることで、左右のブレーキ装置18及び補助操作部22が解除姿勢にされる。これにより、左右の車輪8の制動が解除される。
この車いす2では、左右一対のブレーキ装置18及び補助操作部22のいずれか一つを制動姿勢にすると、他の2つが制動姿勢に変化する。これらのいずれか一つを解除姿勢にすると、他の2つが解除姿勢に変化する。この車いす2では、使用者及び介助者のブレーキ操作が容易にされている。左右一対のブレーキ装置18が共に制動し、制動を解除するので、より安全に走行できる。更に、この補助操作部22、ケーブル24及びケーブル26は、トグル式ブレーキを備える従来の車いすに容易に後付けできる。
この補助操作部22は、一方のサイドフレーム4に取り付けられている。左右のサイドフレーム4に跨がっていない。この補助操作部22の取り付けスペースは小さい。車いす2を押す介助者の邪魔にならない。この補助操作部22は、従来の同様の機能を持つものに比べ、車いす12の重量増加の抑制に寄与する。
この車いす2では、補助操作部22はサイドフレーム4の後方下部に取り付けられている。この補助操作部22は、介助者が足で操作し易い位置にある。介助者は、左右のグリップ38を握ったまま補助操作部22を操作できる。この補助操作部22を、介助者が安全に操作できる。
この車いす2では、ケーブル26が一方のサイドフレーム4に取り付けられた補助操作部22と、他方のサイドフレーム4に取り付けられたブレーキ装置18とを連結している。この車いす2では、このケーブル26は、ワイヤー116とケーシング118とからなっており、屈曲変形可能な部材からなっている。これにより、車いす2のサイドフレーム4やクロスメンバー対6等の隙間を通すことができる。このケーブル26は、補助操作部22とブレーキ装置18との連結が容易にされている。このケーブル26は、補助操作部22とブレーキ装置18との間で、押し力と引き力との両方を伝達する。屈曲変形可能で、かつ力の伝達をスムーズに行う観点から、このケーブル26は、好ましくはプッシュプルケーブルとされる。
この車いす2は、左右一対のサイドフレーム4がクロスメンバー対6により連結されている。第一クロスメンバー40と第二クロスメンバー42とが互いに回動しうる。これにより、図2に示された使用姿勢の車いす2のサイドフレーム4の間隔が狭められうる。この間隔を狭めることで、車いす2は折り畳み姿勢にされる。この車いす2は折り畳み姿勢にされることで、コンパクトにされて、収納が容易にされている。この車いす2は、保管の際の利便性にも優れている。左右のサイドフレーム4に跨がって連結部材を備える車いすに比べて、この車いす2は折り畳みが容易にされている。屈曲変形可能な部材からなっているケーブル26は、折り畳み可能な車いす2に適している。
このブレーキ装置18はトグル式ブレーキからなっている。トグル式ブレーキでは、比較的小さい力で操作レバー20を操作して、大きな力で押圧部108が車輪8に押しつけられる。この観点から、トグル式ブレーキからなるブレーキ装置18は、ケーブル24及びケーブル26での操作に適している。
トグル式ブレーキからなるブレーキ装置18では、外力を加え続けることなく、解除姿勢及び制動姿勢を維持される。解除姿勢及び制動姿勢において、ケーブル24のワイヤー110及びケーブル26のワイヤー116に外力を加え続ける必要がない。このブレーキ装置18は、ケーブル24及びケーブル26の耐久性の向上に寄与する。
この補助操作部22では、ワイヤー110の端に固定されたブラケット114が、連結体84を介して、ペダル86に連結されている。ワイヤー116の端に固定されたブラケット114も、連結体84を介して、ペダル86に連結されている。このワイヤー110の端部及びワイヤー116の端部と連結体84とは、前軸88により回動可能に連結されている。ペダル86と連結体84とは、後軸90により回動可能に連結されている。このペダル86が回動すると、連結体84がペダル86に対して回動しつつ、水平方向に移動する。この連結体84は、ブラケット114がペダルと共に回動することを抑制する。これにより、ワイヤー110及びワイヤー116の端部が回動することが抑制されている。回動が抑制されることで、ワイヤー110及びワイヤー116の屈曲が抑制されている。この連結体84は、ケーブル24及びケーブル26の押し力及び引き力のスムーズな伝達に寄与する。この連結体84は、ケーブル24及びケーブル26の耐久性の向上に寄与する。
この補助操作部22では、支持板80が連結体84を移動可能に支持しているので、ワイヤー110及びワイヤー116が略直線的に押し込み、引き出しされうる。この支持板80は、ワイヤー110及びワイヤー116のスムーズな摺動に寄与する。この支持板80は、ケーブル24及びケーブル26の押し力及び引き力のスムーズな伝達に一層寄与する。この連結体84は、ケーブル24及びケーブル26の耐久性の向上に一層寄与する。
特に、この補助操作部22では、ワイヤー110及びワイヤー116の一方のみがブレーキ装置18側に引かれると、他方がブレーキ装置18側に押される。この様に一方が引き力を伝達し他方が押し力を伝達するとき、押し力を伝達する他方では座屈等の屈曲が生じ易い。この補助操作部22では、連結体84によりワイヤー110及びワイヤー116が略直線的に摺動する。この連結体84は、ワイヤー110及びワイヤー116の一方が引く力を伝達し他方が押し力を伝達するときも、他方に屈曲が生じることを抑制している。
この車いす2では、ケーブル24及びケーブル26の摺動ストロークLsを長くすることで、ブレーキ装置18及び補助操作部22を確実に操作しうる。この観点から、摺動ストロークLsは、好ましくは25mm以上であり、更に好ましくは35mm以上である。一方で、摺動ストロークLsが長過ぎると、ブレーキ装置18及び補助操作部22の操作性を損なう。この観点から、摺動ストロークLsは、好ましくは125mm以下であり、更に好ましくは100mm以下であり、特に好ましくは75mm以下であり、更に特に好ましくは50mm以下である。
また、大きな引き力及び押し力を伝達できるケーブル24及びケーブル26は、ブレーキ装置18と補助操作部22との間でスムーズに引き力及び押し力を伝達できる。このケーブル24及びケーブル26は、耐久性に優れている。この観点から、摺動ストロークLsが50mmにおいて、ケーブル24及びケーブル26の最大負荷荷重は、好ましくは30N以上であり、更に好ましくは50N以上である。一方で、伝達できる引き力及び押し力が大きいケーブル24及びケーブル26は、屈曲性に劣る。このケーブル24及びケーブル26は、屈曲させることにより摺動抵抗が大きくなる。このケーブル24及びケーブル26は、ブレーキ装置18と補助操作部22の操作性を低下させる。更には、車いす2が折り畳み難くなる。これらの観点から、摺動ストロークLsが50mmにおいて、ケーブル24及びケーブル26の最大負荷荷重は、好ましくは400N以下であり、更に好ましくは250N以下である。
このケーブル26の外径がケーブル24の外径より小さくされてもよい。ワイヤー116の外径はワイヤー110の外径より小さくされてもよい。これにより、ケーブル26が屈曲されてもワイヤー116の摺動抵抗を比較的小さくできる。右のブレーキ装置18と補助操作部22との操作が容易にされる。この車いす2では、ワイヤー110とワイヤー116の外径が異なる場合にも、連結体84が押し力及び引き力のスムーズな伝達に寄与している。この車いす2では、ケーブル26はケーブル24より長い。このワイヤー116とケーシング118との摺動長さは、ワイヤー110とケーシング112の摺動長さより長い。ケーブル26の摺動抵抗は、この摺動長さが長いことで、ケーブル24の摺動抵抗より大きくなり易い。このワイヤー116の外径をワイヤー110の外径より小さくすることで、この摺動抵抗の差を小さくしうる。この車いす2では、このケーブル26の外径をケーブル24の外径より小さくし、ワイヤー116の外径をワイヤー110の外径より小さくすることで、左右のブレーキ装置18の操作感覚の差を小さくしうる。
この車いす2では、補助操作部22が左サイドフレーム4に取り付けられたが、この補助操作部22が右サイドフレーム4に取り付けられてもよい。この場合、左サイドフレーム4に取り付けられたブレーキ装置18と補助操作部22とが、ケーブル26で連結される。右のブレーキ装置18と補助操作部22とが、ケーブル24で連結される。
この車いす2では、第一作動伝達部としてケーブル24を用いている。このケーブル24は、同じサイドフレーム4に取り付けられるブレーキ装置18と補助操作部22とを連結している。このケーブル24に代えて、ブレーキ装置18と補助操作部22とが屈曲変形しない剛体で連結されてもよい。例えば、ブレーキ装置18と補助操作部22とが、スチール製の棒状体で連結されてもよい。
図8には、本発明に係る他の車いすの補助操作部120及び押手としてのグリップ122が示されている。ここでは、車いす2と異なる構成について、その説明がされる。車いす2と同様の構成について、その説明が省略される。車いす2と同様の部品について、同じ符号を用いて説明がされる。
この車いすの左右のサイドフレーム4では、後側パイプ34の上方で後方に延びる後端部に、グリップ122が固定されている。このグリップ122は、車いすを押す介助者が握る押手である。左サイドフレーム4に補助操作部120が取り付けられている。補助操作部120は、グリップ122の近傍に配置されている。
図8には、解除姿勢にある補助操作部120が示されている。この補助操作部120は、ケース本体124、補助操作レバーとしての操作レバー126、作動アーム128及び姿勢保持具130を備えている。ケース本体124がサイドフレーム4に取り付けられている。ケース本体124は、サイドフレーム4に固定されている。ケース本体124には、後方が開口にされた空間が形成されている。この空間の上部に回動支持軸132が固定されている。
操作レバー126は、基部134と基部134の後方に延びる把持部136とからなっている。基部134の上部には、円弧状に延びる長孔137が形成されている。この長孔137に回動支持軸132が通されている。これにより、操作レバー126は、ケース本体124に対して、把持部136が回動可能にされている。この回動支持軸132は、長孔137の後端に位置している。更に、回動支持軸132が長孔137に沿って移動可能にされており、操作レバー126は、ケース本体124に対して移動可能に取り付けられている。
作動アーム128の上部は、回動支持軸132に軸着されている。作動アーム128の下部は、回動支持軸132を中心軸にして回動可能にされている。作動アーム128の下部は、その上部に対して斜め前方に屈曲して延びている。作動アーム128の中央部の前方には、前方に突出する突起部138が形成されている。作動アーム128の下部に、ケーブル24のブラケット114が回動可能に取り付けられている。図示されないが、ケーブル26のブラケット114も回動可能に取り付けられている。この作動アーム128は、左右方向において、ケーブル24のブラケット114とケーブル26のブラケット114との間に位置している。
姿勢保持具130は、前方に位置して外周が円弧状に形成された円柱部140と、後方に突出した係止部142とを有している。姿勢保持具130は、操作レバー126の基部134に回動可能に取り付けられている。この円柱部140及び係止部142は、基部134に対して回動可能にされている。姿勢保持具130は、基部134の上下方向中央で、且つ作動アーム128の前方に位置している。円柱部140の外周は、ケース本体124に形成された円弧状座部144に係合して当接した状態で摺動可能にされている。
図9(a)には、解除規制にされた制動姿勢にある補助操作部120が示されている。この補助操作部120では、回動支持軸132は、長孔137の前端に位置している。把持部136は下方に位置している。姿勢保持具130は、操作レバー126に対して回動している。円柱部140は、ケース本体124の円弧状座部144に係合して当接している。姿勢保持具130の係止部142は、作動アーム128の突起部138と係合している。姿勢保持具130の回動により、作動アーム128の下部が後方に回動させられている。この制動姿勢では、係止部142と突起部138との係合により、この姿勢が保持されている。
図9(b)には、解除非規制にされた制動姿勢にある補助操作部120が示されている。この補助操作部120では、回動支持軸132は、長孔137の後端に位置している。把持部136は上方に位置している。姿勢保持具130は、操作レバー126と共に回動している。円柱部140は、ケース本体124の円弧状座部144から離れている。姿勢保持具130が作動アーム128の前面に当接している。姿勢保持具130が操作レバーと共に回動することにより、作動アーム128の下部が後方に回動させられている。
図8の両矢印Lr1は、ブラケット114の軸孔の中心からケーシング112の端までの長さを表している。図9(a)の両矢印Lr2は、ブラケット114の軸孔の中心からケーシング112の端までの長さを表している。この長さLr1と長さLr2との差は、前述の摺動ストロークLsである。この車いすでは、図9(b)の両矢印Lr3は、長さLr2と同じにされている。
この車いすでは、この補助操作部120が図8の解除姿勢であるとき、一対のブレーキ装置18は図6(a)の解除姿勢である。介助者がグリップ122を握って、車いすを走行させる。介助者が車いすを停止させる。介助者が操作レバー126の把持部136をグリップ122から離れる向きに押し下げる。補助操作部120は、図8の解除姿勢から図9(a)の制動姿勢に変化する。ケーブル24及びケーブル26を介して、一対のブレーキ装置18が解除姿勢から制動姿勢に変化する。
図9(a)の制動姿勢では、姿勢保持具130の係止部142と作動アーム128の突起部138が係合しており、姿勢保持具130が、作動アーム128の下部が時計回りに回動することを阻止している。姿勢保持具130が、ケーブル24のワイヤー110及びケーブル26のワイヤー116が、補助操作部120側からブレーキ装置18側に引かれることを阻止している。図9(a)の制動姿勢では、ブレーキ装置18側の操作レバー20によって、ブレーキ装置18が制動姿勢から解除姿勢にされることが阻止されている。着座する使用者が操作レバー20を操作して、ブレーキ装置18を操作することが規制されている。即ち、図9(a)には、解除規制にされた制動姿勢が示されている。
図9(a)の制動姿勢において、介助者が把持部136をグリップ122に近付く向きに引き上げる。補助操作部120は、制動姿勢から解除姿勢に変化する。ケーブル24及びケーブル26を介して、一対のブレーキ装置18が制動姿勢から解除姿勢に変化する。車いすは走行可能にされる。補助操作部120が解除姿勢にされているので、ブレーキ装置18側の操作レバー20によって、ブレーキ装置18が解除姿勢と制動姿勢とに姿勢変化可能にされる。
図8の解除姿勢にある補助操作部120で、介助者が操作レバー126の把持部136をグリップ122に近付く向きに引き上げる。例えば、介助者がグリップ122と共に操作レバー126を握る。補助操作部120は、解除姿勢から図9(b)の制動姿勢に変化する。ケーブル24及びケーブル26を介して、一対のブレーキ装置18が解除姿勢から制動姿勢に変化する。これにより、一対の車輪8が制動される。
図9(b)の補助操作部120では、姿勢保持具130は、作動アーム128の下部が時計回りに回動することを阻止していない。姿勢保持具130は、ケーブル24のワイヤー110及びケーブル26のワイヤー116が、補助操作部120側からブレーキ装置18側に引かれることを阻止していない。ブレーキ装置18側の操作レバー20によって、ブレーキ装置18が解除姿勢と制動姿勢とに姿勢変化可能にされる。着座する使用者が操作レバー20を操作して、ブレーキ装置18が解除姿勢と制動姿勢とに姿勢変化されうる。即ち、図9(b)には、解除非規制にされた制動姿勢が示されている。前述の車いす2の図7(b)の制動姿勢は、この解除非規制にされた制動姿勢である。
この補助操作部120は、解除規制にされた制動姿勢と、解除非規制にされた制動姿勢と、解除姿勢とに変化可能にされている。この車いすは、着座する使用者が誤って制動を解除することを防止しうる。この車いすは、安全性に特に優れている。