JP2016166320A - オキソカーボン系化合物含有樹脂組成物及び該樹脂組成物を含む光学フィルター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(1)と式(2)で表されるオキソカーボン化合物と、樹脂成分とを含む樹脂組成物。
[Ra1〜Ra4は各々独立に式(3)で示される構造単位
(環Aは4〜9員不飽和炭化水素環;X及びYは有機基又は極性官能基;nは0〜6)]
【選択図】なし
Description
環Aは4〜9員の不飽和炭化水素環である。
X及びYはそれぞれ独立して有機基又は極性官能基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(1)中の4員環又は式(2)中の5員環との結合部位を表す。)
本発明で用いられるオキソカーボン系化合物は、化学構造中にオキソカーボン骨格を有する化合物であり、具体的にはスクアリリウム骨格を有する下記式(1)又はクロコニウム骨格を有する下記式(2)で表される。ここで、式(1)及び式(2)中のRa1〜Ra4はそれぞれ独立して、下記式(3)で示される特定の構造単位である。
X及びYの例である有機基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオオキシ基(アルキルチオ基)、アルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオオキシ基(アリールチオ基)、アリールオキシカルボニル基、アリールスルホニル基、アリールスルフィニル基、アミド基(−NHCOR)、スルホンアミド基(−NHSO2R)、カルボキシ基(カルボン酸基)、ベンゾチアゾール基、ハロゲノアルキル基、シアノ基等が挙げられる。また極性官能基としては、ハロゲノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基(スルホン酸基)等が挙げられる。
前記nが2以上であり、Yが複数存在する場合には、各Yは同じであってもよいし異なっていてもよい。また前記nが2以上である場合、複数のYは各々別の炭素原子に結合していてもよいし、2個のYが1個の炭素原子に結合していてもよい。
また、可視光領域に高い透過性を有する樹脂組成物を得たい場合には、環Bにおける上記置換基は電子供与性基以外であることが好ましく、より好ましくは、アルキル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、ハロゲノ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる少なくとも1種である。これらの置換基はさらに別の置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。
一方、樹脂組成物の最大吸収波長を大きくしたい場合には、環Bにおける上記置換基は電子供与性基であることが好ましく、より好ましくは、アルコキシ基、チオアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アミド基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、芳香族複素環基、アミノ基、水酸基、チオール基から選ばれる少なくとも1種である。これらの置換基はさらに別の置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。
本発明で用いられるオキソカーボン系化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記式(4):
SAJJADIFAR ET AL: 'New 3H-Indole Synthesis by Fischer’s Method. Part I.' Molecules 2010, no. 15, April 2010, pages 2491-2498
SergueiMiltsov ET AL; 'New Cyanine Dyes:Norindosquarocyanines ', Tetrahedron Letters, Volume 40, Issue 21, May 1999, pages 4067-4068
本発明の樹脂組成物は、本発明で用いられる上記オキソカーボン系化合物と、樹脂成分とを含む。さらに本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、溶媒、各種添加剤等を含有させることができる。
本発明の樹脂組成物に含まれる上記オキソカーボン系化合物は、スクアリリウム系化合物であってもよいし、クロコニウム系化合物であってもよいし、両者の混合物であってもよい。またオキソカーボン系化合物は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の樹脂組成物に含まれる樹脂成分は、上記オキソカーボン系化合物を十分に溶解又は分散できるものであれば、特に制限されず、公知の樹脂を用いることができる。また樹脂成分としては、重合が完結した樹脂のみならず、樹脂原料(樹脂の前駆体や該前駆体の原料、樹脂を構成する単量体などを含む)であって、樹脂組成物を成形する際に重合反応または架橋反応して樹脂に組み込まれることとなるものを用いることもできる。ただし、上記オキソカーボン系化合物の構造または他の色素を用いる場合には他の色素の構造によっては、重合反応で得られた反応液中に存在する、未反応物、反応性末端官能基、イオン性基、触媒、酸・塩基性基等により、その構造の一部又は全部が分解してしまうこともあり得るので、そのような場合には、重合が完結し、単離(必要に応じて精製)された樹脂を用いることが望ましい。
3.2.1.ポリ(アミド)イミド樹脂
まず、本明細書で言うポリ(アミド)イミド樹脂は、狭義のポリイミド樹脂(イミド結合を含み、アミド結合を含まない樹脂を意味し、ここでいうアミド結合とは、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合を意味する)、及び、ポリアミドイミド樹脂(アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合とイミド結合とを含む樹脂を意味する)の両方を包含する。
上記式(10)におけるRp1としては、2価の有機基が好ましく、中でも、炭素数2〜39の2価の有機基が好ましい。また、当該有機基は1種又は2種以上の炭化水素骨格を含むものが好ましい。炭化水素骨格としては、脂肪族鎖状炭化水素、脂肪族環状炭化水素、芳香族炭化水素であることが好ましい。また当該有機基は複素環骨格を有するものであってもよい。
フッ素化芳香族ポリマーとしては、少なくとも1以上のフッ素原子を有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合及びエステル結合の群より選ばれた少なくとも1つの結合とを含む繰り返し単位により構成された重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、フッ素原子を有する芳香族環を持つポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドエーテル、ポリアミド、ポリエーテルニトリル、ポリエステル等が挙げられる。これらの中でも、少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する芳香族環と、エーテル結合とを含む繰り返し単位を必須単位として有する重合体であることが好ましく、下記式(11−1)又は(11−2)で表される繰り返し単位を含む、フッ素原子を有するポリエーテルケトンがより好ましい。中でも特に、フッ素化ポリエーテルケトン(FPEK)が好適である。なお、式(11−1)又は(11−2)で表される繰り返し単位は、同一でも異なっていてもよく、ブロック状、ランダム状等の何れの形態であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルおよび/または(メタ)アクリル酸由来の単位を必須の構成単位として有し、(メタ)アクリル酸エステルまたは(メタ)アクリル酸の誘導体に由来する構成単位を有していてもよい。なお「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」を意味するものとする。
(メタ)アクリル酸エステル(単位)、(メタ)アクリル酸(単位)およびこれらの誘導体(単位)は、それぞれ1種のみ有していてもよいし2種以上有していてもよい。
式(12−1)における有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1から20の飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基等)、エテニル基、プロペニル基等の炭素数2から20の不飽和脂肪族炭化水素基(アルケニル基等)、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6から20の芳香族炭化水素基(アリール基等)のほか、これら飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基における水素原子の一つ以上が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エーテル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換された基等が挙げられる。
詳しくは、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系重合体は、例えば、特開2006−96960号公報、特開2006−171464号公報、特開2007−63541号公報に記載の方法により製造できる。
上記式(12−2)におけるXs1が窒素原子であるグルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体をメチルアミン等のイミド化剤によりイミド化することにより形成できる。
詳しくは、主鎖に無水グルタル酸構造あるいはグルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、WO2007/26659号公報、WO2005/108438号公報に記載の方法により製造できる。
上記式(12−3)におけるXs2が窒素原子であるN−置換マレイミド構造は、例えば、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミドを(メタ)アクリル酸エステル等とともに重合に供することにより形成できる。
詳しくは、主鎖に無水マレイン酸構造あるいはN−置換マレイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、特開昭57−153008号公報、特開2007−31537号公報に記載の方法により製造できる。
五員環又は六員環構造を有する例としては、例えば、下記式(12−4)に示される構造や下記式(12−5)に示される構造が好ましく挙げられ、四員環又は五員環構造を有する例としては、例えば、下記式(12−6)や下記式(12−7)に示される構造が好ましく挙げられる。主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、これら各構造の一つ以上を有していればよいが、通常、式(12−4)の構造と式(12−5)の構造を組み合わせて有することが多く、また式(12−6)の構造と式(12−7)の構造を組み合わせて有することが多い。
異なって、メチレン基、酸素原子、又は、イミノ基である。ただし、X1、Y1及びZ1の
うち少なくとも1つは酸素原子又はイミノ基である。)
ポリスルホン樹脂は、典型的には、2価の芳香族基(芳香族化合物から、その芳香環に結合した水素原子を2個除いてなる残基)とスルホニル基(−SO2−)と酸素原子とを
含む繰返し単位を有する樹脂である。ポリスルホン樹脂は、耐熱性や耐薬品性の点から、下記式(D)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(D)」という)又は下記式(E)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(E)」という)を有することが好ましく、さらに、下記式(F)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(F)」という)等の他の繰返し単位を1種以上有していてもよい。
(D)−Ph1−SO2−Ph2−O−
(Ph1及びPh2は、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
(E)−Ph3−SO2−Ph4−O−Ph5−R’−Ph6−O−
(Ph3、Ph4、Ph5及びPh6は、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。R’は、アルキリデン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
(F)−(Ph7)n−O−
(Ph7は、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。nは、1〜3の整数を表す。nが2以上である場合、複数存在するPh7は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
ポリシクロオレフィン樹脂とは、重合体を構成するモノマー成分としてポリシクロオレフィンを含む重合体又は共重合体(以下、(共)重合体という)をいい、モノマー成分が1種又は2種以上のポリシクロオレフィンのみからなる(共)重合体であってもよいし、モノマー成分としてポリシクロオレフィンおよび他のモノマーを含む(共)重合体であってもよい。上記他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレンなど炭素数2以上のα−オレフィン、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
し、Rd5はアルコキシカルボニル基(好ましくはメトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基)を示し、Rd1〜Rd4はそれぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。Rd1およびRd2は、それらが結合して環を形成していてもよい。)
硬化性樹脂は、熱によって硬化(重合)する樹脂であってもよく、光によって硬化(重合)する樹脂であってもよい。得られる樹脂層(硬化膜)は、耐熱性(耐熱分解性及び耐熱着色性)や耐薬品性に優れたものとなる。
硬化性樹脂は、硬化性の官能基を有する有機化合物を1種又は2種以上含んでいる樹脂であり、上記硬化性の官能基とは、熱又は光によって硬化反応する官能基(すなわち樹脂組成物を硬化反応させる基を意味する)であり、例えば、オキシラン基(オキシラン環)やエポキシ基の他、オキセタン基(オキセタン環)、エチレンスルフィド基、ジオキソラン基、トリオキソラン基、ビニルエーテル基、ビニル基、スチリル基等のカチオン硬化性基;アクリル基、メタクリル基、ビニル基等のラジカル硬化性基;等が好適である。従って、上記硬化性樹脂は、カチオン硬化性基を有する化合物及び/又はラジカル硬化性基を有する化合物を含むことが好ましい。これにより、硬化性樹脂の硬化までの時間が短時間となって生産性がより高まり、得られる硬化物も耐熱性(耐熱分解性、耐熱着色性)により優れたものとなる。中でも、樹脂の硬化収縮率が低いために樹脂層の剥離が起きにくく、金型等での形状付与がし易くなるという点で、カチオン硬化性基を有する化合物を含む樹脂であることがより好適である。
上記カチオン硬化触媒として特に好ましくは、下記一般式(17):
カチオン硬化触媒又はラジカル硬化触媒を添加する場合、その添加量は、溶媒等を含まない有効成分量(固形分換算)として、硬化性樹脂100質量部に対し、0.01〜25質量部とすることが好適である。なお、一般式(17)で表されるルイス酸とルイス塩基とからなるカチオン硬化触媒を添加する場合は、該ルイス酸とルイス塩基との合計量を添加量とする。
エポキシ系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ダイセル社製セロキサイド(登録商標)2021P(3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート)
ダイセル社製EHPE3150(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物)
ダイセル社製EHPE3150CE(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物と3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート)
ダイセル社製セロキサイド(登録商標)3000(1,2,8,9−ジエポキシリモネン)ダイセル社製セロキサイド(登録商標)2000(1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン)
上記の中でも、ダイセル社製セロキサイド(登録商標)2021P、ダイセル社製EHPE3150がより好ましい。
本発明に係る樹脂組成物には、塗工操作を簡便に実施する観点から、溶媒を含有させることができる。
使用できる溶媒としては、樹脂成分の種類等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、メチルエチルケトン(2−ブタノン)(双極子モーメント:2.76D)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)(双極子モーメント:2.56D)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン(双極子モーメント:3.01D)等のケトン類;PGMEA(2−アセトキシ−1−メトキシプロパン)、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(双極子モーメント:2.08D)、エチレングリコールモノエチルエーテル(双極子モーメント:2.08D)、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体(例えば、エーテル化合物、エステル化合物、エーテルエステル化合物等);N,N−ジメチルアセトアミド(双極子モーメント:3.72D)等のアミド類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;N−メチル−ピロリドン(より具体的には、1−メチル−2−ピロリドン(双極子モーメント:4.08D))等のピロリドン類;トルエン(双極子モーメント:0.37D)、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、ヘプタン(双極子モーメント:0.0D)等の脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン(双極子モーメント:1.70D)、ジオキサン、ジエチルエーテル(双極子モーメント:1.12D)、ジブチルエーテル(双極子モーメント:1.22D)等のエーテル類;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン(双極子モーメント:2.27D)等の含ハロゲン芳香族炭化水素類から選ばれる少なくとも1種以上が好ましく挙げられる。オキソカーボン系化合物は双極子モーメントが小さい溶媒に対して高い耐久性を有する。そのため、双極子モーメントが4D以下である溶媒が好ましく、双極子モーメントが3.5D以下である溶媒がより好ましく、3D以下である溶媒が特に好ましい。このような溶媒の具体例として、例えば、o−ジクロロベンゼン、シクロペンタノン、PGMEA、エチルシクロヘキサン、キシレン、トルエン、トリメチルベンゼン、リモネンなどが挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性剤、分散剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、比抵抗調整剤、密着性向上剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
前記樹脂組成物は、成形体、成形部品のコーティング、樹脂フィルム、もしくは板状に成形された面状成形体を製造するのに有用である。この成形体は、本発明の樹脂組成物を射出成形、押出成形、真空成形、圧縮成形、ブロー成形、溶媒キャスト法などの公知の方法で所定の形状に成形することにより得られる。なお、前記「面状成形体」には、支持体上に形成された膜状の本発明の樹脂組成物成形物と支持体とが一体となったもの(「積層シート」と称することもある)も包含される。
前記光学フィルターは、その樹脂層に特定のオキソカーボン系化合物を含んでいる為、550〜1200nmの範囲内に最大吸収波長(λmax)を有し、赤色光の吸収特性に優れている。特にオキソカーボン系化合物としてスクアリリウム系化合物を含む場合、好ましくは550〜1000nm、より好ましくは600〜900nm、さらに好ましくは600〜800nm、最も好ましくは650〜750nmに最大吸収波長を有し、オキソカーボン系化合物としてクロコニウム系化合物を含む場合、好ましくは700〜1200nm、より好ましくは750〜1100nmに最大吸収波長を有する。そして前記光学フィルターは、特定のオキソカーボン系化合物を含んでいるため、前記最大吸収波長での光吸収特性が高いことに加えて、400〜450nmにおける光の平均透過率が高いことがその特徴として挙げられる。光学フィルターとして十分な性能を発揮するためには、光学フィルターの最大吸収波長における分光光線透過率は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、特に好ましくは5%以下であり、さらに特に好ましくは2.5%以下であり、最も好ましくは1%以下である。最大吸収波長において、このような分光光線透過率を示す光学フィルターでは、波長400〜450nmにおける分光光線の平均透過率が、例えば、81%以上(好ましくは82%以上、より好ましくは83%以上)であることが好ましい。このような本発明のフィルターを用いると、400〜450nmの平均透過率が高くなる一方で、赤色波長の光の吸収率は高くなり、高い選択的透過性を有するといえる。一方、波長400〜450nmにおける分光光線の平均透過率が81%未満であると、青系の光の透過が不十分であり、フィルターを透過した光の色味が変わってしまうおそれがある。また、本発明の光学フィルターは、透過光や反射光の角度依存性を低減することができるため、明るさや色合いの変化が少ない視感度補正用途に適した近赤外線カットフィルターを得ることができる。なお、400〜500nmにおける光の平均透過率及び最大吸収波長の求め方については後述する。
本発明のフィルターの一例には、支持体と、支持体の片面または両面に設けられた樹脂層とを備えているが、支持体と樹脂層との間に下地層が設けられていてもよい。下地層は、支持体の片面のみに有していてもよいし、両面に有していてもよい。また、下地層は、単層構造又は多層構造のいずれであってもよい。
以下では、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を示すものとする。
得られた試料約1mgをガラス棒に塗布して付着させ、直接イオン化ユニット(DART)(島津製作所社製「DART−OS」、ヒーター温度500℃)にてイオン化し、質量分析計(島津製作所社製「LCMS−2020」、M/Z=50−2000、ポジティブ,ネガティブ同時スキャン)により、得られた化合物のMSスペクトルを測定した。
分光光度計(島津製作所社製UV−1800)を用いて、樹脂層積層基板の吸収スペクトル(透過スペクトル)を測定ピッチ1nmで測定し、波長200〜1100nmにおける光の透過率を求めた。そして、波長650〜750nmで吸収極大となる波長を最大吸収波長とした。また、波長400〜450nmにおいて測定ピッチ1nm毎に測定した51個の透過率の平均値を、400〜450nmの平均透過率とした。
供試材(樹脂層積層基板)について、供試材に設けられた樹脂層にカッター(エヌティー社製A−300)で切り込みを入れ、縦列、横列にそれぞれ2mm間隔で10本のクロスカット線を設けることによって4mm2の四角を81マス作製し、評価用サンプル基板を作製した。次に、この評価用サンプル基板を、120℃、2気圧、湿度100%の高圧高温高湿槽(パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−E(平山製作所社製)、動作モード1)に、15時間または50時間入れた。続いて、室温にて、空気が入らないようにテープ(3M(スリーエム)社製スコッチ(登録商標)透明粘着テープ透明美色(登録商標))を貼り付け、10秒間放置した。その後、基板からのテープの剥離を1秒以内に行い、下記基準で評価した。なお、いずれのマスにおいても剥離力が一定となるようにテープの剥離を行った。
○:作製した81マスの四角のうち、1マスも剥がれが発生しなかった。
△:作製した81マスの四角のうち、1〜9マスに剥がれが発生した。
×:作製した81マスの四角のうち、10〜81マスに剥がれが発生した。
なお、スクアリリウム化合物01、07〜11、13、15、17〜29、比較スクアリリウム化合物3、4については上記方法で分析し、以下に示す構造を有することを確認した。
1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸(アルドリッチ製、純度95%)5部と無水酢酸(和光純薬製)44部とを、フラスコに仕込み、攪拌しながら反応器内を窒素ガスで置換した。窒素ガス雰囲気下で溶媒の還流温度まで昇温し、10分間溶媒を還流させた。その後、攪拌しながら室温まで冷却し、結晶を析出させた。析出した結晶を固液分離し、乾燥して目的物(1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物)の結晶を得た。続いて、温度計、撹拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク、冷却管を備えたフラスコに、窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(和光純薬製)0.89部と、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン7.6部を仕込んで溶解させた後、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物1部を室温にて固体のまま1時間かけて分割投入し、室温下2時間撹拌した。共沸脱水剤としてキシレンを2.6部添加して180℃で3時間反応を行い、ディーンスタークで還流して共沸する生成水を分離した。190℃に昇温しながらキシレンを留去した後、冷却しポリイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。このN−メチル−2−ピロリドン溶液をγ―ブチロラクトンでさらに希釈し、固形分3%のポリイミド樹脂溶液とした。このポリイミド樹脂溶液1部に対して、メタノール50部で再沈し、固液分離した。固液分離したポリイミド樹脂をγ―ブチロラクトンで溶解し、再び固形分3%のポリイミド樹脂溶液とし、前記と同様にメタノール50部で再沈し、固液分離した。再沈して得られた樹脂を乾燥してポリイミド樹脂Aを得た。また、示差走査熱量計によりポリイミド樹脂Aのガラス転移温度(Tg)を測定したところ、297℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した反応器に、60部のα−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(AMA)、重合溶媒として140部の4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン、MIBK)を仕込み(初期モノマー濃度=30質量%)、これに窒素を通じつつ、100℃まで昇温した後、開始剤として0.12部の1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル(和光純薬製、商品名:V−40))を添加し、重合を開始した。重合反応を6時間行った結果、重合転化率=97%、アリル基転化率=96%、Mw=21000の重合体を得た。この重合体について5%質量減少温度を測定したところ、360℃であった。得られたアクリル系ポリマー溶液5部に対して、メタノール500部で再沈し、固液分離した。固液分離したアクリル系樹脂を再びMIBKで溶解し、固形分10%のアクリル系樹脂溶液とし、前記と同様にメタノール500部で再沈し、固液分離した。再沈して得られた樹脂を乾燥してアクリル系樹脂Bを得た。また、示差走査熱量計によりアクリル系樹脂BのTgを測定したところ、70℃であった。
攪拌翼、温度センサー、冷却管、ガス導入管を付した反応容器に、単量体としてα−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(AMA)21.0部およびN−シクロヘキシルマレイミド9.0部、重合溶媒として酢酸エチル45.0部を仕込み、窒素ガスを流しながら攪拌、昇温を開始した。内温が70℃で安定したのを確認した後、アゾ系ラジカル重合開始剤(日本ファインケム社製ABN−V)0.03部を添加し、重合を開始した。内温が69℃〜71℃になるよう調整しながら3.5時間反応をつづけた後、室温まで冷却した。希釈溶媒としてテトラヒドロフラン、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて再沈殿操作を行い、沈殿物を吸引濾過により分離した。減圧乾燥器を用いて沈殿物を減圧下80℃で2時間乾燥し、アクリル系樹脂B’を得た。
得られたアクリル系樹脂B’について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置により重量平均分子量を測定したところ、50400であった。また、示差走査熱量計によりTgを測定したところ、134℃であった。
温度計、冷却管、ガス導入管、及び、攪拌機を備えた反応器に、BPDE(4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル)16.74部、HF(9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン)10.5部、炭酸カリウム4.34部、DMAc(ジメチルアセトアミド)90部を仕込んだ。この混合物を80℃に加温し、8時間反応した。反応終了後、反応溶液をブレンダーで激しく攪拌しながら、1%酢酸水溶液中に注加した。析出した反応物を濾別し、蒸留水及びメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、フッ素化芳香族ポリマーC(フッ素化ポリアリールエーテルケトン(FPEK))を得た。得られたポリマーのTgは242℃、数平均分子量(Mn)は70770であった。なお、上記合成例における数平均分子量は、以下の方法により測定した。ゲル透過クロマトグラフィー(カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ−N 4.6*150を2本、溶離液:テトラヒドロフラン、標準サンプル:TSKポリスチレンスタンダード)により測定した。
<樹脂層用組成物溶液の調製・塗布>
シクロペンタノン94部にポリイミド樹脂Aを6部溶解させた樹脂溶液に、スクアリリウム化合物01を0.6部混合、溶解して樹脂層用組成物溶液を作製した。この樹脂層用組成物溶液をろ過して不溶分等を取り除いた後、樹脂層用組成物溶液を作製した。この樹脂層用組成物溶液をガラス基板上に0.6cc垂らした後、スピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D7)を用い、0.2秒間かけて1000回転にし、10秒間その回転数で保持し、その後0.2秒間かけて0回転(rpm)になるようにして樹脂層を成膜した。樹脂層を成膜したガラス基板を、精密恒温器(ヤマト科学社製DH611)を用いて、100℃で3分間初期乾燥した後に、イナートオーブン(ヤマト科学社製DN610I)を用いて50℃で30分間窒素置換した後、15分程度で200℃に昇温し、200℃で30分間追加乾燥(窒素雰囲気下)し、樹脂層を備えたガラス基板(以下、樹脂層積層基板という)を得た。この樹脂層積層基板の透過率を測定したところ、最大吸収波長(ピークトップ)の透過率が2.5%であった。乾燥後の樹脂層の膜厚は1μmであった。なお、乾燥後の樹脂層の膜厚は、樹脂層積層基板の厚さ及びガラス基板の厚さをマイクロメーターを用いて測定し、両者の差を乾燥後の樹脂層の膜厚とした。樹脂層積層基板の構成、400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表1にまとめた。
実施例1において、樹脂の量、溶剤の種類・量、色素の種類・量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂層積層基板を得た。なお、実施例2〜11、比較例1・2では、最大吸収波長の透過率が2.5%になるように樹脂層用組成物溶液を作製、塗布した。樹脂層積層基板の構成、400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表1にまとめた。
実施例1において、樹脂の種類・量、溶剤の種類・量、色素の種類・量を表2に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂層積層基板を得た。ただし、実施例16及び比較例7は、塗布後に100℃3分間の初期乾燥をせずに、加熱を行った。なお、実施例12〜16、比較例3〜7では、最大吸収波長の透過率が2.5%になるように樹脂層用組成物溶液を作製して塗布した。樹脂として、ポリシクロオレフィン樹脂P(JSR社製ARTON(登録商標)(変性ノルボルネン系樹脂))、上記アクリル系樹脂B、ポリスルホン樹脂(SOLVAY SPECIALTY POLYMERS社製UDEL(登録商標)P−1700)、上記フッ素化芳香族ポリマーC、エポキシ系樹脂(ダイセル社製EHPE3150、ダイセル社製セロキサイド(登録商標)2021P)を用いた。また、溶剤として、シクロペンタノン、o−ジクロロベンゼン、PGMEA(2−アセトキシ−1−メトキシプロパン)を用いた。なお、実施例16及び比較例7で添加しているカチオン硬化触媒Dについては後述する。樹脂層積層基板の構成、400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表2にまとめた。
国際公開第1997/031924号公報に記載された合成法にしたがって、TPB(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)含有量7%の安藤パラケミー社製アイソパー(登録商標)E溶液255gを調製した。この溶液に水を60℃で滴下した。滴下途中から白色結晶が析出した。反応液を室温まで冷却した後、得られたスラリーを吸引ろ過し、n−ヘプタンで洗浄した。得られたケーキを60℃で減圧乾燥した後、白色結晶であるTPB・水錯体(TPB含有粉末B)を18.7g得た。この錯体は水分量9.2%(カールフィッシャー水分計)であり、TPB含有率は90.8%であった。乾燥後の錯体に対して19F−NMR分析及びGC分析を実施したが、TPB以外のピークは検出されなかった。
19F−NMRの測定結果を以下に示す。
19F−NMR(CDCl3)ppm(標準物質:CFCl3 0ppm)
δ=−135.6(6F,m)
δ=−156.5(3F,dd)
δ=−163.5(6F,d)
調製例1で得たTPB含有粉末B:2g(TPB純分:1.816g(3.547mmol)、水:0.184g(10.211mmol))に対し、γ−ブチロラクトンを1.1g添加し、室温で10分間混合した。その後、2mol/Lアンモニア・エタノール溶液を2.6g添加し、室温で60分間混合し、カチオン硬化触媒D(TPB触媒)の均一溶液とした。これをカチオン硬化触媒Dとした。
ポリイミド樹脂AをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、溶媒キャスト法を用いて成膜し、乾燥後の厚さが100μmとなるようにフィルムを作製した。なお、乾燥は窒素下250℃で十分に行い、残留溶媒は1.5%であった。このポリイミドフィルムの両面に、実施例1と同じ樹脂組成物を用い、最大吸収波長(ピークトップ)の透過率が2.5%となるように両面塗布した。得られた吸収フィルムは、基材(支持体)となるフィルムに、色素を含有した樹脂組成物を塗布して出来たものである。
実施例17と同様にして、ポリイミドフィルムを得た後、比較例1と同じ樹脂組成物を用いて、実施例17と同様の方法で両面塗布して吸収フィルムを得た。
上記ポリシクロオレフィン樹脂Pをo−ジクロロベンゼンに溶解させ、さらにスクアリリウム化合物01を溶解させた。この樹脂溶液を濾過し、溶媒キャスト法を用いて、乾燥後の厚みが50μm、最大吸収波長(ピークトップ)の透過率が2.5%となるようにガラス基板に塗布し、120℃で30分乾燥した後、ガラス基板より剥離した。剥離したフィルムをさらに追加で150℃30分間窒素下で乾燥した。得られた吸収フィルムは支持体に塗布したものではなく、単層で吸収を持ったフィルムである。
比較スクアリリウム化合物3を使用した以外は実施例18と同様にして吸収フィルムを得た。
実施例1において、樹脂の量、溶剤の量、色素の種類・量を表4に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂層積層基板を得た。なお、実施例19〜30では、最大吸収波長の透過率が2.5%になるように樹脂層用組成物溶液を作製、塗布した。樹脂層積層基板の構成、400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表4にまとめた。
(下地層用組成物(アンダーコート液))
<アンダーコート液の作製>
シランカップリング剤(信越シリコーン社製KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン))1.52部、エタノール2部、水0.455部、及びギ酸水溶液0.26部を混合、溶解した混合液Sを作製した。次に1部の混合液Sを99部のエタノールで希釈溶解してアンダーコート液No.1を作製した。
ガラス基板(SCHOTT社製D263Teco、60mm×60mm×0.3mm)上に前記アンダーコート液を1cc垂らした後、スピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D7)を用い、3秒間かけて2200回転(rpm)にし、20秒間その回転数で保持し、その後3秒間かけて0回転(rpm)になるようにして下地層を成膜した。下地層成膜後のガラス基板を精密恒温器(ヤマト科学社製DH611)を用いて、100℃で10分間乾燥し、下地層を備えたガラス基板(以下、下地層積層基板という)を得た。
実施例1において、樹脂層用組成物溶液をガラス基板上に垂らす代わりに、樹脂層用組成物溶液を上記下地層積層基板の下地層の上(下地層に直接接する面)に垂らしたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂層積層基板を得た。なお、実施例31では、最大吸収波長の透過率が2.5%になるように樹脂層用組成物溶液を作製、塗布した。樹脂層積層基板の構成、PCT試験の結果、400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表5にまとめた。
実施例31において、色素の種類・量を表5に示すとおりに変更したこと以外は、実施例31と同様にして樹脂層積層基板を得た。なお、実施例32〜36では、最大吸収波長の透過率が2.5%になるように樹脂層用組成物溶液を作製、塗布した。樹脂層積層基板の構成、PCT試験の結果、400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表5にまとめた。
実施例31において、樹脂の種類・量、溶剤の種類・量、色素の種類・量を表6に示すとおりに変更したこと以外は、実施例31と同様にして樹脂層積層基板を得た。なお、実施例37〜39、42、43では、最大吸収波長の透過率が2.5%になるように樹脂層用組成物溶液を作製して塗布した。樹脂として、ポリシクロオレフィン樹脂P(JSR社製ARTON(登録商標)(変性ノルボルネン系樹脂))、ポリシクロオレフィン樹脂Q(ポリプラスチックス社製TOPAS(登録商標)(環状オレフィン系共重合樹脂))を用いた。また、溶剤として、o−ジクロロベンゼン、キシレンを用いた。樹脂層積層基板の構成、PCT試験の結果、400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表6にまとめた。
実施例1において、樹脂の種類・量、溶剤の種類・量、色素の種類・量を表6に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂層積層基板を得た。なお、実施例40、41では、最大吸収波長の透過率が2.5%になるように樹脂層用組成物溶液を作製して塗布した。樹脂として、上記ポリシクロオレフィン樹脂P、上記ポリシクロオレフィン樹脂Qを用いた。また、溶剤として、o−ジクロロベンゼン、キシレンを用いた。樹脂層積層基板の構成、PCT試験の結果、400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表6にまとめた。
実施例1において、樹脂の種類・量をアクリル系樹脂B’15部、溶剤の種類・量をシクロペンタノン85部に変更し、色素の種類・量を表7に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂層積層基板を得た。なお、実施例44〜47では、最大吸収波長の透過率が2.5%になるように樹脂層用組成物溶液を作製して塗布した。樹脂層積層基板の構成、400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表7にまとめた。
実施例1において、樹脂の種類・量、溶剤の種類・量、色素の種類・量を表8に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂層積層基板を得た。実施例48、比較例10では、最大吸収波長の透過率が12%になるように樹脂層用組成物溶液を作製して塗布した。400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表8にまとめた。
実施例31において、樹脂の種類・量、溶剤の種類・量、色素の種類・量を表9に示すとおりに変更し、硬化剤及び添加剤を加えたこと以外は、実施例31と同様にして実施例49〜52の樹脂層積層基板を得た。また、実施例16において、樹脂の種類・量、溶剤の種類・量、硬化剤の種類・量、色素の種類・量を表9に示すとおりに変更し、添加剤を加えたこと以外は、実施例16と同様にして実施例53〜54の樹脂層積層基板を得た。実施例49〜54では、最大吸収波長の透過率が0.5%になるように樹脂層用組成物溶液を作製して塗布した。400〜450nmの平均透過率、及び最大吸収波長の結果を以下の表9にまとめた。実施例53〜54では、シランカップリング剤として、東レダウコーニング社製Z−6062(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を用いた。また、実施例49〜54では、添加剤として、ビックケミー社のBYK(登録商標)−306(シリコーン系添加剤)を用い、硬化剤として、前述のカチオン硬化触媒Dまたは以下の調整方法で調製したカチオン硬化触媒Eを用いた。
調製例2において、γ−ブチロラクトンをトルエンに変更したこと以外は調製例2と同様にして、カチオン硬化触媒(TPB触媒)の均一溶液とした。これをカチオン硬化触媒Eとした。
また図1より、比較スクアリリウム化合物3を含む比較例3の樹脂層では、吸収極大波長よりも短波長側に大きなショルダーピークが認められるがスクアリリウム化合物01を含む実施例12の樹脂層では同様のショルダーピークはほぼ消失し、滑らかな吸収波形が得られることが分かる。従って、スクアリリウム化合物01を含む樹脂層は、比較スクアリリウム化合物3を含む樹脂層に比べ、吸収極大領域の光をより選択的に吸収できる。
また図2より、図1同様に、上記ポリシクロオレフィン樹脂Pに比較スクアリリウム化合物5を含む樹脂層では、吸収極大波長よりも短波長側に大きなショルダーピークが認められるが、スクアリリウム化合物01を含む樹脂層では同様のショルダーピークはほぼ消失し、滑らかな吸収波形が得られることが分かる。従って、スクアリリウム化合物01を含む樹脂層は、比較スクアリリウム化合物5を含む樹脂層に比べ、吸収極大領域の光をより選択的に吸収できる。
実施例1〜54で得られた光学フィルターを用いて作製された近赤外線カットフィルターはいずれも良好な透過率特性を示し、透過光の角度依存性もほとんどなかった。代表として、実施例12の光学フィルターに反射防止膜及び近赤外線反射膜を蒸着した近赤外線カットフィルターについて、入射角度0°で光を入射したときの各波長における透過率及び入射角度30°で光を入射したときの各波長における透過率の測定結果を表10に示した。また、入射角度0°で光を入射したときの透過率が50%となる波長は631nmであり、入射角度30°で光を入射したときの透過率が50%となる波長は629nmであり、光の入射角度にかかわらず、透過率が50%となる波長はほぼ同じであった。
また、実施例1〜54で得られた光学フィルターを用いて作製された近赤外線カットフィルターに対して、耐紫外線性、耐湿熱性、耐水性、耐候性、耐衝撃性、耐熱性評価を実施したところ、いずれの近赤外線カットフィルターにおいても、色素の劣化がなく、非常に優れた耐久性を示すことが分かった。
Claims (13)
- 下記式(1)又は下記式(2)で表されるオキソカーボン系化合物と、樹脂成分とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
(式(1)及び式(2)中、Ra1〜Ra4はそれぞれ独立して下記式(3)で示される構造単位である。)
(式(3)中、
環Aは4〜9員の不飽和炭化水素環である。
X及びYはそれぞれ独立して有機基又は極性官能基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(1)中の4員環又は式(2)中の5員環との結合部位を表す。) - 前記環Bは、ベンゼン環又はナフタレン環である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記Xは、アルキル基又はアリール基である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 更に、ケトン類、グリコール誘導体、アミド類、エステル類、ピロリドン類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類及びエーテル類から選ばれる少なくとも1種以上の溶媒を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記アミド類の使用量が、樹脂組成物100質量%中、60質量%以下である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂成分が、ポリ(アミド)イミド樹脂、フッ素化芳香族ポリマー、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリスルホン樹脂、エポキシ系樹脂、及びポリシクロオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載された樹脂組成物から形成された樹脂層を有することを特徴とする光学フィルター。
- 支持体と、前記支持体の片面又は両面に設けられた樹脂層とを備えた光学フィルターであって、前記樹脂層は、請求項1〜6のいずれか1項に記載された樹脂組成物から形成されることを特徴とする光学フィルター。
- 前記樹脂層の波長400〜450nmにおける分光光線の平均透過率が81%以上である請求項7又は8に記載の光学フィルター。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載された樹脂組成物から形成された樹脂フィルムを有することを特徴とする光学フィルター。
- 前記樹脂フィルムの波長400〜450nmにおける分光光線の平均透過率が81%以上である請求項10に記載の光学フィルター。
- 請求項7〜11のいずれか1項に記載の光学フィルターが誘電体多層膜を有することを特徴とする近赤外線カットフィルター。
- 請求項7〜11のいずれか1項に記載の光学フィルターと請求項12に記載の近赤外線カットフィルターとの少なくとも一方を含むことを特徴とする撮像素子。
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