JP2016157677A - 非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解質二次電池のサイクル特性を改善することである。
【解決手段】実施形態の一例である非水電解質二次電池用正極活物質は、Liを除く金属元素の総モル数に対するNiの割合が30モル%よりも多いリチウム複合酸化物を主成分として含む。当該リチウム複合酸化物は、平均粒子径が3μm以上20μm以下の一次粒子が集合して構成された圧縮破壊強度が100MPa以上200MPa未満の二次粒子であって、Ba、Ca、及びSrから選択される少なくとも1種の元素を含有する。
【選択図】図2

Description

本開示は、非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池に関する。
特許文献1は、充電時における正極活物質の結晶安定性を向上させてサイクル特性等を改善すべく、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)を添加したリチウム複合酸化物からなる正極活物質を開示している。特許文献1には、正極活物質の合成法として、アルカリ土類金属の化合物を含む各種原料を混合して配合物を作製した後、当該配合物を焼成する方法が記載されている。
特開2006−310181号公報
ところで、非水電解質二次電池では、充放電サイクルに伴う容量劣化を抑えること、即ちサイクル特性の向上が求められている。特許文献1の正極活物質についても未だ改良の余地がある。
本開示に係る非水電解質二次電池用正極活物質は、Liを除く金属元素の総モル数に対するNiの割合が30モル%よりも多いリチウム複合酸化物を主成分として含み、リチウム複合酸化物は、平均粒子径が3μm以上20μm以下の一次粒子が集合して構成された圧縮破壊強度が100MPa以上200MPa未満の二次粒子であって、Ba、Ca、及びSrから選択される少なくとも1種の元素を含有する。
本開示に係る非水電解質二次電池用正極活物質によれば、非水電解質二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
実施形態の一例である非水電解質二次電池の断面図である。 実施形態の一例である正極活物質を模式的に示す図である。 実施形態の一例である正極活物質の圧縮挙動を示す図である。
非水電解質二次電池では、上述のようにサイクル特性の向上が求められている。本発明者らは、充放電サイクルに伴って正極活物質粒子が一次粒子の粒界で割れ、例えば活物質粒子の内部に導電ネットワークから孤立する一次粒子が増えることが容量劣化の大きな一因であると考え、サイクルに伴う容量劣化を抑制すべく鋭意検討を行った。そして、リチウム−ニッケル複合酸化物の一次粒子を作製した後、当該一次粒子にBa、Ca、及びSrから選択される少なくとも1種の元素を添加することで、一次粒子の粒子径が大きく、一次粒子同士の結合力が高い本開示の正極活物質(二次粒子)を合成することに成功したのである。当該正極活物質では、電池の充放電サイクルに伴う粒子割れが発生し難く、また粒子割れが発生した場合でも導電ネットワークから孤立する一次粒子が少ない。したがって、本開示の正極活物質を用いた非水電解質二次電池はサイクル特性に優れる。一方、特許文献1の正極活物質のように小さな一次粒子が集合してなる正極活物質は、活物質粒子の割れが発生したときに導電ネットワークから孤立する一次粒子が多く、充放電サイクルに伴う容量劣化が大きくなる。なお、特許文献1の合成法のようにアルカリ土類金属が予め添加された配合物を焼成する方法では、高強度の活物質粒子は得られない。
以下、実施形態の一例について詳細に説明する。
実施形態の説明で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
図1は、実施形態の一例である非水電解質二次電池10の断面図である。
非水電解質二次電池10は、正極11と、負極12と、非水電解質とを備える。正極11と負極12との間には、セパレータ13を設けることが好適である。非水電解質二次電池10は、例えば正極11及び負極12がセパレータ13を介して巻回されてなる巻回型の電極体14と、非水電解質とが電池ケースに収容された構造を有する。巻回型の電極体14の代わりに、正極及び負極がセパレータを介して交互に積層されてなる積層型の電極体など、他の形態の電極体が適用されてもよい。電極体14及び非水電解質を収容する電池ケースとしては、円筒形、角形、コイン形、ボタン形等の金属製ケース、樹脂シートをラミネートして形成された樹脂製ケース(ラミネート型電池)などが例示できる。図1に示す例では、有底円筒形状のケース本体15と封口体16とにより電池ケースが構成されている。
非水電解質二次電池10は、電極体14の上下にそれぞれ配置された絶縁板17,18を備える。図1に示す例では、正極11に取り付けられた正極リード19が絶縁板17の貫通孔を通って封口体16側に延び、負極12に取り付けられた負極リード20が絶縁板18の外側を通ってケース本体15の底部側に延びている。例えば、正極リード19は封口体16の底板であるフィルタ22の下面に溶接等で接続され、フィルタ22と電気的に接続された封口体16の天板であるキャップ26が正極端子となる。負極リード20はケース本体15の底部内面に溶接等で接続され、ケース本体15が負極端子となる。本実施形態では、封口体16に電流遮断機構(CID)及びガス排出機構(安全弁)が設けられている。なお、ケース本体15の底部にも、ガス排出弁を設けることが好適である。
ケース本体15は、例えば有底円筒形状の金属製容器である。ケース本体15と封口体16との間にはガスケット27が設けられ、電池ケース内部の密閉性が確保される。ケース本体15は、例えば側面部を外側からプレスして形成された、封口体16を支持する張り出し部21を有することが好適である。張り出し部21は、ケース本体15の周方向に沿って環状に形成されることが好ましく、その上面で封口体16を支持する。
封口体16は、フィルタ開口部22aが形成されたフィルタ22と、フィルタ22上に配置された弁体とを有する。弁体は、フィルタ22のフィルタ開口部22aを塞いでおり、内部短絡等による発熱で電池の内圧が上昇した場合に破断する。本実施形態では、弁体として下弁体23及び上弁体25が設けられており、下弁体23と上弁体25の間に配置される絶縁部材24、及びキャップ開口部26aを有するキャップ26がさらに設けられている。封口体16を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材24を除く各部材は互いに電気的に接続されている。具体的には、フィルタ22と下弁体23が各々の周縁部で互いに接合され、上弁体25とキャップ26も各々の周縁部で互いに接合されている。下弁体23と上弁体25は、各々の中央部で互いに接続され、各周縁部の間には絶縁部材24が介在している。内部短絡等による発熱で内圧が上昇すると、例えば下弁体23が薄肉部で破断し、これにより上弁体25がキャップ26側に膨れて下弁体23から離れることにより両者の電気的接続が遮断される。
[正極]
正極は、例えば金属箔等の正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質層とで構成される。正極集電体には、アルミニウムなどの正極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極合材層は、正極活物質の他に、導電材及び結着材を含むことが好適である。正極は、例えば正極集電体上に正極活物質、導電材、及び結着材等を含む正極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延して正極合材層を集電体の両面に形成することにより作製できる。
導電材は、正極活物質層の電気伝導性を高めるために用いられる。導電材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料が例示できる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
結着材は、正極活物質及び導電材間の良好な接触状態を維持し、且つ正極集電体表面に対する正極活物質等の結着性を高めるために用いられる。結着材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が例示できる。また、これらの樹脂と、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩(CMC−Na、CMC−K、CMC-NH4等、また部分中和型の塩であってもよい)、ポリエチレンオキシド(PEO)等が併用されてもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
図2は、実施形態の一例である正極活物質30を模式的に示す図である。
正極活物質30は、Liを除く金属元素の総モル数に対するニッケル(Ni)の割合が30モル%よりも多いリチウム複合酸化物を主成分として含む。主成分とは、正極活物質30を構成する材料のうち最も含有量が多い成分である。当該リチウム複合酸化物は、平均粒子径が3μm以上20μm以下の一次粒子31が集合して構成された圧縮破壊強度が100MPa以上200MPa未満の二次粒子であって、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、及びストロンチウム(Sr)から選択される少なくとも1種の元素(以下、「元素α」とする)を含有する。元素αは、例えば複合酸化物Aに固溶している。以下では、当該リチウム複合酸化物を「複合酸化物A」とする。
正極活物質30は、複合酸化物A以外の成分、例えば複合酸化物A以外のリチウム複合酸化物を含んでいてもよい。但し、複合酸化物Aは、正極活物質30の総重量に対して50重量%以上含まれていることが好ましく、80重量%以上がより好ましく、100重量%であってもよい。本実施形態では、複合酸化物Aのみから正極活物質30が構成されているものとする(この場合、複合酸化物Aと、正極活物質30は同じものを意味する)。正極活物質30(複合酸化物A)の粒子表面には、無機化合物の微粒子、例えば酸化アルミニウム(Al23)等の酸化物、ランタノイド元素を含有する化合物などが存在していてもよい。
複合酸化物Aに含有される元素αは、一次粒子31間の結合力を高める役割を果たす。複合酸化物Aにおける元素αの含有量は、複合酸化物AのLiを除く金属元素の総モル数に対して合計で0.1〜1モル%が好ましく、0.2〜0.8モル%が好ましく、0.3〜0.7モル%が特に好ましい。元素αの含有量が当該範囲内であれば、良好なサイクル特性が得られる。複合酸化物Aにおける元素αの含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、又はX線光電子分光法(XPS)により測定することができる。元素αとしては、1種類を用いてもよく、複数種を併用してもよい。特に好ましい元素αはBaである。
複合酸化物Aは、一般式LixNiy* z(1yz)2{0.1≦x≦1.2、0.3<y<1、0.1<z<1、M*は少なくとも1種の元素α、Mは元素α以外の少なくとも1種の金属元素}で表される複合酸化物であることが好適である。Niの含有量yは、低コスト化、高容量化等の観点から、0.3よりも多くすることが好ましい。複合酸化物Aは、層状岩塩型の結晶構造を有する。元素αは、例えば複合酸化物Aの粒子表面に多く存在し、一部が粒子内部まで拡散している。
複合酸化物Aが含有する金属元素Mとしては、Co、Mn、Mg、Zr、Al、Cr、V、Ce、Ti、Fe、K、Ga、In等が挙げられる。これらのうち、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。特に、低コスト化、安全性向上等の観点から、少なくともMnを含むことが好ましい。好適な複合酸化物Aとしては、LiNi0.30Mn0.30Co0.30Ba0.12等が例示できる。複合酸化物Aは、1種類を用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
複合酸化物Aは、従来公知のリチウム複合遷移金属酸化物(LiCoO2、LiNi0.33Mn0.33Co0.332等)と同様にリチウム原料から合成することも可能である。しかし、従来と同様の合成方法において、層状岩塩相を安定相として得るためには、Li量をある程度過剰にし、焼成温度を700〜900℃に設定する必要がある。焼成温度が700℃未満では結晶成長が不十分となり、900℃を超えるとNiイオンがLiサイトへ入りNiイオンとLiイオンのサイト交換(カチオンミキシング)が起こるため、結晶構造の歪みが生じ電池特性の低下を招く場合がある。このように焼成温度を制御しつつ複合酸化物Aを合成することは、従来公知のリチウム複合遷移金属酸化物をリチウム原料から同様に製造する場合と比較して困難なことである。
複合酸化物Aを合成する好適な方法は、ナトリウム原料とニッケル原料を混合・焼成して合成したナトリウム−ニッケル複合酸化物のNaイオンをLiイオンに交換する方法である。そして、イオン交換後の複合酸化物に元素αを添加して再焼成する。この方法は、リチウム原料からリチウム−ニッケル複合酸化物を合成する方法と比較して、ナトリウム−ニッケル複合酸化物の焼成温度及びNa量を大きく変化させても、層状岩塩相を得ることが可能であり、合成物の物性や結晶サイズを制御することができる。Niを含有する複合酸化物は、一次粒子の粒子径が小さくなり易く表面粗さが大きな粒子となるが、この方法により、焼成時において結晶構造の歪みや崩壊が生じることなく結晶成長が行われ、粒子形状のコントロールが可能となる。
ナトリウム−ニッケル複合酸化物の合成方法は、以下の通りである。
ナトリウム原料としては、金属ナトリウム及びナトリウム化合物から選択される少なくとも1種を用いる。ナトリウム化合物としては、Naを含有するものであれば特に制限なく用いることができる。好適なナトリウム原料としては、Na2O、Na22等の酸化物、Na2CO3、NaNO3等の塩類、NaOH等の水酸化物などが挙げられる。これらのうち、特にNaNO3が好ましい。
ニッケル原料としては、Niを含有する化合物であれば特に制限なく用いることができる。例えばNi34、Ni23、NiO2等の酸化物、NiCO3、NiCl2等の塩類、Ni(OH)2等の水酸化物、NiOOH等のオキシ水酸化物などが挙げられる。これらのうち、特にNiO2、Ni(OH)2が好ましい。
ナトリウム原料とニッケル原料の混合割合は、層状岩塩型の結晶構造が生成するような割合であることが好ましい。具体的には、一般式NazNiO2において、ナトリウム量zが0.5〜2であることが好ましく、0.8〜1.5であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。例えば、NaNiO2の化学組成となるように両原料を混合する。混合方法は、これらを均一に混合できるものであれば特に限定されず、ミキサー等の公知の混合機を用いた混合が例示できる。
ナトリウム原料とニッケル原料の混合物は、大気中又は酸素気流中で焼成する。焼成温度は、600〜1100℃が好ましく、700〜1000℃がより好ましい。焼成時間は、焼成温度が600〜1100℃の場合、好ましくは1〜50時間である。焼成温度が900〜1000℃の場合は、好ましくは1〜10時間である。焼成物は、公知の方法で粉砕することが好ましい。このようにして、ナトリウム−ニッケル複合酸化物が得られる。
ナトリウム−ニッケル複合酸化物のイオン交換方法は、以下の通りである。
NaをLiにイオン交換する好適な方法としては、例えば、リチウム塩の溶融塩床をナトリウム複合遷移金属酸化物に加えて加熱する方法が挙げられる。リチウム塩には、硝酸リチウム、硫酸リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウム等から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。イオン交換処理時における加熱温度は、200〜400℃が好ましく、330〜380℃がより好ましい。処理時間は、2〜20時間が好ましく、5〜15時間がより好ましい。
上記イオン交換処理の方法としては、少なくとも1種のリチウム塩を含む溶液中にナトリウム含有遷移金属酸化物を浸漬する方法も適している。この場合は、リチウム化合物を溶解させた有機溶剤中にナトリウム複合遷移金属酸化物を投入し、その有機溶剤の沸点以下の温度で処理する。イオン交換速度を高めるため、有機溶剤の沸点付近で溶媒を還流させながらイオン交換処理することが好ましい。処理温度は100〜200℃が好ましく、140〜180℃がより好ましい。処理時間は、処理温度によっても異なるが、5〜50時間が好ましく、10〜20時間がより好ましい。
上記イオン交換を利用して作製されるリチウム−ニッケル複合酸化物では、上記イオン交換が完全には進行せずNaが一定量残存することがある。その場合、リチウム−ニッケル複合酸化物は、例えば一般式LixuNax(1-u)Niy* z(1-y-z)2{0.1≦x≦1.2、0.3<y<1、0.1<z<1、0.95<u≦1}で表される。ここで、uはNaをLiにイオン交換する際の交換率である。
次に、元素αを上記リチウム−ニッケル複合酸化物に添加して再焼成することにより、元素αを含有する複合酸化物Aが得られる。なお、上記リチウム−ニッケル複合酸化物は、平均粒子径が3μm以上20μm以下の一次粒子31が凝集して構成された二次粒子であって、複合酸化物Aの粒子径、表面粗さ、密度等の物性は当該元素αの添加工程の前に略定まっている。
元素αは、Ba、Ca、Srの金属として、又はBa、Ca、Srの化合物として上記リチウム−ニッケル複合酸化物に添加し混合することができる。化合物は、特に限定されないが、好ましくは酸化物である。元素αは、上記のように複合酸化物AのLiを除く金属元素の総モル数に対して合計で0.1〜1モル%となるように添加することが好ましい。元素αと上記リチウム−ニッケル複合酸化物との混合方法は、これらを均一に混合できるものであれば特に限定されず、ミキサー等の公知の混合機を用いた混合が例示できる。
上記再焼成は、大気中又は酸素気流中で行う。再焼成温度は、1回目の焼成温度、即ちナトリウム原料とニッケル原料の混合物に対する焼成の温度よりも低くする必要がある。好ましい再焼成温度は700〜1050℃であり、好ましい再焼成時間は1〜50時間である。700℃以上の温度で、且つ1回目の焼成温度よりも低温で再焼成することにより、例えば結晶子径や表面粗さが大きく変化することなく、元素αを粒子内部まで拡散させることができる。再焼成物は、公知の方法で粉砕することが好ましい。
上記方法により得られた複合酸化物A(正極活物質30)は、平均粒子径が3μm以上20μm以下の一次粒子31が凝集してなる二次粒子である。このため、複合酸化物Aには、一次粒子31の粒界32が存在する。二次粒子である複合酸化物A同士も凝集する場合があるが、二次粒子の凝集は超音波分散により互いに分離することができる。一方、二次粒子を超音波分散しても当該粒子が一次粒子31に分離することはない。
複合酸化物A(二次粒子)の体積平均粒子径(以下、「Dv」とする)は、7〜30μmが好ましく、8〜30μmがより好ましく、9〜25μmが特に好ましい。Dvが当該範囲内であれば、例えば複合酸化物Aの表面粗さが小さくなり易く、正極における複合酸化物Aの充填密度が向上する。複合酸化物AのDvは、光回折散乱法によって測定することができる。Dvは、粒子径分布において体積積算値が50%のときの粒子径を意味し、メディアン径とも呼ばれる。
複合酸化物Aを構成する一次粒子31の平均粒子径(以下、「平均一次粒子径」という)は、3μm以上20μm以下であり、好ましくは3μm以上18μm以下である。平均一次粒子径が当該範囲内であれば、充放電に伴い活物質粒子割れが発生した場合でも導電ネットワークから孤立する一次粒子31の発生を抑制することができる。一次粒子31は、複数の結晶子から構成されている。
平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて評価できる。
具体的には、下記の通りである。
(1)複合酸化物AをSEM(2000倍)で観察して得られた粒子画像から、ランダムに粒子10個を選択する。
(2)選択した10個の粒子について粒界32等を観察し、それぞれの一次粒子31を決定する。
(3)一次粒子31の最長径を求め、10個についての平均値を平均一次粒子径とする。
複合酸化物Aの結晶子のサイズは、層状岩塩型の結晶構造において層を重ねる方向である(003)ベクトル方向の結晶子径、及びそれに垂直な方向である(110)ベクトル方向の結晶子径で表現することができる。ここでは、(110)ベクトル方向の結晶子径を用いて結晶子サイズを評価する。複合酸化物Aの(110)ベクトル方向の平均結晶子径としては、100nm以上300nm以下が好ましく、110nm以上250nm以下がより好ましく、120nm以上230nm以下が特に好ましい。平均結晶子径が当該範囲内であれば、例えば複合酸化物Aのイオン伝導性を向上させることができる。
結晶子径は、粉末X線回折測定装置(ブルカーAXS製、商品名「D8ADVANCE」)を用いて複合酸化物Aの粉末X線回折パターンを求め、この粉末X線回折パターンを全粉末パターン分解法(以下、「WPPD法」という)により解析して算出される。
粉末X線回折パターンの測定条件は、下記の通りである。
X線出力:40kV×40mA
検出器:シンチレーションカウンター
ゴニオメーター半径:250mm
発散スリット:0.6°
散乱スリット:0.6°
受光スリット:0.1mm
ソーラースリット:2.5°(入射側、受光側)
粉末X線回折パターンの測定は、試料水平型の集中光学系による2θ/θ法(2θ=15〜140°を測定、ステップ幅0.01°)を用いて行う。走査時間は、メインピーク((111)面)の強度が10000counts程度になるように設定される。
WPPD法を用いた解析手順は、下記の通りである。
手順1:ソフト(TOPAS)を起動し、測定データを読み込む。
手順2:Emission Profileを設定する。(Cu管球、Bragg Brentano集中光学系を選択する)
手順3:バックグラウンドを設定する。(プロファイル関数としてルジャンドルの多項式を使用、項数は8〜20に設定)
手順4:Instrumentを設定する。(Fundamental Parameterを使用、スリット条件、フィラメント長、サンプル長を入力)
手順5:Correctionsを設定する。(Sample displacementを使用。試料ホルダーへの試料充填密度が低い場合、Absorptionも使用する。この場合、Absorptionは測定試料の線吸収係数で固定)
手順6:結晶構造の設定をする。(空間群R3−mに設定。格子定数・結晶子径・格子歪を使用。結晶子径と格子歪とによるプロファイルの広がりをローレンツ関数に設定)
手順7:計算を実行する。(バックグラウンド、Sample displacement、回折強度、格子定数、結晶子径、及び格子歪を精密化、計算にはLe−ball式を採用)
手順8:結晶子径の標準偏差が精密化した値の6%以下であれば、解析終了。6%より大きい場合は、手順9へ進む。
手順9:格子歪によるプロファイルの広がりをガウス関数に設定する。(結晶子径はローレンツ関数のまま)
手順10:計算を実行する。(バックグラウンド、Sample displacement、回折強度、格子定数、結晶子径、及び格子歪を精密化)
手順11:結晶子径の標準偏差が精密化した値の6%以下であれば、解析終了。6%より大きい場合は、解析不可。
複合酸化物Aは、上記のように平均粒子径が3μm以上の大きな一次粒子31が集合して形成され、元素αの添加により一次粒子31同士の結合力が向上した二次粒子である。複合酸化物Aの圧縮破壊強度は、100MPa以上200MPa未満であり、好ましくは120MPa以上200MPa未満、より好ましくは130MPa以上200MPa未満である。複合酸化物Aの圧縮破壊強度が当該範囲内であれば、電池の充放電サイクルに伴う粒子割れが発生し難く、良好なサイクル特性が得られる。なお、二次粒子の割れが発生した場合でも、一次粒子31の粒子径が大きいため導電ネットワークから孤立する一次粒子31は少ない。
さらに、複合酸化物Aを構成する一次粒子31の圧縮破壊強度が、400MPa以上800MPa以下であることが好ましい。一次粒子31の圧縮破壊強度が当該範囲内であれば、電池の充放電により一次粒子31が微粉化することが抑制され、良好なサイクル特性が得られる。ここで、圧縮破壊強度とは、複合酸化物Aの粒子1個当たりの圧縮破壊強度(以下、「圧縮破壊強度(St)」とする)である。圧縮破壊強度(St)は、「日本鉱業会誌」81巻、932号 1965年12月号、1024〜1030頁に記載される数式St=2.8P/πd2(P:粒子にかかった荷重、d:粒子径)により算出される。dは二次粒子の粒子径であって、一次粒子31の圧縮破壊強度の算出においても二次粒子の粒子径を用いる。
図3は、複合酸化物Aに加える荷重と複合酸化物Aの変位の関係を示す図である。
微小圧縮試験機を用いて複合酸化物Aを圧縮すると(測定方法の詳細は後述)、複合酸化物A(二次粒子)が崩壊する破壊点F1が測定される。破壊点F1における荷重が圧縮破壊強度(St)の算出に用いられる上式の荷重Pである。例えば、破壊点F1までは変位の増加と共に荷重が直線的に増加し、破壊点F1で二次粒子が崩壊すると、荷重が略一定で変位のみが増加する。その後、再び荷重が増加し始め、一次粒子31が崩壊する破壊点F2が測定される。破壊点F2における荷重が一次粒子31の圧縮破壊強度(St)の算出に用いられる。
図3では、一次粒子の平均粒子径が小さく元素αを含有しない従来の複合酸化物の圧縮挙動を破線で示している。当該複合酸化物は、一次粒子間の結合力が弱いため、破壊点F3の荷重が小さく、即ち二次粒子の圧縮破壊強度が弱い。なお、破壊点F4の荷重が破壊点F2の荷重よりも大きくなる理由は、一次粒子の粒子径が小さいため、圧子によって複数の一次粒子が圧縮されるからである。
複合酸化物Aは、粒子表面が滑らかであり凹凸が小さい。粒子表面の滑らかさ(凹凸)の程度は、後述の方法で測定される表面粗さにより評価できる。複合酸化物Aの平均表面粗さは、小さいことが好適であり、具体的には4%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。平均両面粗さが4%以下であれば、電池の出力特性がより良好なものとなり、また正極における複合酸化物Aの充填密度が向上する。複合酸化物Aの90%以上が、4%以下の表面粗さを有することが好ましく、95%以上が4%以下の表面粗さを有することがより好ましい。
複合酸化物Aの平均表面粗さは、1粒子ごとに表面粗さを求めることで評価する。表面粗さは、10個の粒子について求め、その平均をとって平均表面粗さとする。表面粗さ(%)は、国際公開第2011/125577号パンフレットに記載される表面粗さの算出式を用いて算出される。当該算出式は、下記の通りである。
(表面粗さ)=(粒子半径rの1°ごとの変化量の最大値)/(粒子の最長径)
粒子半径rは、複合酸化物AのSEM画像に基づく形状測定において、粒子の最長径を二等分する点として定義される中心Cから粒子の周囲の各点までの距離として求めた。粒子半径rの1°ごとの変化量は絶対値であり、その最大値とは、粒子の全周について測定した1°ごとの変化量が最大のものである。
[負極]
負極は、例えば金属箔等からなる負極集電体と、当該集電体上に形成された負極合材層とで構成される。負極集電体には、銅などの負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極合材層は、負極活物質の他に、結着材を含むことが好適である。負極は、例えば負極集電体上に負極活物質、結着材等を含む負極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延して負極合材層を集電体の両面に形成することにより作製できる。
負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できるものであれば特に限定されず、例えば天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料、ケイ素(Si)、錫(Sn)等のリチウムと合金化する金属、又はSi、Sn等の金属元素を含む合金、複合酸化物などを用いることができる。負極活物質は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
結着剤としては、正極の場合と同様にフッ素系樹脂、PAN、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。水系溶媒を用いて合材スラリーを調製する場合は、CMC又はその塩(CMC−Na、CMC−K、CMC-NH4等、また部分中和型の塩であってもよい)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩(PAA−Na、PAA−K等、また部分中和型の塩であってもよい)、ポリビニルアルコール(PVA)等を用いることが好ましい。
[セパレータ]
セパレータには、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、セルロースなどが好適である。セパレータは、セルロース繊維層及びオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維層を有する積層体であってもよい。また、ポリエチレン層及びポリプロピレン層を含む多層セパレータであってもよく、セパレータの表面にアラミド系樹脂等が塗布されたものを用いてもよい。
セパレータと正極及び負極の少なくとも一方との界面には、無機物のフィラーを含むフィラー層が形成されていてもよい。無機物のフィラーとしては、例えばチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)の少なくとも1種を含有する酸化物、リン酸化合物などが挙げられる。フィラー層は、例えば当該フィラーを含有するスラリーを正極、負極、又はセパレータの表面に塗布して形成することができる。
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水電解質は、液体電解質(非水電解液)に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。非水溶媒には、例えばエステル類、エーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等を用いることができる。非水溶媒は、これら溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有していてもよい。
上記エステル類の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステルなどが挙げられる。
上記エーテル類の例としては、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテル等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル等の鎖状エーテル類などが挙げられる。
上記ハロゲン置換体としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状炭酸エステル、フッ素化鎖状炭酸エステル、フルオロプロピオン酸メチル(FMP)等のフッ素化鎖状カルボン酸エステル等を用いることが好ましい。
電解質塩は、リチウム塩であることが好ましい。リチウム塩の例としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(P(C24)F4)、LiPF6-x(Cn2n+1x(1<x<6,nは1又は2)、LiB10Cl10、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、Li247、Li(B(C24)F2)等のホウ酸塩類、LiN(SO2CF32、LiN(C12l+1SO2)(Cm2m+1SO2){l,mは1以上の整数}等のイミド塩類などが挙げられる。リチウム塩は、これらを1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。これらのうち、イオン伝導性、電気化学的安定性等の観点から、LiPF6を用いることが好ましい。リチウム塩の濃度は、非水溶媒1L当り0.8〜1.8molとすることが好ましい。
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[正極活物質の作製]
Na0.95Ni0.33Co0.33Mn0.332が得られるように、硝酸ナトリウム(NaNO3)、酸化ニッケル(II)(NiO)、酸化コバルト(II,III)(Co34)、及び酸化マンガン(III)(Mn23)を混合した。この混合物を焼成温度950℃で35時間保持することによって、ナトリウム−ニッケル複合酸化物を得た。
硝酸リチウム(LiNO3)と水酸化リチウム(LiOH)を61:39のモル比で混合した溶融塩床を、得られたナトリウム−ニッケル複合酸化物5gに対し5倍当量(25g)加えた。その後、この混合物を焼成温度200℃で10時間保持させることによって、ナトリウム−ニッケル複合酸化物のNaイオンをLiイオンに交換した。さらに、イオン交換後の物質を水洗して、リチウム−ニッケル複合酸化物を得た。
得られたリチウム−ニッケル複合酸化物に酸化バリウム(BaO)を混合し再焼成して複合酸化物A1を作製する。リチウム−ニッケル複合酸化物の遷移金属に対して、Baの含有量が0.3mol%となるようにBaOを加えた。その後、この混合物を900℃で50時間保持して再焼成を行った。再焼成して得られた複合酸化物A1を分級し、Dvが10.1μmのものを正極活物質A1として用いた。正極活物質A1を構成する一次粒子の平均粒子径は3μmであった。
正極活物質A1について、粉末X線回折法により粉末X線回折測定装置(ブルカーAXS製、商品名「D8ADVANCE」、線源Cu−Kα)を用いて解析し、結晶構造の同定を行った。得られた結晶構造は、層状岩塩型の結晶構造と帰属された。また、正極活物質A1の組成を、ICP発光分光分析装置(Thermo Fisher Scientific製、商品名「iCAP6300」)を用いて測定した結果、Li1.1Ni0.33Co0.32Mn0.32Ba0.0032であった。
[正極の作製]
正極活物質A1が95.8重量%、炭素粉末が3重量%、ポリフッ化ビニリデン粉末が1.2重量%となるよう混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量加えて、正極合材スラリーを調製した。このスラリーを幅57.4mm、長さ566.5mm、厚み15μmのアルミニウム製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布し、塗膜を乾燥した後、圧延ローラにより塗膜を圧延して、正極集電体の両面に正極合材層が形成された正極を作製した。集電体の長手方向中央部に合材層を形成しない部分を設け、当該部分に正極タブを取り付けた。
[負極の作製]
負極活物質が98.2重量%と、スチレン−ブタジエンゴムが0.7重量%、カルボキシメチルセルロースナトリウムが1.1重量%となるよう混合し、これを水と混合してスラリーを調製した。負極活物質には、天然黒鉛、人造黒鉛、及び表面を非晶質炭素で被覆した人造黒鉛の混合物を用いた。このスラリーを幅59.2mm、長さ670mm、厚み10μmの銅製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布し、塗膜を乾燥した後、圧延ローラにより塗膜を圧延して、負極集電体の両面に負極合材層が形成された負極を作製した。集電体の長手方向両端部に合材層を形成しない部分を設け、当該部分に負極タブを取り付けた。
[非水電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との等体積混合非水溶媒に、LiPF6を1.6mol/L溶解させて非水電解液を得た。
[非水電解質二次電池の作製]
上記正極、上記負極、上記非水電解液、及びセパレータを用いて、以下の手順で非水電解質二次電池B1を作製した。
(1)正極と負極とをセパレータを介して巻回し、巻回電極体を作製した。
(2)巻回電極体の上下にそれぞれ絶縁板を配置し、直径18mm、高さ65mmの円筒形状の電池外装缶に巻回電極体を収容した。電池外装缶は、スチール製であり、負極端子を兼ねる。
(3)負極の集電タブを電池外装缶の内側底部に溶接すると共に、正極の集電タブを安全弁と電流遮断機構を有する封口体の底板に溶接した。封口体は正極端子として機能する。
(4)電池外装缶の開口部から非水電解液を供給し、その後、封口体によって電池外装缶を密閉して、非水電解質二次電池B1を得た。非水電解質二次電池B1の設計容量は1900mAhである。
<実施例2>
Baの含有量が0.7mol%となるように、BaOの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質A2を作製した。また、正極活物質A2を用いて、実施例1と同様の方法で、非水電解質二次電池B2を作製した。正極活物質A2のDvは22.1μmであり、正極活物質A2を構成する一次粒子の平均粒子径は16.5μmであった。
<比較例1>
BaOに代えてWO3を用い、Wの含有量が0.5mol%となるようにWO3を添加した以外は、実施例1と同様にして正極活物質X1を作製した。また、正極活物質X1を用いて、実施例1と同様の方法で、非水電解質二次電池Y1を作製した。正極活物質X1のDvは10μmであり、正極活物質X1を構成する一次粒子の平均粒子径は2μmであった。
<比較例2>
BaOを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質X2を作製した。また、正極活物質X2を用いて、実施例1と同様の方法で、非水電解質二次電池Y2を作製した。正極活物質X2のDvは9.9μmであり、正極活物質X2を構成する一次粒子の平均粒子径は0.5μmであった。
<比較例3>
Ni0.31Co0.31Mn0.31Ba0.07(OH)2が得られるように、NiSO4、NiO、Co34、MnSO4の紛末を混合し、Ba(OH)2水溶液とNaOH水溶液を添加した。得られた水酸化物を700℃で10時間焼成して複合酸化物を得た。複合酸化物に対して、金属元素の総モル数:Li=1:1となるようにLiOHを加え、750℃で36時間焼成してリチウム複合酸化物を得た。当該リチウム複合酸化物を分級し、Dvが10.5μmのものを正極活物質X3とし、非水電解質二次電池Y3を作製した。正極活物質X3を構成する一次粒子の平均粒子径は3μmであった。
実施例及び比較例で作製した各正極活物質について、Dv、平均一次粒子径、平均結晶子径、及び圧縮破壊強度の評価を行った。また、各非水電解質二次電池について、サイクル特性(500サイクル目の容量維持率)の評価を行った。評価結果は表1に示す。
[Dvの評価]
正極活物質(二次粒子)のDvは、界面活性剤(MERCK製、商品名「エキストランMA02 中性」)1mlをイオン交換水100mlに分散させたものを分散媒としてレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製、商品名「LA-920」)を用いて評価した。測定条件は超音波分散1分間、超音波強度1、循環速度2、相対屈折率1.60−0.25である。
[平均一次粒子径の評価]
SEM(2000倍)で観察して得られた正極活物質の画像から、ランダムに粒子10個を選択する。次に、選択した10個の粒子について粒界等を観察し、それぞれの一次粒子を決定する。一次粒子の最長径を求め、10個についての平均値を平均一次粒子径とした。
[平均結晶子径の評価]
粉末X線回折測定装置(ブルカーAXS製、商品名「D8ADVANCE」、線源Cu−Kα)を用いて正極活物質の粉末X線回折パターンを測定し、WPPD法により解析することで、平均結晶子径を求めた。詳細な解析手順等は、上述の通りである。
[圧縮破壊強度の評価]
圧縮破壊強度は、微小圧縮試験機(島津製作所製 「MCT−W201」)を用いて、下記測定条件にて測定した。具体的には、サンプル粒子1個に対し、下記の負荷速度で荷重をかけたときの粒子の変形量(変位)と荷重とを測定した。そして、破壊点F1(図3参照)における荷重(N)と、変形前のサンプル粒子の粒子径(CCDカメラにより測長された粒子径)とを、次式に代入して二次粒子の圧縮破壊強度を算出した。
(圧縮破壊強度の算出式)
圧縮破壊強度(MPa)=2.8×荷重(N)/{π×(粒子径(mm))2
(圧縮強度の測定条件)
試験温度:常温(25℃)
上部加圧圧子:直径50μmの平面圧子(材質:ダイヤモンド)
下部加圧板:SKS平板
測定モード:圧縮試験
試験荷重:最小10mN、最大50mN
負荷速度:最小0.178mN/秒、最小0.221mN/秒
変位フルスケール:10μm
[サイクル特性の評価(500サイクル目の容量維持率)]
各非水電解質二次電池について下記の条件で充放電試験を行い、下記の式から500サイクル目の容量維持率を算出した。
容量維持率=(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
充放電条件:1.0It(1900mA)の電流で電池電圧が4.35Vとなるまで定電流充電を行った後、4.35Vの電圧で電流値が0.05It(95mA)となるまで定電圧充電を行った。10分間休止した後、1.0It(1900mA)の電流で電池電圧が3.0Vとなるまで定電流放電を行った。充放電試験は、45℃の温度環境下で行った。
Figure 2016157677
表1から分かるように、実施例の非水電解質二次電池B1,B2は、比較例の非水電解質二次電池Y1〜Y3と比較して、500サイクル目の容量維持率が高く、サイクル特性に優れていた。正極活物質A1,A2は、例えば正極活物質X2と比較して、電池の充放電サイクルに伴う粒子割れが発生し難く、また粒子割れが発生した場合でも導電ネットワークから孤立する一次粒子が少ないと考えられる。ゆえに、正極活物質A1,A2を用いた電池は、良好なサイクル特性を有する。一方、正極活物質X1については、二次粒子の圧縮破壊強度は高いものの、一次粒子の粒径が小さいため、粒子割れが発生した場合に導電ネットワークから孤立する一次粒子が多いと考えられる。Baが予め添加された配合物を焼成して得られる正極活物質X3については、二次粒子の強度が弱く、充放電サイクルに伴う粒子割れが多く発生すると考えられる。
実施例では、元素αとしてBaを用いた場合について実験データを示したが、元素αとして、Ca、Srを用いた場合にも同様の効果が得られるものと想定される。
10 非水電解質二次電池、11 正極、12 負極、13 セパレータ、14 電極体、15 ケース本体、16 封口体、17,18 絶縁板、19 正極リード、20 負極リード、22 フィルタ、22a フィルタ開口部、23 下弁体、24 絶縁部材、25 上弁体、26 キャップ、26a キャップ開口部、27 ガスケット、30 正極活物質、31 一次粒子、32 粒界

Claims (4)

  1. Liを除く金属元素の総モル数に対するNiの割合が30モル%よりも多いリチウム複合酸化物を主成分として含み、
    前記リチウム複合酸化物は、平均粒子径が3μm以上20μm以下の一次粒子が集合して構成された圧縮破壊強度が100MPa以上200MPa未満の二次粒子であって、Ba、Ca、及びSrから選択される少なくとも1種の元素を含有する、非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 前記リチウム複合酸化物を構成する前記一次粒子の圧縮破壊強度が400MPa以上800MPa以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 前記リチウム複合酸化物は、(110)ベクトル方向の平均結晶子径が100nm以上300nm以下である、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質を含む正極と、
    負極と、
    非水電解質と、
    を備える、非水電解質二次電池。
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