JP2016156935A - シート状部材の基材、定着ベルト、面状発熱体、シート状部材の基材の製造方法、定着装置、および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、シート状部材からなる基材層を有する定着ベルト、および該定着ベルトを用いた定着装置、画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着ベルト71は、無端状ベルト形状の基材層201と、少なくとも弾性層202と離型層203とを有し、基材層201は、透過型X線回折測定における(002)のピークと(100)のピークとの積分強度比I(100)/I(002)が10以上であるグラファイトを含んで構成されているシート状部材からなる。
【選択図】図3
【解決手段】定着ベルト71は、無端状ベルト形状の基材層201と、少なくとも弾性層202と離型層203とを有し、基材層201は、透過型X線回折測定における(002)のピークと(100)のピークとの積分強度比I(100)/I(002)が10以上であるグラファイトを含んで構成されているシート状部材からなる。
【選択図】図3
Description
本発明は、シート状部材の基材、定着ベルト、面状発熱体、シート状部材の基材の製造方法、定着装置、および画像形成装置に関する。
粉状のトナーを用いる画像形成装置では、像保持体上に形成された静電電位の差による潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する。例えば、このトナー像を記録媒体上に静電的に直接転写した後、あるいは中間転写体に一次転写してから記録媒体に二次転写した後、加熱部材と加圧部材との間に記録媒体を挟み込み、トナー像を加熱および加圧して記録媒体上に定着する。
このようにトナー像を記録媒体上に定着する定着装置として、円筒状芯金の内部にハロゲンランプ等の発熱体を有する定着ロールと、この定着ロールに押圧される加圧ロールとで構成されるものが広く知られている。この定着装置では、定着ロールと加圧ロールとが互いに圧接されるニップ部に未定着トナー像を保持した記録媒体が送り込まれ、回転駆動される定着ロールと加圧ロールとの間を通過する際にトナー像が加熱および加圧される。
また、定着ロールに代えて無端状(シームレス)ベルトを定着部材として用いる定着装置が提案されている。定着ベルトには複数の支持ロールによって張架されたタイプと、内部に押圧支持体を有し、無張架の状態で加圧ロールと圧接され回転駆動されるタイプとがある。定着ベルトは薄肉の耐熱性樹脂等を基材としており、ロール状部材に比べて熱容量が小さいため、短時間でウォーミングアップが行われる。さらに、定着ベルトを用いることによってニップ部の形状が自由に形成される。
定着ベルトを無張架の状態で回転駆動する定着装置としては、例えば、特許文献1では、輻射光を吸収して発熱する発熱層を有する、フィルムもしくはベルト状の、回動可能な加熱部材と、前記加熱部材の内部に備えた輻射発熱源と、前記加熱部材の内面と摺動する摺動面を有する保持部材と、前記保持部材の前記摺動面との間に前記加熱部材を挟んでニップ部を形成する加圧部材と、を具備しており、前記ニップ部を形成する前記保持部材の前記摺動面が前記加圧部材の軸線に対しクラウン形状を有し、前記加圧部材を回転駆動させることで前記ニップ部において前記加熱部材を前記保持部材の摺動面に内面を摺動させながら回転させ、前記ニップ部の前記加熱部材と前記加圧部材との間に被加熱材を挟持搬送しつつ前記加熱部材の熱で被加熱材を加熱する加熱装置が記載されている。
特許文献2には、無端状ベルトの内周側に面状発熱体を配置し、面状発熱体と無端状ベルトとの接触によって、無端状ベルトを加熱する定着装置が記載されている。
定着ベルトの高熱伝導化のために、基材の耐熱性樹脂に高熱伝導フィラーを分散する方法がある。例えば、特許文献3には、耐熱性樹脂を基材とする樹脂製管状物であって、熱伝導率が60W/mkを超える充填剤が、1から25体積%配合されている樹脂製管状物が記載されている。
また、高熱伝導性のシートとして、耐熱性高分子を高温焼成してグラファイト化したグラファイトシートがある。例えば、特許文献4には、高温部に接触して加熱され、表層が画像面に当接する定着用加熱部材において、熱伝導率が0.1W/m・Kから1.0W/m・Kである表層と、厚さ方向の熱伝導率が2W/m・Kから10W/m・K、面方向の熱伝導率が200W/m・Kから1000W/m・Kの異方性熱伝導率を有する異方性熱伝導層と、をこの順に有し、異方性熱伝導層が有機化合物を1800℃以上の高温で熱処理して得られるグラファイトからなる定着用加熱部材が記載されている。
本発明は、透過型X線回折測定におけるピーク積分強度比I(100)/I(002)が10未満である場合と比較して、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、シート状部材の基材、そのシート状部材の基材の製造方法、そのシート状部材の基材を用いる定着ベルト、面状発熱体、定着装置、および画像形成装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、透過型X線回折測定における(002)のピークと(100)のピークとの積分強度比I(100)/I(002)が10以上であるグラファイトを含んで構成されているシート状部材の基材である。
請求項2に係る発明は、前記グラファイトが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの重合体が焼成されて形成されたものである、請求項1に記載のシート状部材の基材である。
請求項3に係る発明は、前記基材が無端状ベルト形状である、請求項1または2に記載のシート状部材の基材である。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の無端状ベルト形状の基材と、少なくとも弾性層と、離型層とを有する定着ベルトである。
請求項5に係る発明は、請求項1または2に記載のシート状部材の基材を基材層として有する面状発熱体である。
請求項6に係る発明は、不活性ガス雰囲気下で前記重合体を2500℃以上で焼成する、請求項2に記載のシート状部材の基材の製造方法である。
請求項7に係る発明は、回転駆動する加圧ロールと、前記加圧ロールに接触して記録媒体が通過されるニップ部を形成しつつ従動回転する、請求項3に記載の無端状ベルト形状の基材および請求項4に記載の定着ベルトのうち少なくとも1つと、前記無端状ベルト形状の基材および前記定着ベルトのうち少なくとも1つの周内に配置され、それを加熱する加熱手段と、を備える定着装置である。
請求項8に係る発明は、像保持体と、前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる、請求項7に記載の定着装置と、を備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によると、透過型X線回折測定におけるピーク積分強度比I(100)/I(002)が10未満である場合と比較して、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、シート状部材の基材が提供される。
請求項2に係る発明によると、グラファイトが無水ピロメリット酸と4,4−ジアミノジフェニルエーテルとの重合体が焼成されて形成されたものである場合と比較して、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、シート状部材の基材が提供される。
請求項3に係る発明によると、透過型X線回折測定におけるピーク積分強度比I(100)/I(002)が10未満である場合と比較して、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、無端状ベルト形状のシート状部材の基材が提供される。
請求項4に係る発明によると、基材の透過型X線回折測定におけるピーク積分強度比I(100)/I(002)が10未満である場合と比較して、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、定着ベルトが提供される。
請求項5に係る発明によると、基材の透過型X線回折測定におけるピーク積分強度比I(100)/I(002)が10未満である場合と比較して、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、面状発熱体が提供される。
請求項6に係る発明によると、不活性ガス雰囲気下で前記重合体を2500℃以上で焼成しない場合と比較して、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、シート状部材の基材が得られる。
請求項7に係る発明によると、前記無端状ベルト形状の基材および前記定着ベルトの基材の少なくとも1つにおいて、透過型X線回折測定におけるピーク積分強度比I(100)/I(002)が10未満である場合と比較して、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、定着装置が提供される。
請求項8に係る発明によると、前記無端状ベルト形状の基材および前記定着ベルトの基材の少なくとも1つにおいて、透過型X線回折測定におけるピーク積分強度比I(100)/I(002)が10未満である場合と比較して、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、定着装置を備える画像形成装置が提供される。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
定着ロールと加圧ロールとを用いる定着装置では、定着ロールが加圧ロールとの圧接力に対して十分な剛性を有するものとなっており、定着ロールにある程度の部材厚を有する芯金が用いられる。このため、装置の起動の際に発熱体に電力を投入した後、または待機状態から復帰する際に、発熱体の輻射熱または接触部から伝導する熱が定着ロールの芯金や各層に伝達され、定着ロールの表面が予め定めた温度に加熱されるのに時間(ウォーミングアップ時間)を要する。また、定着装置の小型化のために定着ロールおよび加圧ロールの径を小さくすると、ニップ部が短くなり、トナー像を十分に加熱するのが難しくなったり、ニップ部内における記録媒体の搬送経路を自由な形状に設定するのが難しくなり、ニップ部に通過される記録媒体にしわやカールを生じさせたりすることがある。
定着ベルトを用いる定着装置では、よりウォーミングアップ時間を短縮するためには、定着ベルトをさらに短時間で加熱する必要がある。また、この定着装置では非通紙部の過昇温が生じやすく、定着ベルトの温度均一化が重要である。そのためには定着ベルトの熱伝導性を向上させることが有効である。
定着ベルトの基材の耐熱性樹脂に高熱伝導フィラーを分散する方法では、高熱伝導化のためにフィラーを多量配合する必要があり、多量配合によって可とう性が大幅に低下し、割れやすくなる。そのため、フィラーの多量配合では高熱伝導化効果は低い。また、高熱伝導性の基材として、ステンレス、ニッケル等の金属材料を用いた定着ベルトがある。これらは、金属の材料物性値の熱伝導率を有するが、金属ベルトは柔軟性が低く、耐割れ性、破断耐久性が低い。
高熱伝導性のシートである無水ピロメリット酸と4,4−ジアミノジフェニルエーテルとのポリイミドグラファイトシートは、金属より高い熱伝導率を有しており、このグラファイトシートを定着ベルト基材層として用いることで、ウォーミングアップ時間が短縮され、非通紙部の過昇温が防止される。しかし、このグラファイトシートは従来の耐熱性樹脂シートと比べると、屈曲耐久性等の強度が低く、単層基材として用いることが困難であった。
本発明者は、透過型X線回折測定における(002)のピークと(100)のピークとの積分強度比I(100)/I(002)が10以上であるグラファイトを含むグラファイトシートを構成することにより、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高い、シート状部材の基材が得られることを見出した。
<シート状部材の基材とその製造方法>
本発明の実施形態に係るシート状部材の基材は、透過型X線回折測定における(002)のピークと(100)のピークとの積分強度比I(100)/I(002)が10以上であるグラファイトを含んで構成されているグラファイトシートである。
本発明の実施形態に係るシート状部材の基材は、透過型X線回折測定における(002)のピークと(100)のピークとの積分強度比I(100)/I(002)が10以上であるグラファイトを含んで構成されているグラファイトシートである。
透過型X線回折測定における(002)のピークと(100)のピークとの積分強度比I(100)/I(002)が10以上であるグラファイトを用いることにより、基材が高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高くなる。上記積分強度比I(100)/I(002)が10以上であることは、炭素多環構造が発達し、シート面に対して平行な配向が発達していることを示している。すなわち、基材が密で略均一なグラファイト結晶構造をとるために、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高くなると考えられる。
そして、上記グラファイトが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)との重合体(以下、「BPDA−PDAポリイミド」と呼ぶ場合がある。)が高温(例えば、2500℃以上)で焼成されたものであることが好ましい。BPDA−PDAポリイミドを用いることで、無水ピロメリット酸(PMDA)と4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)との重合体(以下、「PMDA−ODAポリイミド」と呼ぶ場合がある。)を用いる場合と比較して、屈曲耐久性が向上し、熱伝導率が増加する。これは、BPDA−PDAポリイミドは、従来用いられていたPMDA−ODAポリイミド等の耐熱性ポリイミド樹脂に比べ、ポリイミドのベンゼン環を有する主鎖が剛直で、フィルム化した場合に高充填化するため、その後、高温焼成し、グラファイト化したときにも炭素多環構造が発達しやすく、密で略均一なグラファイト結晶構造をとりやすいためと考えられる。
このグラファイトシートは、例えば、シート状の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの重合体であるポリイミドを、不活性ガス雰囲気下で、2500℃以上で焼成することによって得られる。
本実施形態に係るシート状部材の基材の製造方法について詳細に説明する。
まず、ポリイミド前駆体溶液を準備する。ポリイミド前駆体溶液は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)と有機溶媒とを含む。有機溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、有機極性溶媒が好適に挙げられる。有機極性溶媒としては、その官能基がBPDAまたはPDAと反応しない双極子を有するものが挙げられる。有機極性溶媒として具体的には、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒等が挙げられる。
次に、ポリイミド樹脂製のベルト等のシート状のポリイミド基材を形成する。ポリイミドベルトの形成方法としては、まず、円筒状芯体の外周面にポリアミド酸溶液を塗布する(塗布工程)。円筒状芯体の外周面にポリアミド酸溶液を塗布する方法としては次のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
円筒状芯体の外周面に塗布する方法としては、円筒状芯体をその中心軸に対して水平方向に回転させながらその表面に溶液を吐出することによってらせん状に塗布する方法、円筒状芯体をその中心軸に対して水平方向に回転させながらその表面に溶液を吐出することによってらせん状に塗布し、ブレードによって塗膜を平滑化させる方法、ハケ、ブレード等で、円筒状芯体に往復塗布する方法、塗布溶液保持容器に、円筒状芯体と、形成する膜厚分の穴を形成し、芯体をその穴に移動させることで平滑塗膜を形成する方法等が挙げられる。これらの塗布方法は状況等に応じて適宜選択される。
円筒状芯体の材質は、アルミニウムやニッケル、ステンレス鋼等の金属が好ましい。なかでも熱膨張率が大きいという観点から、アルミニウムが特に好ましい。芯体の表面は、クロムやニッケルによるメッキ処理や、フッ素樹脂やシリコーン樹脂で被覆してもよい。
次に、例えば60℃以上150℃以下の環境下で、円筒状芯体に形成した溶液塗膜を乾燥させ(乾燥工程)、ポリイミド前駆体乾燥塗膜が形成される。ポリイミド前駆体溶液の塗膜の含有溶媒の例えば30質量%以上を揮発させると、溶液塗膜の流動性が低下し、ポリイミド前駆体乾燥塗膜が得られる。
次いで、例えば350℃以上450℃以下の温度で20分以上60分以下、乾燥塗膜を加熱する(加熱工程)。これにより、ポリイミド前駆体がポリイミド化され、ポリイミド樹脂皮膜が形成される。その際、ポリイミド前駆体の乾燥塗膜中に溶剤が残留していると、塗膜に膨れを生じることがあるため、前記温度に達するまでに、できるだけ完全に残留溶剤を除去することが好ましく、この工程では、温度を段階的に上昇させる、またはゆっくりと上昇させることが好ましい。
加熱の後、芯体を常温(30℃程度)まで冷やすと、ポリイミドの無端状ベルト(シームレスベルト)が形成され、円筒状芯体から取り出し可能となる。無端状ベルトは、必要に応じて、無端状ベルト端部を切断して端部の長さを揃える切断加工、表面の粗さを調整する研磨加工等が施される。なお、無端状ベルトを切り開く、または、円筒状芯体の代わりに板状部材(プレート)を用いることで、端部のあるシートが得られる。
ここで、得られたポリイミドの重量平均分子量は、例えば10000以上500000以下の範囲である。ポリイミドの重量平均分子量が大きいほど、ポリイミドの強度が高くなり、高温焼成後のグラファイトシートの強度も高くなる。
次に、得られたポリイミドの無端状ベルトまたは端部のあるシートを、例えば窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で1000℃以上1600℃以下の温度で予備焼成を行う(予備焼成工程)。その後、同じく不活性ガス雰囲気下で2500℃以上の温度で、例えば2500℃以上3200℃以下の温度で本焼成を行う(本焼成工程)。予備焼成工程と本焼成工程の2段階の焼成を行うことで、より高結晶性で熱伝導率が高いグラファイトシートが得られる。
得られたグラファイトシートは、例えば2本の圧延ローラで圧延することで柔軟性を持たせ、割れにくくしてもよい。具体的には焼成前のポリイミドシートの厚みの隙間でローラ圧延することで、柔軟性が高くなる。
<定着ベルト>
本実施形態に係るシート状部材の基材(グラファイトシート)を定着ベルトとして使用する場合は、弾性層、離型層を形成することが好ましい。図3は、本実施形態に係るシート状部材の基材(グラファイトシート)を基材層に用いた定着ベルトの一例の断面構成図である。定着ベルト71は、上記グラファイトシートである基材層201と、弾性層2020と、離型層203とを有する。
本実施形態に係るシート状部材の基材(グラファイトシート)を定着ベルトとして使用する場合は、弾性層、離型層を形成することが好ましい。図3は、本実施形態に係るシート状部材の基材(グラファイトシート)を基材層に用いた定着ベルトの一例の断面構成図である。定着ベルト71は、上記グラファイトシートである基材層201と、弾性層2020と、離型層203とを有する。
弾性層材料としては、耐熱性の弾性体であればよく、シリコーンゴム等が好適である。離型層材料としては、トナーを離型するものであれば特に制限はなく、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂が好適である。
<面状発熱体>
本実施形態に係るシート状部材の基材(グラファイトシート)を抵抗発熱体等の面状発熱体の基材層、すなわち抵抗発熱体の温度均一化層として用いてもよい。抵抗発熱体にはステンレス等の金属発熱層を絶縁層で一方の面と他方の面を挟んだものを用いればよく、絶縁層の一方の面および他方の面の少なくとも1つにグラファイトシートを張り付けることで、抵抗発熱体の面方向温度ムラを略均一化するための温度均一化層として用いればよい。
本実施形態に係るシート状部材の基材(グラファイトシート)を抵抗発熱体等の面状発熱体の基材層、すなわち抵抗発熱体の温度均一化層として用いてもよい。抵抗発熱体にはステンレス等の金属発熱層を絶縁層で一方の面と他方の面を挟んだものを用いればよく、絶縁層の一方の面および他方の面の少なくとも1つにグラファイトシートを張り付けることで、抵抗発熱体の面方向温度ムラを略均一化するための温度均一化層として用いればよい。
<定着装置>
次に、本実施形態に係るシート状部材の基材(グラファイトシート)を定着ベルトとして使用する定着装置について説明する。
次に、本実施形態に係るシート状部材の基材(グラファイトシート)を定着ベルトとして使用する定着装置について説明する。
定着装置は、回転駆動する加圧ロールと、加圧ロールに接触して記録媒体が通過されるニップ部を形成しつつ従動回転する、上記無端状ベルト形状の基材および上記定着ベルトのうち少なくとも1つと、無端状ベルト形状の基材および定着ベルトのうち少なくとも1つの周内に配置され、それを加熱する加熱手段と、を備える。
図1は、本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。図1の定着装置7は、加熱手段として、例えば出力500W以上1000W以下程度のハロゲンランプ(熱源)74と、平面部Hを含み、これを取り囲むように配された押圧支持体72と、押圧支持体72の外周を取り巻くように掛けられる耐熱性の定着ベルト(無端状ベルト)71と、押圧支持体72の平面部Hの位置で、定着ベルト71を介して加圧する加圧ロール73と、を有する。定着ベルト71と加圧ロール73との間にはニップ部Nが形成され、ここに未定着のトナー像を保持した記録媒体Pを矢印C方向に挿通させることで、加熱加圧定着が行われる。
熱源としては、ハロゲンランプに限られず、抵抗発熱体、電磁誘導発熱体等、発熱する他の発熱体を用いてもよい。
押圧支持体72としては、鉄、アルミ等の、耐久性や耐熱性の良好な、剛性の高い材料を用いればよく、熱伝導性等の観点からアルミ系の材料が好ましい。
加圧ロール73としては、金属製の芯金にシリコーンゴムやその発泡体等の弾性の高い耐熱性材料を含んでなる弾性層を形成してなる、いわゆるソフトロールが用いられる。加圧ロール73の表層がソフトロールであるため、ニップ部Nにおいて加圧ロール73が適切に凹み、ニップ部Nの形状が、押圧支持体72の平面部Hの影響を受けて、略平面状となる。
加圧ロール73の表面性状としては、押圧支持体72の平面部Hとの当接により、略平面状となる程度の弾力性または柔軟性を有すればよく、目的に応じて各種材料を適宜選択すればよい。
<画像形成装置>
次に、本実施形態に係るシート状部材の基材(グラファイトシート)を定着ベルトとして使用する定着装置を備える画像形成装置について説明する。
次に、本実施形態に係るシート状部材の基材(グラファイトシート)を定着ベルトとして使用する定着装置を備える画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着させる、上記定着装置と、を備える。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図2の画像形成装置100は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60とを備える。この定着装置60が上記定着装置である。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を備える。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体ドラム11を備える。
感光体ドラム11の周囲には、像保持体の表面を帯電させる帯電手段の一例として、感光体ドラム11を帯電させる帯電器12が設けられ、帯電手段により帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段の一例として、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。また、感光体ドラム11の周囲には、潜像形成手段により像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設ける。
さらに、感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16およびドラムクリーナ17の電子写真用デバイスが感光体ドラム11の回転方向に沿って順次配設される。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置される。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドまたはポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成される。そして、その体積抵抗率は、例えば106Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚みは、例えば0.1mm程度に構成される。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図2に示すB方向に予め定めた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して予め定めた張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を抑制する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34を有する。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したニトリルゴム(NBR)とスチレンゴム(SBR)とエチレンプロピレンゴム(EPDM)とのブレンドゴムで形成され、例えば、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
一次転写ロール16は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(例えばマイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、バックアップロール25と、現像手段により形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段の一例としての、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成される。
バックアップロール25は、例えば、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成される。そして、その表面抵抗率が、例えば、107Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
二次転写ロール22は、例えば、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、例えば、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
二次転写ロール22は、中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉等を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられる。
イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設される。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設される。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成される。
本実施形態の画像形成装置100では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定めたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備える。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
図2に示す画像形成装置100では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像形成装置100では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y,M,C,Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射する。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y,M,C,Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(例えばマイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から予め定めたサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(例えばマイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能であり、本発明の要件を満足する範囲内で実現可能であることは言うまでもない。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[熱伝導率の測定]
面内方向と膜厚方向の熱伝導率の測定には、熱物性測定装置(サーモウェーブアナライザTA3、ベテル社製)を用いて熱拡散率を測定し、別途、密度と比熱容量を測定し、熱伝導率を算出した。
面内方向と膜厚方向の熱伝導率の測定には、熱物性測定装置(サーモウェーブアナライザTA3、ベテル社製)を用いて熱拡散率を測定し、別途、密度と比熱容量を測定し、熱伝導率を算出した。
[屈曲耐久性の評価]
可とう性の評価として、屈曲耐久性試験を以下のとおり行った。得られた無端状グラファイトシートから、耐折れ強度試験片(試験部長さ100mm、幅15mm)を作製した。作製した試験片について、耐折疲労試験機(MIT−DA、東洋精機製作所製)を用い、屈曲R1、荷重1.25kg、両振り、振り角度135°、速度175回/分の条件にて、規定回数屈曲ストレスを印加し、破断するまでの屈曲回数を確認した。評価基準は、以下の通りである。
A:1万回で破断なし
B:1千回以上1万回以未満で破断発生
C:1回以上1千回未満で破断発生
可とう性の評価として、屈曲耐久性試験を以下のとおり行った。得られた無端状グラファイトシートから、耐折れ強度試験片(試験部長さ100mm、幅15mm)を作製した。作製した試験片について、耐折疲労試験機(MIT−DA、東洋精機製作所製)を用い、屈曲R1、荷重1.25kg、両振り、振り角度135°、速度175回/分の条件にて、規定回数屈曲ストレスを印加し、破断するまでの屈曲回数を確認した。評価基準は、以下の通りである。
A:1万回で破断なし
B:1千回以上1万回以未満で破断発生
C:1回以上1千回未満で破断発生
[結晶構造の評価]
グラファイトシートの結晶構造を評価する方法として、X線回折装置(D8 ADVANCE、Bruker社製)を用いて管電流値を250mA、電圧を40kVの測定条件でX線回折測定を行った。透過XRDで(002)のピークと(100)のピークとの積分強度比を測定した。積分強度比I(100)/I(002)が大きい方が、炭素多環構造が発達しシート面に対して平行な配向が発達していることを示している。評価基準は以下のとおりである。
A:I(100)/I(002)が10以上
B:I(100)/I(002)が2以上10未満
C:I(100)/I(002)が2未満
グラファイトシートの結晶構造を評価する方法として、X線回折装置(D8 ADVANCE、Bruker社製)を用いて管電流値を250mA、電圧を40kVの測定条件でX線回折測定を行った。透過XRDで(002)のピークと(100)のピークとの積分強度比を測定した。積分強度比I(100)/I(002)が大きい方が、炭素多環構造が発達しシート面に対して平行な配向が発達していることを示している。評価基準は以下のとおりである。
A:I(100)/I(002)が10以上
B:I(100)/I(002)が2以上10未満
C:I(100)/I(002)が2未満
<実施例1>
まず、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)29.42質量部と、p−フェニレンジアミン(PDA)10.81質量部とを、有機極性溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)334.4質量部中に添加して、加熱、撹拌を続け、ポリアミック酸重合反応が進行し、溶液の粘度が上昇したところでNMP200質量部を加えて、固形分濃度18質量%まで希釈した後、室温(25℃)まで冷却し、粘度約120Pa・sのポリイミド前駆体溶液を用意した。
まず、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)29.42質量部と、p−フェニレンジアミン(PDA)10.81質量部とを、有機極性溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)334.4質量部中に添加して、加熱、撹拌を続け、ポリアミック酸重合反応が進行し、溶液の粘度が上昇したところでNMP200質量部を加えて、固形分濃度18質量%まで希釈した後、室温(25℃)まで冷却し、粘度約120Pa・sのポリイミド前駆体溶液を用意した。
塗布工程として、このポリイミド前駆体溶液を、円筒状芯体として内径30mm、長さ500mmの円筒状アルミニウム製金型の表面に塗布し、溶液塗膜を形成した。なお、この円筒状芯体には、表面にシリコーン系の離型剤(信越化学製、KS−700)を予め塗布することで、ベルト成形後の剥離性を向上させた。塗布方法は円筒状芯体をその中心軸に対して水平方向に回転させながらその表面に溶液を吐出することによってらせん状に塗布し、ブレードによって塗膜を平滑化させる方法を用いた。
次に、乾燥工程として、100℃の乾燥炉に、円筒状芯体を20rpmで回転させながら入れた。60分後に取り出すと、約150μm厚のポリイミド前駆体乾燥塗膜が形成され、残留溶媒は約50%(質量比)であった。
加熱工程として、150℃で20分間、220℃で20分間、および380℃で30分間加熱して、ポリイミド樹脂皮膜を形成した。室温(30℃)に冷却した後、円筒状芯体からポリイミド樹脂皮膜を取り外し、75μm厚のポリイミドの無端状ベルト(ベルト)を得た。このポリイミドの重量平均分子量を、得られたポリアミド酸の重量平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法標準ポリスチレン換算により求めたところ、69000であった。
次に、不活性ガス雰囲気として、Arガス雰囲気下で、昇温速度5℃/minで1200℃まで予備焼成を行い、その後、同じくArガス雰囲気下で20℃/minで2800℃まで本焼成を行った。室温(30℃)まで降温後、無端状のグラファイトベルト(グラファイトシート)を取り出し、外径20mmのステンレス製の1対の圧延ロールを用いて、ロール間の隙間を75μmとして、5kg/cm2の荷重を印加し、圧延を行った。
得られたBPDA−PDAポリイミドの無端状グラファイトベルトの膜厚方向と面方向の熱伝導率を測定した結果、膜厚方向は10W/mK、面方向は1200W/mKであった。屈曲耐久性の評価の結果、10000回で破断なしであった。I(100)/I(002)は、120であった。
<比較例1>
実施例1のポリイミドの無端状ベルトの代わりに、テレフタル酸ジクロリドとp−フェニレンジアミンとの重合体を含んで構成されたポリアミドの無端状ベルト(東レ製、ミクトロン)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリアミドの無端状グラファイトベルトを作製した。
実施例1のポリイミドの無端状ベルトの代わりに、テレフタル酸ジクロリドとp−フェニレンジアミンとの重合体を含んで構成されたポリアミドの無端状ベルト(東レ製、ミクトロン)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリアミドの無端状グラファイトベルトを作製した。
得られたポリアミドの無端状グラファイトベルトの膜厚方向と面方向の熱伝導率を測定した結果、膜厚方向は5W/mK、面方向は400W/mKであった。屈曲耐久性の評価の結果、1000回以下で破断が発生した。I(100)/I(002)は、8であった。
<比較例2>
実施例1のポリイミドの無端状ベルトの代わりに、ポリオキサジアゾールを含んで構成されたフィルム(古河電工製、PODフィルム)からなる無端状ベルトを用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリオキサジアゾールの無端状グラファイトベルトを作製した。
実施例1のポリイミドの無端状ベルトの代わりに、ポリオキサジアゾールを含んで構成されたフィルム(古河電工製、PODフィルム)からなる無端状ベルトを用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリオキサジアゾールの無端状グラファイトベルトを作製した。
得られたポリオキサジアゾールの無端状グラファイトベルトの膜厚方向と面方向の熱伝導率を測定した結果、膜厚方向は7W/mK、面方向は600W/mKであった。屈曲耐久性の評価の結果、1000回以下で破断が発生した。I(100)/I(002)は、6であった。
<比較例3>
実施例1のポリイミドの無端状ベルトの代わりに、無水ピロメリット酸(PMDA)と、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)との重合体を含んで構成されたポリイミドの無端状ベルト(デュポン製、カプトン)を用いた以外は、実施例1と同様にして、PMDA−ODAポリイミドの無端状グラファイトベルトを作製した。
実施例1のポリイミドの無端状ベルトの代わりに、無水ピロメリット酸(PMDA)と、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)との重合体を含んで構成されたポリイミドの無端状ベルト(デュポン製、カプトン)を用いた以外は、実施例1と同様にして、PMDA−ODAポリイミドの無端状グラファイトベルトを作製した。
得られたPMDA−ODAポリイミドの無端状グラファイトベルトの膜厚方向と面方向の熱伝導率を測定した結果、膜厚方向は7W/mK、面方向は800W/mKであった。屈曲耐久性の評価の結果、10000回未満で破断が発生した。I(100)/I(002)は、9であった。
実施例および比較例で作製した無端状グラファイトベルトの評価結果を表1に示す。
このように、実施例1の無端状グラファイトベルトは、比較例に比べて、高い熱伝導率を有し、かつ屈曲耐久性が高かった。実施例1の無端状グラファイトベルトの熱伝導率は、比較例に比べて、膜厚方向、面方向ともに高かった。
<実施例2>
抵抗発熱体として、SUSの金属発熱層をポリイミドの絶縁層で一方の面と他方の面を挟んだものであるポリイミドヒータ(宇部興産社製、100×100mm2)の片面に、実施例1の無端状グラファイトベルトを切り開いたグラファイトシートを温度均一化層として、耐熱性接着剤(荒川化学工業製、コンポセランH850D)を用いて接着した面状発熱体を用意した。
抵抗発熱体として、SUSの金属発熱層をポリイミドの絶縁層で一方の面と他方の面を挟んだものであるポリイミドヒータ(宇部興産社製、100×100mm2)の片面に、実施例1の無端状グラファイトベルトを切り開いたグラファイトシートを温度均一化層として、耐熱性接着剤(荒川化学工業製、コンポセランH850D)を用いて接着した面状発熱体を用意した。
ポリイミドヒータに通電して、表面温度を200℃にしたところで、室温のアルミブロック(30×30×30mm3)をヒータ中央に置き5分保持した。その後、アルミブロックを取り外し、1分後のヒータ中央部と端部10mmの箇所の温度を測定した結果、温度差は5℃以下であった。
<比較例4>
グラファイトシートを接着しなかった以外は、実施例2と同様にして、面状発熱体を作製した。実施例2と同様にして温度測定した結果、1分後のヒータ中央部と端部10mmの箇所の温度差は50℃以上であった。
グラファイトシートを接着しなかった以外は、実施例2と同様にして、面状発熱体を作製した。実施例2と同様にして温度測定した結果、1分後のヒータ中央部と端部10mmの箇所の温度差は50℃以上であった。
1Y,1M,1C,1K 画像形成ユニット、7,60 定着装置、10 一次転写部、11 感光体ドラム、12 帯電器、13 レーザ露光器、14 現像器、15 中間転写ベルト、16 一次転写ロール、17 ドラムクリーナ、20 二次転写部、22 二次転写ロール、25 バックアップロール、26 給電ロール、31 駆動ロール、32 支持ロール、33 テンションロール、34 クリーニングバックアップロール、35 中間転写ベルトクリーナ、40 制御部、42 基準センサ(ホームポジションセンサ)、43 画像濃度センサ、50 用紙収容部、51 給紙ロール、52 搬送ロール、53 搬送ガイド、55 搬送ベルト、56 定着入口ガイド、71 定着ベルト(無端状ベルト)、72 押圧支持体、73 加圧ロール、74 ハロゲンランプ(熱源)、100 画像形成装置、201 基材層、202 弾性層、203 離型層。
Claims (8)
- 透過型X線回折測定における(002)のピークと(100)のピークとの積分強度比I(100)/I(002)が10以上であるグラファイトを含んで構成されていることを特徴とするシート状部材の基材。
- 前記グラファイトが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの重合体が焼成されて形成されたものであることを特徴とする、請求項1に記載のシート状部材の基材。
- 前記基材が無端状ベルト形状であることを特徴とする、請求項1または2に記載のシート状部材の基材。
- 請求項3に記載の無端状ベルト形状の基材と、少なくとも弾性層と、離型層とを有することを特徴とする定着ベルト。
- 請求項1または2に記載のシート状部材の基材を基材層として有することを特徴とする面状発熱体。
- 不活性ガス雰囲気下で前記重合体を2500℃以上で焼成することを特徴とする、請求項2に記載のシート状部材の基材の製造方法。
- 回転駆動する加圧ロールと、
前記加圧ロールに接触して記録媒体が通過されるニップ部を形成しつつ従動回転する、請求項3に記載の無端状ベルト形状の基材および請求項4に記載の定着ベルトのうち少なくとも1つと、
前記無端状ベルト形状の基材および前記定着ベルトのうち少なくとも1つの周内に配置され、それを加熱する加熱手段と、
を備えることを特徴とする定着装置。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着させる、請求項7に記載の定着装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
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