以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の建築用のパネル(以下、単に「パネル」ということがある)は、例えば、一般的な住宅やビル等の建築物の壁パネル、天井パネル、又は、床パネル等として用いられる。図1は、本実施形態のパネルが用いられる建築物Bの概念図である。本実施形態のパネル2は、建築物Bの居室Lに配置される壁パネル2Aとして構成されている。さらに、本実施形態の壁パネル2Aは、複数の居室Lのうち、寝室Lsに設けられている。
図2は、本実施形態のパネルの斜視図である。図3は、図2のパネルの正面図である。図4は、図3のA−A断面図である。図4では、後述する第2取込ダンパー25を省略して表示している。図2及び図3に示されるように、本実施形態のパネル2は、外周部に配された枠体3と、この枠体3の両側の面にそれぞれ配された面材4、4とを具えている。これらの枠体3及び一対の面材4、4により、パネル2の内部には、枠体3及び一対の面材4、4で囲まれる空間5が形成される。
枠体3は、上枠材3A、下枠材3B、及び、上枠材3Aと下枠材3Bとの間を上下に継ぐ一対の縦枠材3C、3Cを含んでいる。これにより、枠体3は、正面視において、矩形状に形成される。
図4に拡大して示されるように、上枠材3A及び下枠材3Bは、例えば、ウエブ3a、及び、ウエブ3aの両端から鍔状にのびる一対のフランジ3b、3bを含んで構成されている。これにより、各枠材3A及び3Bは、ウエブ3aと一対のフランジ3b、3bとで形成された凹部3hを有する断面コ字状に形成される。図2に示されるように、一対の縦枠材3C、3Cは、例えば、断面矩形状に形成された木質材によって形成されている。
図4に示されるように、上枠材3Aの凹部3h及び下枠材3Bの凹部3hは、枠体3の内側を互いに向くように配置されている。一対の縦枠材3C、3Cの上端は、上枠材3Aの凹部3hの内部にそれぞれ配置されている。一対の縦枠材3C、3Cの下端は、下枠材3Bの凹部3hの内部にそれぞれ配置されている。一対の縦枠材3C、3Cの上端及び下端は、上枠材3A及び下枠材3Bに、ビス等の固着具(図示省略)によって固定されている。
図2及び図3に示されるように、一対の縦枠材3C、3C間には、上枠材3Aと下枠材3Bとの間を上下にのびる少なくとも一つ、本実施形態では一つのスタッド6が設けられている。このようなスタッド6により、パネル2の空間5は、パネル幅方向の一方側S1に配置される第1空間5Aと、パネル幅方向の他方側S2に配置される第2空間5Bとに区分される。
図2に示されるように、本実施形態のスタッド6は、一対の縦枠材3C、3Cと同様に、例えば、断面矩形の木質材によって形成されている。スタッド6の上端は、上枠材3Aに固定されている。スタッド6の下端は、下枠材3Bに固定されている。このようなスタッド6により、パネル2の強度が高められる。
図2に示されるように、スタッド6には、第1空間5Aと第2空間5Bとを継ぐ連通部7が設けられている。本実施形態の連通部7は、例えば、パネル2の厚さ方向の一方側が、断面矩形状に切り欠かれることによって形成されている。このような連通部7により、第1空間5Aと第2空間5Bとが、パネル2の幅方向で連通されうる。本実施形態の連通部7は、スタッド6(パネル2)の下方側に設けられているが、このような態様に限定されることはなく、例えば、スタッド6(パネル2)の上方側に設けられてもよい。
一対の面材4、4は、例えば、枠体3の両側の面を覆う大きさを有し、正面視矩形の板状に形成されている。一対の面材4、4は、例えば、石膏ボード等で形成されうる。各面材4、4は、枠体3の両側の面に、例えばビス等の固着具によって固定される。一対の面材4、4には、居室Lに面して配される居室側面材4sが含まれている。この居室側面材4sの表面には、例えば壁紙等が配されている。
図4に示されるように、本実施形態では、各面材4、4の内側に、防湿層9、9がそれぞれ配置されている。各防湿層9、9は、例えば、シート状に形成されている。また、本実施形態の各防湿層9、9は、各面材4、4の内側の全域に配置されている。このような防湿層9、9により、居室の空気Ai中に含まれる水分が、面材4を介して、パネル2の内部へ浸入するのを防ぐことができるため、パネル2の内部の結露を防ぐことができる。さらに、一対の空間5A、5Bの空気中に含まれる水分が、面材4を介して、居室L側に浸入するのを防ぐことができる。
さらに、本実施形態の各面材4、4の内側には、断熱材10、10がそれぞれ配置されている。本実施形態の断熱材10、10は、防湿層9、9を介して、パネル2の厚さ方向の内側に配置されている。一対の断熱材10、10は、パネル2の厚さ方向において、互いに離間している。このような断熱材10により、居室Lの断熱性を高めることができる。なお、断熱材10には、例えば、ロックウールや、グラスウール等の繊維材や、ポリスチレンフォーム等の樹脂材等が採用されうる。
図2に示されるように、本実施形態のパネル2には、空気取込口13と、空気取出口14と、空気流路15(図3に示す)と、調湿手段16(図4に示す)とがさらに含まれている。
空気取込口13は、パネル2の空気流路15(図3に示す)内に、空気を取り込むためのものである。本実施形態の空気取込口13は、枠体3に設けられた第1取込口13aと、居室側面材4sに設けられた第2取込口13bとを含んでいる。これらの第1取込口13a及び第2取込口13bは、パネル2の上下方向において、スタッド6の連通部7が設けられる方向(本実施形態では、パネル2の下方側)に対して、逆側(本実施形態では、パネル2の上方側)に設けられている。
図4に示されるように、本実施形態の第1取込口13aは、枠体3の上枠材3Aを、上下方向に貫通している。図3に示されるように、第1取込口13aは、スタッド6に対して一方側S1に配置されている。これにより、第1取込口13aと、空気流路15(第1空間5A)とが連通されうる。図2に示されるように、本実施形態の第1取込口13aは、平面視において円形状に形成されているが、このような態様に限定されるわけではない。第1取込口13aは、例えば、平面視において、矩形状や三角形状等に形成されてもよい。
図2及び図4に示されるように、本実施形態の第2取込口13bは、居室側面材4sの上方側において、居室側面材4s、防湿層9、断熱材10及び調湿手段16を、パネル2の厚さ方向に貫通している。第2取込口13bは、スタッド6に対して、一方側S1に設けられている。これにより、第2取込口13bと、空気流路15(第1空間5A)とが連通されうる。本実施形態の第2取込口13bは、正面視において、横長矩形状に形成されているが、このような態様に限定されるわけではない。第2取込口13bは、例えば、正面視において、円形状や三角形状等に形成されてもよい。
図2及び図3に示されるように、空気取出口14は、空気流路15の空気Acを、パネル2の外部に排出するためのものである。本実施形態の空気取出口14は、枠体3に設けられた第1取出口14aと、居室側面材4sに設けられた第2取出口14bとを含んでいる。これらの第1取出口14a及び第2取出口14bは、第1取込口13a及び第2取込口13bと同様に、スタッド6の連通部7が設けられる方向(本実施形態では、パネル2の下方側)に対して、逆側(本実施形態では、パネル2の上方側)に設けられている。
本実施形態の第1取出口14aは、第1取込口13aと同様に、枠体3の上枠材3Aを、上下方向に貫通している。第1取出口14aは、スタッド6に対して、他方側S2に配置されている。これにより、第1取出口14aと、空気流路15(第2空間5B)とが連通されうる。本実施形態の第1取出口14aは、第1取込口13aと同様に、平面視において円形状に形成されているが、このような態様に限定されるわけではない。
本実施形態の第2取出口14bは、第2取込口13bと同様に、居室側面材4sの上方側において、居室側面材4s、防湿層9、断熱材10及び調湿手段16を、パネル2の厚さ方向に貫通している。第2取出口14bは、スタッド6に対して、他方側S2に配置されている。これにより、第2取出口14bと、空気流路15(第2空間5B)とが連通されうる。本実施形態の第2取出口14bは、第2取込口13bと同様に、正面視において、横長矩形状に形成されているが、このような態様に限定されるわけではない。
図3に示されるように、本実施形態の空気流路15は、第1空間5A、第2空間5B、及び 第1空間5Aと第2空間5Bとを継ぐ連通部7を含んで構成されている。これにより、空気流路15は、パネル内部を、正面視略U字状にのびている。本実施形態では、第1空間5Aの上方側を、空気流路15の一端側としている。さらに、第2空間5Bの上方側を、空気流路15の他端側としている。
図3に示されるように、空気流路15の一端側(即ち、第1空間5Aの上方側)は、空気取込口13(本実施形態では、第1取込口13a及び第2取込口13b)と連通している。これにより、空気流路15には、空気取込口13を介して、外部の空気が取り込まれうる。
空気流路15の他端側(即ち、第2空間5Bの上方側)は、空気取出口14(本実施形態では、第1取出口14a及び第2取出口14b)と連通している。これにより、空気流路15の空気Acが、空気取出口14を介して、パネル2の外部に排出されうる。
図2及び図4に示されるように、調湿手段16は、空気中に含まれる水分量に応じて、水分の吸収(吸湿)、及び、水分の放出(放湿)を行う調湿機能を有するものである。調湿手段16は、パネル内部において、空気流路15に面する位置の少なくとも一部に配置されている。例えば、空気流路15に高湿の空気が取り込まれると、空気中に含まれる水分が、調湿手段16に吸収されうる。また、空気流路15に低湿の空気が取り込まれると、調湿手段16に吸収されている水分が、低湿の空気中に放出されうる。
本実施形態の調湿手段16は、各面材4、4の内側に沿って配された一対の調湿ボード16a、16aとして構成されている。各調湿ボード16a、16aは、例えば、平面視矩形の板状に形成されており、各面材4、4の内側の全域に配置される。本実施形態の調湿ボード16a、16aは、防湿層9、9及び断熱材10、10を介して、パネル2の厚さ方向の最も内側に配置されている。さらに、一対の調湿ボード16a、16aは、パネル2の厚さ方向において、互いに離間している。これにより、本実施形態のパネル2は、調湿ボード16a、16a間の隙間によって、空気流路15が形成されている。このような一対の調湿ボード16a、16aにより、空気流路15の全域に亘って、調湿手段16が配置されるため、調湿機能を効果的に発揮することができる。
調湿手段16(調湿ボード16a)は、相対湿度が10%RH〜70%RHにおいて、吸放湿量が100g/m2以上、かつ、吸湿速度15g/m2・h以上が望ましい。このような調湿手段16により、調湿機能を効果的に発揮することができる。
調湿手段16(調湿ボード16a)には、上記吸放湿量及び吸湿速度を維持することが可能な調湿材が含まれるのが望ましい。調湿材は、少なくとも表面が多孔質構造を有しているのが望ましい。このような多孔質構造を有する調湿材は、調湿機能を効果的に発揮することができる。
調湿材としては、例えば、珪藻土、珪質頁岩、アロフェン、イモゴライト、酸性白土、セオイオライト、ゼオライト、珪酸カルシウム、シリカゲル、ベントナイト、モンモリロナイト、又は、炭類等が採用されうる。これらの調湿材のいずれか一つを用いて、調湿ボード16aが形成されてもよいし、また、これらの調湿材を組み合わせて、調湿ボード16aが形成されてもよい。なお、調湿ボード16aには、20〜95重量%の調湿材が含有されるのが望ましい。
図2に示されるように、本実施形態のパネル2は、例えば、空気取込口13(第1取込口13a又は第2取込口13b)から高湿の空気が取り込まれると、空気流路15に配置された調湿手段16によって、空気中に含まれる水分が吸収される。水分が吸収された低湿の空気は、空気取出口14(第1取出口14a又は第2取出口14b)から取り出される。例えば、居室L内の高湿の空気が調湿手段16に供給され、かつ、調湿手段16に吸湿された低湿の空気が居室Lに供給される場合、居室Lの除湿をすることができる。
空気取込口(第1取込口13a又は第2取込口13b)から低湿の空気が取り込まれると、調湿手段16に吸収されている水分が空気中に放出される。調湿手段16から水分が放出された高湿の空気は、空気取出口14(第1取出口14a又は第2取出口14b)から取り出される。例えば、居室L内の低湿の空気が調湿手段16に供給され、かつ、調湿手段16から放湿された高湿の空気が居室Lに供給される場合、居室Lを加湿することができる。
このように、本実施形態のパネル2は、居室Lに面して配置される従来の調湿パネル(図示省略)とは異なり、パネル内部の空気流路15内に空気を循環させて、積極的に吸湿及び放湿することができるため、居室Lの空気を効果的に調湿することができる。しかも、本実施形態の調湿手段16は、空気流路15への空気の供給及び停止が適宜行われることにより、吸湿量及び放湿量が調節されうる。従って、本実施形態のパネル2は、居室Lの室内環境に依存することなく、空気を効果的に調湿することができる。
図4に示されるように、本実施形態では、面材4の内側に、防湿層9が配置されているため、調湿手段16に吸収された水分が、面材4を介して、居室L等に放出されるのを防ぐことができる。従って、調湿手段16の平衡含水率の低下を抑制することができ、調湿機能を効果的に発揮することができる。このような作用を効果的に発揮させるために、防湿層9の透湿抵抗は、0.0175m2・s・Pa/ng以上が望ましい。
図3に示されるように、本実施形態では、空気取込口13及び空気取出口14が、スタッド6の連通部7が設けられる方向(本実施形態では、下方側)に対して、逆側(本実施形態では、上方側)に設けられている。これにより、例えば、空気取込口13、空気取出口14及び連通部7が同一方向に設けられる場合や、空気取込口13と空気取出口14とが逆方向に設けられる場合に比べて、空気取込口13から空気取出口14までの空気流路15の長さを大きくすることができる。従って、空気流路15に供給された空気と接触する調湿手段の表面積を大きくすることができるため、空気を効果的に調湿することができる。
図5は、空気の相対湿度と、調湿手段の平衡含水率との関係を示すグラフである。このグラフで示される調湿手段は、概ね30%RH〜70%RHの相対湿度域で、良好な吸放湿性能を有するものである。図5のグラフに示されるように、例えば、冬季において、室外空気(低温の空気)は、居室の空気(高温の空気)に比べて相対湿度が高い。このような相対湿度の高い室外空気は、相対湿度の低い居室の空気に比べて、調湿手段16(図4に示す)の平衡含水率を高くすることができる。従って、調湿手段16に効果的に吸湿させるためには、相対湿度の高い室外空気が、調湿手段16(図4に示す)に供給されるのが望ましい。
また、相対湿度の低い居室の空気は、相対湿度の高い室外空気に比べて、調湿手段16(図4に示す)の平衡含水率を低くすることができる。従って、調湿手段16に効果的に放湿させるためには、相対湿度の低い居室の空気が、調湿手段16(図4に示す)に供給されるのが望ましい。
このような室外空気及び居室の空気を利用して、調湿手段16に効果的に吸湿及び放湿させるために、本実施形態のパネル2には、図3に示されるように、例えば、取込ダクト21、第1取込ダンパー22、取出ダクト23、第1取出ダンパー24、第2取込ダンパー25及び第2取出ダンパー26がさらに含まれている。
図2に示されるように、取込ダクト21は、例えば、その一端から他端まで連続する筒状に形成されている。図1に示されるように、取込ダクト21の一端は、第1取込口13aに接続されている。取込ダクト21の他端は、建築物Bの小屋裏30に接続されている。このようなダクト21により、小屋裏30(図1に示す)と空気流路15(第1空間5A)とが、第1取込口13aを介して連通されうる。
小屋裏の空気(室外空気)Aoは、例えば、居室の空気Aiや、空気調和機で空調(暖房)された空気(図示省略)に比べて温度が低い為、相対湿度が高い。このような小屋裏の空気Aoが、取込ダクト21及び第1取込口13aを介して、空気流路15内に配置される調湿手段16(図4に示す)に供給されることにより、小屋裏の空気Aoに含まれる水分を、調湿手段16に効果的に吸収させることができる。
図1に示されるように、本実施形態の取込ダクト21には、小屋裏30側からパネル2側に向かって送風するファン29が設けられている。このようなファン29が運転されることにより、小屋裏30を負圧にして、小屋裏の空気(室外空気)Aoを、調湿手段16に積極的に供給することができる。
空気流路15に供給された小屋裏の空気Aoは、第1空間5Aから連通部7を介して、第2空間5Bに供給される。従って、図3に示されるように、小屋裏の空気Ao(図2に示す)を、空気流路15の一端側から他端側にかけて循環させることができるため、空気流路15の全域に配置された調湿手段16に、小屋裏の空気Aoに含まれる水分を万遍なく吸収させることができる。なお、ファン29の運転・停止は、例えば、制御手段や、居住者の操作によって実施されるのが望ましい。
図4に示されるように、本実施形態では、面材4と調湿ボード16aとの間に、断熱材10が配されている。このため、空気流路15に供給された小屋裏の空気(室外空気)Aoが、居室の空気Ai等によって暖められるのを防ぐことができる。従って、空気流路15に供給された小屋裏の空気Aoの相対湿度の低下を抑制でき、調湿手段16への水分の吸収率が低下するのを防ぐことができる。このような作用を効果的に発揮させるために、断熱材10の熱抵抗は、0.2m2K/W以上が望ましい。
図1に示されるように、本実施形態では、取込ダクト21の他端が、小屋裏30に接続される態様が例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、取込ダクト21の他端は、建築物Bの屋外Soに接続されてもよい。冬季において、屋外Soの空気は、小屋裏の空気と同様に、居室の空気に比べて相対湿度が高い。このような屋外Soの空気(室外空気)が、図3に示した空気流路15に供給されることにより、屋外Soの空気中に含まれる水分が、調湿手段16(図4に示す)に効果的に吸収されうる。
図1に示されるように、第1取込ダンパー22は、取込ダクト21の他端側を開閉するためのものである。例えば、第1取込ダンパー22が開かれることにより、図4に示されるように、小屋裏の空気Aoが、空気流路15に供給されうる。また、第1取込ダンパー22(図1に示す)が閉じられることにより、例えば、冬季の自然換気によって、居室の空気Aiが小屋裏30へ流出するのを防ぐことができる。第1取込ダンパー22の開閉は、例えば、制御手段や、居住者の操作によって実施されるのが望ましい。
図2に示されるように、取出ダクト23は、取込ダクト21と同様に、筒状に形成されている。図1に示されるように、取出ダクト23の一端は、第1取出口14aに接続されている。取出ダクト23の他端は、建築物の小屋裏30に接続されている。このような取出ダクト23により、図2に示した空気流路15(第2空間5B)と小屋裏30とが、第1取出口14aを介して連通されうる。これにより、図2に示されるように、空気流路15を循環した空気Acを、小屋裏30(図1に示す)に直接排出することができる。例えば、調湿手段16に吸湿された室外空気Aoが小屋裏30に排出される場合には、低温の室外空気Aoが居室Lに供給されるのを防ぐことができるため、居室Lの温度低下を防ぐことができる。
本実施形態では、取出ダクト23の他端が、小屋裏30に接続される態様が例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、取出ダクト23の他端は、建築物Bの屋外So(図1に示す)に接続されてもよい。
図1に示されるように、第1取出ダンパー24は、取出ダクト23の他端側を開閉するためのものである。例えば、第1取出ダンパー24が開かれることにより、空気流路15を循環した空気Acが、小屋裏30に排出されうる。また、第1取出ダンパー24が閉じられることにより、例えば、冬季の自然換気によって、居室の空気Aiが小屋裏30へ流出するのを防ぐことができる。第1取出ダンパー24の開閉は、例えば、制御手段や、居住者の操作によって実施されるのが望ましい。
図2に示されるように、第2取込ダンパー25は、第2取込口13bを開閉するためのものである。例えば、第2取込ダンパー25が開かれることにより、居室の空気Aiを、空気流路15(図3に示す)に供給することができる。居室の空気Aiは、小屋裏の空気(室外空気)Aoに比べて温度が高い為、相対湿度が低い。このような居室の空気Aiが、空気流路15内に配置される調湿手段16に供給されることにより、調湿手段16に吸収された水分を放出させて、高湿の空気を得ることができる。
第2取込ダンパー25の開閉は、例えば、制御手段(図示省略)や、居住者の操作によって実施されるのが望ましい。また、第2取込口13bには、居室L側から空気流路15側に向かって送風するファン(図示省略)が設けられるのが望ましい。第2取込ダンパー25が開かれた状態でファンが運転されることにより、居室の空気Aiを、空気流路15に効果的に循環させることができる。
第2取出ダンパー26は、第2取出口14bを開閉するためのものである。例えば、第2取出ダンパー26が開かれることにより、空気流路15を循環した空気Acが、居室Lに供給されうる。例えば、調湿手段16からの放湿により相対湿度が高められた居室の空気Aiが、居室Lに供給される場合には、居室Lを効果的に加湿することができる。なお、第2取出ダンパー26の開閉は、例えば、制御手段や、居住者の操作によって実施されるのが望ましい。
次に、本実施形態のパネル2を用いて、居室Lの湿度を調整する調湿システムについて説明する。本実施形態の調湿システムは、第1空気流路と、第2空気流路とが含まれる。図6は、本実施形態の調湿システムの第1空気流路15Aを説明する概念図である。
第1空気流路15Aは、調湿手段16(図4に示す)に相対湿度の高い第1空気A1を供給して、調湿手段16に吸湿させるためのものである。本実施形態の第1空気A1は、居室の空気Ai(図4に示す)よりも低温の室外空気(小屋裏の空気)Aoである。
本実施形態では、第1取込ダンパー22及び第1取出ダンパー24が開かれるとともに、第2取込ダンパー25及び第2取出ダンパー26が閉じられる。これにより、小屋裏30からパネル2の第1空間5A及び第2空間5Bを経て、小屋裏30に至る第1空気流路15Aが設定される。従って、本実施形態の第1空気流路15Aは、その少なくとも一部が、調湿ボード16a、16a(図4に示す)の間の隙間により形成され、かつ、居室Lに面したパネル2内をのびている。
また、本実施形態では、取込ダクト21のファン29が運転される。このような第1空気流路15Aにより、小屋裏の空気(室外空気)Aoは、パネル2の内部に配置された調湿手段16(図4に示す)に供給される。
図5に示したように、冬季において、小屋裏の空気Aoは、居室Lの空気に比べて相対湿度が高い。このため、小屋裏の空気(室外空気)Ao中に含まれる水分が、調湿手段16(図4に示す)に効果的に吸収されうる。このように、本実施形態の第1空気流路15Aは、相対湿度の高い第1空気A1(本実施形態では、室外空気Ao)を循環させて、調湿手段16に効果的に吸湿させることができる。
図6に示されるように、第1空気流路15Aを循環した空気Ac(本実施形態では、調湿手段16に水分が吸収された小屋裏の空気(室外空気)Ao)は、第1取出口14a及び取出ダクト23を介して、小屋裏30に直接排出される。従って、本実施形態の第1空気流路15Aは、室外空気Aoが居室Lに供給されないため、居室Lの温度低下を防ぐことができる。
図7は、本実施形態の調湿システムの第2空気流路15Bを説明する概念図である。第2空気流路15Bは、吸湿させた調湿手段16(図4に示す)に、相対湿度の低い第2空気A2を供給し、相対湿度を高めた第3空気A3を得るためのものである。本実施形態の第2空気A2は、室外空気(本実施形態では、小屋裏の空気)Ao(図6に示す)よりも高温の居室の空気Aiである。
本実施形態では、第2取込ダンパー25及び第2取出ダンパー26が開かれるとともに、第1取込ダンパー22及び第1取出ダンパー24が閉じられる。さらに、取込ダクト21のファン29が停止される。これにより、居室Lからパネル2の第1空間5A及び第2空間5Bを経て、居室Lに至る第2空気流路15Bが設定される。従って、本実施形態の第2空気流路15bは、その少なくとも一部が、調湿ボード16a、16a(図4に示す)の間の隙間により形成され、かつ、居室Lに面したパネル2内をのびている。このような第2空気流路15bにより、高温の居室の空気Aiは、例えば、第2取込ダンパー25に設けられたファン等(図示省略)によって、パネル2の内部に配置される調湿手段16(図4に示す)に供給される。
図5に示されるように、冬季において、居室の空気Aiは、小屋裏の空気Aoに比べて相対湿度が低い。このため、調湿手段16(図4に示す)に含まれる水分が、第2空気流路15Bを循環する居室の空気Ai中に、効果的に放出されうる。従って、図7に示されるように、本実施形態の第2空気流路15Bは、第1空気流路15A(図6に示す)によって吸湿させた調湿手段16(図4に示す)を放湿させて、相対湿度を高めた第3空気A3を得ることができる。
相対湿度を高めた第3空気A3は、第2取出口14bを介して、居室Lに供給される。従って、本実施形態の第2空気流路15Bは、例えば、空気調和機等(図示省略)の空調(暖房)によって湿度が低下しがちな居室Lに、高湿の第3空気A3が供給されるため、居室Lを効果的に加湿することができる。
このように、本実施形態の調湿システムは、調湿手段16(図4に示す)に積極的に吸湿させる第1空気流路15A(図6に示す)と、相対湿度を高めた第3空気A3を得る第2空気流路15B(図7に示す)とによって、居室Lを加湿することができる。従って、調湿システムは、居室Lの室内環境に依存することなく、居室Lの湿度を調節することできる。
本実施形態の調湿システムにおいて、図6に示した第1空気流路15Aは、居室Lに居住者が不在の時に設定されるのが望ましい。これにより、居室Lへの加湿を考慮することなく、調湿手段16に集中して吸湿させることができる。さらに、図7に示した第2空気流路15Bは、居室Lに居住者が滞在している時に設定されるのが望ましい。これにより、調湿手段16に蓄えられた水分を利用して、居室Lを集中して加湿することができる。このように、本実施形態の調湿システムは、居住者の生活リズムに合わせて、居室Lの湿度をコントロールすることができる。なお、本実施形態のパネル2は、寝室Lsに設けられているため、居住者の就寝時に生じがちな室内乾燥を、効果的に防ぐことができる。
第1空気流路15A及び第2空気流路15Bの切り替えは、建築物Bに設けられた制御手段(図示省略)や、居住者の操作等によって切り替えられるのが望ましい。また、居室Lの滞在の有無は、居室Lに設けられたセンサーや、予め定められたタイマーによって判断されるのが望ましい。
図8は、本発明の他の実施形態のパネルが用いられる建築物Bの概念図である。なお、この実施形態において、前実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の建築物Bには、床下空間35に設けられた空気調和機31、及び、空気調和機31と各居室Lとを接続するダクト36を含んで構成されている。さらに、ダクト36には、空気調和機31から各居室Lに向かって送風するファン37が設けられている。このような空気調和機31及びファン37が運転されることにより、高温の空調(暖房)された空気Awが各居室Lに供給されうる。
図9は、空気の相対湿度と、調湿手段の平衡含水率との関係を示すグラフである。このグラフで示される調湿手段は、概ね10%RH〜30%RHの相対湿度域で、良好な吸放湿性能を有するものである。図9のグラフに示されるように、例えば、冬季において、居室の空気(低温の空気)は、高温に空調(暖房)された空気に比べて相対湿度が高い。このような居室の空気は、高温の空調された空気に比べて、調湿手段16(図4に示す)の平衡含水率を高くすることができる。従って、調湿手段16に効果的に吸湿させるためには、相対湿度の高い居室の空気が、調湿手段16(図4に示す)に供給されるのが望ましい。
また、高温の空調された空気は、居室の空気に比べて、調湿手段16(図4に示す)の平衡含水率を低くすることができる。従って、調湿手段16に効果的に放湿させるためには、相対湿度の低い高温の空調された空気が、調湿手段16(図4に示す)に供給されるのが望ましい。
このような観点に基づいて、この実施形態のパネル2は、居室の空気を利用して調湿手段16に吸湿させ、かつ、高温の空調された空気を利用して調湿手段16(図4に示す)に放湿させている。図10は、本発明の他の実施形態のパネルの正面図である。なお、この実施形態において、前実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
図8及び図10に示されるように、この実施形態のパネル2は、前実施形態の第2取込ダンパー25及び第2取出ダンパー26に加え、さらに、空調ダクト32及び第3取込ダンパー33が含まれている。なお、この実施形態のパネル2には、図1に示した前実施形態の取込ダクト21、第1取込ダンパー22、第1取出口14a、取出ダクト23、及び、第1取出ダンパー24は含まれていない。
第2取込ダンパー25は、前実施形態のパネル2と同様に、第2取込口13bを開閉して、居室の空気Aiを、空気流路15内に配置される調湿手段16(図4に示す)に供給するためのものである。居室の空気Aiは、高温の空調(暖房)された空気Awに比べて相対湿度が高い。このような相対湿度が高い居室の空気Aiが、空気流路15内に配置される調湿手段16(図4に示す)に供給されることにより、居室の空気Ai中に含まれる水分を、調湿手段16に効果的に吸収させることができる。
空調ダクト32は、取込ダクト21(図2に示す)と同様に、その一端から他端まで連続する筒状に形成されている。空調ダクト32の一端は、第1取込口13aに接続されている。空調ダクト32の他端は、空気調和機31が接続されるダクト36に接続されている。このような空調ダクト32により、空気調和機31と空気流路15(第1空間5A)とが、第1取込口13aを介して連通されうる。
高温の空調(暖房)された空気Awは、居室の空気Aiに比べて相対湿度が低い。このような相対湿度が低い高温の空調された空気Awが、空気流路15内に配置される調湿手段16(図4に示す)に供給されることにより、調湿手段16に吸収された水分を放出させて、高湿の空気を得ることができる。
第3取込ダンパー33は、空調ダクト32の他端側を開閉するためのものである。例えば、第3取込ダンパー33が開かれることにより、空気調和機31によって高温に空調(暖房)された空気Awが、空気流路15内に配置される調湿手段16(図4に示す)に供給されうる。第3取込ダンパー33が閉じられることにより、高温の空調(暖房)された空気Awが、空気流路15に供給されるのを防ぐことができる。第3取込ダンパー33の開閉は、例えば、制御手段や、居住者の操作によって実施されるのが望ましい。
次に、この実施形態のパネル2を用いて、居室Lの湿度を調整する調湿システムについて説明する。この実施形態の調湿システムは、第1空気流路15Aと、第2空気流路15Bとが含まれる。図11は、本発明の他の実施形態の第1空気流路15Aを説明する概念図である。
この実施形態の第1空気流路15Aは、前実施形態の第1空気流路15Aと同様に、調湿手段16(図4に示す)に相対湿度の高い第1空気A1を供給して、調湿手段16に吸湿させるためのものである。本実施形態の第1空気A1は、高温の空調された空気Awよりも低温の居室の空気Aiである。
この実施形態では、第2取込ダンパー25及び第2取出ダンパー26が開かれるとともに、第3取込ダンパー33が閉じられる。これにより、居室Lからパネル2の第1空間5A及び第2空間5Bを経て、居室Lに至る第1空気流路15Aが設定される。従って、本実施形態の第1空気流路15Aは、その少なくとも一部が、調湿ボード16a、16a(図4に示す)の間の隙間により形成され、かつ、居室Lに面したパネル2内をのびている。このような第1空気流路15Aにより、居室の空気Aiは、パネル2の内部に配置された調湿手段16(図4に示す)に供給される。
居室の空気Aiは、高温の空調された空気Awに比べて相対湿度が高い。このため、居室の空気Ai中に含まれる水分が、調湿手段16(図4に示す)に効果的に吸収されうる。このように、この実施形態の第1空気流路15Aは、相対湿度の高い第1空気A1(この実施形態では、居室の空気Ai)を循環させて、調湿手段16に効果的に吸湿させることができる。
第1空気流路15Aを循環した空気Ac(この実施形態では、調湿手段16に水分が吸収された居室の空気Ai)は、第2取出ダンパー26を介して、居室Lに排出される。これにより、居室Lが負圧になるのを防ぐことができるため、居室Lの隙間から冷気が浸入するのを防ぐことができる。
図12は、本発明の他の実施形態の第2空気流路15Bを説明する概念図である。この実施形態の第2空気流路15Bは、前実施形態の第2空気流路15B(図7に示す)と同様に、吸湿させた調湿手段16(図4に示す)に、相対湿度の低い第2空気A2を供給し、相対湿度を高めた第3空気A3を得るためのものである。この実施形態の第2空気A2は、居室の空気Aiよりも高温の空調された空気Awである。
この実施形態では、第3取込ダンパー33及び第2取出ダンパー26が開かれるとともに、第2取込ダンパー25が閉じられる。これにより、空気調和機31(ダクト36)からパネル2の第1空間5A及び第2空間5Bを経て、居室Lに至る第2空気流路15Bが設定される。従って、本実施形態の第2空気流路15Bは、その少なくとも一部が、調湿ボード16a、16a(図4に示す)の間の隙間により形成され、かつ、居室Lに面したパネル2内をのびている。このような第2空気流路15Bにより、高温の空調された空気Awは、パネル2の内部に配置される調湿手段16(図4に示す)に供給される。
高温の空調された空気Awは、居室の空気Aiに比べて相対湿度が低い。このため、調湿手段16に含まれる水分が、第2空気流路15Bを循環する高温の空調された空気Aw中に、効果的に放出されうる。従って、この実施形態の第2空気流路15Bは、第1空気流路15A(図11に示す)によって吸湿させた調湿手段16(図4に示す)を放湿させて、相対湿度を高めた第3空気A3を得ることができる。
相対湿度を高めた第3空気A3は、第2取出口14bを介して、居室Lに排出される。このように、この実施形態の第2空気流路15Bは、高温かつ高湿の第3空気A3を、居室Lに供給することができるため、居室Lの暖房及び加湿を両立することができる。
図13は、本発明のさらに他の実施形態のパネルが用いられる建築物Bの概念図である。なお、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。この実施形態の建築物Bには、前実施形態の建築物B(図8に示す)と同様に、空気調和機31及びダクト36とを含んで構成されている。このため、各居室Lには、高温の空調(暖房)された空気Awが供給されうる。
図14は、空気の相対湿度と、調湿手段の平衡含水率との関係を示すグラフである。このグラフで示される調湿手段は、概ね10%RH〜70%RHの相対湿度域で、良好な吸放湿性能を有するものである。図14のグラフに示されるように、例えば、冬季において、室外空気(低温の空気)は、高温の空調された空気に比べて相対湿度が高い。このような室外空気は、高温の空調された空気に比べて、調湿手段16(図4に示す)の平衡含水率を高くすることができる。従って、調湿手段16に効果的に吸湿させるためには、相対湿度の高い室外空気が、調湿手段16(図4に示す)に供給されるのが望ましい。
また、高温の空調された空気は、室外空気に比べて、調湿手段16(図4に示す)の平衡含水率を低くすることができる。従って、調湿手段16に効果的に放湿させるためには、相対湿度の低い高温の空調された空気が、調湿手段16(図4に示す)に供給されるのが望ましい。
このような観点に基づいて、この実施形態のパネル2は、室外空気を利用して調湿手段16に吸湿させ、かつ、高温の空調された空気を利用して調湿手段16に放湿させている。図15は、本発明のさらに他の実施形態のパネルの正面図である。なお、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
図13及び図15に示されるように、この実施形態のパネル2は、これまでの実施形態の取込ダクト21、第1取込ダンパー22、取出ダクト23、第1取出ダンパー24、第2取出ダンパー26、空調ダクト32及び第3取込ダンパー33に加え、さらに、連結ダクト41が含まれている。なお、この実施形態のパネル2には、第2取込ダンパー25(図10に示す)が含まれていない。
連結ダクト41は、第1取込口13a、取込ダクト21、及び、空調ダクト32を連結するためのものである。図15に示されるように、連結ダクト41は、第1取込口13aに接続される主管41A、取込ダクト21の一端に接続される第1分岐管41B、及び、空調ダクト32の一端に接続される第2分岐管41Cを含んでいる。このような連結ダクト41により、小屋裏30(図14に示す)と空気流路15(第1空間5A)との間、及び、空気調和機31(空調ダクト32)と空気流路15(第1空間5A)との間が連通されうる。
次に、この実施形態のパネル2を用いて、居室Lの湿度を調整する調湿システムについて説明する。本実施形態の調湿システムは、第1空気流路15Aと、第2空気流路15Bとが含まれる。図16は、本発明のさらに他の実施形態の第1空気流路15Aを説明する概念図である。
この実施形態の第1空気流路15Aは、これまでの実施形態の第1空気流路15A(図6及び図11に示す)と同様に、調湿手段16に相対湿度の高い第1空気A1を供給して、調湿手段16に吸湿させるためのものである。本実施形態の第1空気A1は、高温の空調された空気Awよりも低温の室外空気(小屋裏の空気)Aoである。
この実施形態では、第1取込ダンパー22及び第1取出ダンパー24が開かれるとともに、第2取出ダンパー26及び第3取込ダンパー33が閉じられる。これにより、小屋裏30からパネル2の第1空間5A及び第2空間5Bを経て、小屋裏30に至る第1空気流路15Aが設定される。従って、本実施形態の第1空気流路15Aは、その少なくとも一部が、調湿ボード16a、16a(図4に示す)の間の隙間により形成され、かつ、居室Lに面したパネル2内をのびている。また、取込ダクト21のファン29が運転される。このような第1空気流路15Aにより、低温の小屋裏の空気(室外空気)Aoは、パネル2の内部に配置された調湿手段16に供給される。
冬季において、小屋裏の空気Aoは、高温の空調された空気Awに比べて、相対湿度が高い。このため、小屋裏の空気Ao中に含まれる水分が、調湿手段16(図4に示す)に効果的に吸収されうる。このように、この実施形態の第1空気流路15Aは、相対湿度の高い第1空気A1(本実施形態では、室外空気Ao)を循環させて、調湿手段16に効果的に吸湿させることができる。
第1空気流路15Aを循環した空気Ac(この実施形態では、調湿手段16に水分が吸収された低温の小屋裏の空気Ao)は、第1取出口14a及び取出ダクト23を介して、小屋裏30に排出されるため、居室Lの温度低下を防ぐことができる。
図17は、本発明の他の実施形態の第2空気流路15Bを説明する概念図である。この実施形態の第2空気流路15Bは、これまでの実施形態の第2空気流路15B(図7及び図12に示す)と同様に、吸湿させた調湿手段16に、相対湿度の低い第2空気A2を供給し、相対湿度を高めた第3空気A3を得るためのものである。この実施形態の第2空気A2は、居室の空気Ai及び室外の空気Aoよりも高温の空調された空気Awである。
この実施形態では、第3取込ダンパー33及び第2取出ダンパー26が開かれるとともに、第1取込ダンパー22及び第1取出ダンパー24が閉じられる。これにより、空気調和機31(ダクト36)からパネル2の第1空間5A及び第2空間5Bを経て、居室Lに至る第2空気流路15Bが設定される。従って、本実施形態の第2空気流路15Bは、その少なくとも一部が、調湿ボード16a、16a(図4に示す)の間の隙間により形成され、かつ、居室Lに面したパネル2内をのびている。また、本実施形態では、ダクト36のファン37が運転される。このような第2空気流路15Bにより、高温の空調された空気Awは、パネル2の内部に配置される調湿手段16(図4に示す)に供給される。
高温の空調された空気Awは、室外の空気Ao(図16に示す)に比べて相対湿度が低い。このため、調湿手段16に含まれる水分が、第2空気流路15Bを循環する高温の空調された空気Aw中に、効果的に放出されうる。従って、この実施形態の第2空気流路15Bは、第1空気流路15A(図16に示す)によって吸湿させた調湿手段16(図4に示す)を放湿させて、相対湿度を高めた第3空気A3を得ることができる。
相対湿度を高めた第3空気A3は、第2取出口14bを介して、居室Lに排出される。このように、この実施形態の第2空気流路15Bは、高温かつ高湿の第3空気A3を、居室Lに供給することができるため、居室Lの暖房及び加湿を両立することができる。
図14に示した室外空気と空調された空気との相対湿度の差は、図5に示した室外空気と居室の空気との相対湿度の差、及び、図9に示した居室の空気と空調された空気との相対湿度の差よりも大きい。従って、この実施形態の調湿システムは、これまでの実施形態の調湿システムに比べて、調湿手段16(図4に示す)への水分の吸収量、及び、調湿手段16の水分の放出量を大きくすることができるため、調湿機能を効果的に発揮することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。