以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明の対象は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれると共に、その構成要素は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明の実施の形態を図面を参照し、詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施形態1)
図1は、本発明の第一の実施形態に係るスイッチング電源装置1aの構成を示す回路図である。図1に示すスイッチング電源装置1aは、一例として、一対の入力端子2a,2b(以下、特に区別しないときには「入力端子2」ともいう)、一対の出力端子3a,3b(以下、特に区別しないときには「出力端子3」ともいう)、主回路4a、制御回路20aを備え、入力端子2に入力される入力電圧(直流電圧)V1を出力電圧(直流電圧)V2に変換して出力端子3から出力すると共に、出力電圧V2を予め規定された目標電圧に制御する。スイッチング電源装置1aは、入力端子2に入力電圧V1、入力電流i1を入力して、出力端子3から出力電圧V2、負荷電流i2を出力する。
主回路4aは、スイッチングトランジスタ5a、スイッチングトランジスタ5aの寄生ダイオード5b、ダイオード6、チョークコイル7、出力コンデンサ8a、出力コンデンサ8aの等価直列抵抗8bを備えている。スイッチング電源装置1aの一例としてバックコンバータの回路方式で構成されており、入力端子2から入力される入力電圧V1を出力電圧V2に変換して出力端子3に出力する。
制御回路20aは、スイッチング電源装置1aの出力電圧V2を分圧する第1抵抗21および第2抵抗22と、分圧された電圧Vnが第1の反転入力端子に入力され、第2の非反転入力端子に基準電圧Vpが入力される比較器25aと、比較器25aの出力信号Vcoに基づいてスイッチングトランジスタ5aを制御する制御部30と、出力端子正極3aと比較器25aの第1の反転入力端子間に接続された第1抵抗21と、この第1抵抗21と並列に接続した容量素子23とスイッチ素子26の直列接続を備える。基準電圧Vpは、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルの場合は第1の高い電圧VpHとなり、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルの場合は第2の低い電圧VpLとなる。また、制御回路20aは、比較器25aの出力Vcoの第2のレベルが一定期間より長く継続していることを検出するOFF期間検出回路50を備え、OFF期間検出回路50は、比較器25aの出力の第2のレベルが一定期間より長く継続している場合に、出力信号Vsによりスイッチ素子26を開放すると同時に、出力信号Vmにより基準電圧Vpを第3の中間の電圧VpMとする。
制御回路20aの共通グランドGは、出力端子の負極3bに接続する。Vn、Vp、Vco、Vs、Vmの各信号の電圧は、共通グランドGを基準とした電圧とする。
また、基準電圧Vpは、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルの場合は第1の高い電圧VpHとなり、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルの場合は第2の低い電圧VpLとなる、所謂ヒステリシスコンパレータが知られている。また、比較器25aの出力Vcoの第2の低いレベルが一定期間より長く継続している場合に、OFF期間検出回路50の出力信号Vmにより、基準電圧Vpは第3の中間の電圧VpMとなる。ヒステリシスコンパレータの回路方式の一例として、比較器25aと、比較器25aの出力端子と非反転入力端子間に接続する抵抗25bと、非反転入力端子と共通グランドG間に直列に接続する抵抗25cと定電圧源24と、OFF期間検出回路50と比較器25aの非反転入力端子間に接続する抵抗25dを備える。
次に、制御回路20aの動作について説明する。出力電圧V2を抵抗分圧した電圧Vnが第2の電圧VpLよりも低くなると、比較器出力Vcoが第1の高いレベルとなり制御部30がスイッチングトランジスタ5aの駆動を開始し、基準電圧は第1の電圧VpHとなる。スイッチングトランジスタ5aの駆動期間にチョークコイル7の電流が増加して、チョークコイル7から出力コンデンサ8aに負荷電流i2よりも大きな電流iLが供給されることで出力コンデンサ8aが充電されて出力電圧V2が上昇する。出力電圧V2を抵抗分圧した電圧Vnが第1の電圧VpHよりも高くなると、比較器出力Vcoが第2の低いレベルとなって駆動期間を終了して休止期間となる。このとき基準電圧は第2の電圧VpLとなる。休止期間はチョークコイル7からの電流iLよりも負荷電流i2が大きくなるので、出力コンデンサ8aから放電して、出力電圧V2が低下する。再び出力電圧V2を抵抗分圧した電圧Vnが第2の電圧VpLよりも低くなると、再び駆動期間を開始して、基準電圧は第1の電圧VpHとなる。この動作を繰り返すことにより、抵抗分圧した電圧Vnが第1の電圧VpHと第2の電圧VpLの間の値となるように、駆動期間と休止期間が制御されて、出力電圧V2を予め規定された目標電圧に制御する。
ここで、スイッチ素子26は、スイッチング周波数が高く比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルとなっている期間が短い場合に、短絡している。これにより、第1抵抗21に容量素子23が接続されるので、出力電圧リプルが抑えられている。スイッチング周波数が低くなり、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルとなっている期間が長くなると、スイッチ素子26が開放されて容量素子23が第1抵抗21から切り離され、基準電圧は第3の電圧VpMとなる。
次に、第1抵抗21に接続する容量素子23が出力電圧変動を抑える効果について、出力電圧V2の波形を用いて説明する。図14は、従来のスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。本実施形態1の回路と比較すると、図14は、スイッチ素子26と、OFF期間検出回路50が備えられていない。図14では、第1抵抗21に並列に容量素子23が接続されていて、OFF期間検出回路50が接続されていないので、図1においてスイッチング周波数が高くOFF期間検出回路50が動作していない場合は図14と等価になる。図2は、容量素子23と出力電圧との関係を示すタイミング波形図である。図2に模式的に示す出力電圧V2の波形は、出力電圧V2の直流分を除いてY軸方向に拡大した波形である。X軸は時間、Y軸は出力電圧の電圧リプルを示している。また、図2(a)は、図14からさらに容量素子23を取り除いた場合、図2(b)は容量素子23のみを接続した図14の場合、図2(c)は、本実施形態の回路を接続した図1の場合について、出力電圧V2の電圧リプルと、静的負荷変動を表している。更に、図2(a)、図2(b)、図2(c)のそれぞれは、負荷が定格負荷の場合と軽負荷の場合を示している。
図2(a)に示す容量素子23が無い場合は、第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpLの分圧比(R1+R2)/R2倍まで出力電圧V2の電圧リプルが大きくなる。出力端子3に接続された負荷が定格負荷であっても軽負荷であっても、電圧リプルに変化は無く、スイッチング周波数が軽負荷では低下していて、休止期間が増えている。
図2(b)に示す容量素子23のみを接続した場合は、出力電圧V2の電圧リプルを、第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpL程度まで小さくすることができる。出力端子3に接続された負荷が定格負荷であっても軽負荷であっても、電圧リプルは同じ程度まで小さくすることができる。しかし、出力電圧V2の平均値は定格負荷と軽負荷で異なっていて、大きな静的負荷変動がある。
図2(c)に示す本実施形態の回路を接続した場合、出力電圧V2の電圧リプルに加えて、出力電圧V2の平均値の定格負荷と軽負荷とでの差である静的負荷変動も抑えることができる。そのため出力電圧変動を抑えることができている。
次に、容量素子23を接続しない場合に、出力電圧V2の電圧リプルが、第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpLの分圧比(R1+R2)/R2倍となる理由について説明する。出力電圧V2を第1抵抗21と第2抵抗22で分圧しているため、比較器25aの反転入力端子に入力される電圧Vnは、出力電圧V2のR2/(R1+R2)倍に分圧される。これにより、Vnの電圧リプルも出力電圧V2の電圧リプルのR2/(R1+R2)倍に減衰する。制御回路20aは、VnがVpLとVpHの間の値になるように駆動期間と休止期間を制御して、出力電圧V2を予め規定された目標電圧に制御する。そのため、Vnの電圧リプルが第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpLに等しくなって、出力電圧V2の電圧リプルはVnの電圧リプルの(R1+R2)/R2倍まで大きくなるので、出力電圧V2の電圧リプルの大きさは(VpH−VpL)(R1+R2)/R2となる。
次に、容量素子23を接続することによって、出力電圧V2の電圧リプルが、第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpLの分圧比(R1+R2)/R2倍から、第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpL程度まで低減できる理由について説明する。容量素子23を第1抵抗21に接続することによって、第1抵抗21の電圧Vr1がほぼ一定値に安定化される。これにより、比較器25aの反転入力端子の電圧Vnは、出力電圧V2から一定のVr1を引き算した値となるので、Vnの電圧リプルは出力電圧V2の電圧リプルに等しくなる。制御回路は、VnがVpLとVpHの間の値になるように駆動期間と休止期間を制御して、出力電圧V2を予め規定された目標電圧に制御する。そのため、Vnの電圧リプルが第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpLに等しくなって、出力電圧V2の電圧リプルの大きさもVpH−VpLとなる。
V2=Vn+Vr1となるため、出力電圧V2は、VpH+Vr1とVpL+Vr1の間の値に制御される。
しかしながら、出力電圧V2の電圧リプルは、図2(a)に示すように容量素子23が無い場合は(VpH−VpL)(R1+R2)/R2よりも若干大きくなり、図2(b)(c)に示すように 容量素子23を接続した場合はVpH−VpLよりも若干大きくなる。その原因は、スイッチングトランジスタ5aの駆動期間の終了よりも遅れて出力電圧V2が最大となって下降し始め、スイッチングトランジスタ5aの休止期間の終了よりも遅れて出力電圧V2が最小となって上昇し始めることに起因する。これを図3の出力電圧V2のリプル波形を用いて説明する。
図3(a)は、スイッチング電源装置1aのコイル電流iLを連続的に変化させる電流連続モードで動作しているときの動作波形、図3(b)は、スイッチング電源装置1aのコイル電流iLを不連続的に変化させる電流不連続モードで動作しているときの動作波形である。
図3(a)(b)は、i2が負荷電流、iLがチョークコイル7の電流、Vcoが比較器25aの出力、8aが出力コンデンサ8aの電圧、8bが出力コンデンサのESRの8bの電圧、V2が出力電圧である。
図3(a)に示すように、t0〜t2の期間でチョークコイル7の電流iLは比較器25aの出力Vcoがハイレベル(第1のレベル)のときに増加し、t2〜t4の期間でローレベル(第2のレベル)のときに減少する。負荷電流i2は、iLを平均した直流電流が流れる。出力コンデンサ8aの電圧は、t1〜t3の期間でiL>i2のときに上昇し、t0〜t1、t3〜t4の期間でiL<i2のときに下降する。出力コンデンサ8bのESR( Equivalent Series Resistance)の電圧は、iL−i2に抵抗値をかけた値であって、iLの増加と同時に上昇し、iLの減少と同時に下降する。出力電圧V2は、出力コンデンサ8aの電圧と、出力コンデンサのESRの8bの電圧の合計になる。
容量素子23を接続しない場合は、t2において出力電圧V2がVpH(R1+R2)/R2より大きくなったときに比較器25aの出力Vcoがローレベルとなり、t0またはt4において出力電圧V2がVpL(R1+R2)/R2より小さくなったときに比較器25aの出力Vcoがハイレベルとなる。出力電圧V2は、出力コンデンサ8aの電圧と、出力コンデンサのESRの8bの電圧の合計であるために、比較器25aの出力Vcoがt2においてローレベルとなってから遅れて、出力電圧V2の値がVpH(R1+R2)/R2よりさらに大きくなってからt3において最大となって下降し始め、比較器25aの出力Vcoがt0においてハイレベルとなってから遅れて、出力電圧V2の値がVpL(R1+R2)/R2よりさらに小さくなってからt1において最小となって上昇し始める。そのため、容量素子23が無い場合は出力電圧V2 の電圧リプルが(VpH−VpL)(R1+R2)/R2よりも若干大きくなる。
図4(a)に示すように、図2(b)(c)のように容量素子23を接続した場合も同様の理由でVpH−VpLよりも若干大きくなる。出力電圧V2は、出力コンデンサ8aの電圧と、出力コンデンサのESRの8bの電圧の合計であるために、比較器25aの出力Vcoがローレベルとなってから遅れて、出力電圧V2の値がVpH+Vr1よりさらに大きくなってから最大となって下降し始め、比較器25aの出力Vcoがハイレベルとなってから遅れて、出力電圧V2の値がVpL+Vr1よりさらに小さくなってから最小となって上昇し始める。
図3(b)、図4(b)の電流不連続モードで動作しているときも、電流連続モードの場合と同様に、出力電圧V2の電圧リプルが若干大きくなる。電流連続モードの場合との違いは、t6において比較器25aの出力がローレベルになったあと、チョークコイル7の電流iLが減少してt7において0になり、t7からt8の期間にチョークコイル7の電流iLが0の期間が続くことである。チョークコイル7の電流iLが0の期間は、出力コンデンサ8aから負荷電流i2を放電するので、出力電圧V2は直線的に下降する。特に軽負荷で負荷電流i2が小さい場合には、出力電圧V2の下降が緩やかであるために、比較器25aの反転入力端子の電圧VnがVpLに達して、比較器25aの出力がハイレベルになるまでの時間が長くかかるので、休止期間が長くなり、スイッチング周波数が下がる。
次に、図2(b)で容量素子23のみを接続した場合に、軽負荷において出力電圧V2の平均値が定格負荷の場合よりも低下している原因について図5を用いて説明する。
図5(a)は、容量素子23のみを接続した場合で、軽負荷においてスイッチング周波数が低下した場合のタイミング波形図、図5(b)は、負荷が重くスイッチング周波数が低下していない場合のタイミング波形図である。図5(a)(b)は、Vcoが比較器25a出力、V2が出力電圧、Vr1が分圧抵抗21の電圧、Vnが比較器25aの反転入力端子電圧、Vn_AVGがVnの平均値、ir1が分圧抵抗21の電流、ir2が分圧抵抗22の電流である。
図5(a)は、軽負荷、電流不連続モードで動作する場合の制御回路20aの状態を示している。比較器25aは、出力のハイレベルの期間が短く、ローレベルの期間が長いので、出力電圧V2の波形は、電圧が上昇する期間は短く、電圧が下降する期間は長く、直線的に電圧が下降する三角波となる。
図6(a)は、分圧抵抗21、22、容量素子23によって、V2を入力、Vr1を出力とするローパスフィルタ、図6(b)は、図6(a)に示すローパスフィルタの周波数と利得の関係を示している。ローパスフィルタの伝達関数は、以下の(1)式となる。
軽負荷の低い周波数でのV2の電圧リプルは、ローパスフィルタによって十分に減衰できていないので、図5(a)に示すようにVr1に電圧リプルが残る。比較器25aの反転入力端子電圧Vnは、V2−Vr1であるため、Vnの波形は、電圧が下降する最初の期間は急速に下降し、その後、緩やかに下降する。そのため、Vnの平均値のVn_AVGは、VpHとVpLの中間値の(VpH+VpL)/2よりも低い値となる。
Vn_AVGの中間値からの低下量ΔVnを以下の式(2)とする。
分圧抵抗22の電流ir2はVnをR2で割った値であって、図示するようにVnと相似する波形となる。Vr1が電圧リプルを持った定常状態となっている場合には、分圧抵抗21の電流ir1は、分圧抵抗22の電流ir2の平均に等しく、容量素子23に流れる電流ir2−ir2は1スイッチング周期の合計で0になる。そのため、ir1とir2の位置関係は、Vn_AVGとVnの位置関係に相似していて、ir1は同じ比率でir2の中間値よりも低い値となるので、以下の式(3)(4)の関係が成り立つ。
ir1は抵抗21に流れる電流のため、Vr1の平均値は、以下の式(5)となる。
V2の平均値V2_AVGは、以下の式(6)となる。
一方、重負荷であるためにスイッチング周波数が低下していない場合には図5(b)の波形となる。
分圧抵抗21、22、容量素子23によって、V2を入力、Vr1を出力とするローパスフィルタでは、スイッチング周波数が高い場合は出力電圧V2の電圧リプルは十分に減衰するので、Vr1は直流に近い波形になる。比較器25aの反転入力端子電圧Vnは、V2−Vr1の引き算であって、三角波のV2から直流のVr1を引き算するので、結果のVnは三角波になる。そのため、以下の式(7)に示すようにVnの平均値のVn_AVGは、VpHとVpLの中間値の(VpH+VpL)/2にほぼ等しくなる。
式(3)〜(6)が図5(b)でも成立しているので、式(6)に式(7)を代入して、図5(b)でのV2の平均値V2_AVGは、以下の式(8)となる。
図5(a)のV2の平均値と図5(b) のV2の平均値の差ΔV2Lが、容量素子23のみを接続した場合の静的負荷変動であって、図5(a)の軽負荷でのスイッチング周波数が低下した場合におけるV2の平均値と、図5(b)の重負荷でのスイッチング周波数が低下していない場合のV2の平均値の差である。V2の平均値の差ΔV2Lは式(2)(6)(8)より、以下の式(9)となる。
Vnの平均値の低下ΔVnは、V2の三角波から、電圧リプルを持ったVr1を引き算することを原因として発生しているので、ΔVnはVr1の電圧リプルΔVr1とほぼ同じ大きさを持つ。したがって、以下の式(10)となる。
式(10)に示すように、出力電圧の静的負荷変動ΔV2Lは、容量素子23を並列接続したR1の端子間電圧のリプルΔVr1の(R1+R2)/R2倍の大きさとなる。出力電圧V2が基準電圧Vpに比べて十分に高いと、(R1+R2)/R2の値が大きいので、より大きな静的負荷変動となる。
次に、本実施形態の回路を接続することで、図2(c)に示すように出力電圧の静的負荷変動ΔV2Lを抑えることができることについて図7を用いて説明する。
t0からt1の期間に比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルになっていると、出力電圧V2が上昇して、比較器25aの反転入力端子電圧Vnも上昇する。Vnが第1の基準電圧VpHに達すると、Vcoが第2の低いレベルとなり、不連続モードでスイッチング周波数が低下している場合には、チョークコイル7から出力コンデンサ8aに供給される電流iLが0になり、負荷電流i2により出力電圧V2が直線的に減少する。軽負荷でスイッチング周波数が低下している場合には、比較器出力Vcoが低いレベルになっているt1からの期間が長く続く。
Vcoが低いレベルになっている期間がt1から一定期間継続していることを、OFF期間検出回路50が検出する。この一定期間は、定格負荷でのスイッチング周期の10倍から100倍程度とする。例えば、定格負荷でのスイッチング周期が10msであれば100msとする。t1〜t2の期間に、比較器25aの反転入力端子電圧Vnはまず急速に低下して、その後緩やかに低下する。OFF期間検出回路50は、Vcoの低いレベルがt1〜t2の一定期間続いていることを検出すると、OFF期間検出回路50の出力信号Vsにより、スイッチ素子26を開放すると同時に、OFF期間検出回路50の出力信号Vmにより、基準電圧を第3の中間の電圧VpMに変更する。スイッチ素子26が開放されることにより容量素子23が切り離されて、VnはV2を第1の抵抗と第2の抵抗で分圧した電圧V2×(R2/(R1+R2))に変更される。変更されたVnが基準電圧VpMよりも高い場合は、Vcoは低いレベルが継続される。これらの出力信号Vs、Vmは上記のt1〜t2の一定期間よりも十分に短いt2〜t3の期間継続して、t3でVs、Vmが戻って、スイッチ素子26が再び短絡して、基準電圧もVpLに戻る。
t3〜t4の期間はt1〜t2と同様に、OFF期間検出回路50が一定期間Vcoの低いレベルが継続していることを検出していて、その後のt4〜t5の期間に、Vs、Vmにより、スイッチ素子26が開放されて、VnがV2×(R2/(R1+R2))に変更され、基準電圧はVpMに変更される。VnがVpMよりもまだ高いため、Vcoの低いレベルが継続される。その後、t5〜t6の一定期間をOFF期間検出回路50が検出して、t6でVs、Vmにより、スイッチ素子26が開放されて、VnがV2×(R2/(R1+R2))に変更され、基準電圧はVpMに変更される。VnがVpMよりも低くなったために、t6から比較器25aの出力Vcoが高いレベルとなる。Vcoが高いレベルの期間はVnがVpHまで上昇するt8まで継続するが、その前のt7でVs,Vmが戻って、スイッチ素子26が短絡され、基準電圧はVpHとなる。
t6直前での比較器25aの反転入力端子電圧Vnを見ると、基準電圧VpLよりも高い電圧となっていて、OFF期間検出回路50が動作しなければ、t6でVcoが高いレベルに移行できないことがわかる。OFF期間検出回路50が動作しなければ、Vnは緩やかに低下するために、VpLよりも低い電圧になるまで長い時間がかかり、Vcoが低いレベルの期間がさらに長く続く。OFF期間検出回路50が動作すれば、以下の式(11)のようにVpMを設定することで、出力電圧V2の下限の式(12)でVcoが高いレベルに移行するようになり、V2が上昇に転じる。
式(12)の出力電圧V2の下限は、図5(b)のような重負荷である場合、スイッチング周波数と出力電圧V2が低下していない場合のV2の平均値の式(8)に比べて、(VpH−VpL)/2低い値になる。V2の下限でVcoが高いレベルに移行することにより、式(12)の値からVpH−VpL程度の電圧が上昇するので、図5(b)のV2の平均値と、軽負荷でスイッチング周波数が低下した場合のV2の平均値をほぼ同じ値とすることができる。従って、本実施形態の回路を接続することで、出力電圧の静的負荷変動ΔV2Lを抑えることができる。
以上説明したように、本発明の制御回路は、スイッチング電源装置1aの出力電圧を分圧する第1抵抗21および第2抵抗22と、この分圧された電圧が第1の入力端子に入力され、基準電圧Vpが第2の入力端子に入力される比較器25aと、比較器25aの出力信号に基づいてスイッチングトランジスタ5aを制御する制御部30を備え、基準電圧Vpは比較器25aの出力が第1のレベル(ハイレベル)の場合は第1の電圧VpHとなり、第2のレベル(ローレベル)の場合は第2の電圧VpLとなり、第1抵抗21は、スイッチング電源装置1aの出力端子正極3aと比較器25aの第1の入力端子間に接続され、第1抵抗21と並列に容量素子23とスイッチ素子26を直列に接続し、比較器25aの出力のローレベルが一定期間より長く継続していることを検出するOFF期間検出回路50を備え、OFF期間検出回路50は、比較器25aの出力のローレベルが一定期間より長く継続している場合に、スイッチ素子26を開放すると同時に、基準電圧を第3の電圧VpMとする。
これにより、負荷電流が小さくなってスイッチング周波数が低下したときの出力電圧の静的負荷変動を抑えることができる。
(実施形態2)
図8は、本発明に係わる第2の実施形態に係るスイッチング電源装置1bの構成を示す回路図である。図8に示すスイッチング電源装置1bは、一例として、一対の入力端子2a,2b(以下、特に区別しないときには「入力端子2」ともいう)、一対の出力端子3a,3b(以下、特に区別しないときには「出力端子3」ともいう)、主回路4b、制御回路20bを備え、入力端子2に入力される入力電圧(直流電圧)V1を出力電圧(直流電圧)V2に変換して出力端子3から出力すると共に、出力電圧V2を予め規定された目標電圧に制御する。スイッチング電源装置1bは、入力端子2に入力電圧V1、入力電流i1を入力して、出力端子3から出力電圧V2、負荷電流i2を出力する。
主回路4bは、第1の実施形態の主回路4aと同様に、スイッチング電源装置1bの一例としてバックコンバータの回路方式で構成されており、入力端子2から入力される入力電圧V1を出力電圧V2に変換して出力端子3に出力する。
制御回路20bは、スイッチング電源装置1bの出力電圧V2を分圧する第1抵抗21および第2抵抗22と、分圧された電圧Vnが第1の反転入力端子に入力され、第2の非反転入力端子に基準電圧Vpが入力される比較器25aと、比較器25aの出力信号Vcoに基づいてスイッチングトランジスタ5aを制御する制御部30xと、出力端子正極3aと比較器25aの第1の反転入力端子間に接続された第1抵抗21と、この第1抵抗に並列に接続した容量素子23とスイッチ素子26の直列接続を備える。基準電圧Vpは、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルの場合は第1の高い電圧VpHとなり、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルの場合は第2の低い電圧VpLとなる。また、制御回路20bは、比較器25aの出力Vcoの第2のレベルが一定期間より長く継続していることを検出するOFF期間検出回路50を備え、OFF期間検出回路50は、比較器25aの出力の第2のレベルが一定期間より長く継続している場合に、出力信号Vsによりスイッチ素子26を開放すると同時に、出力信号Vmにより基準電圧Vpを第3の中間の電圧VpMとする。制御回路20bの共通グランドGは、出力端子の負極3bに接続する。Vn、Vp、Vcoの各信号の電圧は、共通グランドGを基準とした電圧とする。
また、基準電圧Vpは、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルの場合は第1の高い電圧VpHとなり、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルの場合は第2の低い電圧VpLとなる、第1の実施形態と同様にヒステリシスコンパレータを備える。このヒステリシスコンパレータの回路方式の一例として、第1の実施形態と同様に比較器25aと、比較器25aの出力端子と非反転入力端子間に接続する抵抗25bと、非反転入力端子と共通グランド3b間に直列に接続する抵抗25cと定電圧源24と、OFF期間検出回路50と比較器25aの非反転入力端子間に接続する抵抗25dを備える。
制御部30xは、チョークコイルに流れる電流iLを検出する電流検出素子30dと、基準電圧30c、電流検出素子30dの出力と基準電圧30cを比較する比較器30b、比較器30bの出力と比較器25aの出力Vcoに基づいてスイッチングトランジスタ5aを駆動する駆動部30aから構成される。
駆動部30aは、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルで、かつ比較器30bの出力がローレベルの場合に、スイッチングトランジスタ5aをオンさせる。スイッチングトランジスタ5aのオンによって、チョークコイル7に流れる電流iLが一定値以上になったときに比較器30bの出力がハイレベルとなる。このとき比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルで継続している場合には、スイッチングトランジスタ5aを一定期間オフさせる。スイッチングトランジスタ5aのオフによって、チョークコイル7に流れる電流iLが一定値よりも低くなる。その後も比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルで継続している場合には、再びチョークコイル7に流れる電流iLが一定値以上に達するまでスイッチングトランジスタ5aをオンさせる。比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルの場合には、比較器30bの出力に係わらずスイッチングトランジスタ5aをオフさせる。
これにより、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルの期間に複数回スイッチングさせることができる。
次に、制御回路20bの動作について説明する。出力電圧V2を抵抗分圧した電圧Vnが第2の電圧VpLよりも低くなると、比較器出力Vcoが第1の高いレベルとなり制御部30xがスイッチングトランジスタ5aの駆動を開始し、基準電圧は第1の電圧VpHとなる。スイッチングトランジスタ5aの駆動期間にチョークコイル7の電流が増加して、チョークコイル7から出力コンデンサ8aに負荷電流i2よりも大きな電流iLが供給されることで出力コンデンサ8aが充電されて出力電圧V2が上昇する。チョークコイル7に流れる電流iLが負荷電流よりも大きな一定値以上になると、スイッチングトランジスタ5aを一定期間オフさせる。スイッチングトランジスタ5aのオフによって、チョークコイル7に流れる電流iLが一定値よりも低くなる。その後も比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルで継続している場合には、再びチョークコイル7に流れる電流iLが一定値以上に達するまでスイッチングトランジスタ5aをオンさせる。これにより比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルで継続している期間に複数回スイッチングさせることができる。制御部30xは出力電圧V2を抵抗分圧した電圧Vnが第1の電圧VpHよりも高くなると、比較器出力Vcoが第2の低いレベルとなって駆動期間を終了して休止期間となる。このとき基準電圧は第2の電圧VpLとなる。休止期間はチョークコイル7からの電流iLが0になるので、出力コンデンサ8aから負荷電流i2により放電して、出力電圧V2が低下する。再び出力電圧V2を抵抗分圧した電圧Vnが第2の電圧VpLよりも低くなると、再び駆動期間を開始して、基準電圧は第1の電圧VpHとなって、スイッチングトランジスタ5aを複数回スイッチングさせる。この動作を繰り返すことにより、抵抗分圧した電圧Vnが第1の電圧VpHと第2の電圧VpLの間の値となるように、駆動期間と休止期間が制御されて、出力電圧V2を予め規定された目標電圧に制御する。
ここで、スイッチ素子26は、スイッチング周波数が高く比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルとなっている期間が短い場合に、短絡している。これにより、第1抵抗21に容量素子23が接続されるので、出力電圧リプルが抑えられている。スイッチング周波数が低くなり、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルとなっている期間が長くなると、スイッチ素子26が開放され、基準電圧は第3の電圧VpMとなる。これにより、実施例1と同様に出力電圧の静的負荷変動を抑えることができる。
図9を参照して、第2の実施形態のスイッチング電源装置1bの出力電圧V2のリプル波形について説明する。図9(a)に負荷電流i2が大きい重負荷の場合、図9(b)に負荷電流i2が小さい軽負荷の場合の負荷電流i2、チョークコイル7の電流iL、比較器25aの出力Vco、出力電圧V2の波形を示す。容量素子23を接続することによって、出力電圧V2の電圧リプルが、第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpLの分圧比(R1+R2)/R2倍から、第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpL程度まで低減できている。
これは、容量素子23を第1抵抗21に接続することによって、第1抵抗21の電圧Vr1がほぼ一定値に安定化されるためである。これにより、比較器25aの反転入力端子の電圧Vnは、出力電圧V2から一定のVr1を引き算した値となるので、Vnの電圧リプルは出力電圧V2の電圧リプルに等しくなる。制御回路20bは、VnがVpLとVpHの間の値になるように駆動期間と休止期間を制御して、出力電圧V2を予め規定された目標電圧に制御する。そのため、Vnの電圧リプルが第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpLに等しくなって、出力電圧V2の電圧リプルの大きさもVpH−VpLとなる。
V2=Vn+Vr1となるため、出力電圧V2は、VpH+Vr1とVpL+Vr1の間の値に制御される。
t0において比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルになると、スイッチングトランジスタ5aがオンとなって、チョークコイル電流iLが増加する。iLが一定値よりも大きくなると、一定期間スイッチングトランジスタ5aがオフして、Vcoが第1の高いレベルが継続しているならば再びスイッチングトランジスタ5aがオンする。これにより、図9に示すように比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルのt0〜t1の期間に複数回スイッチングさせて、チョークコイル電流iLをほぼ一定値とすることができる。Vcoが第1の高いレベルの期間は、チョークコイル電流iLが負荷電流i2よりも大きいので、出力コンデンサ8aがiL−i2の電流で定電流充電されて、出力電圧V2は直線的に増加する。また、Vcoが第2の低いレベルの場合は、図9のt1〜t2の期間に示すようにチョークコイル電流iLは0となる。出力コンデンサ8aは負荷電流i2のみによって定電流放電させるので、出力電圧V2は直線的に減少する。
図9(a)の第2の実施形態の出力電圧V2は、図4(a)の第1の実施形態の出力電圧V2と比べて、V2がVpH+Vr1より大きくなる、またはV2がVpL+Vr1より小さくなることがほとんどなくなり、出力電圧V2の電圧リプルの大きさがヒステリシス幅VpH−VpLにより近い値に抑えられている。これは、t0において比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルになったときに、Vcoが第1の高いレベルの期間t0〜t1の長さに比べて十分に短い時間で、iLがi2より大きな一定の電流の電流値に達して、出力コンデンサ8aをiL−i2で定電流充電するために、V2が直線的に増加し、t1において比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルになったときに、Vcoが第2の低いレベルの期間t1〜t2の長さに比べて十分に短い時間で、iLが0となって、出力コンデンサ8aをi2で定電流放電するために、V2が直線的に減少するためである。
第1の実施形態の図4(a)ではVcoが第1の高いレベルの期間の前半t0〜t1はiL<I2、後半t1〜t2はiL>i2であって、出力コンデンサ8aの充電と放電が行われるため、t2においてVcoが第1の高いレベルの期間の終了時の8aの電圧は、8aの電圧の中央値となるので、V2が8aの電圧だけでは、V2がVpH+Vr1より大きくなって、Vcoを第2の低いレベルとすることができないので、ヒステリシス制御が正しく動作しない。そのため、出力電圧V2は出力コンデンサ8aの電圧と、出力コンデンサ8aの等価直列抵抗8bの電圧の合計であって、8bの電圧リプルは8aの電圧リプルと同等以上の大きさとすることで、ヒステリシス制御を正常に動作させることができる。そのため、出力コンデンサ8aに電解コンデンサなどの等価直列抵抗の大きなコンデンサを使用する。
一方、第2の実施形態のように比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルの期間t0〜t1に複数回スイッチングさせる場合には、出力コンデンサ8aの充電、放電によって、Vcoが第1の高いレベルの期間の終了時のt1における8aの電圧は、8aの電圧の最大値となり、Vcoが第2の低いレベルの期間の終了時のt2における8aの電圧は、8aの電圧の最小値となるので、等価直列抵抗8bの電圧リプルが無くてもV2をVpH+Vr1とVpL+Vr1の間に制御できて、ヒステリシス制御が正しく動作する。そのため、出力コンデンサ8aにセラミックコンデンサなどの等価直列抵抗の小さなコンデンサを使用することができる。等価直列抵抗の小さなコンデンサを使用できることは、スイッチング電源装置1bの出力電圧V2の動的負荷変動や、高周波ノイズの低減に効果がある。
図9(b)を参照して、第2の実施形態で軽負荷の場合の出力電圧V2の電圧リプルについて説明する。軽負荷の場合は、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルの期間t4〜t5が長くなることで、スイッチング周波数が低くなり、iLの平均値がi2と同じ低い値となっている。第1の実施形態の図4(b)と同様に、V2は立上り期間が短く、立下り期間は低い負荷電流i2によって出力コンデンサ8aを長い時間をかけて定電流放電するために、直線的にV2が減少する。図9(b)は図4(b)とほぼ同じ波形であるために、第1の実施形態と同様に、図5(a)に示す比較器25aの反転出力端子電圧Vnの平均値が、第1抵抗21の端子間電圧Vr1の電圧リプルΔVr1と同じ程度、中央値より低下する。これにより、ΔVr1の(R1+R2)/R2倍の静的負荷変動ΔV2Lが生じるので、この静的負荷変動ΔV2Lを抑えるためには、軽負荷でスイッチング周波数が低くなり、比較器出力Vcoが第2の低いレベルとなっている期間が長くなった場合に、スイッチ素子26を開放して容量素子23を切り離し、基準電圧を第3の電圧VpMとする必要がある。
以上説明したように、本発明の制御回路は、比較器25aの出力Vcoが第1レベル(ハイレベル)の期間にスイッチングトランジスタ5aを複数回スイッチングさせることが好ましい。これにより、スイッチングトランジスタ5aのオン・オフの周期が、比較器25aの出力Vcoのオン・オフの周期よりも十分に短いため、比較器25aの出力Vcoが第1のレベルになると直ちに出力電圧V2が上昇し、比較器25aの出力Vcoが第2のレベル(ローレベル)になると直ちに出力電圧V2が下降するので、出力電圧リプルを第1の電圧と第2の電圧の差程度に抑えることができる。
また、本発明の制御回路は、スイッチング電源装置1bに流れる電流が一定値以上になったときに、スイッチングトランジスタ5aを一定期間オフさせることが好ましい。これにより、比較器25aの出力Vcoが第1のレベル(ハイレベル)の期間にスイッチング電源装置1bに流れる電流が一定値以上になって、スイッチングトランジスタ5aを一定期間オフさせることを繰りかえすので、比較器25aの出力Vcoが第1のレベルの期間に複数回スイッチングさせることができる。そのため、比較器25aの出力Vcoが第1のレベルの期間に負荷電流よりも大きな一定の電流でスイッチング電源装置1bの出力コンデンサ8aを充電させることができるので、出力電圧V2が第1のレベルの期間の開始と同時に直線的に上昇する。比較器25aの出力Vcoが第2のレベル(ローレベル)の期間は、スイッチング電源装置1bの出力コンデンサ8aを負荷電流のみによって放電するので、出力電圧V2が第2のレベルの期間の開始と同時に直線的に下降する。これにより、出力電圧リプルを第1の電圧と第2の電圧の差程度に抑えることができる。
なお、スイッチング電源装置に流れる電流とは、そのスイッチング電源装置の構成により、種々の検出方法が考えられる。例えば、本実施形態に示したスイッチング電源装置1bであれば、スイッチングトランジスタ5aや、チョークコイル7の電流を検出しても良い。また、絶縁型スイッチング電源装置であればトランスの巻線電流、共振コンデンサがあれば共振コンデンサの電流などを検出しても良い。
(実施形態3)
図10は、本発明に係わる第3の実施形態に係るスイッチング電源装置1cの構成を示す回路図である。図10に示すスイッチング電源装置1cは、一例として、一対の入力端子2a,2b(以下、特に区別しないときには「入力端子2」ともいう)、一対の出力端子3a,3b(以下、特に区別しないときには「出力端子3」ともいう)、主回路4c、制御回路20cを備え、入力端子2に入力される入力電圧(直流電圧)V1を出力電圧(直流電圧)V2に変換して出力端子3から出力すると共に、出力電圧V2を予め規定された目標電圧に制御する。スイッチング電源装置1cは、入力端子2に入力電圧V1、入力電流i1を入力して、出力端子3から出力電圧V2、負荷電流i2を出力する。
主回路4cは、スイッチングトランジスタ5a、スイッチングトランジスタ5aの寄生ダイオード5b、ダイオード6、共振インダクタ9、13、14、17、共振コンデンサ10、11、12、15、16、出力コンデンサ8a、出力コンデンサ8aの等価直列抵抗8bを備えている。スイッチング電源装置1cは、スイッチング電源の一例として共振コンバータの回路方式で構成されており、入力端子2から入力される入力電圧V1を出力電圧V2に変換して出力端子3に出力する。
制御回路20cは、スイッチング電源装置1cの出力電圧V2を分圧する第1抵抗21および第2抵抗22と、分圧された電圧Vnが第1の反転入力端子に入力され、第2の非反転入力端子に基準電圧Vpが入力される比較器25aと、比較器25aの出力信号Vcoに基づいてスイッチングトランジスタ5aを制御する制御部30yと、出力端子正極3aと比較器25aの第1の反転入力端子間に接続された第1抵抗21と、この第1抵抗に並列に接続した容量素子23とスイッチ素子26の直列接続を備える。
基準電圧Vpは、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルの場合は第1の高い電圧VpHとなり、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルの場合は第2の低い電圧VpLとなる。また、制御回路20cは、比較器25aの出力Vcoの第2のレベルが一定期間より長く継続していることを検出するOFF期間検出回路50を備え、OFF期間検出回路50は、比較器25aの出力の第2のレベルが一定期間より長く継続している場合に、出力信号Vsによりスイッチ素子26を開放すると同時に、出力信号Vmにより基準電圧Vpを第3の中間の電圧VpMとする。制御回路20cの共通グランドGは、出力端子の負極3bに接続する。Vn、Vp、Vcoの各信号の電圧は、共通グランドGを基準とした電圧とする。
また、基準電圧Vpが比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルの場合は第1の高い電圧VpHとなり、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルの場合は第2の低い電圧VpLとなる、第1の実施形態と同様にヒステリシスコンパレータを備える。このヒステリシスコンパレータの回路方式の一例として、第1の実施形態と同様に比較器25aと、比較器25aの出力端子と非反転入力端子間に接続する抵抗25bと、非反転入力端子と共通グランドG間に直列に接続する抵抗25cと定電圧源24と、OFF期間検出回路50と比較器25aの非反転入力端子間に接続する抵抗25dを備える。
制御部30yは、一定の周波数で発振する発振器30fと、発振器30fの出力と比較器25aの出力Vcoに基づいてスイッチングトランジスタ5aを駆動する駆動部30eから構成される。
駆動部30eは、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルとなったときに、一定の周波数で発振する発振器30fの出力に基づいて、スイッチングトランジスタ5aをオン、オフさせる。スイッチングトランジスタ5aの端子間電圧V5は、スイッチングトランジスタ5aのオフによって0Vから上昇する。スイッチングトランジスタ5aが完全にオフになってから共振コンデンサ11が充電されて端子間電圧V5が上昇し始めるので、スイッチングトランジスタ5aのターンオフ時のスイッチング損失を低減できる。その後、共振インダクタ9、13、14、17、共振コンデンサ10、11、12、15、16の共振によって、スイッチングトランジスタ5aが一定期間オフになったときに再び0Vに戻り、スイッチングトランジスタ5aのボディダイオード5bをオンさせる。このとき、スイッチングトランジスタ5aをオンすることによって、所謂ZVS(Zero Voltage Switching)とすることができ、スイッチングトランジスタ5aのターンオン時のスイッチング損失を低減できる。比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルが継続している場合は、スイッチングトランジスタ5aが一定期間オンした後、オフすることを繰りかえすので、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルの期間に複数回スイッチングさせることができる。
次に、制御回路20cの動作について説明する。出力電圧V2を抵抗分圧した電圧Vnが第2の電圧VpLよりも低くなると、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルとなり制御部30yがスイッチングトランジスタ5aの駆動を開始し、基準電圧Vpは第1の電圧VpHとなる。スイッチングトランジスタ5aが制御部30yによってオン、オフすることにより、ダイオード6から、一定のピーク値を持つ正弦半波の電流iDが流れる。iDの時間平均が負荷電流i2よりも大きいので、出力コンデンサ8aが充電されて出力電圧V2が上昇する。 制御部30yは出力電圧V2を抵抗分圧した電圧Vnが第1の電圧VpHよりも高くなると、比較器出力Vcoが第2の低いレベルとなって駆動期間を終了して休止期間となる。このとき基準電圧Vpは、第2の電圧VpLとなる。休止期間はダイオード6からの電流iDが0になるので、出力コンデンサ8aから負荷電流i2により放電して、出力電圧V2が低下する。再び出力電圧V2を抵抗分圧した電圧Vnが第2の電圧VpLよりも低くなると、再び駆動期間を開始して、基準電圧Vpは第1の電圧VpHとなって、スイッチングトランジスタ5aを複数回スイッチングさせる。この動作を繰り返すことにより、抵抗分圧した電圧Vnが第1の電圧VpHと第2の電圧VpLの間の値となるように、駆動期間と休止期間が制御されて、出力電圧V2を予め規定された目標電圧に制御する。
スイッチ素子26は、スイッチング周波数が高く比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルとなっている期間が短い場合に短絡している。これにより、第1抵抗21に容量素子23が接続されて、出力電圧リプルが抑えられている。スイッチング周波数が低くなり、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルとなっている期間が長くなると、スイッチ素子26が開放され、基準電圧は第3の電圧VpMとなる。これにより、第1の実施形態と同様に出力電圧の静的負荷変動を抑えることができる。
図11を参照して、第3の実施形態のスイッチング電源装置1cの出力電圧V2のリプル波形について説明する。図11(a)に負荷電流i2が大きい重負荷の場合、図11(b)に負荷電流i2が小さい軽負荷の場合の負荷電流i2、ダイオード6の電流iD、比較器25aの出力Vco、出力電圧V2の波形を示す。容量素子23を接続することによって、出力電圧V2の電圧リプルが、第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpLの分圧比(R1+R2)/R2倍から、第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpL程度まで低減できている。
これは、容量素子23を第1抵抗21に接続することによって、第1抵抗21の電圧Vr1がほぼ一定値に安定化されるためである。これにより、比較器25aの反転入力端子の電圧Vnは、出力電圧V2から一定のVr1を引き算した値となるので、Vnの電圧リプルは出力電圧V2の電圧リプルに等しくなる。制御回路20cは、VnがVpLとVpHの間の値になるように駆動期間と休止期間を制御して、出力電圧V2を予め規定された目標電圧に制御する。そのため、Vnの電圧リプルが第1の電圧と第2の電圧の差VpH−VpLに等しくなって、出力電圧V2の電圧リプルの大きさもVpH−VpLとなる。V2=Vn+Vr1となるため、出力電圧V2は、VpH+Vr1とVpL+Vr1の間の値に制御される。
t0において比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルになると、スイッチングトランジスタ5aが制御部30yによりオン、オフして、ダイオード6に一定のピーク値を持つ正弦半波の電流iDが流れる。iDの時間平均が一定であって負荷電流i2よりも大きいので、t0〜t1の期間は出力コンデンサ8aが定電流充電されて出力電圧V2が直線的に上昇する。また、Vcoが第2の低いレベルのt1〜t2の期間は、ダイオード6の電流iDは0となる。出力コンデンサ8aは負荷電流i2のみによって定電流放電させるので、出力電圧V2は直線的に減少する。
図11(a)の第3の実施形態の出力電圧V2は、図9(a)の第2の実施形態の出力電圧V2と同様に、V2がVpH+Vr1より大きくなる、またはV2がVpL+Vr1より小さくなることがほとんどなく、出力電圧V2の電圧リプルの大きさがヒステリシス幅VpH−VpLに近い値に抑えられている。これは、比較器25aの出力Vcoがt0において第1の高いレベルになったときに、Vcoが第1の高いレベルの期間t0〜t1の長さに比べて十分に短い時間で、iDが時間平均値でi2より大きな一定の電流の電流値に達して、出力コンデンサ8aをiL−i2で定電流充電するために、V2が直線的に増加し、t1において比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルになったときに、Vcoが第2の低いレベルの期間t1〜t2の長さに比べて十分に短い時間で、iDが0となって、出力コンデンサ8aをi2で定電流放電するために、V2が直線的に減少するためである。
また、第3の実施形態は第2の実施形態と同様に、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルの期間に複数回スイッチングさせる場合、出力コンデンサ8aの充電、放電によって、Vcoが第1の高いレベルの期間の終了時t1の出力コンデンサ8aの電圧は、出力コンデンサ8aの電圧の最大値となる。また、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルの期間の終了時t2の出力コンデンサ8aの電圧は、出力コンデンサ8aの電圧の最小値となる。よって、出力電圧V2は、等価直列抵抗8bの電圧リプルが無くてもVpH+Vr1とVpL+Vr1の間に制御できて、ヒステリシス制御が正しく動作する。そのため、出力コンデンサ8aにセラミックコンデンサなどの等価直列抵抗の小さなコンデンサを使用することができる。等価直列抵抗の小さなコンデンサを使用できることは、スイッチング電源装置1cの出力電圧V2の動的負荷変動や、高周波ノイズの低減に効果がある。また、実施例3では、スイッチングトランジスタ5aのスイッチング損失を抑えながらスイッチング周波数を上げることができるので、共振コンバータの主回路4cに使用される共振インダクタ9、13、14、17、共振コンデンサ10、11、12、15、16に蓄積するエネルギーを小さくすることができる。これらの共振インダクタ、共振コンデンサに蓄積するエネルギーが小さいほど、負荷電流i2が急変したときにダイオード6の電流iDの平均値を負荷電流i2に近い値に追随させることができるので、出力電圧の動的負荷変動を抑えることができる。これにより、出力電圧の動的負荷変動、静的負荷変動、出力電圧リプルを、第1の電圧と第2の電圧の差程度に抑えることができる。
図11(b)を参照して、第3の実施形態で軽負荷の場合の出力電圧V2の電圧リプルについて説明する。軽負荷の場合は、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルの期間t4〜t5が長くなることで、スイッチング周波数が低くなっている。第1の実施形態の図3(b)、第2の実施形態の図9(b)と同様に、V2は立上り期間が短く、立下り期間は低い負荷電流i2によって出力コンデンサ8aを長い時間をかけて定電流放電するために、直線的にV2が減少する。図11(b)は図3(b)、図9(b)とほぼ同じ波形であるので、第1の実施形態、第2の実施形態について前述したのと同様に、図5(a)に示す比較器25aの反転出力端子電圧Vnの平均値が、第1抵抗21の端子間電圧Vr1の電圧リプルΔVr1と同じ程度、中央値より低下する。これにより、ΔVr1の(R1+R2)/R2倍の静的負荷変動ΔV2Lが生じるので、この静的負荷変動ΔV2Lを出力電圧V2の電圧リプルΔV2程度に抑えるためには、スイッチング周波数が低くなり、比較器出力Vcoが第2の低いレベルとなっている期間が長くなったときに、スイッチ素子26を開放して容量素子23を切り離し、基準電圧を第3の電圧VpMとする必要がある。これにより、出力電圧の静的負荷変動を抑えることができる。
以上説明したように、本発明の制御回路20cは、スイッチング電源装置1cの主回路4cが共振回路を備える共振コンバータである。これにより、スイッチング損失を抑えながらスイッチング周波数を上げることができるので、共振コンバータに使用されるインダクタ9、13、14、17やコンデンサ10、11、12、15、16に蓄積するエネルギーを小さくすることができる。そのため、出力電圧V2の動的負荷変動、静的負荷変動、出力電圧リプルを、第1の電圧と第2の電圧の差程度に抑えることができる。
(実施形態4)
本発明に係わる第4の実施形態として、スイッチング電源装置1dの構成について図面を参照して説明する。図12に示すスイッチング電源装置1dは、図10に示す第3の実施形態の構成に、起動時に容量素子23を充電する充電回路40を追加したものである。第1の実施形態、第2の実施にも同様の充電回路40を追加してもよい。第3の実施形態を例に説明すると、スイッチ素子26は起動時に短絡していて、容量素子23が第1抵抗21に並列に接続されていて、容量素子23の端子間電圧は起動時に0Vであるため、図10に示すスイッチング電源装置1cの起動時に第1抵抗21の端子間電圧Vr1が起動完了後の安定したVr1の電圧よりも低い期間が長く続く。比較器25aの反転入力端子電圧Vnは、基準電圧Vpと同じ値になるように出力電圧V2が制御されるため、V2=Vp+Vr1に制御されるので、出力電圧V2も予め規定された目標電圧よりも低い期間が長く続く。出力電圧V2の予め規定された目標電圧は、Vpの(R1+R2)/R2倍であって、このときのVr1はVpのR1/R2倍である。Vr1が起動時の0VからVp×R1/R2の電圧まで達するために、出力端子正極3aから容量素子23、スイッチ素子26、第2抵抗22、共通グランドGを通る経路で、容量素子23が充電される。制御回路の損失を考慮すると、第1抵抗21、第2抵抗22の抵抗値R1、R2は小さな値(例えば1kΩ以下)とすることができない。したがって容量素子23の充電電流は小さく、容量素子23の静電容量は大きいとVr1が起動時の0VからVp×R1/R2の電圧まで達するまでの期間が長くなる。
図12に示す充電回路40は、出力電圧V2を検出して、出力電圧V2も予め規定された目標電圧よりも低い起動期間のみ、比較器25aの反転入力端子と共通グランドGを短絡する。したがって、起動期間は出力端子正極3aから容量素子23、充電回路40を通る経路で、容量素子23が大きな充電電流で充電される。これにより、容量素子23を第1抵抗21に並列に接続した場合に、出力電圧V2が0Vから予め規定された目標電圧に達するまでの起動期間を短くすることができる。
図13に、基準電圧Vpを、比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルVcoHの場合は第1の高い電圧VpHとし、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルVcoLの場合は第2の低い電圧VpLとし、比較器25aの出力Vcoの第2の低いレベルが長く続いたときにOFF期間検出回路からの信号Vmによって第3の中間的な電圧VpMとする、所謂ヒステリシスコンパレータの実施形態を示す。このヒステリシスコンパレータの回路方式の第1の具体例を図13(a)に、第2の具体例を図13(b)に示す。
ヒステリシスコンパレータの回路方式の第1の具体例は、比較器25aと、比較器25aの出力端子と非反転入力端子間に接続する抵抗25bと、非反転入力端子と共通グランドG間に直列に接続する抵抗25cと電圧V24の定電圧源24と、OFF期間検出回路と非反転入力端子間に接続する抵抗25dを備える。
Vcoが高いレベルでVmが低いレベルのときに基準電圧Vpは高いVpHとなり、Vcoが低いレベルでVmが低いレベルのときに基準電圧Vpは低いVpLとなり、Vcoが低いレベルでVmが高いレベルのときに基準電圧Vpは中間のVpMとなる。
比較器25aの出力Vcoが第1の高いレベルVcoHの期間は、比較器25aの反転入力端子電圧Vnを高いVpHと比較してVcoをVcoHからVcoLに変えるかどうかを判定し、比較器25aの出力Vcoが第2の低いレベルVcoLの期間は、比較器25aの反転入力端子電圧Vnを低いVpLと比較してVcoをVcoLからVcoHに変えるかどうかを判定するので、VnがVpHとVpLの中間の値のときは、比較器25aの出力Vcoが変化せず、第1の高いレベルVcoHまたは第2の低いレベルVcoLに維持される。Vcoが低いレベルが長く継続して、OFF期間検出回路50が動作した場合のみ、Vmが高いレベルとなって、比較器25aへの入力信号VnをVpMと比較してVcoをVcoLからVcoHに変えるかどうかを判定する。
図13(b)に示す第2の具体例は、所謂、窓比較器であって、第1の具体例のヒステリシスコンパレータと同等の機能を実現することができる。第2の具体例の窓比較器は、比較器25gと、比較器25hと、比較器25iと、電圧VpHの定電圧源24bと、定電圧源24bを分圧する抵抗25jと、抵抗25kと、抵抗25mとANDゲート25nとORゲート25oとSRフリップフロップ25fを備える。 窓比較器への入力信号Vnは、比較器25gの非反転入力端子と比較器25hの反転入力端子と比較器25iの反転入力端子に入力され、定電圧源24bの電圧VpHは、比較器25gの反転入力端子に入力される。定電圧源24bの電圧VpHは抵抗25jと抵抗25kと抵抗25mにより電圧VpMと電圧VpLに分圧される。電圧VpMは比較器25hの非反転入力端子に入力され、電圧VpLは比較器25iの非反転入力端子に入力される。
比較器25iの出力がハイレベルになることによりSRフリップフロップ25fはセットされて、SRフリップフロップ25fの出力Vcoは第1の高いレベルVcoHとなり、比較器25gの出力がハイレベルになることによりSRフリップフロップ25fはリセットされて、SRフリップフロップ25fの出力Vcoは第1の低いレベルVcoLとなる。これにより、SRフリップフロップ25fの出力Vcoが第1の高いレベルVcoHの期間は、窓比較器への入力信号Vnを高いVpHと比較してVcoをVcoHからVcoLに変えるかどうかを判定し、SRフリップフロップ25fの出力Vcoが第2の低いレベルVcoLの期間は、窓比較器への入力信号Vnを低いVpLと比較してVcoをVcoLからVcoHに変えるかどうかを判定するので、VnがVpHとVpLの中間の値のときは、Vcoが変化せず、第1の高いレベルVcoHまたは第2の低いレベルVcoLに維持される。Vcoが低いレベルが長く継続して、OFF期間検出回路が動作した場合のみ、Vmが高いレベルとなって、窓比較器への入力信号VnをVpMと比較してVcoをVcoLからVcoHに変えるかどうかを判定する。
したがって、図13(b)に示す窓比較器は、図13(a)に示すヒステリシスコンパレータと同等の入力信号Vnと入力信号Vmと出力信号Vcoの機能を実現することができる。
以上、本発明の一実施形態の制御回路およびスイッチング電源装置について説明したが、上記実施の形態の説明に限定されず種々の変形実施が可能である。
例えば、本発明の実施形態に係わるヒステリシスコンパレータおよび窓比較器は、同等の機能を集積回路に内蔵することもできるので、上記実施の形態の説明に限定されない。
また、本発明に係わるOFF期間検出回路50は、比較器25aの出力Vcoの第2のレベルVcoLが一定期間より長く継続している場合に、スイッチ素子26を開放すると同時に、基準電圧Vpを第3の電圧VpMとするが、スイッチ素子26の開放と基準電圧Vpを第3の電圧VpMとするタイミングは回路の遅延により完全に同時でなくてもよい。スイッチ素子26の開放は、基準電圧Vpを第2の電圧VpLから第3の電圧VpMとするタイミングより前であって、スイッチ素子を再び短絡するのは、基準電圧Vpを第3の電圧VpMから、VpLまたはVpHに戻すタイミングより後であればよい。
また、スイッチ素子26は例えばバイポーラトランジスタまたはFETであって、寄生ダイオードをスイッチ素子26の内部に含んでいてもよい。OFF期間検出回路50が、比較器25aの出力Vcoの第2のレベルVcoLが一定期間より長く継続している場合に、スイッチ素子26を開放して容量素子23を第1抵抗21から切り離すときに、スイッチ素子26は、容量素子23の負極から正極(ドットが付いた電極)に流れる放電電流を阻止する機能があればよく、容量素子23の正極から負極に流れる充電電流を通す向きにスイッチ素子26の寄生ダイオードがあってもよい。
また、スイッチング電源装置は、バックコンバータを例示して説明したが、これに限らず、フォワードコンバータ、プッシュプルコンバータ等、各種スイッチング電源装置に適用することができる。